JP2002089619A - アクティブ除振装置、モード行列の算出方法およびこれらを用いた露光装置 - Google Patents

アクティブ除振装置、モード行列の算出方法およびこれらを用いた露光装置

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JP2002089619A JP2000279284A JP2000279284A JP2002089619A JP 2002089619 A JP2002089619 A JP 2002089619A JP 2000279284 A JP2000279284 A JP 2000279284A JP 2000279284 A JP2000279284 A JP 2000279284A JP 2002089619 A JP2002089619 A JP 2002089619A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクティブ除振装置における振動制御ループ
を、従来の運動モード別に代えて振動モード別に構成す
る制御系を提供する。モード行列φを短時間、高精度に
求めるための算出法の確立を行う。 【解決手段】 時間応答に基づく方法では、擬似インパ
ルスによって除振台を斜めに加振したときに得られる全
ての加速度センサの時間応答波形を取得する(ステップ
S802)。この時間応答波形を周波数分析する(ステ
ップS803)ことによって、モード行列φを算出し
(ステップS804)、これを使って、振動モード別非
干渉化制御系へ実装する(ステップS805)。周波数
応答に基づく方法では、除振台を斜めに加振する組み合
わせの軸に正弦波を掃引し、全ての加速度センサまでの
周波数応答を取得し、取得した周波数応答をナイキスト
線図で表示し、各円に適合するパラメータを求め、これ
をφとなす。得られたφを振動モード別非干渉化制御系
に実装する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】除振台が有する振動モードに
基づいてダンピングを付与することができる振動モード
別非干渉化制御系を採用してなるアクティブ除振装置、
モード行列の算出方法およびこれらを用いた露光装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】電子ビームを使う電子顕微鏡またはステ
ッパ等に代表される露光装置では、除振装置上にXYス
テージが搭載されている。この除振装置は、空気ばね、
コイルばね、防振ゴム等の振動吸収手段により振動を減
衰させる機能を持つ。しかし、上述の如き振動吸収手段
を備えた受動的除振装置においては、床から伝播する振
動についてはある程度減衰できても、同装置上に搭載さ
れているXYステージ自身が発生する振動は有効に減衰
できない、という問題がある。つまり、XYステージ自
身の高速移動によって生じる反力は、除振装置を揺らせ
ることになり、この振動はXYステージの位置決め整定
性を著しく阻害するものであった。さらに、受動的除振
装置においては、床から伝播する振動の絶縁(除振)
と、XYステージ自身の高速移動で発生する振動の抑制
(制振)性能の間にトレードオフの問題があった。これ
らの問題を解消するべく、近年は能動的除振装置(以
下、アクティブ除振装置と呼ぶ)を使用する傾向にあ
る。アクティブ除振装置は可調整機構の範囲内で除振と
制振のトレードオフが解消できるし、なによりもフィー
ドフォワード制御を積極的に適用することによって受動
的除振装置では達成できない性能が取得できる。
【0003】ここで、アクティブ除振装置においては、
センサとしては振動センサ(代表的には加速度センサで
あるが、速度センサを使用しても構わない)や位置セン
サ等が用いられ、アクチュエータとしては空気ばね、電
磁アクチュエータ、あるいは変位発生形アクチュエータ
の代表である圧電素子等が用いられる。この中で、空気
ばねアクチュエータは大質量の除振台を難なく支持する
能力を有するものの、その応答は緩慢である。一方、電
磁アクチュエータの代表としてのリニアモータは大質量
の物体を支持しようとした場合、大型化を招くとともに
発熱が顕著となる。しかし、応答性は空気ばねアクチュ
エータに比較して格段に優れる。そこで、大質量の除振
台を支持する役割は空気ばねアクチュエータに、空気ば
ねで支持されて平衡位置回りの揺動を高速に抑制する役
割はリニアモータに任せるという使い方がなされてい
る。所謂、ハイブリッド化である。この際、空気ばねア
クチュエータには、除振台を定位させるための位置制御
が掛けられる。一方、リニアモータに対しては、除振台
