JP2002105406A - 塗料組成物 - Google Patents

塗料組成物

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JP2002105406A
JP2002105406A JP2000300608A JP2000300608A JP2002105406A JP 2002105406 A JP2002105406 A JP 2002105406A JP 2000300608 A JP2000300608 A JP 2000300608A JP 2000300608 A JP2000300608 A JP 2000300608A JP 2002105406 A JP2002105406 A JP 2002105406A
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resin
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polymerizable unsaturated
polymer
unsaturated monomer
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JP2000300608A
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English (en)
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Yoshiyuki Yokota
善行 横田
Hironobu Akutagawa
寛信 芥川
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐水性、耐湿性、凍害性、耐蝕性等の水の影
響を受ける塗膜性能に優れ、また、耐水後、耐湿後の硬
度、加工性、密着性に優れるうえ、耐候性にも優れ、し
かも、低コスト化することができる、顔料分散ペースト
から構成される塗料組成物を提供する。 【解決手段】 顔料及び分散用樹脂を必須とする顔料分
散ペーストと、溶解用樹脂とを含む塗料組成物であっ
て、該分散用樹脂及び該溶解用樹脂は、紫外線安定性基
を有する重合性不飽和単量体を必須とする単量体成分を
共重合してなる重合体を含み、該重合体を形成する紫外
線安定性基を有する重合性不飽和単量体の共重合割合
は、該分散用樹脂を構成する重合体の方が該溶解用樹脂
を構成する重合体よりも5倍以上多く、かつ、該分散用
樹脂を構成する重合体及び該溶解用樹脂を構成する重合
体を形成する単量体成分合計を100重量%としたと
き、0.2〜10重量%であり、該分散用樹脂を構成す
る重合体は、酸価が2〜50mgKOH/gである塗料
組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗料組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】顔料分散ペーストから構成される塗料組
成物は、白色塗料組成物又は様々な原色により調色され
た塗料組成物として、各種の基材に対して塗装されて保
護機能や美装機能等を与えることができることから、上
塗り、下塗り塗料組成物等として、建築物、プラント、
タンク、橋梁等の構築物や、自動車、船舶、産業機器、
各種工業製品等の用途に広く用いられている。このよう
な塗料組成物は、性能を向上して高品質化したり、メン
テナンスコストを低減したりするために、塗膜を屋外に
曝露した際の耐候性が優れていることが要求されてい
る。
【0003】ところで、このような塗料組成物から形成
される塗膜では、屋外に曝露した際の紫外線による酸化
チタン等の顔料の光触媒活性に起因すると考えられる樹
脂の劣化が生じ、これが塗膜の耐候性に悪影響を及ぼす
ことになる。そこで、塗膜の性能と品質をより高めるた
めには、酸化チタン等の顔料の光触媒活性の影響を抑制
して塗膜の耐候性を高めることが切望されている。
【0004】特開平7−310041号公報には、二酸
化チタン100重量部に対して、分散用樹脂を固形分で
0.1〜10重量部含む顔料分散ペーストであって、分
散用樹脂がヒンダードアミン系モノマーを全モノマーの
5〜30重量%共重合させたポリマーであり、その酸価
が60〜250mgKOH/gであり、数平均分子量が
3000〜1万である顔料分散ペーストが開示されてい
る。この顔料分散ペーストにより構成される塗料組成物
では、分散用樹脂が二酸化チタンに対して親和性を有す
るとともにラジカル捕捉能を有するため、二酸化チタン
の光触媒活性の影響を抑制することができると考えられ
ていた。
【0005】しかしながら、この顔料分散ペーストから
構成される塗料組成物では、分散用樹脂の酸価が高いた
め耐水性が充分ではなく、塗料組成物としての適用用途
が制限され、また、顔料分散ペースト中の分散用樹脂の
含有量も制限されることから、分散用樹脂の二酸化チタ
ンに対する親和性及びラジカル捕捉能と、塗料組成物の
適応性及び性能とのバランスにおいて工夫の余地がある
ものであった。すなわち、二酸化チタンの光触媒活性の
影響を充分に抑制して耐候性を向上させたり、適用用途
を広げたりするための工夫の余地があった。また、ヒン
ダードアミンのラジカル捕捉能によってのみ二酸化チタ
ンの光触媒活性の影響を抑制しているため、塗膜の性能
と品質をより高めるためには、これとは異なる手段の検
討の余地があった。更に、ヒンダードアミン系モノマー
が高価であることから、これを効率的に使用することに
より、塗料組成物のコストを低下させる手段の検討の余
地もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑みてなされたものであり、耐水性、耐湿性、凍害性、
耐蝕性等の水の影響を受ける塗膜性能に優れ、また、耐
水後、耐湿後の硬度、加工性、密着性に優れるうえ、耐
候性にも優れ、しかも、低コスト化することができる、
顔料分散ペーストから構成される塗料組成物を提供する
ことを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、顔料及び分散
用樹脂を必須とする顔料分散ペーストと、成膜用樹脂と
を含む塗料組成物であって、上記分散用樹脂及び上記成
膜用樹脂は、紫外線安定性基を有する重合性不飽和単量
体を必須とする単量体成分を共重合してなる重合体を含
み、上記重合体を形成する紫外線安定性基を有する重合
性不飽和単量体の共重合割合は、上記分散用樹脂を構成
する重合体の方が上記成膜用樹脂を構成する重合体より
も5倍以上多く、かつ、上記分散用樹脂を構成する重合
体及び上記成膜用樹脂を構成する重合体を形成する単量
体成分合計を100重量%としたとき、0.2〜10重
量%であり、上記分散用樹脂を構成する重合体は、酸価
が2〜50mgKOH/gである塗料組成物である。
【0008】本発明者らは、顔料分散ペーストから構成
される塗料組成物についての問題点を綿密に精査したう
えで鋭意研究を行った結果、上述した塗料組成物とする
ことにより、耐水性、耐湿性、凍害性、耐蝕性等の水の
影響を受ける塗膜性能に優れ、また、耐水後、耐湿後の
硬度、加工性、密着性に優れるうえ、酸化チタン等の顔
料の光触媒活性に起因すると考えられる塗膜の劣化を抑
制して耐候性が向上すると共に、シクロアルキル構造を
有する重合体を含むことによって更に耐候性が向上し、
しかも、塗膜の劣化を抑制することになる紫外線安定性
基を分散用樹脂及び成膜用樹脂を構成する重合体中に効
率的に組み込むことによって低コスト化することができ
るという劇的な効果が生じる事実に遭遇し、本発明に到
達したものである。以下に、本発明を詳述する。
【0009】本発明の塗料組成物は、顔料及び分散用樹
脂を必須とする顔料分散ペーストと、成膜用樹脂とを含
む。本発明の塗料組成物において、顔料分散ペースト及
び成膜用樹脂はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上
を併用してもよい。また、顔料分散ペーストを構成する
顔料及び分散用樹脂もそれぞれ単独で用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。
【0010】本明細書中、分散用樹脂とは、塗料組成物
の顔料分散性、顔料分散安定性等を向上するために用い
られる樹脂であり、顔料分散ペーストを構成する樹脂の
すべてを意味し、顔料分散ペーストとは、該分散用樹脂
と顔料とを分散させたペーストを意味する。成膜用樹脂
とは、塗膜形成主要素となる樹脂であり、上記分散用樹
脂以外の樹脂のすべてを意味し、「希釈用樹脂」等と称
呼されるものである。
【0011】本発明の塗料組成物に用いることのできる
顔料としては特に限定されず、例えば、無機顔料や有機
顔料等の着色顔料、光輝性顔料、体質顔料等が挙げられ
るが、光触媒活性を有する無機顔料を必須として構成さ
れることが好ましく、顔料の全量を100重量%とする
と、光触媒活性を有する無機顔料が30〜100重量%
であることが好ましい。より好ましくは、50〜100
重量%であり、更に好ましくは、70〜100重量%で
ある。
【0012】上記光触媒活性を有する無機顔料として
は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化
