JP2002105007A - 高純度で着色の少ないトランス−1,3−ジクロロプロペンの製造方法 - Google Patents

高純度で着色の少ないトランス−1,3−ジクロロプロペンの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高純度で着色の少ないトランス−1,3−ジ
クロロプロペンの製造方法を提供する。 【解決手段】 シス−1,3−ジクロロプロペン、トラ
ンス−1,3−ジクロロプロペンおよびC6化合物を含
む組成物を、蒸留工程と塩素または臭素を作用させる工
程とを経過させることによりシス−1,3−ジクロロプ
ロペンを低沸分として除去し、次いで、残留分を蒸留す
ることにより塩素化されたC6化合物を高沸成分として
除去し、トランス−1,3−ジクロロプロペンを低沸成
分として得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医農薬の中間体等
として有用なトランス−1,3−ジクロロプロペンの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】1,3−ジクロロプロペンは、シス−
1,3−ジクロロプロペン(以下、シス体という。)と
トランス−1,3−ジクロロプロペン(以下、トランス
体という。)の異性体を有し、医学・農学分野で有用な
化合物として知られている。
【0003】従来、このシス体、トランス体を分離する
方法として、例えば特公昭53−15484号公報で
は、プロペンと塩素を反応させて得られる反応生成物を
蒸留して3−クロロプロペンを得た後、該蒸留後の塔底
液から1,3−ジクロロプロペンのシス体、トランス体
を分離する方法が開示されている。すなわち、上記塔底
液には反応副生成物として1,3−ジクロロプロペンや
6オレフィン等の残留物が含まれているが、まず、該
塔底液に塩素または臭素を作用させてC6オレフィンを
選択的にハロゲン化し、次いでこの塔底液を蒸留して、
1,3−ジクロロプロペンよりも低沸点の軽質成分を除
去した後、該塔底液をさらに蒸留することにより、高沸
成分としてハロゲン化されたC6オレフィンを除去し、
低沸成分として1,3−ジクロロプロペンを分留する。
そして、該1,3−ジクロロプロペンをさらに蒸留し
て、高沸成分としてトランス体を、低沸成分としてシス
体を分離する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記方法では、シス体
およびトランス体よりも低沸成分、高沸成分を順次、蒸
留により除去した後に、シス体およびトランス体を分留
し、これを蒸留してシス体とトランス体を分離する。こ
の場合、トランス体はシス体より高沸点であることか
ら、トランス体は高沸成分として分離される。そのた
め、該高沸成分としてのトランス体には、蒸発残分が混
入する問題や、純度が低く着色成分が多く含まれる等の
問題があった。
【0005】また、トランス体は、一般に医薬中間体、
農薬中間体および機能性材料の中間体等の原料として用
いる場合、ハーゼン色数(APHA)が20以下である
ことが必要とされるのに対し、従来の方法で得られるト
ランス体のAPHAは500程度であり、かなり濃く着
色しているという問題もあった。
【0006】すなわち本発明は、上記の問題を解決し、
高純度であり着色の少ないトランス体を効果的に得るこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、下記組成物(I)から得られる下記組成
物(II)を蒸留して、塩素化または臭素化されたC6
合物〔化合物(X)〕を含む成分を高沸成分として除去
し、トランス−1,3−ジクロロプロペンを低沸成分と
して得ることを特徴とする高純度で着色の少ないトラン
ス−1,3−ジクロロプロペンの製造方法を提供する。
【0008】組成物(I):シス−1,3−ジクロロプ
ロペン、トランス−1,3−ジクロロプロペンおよびC
6化合物を含む組成物。
【0009】組成物(II):下記組成物(IIA)および
/または下記組成物(IIB)である組成物。
【0010】組成物(IIA):組成物(I)を蒸留して
シス−1,3−ジクロロプロペンを含む低沸成分を除去
し、次に残余の高沸成分に塩素または臭素を作用させる
ことにより得られる、トランス−1,3−ジクロロプロ
ペンおよび塩素化または臭素化されたC6化合物〔化合
物(X)〕を含む組成物。
【0011】組成物(IIB):組成物(I)に塩素また
は臭素を作用させた後に蒸留して、シス−1,3−ジク
ロロプロペンを含む低沸成分を除去することにより得ら
れる、トランス−1,3−ジクロロプロペンおよび塩素
