JP2002121465A - 塗料用樹脂組成物 - Google Patents

塗料用樹脂組成物

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JP2002121465A
JP2002121465A JP2000313353A JP2000313353A JP2002121465A JP 2002121465 A JP2002121465 A JP 2002121465A JP 2000313353 A JP2000313353 A JP 2000313353A JP 2000313353 A JP2000313353 A JP 2000313353A JP 2002121465 A JP2002121465 A JP 2002121465A
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acrylic polymer
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polymerizable unsaturated
unsaturated monomer
resin composition
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JP2000313353A
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English (en)
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Hironobu Akutagawa
寛信 芥川
雅也 ▲吉▼田
Masaya Yoshida
Yoshiyuki Yokota
善行 横田
Osamu Ogura
修 小倉
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 乾燥性や、塗膜の硬度、光沢、肉持ち性、耐
溶剤性、耐ガソリン性、耐候性等の性能に優れ、しか
も、カーボンブラック等の顔料分散性が優れて調色安定
性が向上する塗料組成物を構成することができる塗料用
樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 アクリル系重合体(A)及びアクリル系
重合体(B)を必須とする互いに組成の異なる2種以上
のアクリル系重合体を含む塗料用樹脂組成物であって、
該アクリル系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)
のうち少なくとも1つが紫外線安定性基を有する重合性
不飽和単量体を含む単量体成分により形成されてなり、
該アクリル系重合体(A)の数平均分子量は、該アクリ
ル系重合体(B)の数平均分子量よりも大きく、該アク
リル系重合体(A)は、塩基性基を必須として有し、該
アクリル系重合体(B)が塩基性基を有するときには、
当該アクリル系重合体(A)が有する塩基性基の塩基性
度が該アクリル系重合体(B)が有する塩基性基の塩基
性度よりも高い塗料用樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗料用樹脂組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】塗料用樹脂組成物は、通常、塗料組成物
用の他、インク組成物用や、染色、顔料捺染等の繊維処
理用等に広く用いられている。例えば、塗料用樹脂組成
物と顔料等が混練されて構成される塗料組成物は、各種
の基材に対して塗装されて保護機能や美装機能等を与え
ることができることから、上塗り、下塗り塗料組成物等
として、建築物、プラント、タンク、橋梁等の構築物
や、自動車、船舶、産業機器、各種工業製品等の用途に
広く用いられている。このような塗料組成物等は、性能
を向上して高品質化したり、メンテナンスコストを低減
したりするために、塗膜を屋外に曝露した際の耐候性が
優れていることが要求されている。
【0003】このような塗料用樹脂組成物の中でも、ヒ
ンダードアミン系等の紫外線安定性基を有する重合体を
含むものは、紫外線安定性基が紫外線等の影響により樹
脂から生じるラジカルを捕捉することによって樹脂の劣
化を抑制して安定化する作用がある。また、このような
紫外線安定性基が樹脂骨格に結合されているため、塗膜
が曝露されたときに塗膜中からブリードアウトすること
が抑制されて樹脂の劣化を抑制して安定化する作用が持
続することから、耐候性等の性能が優れたものとなり、
耐候性の向上や高品質化が要求されている用途に広く用
いられている。
【0004】ところで、塗料用樹脂組成物では、性能を
向上して高品質化するために、顔料分散性を向上させる
ことも重要である。顔料分散性を向上させると、コーテ
ィング適正、貯蔵安定性や、塗膜の光沢、着色力、平滑
性等を向上したり、混合顔料系での色分かれを防止した
りすることができることが知られている。しかしなが
ら、ヒンダードアミン系等の紫外線安定性基を有する重
合体を含む塗料用樹脂組成物では、耐候性等の性能は優
れているが、より高品質化するために、カーボンブラッ
ク等の顔料分散性を工夫する余地があった。そこで、顔
料分散性を向上させるアニオン性化合物等の湿潤分散剤
等の添加剤を用いて顔料を分散することも試みられた
が、性能を向上して高品質化するのに充分なものとなら
なかった。従って、ヒンダードアミン系等の紫外線安定
性基を有する重合体を含む塗料用樹脂組成物において、
カーボンブラック等の顔料分散性を向上させることによ
り性能を更に向上させ高品質化することが切望されてい
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑みてなされたものであり、乾燥性や、塗膜の硬度、光
沢、肉持ち性、耐溶剤性、耐ガソリン性、耐候性等の性
能に優れ、しかも、カーボンブラック等の顔料分散性が
優れて調色安定性が向上する塗料組成物等を構成するこ
とができる塗料用樹脂組成物を提供することを目的とす
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、アクリル系重
合体(A)及びアクリル系重合体(B)を必須とする互
いに組成の異なる2種以上のアクリル系重合体を含む塗
料用樹脂組成物であって、上記アクリル系重合体(A)
及びアクリル系重合体(B)のうち少なくとも1つが紫
外線安定性基を有する重合性不飽和単量体を含む単量体
成分により形成されてなり、上記アクリル系重合体
(A)の数平均分子量は、上記アクリル系重合体(B)
の数平均分子量よりも大きく、上記アクリル系重合体
(A)は、塩基性基を必須として有し、上記アクリル系
重合体(B)が塩基性基を有するときには、当該アクリ
ル系重合体(A)が有する塩基性基の塩基性度が該アク
リル系重合体(B)が有する塩基性基の塩基性度よりも
高い塗料用樹脂組成物である。
【0007】本発明者らは、ヒンダードアミン系等の紫
外線安定性基を有する重合体を含む塗料用樹脂組成物に
ついての問題点を綿密に精査したうえで鋭意研究を行っ
た結果、上述した塗料用樹脂組成物が、塗料組成物の乾
燥性や、塗膜の硬度、光沢、肉持ち性、耐溶剤性、耐ガ
ソリン性、耐候性等の性能に優れ、しかも、顔料分散性
が優れて混合顔料系での色分かれを防止して調色安定性
を向上したり、耐候性における耐変色性を向上したりす
るという劇的な効果が生じる事実に遭遇し、本発明に到
達したものである。以下に、本発明を詳述する。
【0008】本発明の塗料用樹脂組成物は、互いに組成
の異なる2種以上のアクリル系重合体の混合物を含む。
本発明では、このような2種以上のアクリル系重合体の
混合物中に、紫外線安定性基を有するアクリル系重合体
が含まれることになるが、本発明の好ましい実施形態の
1つとしては、上記混合物中で紫外線安定性基を最も多
く有するアクリル系重合体よりも数平均分子量の大きい
アクリル系重合体が紫外線安定性基よりも塩基性度の高
い塩基性基を有することになる。すなわち紫外線安定性
基を有するアクリル系重合体と共に、紫外線安定性基を
最も多く有するアクリル系重合体よりも数平均分子量が
大きく、かつ紫外線安定性基よりも塩基性度の高い塩基
性基を有するアクリル系重合体も含まれることになる。
【0009】本発明の好ましい実施形態における塗料用
樹脂組成物では、紫外線安定性基を最も多く有するアク
リル系重合体よりも数平均分子量が大きく、かつ紫外線
安定性基よりも塩基性度の高い塩基性基を有するアクリ
ル系重合体が塩基性度の高い塩基性基を有することによ
り、カーボンブラック等の粒子表面が酸性である顔料と
親和性が高く、また、数平均分子量が大きいことによ
り、顔料に吸着したアクリル系重合体が顔料から脱離し
にくくなるため、顔料を分散しやすく、分散安定性も良
好となる。このようなアクリル系重合体がカーボンブラ
ック等の顔料と親和性が高く、かつ、分散しやすくする
作用を有するものであることから、顔料分散性を付与
し、混合顔料系での色分かれを防止して調色安定性を向
上させることができる。また、紫外線安定性基を有する
アクリル系重合体の数平均分子量が小さいことにより、
該アクリル系重合体を塗料用樹脂組成物に含有される重
合体の主成分として、塗料用樹脂組成物が取り扱いやす
い粘度となると共に、該アクリル系重合体が有する乾燥
性や、塗膜の硬度、光沢、肉持ち性、耐溶剤性、耐ガソ
リン性、耐候性等の性能を主成分として充分に発揮させ
