JP2002104191A - 信号制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 信頼度が高く、稼動率を大幅に改善できる信
号制御装置を提供する。 【解決手段】 種類の異なる複数の列車検知装置と、そ
れら列車検知装置の故障を検出する検出手段と、前記複
数の列車検知装置のうち故障と検出された列車検知装置
を除いて残りの正常な列車検知装置の列車検知信号に基
づいて信号機を制御する制御手段とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、列車の走行する線
路に沿って設けられる信号機を制御する信号制御装置に
係り、特に、装置の信頼度及び稼動率を高めることがで
きるようにしたものに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、列車の走行する線路に沿って設け
られる信号機を制御する信号制御装置は、列車検知装置
からの列車検知情報を入力して信号機を制御するように
構成されている。

【０００３】列車検知装置としては、列車の走行するレ
ールを所定長さに区分して電気回路の一部とし、その区
分されたレールの始端側に所定の列車検知信号を印加す
るとともに、その区分されたレールの終端側にその印加
された列車検知信号を受信する受信回路を設け、その受
信回路が列車検知信号を受信しているときは列車なしを
検知し、レールが列車の車軸で短絡されて受信回路が列
車検知信号を受信しなくなったときに列車ありを検知す
る、軌道回路方式の列車検知装置が一般に用いられてい
る。また、列車検知装置としては、上述の区分されたレ
ールの始端側及び終端側に、列車の車軸の通過数を磁界
の変化により検出する車軸検出器をそれぞれ設け、軌道
回路上の列車の有無を検知する、車軸式軌道回路方式の
列車検知装置が知られている。さらに、列車検知装置と
しては、本出願人が先に特願平１１−２４５５２５号で
提案してあるようなトランスポンダ方式やその他の方式
も知られている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の信号制御装置は、単一の列車検知装置からの列車位
置情報を入力して信号機を制御するようにしているの
で、その列車検知装置が故障したとき、信号機は停止現
示（Ｒ現示）となり、その後の列車運行が中止となり、
列車運転の稼動率が低下してしまうという不都合があっ
た。

【０００５】そこで、本発明は、列車運行を可能な限り
続行でき、さらに、高信頼性の信号制御装置を提供する
ことを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明に係る信号制御装
置は、上記目的を達成するために、種類の異なる複数の
列車検知装置と、それら列車検知装置の故障を検出する
検出手段と、前記複数の列車検知装置のうち故障と検出
された列車検知装置を除いて残りの正常な列車検知装置
の列車検知信号に基づいて信号機を制御する制御手段
と、からなることを特徴としている。また、正常な列車
検知装置が複数個存在するとき、いずれか１個の列車検
知装置を選択して使用する選択手段を設けたことを特徴
としている。そして、前記選択手段は、外部からの指定
によりいずれか１個の列車検知装置を選択するものであ
ることを特徴としている。さらに、正常な列車検知装置
が複数個存在するとき、それら正常な列車検知装置の列
車検知情報のアンド条件により信号機を制御することを
特徴としている。また、種類の異なる複数の列車検知装
置の一方は軌道回路方式の列車検知装置であり、その他
方は車軸式軌道回路方式の列車検知装置であることを特
徴としている。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図１は、一実施の形態に係る信号
制御装置を甲駅と乙駅との中間に設けられた中間閉そく
装置に適用したときの概略構成図である。

【０００８】図１中、１Ｔは、甲駅と乙駅との中間に設
けられた一つの軌道回路であり、列車イの走行するレー
ルｒの一部を区分して形成されている。そして、この軌
道回路１Ｔには、種類の異なる２つの列車検知装置が設
けられている。

【０００９】送信回路１及び受信回路２は、種類の異な
る２つの列車検知装置のうちの一つの列車検知装置であ
る軌道回路方式の列車検知装置（以下、これを「第１の
列車検知装置」として説明する。）を構成するもので、
送信回路１からは、軌道回路１Ｔのレールｒの始端側に
所定の列車検知信号を印加できるように構成されてい
る。また、受信回路２は、軌道回路１Ｔのレールｒの終
端側に設けられていて、軌道回路１Ｔに印加された列車
検知信号を受信することができるように構成されてい
る。

【００１０】したがって、この第１の列車検知装置は、
軌道回路１Ｔ上に列車が在線せずに受信回路２が列車検
知信号を受信できるときに軌道回路１Ｔ上に列車なしを
検知し、軌道回路１Ｔを形成するレールｒが列車イの車
軸で短絡されて受信回路２が列車検知信号を受信できな
いときに、列車ありを検知することができる。そして、
この列車あり又は列車なしの検知信号は、後述する信号
制御器１０に入力されるように構成されている。図１中
「ＴＲ」は、この第１の列車検知装置の列車検知信号を
示している。

