JP2002100379A - 配流機能付き燃料電池用セパレータ - Google Patents

配流機能付き燃料電池用セパレータ

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JP2002100379A
JP2002100379A JP2000287362A JP2000287362A JP2002100379A JP 2002100379 A JP2002100379 A JP 2002100379A JP 2000287362 A JP2000287362 A JP 2000287362A JP 2000287362 A JP2000287362 A JP 2000287362A JP 2002100379 A JP2002100379 A JP 2002100379A
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porous
separator
carbon film
film
gas
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JP2000287362A
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English (en)
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Nobuo Oya
修生 大矢
Shigeru Yao
滋 八尾
Yukihiko Asano
之彦 浅野
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極全体へ均一なガス供給を容易
におこなうことができ、且つ、電極との接触抵抗を少な
くできる高性能燃料電池用セパレータを提供する。 【解決手段】 微細な連続孔を有し空孔率が50
〜85%であり空孔率よりも小さな表面開口率を持つ多
孔質炭素膜構造体と、緻密な炭素膜構造体とを含んで形
成された炭素構造体であって、前記多孔質膜構造体が配
流機能を担うように構成された燃料電池用セパレータ
は、電極全体へ均一なガス供給を容易におこなうことが
でき、且つ、電極と面接触になり接触抵抗を少なくする
ことができるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池用部材に
関する。特に、固体高分子電解質型燃料電池において好
適に用いることができる燃料電池用セパレータに関し、
特定の構造を有する多孔質炭素膜構造体と緻密な炭素膜
構造体とを含んで形成された炭素構造体であって、前記
多孔質炭素膜構造体が電極へ燃料ガスや酸化性ガスを供
給したり電極からドレインガスを排出する配流機能を担
うように構成された燃料電池用セパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、固体高分子電解質型燃料電池の開
発および実用化が進んでいる。固体高分子電解質型燃料
電池は、固体高分子電解質膜とその両側に設けられた電
極とそれぞれの電極に水素等の燃料ガスあるいは酸素等
の酸化性ガスを供給したりドレインガスを排出するため
の配流機能を備えたセパレータなどからなる単セルを積
層したスタック、及び、前記スタックの外側に設けられ
た集電体などから構成されている。
【0003】セパレータは、構造材料としての機械的強
度と、燃料ガスと酸化性ガスとを完全に分離してそれぞ
れの電極へ供給するために高度のガス不透過性と、電極
で発生する電流を集電体へ流す導電性と、それぞれの電
極での酸化及び還元雰囲気下での耐腐食性と、使用温度
での耐熱性、電池反応に伴う発熱を効率よく放散させ電
池内温度分布を均一化するための高い熱伝導率、電池の
コンパクト化や体積当たりの発電効率を高めるために薄
肉化などの特性が必要とされている。
【0004】セパレータは、金属系の材料では水素脆性