ることができる。
【0010】一方、塗料用樹脂組成物における重合体を
紫外線安定性基を有するアクリル系重合体のみにより構
成すると、顔料分散性が充分とはならず、また、アニオ
ン性化合物等の湿潤分散剤を用いて顔料を分散しても、
湿潤分散剤の作用が充分に発揮されず、高品質化のため
には顔料分散性が充分ではない。湿潤分散剤の作用が充
分に発揮されない理由は、湿潤分散剤よりも紫外線安定
性基を有するアクリル系重合体の方が顔料と親和性が強
いことに起因して該アクリル系重合体が湿潤分散剤の作
用を阻害するためと考えられる。
【0011】本発明の好ましい実施形態では、紫外線安
定性基を有するアクリル系重合体が上記の作用を充分に
発揮しつつ紫外線安定性基を最も多く有するアクリル系
重合体よりも数平均分子量が大きく、かつ紫外線安定性
基よりも塩基性度の高い塩基性基を有するアクリル系重
合体の顔料分散作用を阻害することがないため、顔料分
散性を向上して高品質化することができることになる。
すなわち、これらのアクリル系重合体の相乗的な作用に
より、それぞれのアクリル系重合体が有する作用を充分
に発揮したり、耐候性における耐変色性を向上したりす
るという本発明の効果が発揮されることになる。耐候性
とは、塗膜を屋外に曝露したときの耐久性を意味し、例
えば、光沢保持性、耐変色性、耐水性等により評価する
ことができる。尚、紫外線安定性基を最も多く有するア
クリル系重合体とは、紫外線安定性基を有するアクリル
系重合体が1種の場合には当該アクリル系重合体を意味
し、紫外線安定性基を有するアクリル系重合体が2種以
上の場合にはアクリル系重合体を形成する単量体成分中
の紫外線安定性基を有する重合性不飽和単量体の含有量
(モル%)が最も多いアクリル系重合体を意味する。
【0012】本発明の塗料用樹脂組成物は、上述した好
ましい実施形態における塗料用樹脂組成物と同様な作用
により効果を発揮することになり、上記紫外線安定性基
を最も多く有するアクリル系重合体よりも数平均分子量
が大きく、かつ紫外線安定性基よりも塩基性度の高い塩
基性基を有するアクリル系重合体は、後述する塗料用樹
脂組成物におけるアクリル系重合体(A)に対応し、上
記紫外線安定性基を有するアクリル系重合体は、後述す
る塗料用樹脂組成物におけるアクリル系重合体(B)に
対応し、当該アクリル系重合体(A)とアクリル系重合
体(B)の好ましい形態の1つが上述したアクリル系重
合体となる。
【0013】次に、アクリル系重合体(A)及びアクリ
ル系重合体(B)を必須とする互いに組成の異なる2種
以上のアクリル系重合体を含む本発明の塗料用樹脂組成
物について説明する。上記のアクリル系重合体(A)及
びアクリル系重合体(B)を含む形態は、本発明の作用
効果を奏する限り、特に限定されるものではない。例え
ば、(1)アクリル系重合体(A)及びアクリル系重合
体(B)の両方がそれぞれ1種のアクリル系重合体から
なる場合、(2)アクリル系重合体(A)及びアクリル
系重合体(B)のいずれか一方又は双方が2種以上のア
クリル系重合体からなる場合等が挙げられる。(1)の
場合では、2種のアクリル系重合体を含むことにより本
発明の塗料用樹脂組成物を得ることとなり、(2)の場
合では、3種以上のアクリル系重合体を含むことにより
本発明の塗料用樹脂組成物を得ることとなる。尚、後述
するアクリル系重合体の共重合方法において、重合容器
に滴下する単量体成分の組成を変えていく共重合方法で
ある、いわゆるパワーフィード等によりアクリル系重合
体(A)及びアクリル系重合体(B)の混合物を製造す
ることもできる。この場合、例えば、1度の共重合によ
りアクリル系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)
の混合物を製造することができる。
【0014】上記アクリル系重合体(A)と上記アクリ
ル系重合体(B)との重量比率としては特に限定され
ず、例えば、2/98〜20/80であることが好まし
い。2/98よりアクリル系重合体(A)が少ないと、
顔料の分散性が低下するおそれがあり、20/80より
アクリル系重合体(A)が多いと、塗料用樹脂組成物に
おける主成分であるアクリル系重合体(B)が有する作
用が充分に発揮できないおそれがある。より好ましく
は、5/95〜20/80であり、更に好ましくは、5
/95〜15/85である。
【0015】上記アクリル系重合体は、アクリル系単量
体を主成分とする単量体成分を重合してなると共に、上
記アクリル系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)
のうち少なくとも1つが紫外線安定性基を有する重合性
不飽和単量体を含む単量体成分により形成されてなり、
上記アクリル系重合体(A)の数平均分子量は、上記ア
クリル系重合体(B)の数平均分子量よりも大きく、上
記アクリル系重合体(A)は、塩基性基を必須として有
し、上記アクリル系重合体(B)が塩基性基を有すると
きには、当該アクリル系重合体(A)が有する塩基性基
の塩基性度が該アクリル系重合体(B)が有する塩基性
基の塩基性度よりも高い。
【0016】このようなアクリル系重合体(A)とアク
リル系重合体(B)との組合せとしては、例えば、
(1)(B)が紫外線安定基を有し、(A)がより高塩
基性度を示す官能基を有する場合、(2)(B)が紫外
線安定基を有し、(A)が紫外線安定基とより高塩基性
度を示す官能基を有する場合、(3)(B)が紫外線安
定基を有しないで他の塩基性度を示す官能基を有し、
(A)が紫外線安定基とより高塩基性度を示す官能基を
有する場合、(4)(B)が紫外線安定基を有しないで
他の塩基性度を示す官能基も有しないか又は(B)が紫
外線安定基を有しないで紫外線安定基よりも低い塩基性
度を示す官能基を有し、(A)が紫外線安定基のみを塩
基性官能基として有する場合等が挙げられる。好ましく
は、(1)、(2)、(3)の場合であり、更に好まし
くは、(1)、(2)の場合である。(1)、(2)の
場合の中に、前述した本発明の塗料用樹脂組成物の形態
が含まれることになる。尚、(1)、(2)の組み合わ
せでは、(B)を形成する紫外線安定性基を有する重合
性不飽和単量体をpKbが5〜6程度のものとし、該紫
外線安定性基を有する重合性不飽和単量体の(B)を形
成する単量体成分中における重量割合を0.1〜10.
0重量%とすることが好ましい。
【0017】上記アクリル系重合体は、アクリル系単量
体を主成分とする単量体成分を重合してなる。また、塩
基性基を有する重合性不飽和単量体を含む単量体成分を
重合してアクリル系重合体を形成することにより、アク
リル系重合体に塩基性基を導入することができる。上記
塩基性基を有する重合性不飽和単量体は、塩基性基を分
子内に少なくとも1つ有する重合性不飽和単量体であ
る。このような重合性不飽和単量体により重合体中に導
入される塩基性基は、アクリル系重合体と顔料との親和
性を向上させることができるものである。
【0018】上記塩基性基を有する重合性不飽和単量体
としては特に限定されず、例えば、紫外線安定性基を有
する重合性不飽和単量体の他、ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル
(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メ
タ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メ
タ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、アリル
アミン、アミノスチレン、ビニルカルバゾール、ビニル
ピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等が
挙げられる。本発明においては、アクリル系重合体
(B)が、pKbが5〜6程度の紫外線安定性基を有す
る重合性不飽和単量体を含む単量体成分より形成される
ときには、アクリル系重合体(A)が、pKbが5以下
を示す塩基性基を有する重合性不飽和単量体を含む単量
体成分より形成されることが必須である。このようなp
Kbが5以下を示す塩基性基を有する重合性不飽和単量
体としては、例えば、ジメチルアミノプロピル(メタ)
アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
ルアミド、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミ
ドが挙げられる。これらの中でも、より好ましくは、ジ
メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドである。
これらの塩基性基を有する重合性不飽和単量体のpKb
の具体的な数値としては、例えば、pKbの値6以上が
アクリロイル基にエステル結合したジアルキルアミノア
ルキル基を有する重合性不飽和単量体であり、pKbの
値5〜6がピペリジニル基を有する重合性不飽和単量体
であり、pKbの値5以下がアミド結合したジアルキル
アミノアルキル基を有する重合性不飽和単量体であり、
より具体的には、紫外線安定性基を有する重合性不飽和
単量体のpKbの値が5.5前後、ジメチルアミノエチ
ルアクリレートのpKbの値が7.90、ジメチルアミ
ノエチルメタクリレートのpKbの値が7.94、ジメ
チルアミノプロピルアクリルアミドのpKbの値が3.