【００１１】第１車軸検知器３ａ及び第２車軸検知器３
ｂは、種類の異なる２つの列車検知装置のうちの残りの
列車検知装置である車軸式軌道回路方式の列車検知装置
（以下、これを「第２の列車検知装置」として説明す
る。）を構成するもので、軌道回路１Ｔの列車進入側及
び列車進出側のレールｒを挾んでそれぞれ設けられてい
る。これら車軸検知器３ａ，３ｂは、列車の車軸（車
輪）が通過したときの磁界の変化を第１車軸検出回路４
ａ及び第２車軸検出回路４ｂでそれぞれ検出して、車軸
の通過数を検出することができるように構成されてい
る。

【００１２】したがって、この第２の列車検知装置は、
第１車軸検出器３ａで検出された車軸数が第２車軸検出
器３ｂで検出されるまでは、軌道回路１Ｔ上に列車あり
を検出し、第２の車軸検出器３ｂで第１の車軸検出器で
検出された車軸数を検出したときに軌道回路１Ｔ上に列
車なしを検知することができる。そして、この列車あり
又は列車なしの検知信号は、信号制御器１０に入力され
るように構成されている。図１中、「ＡＸＬＥ」は、こ
の第２の列車検知装置の列車検知信号を示している。

【００１３】信号制御器１０は、第１の列車検知装置か
らの列車検知信号（ＴＲ）及び第２の列車検知装置から
の列車検知信号（ＡＸＬＥ）を入力して軌道回路１Ｔ用
の信号機Ｓを駆動制御するもので、２重系に構成されて
いる。図２は、その信号制御器１０の概略構成を示すブ
ロック図である。すなわち、この信号制御器１０は、１
系処理部１０ａと２系処理部１０ｂとから構成されてい
る。この１系処理部１０ａと２系処理部１０ｂとは同一
構成であるので、以下、１系処理部１０ａを中心に説明
する。なお、１系処理部１０ａと同一構成要素の２系処
理部１０ｂには、同一数字の符号に「ｂ」の添字を付し
て図示されている。

【００１４】１系処理部１０ａは、１系伝送回路Ｌ1 を
介して外部と通信を行うための伝送部２０ａと、入力し
た列車検知信号（ＴＲ，ＡＸＬＥ）に基づいて信号機Ｓ
の現示演算処理を行うためのＣＰＵからなる論理部２１
ａと、論理部２１ａの演算結果に基づいて信号機Ｓの駆
動回路３０を駆動制御する出力部２２ａと、信号機Ｓの
灯器の断芯状態を検出するセンサ４０の検出信号を入力
する入力部２３ａと、１系処理部１０ａに電源を供給す
る電源部２４ａとから構成されている。

【００１５】図３は、上記論理部２１ａの詳細図であっ
て、第１の列車検知装置及び第２の列車検知装置からの
列車検知信号（ＴＲ，ＡＸＬＥ）を入力回路５０，５１
を介してそれぞれ入力できるように構成されている。

【００１６】次に、上記構成からなる信号制御装置の制
御動作について説明する。なお、以下の説明は、１系処
理部１０ａ及び２系処理部１０ｂ共に正常で、１系処理
部１０ａが主系として信号機Ｓを制御しているときのも
のである。もちろん、この１系処理部１０ｂに異常が発
生したときは、２系処理部１０ｂが主系となって１系処
理部１０ａと同様に作動して信号機Ｓを制御することと
なる。

【００１７】先ず、信号制御器１０の論理部２１ａは、
第１の列車検知装置の列車検知信号（ＴＲ）を用いて信
号機Ｓを制御するか、第２の列車検知装置の列車検知信
号（ＡＸＬＥ）を用いて信号機Ｓを制御するか、あるい
は、これら両方をアンド（ＡＮＤ）条件で用いて信号機
Ｓを制御するかが外部から設定される。この設定は、伝
送回路Ｌ1 を介して甲駅又は乙駅に設けられている中央
装置（図示せず）により行われる。通常、至近距離にあ
る中央装置により設定される。

【００１８】図４は、上述の外部（中央装置）設定の条
件をリレー回路で示した説明図である。図４において、
ＴＲ正常リレー及びＡＸＬＥ正常リレーは、第１の列車
検知装置及び第２の列車検知装置がそれぞれ正常と判定
されたときに扛上（ＯＮ）するように構成されている。
各列車検知装置の故障は、前後する軌道回路の列車を追
跡することにより検出される。図５は、その列車追跡に
よる合理性判断のための列車の移動状態の一例である。