すず、酸化鉄、チタニアシリカ等が挙げられる。これら
の中でも、光触媒活性を有する無機顔料は、塗料用顔料
として使用されている酸化チタンが特に好ましい。塗料
用酸化チタンは、通常は表面処理を行っているが、それ
でも光触媒活性が他の顔料と比較して強いため、本発明
の塗料組成物に用いることで、耐候性が非常に向上する
ことになり、本発明の作用効果を充分に発揮することが
できる。上記酸化チタンとしては、ルチル型、アナター
ス型等の結晶構造や、成分組成、表面処理の有無等は特
に限定されるものではない。
【0013】上記分散用樹脂の固形分含有量は、上記顔
料100重量部に対して、10〜100重量部であるこ
とが好ましい。10重量部未満であると、分散用樹脂が
有する作用が充分に発揮されないおそれがあり、100
重量部を超えると、顔料の分散が充分でなくなるおそれ
がある。より好ましくは、15〜90重量部であり、更
に好ましくは、20〜80重量部である。上記顔料分散
ペースト中に含まれる顔料の含有量は、顔料分散ペース
ト諸物性に影響しなければ、特に限定されない。具体的
には、顔料分散ペースト100重量部に対して、顔料の
含有量は、10〜80重量部である。より好ましくは、
30〜70重量部である。
【0014】上記分散用樹脂及び上記成膜用樹脂は、紫
外線安定性基を有する重合性不飽和単量体を必須とする
単量体成分を共重合してなる重合体を含む。紫外線安定
性基を有する重合性不飽和単量体やその他の重合性不飽
和単量体はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併
用してもよい。本発明では、分散用樹脂及び成膜用樹脂
は、上記重合体の他に、本発明の奏する効果が損なわれ
ることがない限りその他の重合体を含んでいてもよく、
必要に応じて溶媒を含んでなるものである。
【0015】上記重合体を形成する紫外線安定性基を有
する重合性不飽和単量体の共重合割合は、上記分散用樹
脂を構成する重合体の方が上記成膜用樹脂を構成する重
合体よりも5倍以上多く、かつ、上記分散用樹脂を構成
する重合体及び上記成膜用樹脂を構成する重合体を形成
する単量体成分合計を100重量%としたとき、0.2
〜10重量%である。すなわち、分散用樹脂を構成する
重合体は、顔料に対して親和性を有し、かつ、強いラジ
カル安定化作用を有するものである。このような重合体
を用いて顔料を分散すると、顔料と重合体が親和して顔
料粒子の周囲に重合体が存在することになり、顔料粒子
の周囲に強いラジカル安定化作用を及ぼすことができる
ことになる。また、成膜用樹脂を構成する重合体は、塗
料組成物に各種の基本性能を付与し、かつ、弱いラジカ
ル安定化作用を有するものである。このような重合体に
より、塗料組成物の乾燥性や、塗膜の硬度、光沢、肉持
ち性、耐溶剤性、耐ガソリン性等の性能を向上すること
が可能となる。
【0016】上記のように性質の異なる重合体を組み合
わせることにより、分散用樹脂と成膜用樹脂との作用が
発揮されると共に、強いラジカル安定化作用を及ぼすこ
とができる分散用樹脂を顔料粒子の周囲に存在させるこ
とによって、効率的にラジカル安定化作用を発揮させる
ことが可能となり、紫外線による顔料の光触媒活性に起
因して発生するラジカルによると考えられる樹脂の劣化
を、このような効率的なラジカル安定化作用によって抑
制して塗膜の耐候性を向上させることが可能となる。ま
た、このように効率的にラジカル安定化作用を発揮させ
ることができることにより、紫外線安定性基を有する重
合性不飽和単量体の共重合割合を、上記のように0.2
〜10重量%として、高価な紫外線安定性基を有する重
合性不飽和単量体の使用を抑制し、塗料組成物を低コス
ト化することが可能となる。尚、ラジカル安定化作用と
は、例えば、紫外線による顔料の光触媒活性に伴って発
生するラジカルを捕捉する作用や、樹脂の劣化に伴って
発生するラジカルを捕捉する作用等を意味する。また、
耐候性とは、塗膜を屋外に曝露したときの耐久性を意味
し、例えば、光沢保持性、耐変色性、耐水性等により評
価することができる。
【0017】上記重合体を形成する紫外線安定性基を有
する重合性不飽和単量体の共重合割合が、上記のように
5倍以上多くない場合には、効率的にラジカル安定化作
用を発揮させることができなくなる。好ましくは、7倍
以上であり、より好ましくは、10倍以上である。ま
た、上記のように0.2〜10重量%でない場合には、
例えば、0.2重量%未満であると、ラジカル安定化作
用が充分に発揮されないことになり、10重量%を超え
ると、耐水性等の物性の低下や、高価な紫外線安定性基
を有する重合性不飽和単量体の使用を抑制して塗料組成
物を低コスト化することができなくなる。好ましくは、
0.2〜8重量%であり、より好ましくは、0.5〜5
重量%である。
【0018】上記紫外線安定性基を有する重合性不飽和
単量体の共重合割合はまた、上記分散用樹脂を構成する
重合体を形成する単量体成分を100重量%としたと
き、10〜30重量%であり、上記成膜用樹脂を構成す
る重合体を形成する単量体成分を100重量%としたと
き、0.1〜5重量%であることが好ましい。これによ
り、より効率的にラジカル安定化作用を発揮させること
ができ、本発明の作用効果をより確実かつ充分に発揮さ
せることが可能となる。より好ましくは、分散用樹脂の
方が10〜25重量%であり、成膜用樹脂の方が0.2
〜3.0重量%である。
【0019】上記紫外線安定性基を有する重合性不飽和
単量体は、ラジカル安定化作用を有する紫外線安定性基
を分子内に少なくとも1つ有する重合性不飽和単量体で
ある。上記紫外線安定性基を有する重合性不飽和単量体
を共重合することにより、紫外線安定性基が分散用樹脂
を構成する重合体及び成膜用樹脂を構成する重合体の骨
格に結合されることから、塗膜が曝露されたときに紫外
線安定性基を有する成分が塗膜中からブリードアウトす
ることが抑制されることとなる。そのため、本発明の塗
料組成物から形成される塗膜において、紫外線安定性基
が奏する作用を持続して発揮させることができることと
なるため、上記重合体が有する耐候性を向上させる作用
がより充分なものとなる。
【0020】上記紫外線安定性基を有する重合性不飽和
単量体としては特に限定されず、例えば、立体障害を受
けた窒素原子を有するピペリジニル基の構造を有する重
合性不飽和単量体であることが好ましい。このような立
体障害を受けた窒素原子を有するピペリジニル基として
は、例えば、当該窒素原子が少なくとも2つの第4級炭
素原子と結合したピペリジニル基であることが好まし
い。
【0021】上記立体障害を受けた窒素原子を有するピ
ペリジニル基の構造を有する重合性不飽和単量体として
は、例えば、ピペリジン誘導体である下記一般式(1)
で表される重合性不飽和単量体等を好適に用いることが
できる。
【0022】
【化1】
【0023】式中、R1 は、水素原子又はシアノ基を表
す。R2 及びR3 は、同一若しくは異なって、水素原子
又は炭素数1若しくは2の炭化水素基を表す。X1 は、
酸素原子又はイミノ基を表す。Y1 は、水素原子、炭素
数1〜18の炭化水素基、又は、−CO−CR4 =CH
5 を表す。R4 及びR5 は、同一若しくは異なって、
水素原子又は炭素数1若しくは2の炭化水素基を表す。
【0024】上記炭素数1又は2の炭化水素基としては
特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基等が挙げ
られる。また、上記炭素数1〜18の炭化水素基として
は特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−
プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチ
ル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデ
シル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、
ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オ
クタデシル基等が挙げられる。
【0025】上記一般式(1)で表される重合性不飽和
単量体の具体的な化学名としては、例えば、4−(メ
タ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)ア
クリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチル
ピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,
2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ
−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−
テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロト
ノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロ
イルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メ
タ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオ
キシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙
げられる。
【0026】上記分散用樹脂を構成する重合体及び上記
成膜用樹脂を構成する重合体を形成するその他の重合性
不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、シクロ
アルキル構造を有する重合性不飽和単量体、酸性基を有
する重合性不飽和単量体、水酸基を有する重合性不飽和
単量体、紫外線吸収性基を有する重合性不飽和単量体等
や、これら以外の重合性不飽和単量体が挙げられる。こ
れらの中でも、耐候性の向上の点から、シクロアルキル
構造を有する重合性不飽和単量体を用いることが特に好
ましく、更にシクロヘキシル構造を有する重合性不飽和
単量体を用いることが好ましい。紫外線吸収性基を有す
る重合性不飽和単量体を用いることも好ましい。また、
重合体に酸価を付与する点から、酸性基を有する重合性
不飽和単量体を用いることが好ましく、架橋剤との架橋
点を付与する点から、水酸基を有する重合性不飽和単量
体を用いることが好ましい。従って、単量体成分におい
て、紫外線安定性基を有する重合性不飽和単量体を含有
することは必須であり、また、シクロアルキル構造を有
する重合性不飽和単量体を含有することが特に好まし
く、酸性基を有する重合性不飽和単量体、水酸基を有す
る重合性不飽和単量体、紫外線吸収性基を有する重合性
不飽和単量体を含有することが好ましいが、これら以外
の重合性不飽和単量体は必要に応じて含有されることに
なる。尚、本発明においては、紫外線安定性基を有する
重合性不飽和単量体がシクロアルキル構造、酸性基、水
酸基、紫外線吸収性基、これら以外の官能基や構造を有
してもよく、紫外線安定性基を有する重合性不飽和単量
体の他の重合性不飽和単量体が2種以上の官能基や構
造、上記以外の官能基や構造を有してもよい。上記官能
基や構造を有する重合性不飽和単量体の使用量は、分散
用樹脂を構成する重合体及び成膜用樹脂を構成する重合
体を形成する単量体成分合計を100重量%としたと
き、その中に含有される該官能基や構造を有する重合性
不飽和単量体の含有量で示されることになる。この場
合、上記官能基や構造を有する重合性不飽和単量体は、
分散用樹脂を構成する重合体及び成膜用樹脂を構成する
重合体を形成する単量体成分のいずれか又は両方に含有
されることになるが、本発明の作用効果を充分に発揮さ
せるためには、両方の重合体を形成する単量体成分に含
有されることが好ましい。
【0027】上記シクロアルキル構造を有する重合性不
飽和単量体は、シクロアルキル構造を分子内に少なくと
も1つ有する重合性不飽和単量体である。このような重
合性不飽和単量体は、シクロアルキル構造を分子の主鎖
や側鎖中及び末端のいずれの部位に有していてもよい。
このような重合性不飽和単量体により重合体中に導入さ
れるシクロアルキル構造は、紫外線による顔料の光触媒
活性に起因すると考えられる樹脂の劣化を抑制して塗膜
の耐候性を向上させることができるものである。また、
塗膜の硬度、光沢、変色、肉持感、耐溶剤性等の性能を
向上させることができるとともに、耐紫外線性、撥水
性、耐水性等の性能を向上させることができるものであ
る。
【0028】上記シクロアルキル構造を有する重合性不
飽和単量体としては特に限定されず、例えば、下記一般
式(2)で表される重合性不飽和単量体であることが好
ましい。
【0029】
【化2】
【0030】式中、R6 は、水素原子又は炭素数1若し
くは2の炭化水素基を表す。Zは、置換基を有してもよ
い炭素数1〜36のシクロアルキル構造を表す。上記置
換基を有してもよいシクロアルキル構造における置換基
としては特に限定されず、例えば、炭素数1〜18の炭
化水素基等が挙げられる。上記炭素数1又は2の炭化水
素基、及び、炭素数1〜18の炭化水素基としては、上
述したものと同様のもの等が挙げられる。
【0031】上記置換基を有してもよいシクロアルキル
構造におけるシクロアルキル構造としては特に限定され
ず、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シク
ロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、
シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル
基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテ
トラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデ
シル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基
等が挙げられる。
【0032】上記一般式(2)で表される重合性不飽和
単量体の具体的な化学名としては、例えば、シクロヘキ
シル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル
(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリ
レート等が挙げられる。
【0033】上記シクロアルキル構造を有する重合性不
飽和単量体の共重合割合としては特に限定されず、例え
ば、分散用樹脂を構成する重合体及び成膜用樹脂を構成
する重合体を形成する単量体成分合計を100重量%と
したとき、その中に、シクロアルキル構造を有する重合
性不飽和単量体を5.0〜89.9重量%含むことが好
ましい。5.0重量%未満であると、シクロアルキル構
造が有する作用が充分に発揮されないおそれがあり、8
9.9重量%を超えると、シクロアルキル構造を有する
重合性不飽和単量体が共重合されることにより有するこ
とになる作用と、それ以外の重合性不飽和単量体が共重
合されることにより有することになる作用とのバランス
が悪くなるおそれがある。より好ましくは、5.0〜8
0.0重量%であり、更に好ましくは、10.0〜7
0.0重量%である。
【0034】上記酸性基を有する重合性不飽和単量体
は、酸性基を分子内に少なくとも1つ有する重合性不飽
和単量体である。このような重合性不飽和単量体により
重合体中に導入される酸性基は、重合体と顔料との親和
性を向上させることができるものである。
【0035】上記酸性基を有する重合性不飽和単量体と
しては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、
クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸
等のカルボキシル基を有する重合性不飽和単量体;ビニ
ルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メ
タ)アクリレート等のスルホン酸基を有する重合性不飽
和単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシ
ッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプ
ロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイ
ルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、
2−メタクリロイルオキシエチルフェニルリン酸等の酸
性リン酸エステル系重合性不飽和単量体等が挙げられ
る。これらの中でも、カルボキシル基を有する重合性不
飽和単量体やスルホン酸基を有する重合性不飽和単量体
を好適に用いることができる。
【0036】本発明においては、分散用樹脂を構成する
重合体は、酸価が2〜50mgKOH/gである。2m
gKOH/g未満であると、分散用樹脂の顔料への親和
性が低下し、50mgKOH/gを超えると、耐水性の
低下に起因して耐候性が低下する。好ましくは、2〜3
0mgKOH/gであり、より好ましくは、3〜20m
gKOH/gである。
【0037】上記分散用樹脂を構成する重合体の酸価を
上記範囲に調整する方法としては特に限定されず、例え
ば、酸性基を有する重合性不飽和単量体を用いて重合体
に酸性基を導入して調整する方法や、重合体に官能基を
導入して該官能基と反応性を有する官能基と酸性基とを
有する化合物を反応させることにより酸性基を導入して
調整する方法等が挙げられるが、酸性基を有する重合性
不飽和単量体を用いて重合体に酸性基を導入して調整す
る方法を用いることが簡易であり好ましい。
【0038】上記水酸基を有する重合性不飽和単量体
は、水酸基を分子内に少なくとも1つ有する重合性不飽
和単量体である。このような重合性不飽和単量体により
重合体中に導入される水酸基は、重合体を架橋剤により
架橋させることができるものである。
【0039】上記水酸基を有する重合性不飽和単量体と
しては特に限定されず、例えば、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、
カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート、
フタル酸とプロピレングリコールとから得られるポリエ
ステルジオールのモノ(メタ)アクリレート等が挙げら
れる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用し
てもよい。上記カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)
アクリレートとしては、例えば、プラクセルFM(商品
名、ダイセル化学工業社製)等が挙げられる。
【0040】上記水酸基を有する重合性不飽和単量体の
共重合割合としては特に限定されず、例えば、分散用樹
脂を構成する重合体及び成膜用樹脂を構成する重合体を
形成する単量体成分合計を100重量%としたとき、そ
の中に、水酸基を有する重合性不飽和単量体を2.0〜
35.0重量%含むことが好ましい。2.0重量%未満
であると、上記重合体を架橋剤により充分に架橋させる
ことができなくなるおそれがあり、35.0重量%を超
えると、硬化した塗膜中に水酸基が残存するおそれがあ
ることから、塗膜の耐候性が低下するおそれがある。よ
り好ましくは、5.0〜30.0重量%である。
【0041】上記紫外線吸収性基を有する重合性不飽和
単量体は、紫外線吸収性基を分子内に少なくとも1つ有
する重合性不飽和単量体である。このような重合性不飽
和単量体重合性不飽和単量体により重合体中に導入され
る紫外線吸収性基は、300〜400nm程度の光の波
長領域における紫外線を吸収する作用を有するものであ
る。これにより、紫外線による顔料の光触媒活性を抑制
することができるとともに、紫外線による樹脂の劣化を
抑制することができる。尚、紫外線を吸収する作用とし
ては、例えば、紫外線を熱エネルギーに変換して放出す
る作用等が挙げられる。
【0042】上記紫外線吸収性基を有する重合性不飽和
単量体としては特に限定されず、例えば、ベンゾトリア
ゾール系の構造を有する重合性不飽和単量体であること
が好ましい。ベンゾトリアゾール系の構造とは、ベンゾ
トリアゾールの構造における2位の窒素原子にフェノー
ルの構造が結合したものである。
【0043】上記ベンゾトリアゾール系の構造を有する
重合性不飽和単量体としては、例えば、ベンゾトリアゾ
ール誘導体である下記一般式(3)で表される重合性不
飽和単量体等を好適に用いることができる。
【0044】
【化3】
【0045】式中、R7 は、水素原子又は炭素数1〜8
の炭化水素基を表す。R8 は、水素原子又はメチル基を
表す。X2 は、炭素数1〜6の直鎖状若しくは枝分かれ
鎖状のアルキレン基、又は、−O−R9 −を表す。R9
は、炭素数2若しくは3の直鎖状又は枝分かれ鎖状のア
ルキレン基を表す。Y2 は、水素原子、ハロゲン原子、
炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜4のアルコキシ
ル基、シアノ基又はニトロ基を表す。
【0046】上記炭素数1〜8の炭化水素基としては、
例えば、上述した炭素数1〜18の炭化水素基の中から
炭素数1〜8のもの等が挙げられる。また、上記炭素数
1〜6の直鎖状又は枝分かれ鎖状のアルキレン基として
は特に限定されず、例えば、メチレン基、エチレン基、
プロピレン基、1−メチル−エチレン基、ブチレン基、
1−メチル−プロピレン基、2−メチル−プロピレン
基、アミレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。更に、
上記炭素数2若しくは3の直鎖状又は枝分かれ鎖状のア
ルキレン基としては特に限定されず、例えば、上述した
炭素数1〜6の直鎖状又は枝分かれ鎖状のアルキレン基
の中から炭素数2又は3のもの等が挙げられる。
【0047】上記ハロゲン原子としては特に限定され
ず、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ
る。また、上記炭素数1〜4のアルコキシル基としては
特に限定されず、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プ
ロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
【0048】上記一般式(3)で表される重合性不飽和
単量体の具体的な化学名としては、例えば、以下に記載
するもの等が挙げられる。2−{2′−ヒドロキシ−
5′−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕フェニ
ル}−2H−ベンゾトリアゾール、2−{2′−ヒドロ
キシ−5′−〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕フ
ェニル}−2H−ベンゾトリアゾール、2−{2′−ヒ
ドロキシ−5′−〔(メタ)アクリロイルオキシプロピ
ル〕フェニル}−2H−ベンゾトリアゾール、2−
{2′−ヒドロキシ−5′−〔(メタ)アクリロイルオ
キシヘキシル〕フェニル}−2H−ベンゾトリアゾー
ル、2−{2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′
−〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕フェニル}−
2H−ベンゾトリアゾール、2−{2′−ヒドロキシ−
5′−t−ブチル−3′−〔(メタ)アクリロイルオキ
シエチル〕フェニル}−2H−ベンゾトリアゾール、2
−{2′−ヒドロキシ−5′−〔(メタ)アクリロイル
オキシエチル〕フェニル}−5−クロロ−2H−ベンゾ
トリアゾール。
【0049】2−{2′−ヒドロキシ−5′−〔(メ
タ)アクリロイルオキシエチル〕フェニル}−5−メト
キシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−{2′−ヒドロ
キシ−5′−〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕フ
ェニル}−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2
−{2′−ヒドロキシ−5′−〔(メタ)アクリロイル
オキシエチル〕フェニル}−5−t−ブチル−2H−ベ
ンゾトリアゾール、2−{2′−ヒドロキシ−5′−
〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕フェニル}−5
−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−{2′−ヒ
ドロキシ−5′−〔β−(メタ)アクリロイルオキシエ
トキシ〕−3′−t−ブチルフェニル}−4−t−ブチ
ル−2H−ベンゾトリアゾール。
【0050】上記紫外線吸収性基を有する重合性不飽和
単量体の共重合割合としては特に限定されず、例えば、
分散用樹脂を構成する重合体及び成膜用樹脂を構成する
重合体を形成する単量体成分合計を100重量%とした
とき、その中に、紫外線吸収性基を有する重合性不飽和
単量体を30.0重量%以下含むことが好ましい。3
0.0重量%を超えると、塗膜の光沢、肉持感、耐水
性、耐溶剤性等の性能が低下するおそれがある。より好
ましくは、2〜10重量%である。
【0051】上記分散用樹脂を構成する重合体及び上記
成膜用樹脂を構成する重合体において、紫外線安定性基
を有する重合性不飽和単量体、及び、必要に応じて、シ
クロアルキル構造を有する重合性不飽和単量体や紫外線
吸収性基を有する重合性不飽和単量体を共重合すること
により、紫外線安定性基、及び、必要に応じて、シクロ
アルキル構造や紫外線吸収性基が重合体骨格に結合され
ることになることから、これらの基の作用を相乗的に塗
膜中で発揮できることになる。これにより、顔料、特に
無機顔料の光触媒活性に起因すると考えられる樹脂の劣
化を抑制して極めて高度な耐候性を有する塗膜を形成さ
せる作用を発揮する塗料組成物を低コストで得ることが
できることになる。
【0052】上記紫外線吸収性基を有する重合性不飽和
単量体を共重合する場合に、紫外線安定性基を有する重
合性不飽和単量体と紫外線吸収性基を有する重合性不飽
和単量体との組合せとしては、例えば、両者の相乗作用
が充分なものとなることから、紫外線安定性基を有する
重合性不飽和単量体におけるY1 が、水素原子、炭素数
1〜18の炭化水素基であるものと、紫外線吸収性基を
有する重合性不飽和単量体とを組み合わせることが好ま
しい。より好ましくは、紫外線安定性基を有する重合性
不飽和単量体におけるY1 が、水素原子、炭素数1〜1
8の炭化水素基であるものと、紫外線吸収性基を有する
重合性不飽和単量体におけるX2 が、炭素数1〜6の直
鎖状又は枝分かれ鎖状のアルキレン基であるものとを組
み合わせることである。
【0053】上記以外の重合性不飽和単量体を必要に応
じて共重合することにより、上述した各重合性不飽和単
量体の共重合割合を調整することができる。このような
重合性不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、
以下に記載するもの等が挙げられる。メチル(メタ)ア
クリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル
(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレ
ート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メ
タ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレ
ート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウ
リル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリ
レート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソデ
シル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリ
レート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオク
チル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレ
ート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−(アセ
トアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート等の(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル;グリシジル(メタ)
アクリレート等のエポキシ基を有する重合性不飽和単量
体;(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニル
イミダゾール、N−メチロール(メタ)アクリルアミ
ド、N,N′−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、N,N′−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アク
リレート、N−イソプロピル(メタ)アクリレート、N
−(n−ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N
−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキ
シメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリド
ン等の窒素原子を有する重合性不飽和単量体;塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、パーフロロオクチルエチル(メ
タ)アクリレート等のハロゲン原子を有する重合性不飽
和単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトル
エン等の芳香族系重合性不飽和単量体;酢酸ビニル等の
ビニルエステル;ビニルエーテル;(メタ)アクリロニ
トリル等の不飽和シアン化合物;ビニルトリクロルシラ
ン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリ
メチルシロキシエチル(メタ)アクリレート等のケイ素
原子を有する重合性不飽和単量体。
【0054】上記重合性不飽和単量体の共重合割合とし
ては特に限定されず、例えば、分散用樹脂を構成する重
合体及び成膜用樹脂を構成する重合体を形成する単量体
成分合計を100重量%としたとき、その中に、上記重
合性不飽和単量体を0〜89.9重量%含むことが好ま
しい。89.9重量%を超えると、紫外線安定性基を有
する重合性不飽和単量体等を共重合することによる作用
が発揮されないおそれがある。
【0055】上記重合性不飽和単量体は、紫外線安定性
基、シクロアルキル構造、酸性基、水酸基及び紫外線吸
収性基からなる群より選択される少なくとも2種の基を
有する重合性不飽和単量体を含んでもよい。このような
重合性不飽和単量体を含む場合には、該重合性不飽和単
量体の共重合割合を、該当する官能基や構造を有する重
合性不飽和単量体の共重合割合に含めるものとする。例
えば、重合性不飽和単量体がこれらのすべての基を有す
る重合性不飽和単量体を含む場合には、これらのすべて
の基を有する重合性不飽和単量体の共重合割合を、紫外
線安定性基を有する重合性不飽和単量体、シクロアルキ
ル構造を有する重合性不飽和単量体、酸性基を有する重
合性不飽和単量体、水酸基を有する重合性不飽和単量体
及び紫外線吸収性基を有する重合性不飽和単量体のそれ
ぞれの共重合割合に含めることになる。
【0056】上記分散用樹脂を構成する重合体及び上記
成膜用樹脂を構成する重合体を形成する単量体成分は、
それぞれアクリル系重合性不飽和単量体を50重量%以
上含むものであることが好ましい。50重量%以上であ
ることにより、上記重合体の耐候性が向上することとな
る。より好ましくは、80重量%以上である。尚、アク
リル系重合性不飽和単量体とは、(メタ)アクリロイル
基を有する重合性不飽和単量体を意味する。
【0057】上記重合性不飽和単量体の共重合方法とし
ては特に限定されず、例えば、通常の溶液重合法、懸濁
重合法等により、重合条件を適宜設定して行えばよい。
また、重合開始剤、重合禁止剤、還元剤等の添加剤、溶
媒の有無や使用量等も適宜設定して行えばよい。
【0058】上記分散用樹脂を構成する重合体及び上記
成膜用樹脂を構成する重合体の数平均分子量としては特
に限定されず、例えば、2000〜100000である
ことが好ましい。2000未満であると、塗膜の性能が
低下するおそれがあり、100000を超えると、塗料
組成物の粘度が高くなり過ぎて取り扱いにくくなるおそ
れがある。より好ましくは、3000〜30000であ
る。
【0059】本発明の塗料組成物を構成する顔料分散ペ
ーストは、必要に応じて、溶剤、添加剤等を含んでもよ
いものであるが、これらの使用量や、溶解及び分散方法
としては特に限定されず、例えば、通常、塗料組成物用
等の顔料分散ペーストに用いられる使用量や、溶解及び
分散方法とすればよい。また、分散後における顔料の粒
度も塗料組成物が用いられる用途により適宜設定すれば
よく、特に限定されるものではない。
【0060】本発明の塗料組成物は、白色塗料組成物又
は様々な原色により調色された塗料組成物として用いる
ことができるものであり、インク組成物や、染色、顔料
捺染等の繊維処理剤等にも用いることができるものであ
る。このような塗料組成物は、上記顔料分散ペースト
に、成膜用樹脂、必要に応じて、溶剤、添加剤等を含有
させることにより得ることができる。例えば、分散用樹
脂及び成膜用樹脂を合わせた樹脂不揮発分と顔料との重
量比が、樹脂不揮発分/顔料=20/80〜95/5、
好ましくは30/70〜70/30となるように混合し
て得ることが好ましい。また、分散用樹脂不揮発分と希
釈用樹脂不揮発分とが、分散用樹脂不揮発分/希釈用樹
脂不揮発分=10/90〜90/10、好ましくは20
/80〜70/30、より好ましくは25/75〜60
/40となるようにして得ることが好ましく、これらの
樹脂を相溶性、耐候性の点で、アクリル樹脂とすること
が好ましい。
【0061】上記塗料組成物において、顔料と、分散用
樹脂及び成膜用樹脂の合計不揮発分の含有量としては、
塗料組成物を100重量%とした場合、顔料が10〜6
0重量%、分散用樹脂及び成膜用樹脂の合計不揮発分が
10〜70重量%であることが好ましい。顔料が10重
量%未満であると、隠蔽性がでないおそれがあり、60
重量%を超えると、耐候性低下、初期光沢低下し、もろ
い塗膜になるおそれがある。上記と逆で、分散用樹脂及
び成膜用樹脂の合計不揮発分が10重量%未満である
と、耐候性低下、初期光沢低下、塗膜形成低下し、もろ
い塗膜になるおそれがあり、70重量%を超えると、作
業性が低下するおそれがある。より好ましくは、顔料が
15〜50重量%、分散用樹脂及び成膜用樹脂の合計不
揮発分が15〜60重量%である。また、顔料と、分散
用樹脂及び成膜用樹脂の合計不揮発分との合計含有量と
しては、塗料組成物を100重量%とした場合、30〜
90重量%であることが好ましい。より好ましくは、4
0〜80重量%である。
【0062】上記塗料組成物において、溶剤や添加剤等
の配合や、溶解及び分散方法としては、適用される用途
により適宜設定すればよく特に限定されるものではな
い。また、本発明の奏する効果が損なわれることがない
限り、分散用樹脂や成膜用樹脂として、例えば、エポキ
シ樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、ポ
リエーテル樹脂、アルキッド樹脂等を含んでもよい。
【0063】本発明の塗料組成物は、溶剤系や水系、無
溶剤系等の形態が特に限定されるものではないが、溶剤
系であることが好ましい。上記溶剤としては特に限定さ
れず、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
系溶媒;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水