65、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドのpK
bの値が4.56であることが分かっている。
【0019】上記塩基性度の測定は、塩基解離定数(p
Kb)により行うことができる。塩基性度が高いとは、
塩基解離定数(pKb)が小さいことを意味する。塩基
解離定数(pKb)測定法は、下記の方法による。塩基
性基を有する重合性不飽和単量体を水(水溶性がない場
合は、アルコールを添加)に溶解し、この溶液を3N
HCl水溶液で滴定する。これで得られたpH滴定曲線
に基づいたグラフ法により、pKb値を算出する。
【0020】上記塩基性基を有する重合性不飽和単量体
の重量割合としては特に限定されず、例えば、アクリル
系重合体を形成する単量体成分全量中、0.1〜10.
0重量%とすることが好ましい。0.1重量%未満であ
ると、塩基性基が有する作用が充分に発揮されないおそ
れがあり、10.0重量%を超えると、塗料用樹脂組成
物の保存安定性が低下するおそれがある。より好ましく
は、0.5〜5.0重量%である。
【0021】上記塩基性基を有する重合性不飽和単量体
の重量割合としてはまた、アクリル系重合体(A)が充
分に性能を発揮するようにする観点から、アクリル系重
合体(A)を形成する単量体成分全量中、5.0〜3
0.0重量%とすることが好ましい。より好ましくは、
5.0〜25.0重量%である。
【0022】上記アクリル系重合体の数平均分子量の測
定は、通常、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)に
より行うことができる。上記アクリル系重合体(A)の
数平均分子量は、15000以上で100000以下で
あり、上記アクリル系重合体(B)の数平均分子量が該
アクリル系重合体(A)よりも少なくとも5000以上
小さいことが好ましい。これにより、顔料の分散作用と
塗料用樹脂組成物の性能が充分に発揮されることにな
る。アクリル系重合体(A)の数平均分子量が1500
0未満であると、顔料の分散性が低下するおそれがあ
り、100000を超えると、アクリル系重合体(A)
の粘度が高くなり過ぎて顔料の分散性が低下するおそれ
があり、また、取り扱い性が低下するおそれがある。ア
クリル系重合体(A)の数平均分子量としては、より好
ましくは、20000以上で70000以下である。
【0023】上記アクリル系重合体(B)の数平均分子
量としては、例えば、1000以上で10000以下で
あることが好ましい。これにより、塗料用樹脂組成物の
性能が充分に発揮されることになる。1000未満であ
っても10000を超えても、塗料用樹脂組成物の性能
と取り扱い性とのバランスを損なうおそれがある。より
好ましくは、2000以上で9000以下である。
【0024】上記アクリル系重合体の酸価としては特に
限定されず、例えば、3〜30mgKOH/gであるこ
とが好ましい。これにより、アクリル系重合体と顔料と
の親和性を向上させて顔料の分散性をより向上させるこ
とができることになる。3mgKOH/g未満である
と、顔料の分散性が低下するおそれがあり、30mgK
OH/gを超えると、塗料用樹脂組成物の粘度が高くな
り過ぎたり塗料用樹脂組成物から形成される塗膜の耐水
性等が低下するおそれがある。より好ましくは、4〜2
5mgKOH/gである。
【0025】上記アクリル系重合体の酸価を上記範囲に
調整する方法としては特に限定されず、例えば、酸性基
を有する重合性不飽和単量体を用いてアクリル系重合体
(A)及び/又はアクリル系重合体(B)に酸性基を導
入して調整する方法や、アクリル系重合体(A)及び/
又はアクリル系重合体(B)に官能基を導入して該官能
基と反応性を有する官能基と酸性基とを有する化合物を
反応させることにより酸性基を導入して調整する方法等
が挙げられるが、酸性基を有する重合性不飽和単量体を
用いて重合体に酸性基を導入して調整する方法を用いる
ことが簡易であり好ましい。
【0026】上記酸性基を有する重合性不飽和単量体と
しては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、
クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸
等のカルボキシル基を有する重合性不飽和単量体;ビニ
ルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メ
タ)アクリレート等のスルホン酸基を有する重合性不飽
和単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシ
ッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプ
ロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイ
ルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、
2−メタクリロイルオキシエチルフェニルリン酸等の酸
性リン酸エステル系重合性不飽和単量体等が挙げられ
る。これらの中でも、カルボキシル基を有する重合性不
飽和単量体やスルホン酸基を有する重合性不飽和単量体
を好適に用いることができる。
【0027】上記アクリル系重合体(A)及び/又はア
クリル系重合体(B)が上述したように酸価を有する場
合には、上記アクリル系重合体(A)と上記アクリル系
重合体(B)とにおける酸価は、アクリル系重合体
(A)がアクリル系重合体(B)よりも高いことが好ま
しい。これにより、アクリル系重合体(A)がアクリル
系重合体(B)よりも顔料に対する親和性がより強くな
り、アクリル系重合体(A)の顔料の分散作用がより向
上することになり、アクリル系重合体(A)とアクリル
系重合体(B)とが有する作用のバランスが向上するこ
とになる。この場合、アクリル系重合体(A)の酸価が
3〜30mgKOH/gであり、アクリル系重合体
(B)の酸価がアクリル系重合体(A)よりも低くなる
ようにすることが好ましい。
【0028】上記アクリル系重合体は、アクリル系単量
体を主成分とする単量体成分を重合してなると共に、該
アクリル系重合体の1種以上が紫外線安定性基を有する
重合性不飽和単量体を含む単量体成分により形成されて
なる。
【0029】上記紫外線安定性基を有する重合性不飽和
単量体は、ラジカル安定化作用を有する紫外線安定性基
を分子内に少なくとも1つ有する重合性不飽和単量体で
ある。上記紫外線安定性基を有する重合性不飽和単量体
を共重合することにより、紫外線安定性基が重合性不飽
和単量体を共重合してなる重合体の骨格に結合されるこ
とから、塗膜が曝露されたときに紫外線安定性基を有す
る成分が塗膜中からブリードアウトすることが抑制され
ることとなる。そのため、本発明の塗料用樹脂組成物か
ら形成される塗膜において、紫外線安定性基が奏する作
用を持続して発揮させることができることとなるため、
重合性不飽和単量体を共重合してなる重合体が有する耐
候性を向上させる作用がより充分なものとなる。尚、ラ
ジカル安定化作用としては、例えば、紫外線による樹脂
の劣化にともなって生じるラジカルを捕捉することによ
り、更に樹脂の劣化が生じないようにすること等が挙げ
られる。
【0030】上記紫外線安定性基を有する重合性不飽和
単量体としては特に限定されず、例えば、立体障害を受
けた窒素原子を有するピペリジニル基の構造を有する重
合性不飽和単量体であることが好ましい。このような立
体障害を受けた窒素原子を有するピペリジニル基として
は、例えば、当該窒素原子が少なくとも2つの第4級炭
素原子と結合したピペリジニル基であることが好まし
い。
【0031】上記立体障害を受けた窒素原子を有するピ
ペリジニル基の構造を有する重合性不飽和単量体として
は、例えば、ピペリジン誘導体である下記一般式(1)
で表される重合性不飽和単量体等を好適に用いることが
できる。
【0032】
【化1】
【0033】式中、R1 は、水素原子又はシアノ基を表
す。R2 及びR3 は、同一若しくは異なって、水素原子
又は炭素数1若しくは2の炭化水素基を表す。X1 は、
酸素原子又はイミノ基を表す。Y1 は、水素原子、炭素
数1〜18の炭化水素基、又は、−CO−CR4 =CH
5 を表す。R4 及びR5 は、同一若しくは異なって、
水素原子又は炭素数1若しくは2の炭化水素基を表す。
【0034】上記炭素数1又は2の炭化水素基としては
特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基等が挙げ
られる。また、上記炭素数1〜18の炭化水素基として
は特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−
プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチ
ル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデ
シル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、
ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オ
クタデシル基等が挙げられる。
【0035】上記一般式(1)で表される重合性不飽和
単量体の具体的な化学名としては、例えば、4−(メ
タ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)ア
クリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチル
ピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,
2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ
−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−
テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロト
ノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロ
イルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メ
タ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオ
キシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙
げられる。
【0036】上記紫外線安定性基を有する重合性不飽和
単量体の重量割合としては特に限定されず、例えば、ア
クリル系重合体を形成する単量体成分全量中、0.1〜
10重量%であることが好ましい。0.1重量%未満で
あると、ラジカル安定化作用が充分に発揮されないおそ
れがあり、10重量%を超えると、光沢、肉持感、耐溶
剤性等の性能が低下するおそれがある。より好ましく
は、0.2〜8重量%であり、更に好ましくは、0.5
〜6重量%であり、最も好ましくは、0.5〜4重量%
である。
【0037】上記アクリル系重合体を形成するその他の
重合性不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、
シクロアルキル構造を有する重合性不飽和単量体、酸性
基を有する重合性不飽和単量体、塩基性基を有する重合
性不飽和単量体、水酸基を有する重合性不飽和単量体、
紫外線吸収性基を有する重合性不飽和単量体等や、これ
ら以外の重合性不飽和単量体が挙げられる。これらはそ
れぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。これらの中でも、耐候性の向上の点から、シクロア
ルキル構造を有する重合性不飽和単量体を用いることが
特に好ましく、紫外線吸収性基を有する重合性不飽和単
量体を用いることも好ましい。また、重合体に酸価を付
与する点から、酸性基を有する重合性不飽和単量体を用
いることが好ましく、架橋剤との架橋点を付与する点か
ら、水酸基を有する重合性不飽和単量体を用いることが
好ましい。更に、アクリル系重合体(A)に塩基性を付
与する点から、アクリル系重合体(A)を形成する単量
体成分に塩基性基を有する重合性不飽和単量体を用いる
ことは必須である。また、アクリル系重合体(B)が塩
基性基を有する重合性不飽和単量体を含む単量体成分に
より形成される場合には、アクリル系重合体(A)を形
成する塩基性基を有する重合性不飽和単量体のpKb
が、アクリル系重合体(B)を形成する塩基性基を有す
る重合性不飽和単量体のpKbより小さいことも必須で
ある。
【0038】従って、アクリル系重合体(A)及び/又
はアクリル系重合体(B)を形成する単量体成分におい
て、紫外線安定性基を有する重合性不飽和単量体を含有
することは必須であり、更に、アクリル系重合体(B)
が紫外線安定性基を有する場合、アクリル系重合体
(A)を形成する単量体成分において、pKbが5以下
の塩基性基を有する重合性不飽和単量体を含有すること
が必須であり、また、シクロアルキル構造を有する重合
性不飽和単量体を含有することが特に好ましく、酸性基
を有する重合性不飽和単量体、水酸基を有する重合性不
飽和単量体、紫外線吸収性基を有する重合性不飽和単量
体を含有することが好ましい。これら以外の重合性不飽
和単量体は必要に応じて含有されることになる。
【0039】上記シクロアルキル構造を有する重合性不
飽和単量体は、シクロアルキル構造を分子内に少なくと
も1つ有する重合性不飽和単量体である。このような重
合性不飽和単量体は、シクロアルキル構造を分子の主鎖
や側鎖中及び末端のいずれの部位に有していてもよい。
このような重合性不飽和単量体により重合体中に導入さ
れるシクロアルキル構造は、塗膜の硬度、光沢、肉持
感、耐溶剤性等の性能を向上させることができると共
に、耐紫外線性、撥水性、耐水性等の性能を向上させる
ことができるものである。
【0040】上記シクロアルキル構造を有する重合性不
飽和単量体としては特に限定されず、例えば、下記一般
式(2)で表される重合性不飽和単量体であることが好
ましい。
【0041】
【化2】
【0042】式中、R6 は、水素原子又は炭素数1若し
くは2の炭化水素基を表す。Zは、置換基を有してもよ
い炭素数1〜36のシクロアルキル構造を表す。上記置
換基を有してもよいシクロアルキル構造における置換基
としては特に限定されず、例えば、炭素数1〜18の炭
化水素基等が挙げられる。上記炭素数1又は2の炭化水
素基、及び、炭素数1〜18の炭化水素基としては、上
述したものと同様のもの等が挙げられる。
【0043】上記置換基を有してもよいシクロアルキル
構造におけるシクロアルキル構造としては特に限定され
ず、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シク
ロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、
シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル
基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテ
トラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデ
シル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基
等が挙げられる。
【0044】上記一般式(2)で表される重合性不飽和
単量体の具体的な化学名としては、例えば、シクロヘキ
シル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル
(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリ
レート等が挙げられる。
【0045】上記シクロアルキル構造を有する重合性不
飽和単量体の重量割合としては特に限定されず、例え
ば、アクリル系重合体を形成する単量体成分全量中、
5.0〜95.0重量%とすることが好ましい。5.0
重量%未満であると、シクロアルキル構造が有する作用
が充分に発揮されないおそれがあり、95.0重量%を
超えると、シクロアルキル構造を有する重合性不飽和単
量体が共重合されることにより有することになる作用
と、それ以外の重合性不飽和単量体が共重合されること
により有することになる作用とのバランスが悪くなるお
それがある。より好ましくは、5.0〜80.0重量%
であり、更に好ましくは、10.0〜70.0重量%で
ある。
【0046】上記シクロアルキル構造を有する重合性不
飽和単量体の重量割合としてはまた、主成分となるアク
リル系重合体(B)が充分に性能を発揮するようにする
観点から、アクリル系重合体(B)を形成する単量体成
分全量中、5.0〜95.0重量%とすることが好まし
い。より好ましくは、5.0〜80.0重量%であり、
更に好ましくは、10.0〜70.0重量%である。
【0047】上記酸性基を有する重合性不飽和単量体
は、酸性基を分子内に少なくとも1つ有する重合性不飽
和単量体である。このような重合性不飽和単量体により
重合体中に導入される酸性基は、アクリル系重合体と顔
料との親和性を向上させることができるものである。
【0048】上記水酸基を有する重合性不飽和単量体
は、水酸基を分子内に少なくとも1つ有する重合性不飽
和単量体である。このような重合性不飽和単量体により
アクリル系重合体中に導入される水酸基は、アクリル系
重合体を架橋剤により架橋させることができるものであ
る。
【0049】上記水酸基を有する重合性不飽和単量体と
しては特に限定されず、例えば、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、
カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート、
フタル酸とプロピレングリコールとから得られるポリエ
ステルジオールのモノ(メタ)アクリレート等が挙げら