が生じて材料劣化がおこり電池性能が悪化するし重量が
重いなどの欠点があるため、一般にカーボン材料が必要
に応じてガス不透過処理されて用いられる。
【0005】更に、セパレータは、高性能電池として高
電流密度を発生させるために、電極及び電極触媒層内部
の反応サイトへ多量の燃料ガスあるいは酸化性ガスを均
一に供給する機能と余剰の加湿水と生成水を含むドレイ
ンガスを速やかに排出する機能とを有さなければならな
い。このために、通常はガス流路溝をリブによって形成
したリブ付きセパレータが用いられる。図6は通常用い
られるリブ付きセパレータを用いた単セルの構成を示す
概略の断面図である。しかしながら、リブ付きセパレー
タは肉薄で脆いカーボン板の表面に切削加工を施して微
細なガス流路溝を形成されたものであり、切削加工工程
の歩留まりが悪いという問題があった。更に、リブ付き
セパレータはリブ部がガス不透過性であるために電極と
リブが接する部分にはガスが供給されないこと、及び、
ガス流路溝による圧力損失が大きいために多量のガスを
流すためには数気圧以上加圧しなければならないこと等
の欠点を有していた。
【0006】前記のリブ付きセパレータの問題を解決す
るために、特開平8−255619号公報では、三次元
網状を有する多孔質カーボンからなる配流板をリブで形
成されたガス流路溝の代わり用いることを提案してい
る。該三次元網状多孔質カーボンからなる配流板を用い
れば、ガスをほとんど抵抗を受けないで速やかに供給す
ることができる。しかしながら、三次元網状多孔質カー
ボンは、ガラス質繊維状カーボンが網目を形成し網目間
が空間になっている構造であるから、機械的強度が小さ
いし、ガスを供給したときにガス流はショートパスを生
じ易く電極全体への均一なガス供給について疑問が残る
ものであり、また、繊維間が点接触であるために導電性
が小さく、更に、セパレータや電極との界面が面接触で
なく点接触になって接触抵抗が大きいなどの問題を有し
ていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
の三次元網状を有する多孔質カーボンからなる配流板を
リブで形成されたガス流路溝の代わり用いたセパレータ
の問題点を改良することであり、特定の構造を有する多
孔質炭素膜構造体に配流機能を持たせることによって、
機械的強度が優れ、電極全体への均一なガス供給が容易
であり、導電性に優れ、セパレータや電極と面接触にな
り接触抵抗を小さくすることが容易なセパレータを提供
することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上述のような状
況に鑑みてなされたものである。本発明は、微細な連通
孔を有し空孔率が40〜85%であり空孔率よりも小さ
な表面開口率を持つ多孔質炭素膜構造体と、緻密な炭素
膜構造体とを含んで形成された炭素構造体であって、前
記多孔質炭素膜構造体が配流機能を担うように構成され
たことを特徴とする燃料電池用セパレータに関する。さ
らに、前記多孔質炭素膜構造体が、面方向に伸長した多
数の細孔が厚み方向に積み重なって連通孔を形成した構
造を持つこと、および、前記多孔質炭素膜構造体が、多
孔質高耐熱性高分子膜を嫌気性雰囲気下で加熱炭化して
得られたこと、前記多孔質炭素膜構造体の黒鉛化率が5
0%以上であること、前記多孔質高耐熱性高分子膜がポ
リイミド多孔質膜であることに関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のセパレータは、配流機能
を有する多孔質炭素膜構造体と緻密な炭素膜構造体とを
含んで一体化した炭素構造体で構成されたものである。
本発明の特徴である前記多孔質炭素膜構造体は平均孔径
が0.05〜10μmの微細な連通孔を有している。前
記微細な連通孔は隣接する微細孔間が炭素壁で間仕切り
されて形成されており、三次元網状構造の多孔質体とは
全く異なる。また、前記微細な連通孔は微細孔が通路状