の支持機構による機械共振に対してダンピングとしての
操作力を発生するようにフィードバックループが構成さ
れる。
【0004】ハイブリッド化したアクティブ除振装置の
従来例に係る装置構成を図15に与える。同図におい
て、21は除振台22に搭載されたXYステージを、2
3−1,23−2,23−3は除振台22を支える能動
的支持脚を示す。1脚の能動的支持脚23の中には、鉛
直方向と水平方向の2軸を制御するために必要な個数の
加速度センサAC、位置センサPO、圧力センサPR、
サーボバルブSV、空気ばねアクチュエータASや電磁
アクチュエータ(例えばリニアモータLM)等が内蔵さ
れている。ここで、加速度センサAC,位置センサPO
等の次に付けた記号(「−Y2」等)は、図中の座標系
に従う方位と能動的支持脚23の配置場所を示す。例え
ば、Y2とはY軸方向であって左側に配置した能動的支
持脚23−2の中にあるものを指す。
【0005】図16は、図15の除振台に対して施され
る従来のアクティブ除振装置のフィードバック構成であ
る。PO−Z1,PO−Z2,PO−Z3,PO−X
1,PO−Y2,PO−Y3は複数の位置計測手段とし
ての位置センサであり、その出力は位置目標値出力部1
の出力信号(z10,z20,z30,x10,y20,y30)と
比較されて、各軸の位置偏差信号(ez1,ez2,ez3
x1,ey2,ey3)となる。これらの偏差信号は、除振
台22の並進運動と回転運動の合計6自由度の運動モー
ド位置偏差信号(ex ,ey ,ez ,eθx ,eθy
eθz )を演算出力する位置信号に関する運動モード抽
出演算手段2に導かれる。次いで、これらの出力信号
は、運動モードごとにほぼ非干渉で位置の特性を調整す
るための位置に関するPI補償器3に導かれて、運動モ
ード駆動信号(dx ,dy ,dz ,dθx ,dθy ,d
θz )を生成する。ここで、Pは比例動作を、Iは積分
動作をそれぞれ意味する。
【0006】同駆動信号は、各軸の空気ばねアクチュエ
ータASの内圧を決める駆動信号(dz1,dz2,dz3
x1,dy2,dy3)を生成するための運動モード分配演
算手段4への入力となる。各軸の空気ばねアクチュエー
タASには、特開平10−256141号に開示した加
圧力フィードバックの中の圧力フィードバックが施され
ている。この圧力フィードバックは、次のように構成さ
れている。各軸の空気ばねアクチュエータの内圧は、圧
力センサPR−Z1,PR−Z2,PR−Z3,PR−
X1,PR−Y2,PR−Y3によって計測されてい
る。この出力は、適切なフィルタリング機能等を有する
圧力検出器5を介して、圧力に関するPI補償器6の前
段にフィードバックされている。圧力に関するPI補償
器6の伝達関数の零点は、空気ばねアクチュエータAS
の作動流体である空気を給排気するためのサーボバルブ
SVの弁開閉を制御する電圧電流変換器7(図中、VI
変換と略記)への入力電圧から、空気ばねアクチュエー
タASの内圧までの周波数特性が1次遅れ特性となる。
そのため、この1次遅れの時定数が作る極をキャンセル
するように設定される。そうして圧力に関するPI補償
器6の前段には、空気ばねアクチュエータASの内圧の
目標値を定める圧力目標値出力部8からの信号が印加さ
れている。このループを圧力フィードバックループと称
する。同ループには、運動モード分配演算手段4の出力
である各軸の駆動信号(dz1,dz2,d z3,dx1
y2,dy3)が印加されている。この圧力フィードバッ
クループをマイナー(局所的な)ループとして備えた上
で、位置センサPOの出力に基づいて空気ばねアクチュ
エータASの内圧を制御するループを位置制御ループと
称する。
【0007】次に、除振台22(図15)を支える能動
的支持脚の機械共振に対してダンピングを与える振動制
御ループについて説明する。振動を抑制するため、ここ
では電磁アクチュエータの代表であるリニアモータLM
を使用する。まず、振動計測手段の代表である加速度セ
ンサAC−Z1,AC−Z2,AC−Z3,AC−X
l,AC−Y2,AC−Y3の出力は、高周波ノイズを
除去する等の適切なフィルタリング処理が施されて、即
座に加速度に関する運動モード抽出演算手段9への入力
となる。その出力は、運動モード加速度信号(ax ,a
y ,az ,aθx,aθy ,aθz )である。運動モー
ドごとに最適なダンピングを付与するために、運動モー
ド加速度信号は、次段の加速度信号に関する積分補償器
10に導かれる。ここでは、積分若しくは疑似積分の演
算が施されて、運動モードごとの速度信号となるととも
に、各運動モードごとに適切なゲインを与えた信号を生
成する。この信号は、リニアモータLM−Z1,LM−