素系溶媒;酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテー
ト、2−エトキシエチルアセテート等のエステル系溶
媒;アセテート、メチルイソブチルケトン等のケトン系
溶媒;ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;脂肪族
炭化水素を主成分とする種々の沸点範囲の石油留分等が
挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を
併用してもよい。尚、塗料組成物において、常温硬化の
イソシアネート架橋を行う場合には、アルコール系溶媒
とイソシアネートとが反応するため、アルコール系溶媒
を用いないことが好ましい。
【0064】上記添加剤としては特に限定されず、例え
ば、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、充填
剤、レベリング剤、増粘剤、可塑剤、安定剤、顔料分散
剤等が挙げられる。また、水系塗料組成物として用いる
場合には、界面活性剤等の分散助剤、凍結防止剤、防腐
剤、防かび剤等を用いることができる。これらは単独で
用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0065】上記塗料組成物は、更に、架橋剤を含むこ
とにより、塗料組成物に含有される重合体を架橋するこ
とができ、極めて高度な耐候性を有する塗膜を形成する
ことができることになる。このような架橋剤としては特
に限定されず、例えば、(ブロック)イソシアネート化
合物;メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂等のア
ミノ樹脂;オキサゾリン樹脂;ポリアミン樹脂;カルボ
ジイミド化合物;キレート化剤;ポリシロキサン化合
物;カルボキシル基を2つ以上有する化合物;エポキシ
樹脂等を用いることができる。これらは単独で用いても
よく、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、
(ブロック)イソシアネート化合物及びアミノ樹脂から
なる群より選択される少なくとも1種であることが好ま
しい。より好ましくは、(ブロック)イソシアネート化
合物及びメラミン樹脂からなる群より選択される少なく
とも1種である。
【0066】上記架橋剤を用いる場合には、分散用樹脂
及び成膜用樹脂が架橋剤と反応する官能基を有すること
が好ましい。例えば、(ブロック)イソシアネート化合
物、アミノ樹脂等を架橋剤として用いる場合には、分散
用樹脂を構成する重合体及び成膜用樹脂を構成する重合
体が水酸基を有することが好ましい。
【0067】上記(ブロック)イソシアネート化合物と
は、イソシアネート化合物及び/又はブロックイソシア
ネート化合物を意味する。上記イソシアネート化合物と
しては、イソシアネート基を分子内に少なくとも1つ、
好ましくは2つ以上有する化合物であれば特に限定され
ず、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,6−
ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシア
ネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロ
ンジイソシアネート等のジイソシアネート;これらのジ
イソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、
ビュウレット体、イソシアヌレート体等のアダクトポリ
イソシアネート等のポリイソシアネートやその誘導体
(変性物)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0068】上記ブロックイソシアネート化合物とは、
塗料組成物を加熱乾燥するときに架橋させ、かつ、常温
での貯蔵安定性を向上させるために、通常、イソシアネ
ート化合物のイソシアネート基をブロック化剤でブロッ
クしたものである。上記ブロック化剤としては特に限定
されず、例えば、ε−カプロラクタム、フェノール、ク
レゾール、オキシム、アルコール等の化合物等が挙げら
れる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用し
てもよい。
【0069】上記(ブロック)イソシアネート化合物の
使用量としては特に限定されず、例えば、分散用樹脂を
構成する重合体及び成膜用樹脂を構成する重合体の合計
水酸基1モルに対して、(ブロック)イソシアネート化
合物におけるイソシアネート基が0.3〜2.0モルと
なるようにすることが好ましい。0.3モル未満である
と、塗料組成物の硬化性が充分でなくなり、塗膜の硬度
や耐溶剤性等の性能が低下するおそれがあり、2.0モ
ルを超えると、未反応のイソシアネート基が塗膜中に多
く残存して塗膜の耐水性等の性能が低下するおそれがあ
る。より好ましくは、0.7〜1.4モルである。
【0070】上記アミノ樹脂としては特に限定されず、
例えば、メラミンやグアナミン等のアミノ基を有する化
合物とホルムアルデヒドとの付加縮合物等が挙げられ
る。このようなアミノ樹脂としては、例えば、メチルエ
ーテル化メラミン樹脂、ブチルエーテル化メラミン樹脂
等のメラミン樹脂;ブチルエーテル化ベンゾグアナミン
樹脂、ブチルエーテル化シクロヘキシルベンゾグアナミ
ン樹脂等のグアナミン樹脂等が挙げられる。これらは単
独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これら
は市販されているものもあり、例えば、サイメル30
3、サイメル325(いずれも商品名、三井サイテック
社製)等を使用することができる。
【0071】上記アミノ樹脂の使用量としては、例え
ば、分散用樹脂を構成する重合体及び成膜用樹脂を構成
する重合体の合計100重量部に対して、10〜100
重量部となるようにすることが好ましい。10重量部未
満であると、塗料組成物の硬化性が充分でなくなるおそ
れがあり、100重量部を超えると、未反応のアミノ樹
脂が塗膜中に多く残存して塗膜の耐水性等の性能が低下
するおそれがある。
【0072】上記塗料組成物は、更に必要に応じて、重
合体の架橋反応を促進させるために、硬化触媒を含んで
もよい。このような硬化触媒としては特に限定されず、
例えば、パラトルエンスルホン酸、ジブチレンジラウレ
ート、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジラウリル酸ジ−
n−ブチルスズ等の有機スズ化合物;第3級アミン等が
挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を
併用してもよい。
【0073】本発明の塗料組成物は、金属、コンクリー
ト、モルタル、プラスチック、ゴム、木材、ガラス等の
基材に対して上塗り、下塗り塗料組成物等として塗布
し、常温硬化、加熱硬化等により5〜60μm程度の膜
厚の耐候性に優れた塗膜を形成させることができること
から、建築物、プラント、タンク、橋梁等の構築物や、
自動車、船舶、産業機器、金属建材、無機建材等の各種
工業製品等に好適に用いることができるものである。
【0074】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。尚、「部」は、「重量部」を示す。
【0075】実施例1〔ラッカータイプ(非架橋系)〕顔料分散用樹脂(A−1)製造例 攪拌機、温度計、冷却機、窒素ガス導入管のついた4つ
ロフラスコに、窒素ガス気流下、キシレン122部を仕
込み85℃に昇温した中に、4−メタクリロイルオキシ
−1、2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン12
部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート0.5部、メ
チルメタクリレート42部、n−ブチルアクリレート1
0部、n−ブチルメタクリレート35部、メタクリル酸
0.5部及びベンゾイルパーオキサイド0.4部からな
る重合体単量体成分を2時間かけて滴下し、更に90℃
で4時間保持して、不揮発分44.6%の顔料分散用樹
脂(A―1)を得た。
【0076】白色ペースト(B−1)製造例 分散用樹脂(A−1)を用いて、白色顔料「タイペーク
CR−95」(石原産業社製、酸化チタン)を樹脂不揮
発分/顔料=1/4(重量比)になるように配合し、更
にキシレン/酢酸ブチル=1/1(重量比)のシンナー
(以下、単に「シンナー」という)で顔料分散ペースト
の不揮発分が75%になるようにシンナーで希釈し、サ
ンドミルにて1時間混錬し、白色ペーストとして顔料分
散ペースト(B−1)を得た。
【0077】希釈用樹脂(C−1)製造例 攪拌機、温度計、冷却機、窒素ガス導入管のついた4つ
ロフラスコに、窒素ガス気流下、キシレン122部を仕
込み85℃に昇温した中に、4−メタクリロイルオキシ
−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン0.5
部、メチルメタクリレート25部、シクロヘキシルメタ
クリレート40.0部、n−ブチルアクリレート29
部、n−ブチルメタクリレート5部、メタクリル酸0.