に伸びて曲がりくねった通路により非直線的に通じた連
通孔であり、前記連通孔によってガスがショートパスを
生じることなく広範囲に広がるように配流できるもので
ある。また、本発明の前記多孔質炭素膜構造体は空孔率
が40〜85%であり、連通孔内部をガスが容易に通過
することができるので、高効率でガスを供給することが
できる。空孔率が40%未満ではガスを容易に広範囲に
配流できなくなるので好ましくなく、空孔率が85%を
越えると機械的強度が小さくなると同時に製造が困難に
なるので好ましくない。更に、本発明の前記多孔質炭素
膜構造体は、膜表面の開口率が(膜表面で細孔が小さく
閉じぎみになっているために)膜全体の空孔率よりも小
さくなっている。このために、前記多孔質炭素膜構造体
を緻密な炭素膜構造体や電極体と積層したときには、面
接触となるために界面での導電性が高まり接触抵抗を低
減することができる。また、多孔質炭素膜内部のガスの
流れ易さと表面の開口率の低さのために、多孔質炭素膜
構造体にガスを供給すると、膜外に流れ出るよりもより
膜内を広く拡散して流れ易く、ガスをより広い範囲に均
一に配流することができる。
【0010】また、前記配流機能を有する多孔質炭素膜
構造体は、より好ましくは、面方向に伸長した多数の細
孔が厚み方向に積み重なって連通孔を形成した構造をも
つものである。この様な細孔のために、本発明の多孔質
炭素膜構造体にガスを供給すると、ガスは膜厚方向より
もより面方向に拡散して流れるので、ガスをより広い範
囲に均一に配流することができる。
【0011】図1、図2に本発明のセパレータを構成す
る代表的な多孔質炭素膜構造体の表面と断面の走査型電
子顕微鏡写真を示した。これらの写真から判るように、
前記多孔質炭素膜構造体は、表面において細孔が閉じぎ
みになっており、また、面方向に二次元的に伸長した細
孔が積み重なって連通孔を形成しているものである。こ
の多孔質形態の観察から、供給されたガスは膜外に流れ
出るよりも膜内を面方向に広く拡散して流れ易いことが
判る。
【0012】前記配流機能を有する多孔質炭素膜構造体
は、まず多孔質高耐熱性高分子膜を製造し次いで該多孔
質高耐熱性高分子膜を嫌気性雰囲気下で加熱炭化して容
易に得ることができる。高耐熱性高分子としては、加熱
炭化時の炭化収率が高いものが好ましく、ポリイミド
系、ポリアミド系などの高耐熱性高分子、フルフラール
樹脂、フェノール樹脂などの炭化が容易な硬化製樹脂、
およびそれらの前駆体などを挙げることができる。特に
ポリイミド或いはポリイミド前駆体(ポリアミック酸及
びポリアミック酸が部分的にイミド化したもの)は加熱
炭化によってより容易に機械的強度が強い炭素構造体を
得ることができるので好適である。
【0013】前記多孔質高耐熱性高分子膜は、例えば高
分子を有機溶剤に溶解した溶液をガラス板等に流延し
て、それを前記有機溶剤とは相溶性を有し高分子は不溶
な有機溶剤や水などに浸漬し、その際に生じる相分離現
象を利用して細孔を形成される方法(いわゆる相転換
法)によって得ることができる。しかし、通常の相転換
法では表面に緻密層ができる。特に、出典明示して本明
細書の一部とみなす特開平11−310658号公報、
特願平11−116178号、特願2000−2846
51号に記載の、溶媒置換速度調整材を用いて溶媒置換
速度を調整する相転換法は、容易に連通孔を有する高分
子多孔質膜を得ることができるので好適である。具体的
には、まず高分子溶液の流延膜を形成し、次に該流延膜
の表面に溶媒置換速度調整材(多孔性フィルム)を積層
させ、次いでその積層体を非溶媒に接触させて相分離に
よって細孔を形成しながら多孔質高分子膜を析出させ
る。この方法で形成された多孔質高分子膜の表面(開孔
部以外の表面)は、最初に形成された流延膜の表面平滑
性を保持しており、また、該多孔質高分子膜表面では細
孔が閉じ気味になって表面の開口率は膜全体の空孔率よ