化または臭素化されたC6化合物〔化合物(X)〕を含
む組成物。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について図1、2を
参照しながら詳述する。
【0013】本発明の製造方法は、2回の蒸留工程と1
回の塩素または臭素を作用させる工程を含む。より具体
的には、組成物(I)に対して1回の蒸留(第1の蒸
留)工程と、1回の塩素または臭素を作用させる工程を
経過させることによって組成物(II)を得、次いで該組
成物(II)に対して2回目の蒸留(第2の蒸留)工程を
経過させることによって高純度で着色の少ないトランス
体を得る。
【0014】本発明に用いられる組成物(I)は、シス
体、トランス体、およびC6化合物を含む。C6化合物と
は、炭素数が6である化合物をいう。本発明における組
成物(I)は、プロペンと塩素との反応生成物、また
は、該反応生成物から3−クロロプロペンを分離した残
余物であることが好ましく、後者の残余物がより好まし
い。具体的には、プロペンと塩素との反応生成物から3
−クロロプロペンを蒸留して分離した塔底液が好ましく
用いられる。該反応生成物または該残余物中に含まれる
6化合物としては、クロロヘキサン、クロロヘキサジ
エン等の炭素数6の塩素化炭化水素が挙げられる。塩素
化炭化水素は飽和、不飽和のいずれも含む。該塩素化炭
化水素は、塩素原子の結合位置や炭素−炭素不飽和結合
の位置が異なる2種以上からなるのが通常である。ま
た、本発明の組成物(I)は、C3化合物等のその他の
成分を含んでいてもよい。C3化合物とは、炭素数が3
である化合物をいい、1,3−ジクロロプロパン、1,
2−ジクロロプロパンまたは3,3−ジクロロプロパン
等の炭素数3の塩素化炭化水素が例示されうる。この場
合も塩素化炭化水素は飽和、不飽和のいずれも含む。
【0015】本発明における組成物(I)において、シ
ス体の含有量は、好ましくは10〜40質量%であり、
トランス体の含有量は、好ましくは10〜40質量%で
あり、C6化合物の含有量は、好ましくは20質量%以
下である。また、C3化合物を含む場合の含有量は、組
成物(I)中に、好ましくは60質量%以下である。
【0016】本発明では、組成物(I)に対して、塩素
または臭素を作用させる工程と、蒸留工程を経ることに
より、組成物(II)を得る。以下、塩素または臭素を作
用させる工程については、塩素で代表させて説明する
が、本発明を塩素の場合に限定するわけではない。
【0017】図1は、組成物(II)として組成物(II
A)を得る場合の本発明の製造方法の一例を示す。
【0018】該方法では、組成物(IIA)6は、組成物
(I)3を蒸留塔1内で蒸留(第1の蒸留。以下、A蒸
留という。)して、シス体を含む低沸成分4を除去し、
次に残余の高沸成分5に塩素を作用させて得られる。組
成物(I)3が、C3化合物や、低沸のその他の成分を
含む場合には、シス体とともにC3化合物や低沸のその
他の成分は、低沸成分4として除去されうる。
【0019】A蒸留において、低沸成分4の留出温度
は、好ましくは20〜120℃、より好ましくは60〜
80℃である。圧力(ゲージ圧、以下同様)は、好まし
くは0〜1013hPa、より好ましくは80〜300
hPaである。A蒸留は、通常は蒸留塔1を用いて行わ
れ、好ましくは20〜50段、より好ましくは30〜5
0段の蒸留塔を用いうる。なお、第1の蒸留方式は特に
限定されるものでなく、回分方式、連続方式等、任意に
行い得る。
【0020】A蒸留の残余の高沸成分5中には、トラン
ス体およびC6化合物が含まれる。用いる組成物(I)
3によっては、高沸成分5中には、他の高沸成分、着色
成分、蒸留装置等から混入する蒸発残分等が含まれるこ
ともありうる。
【0021】次いで、該高沸成分5に塩素を作用させ
る。その結果、組成物(IIA)が得られる。高沸成分5
中に含まれるクロロヘキサジエン等の炭素−炭素不飽和
結合含有化合物(C6化合物)の該不飽和結合に塩素付
加したり、または、これらC6化合物中に存在しうるC
−H部分を塩素置換することにより、塩素化されたC6
化合物〔化合物(X)〕が生成される。高沸成分5に塩
素を作用させる際には、通常は高沸成分5中に塩素ガス
を吹き込めばよい。
【0022】本発明における塩素を作用させる工程は、
0〜100℃で行うのが好ましく、より好ましくは20
〜60℃であり、通常は常温(25℃付近)で速やかに
進行しうる反応である。塩素を作用させる温度が0℃よ
り低いと、反応速度が遅くなり、本発明の製造方法を行
う設備における塩素を作用させる工程の反応領域を広く
とる必要があり、経済的および効率上において不利にな