れる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用し
てもよい。上記カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)
アクリレートとしては、例えば、プラクセルFM(商品
名、ダイセル化学工業社製)等が挙げられる。
【0050】上記水酸基を有する重合性不飽和単量体の
重量割合としては特に限定されず、例えば、アクリル系
重合体を形成する単量体成分全量中、2.0〜35.0
重量%とすることが好ましい。2.0重量%未満である
と、アクリル系重合体を架橋剤により充分に架橋させる
ことができなくなるおそれがあり、35.0重量%を超
えると、硬化した塗膜中に水酸基が残存するおそれがあ
ることから、塗膜の耐候性が低下するおそれがある。よ
り好ましくは、3.5〜23.0重量%である。
【0051】上記紫外線吸収性基を有する重合性不飽和
単量体は、紫外線吸収性基を分子内に少なくとも1つ有
する重合性不飽和単量体である。このような重合性不飽
和単量体によりアクリル系重合体中に導入される紫外線
吸収性基は、300〜400nm程度の光の波長領域に
おける紫外線を吸収する作用を有するものである。これ
により、紫外線による樹脂の劣化を抑制することができ
る。尚、紫外線を吸収する作用としては、例えば、紫外
線を熱エネルギーに変換して放出する作用等が挙げられ
る。
【0052】上記紫外線吸収性基を有する重合性不飽和
単量体としては特に限定されず、例えば、ベンゾトリア
ゾール系の構造を有する重合性不飽和単量体であること
が好ましい。ベンゾトリアゾール系の構造とは、ベンゾ
トリアゾールの構造における2位の窒素原子にフェノー
ルの構造が結合したものである。
【0053】上記ベンゾトリアゾール系の構造を有する
重合性不飽和単量体としては、例えば、ベンゾトリアゾ
ール誘導体である下記一般式(3)で表される重合性不
飽和単量体等を好適に用いることができる。
【0054】
【化3】
【0055】式中、R7 は、水素原子又は炭素数1〜8
の炭化水素基を表す。R8 は、水素原子又はメチル基を
表す。X2 は、炭素数1〜6の直鎖状若しくは枝分かれ
鎖状のアルキレン基、又は、−O−R9 −を表す。R9
は、炭素数2若しくは3の直鎖状又は枝分かれ鎖状のア
ルキレン基を表す。Y2 は、水素原子、ハロゲン原子、
炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜4のアルコキシ
ル基、シアノ基又はニトロ基を表す。
【0056】上記炭素数1〜8の炭化水素基としては、
例えば、上述した炭素数1〜18の炭化水素基の中から
炭素数1〜8のもの等が挙げられる。また、上記炭素数
1〜6の直鎖状又は枝分かれ鎖状のアルキレン基として
は特に限定されず、例えば、メチレン基、エチレン基、
プロピレン基、1−メチル−エチレン基、ブチレン基、
1−メチル−プロピレン基、2−メチル−プロピレン
基、アミレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。更に、
上記炭素数2若しくは3の直鎖状又は枝分かれ鎖状のア
ルキレン基としては特に限定されず、例えば、上述した
炭素数1〜6の直鎖状又は枝分かれ鎖状のアルキレン基
の中から炭素数2又は3のもの等が挙げられる。
【0057】上記ハロゲン原子としては特に限定され
ず、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ
る。また、上記炭素数1〜4のアルコキシル基としては
特に限定されず、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プ
ロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
【0058】上記一般式(3)で表される重合性不飽和
単量体の具体的な化学名としては、例えば、以下に記載
するもの等が挙げられる。2−{2′−ヒドロキシ−
5′−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕フェニ
ル}−2H−ベンゾトリアゾール、2−{2′−ヒドロ
キシ−5′−〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕フ
ェニル}−2H−ベンゾトリアゾール、2−{2′−ヒ
ドロキシ−5′−〔(メタ)アクリロイルオキシプロピ
ル〕フェニル}−2H−ベンゾトリアゾール、2−
{2′−ヒドロキシ−5′−〔(メタ)アクリロイルオ
キシヘキシル〕フェニル}−2H−ベンゾトリアゾー
ル、2−{2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′
−〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕フェニル}−
2H−ベンゾトリアゾール、2−{2′−ヒドロキシ−
5′−t−ブチル−3′−〔(メタ)アクリロイルオキ
シエチル〕フェニル}−2H−ベンゾトリアゾール、2
−{2′−ヒドロキシ−5′−〔(メタ)アクリロイル
オキシエチル〕フェニル}−5−クロロ−2H−ベンゾ
トリアゾール。
【0059】2−{2′−ヒドロキシ−5′−〔(メ
タ)アクリロイルオキシエチル〕フェニル}−5−メト
キシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−{2′−ヒドロ
キシ−5′−〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕フ
ェニル}−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2
−{2′−ヒドロキシ−5′−〔(メタ)アクリロイル
オキシエチル〕フェニル}−5−t−ブチル−2H−ベ
ンゾトリアゾール、2−{2′−ヒドロキシ−5′−
〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕フェニル}−5
−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−{2′−ヒ
ドロキシ−5′−〔β−(メタ)アクリロイルオキシエ
トキシ〕−3′−t−ブチルフェニル}−4−t−ブチ
ル−2H−ベンゾトリアゾール。
【0060】上記紫外線吸収性基を有する重合性不飽和
単量体の重量割合としては特に限定されず、例えば、ア
クリル系重合体を形成する単量体成分全量中、0.1〜
30.0重量%とすることが好ましい。0.1重量%未
満であると、紫外線吸収性基の有する作用が充分に発揮
されないおそれがあり、30.0重量%を超えると、塗
膜の光沢、肉持感、耐水性、耐溶剤性等の性能が低下す
るおそれがある。また、塗膜中における紫外線吸収性基
が有する作用を充分なものとするために、塗膜の膜厚が
1〜10μmと薄い場合には、5〜30重量%とするこ
とが好ましい。より好ましくは、10〜30重量%であ
る。更に、塗膜の膜厚が10〜100μmと厚い場合に
は、0.5〜10重量%とすることが好ましい。より好
ましくは、2〜10重量%である。
【0061】上記紫外線吸収性基を有する重合性不飽和
単量体の重量割合としてはまた、主成分となるアクリル
系重合体(B)が充分に性能を発揮するようにする観点
から、アクリル系重合体(B)を形成する単量体成分全
量中、0.1〜30.0重量%とすることが好ましい。
また、塗膜の膜厚が1〜10μmと薄い場合と塗膜の膜
厚が10〜100μmと厚い場合も上記と同様である。
【0062】上記アクリル系重合体(B)が、紫外線安
定性基を有する重合性不飽和単量体、シクロアルキル構
造を有する重合性不飽和単量体や紫外線吸収性基を有す
る重合性不飽和単量体から形成されることにより、紫外
線安定性基、シクロアルキル構造や紫外線吸収性基が重
合体骨格に結合されることになることから、これらの基
の作用を相乗的に発揮して塗膜の耐候性等の性能を向上
することができることになる。また、上記アクリル系重
合体(A)が、酸性基を有する重合性不飽和単量体や塩
基性基を有する重合性不飽和単量体から形成されること
により、酸性基や塩基性基が重合体骨格に結合されるこ
とになることから、これらの基の作用を相乗的に発揮し
て顔料の分散性を向上することができることになる。
【0063】上記紫外線吸収性基を有する重合性不飽和
単量体を共重合する場合に、紫外線安定性基を有する重
合性不飽和単量体と紫外線吸収性基を有する重合性不飽
和単量体との組合せとしては、例えば、両者の相乗作用
が充分なものとなることから、紫外線安定性基を有する
重合性不飽和単量体におけるY1 が、水素原子、炭素数
1〜18の炭化水素基であるものと、紫外線吸収性基を
有する重合性不飽和単量体とを組み合わせることが好ま
しい。より好ましくは、紫外線安定性基を有する重合性
不飽和単量体におけるY1 が、水素原子、炭素数1〜1
8の炭化水素基であるものと、紫外線吸収性基を有する
重合性不飽和単量体におけるX2 が、炭素数1〜6の直
鎖状又は枝分かれ鎖状のアルキレン基であるものとを組
み合わせることである。