りも小さくなる。また、このように溶媒置換速度調整材
によって溶媒置換速度を調整することによって、面方向
に伸長した細孔が厚み方向に積み重なって連通孔を形成
した多孔質構造を有する高分子膜を容易に得ることがで
きる。
【0014】本発明の配流機能を有する多孔質炭素膜構
造体は前記多孔質高耐熱性高分子膜を嫌気性雰囲気下で
加熱炭化することによって容易に得ることができる。特
に限定するものではないが、嫌気性雰囲気は、窒素ガ
ス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガス中
か、真空中などが適当である。急激に昇温するのは、分
解物が散逸したり炭素分が留去して炭化収率が低くなる
ことが好ましくなくまた構造欠陥もできやすい。そのた
めに昇温速度は20℃/分以下、特に1〜10℃/分程
度の十分遅い速度で昇温して徐々に炭化するのが好まし
い。加熱温度や加熱時間は十分な炭化が行われるのであ
ればどんな温度や時間でも構わないが、得られる炭素構
造体の黒鉛化率を高めて機械的強度が高くするためには
2400〜3500℃、特に2600〜3000℃の範
囲が好ましく、前記温度範囲で20〜180分間が好適
である。
【0015】また、前記加熱炭化の際に加熱時に圧力を
加えると黒鉛化率を高めて機械的強度が高い炭素構造体
を得られるので好ましい。加圧によって加熱炭化中の収
縮などに伴う形状の変化を抑えたり、炭素化されつつあ
る炭素部分の配向性を高めて黒鉛化が促進されるので機
械的強度が高い炭素構造体を得ることができる。圧力は
1〜250MPa特に100〜250MPaで印加する
のがよい。加圧は高温圧縮機や等方圧熱間プレス(HI
P)を用いて好適におこなわれる。
【0016】また、黒鉛化を促進するために、前記多孔
質高耐熱性高分子膜に予めホウ素化合物などの黒鉛化を
促進する効果を有する化合物を加えるのが好適である。
これらの化合物の微細な粉末を高耐熱性高分子の溶液に
均一に分散させておき、該溶液を用いて前記の方法によ
って多孔質高耐熱性高分子膜を製造すれば、前記化合物
が均一に分散した多孔性高耐熱性高分子膜を得ることが
できる。
【0017】本発明の配流機能を有する多孔質炭素膜構
造体は、黒鉛化率が50%以上であることが好ましく、
更に黒鉛化率が70%以上、特に黒鉛化率が90%以上
であることが望ましい。黒鉛化率が低いと前記多孔質炭
素膜構造体の強度低く脆くなる。黒鉛化率が50%以上
であると可撓性や強度などの機械的特性が優れ且つ導電
性や熱伝導性が向上して、セパレータを構成したときに
燃料電池用セパレータとしての要求される特性が優れた
ものになるので好適である。
【0018】本発明のセパレータを構成する緻密な炭素
膜構造体は特に限定されるものでなく、ガス不透過性、
導電性、熱伝導性、耐腐食性、機械的強度などのセパレ
ータとして要求される特性をもっているものであればよ
い。例えば、人造黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛などの黒鉛
シートにガス不透過処理をおこなったものでもよいが、
高耐熱性高分子膜、特にポリイミドフィルムを加熱炭化
して得られた黒鉛化率が50%以上の炭素構造体を用い
るのがガス不透過性や導電性や熱伝導性などの燃料電池
用セパレータとして要求される特性をバランスよく備え
ているので好ましい。
【0019】本発明のセパレータは、配流機能を有する
多孔質炭素膜構造体と緻密な炭素膜構造体とから構成さ
れている。即ち、緻密な炭素膜構造体の片面或いは両面
に配流機能を有する多孔質炭素膜構造体が積層されてい
る。これを用いた電池セルでは前記多孔質炭素膜構造体
が電極と接するので界面は面接触になり、且つ、電極に
燃料ガスや酸化性ガスを均一に供給したりドレインを効
率よく排出できる。本発明のセパレータにおいて、緻密
な炭素膜構造体の厚さは0.02〜2.0mmが好まし
く、配流機能を有する多孔質炭素膜構造体の厚さは0.