る。また、100℃以上では、トランス体が塩素化され
て、トランス体の収量が低下するおそれがある。
【0023】本発明における塩素を作用させる工程は、
低圧から高圧までのあらゆる圧力下で行うことができ、
通常は常圧で行うのが好ましい。作用させる塩素の量
は、好ましくはC6化合物の0.5〜5.0倍モル量、
より好ましくは1.0〜2.0倍モル量である。塩素の
量が、C6化合物の0.5倍モル量より少ないと、C6
合物の塩素化が充分に行われず高純度のトランス体を得
られないおそれがある。一方、5.0倍モル量より多い
と、トランス体の塩素化される量が増加しトランス体の
収量が極端に低下するおそれがある。
【0024】本発明における塩素を作用させる工程で用
いられる塩素は、液体でも気体でもよい。
【0025】本発明における塩素を作用させる工程で
は、C−HをC−Clに変換する反応が起きて、塩化水
素が生成する場合がある。塩化水素が生成した場合に
は、塩素を作用させた組成物にフラッシング、放散、吸
着、中和等の一般的な後処理を行い、塩化水素を除去し
たものを組成物(IIA)6とするのが好ましい。
【0026】次に、組成物(II)として組成物(IIB)
を得る場合の本発明の製造方法の一例を図2に示す。
【0027】該方法では、組成物(I)3に塩素または
臭素を作用させた後に、蒸留塔1内で蒸留(第1の蒸
留。以下、B蒸留という。)を行う。塩素を作用させる
工程は、上記の組成物(IIA)6を得る工程で述べたの
と同様に実施できる。またB蒸留の操作もA蒸留と同様
に実施できる。B蒸留では、シス体を含む低沸成分9が
除去される。また、組成物(I)3中にC3化合物等が
含まれる場合には、該C3化合物等は低沸成分9として
シス体とともに除去されうる。高沸成分として得られる
組成物(IIB)10中には、トランス体および塩素化さ
れたC6化合物〔化合物(X)〕が含まれうる。
【0028】このようにして組成物(IIA)6および/
または(IIB)10を得た後、これら組成物(IIA)6
および/または(IIB)10を蒸留塔2内で蒸留(以
下、第2の蒸留という。)する。組成物(IIA)6およ
び/または(IIB)10中にはトランス体および化合物
(X)が含まれ、かつ場合により着色成分や蒸発残分等
が含まれると考えられる。
【0029】第2の蒸留では、化合物(X)を高沸成分
8として除去し、目的とするトランス体を低沸成分7と
して得る。トランス体以外の成分は高沸成分8として除
去されるのが好ましい。さらに低沸成分7は蒸留塔2に
おける塔頂からの成分として得るのが好ましい。
【0030】第2の蒸留において、留出温度は、好まし
くは20〜120℃、より好ましくは60〜80℃であ
る。圧力(ゲージ圧、以下同様。)は、好ましくは0〜
1013hPa、より好ましくは80〜300hPaで
ある。第2の蒸留は、通常は蒸留塔2を用いて行われ
る。蒸留塔2の理論段数の上限に特に限定はないが、第
2の蒸留は好ましくは1〜20段、より好ましくは1〜
10段の蒸留塔で行うことができる。なお、第2の蒸留
方式は特に限定されるものでなく、回分方式、連続方式
等、任意に行い得る。
【0031】本発明の製造方法では、着色の少ないトラ
ンス体が得られるが、無色である方が好ましい。また、
そのハーゼン色数(APHA)は好ましくは200以下
であり、より好ましくは100以下であり、さらに好ま
しくは20以下である。
【0032】なお、ここでハーゼン色数(APHA)
は、ASTM D1209−1980(米国規格協会規
格)に準拠して測定される。色数標準液は、ヘキサクロ
ロ白金(IV)カリウム1.245g(白金として0.5
00g)、および塩化コバルト(II)六水和物1.00
0g(コバルトとして0.250g)を塩酸100ml
に溶解し、さらに蒸留水で1000mlに希釈して、こ
れをハーゼン色数500の色数標準液とするものであ
る。ハーゼン色数100、50、20、10等の色数標
準液は、ハーゼン色数500の色数標準液をそれぞれ蒸
留水で5、10、25、50倍に薄めて調整したもので
ある。ハーゼン色数は試料を規定の大きさの試験管(直
径3cm、長さ約20cm)に入れて、目視で比較して
同じ感じの色数標準液の番号で表示される。試験管の上
面から観察した場合には、ハーゼン色数(APHA)と
表記される。APHAはアメリカ公衆衛生協会(Americ
an Public Health Association)の略である。
【0033】また本発明の製造方法では、高純度のトラ
ンス体が得られ、その純度は好ましくは98%以上であ
り、より好ましくは99%以上である。
【0034】本発明の製造方法は、トランス体を得るこ
とを目的とするが、シス体もまた得たい場合には、A蒸