【0064】上記以外の重合性不飽和単量体を必要に応
じて共重合することにより、上述した各重合性不飽和単
量体の重量割合を調整することができる。このような重
合性不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、以
下に記載するもの等が挙げられる。メチル(メタ)アク
リレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メ
タ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)
アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレー
ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリ
ル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレ
ート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;グリシ
ジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する重合
性不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド等の窒素原子
を有する重合性不飽和単量体;塩化ビニル、塩化ビニリ
デン等のハロゲン原子を有する重合性不飽和単量体;ス
チレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香
族系重合性不飽和単量体;酢酸ビニル等のビニルエステ
ル;ビニルエーテル;(メタ)アクリロニトリル等の不
飽和シアン化合物。
【0065】上記重合性不飽和単量体の重量割合として
は特に限定されず、例えば、アクリル系重合体を形成す
る単量体成分全量中、0〜92.9重量%であることが
好ましい。92.9重量%を超えると、紫外線安定性基
を有する重合性不飽和単量体等を共重合することによる
作用が発揮されないおそれがある。
【0066】上記アクリル系重合体を形成する重合性不
飽和単量体は、紫外線安定性基、シクロアルキル構造、
酸性基、塩基性基、水酸基及び紫外線吸収性基からなる
群より選択される少なくとも2種の基を有する重合性不
飽和単量体を含んでもよい。このような重合性不飽和単
量体を含む場合には、該重合性不飽和単量体の共重合割
合を、該当する官能基や構造を有する重合性不飽和単量
体の共重合割合に含めるものとする。例えば、重合性不
飽和単量体がこれらのすべての基を有する重合性不飽和
単量体を含む場合には、これらのすべての基を有する重
合性不飽和単量体の共重合割合を、紫外線安定性基を有
する重合性不飽和単量体、シクロアルキル構造を有する
重合性不飽和単量体、酸性基を有する重合性不飽和単量
体、塩基性基を有する重合性不飽和単量体、水酸基を有
する重合性不飽和単量体及び紫外線吸収性基を有する重
合性不飽和単量体のそれぞれの共重合割合に含めること
になる。
【0067】上記アクリル系重合体を形成する単量体成
分は、アクリル系単量体を50重量%以上含むものであ
ることが好ましい。50重量%以上であることにより、
重合性不飽和単量体を共重合してなる重合体の耐候性が
向上することとなる。これにより、アクリル系重合体
が、アクリル系単量体を主成分とする単量体成分を重合
して形成されることになる。より好ましくは、80重量
%以上である。尚、アクリル系単量体とは、(メタ)ア
クリロイル基を有し、かつ、芳香環を有しない重合性不
飽和単量体を意味する。
【0068】上記単量体成分の共重合方法としては特に
限定されず、例えば、通常の溶液重合法、懸濁重合法等
により、重合条件を適宜設定して行えばよい。また、重
合開始剤、重合禁止剤、還元剤等の添加剤、溶媒の有無
や使用量等も適宜設定して行えばよい。
【0069】本発明の塗料用樹脂組成物は、溶剤系や水
系、無溶媒系等の形態が特に限定されるものではない
が、溶剤系であることが好ましい。溶剤系であると、紫
外線安定性基のラジカル安定化作用を充分に発揮させる
ことができることになる。特に好適であるのは、水を含
まない系であり、これにより、ラジカル安定化作用を溶
媒により阻害されることが抑制されることになる。尚、
溶剤系とは、溶媒として有機溶剤を主成分とし、水系と
は、溶媒として水を主成分とするものであることを意味
する。溶媒に水を含まない系とは、溶媒として水を添加
しない系であることを意味する。
【0070】上記塗料用樹脂組成物は、必要に応じて、
溶剤等を含んでもよい。また、本発明の奏する効果が損
なわれることがない限り、例えば、エポキシ樹脂、フッ
素樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテル樹
脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等を含んでもよ
い。これらの使用量や、溶解及び分散方法としては特に
限定されず、例えば、通常、塗料用樹脂組成物に用いら
れる使用量や、溶解及び分散方法とすればよい。
【0071】上記溶剤としては特に限定されず、例え
ば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n
−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテート、2−エ
トキシエチルアセテート等のエステル系溶媒;アセテー
ト、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ブチル
アルコール等のアルコール系溶媒;脂肪族炭化水素を主
成分とする種々の沸点範囲の石油留分等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。尚、塗料組成物において、常温硬化のイソシアネー
ト架橋を行う場合には、アルコール系溶媒とイソシアネ
ートとが反応するため、アルコール系溶媒を用いないこ
とが好ましい。
【0072】上記塗料用樹脂組成物の形成方法として
は、顔料や樹脂組成物等を含んでなる塗料組成物中にア
クリル系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)が含
まれることになるようにすれば特に限定されず、例え
ば、塗料組成物の製造において、アクリル系重合体
(A)の一部又は全部を含む樹脂組成物と顔料とを分散
した後に、アクリル系重合体(A)の残りとアクリル系
重合体(B)とを含む樹脂組成物を混合してもよく、ま
た、アクリル系重合体(A)とアクリル系重合体(B)
とを含む混合物として塗料用樹脂組成物を形成し、これ
の一部又は全部と顔料とを分散した後に、塗料用樹脂組
成物の残りを混合してもよい。これらの場合において、
樹脂組成物は、必要により溶剤等が含有されて攪拌機等
により均一に混合して均一な混合物として調製されるこ
とが好ましい。
【0073】本発明の塗料用樹脂組成物は、塗料組成物
用の他、インク組成物用や、染色、顔料捺染等の繊維処
理用等に広く用いることができるものであり、特に塗料
組成物用として好適に用いることができる。本発明の塗
料用樹脂組成物を含む塗料組成物は、乾燥性や、塗膜の
硬度、光沢、肉持ち性、耐溶剤性、耐ガソリン性、耐候
性等の性能に優れ、しかも、カーボンブラック等の顔料
分散性が優れて調色安定性が向上したものであり、塗料
用樹脂組成物に顔料、添加剤や、上述した溶剤等を更に
必要に応じて含有させることにより得ることができる。
このような塗料組成物は、本発明の好ましい実施形態で
ある。
【0074】上記顔料としては特に限定されず、例え
ば、着色顔料、光輝性顔料、体質顔料等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。上記着色顔料としては、例えば、二酸化チタン(チ
タンホワイト)、鉛白、硫化亜鉛、グラファイト、カー
ボンブラック、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、亜鉛華、モリ
ブデン酸鉛、クロム酸鉛、クロムグリーン、酸化クロ
ム、紺青等の無機系着色顔料;フタロシアニンブルー、
フタロシアニングリーン、キナクリドン、インダンスロ
ン、イソインドリノン、ペリレン、アンスラピリミジ
ン、ベンズイミダゾロン等の有機系着色顔料等が挙げら
れ、上記光輝性顔料としては、例えば、マイカ;アルミ
ニウム箔、ブロンズ箔、錫箔、金箔、銀箔、銅箔、金属
チタン箔、ステンレススチール箔、ニッケル箔、クロム
箔、硫化コバルト、硫化マンガン、硫化チタニウム、こ
れらの金属の合金箔等の金属箔、これらの金属箔をプラ
スチックで被覆してなる被覆物、箔状フタロシアニンブ
ルー等の箔状有機顔料等の金属箔状顔料等が挙げられ、
上記体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸
マグネシウム、硫酸バリウム、珪酸、珪酸塩、アルミニ
ウム水和物、硫酸カルシウム等の無機物等が挙げられ
る。これらの顔料の中でも、本発明においては、顔料の