02〜2.0mmが好ましい。また、配流機能は多孔質
炭素膜構造体のみならず流路溝も併用して構成させてい
てもよい。
【0020】本発明のセパレータについて、単セルに用
いたときの一つの実施形態の概略の断面図である図3に
よって説明する。固体高分子電解質膜1の両側に正極2
と負極3が形成される。それらの正負極に接して配流機
能を有する多孔質炭素膜構造体4があり更に多孔質炭素
膜構造体に接して緻密な炭素膜構造体5が配置されてい
る。正負極の周辺部にはガスケット6が配置されてい
る。本発明のセパレータ7は配流機能を有する多孔質炭
素膜構造体4と緻密な炭素膜構造体5とから構成されて
いる。別の実施形態の概略の断面図である図4では配流
機能を有する多孔質炭素膜構造体4がリブの役割をして
ガス流路溝8を形成している。
【0021】また、本発明のセパレータは複数のセルが
積層されてスタックで用いられるときには、緻密な炭素
膜構造体の両面に配流機能を有する多孔質炭素膜構造体
を配置して構成されたものであってもよい。
【0022】本発明のセパレータは、単数枚あるいは複
数枚の緻密な耐熱性高分子膜と単数枚あるいは複数枚の
多孔質高耐熱性高分子膜とを予め目的とするセパレータ
の形状となるように組み合わせて積層した積層体を形成
し、該積層体を加熱炭化して一体化することによって容
易に製造することができる。本発明のセパレータは、多
孔質炭素膜構造体と緻密な炭素膜構造体をそれぞれ別々
に製造した後で、それらを積層あるいは積層一体化する
ことで得ることもできる。前者の高分子膜の積層体を加
熱炭化して一体化する製造方法は、加工が容易であり製
造工程が簡素化できるので好適である。後者の別々に炭
素膜体を製造したあとで積層あるいは積層一体化する方
法は、単に積層する場合には界面を完全に密着して積層
することが難しく、積層して一体化する場合には接着剤
を用いたり再度加熱して一体化するなどの複雑な工程が
必要になるので好適ではない。しかしながら、緻密な炭
素膜構造体として人造黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛などか
らなる黒鉛シートなどを用いる場合には後者の方法によ
って製造するのも好適である。
【0023】本発明において、表面の平均孔径、空孔
率、透気度、黒鉛化率、表面開口率、ガス透過係数は以
下の測定方法によっておこなった。 表面の平均孔径 膜表面の走査型電子顕微鏡写真を撮り、50点以上の開
口部について孔面積を測定し、該孔面積の平均値から次
式に従って孔形状が真円であるとした際の平均直径を計
算より求めた。次式のSaは孔面積の平均値を意味す
る。 平均孔径=2×(Sa/π)1/2 空孔率 所定の大きさに切取った膜の膜厚、面積及び重量を測定
し、目付重量から次式により空孔率を求めた。次式のS
は膜面積、dは膜厚、wは測定した重量、Dは密度であ
り、炭素については、後述する方法によって求めた黒鉛
化率を考慮して試料ごとに算出して求めた。 空孔率=(1−W/(S×d×D))×100 透気度 JIS P8117に準じて測定した。測定装置として
B型ガーレーデンソメーター(東洋精機社製)を使用し
た。試料の膜を直径28.6mm、面積645mm2
円孔に締付ける。内筒重量567gにより、筒内の空気
を試験円孔部から筒外へ通過させる。空気100ccが
通過する時間を測定し、透気度(ガーレー値)とした。 黒鉛化率 X線回折を測定しRuland法により求めた。 表面開口率 膜の表面から走査型電子顕微鏡写真を撮影し、全体の面
積に対する空孔面積の割合(百分率)を画像処理して算
出した。 ガス透過係数 試験気体に空気を用い、温度30℃でJIS K712
6の差圧法に準じて測定した。
【0024】
【実施例】次に、本発明の代表例であるポリイミド多孔
質膜、ポリイミド緻密膜を用いた場合の実施例について
説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるも
のではない。
【0025】(ポリイミド多孔質膜の製造)テトラカル
ボン酸成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物(以下、s−BPDAと表示す