留で除去したシス体を含む低沸成分4および/またはB
蒸留で除去したシス体を含む低沸成分9を用いて、A蒸
留やB蒸留と同様の蒸留により、高純度のシス体を分取
することもできる。
【0035】本発明の方法で得られたトランス体および
必要に応じて得られるシス体は、医農薬の中間体等とし
て有用に用いうる。本発明の方法の全てまたは一部を回
分法で実施しても、連続法で実施してもよい。
【0036】
【実施例】以下に本発明を実施例によって具体的に説明
するが、これによって本発明はなんら限定されるもので
ない。例1〜3は実施例、例4は比較例である。なお表
中の%の単位はガスクロマトグラフィにより求まる質量
%である。なお、トランス体の%は、トランス体の純度
も表している。
【0037】[例1]プロペンと塩素との反応生成物か
ら3−クロロプロペンを蒸留して分離した塔底液(該塔
底液の組成を表1の塔底液の欄に示す。)の500mL
を、50段の蒸留塔で、留出温度60℃、圧力100h
Paの条件で、回分蒸留を行った。該塔底液中のC3
合物およびシス体を含む組成物を、低沸成分として分留
除去した。そして、該回分蒸留において高沸成分として
6化合物およびトランス体を含む粗液150mLを得
た。
【0038】次いで、該粗液中に含有されるC6化合物
の1.2倍モル量の塩素ガスと該粗液を混合し、30
℃、大気圧で粗液に塩素を作用させた。その後、窒素に
て塩化水素を放散した。次に、この粗液を5段の蒸留塔
で、留出温度60℃、圧力100hPaの条件で蒸留
し、低沸成分として高純度のトランス体を115mL得
た。該低沸成分のガスクロマトグラフィによる分析結
果、トランス体回収率およびハーゼン色数(APHA)
を表1に示す。
【0039】[例2]例1と同じ塔底液を、100mL
/時で、30段の蒸留塔に供給し、留出温度60℃、圧
力100hPaの条件で連続的に蒸留した。該塔底液中
のC3化合物およびシス体を含む組成物を、低沸成分と
して連続的に分留除去した。該蒸留の高沸成分として、
塔底から粗液を30mL/時で抜き取った。
【0040】次に、例1と同様に、該粗液に含有される
6化合物の1.2倍モル量の塩素ガスと該粗液を混合
し、30℃、大気圧で連続的に塩素を作用させた。その
後、該粗液を粒状苛性ソーダ充填筒に通液して塩化水素
を除去した。次に、通液した該粗液を5段の蒸留塔で、
留出温度60℃、圧力100hPaの条件で蒸留し、低
沸成分として高純度のトランス体を塔頂から23mL/
時で得た。該低沸成分のガスクロマトグラフィによる分
析結果、トランス体回収率およびハーゼン色数(APH
A)を表1に示す。
【0041】[例3]例1と同じ塔底液を、まず最初に
該塔底液中のC6化合物の1.5倍モル量の塩素ガスと
混合し、30℃、大気圧で連続的に塩素を作用させた。
続いて該塔底液を100mL/時で30段の蒸留塔に供
給し、留出温度60℃、圧力100hPaの条件で連続
的に蒸留した。C3化合物およびシス体を含む組成物
を、低沸成分として連続的に分留除去した。該蒸留の高
沸成分として塔底から塩素化されたC6化合物およびト
ランス体を含む粗液を抜き取った。さらに、得られた該
粗液を5段の蒸留塔で、温度60℃、圧力100hPa
の条件で連続的に蒸留し、低沸成分として高純度のトラ
ンス体を塔頂から23mL/時で得た。該低沸成分のガ
スクロマトグラフィによる分析結果、トランス体回収率
およびハーゼン色数(APHA)を表1に示す。
【0042】[例4]例1と同じ塔底液500mLを、
まず最初に該塔底液中のC6化合物の1.5倍モル量の
塩素ガスと混合し、30℃、大気圧で塩素を作用させ
た。そして、窒素にて塩化水素を放散した。次に、この
塔底液を50段の蒸留塔で、留出温度60℃、圧力10
0hPaの条件で、回分蒸留を行った。低沸成分として
3化合物等を分留除去し、高沸成分として粗液290
mLを得た。次に、該粗液を5段の蒸留塔で、留出温度
60℃、圧力100hPaの条件で蒸留した。そして塔
頂から、シス体およびトランス体を含む成分を低沸成分
として250mLを得た。さらに該低沸成分を50段の
蒸留塔で、留出温度60℃、圧力100hPaで蒸留し
て、塔底より高沸成分として、113mLのトランス体
を得た。3回の蒸留を行ったが得られたトランス体は明
らかに着色しており、さらに着色成分を除く操作を行う
必要があった。着色成分除去前の高沸成分のガスクロマ
トグラフィによる分析結果、トランス体回収率およびハ
ーゼン色数(APHA)を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】本発明の製造方法により、医薬中間体、
農薬中間体、機能性材料の中間体等に使用可能な高純度