粒子表面が酸性であるものに好適に適用することができ
る。このような粒子表面が酸性である顔料としては、例
えば、カーボンブラック等が挙げられる。
【0075】上記添加剤としては特に限定されず、例え
ば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤、レベリング
剤、増粘剤、可塑剤、安定剤、顔料分散剤等が挙げられ
る。また、水系塗料組成物として用いる場合には、界面
活性剤等の分散助剤、凍結防止剤、防腐剤、防かび剤等
を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、
2種以上を併用してもよい。
【0076】上記塗料組成物において、配合や、溶解及
び分散(混練)方法としては、適用される用途により適
宜設定すればよく特に限定されるものではない。例え
ば、本発明の塗料用樹脂組成物の一部により顔料を混練
した後に残りの塗料用樹脂組成物等を添加して塗料組成
物を得ることができる。分散後における顔料の粒度は通
常と同様とすればよく、特に限定されるものではない。
また、塗料組成物の形態、すなわち溶剤系や水系、無溶
媒系等の形態も特に限定されるものではないが、溶剤系
であることが好ましい。
【0077】上記塗料組成物は、更に、架橋剤を含むこ
とにより、塗料組成物に含有される重合体を架橋するこ
とができ、極めて高度な耐候性を有する塗膜を形成する
ことができることになる。このような架橋剤としては特
に限定されず、例えば、(ブロック)ポリイソシアネー
ト化合物及びアミノ樹脂からなる群より選択される少な
くとも1種であることが好ましい。
【0078】上記架橋剤を用いる場合には、アクリル系
重合体(A)及び/又はアクリル系重合体(B)が架橋
剤と反応する官能基を有することが好ましい。より好ま
しくは、アクリル系重合体(A)及びアクリル系重合体
(B)が架橋剤と反応する官能基を有することである。
例えば、(ブロック)ポリイソシアネート化合物、アミ
ノ樹脂等を架橋剤として用いる場合には、重合性不飽和
単量体を共重合してなる重合体が水酸基を有することが
好ましい。
【0079】上記(ブロック)ポリイソシアネート化合
物とは、ポリイソシアネート化合物及び/又はブロック
ポリイソシアネート化合物を意味する。上記ポリイソシ
アネート化合物としては、イソシアネート基を分子内に
少なくとも1つ有する化合物であれば特に限定されず、
例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキ
サメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネー
ト、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジ
イソシアネート等のジイソシアネート;これらのジイソ
シアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ビュ
ウレット体、イソシアヌレート体等のアダクトポリイソ
シアネート等のポリイソシアネートの誘導体(変性物)
等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以
上を併用してもよい。
【0080】上記ブロックポリイソシアネート化合物と
は、塗料組成物を加熱乾燥するときに架橋させ、かつ、
常温での貯蔵安定性を向上させるために、通常、ポリイ
ソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック化剤
でブロックしたものである。上記ブロック化剤としては
特に限定されず、例えば、ε−カプロラクタム、フェノ
ール、クレゾール、オキシム、アルコール等の化合物等
が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上
を併用してもよい。
【0081】上記(ブロック)ポリイソシアネート化合
物の使用量としては特に限定されず、例えば、アクリル
系重合体の水酸基1モルに対して、(ブロック)ポリイ
ソシアネート化合物におけるイソシアネート基が0.3
〜2.0モルとなるようにすることが好ましい。0.3
モル未満であると、塗料組成物の硬化性が充分でなくな
り、塗膜の硬度や耐溶剤性等の性能が低下するおそれが
あり、2.0モルを超えると、未反応のイソシアネート
基が塗膜中に多く残存して塗膜の耐水性等の性能が低下
するおそれがある。より好ましくは、0.7〜1.4モ
ルである。
【0082】上記アミノ樹脂としては特に限定されず、
例えば、メラミンやグアナミン等のアミノ基を有する化
合物とホルムアルデヒドとの付加縮合物等が挙げられ
る。このようなアミノ樹脂としては、例えば、メチルエ
ーテル化メラミン樹脂、ブチルエーテル化メラミン樹脂
等のメラミン樹脂;ブチルエーテル化ベンゾグアナミン
樹脂、ブチルエーテル化シクロヘキシルベンゾグアナミ
ン樹脂等のグアナミン樹脂等が挙げられる。これらは単
独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これら
は市販されているものもあり、例えば、サイメル30
3、サイメル325(いずれも商品名、三井サイテック
社製)等を使用することができる。
【0083】上記アミノ樹脂の使用量としては、例え
ば、アクリル系重合体の合計100重量部に対して、1
0〜100重量部となるようにすることが好ましい。1
0重量部未満であると、塗料組成物の硬化性が充分でな
くなるおそれがあり、100重量部を超えると、未反応
のアミノ樹脂が塗膜中に多く残存して塗膜の耐水性等の
性能が低下するおそれがある。
【0084】上記塗料組成物は、更に必要に応じて、重
合体の架橋反応を促進させるために、硬化触媒を含んで
もよい。このような硬化触媒としては特に限定されず、
例えば、パラトルエンスルホン酸、ジブチレンジラウレ
ート、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジラウリル酸ジ−
n−ブチルスズ等の有機スズ化合物;第3級アミン等が
挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を
併用してもよい。
【0085】上記塗料組成物は、金属、コンクリート、
モルタル、プラスチック、ゴム、木材、ガラス等の基材
に対して上塗り、下塗り塗料組成物等として塗布するこ
とにより、乾燥性が優れ、常温硬化、加熱硬化等により
5〜60μm程度の膜厚の塗膜を形成させることができ
るものである。このような塗料組成物は、塗膜の硬度、
光沢、肉持ち性、耐溶剤性、耐ガソリン性、耐候性等の
性能に優れ、しかも、カーボンブラック等の顔料分散性
が優れて調色安定性が向上されていることから、性能が
向上されて高品質化されたものである。従って、このよ
うな塗料組成物は、建築物、プラント、タンク、橋梁等
の構築物や、自動車、船舶、産業機器、各種工業製品等
に好適に用いることができることになる。
【0086】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。なお、「部」は、「重量部」を示す。
【0087】合成例1 攪拌機、温度計、冷却器、窒素ガス導入管のついた4つ
口フラスコに、窒素ガス気流下、キシレン33部及び酢
酸n−ブチル33部を仕込み、135℃に昇温した中
に、4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−
ペンタメチルピペリジン2.0部、シクロヘキシルメタ
クリレート20.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート19.0部、メチルメタクリレート36.2部、
n−ブチルアクリレート22.0部、メタクリル酸0.
8部及び2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリ
ル)3.0部からなる重合性不飽和単量体成分を3時間
かけて滴下し、更に135℃で3時間保持して、不揮発
分59.6%の共重合体溶液を得た。これを共重合体溶
液P−1とした。
【0088】合成例2 合成例1と同様にして表1に示した組成により共重合体
溶液を得た。これを共重合体溶液P−2とした。
【0089】合成例3 攪拌機、温度計、冷却器、窒素ガス導入管のついた4つ
口フラスコに、窒素ガス気流下、キシレン33部及び酢
酸n−ブチル33部を仕込み、85℃に昇温した中に、
4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペン
タメチルピペリジン10.0部、シクロヘキシルメタク
リレート10.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート19.0部、n−ブチルアクリレート60.2部、
メタクリル酸0.8部及び2,2′−アゾビス(2−メ
チルブチロニトリル)0.5部からなる重合性不飽和単
量体成分を3時間かけて滴下し、更に85℃で4時間保
持後、105℃で1.5時間保持した後、キシレン28
部及び酢酸n−ブチル28部を添加し、不揮発分44.