5部及びベンゾイルパーオキサイド0.2部からなる重
合体単量体成分を2時間かけて滴下し、更に90℃で4
時間保持して、不揮発分44.2%、数平均分子量16
000の希釈用樹脂(C−1)を得た。
【0078】塗料(D−1)製造例 顔料分散ペースト(B−1)に、重量比で樹脂不揮発分
/顔料=60/40となるように希釈用樹脂(C−1)
を添加し、更にシンナーを加えて、不揮発分50%の白
エナメル塗料(D−1)を得た。また、最終塗料配合表
(重量比)、分散用樹脂、希釈用樹脂中に占める紫外線
安定基を有する重合性不飽和単量体(HALS)割合、
全重合体中に占めるHALSモノマー及びCHMAモノ
マー(シクロアルキル構造を有する重合性不飽和単量
体)含有量を表2に示す。
【0079】塗装及び評価 得られた白エナメルをシンナーで適度なスプレー粘度に
希釈し、リン酸亜鉛処理鋼板に乾燥膜厚で約30ミクロ
ンになるようにスプレー塗装し、室温で10日間乾燥を
行い、塗膜の性能を評価した。その結果を表3に示す。
【0080】実施例2〜3及び比較例1〜2 実施例1の顔料分散用樹脂(A−1)において使用した
重合性単量体、溶剤、重合開始剤及び重合反応時の温度
を表1に示した通りにする以外は、実施例1と同様の操
作を繰り返して、白エナメル塗料を得た(実施例2:D
−2、実施例3:D−3、比較例1:d−1、比較例
2:d−2)。また、最終塗料配合表(重量比)、分散
用樹脂、希釈用樹脂中に占める紫外線安定基を有する重
合性不飽和単量体(HALS)割合、全重合体中に占め
るHALSモノマー及びCHMAモノマー含有量を表2
に示す。また、得られた白エナメルをシンナーで適度な
スプレー粘度に希釈し、同様にリン酸亜鉛処理鋼板に乾
燥膜厚で約30ミクロンになるようにスプレー塗装し、
室温で10日間乾燥を行い、塗膜の性能を評価した。そ
の結果を表3に示す。
【0081】比較例3 比較例1の希釈用樹脂で用いたCHMAをMMAにした
以外は、比較例1と同様の操作を繰り返して、白エナメ
ル塗料(d−3)を得た。また、最終塗料配合表(重量
比)、分散用樹脂、希釈用樹脂中に占める紫外線安定基
を有する重合性不飽和単量体(HALS)割合、全重合
体中に占めるHALSモノマー及びCHMAモノマー含
有量を表2に示す。また、得られた白エナメルをシンナ
ーで適度なスプレー粘度に希釈し、リン酸亜鉛処理鋼板
に乾燥膜厚で約30ミクロンになるようにスプレー塗装
し、室温で10日間乾燥を行い、塗膜の性能を評価し
た。その結果を表3に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】表3の説明を下記する。 初期光沢:JIS K 5400に準拠して、VZ−2
000(商品名、日本電色社製)を用いて、光源の入射
角を60°として光沢値を測定した。 塗料安定性:塗料を試験管に入れ、50℃で10日間保
管し、塗料の分離、沈殿物凝集物の有無を確認した。 〔塗料安定性の評価基準〕 初期と同じ状態:○、一部沈殿し、上澄み液が透明部分
がある:△、凝集物があり、再攪拌を行っても再分散し
ない:× 耐水性:50℃、相対湿度95%で1000時間処理を
行い、表面状態を目視で評価した。 〔耐水性の評価基準〕 初期と同じ状態:○、一部膨れが認められる:△、著し
い光沢低下が認められる:× 耐候性(S−WOM):JIS K 5400に準拠し
て、サンシャインウエザオメーターにて2500時間曝
露した後の60°の光沢保持率で評価した。 耐候性(沖縄曝露):JIS K 5400に準拠し
て、沖縄における屋外曝露(南面、水平面から30度傾
斜)にて1年間曝露した後の60°の光沢保持率で評価
した。
【0086】実施例4〔アクリルポリオールタイプ(架
橋系)〕顔料分散用樹脂(A−4)製造例 攪拌機、温度計、冷却機、窒素ガス導入管のついた4つ
ロフラスコに、窒素ガス気流下、キシレン33部、酢酸
n−ブチル33部を仕込み、130℃に昇温した中に、
4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペン
タメチルピペリジン12部、シクロヘキシルメタクリレ
ート20部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート19
部、メチルメタクリレート25部、n−ブチルアクリレ
ート21部、メタクリル酸3部及びアゾビスイソブチロ
ニトリル3.0部からなる重合体単量体成分を3時間か
けて滴下し、更に135℃(沸点)で3時間保持して、
不揮発分59.2%の顔料分散用樹脂(A−4)を得
た。
【0087】白色ペースト(B−4)製造例 得られた分散用樹脂(A−4)を用いて、白色顔料「タ
イペークCR−95」(石原産業社製、酸化チタン)を
樹脂不揮発分/顔料=1/4(重量比)になるように配
合をし、更にシンナーで顔料分散ペーストの不揮発分が
75%になるように希釈し、サンドミルにて1時間混錬
し、白色ペーストとして顔料分散ペースト(B−4)を
得た。
【0088】希釈用樹脂(C−4)製造例 攪拌機、温度計、冷却器、窒素ガス導入管のついた4つ
ロフラスコに、窒素ガス気流下、キシレン33部、酢酸
n−ブチル33部を仕込み、130℃に昇温した中に、
4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペン
タメチルピペリジン0.5部、シクロヘキシルメタクリ
レート34.7部、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト19.0部、メチルメタクリレート20部、n−ブチ
ルアクリレート25部、メタクリル酸0.8部及びアゾ
ビスイソブチロニトリル3.0部からなる重合体単量体
成分を3時間かけて滴下し、更に135℃(沸点)で3
時間保持して、不揮発分59.2%の希釈用樹脂(C−
4)を得た。
【0089】塗料(D−4)製造例及び評価 顔料分散ペースト(B−4)を、最終顔料濃度(PW
C)が、40%{顔料/(樹脂不揮発分+硬化剤不揮発
分+顔料)×100=PWC(%)}となるように希釈
用樹脂(C−4)及び硬化剤を配合し、白エナメル塗料
を得た。硬化剤は、ブロックイソシアネート硬化剤「ス
ミジュールBL3175」(住友バイエルウレタン社
製、不揮発分75%)を用いた。但し、硬化剤配合量
は、NCO/OH=1/1の当量になるように配合し
た。得られた白エナメルをシンナーで適度なスプレー粘
度に希釈し、更に硬化触媒として、「ジブチル錫ジラウ
レート」を1000ppm/不揮発分を加え、リン酸亜
鉛処理鋼板に乾燥膜厚で約30ミクロンになるようにス
プレー塗装し、170℃で30分、加熱乾燥を行い、塗
膜の性能を評価した。その結果を表5に示す。
【0090】実施例5及び比較例4〜5 製造例4において使用した重合性単量体、溶剤、重合開
始剤及び重合反応時の温度を表4に示した通りにする以