で着色の少ないトランス体を得ることができる。また、
本発明の製造方法では、2回の蒸留操作と1回の塩素ま
たは臭素を作用させる工程により、高純度のトランス体
を得ることができ、製造工程を大幅に短縮することがで
きる。本発明の製造方法では、得られるトランス体は低
沸成分として分離されるため、さらに蒸留することな
く、活性炭等の吸着剤で脱色しなくても、着色が少ない
蒸発残分のない高純度なトランス体が得られる。本発明
の製造方法は、大容量のトランス体を製造しうる方法で
あり、少ない工程で特別な操作を必要としないことか
ら、工業的実施にも適した優れた方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の一例を示す工程図である。
【図2】本発明の製造方法の一例を示す工程図である。
【符号の説明】
1 蒸留塔(第1の蒸留、すなわちA蒸留、B蒸留用) 2 蒸留塔(第2の蒸留用) 3 組成物(I) 4 A蒸留で得られる低沸成分 5 A蒸留で得られる高沸成分 6 組成物(IIA) 7 第2の蒸留で得られる低沸成分 8 第2の蒸留で得られる高沸成分 9 B蒸留で得られる低沸成分 10 組成物(IIB) 11 塩素ガス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中野 建男 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田30番地 鹿 島ケミカル株式会社内 (72)発明者 横山 豊 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田30番地 鹿 島ケミカル株式会社内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC30 AD11

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記組成物(I)から得られる下記組成物
    (II)を蒸留して、塩素化または臭素化されたC6化合
    物〔化合物(X)〕を含む成分を高沸成分として除去
    し、トランス−1,3−ジクロロプロペンを低沸成分と
    して得ることを特徴とする高純度で着色の少ないトラン
    ス−1,3−ジクロロプロペンの製造方法。 組成物(I):シス−1,3−ジクロロプロペン、トラ
    ンス−1,3−ジクロロプロペンおよびC6化合物を含
    む組成物。 組成物(II):下記組成物(IIA)および/または下記
    組成物(IIB)である組成物。 組成物(IIA):組成物(I)を蒸留してシス−1,3
    −ジクロロプロペンを含む低沸成分を除去し、次に残余
    の高沸成分に塩素または臭素を作用させることにより得
    られる、トランス−1,3−ジクロロプロペンおよび塩
    素化または臭素化されたC6化合物〔化合物(X)〕を
    含む組成物。 組成物(IIB):組成物(I)に塩素または臭素を作用
    させた後に蒸留して、シス−1,3−ジクロロプロペン
    を含む低沸成分を除去することにより得られる、トラン
    ス−1,3−ジクロロプロペンおよび塩素化または臭素
    化されたC6化合物〔化合物(X)〕を含む組成物。
  2. 【請求項2】組成物(I)が、プロペンと塩素との反応
    生成物、または、該反応生成物から3−クロロプロペン
    を分離した残余物である請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】組成物(I)が、さらに1,3−ジクロロ
    プロパンを含む請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】化合物(X)が、塩素化されたC6化合物
    である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】組成物(II)が、組成物(IIA)である請
    求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 【請求項6】組成物(II)を得る工程で除去したシス−
    1,3−ジクロロプロペンを含む低沸成分を、さらに蒸
    留することによりシス−1,3−ジクロロプロペンを分
    取する工程を含む請求項1〜5のいずれかに記載の製造
    方法。
  7. 【請求項7】ハーゼン色数(APHA)が200以下の
    トランス−1,3−ジクロロプロペン。
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