4%の共重合体溶液を得た。これを共重合体溶液P−3
とした。
【0090】合成例4 攪拌機、温度計、冷却器、窒素ガス導入管のついた4つ
口フラスコに、窒素ガス気流下、キシレン33部、酢酸
n−ブチル33部を仕込み、95℃に昇温した中に、4
−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタ
メチルピペリジン10.0部、シクロヘキシルメタクリ
レート10.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト19.0部、n−ブチルアクリレート59.5部、メ
タクリル酸1.5部及び2,2′−アゾビス(2−メチ
ルブチロニトリル)1.0部からなる重合性単量体成分
を3時間かけて滴下し、更に95℃で2時間保持後、1
10℃で1.5時間保持した後、キシレン28部、酢酸
n−ブチル28部を添加し、不揮発分44.8%の共重
合体溶液を得た。これを共重合体溶液P−4とした。
【0091】合成例5 合成例3と同様にして表1に示した組成により共重合体
溶液を得た。これを共重合体溶液P−5とした。
【0092】比較合成例1 合成例1と同様にして表1に示した組成により共重合体
溶液を得た。これを共重合体溶液P−6とした。
【0093】
【表1】
【0094】表1に共重合体溶液P−1〜P−6の共重
合組成と特性値を示した。分子量測定方法は、以下に記
載するように行った。 測定装置:HLC−8120GPC(東ソー社製)アクリル系重合体(A)の分子量測定 共重合体溶液P−3〜5の分子量測定条件 カラム:PLgel MIXED−B ×2本(ポリマ
ーラボラトリー社製) 留出液:テトラヒドロフラン+5%トリエチルアミン 流 速:1.0ml/min. 温 度:室温 圧 力:2.5MPa 注入量:200μl サンプル濃度:0.2%(w/v) 標準サンプル:ポリスチレン 検出器:示差屈折計
【0095】アクリル系重合体(B)の分子量測定 共重合体溶液P−1、2、6の分子量測定条件 カラム:TSKgel G5000HXL+TSKgel
GMHXL−L(東ソー社製)留出液:テトラヒドロフ
ラン 流 速:1.0ml/min. 温 度:40℃ 圧 力:3.1MPa 注入量:200μl サンプル濃度:0.2%(w/v) 標準サンプル:ポリスチレン 検出器:示差屈折計
【0096】調製例1〜7及び比較調製例1〜3 合成例により得られた共重合溶液を用い、下記の手順で
各種の顔料を混錬して白色塗料及び原色(黒色)塗料を
調製した。
【0097】白色塗料の調製 白色顔料として酸化チタン「タイペークCR−95」
(商品名、石原産業社製)を樹脂不揮発分/顔料=1/
4(重量比)になるように、キシレン/プロピレングリ
コールメチルエーテルアセテート=1/1(重量比)の
シンナー(以下、「シンナー」という)で樹脂を希釈し
た中へ顔料を加え、ガラスビーズを使用したペイントシ
ェーカーにて1時間混錬した。このようにして顔料を分
散させた後、残りの樹脂溶液とブロックイソシアネート
硬化剤「スミジュールBL3175」(商品名、住友バ
イエルウレタン社製)或いはメラミン硬化剤「サイメル
303」(商品名、三井サイテック社製)を加え、塗料
固形分が50%となるようにシンナー、反応触媒「ジラ
ウリル酸ジ−n−ブチルスズ」或いは「パラトルエンス
ルホン酸」及びレベリング剤「S022」(商品名、D
efra社製)を表2に示したように加えることによっ
て白色塗料を調製した。
【0098】
【表2】
【0099】黒色塗料の調製 黒色顔料としてカーボンブラック「MA−100」(商
品名、三菱化学社製)を樹脂不揮発分/顔料=1/0.
25(重量比)になるように、シンナーで樹脂を希釈し
た中へ顔料を加え、ステンレスビーズを使用したペイン
トシェーカーにて2時間混錬した。このようにして顔料
を分散させた後、残りの樹脂溶液とブロックイソシアネ
ート硬化剤「スミジュールBL3175」或いはメラミ
ン硬化剤「サイメル303」を加え、塗料固形分50%
となるようにシンナー、反応触媒「ジラウリル酸ジ−n
−ブチルスズ」或いは「パラトルエンスルホン酸」及び
レベリング剤「S022」を表3に示したように加える
ことによって黒色塗料を調製した。
【0100】
【表3】
【0101】実施例1〜3及び比較例1〜2 得られた白色塗料及び黒色塗料を下記の手順で混合して
調色塗料とし、顔料分散性を試験した。その結果を表4
に示した。
【0102】調色塗料の調製 得られた白色塗料及び黒色塗料を用いて、下記の配合比
率で配合したものを調色塗料とした。 グレー色:白色塗料/黒色塗料=70/30(重量比)
【0103】調色塗料の顔料分散性試験方法 (1)流し塗り/ラビングにおけるΔE* 値 テストピース上に調色塗料を流し塗りし、半乾きの状態
で一部ラビングを行い、非ラビング部とラビング部との
色差(ΔE* 値)を測定した。ΔE* 値が小さい方が顔
料分散性に優れる。 (2)分散安定性 調色塗料を調製後、試験管に採り、1週間室温にて静置
後に観察し、下記の基準により評価した。 ◎:異常なし。 △:かなり顔料の凝集状態を示す。 ×:完全に顔料の凝集状態を示す。
【0104】促進耐候性試験方法 テストピースをサンシャインウェザオメータにて300
0時間試験後、光沢保持率(%)と耐変色性ΔE* を測
定した。
【0105】
【表4】
【0106】
【発明の効果】本発明の塗料用樹脂組成物は、上述の構
成よりなるので、乾燥性や、塗膜の硬度、光沢、肉持ち
性、耐溶剤性、耐ガソリン性、耐候性等の性能に優れ、
しかも、カーボンブラック等の顔料分散性が優れて調色
安定性が向上する塗料組成物を構成することができるこ
とから、建築物、プラント、タンク、橋梁等の構築物
や、自動車、船舶、産業機器、各種工業製品等の各種の
用途に好適に用いることができるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横田 善行 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 (72)発明者 小倉 修 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 Fターム(参考) 4J038 CC091 CC092 CG141 CG142 CG171 CG172 CH191 CH192 CH201 CH202 CK021 CK022 CK031 CK032 CK041 CK042 CR071 CR072 GA08 GA09 MA14 NA01 NA03 NA04 NA11 NA23 NA25 PB05 PB06 PB07 4J100 AL03S AL08P AL08Q AL09R BA28Q BC02P BC04P BC65Q BD14Q CA04 CA05 CA06 DA01 JA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル系重合体(A)及びアクリル系
    重合体(B)を必須とする互いに組成の異なる2種以上
    のアクリル系重合体を含む塗料用樹脂組成物であって、
    該アクリル系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)
    のうち少なくとも1つが紫外線安定性基を有する重合性
    不飽和単量体を含む単量体成分により形成されてなり、
    該アクリル系重合体(A)の数平均分子量は、該アクリ
    ル系重合体(B)の数平均分子量よりも大きく、該アク
    リル系重合体(A)は、塩基性基を必須として有し、該
    アクリル系重合体(B)が塩基性基を有するときには、
    当該アクリル系重合体(A)が有する塩基性基の塩基性
    度が該アクリル系重合体(B)が有する塩基性基の塩基
    性度よりも高いことを特徴とする塗料用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記アクリル系重合体(A)と前記アク
    リル系重合体(B)との重量比率は、前記塗料用樹脂組
    成物を含む塗料組成物中で2/98〜20/80である
    ことを特徴とする請求項1記載の塗料用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記アクリル系重合体(A)の数平均分
    子量は、15000以上で100000以下であり、前
    記アクリル系重合体(B)の数平均分子量が該アクリル
    系重合体(A)よりも少なくとも5000以上小さいこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の塗料用樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 前記紫外線安定性基を有する重合性不飽
    和単量体の重量割合は、アクリル系重合体を形成する単
    量体成分全量中、0.1〜10重量%であることを特徴
    とする請求項1、2又は3記載の塗料用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記アクリル系重合体(A)を形成する
    単量体成分は、塩基性基を有する重合性不飽和単量体を
    含み、該塩基性基を有する重合性不飽和単量体の重量割
    合は、アクリル系重合体(A)を形成する単量体成分全
    量中、5〜30重量%であることを特徴とする請求項
    1、2、3又は4記載の塗料用樹脂組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008127527A (ja) * 2006-11-24 2008-06-05 Mitsubishi Rayon Co Ltd 水性塗料用架橋性耐候性向上材
JP2010138300A (ja) * 2008-12-12 2010-06-24 Nippon Shokubai Co Ltd 黒色塗料組成物
JP2020117703A (ja) * 2019-01-22 2020-08-06 東亞合成株式会社 塗料組成物、塗装工法及び塗装皮膜

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