外は、製造例4と同様の操作を繰り返して、顔料分散用
樹脂を得た(実施例5:A−5、比較例4:a−4、比
較例5:a−5)。更に、実施例4と同様な操作を繰り
返し、白エナメル塗料(実施例5:D−5、比較例4:
d−4、比較例5:d−5)を得、同様な評価を行っ
た。その結果を表5に示す。
【0091】実施例6〔メラミン架橋タイプ〕 実施例5の分散用樹脂(A−5)を用いて作製した顔料
分散ペースト(B−5)を、硬化剤としてメラミン樹脂
(サイメル303、三井サイテック社製、不揮発分10
0%)を用いてPWCが40%になるように希釈用樹脂
(C−5)及び硬化剤を配合した。但し、硬化剤配合量
は、硬化剤不揮発分/樹脂不揮発分=25/75となる
ように配合し、硬化触媒としてパラトルエンスルホン酸
を5000ppm/塗料不揮発分を加えた。得られた白
エナメルをシンナーで適度なスプレー粘度に希釈し、リ
ン酸亜鉛処理鋼板に乾燥膜厚で約30ミクロンになるよ
うにスプレー塗装し、170℃で30分、加熱乾燥を行
い、塗膜の性能を評価した。その結果を表5に示す。
【0092】
【表4】
【0093】
【表5】
【0094】表5の説明を下記する。 初期光沢:JIS K 5400に準拠して、VZ−2
000(商品名、日本電色社製)を用いて、光源の入射
角を60°として光沢値を測定した。 塗料安定性:塗料を試験管に入れ、50℃で10日間保
管し、塗料の分離、沈殿物凝集物の有無を確認した。 〔塗料安定性の評価基準〕 初期と同じ状態:○、一部沈殿し、上澄み液が透明部分
がある:△、凝集物があり、再攪拌を行っても再分散し
ない:× 耐水性:50℃、相対湿度95%で1000時間処理を
行い、表面状態を目視で評価した。 〔耐水性の評価基準〕 初期と同じ状態:○、一部膨れが認められる:△、著し
い光沢低下が認められる:× 耐候性(S−WOM):JIS K 5400に準拠し
て、サンシャインウエザオメーターにて2500時間曝
露した後の60°の光沢保持率で評価した。 耐候性(沖縄曝露):JIS K 5400に準拠し
て、沖縄における屋外曝露(南面、水平面から30度傾
斜)にて1年間曝露した後の60°の光沢保持率で評価
した。
【0095】表3及び表5に示す様に、優れた耐候性、
耐水性を有し、かつ、より低HALS(紫外線安定性基
を有する重合性不飽和単量体)含有量で物性が向上する
ことにり、低コスト化することができた。
【0096】
【発明の効果】本発明の塗料組成物は、上述の構成より
なるので、耐水性、耐湿性、凍害性、耐蝕性等の水の影
響を受ける塗膜性能に優れ、また、耐水後、耐湿後の硬
度、加工性、密着性に優れるうえ、耐候性にも優れ、し
かも、低コスト化することができ、溶剤系等の各種の形
態の白色塗料組成物又は様々な原色により調色された塗
料組成物等として、建築物、自動車、船舶、産業機器、
各種工業製品等の各種の用途に用いることができるもの
である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J038 CC021 CC022 CD021 CD022 CE051 CE052 CF021 CF022 CG141 CG142 CG171 CG172 CH031 CH032 CH041 CH042 CH071 CH072 CH081 CH082 CH171 CH172 CH201 CH202 CK021 CK022 CL001 CL002 DA161 DA162 DG221 DG222 DG261 DG262 DG301 DG302 DL111 DL112 DL121 DL122 GA03 GA06 GA08 GA13 HA166 JA02 JA03 JA19 JA33 JA55 JB02 JC13 JC41 KA06 KA08 MA14 NA03 NA04 NA11 NA27 PA18 PA19 PB05 PB06 PB07 PC02 PC03 PC04 PC06 PC07 PC08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顔料及び分散用樹脂を必須とする顔料分
    散ペーストと、成膜用樹脂とを含む塗料組成物であっ
    て、該分散用樹脂及び該成膜用樹脂は、紫外線安定性基
    を有する重合性不飽和単量体を必須とする単量体成分を
    共重合してなる重合体を含み、該重合体を形成する紫外
    線安定性基を有する重合性不飽和単量体の共重合割合
    は、該分散用樹脂を構成する重合体の方が該成膜用樹脂
    を構成する重合体よりも5倍以上多く、かつ、該分散用
    樹脂を構成する重合体及び該成膜用樹脂を構成する重合
    体を形成する単量体成分合計を100重量%としたと
    き、0.2〜10重量%であり、該分散用樹脂を構成す
    る重合体は、酸価が2〜50mgKOH/gであること
    を特徴とする塗料組成物。
  2. 【請求項2】 前記紫外線安定性基を有する重合性不飽
    和単量体の共重合割合は、前記分散用樹脂を構成する重
    合体を形成する単量体成分を100重量%としたとき、
    10〜30重量%であり、前記成膜用樹脂を構成する重
    合体を形成する単量体成分を100重量%としたとき、
    0.1〜5重量%であることを特徴とする請求項1記載
    の塗料組成物。
  3. 【請求項3】 前記分散用樹脂を構成する重合体及び前
    記成膜用樹脂を構成する重合体を形成する単量体成分合
    計を100重量%としたとき、その中に、シクロアルキ
    ル構造を有する重合性不飽和単量体を5.0〜89.9
    重量%含むことを特徴とする請求項1又は2記載の塗料
    組成物。
  4. 【請求項4】 更に、硬化剤を含み、該硬化剤は、(ブ
    ロック)ポリイソシアネート化合物及びアミノ樹脂から
    なる群より選択される少なくとも1種であることを特徴
    とする請求項1、2又は3記載の塗料組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010100742A (ja) * 2008-10-24 2010-05-06 Shin-Etsu Chemical Co Ltd プライマー組成物及び被覆物品
JP2013040247A (ja) * 2011-08-12 2013-02-28 Kansai Paint Co Ltd 弱溶剤系塗料用顔料分散樹脂

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JP2010100742A (ja) * 2008-10-24 2010-05-06 Shin-Etsu Chemical Co Ltd プライマー組成物及び被覆物品
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