【００１９】図６（ａ）は、上述の列車検知信号（Ｔ
Ｒ，ＡＸＬＥ）の使用条件を示し、同図（ｂ）は、その
使用条件の設定の選択状態をリレー結線図で示した説明
図である。また、同図（ｃ）は、列車検知信号（ＴＲ，
ＡＸＬＥ）の「列車あり」，「列車なし」の判定条件を
示している。

【００２０】上記構成の信号制御装置は、外部（中央装
置）から第１の列車検知装置を使用することが設定され
ると、その第１の列車検知装置の列車検知信号（ＴＲ）
に基づいて信号機Ｓが制御され、外部から第２の列車検
知装置を使用することが設定されると、その第２の列車
検知装置の列車検知信号（ＡＸＬＥ）に基づいて信号機
が制御される。また、いずれか一方が故障したときは、
他の正常な列車検知装置が使用されるので、列車運行を
可能な限り続行することができる。さらに、両列車検知
装置の列車検知信号（ＴＲ，ＡＸＬＥ）をＡＮＤ条件で
使用したときは、信頼性の高い信号機制御を行うことが
できる。

【００２１】なお、上述の例では、列車検知装置を２種
類としたが、３種類又はそれ以上とすることもできる。

【００２２】

【発明の効果】本発明に係る信号制御装置は、種類の異
なる複数の列車検知装置と、それら列車検知装置の故障
を検出する検出手段と、前記複数の列車検知装置のうち
故障と検出された列車検知装置を除いて残りの正常な列
車検知装置の列車検知信号に基づいて信号機を制御する
制御手段とからなるので、装置の稼動率を高めることが
できる。また、正常な列車検知装置が複数個存在すると
き、いずれか１個の列車検知装置を選択して使用する選
択手段を設けたときは、装置の稼動率を高めることがで
きる。さらに、選択手段を、外部からの指定によりいず
れか１個の列車検知装置を選択するようにしたときは、
外部からの指示により任意の列車検知装置を容易に選択
することができる。そして、正常な列車検知装置が複数
個存在するとき、それら正常な列車検知装置の列車検知
情報のＡＮＤ条件により信号機を制御するようにしたと
きは、高信頼度の信号機制御とすることができる。ま
た、種類の異なる複数の列車検知装置の一方を軌道回路
方式の列車検知装置とし、その他方を車軸式軌道回路方
式の列車検知装置としたときは、既知の実績ある列車検
知装置を用いて信号制御装置を実現することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態に係る信号制御装置の概
略構成図である。

【図２】信号制御器の詳細図である。

【図３】論理部への列車検知信号の入力状態図である。

【図４】外部設定の条件を示す説明図である。

【図５】列車検知装置の故障を判定するための列車追跡
例である。

【図６】（ａ）は、列車検知信号の使用条件を示した説
明図、（ｂ）は、その使用条件の設定の選択状態を示し
た説明図、（ｃ）は、列車検知信号の判定条件を示した
説明図である。

【符号の説明】

イ 列車 １Ｔ 軌道回路 ｒ レール Ｓ 信号機 １ 送信回路 ２ 受信回路 ３ａ 第１車軸検知器 ３ｂ 第２車軸検知器 ４ａ 第１車軸検出回路 ４ｂ 第２車軸検出回路 １０ 信号制御器

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 種類の異なる複数の列車検知装置と、 前記列車検知装置の故障を検出する検出手段と、 前記複数の列車検知装置のうち故障と検出された列車検
   知装置を除いて残りの正常な列車検知装置の列車検知信
   号に基づいて信号機を制御する制御手段と、 からなることを特徴とする信号制御装置。
2. 【請求項２】 正常な列車検知装置が複数個存在すると
   き、いずれか１個の列車検知装置を選択して使用する選
   択手段を設けたことを特徴とする請求項１に記載の信号
   制御装置。
3. 【請求項３】 選択手段は、外部からの指定によりいず
   れか１個の列車検知装置を選択するものであることを特
   徴とする請求項２に記載の信号制御装置。
4. 【請求項４】 正常な列車検知装置が複数個存在すると
   き、それら正常な列車検知装置の列車検知情報のアンド
   条件により信号機を制御することを特徴とする請求項１
   に記載の信号制御装置。
5. 【請求項５】 種類の異なる複数の列車検知装置の一方
   は直流軌道回路方式の列車検知装置であり、その他方は
   車軸式軌道回路方式の列車検知装置であることを特徴と
   する請求項１〜４のいずれか１に記載の信号制御装置。