る)を、ジアミン成分として4,4’−ジアミノジフェ
ニルエーテル(以下、DADEと表示する)を用い、S
−BPDAに対するDADEのモル比が0.997で且
つ該モノマー成分の合計重量が9.5重量%になるよう
にN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、温度40℃で
15時間重合をおこなってポリイミド前駆体溶液を得
た。ポリイミド前駆体溶液の溶液粘度は650ポイズ
(温度25℃、E型回転粘度計)であった。このポリイ
ミド前駆体溶液に粒子径が20μm以下の炭化ホウ素粉
末をポリイミド前駆体に対して2重量%となるように加
え均一になるまで攪拌した。
【0026】前記炭化ホウ素粉末を含有したポリイミド
前駆体溶液を、ガラス板上に厚さが150μmになるよ
うに流延し、更にその流延膜の表面を溶媒置換速度調整
材によってシワが生じないように覆って積層物とした。
前記溶媒置換速度調整材としては透気度550秒/10
0ccのポリオレフィン微多孔膜(宇部興産(株)製ユ
ーポアUP2015)を用いた。前記積層物をメタノー
ル中に5分間浸漬し、溶媒置換速度調整材を介して溶媒
置換をおこなうことでポリイミド前駆体の析出、多孔質
化をおこなった。析出したポリイミド前駆体多孔質膜は
更に水中に15分間浸漬した後でガラス板及び溶媒置換
速度調整材から剥離し、ピンテンターに固定した状態で
大気中にて温度320℃、10分間熱処理をおこなって
イミド化率80%のポリイミド多孔質膜を得た。
【0027】得られたポリイミド多孔質膜は、連通孔を
有しており、膜厚42μm、透気度180秒/100c
c、空孔率58%、平均孔径0.35μmであった。
【0028】(ポリイミド緻密膜の製造)また、テトラ
カルボン酸成分としてs−BPDAを、ジアミン成分と
してパラフェニレンジアミン(以下、PPDと表示す
る)を用い、s−BPDAに対するPPDのモル比が
0.994で且つ該モノマー成分の合計重量が18重量
%になるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、
温度40℃で15時間重合をおこなってポリイミド前駆
体溶液を得た。このポリイミド前駆体溶液の溶液粘度は
1200ポイズ(温度25℃、E型回転粘度計)であっ
た。このポリイミド前駆体溶液に粒子径が20μm以下
の炭化ホウ素粉末をポリイミド前駆体に対して2重量%
となるように加え均一になるまで攪拌した。この炭化ホ
ウ素粉末を含有したポリイミド前駆体溶液を、ガラス板
上に厚さが170μmになるように流延し、大気中にて
温度400℃、10分間熱処理をおこなってイミド化率
80%の緻密なポリイミド膜を得た。膜厚は40μmで
あった。
【0029】(セパレータの製造)前記緻密なポリイミ
ド膜20枚の両面に各々前記ポリイミド多孔質膜20枚
と前記ポリイミド多孔質膜の周辺部に前記緻密なポリイ
ミド膜20枚とを図5に示すような組み合わせで積層し
た。この積層体の上下面を通気性の炭素シートで挟んで
1MPaの圧力で加圧しながらアルゴンガス中で昇温速
度10℃/分で温度20℃から1000℃まで昇温し、
更に圧力200MPa、昇温速度5℃/分で3000℃
まで昇温し60分間保持した。降温後、得られた炭素構
造体は緻密な炭素膜の両面にガス配流機能を有する多孔
質炭素膜が一体化したセパレータであり、光沢があり、
可撓性で強靭であり、表面が平滑なものであった。多孔
質炭素膜層表面の平均孔径は0.2μmであった。
【0030】前記炭素構造体の多孔質炭素膜部分は、厚
み550μm、黒鉛化率90%、平均孔径0.2μm、
表面開口率27%であり、また前記炭素構造体の緻密な
炭素膜部分は、厚み600μm、黒鉛化率95%であっ
た。
【0031】また、別々に同様な条件で加熱炭化して製
造した多孔質炭素膜と緻密な炭素膜は、積層して加熱炭
化し一体化したものと外観、厚み、黒鉛化率、顕微鏡観
察による多孔質形状はほぼ同一であり、別々に加熱炭化
して製造した多孔質炭素膜と緻密な炭素膜は、積層して
加熱炭化し一体化した炭素構造体の各膜部分と同一であ
ると判断できた。別々に加熱炭化して製造した膜の測定
結果は以下のとおりであった。多孔質炭素膜は、見かけ
密度760kg/m3、透気度350秒/100cc、
表面開口率27%、空孔率55%であった。また、表面
にメタノールを直径1mmとなるように滴下したときに
2秒後には裏面に到達しており且つ直径10mm以上の
円状の広がりが観察され、この多孔質膜の多孔質構造が
ショートパスがなく膜平面方向に広がる配流機能を持っ
ていることが判った。また、表面部分と断面の電子顕微
鏡写真から、この多孔質炭素膜の多孔形態は図1、図2
に示したものと同じ形態をもっていることが観察され
た。また、緻密な炭素膜は、見かけ密度1620kg/
3、ガス透過係数1×10-8cm2/sec・atm以
下であった。
【0032】
【発明の効果】本発明の燃料電池用セパレータは以上説
明したようなものであるから、以下に述べるような効果
を奏する。すなわち、本発明の燃料電池用セパレータ
は、燃料ガスや酸化性ガスをショートパスなしに電極全
面に対して均一に且つ高効率で供給し、ドレインガスを
容易に排気することができる。しかも、導電性が優れて
おり、且つ、電極表面との接触面積が大きいので接触抵
抗を小さくすることができる。従って、高出力で内部抵
抗が少ない高性能燃料電池を可能にするものである。ま
た、本発明の燃料電池用セパレータは強度が高く表面平
滑性がよいので電池セルを多層化したスタックを構成す
るのに好適であり薄型化を可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のセパレータを構成する多孔質炭
素膜構造体の代表的な一例の表面の走査型電子顕微鏡写
真(図面代用写真)である。
【図2】図5は本発明のセパレータを構成する多孔質炭
素膜構造体の代表的な一例の断面の走査型電子顕微鏡写
真(図面代用写真)である。
【図3】図3は本発明の燃料電池用セパレータを単セル
に用いたときの一つの実施形態の概略の断面図である。
【図4】図4は本発明の燃料電池用セパレータを単セル
に用いたときの別の一つの実施形態の概略の断面図であ
る。
【図5】図5は実施例における本発明の燃料電池セパレ
ータを製造するときの多孔質ポリイミド膜と緻密なポリ
イミド膜の積層の組み合わせの概略図である。
【図6】図6は通常のリブ付セパレータを用いた単セル
の概略の断面図である。
【符号の説明】
1:固体高分子電解質膜 2:正極 3:負極 4:多孔質炭素膜構造体 5:緻密な炭素膜構造体 6:ガスケット 7:セパレータ 8:ガス流路溝 9:リブ付きセパレータ 10:ポリイミド多孔質膜(積層体) 11:ポリイミド多孔質膜(積層体)の周囲に配置され
る緻密なポリイミド膜(積層体) 12:緻密なポリイミド膜(積層体)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】微細な連通孔を有し空孔率が40〜85%
    であり空孔率よりも小さな表面開口率を持つ多孔質炭素
    膜構造体と、緻密な炭素膜構造体とを含んで形成された
    炭素構造体であって、前記多孔質炭素膜構造体が配流機
    能を担うように構成されたことを特徴とする燃料電池用
    セパレータ。
  2. 【請求項2】前記多孔質炭素膜構造体が、面方向に伸長
    した多数の細孔が厚み方向に積み重なって連通孔を形成
    した構造を持つことを特徴とする前記請求項1記載の燃
    料電池用セパレータ。
  3. 【請求項3】前記多孔質炭素膜構造体が、多孔質高耐熱
    性高分子膜を嫌気性雰囲気下で加熱炭化して得られたこ
    とを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の燃料電
    池用セパレータ。
  4. 【請求項4】前記多孔質炭素膜構造体の黒鉛化率が50
    %以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載の燃料電池用セパレータ。
  5. 【請求項5】前記多孔質高耐熱性高分子膜がポリイミド
    多孔質膜であることを特徴とする前記請求項1〜4のい
    ずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
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