Z2,LM−Z3,LM−X1,LM−Y2,LM−Y
3に電流を通電するためのドライバ12への入力信号を
作りだす運動モード分配演算手段11に導かれ、この出
力に応じてリニアモータLMに電流が流れることによっ
て運動モードごとのダンピングが付与できる。加速度セ
ンサAC−Z1,AC−Z2,AC−Z3,AC−X
1,AC−Y2,AC−Y3の出力に基づいてリニアモ
ータLM−Z1,LM−Z2,LM−Z3,LM−X
1,LM−Y2,LM−Y3を駆動するループを、ここ
では振動制御ループと称する。
【0008】以上説明してきたように(図15および図
16参照)、従来、除振台22の各所に装着された振動
センサ(ここでは加速度センサAC)の出力を、除振台
22の重心を基準にして振動センサの幾何学的な配置に
基づいて決定される運動モード抽出演算手段(行列演
算)9を通して運動モード加速度信号を抽出し、この出
力に対して個別の補償を施した後、先に述べた除振台2
2の重心を基準にしたリニアモータLMの幾何学的配置
によって決まる運動モード分配演算手段(行列演算)1
1を通して、各リニアモータLMに駆動力を発生させて
いた。このように、運動モード別に除振台22の支持機
構に対してダンピングを付与していた。従来のリニアモ
ータLMを使ったダンピング付与は、上述の運動モード
抽出演算手段9や運動モード分配演算手段11の各行列
が単位行列の場合に相当する。すなわち、リニアモータ
LMに直近する加速度センサACの出力を、そのリニア
モータLMにフィードバックするという各駆動軸ごとの
独立のフィードバックループであった。このようなリニ
アモータLMによる各駆動軸独立のダンピング付与に比
較すれば、運動モード別のダンピング付与は、除振台2
2の姿勢をきめ細かく調整できるという特徴によって、
除振台22に搭載される精密機器の能力を最大限に引き
出すことにおいて多大なる貢献をした。
【0009】しかるに、運動モード別にダンピングを付
与することによる問題点も明らかになってきた。それ
は、運動モード別の加速度信号のフィードバックゲイン
を調整すると、着目している運動モードに含まれる主た
る共振ピークを抑制するようには作用するが、運動モー
ドに対してダンピングを掛けているのであるから主たる
振動モード以外の複数の共振ピークに対してもダンピン
グを掛けてしまうことであった(隣接する他の振動モー
ドに対しても若干のダンピングを付与してしまうという
欠点があった)。このようなダンピングの調整であるた
め、順次に運動モード別にダンピング付与の調整を行っ
ていくと、既に調整済みの運動モードのダンピングが過
剰となっていた。従って、共振ピークの抑制が過制動と
なる結果として、位置決め収束に時間がかかって緩慢な
応答になることがあった。このような位置決め波形にお
ける過制動状態を回避するためには、一通りの運動モー
ド別のダンピング調整を行った後に、再調整済みの加速
度に関する運動モードのゲインを弱めるという調整を実
施せねばならない、という煩雑さがあった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明を完成するに至
った課題を整理すると以下の通りである。従来、空気ば
ねアクチュエータとリニアモータを併用するアクティブ
除振装置においては、後者のアクチュエータを振動セン
サの出力に応動して駆動することによってダンピングを
付与するように機能させていた。その際、各リニアモー
タ近傍に装着された加速度センサの出力を適切に補償し
た信号に応動して、このリニアモータを駆動することに
よってダンピングを付与していた。若しくは、除振台の
各所に装着された加速度センサの出力から、除振台の運
動モードに関する加速度信号を抽出し、運動モードごと
に適切な補償を施し、除振台の重心を基準にしたリニア
モータの幾何学的配置を考慮した行列演算によって駆動
指令の分配を行う、という運動モード別のループ構成を
採用していた。各駆動軸ごとに独立のダンピングを付与
するフィードバックの構成に比べれば、運動モード別の
ループ構成によってダンピング付与の調整は格段にきめ
細かく行えるようになった。しかしながら、運動モード
別にダンピング付与を行うと、過剰なダンピングを付与
してしまう結果として、位置決め収束を緩慢なものとし
てしまう場合があった。これを避けるためには、既に調
整済みの加速度に関する運動モードのフィードバックゲ
インを再度調整し直さねばならないという煩雑さがあっ
た。
【0011】空気ばねだけをアクチュエータとして使用
するアクティブ除振装置の場合も事情は同様であった。
すなわち、従来、各空気ばねアクチュエータ近傍に装着
された加速度センサの出力を適切に補償した信号に応動
して空気ばねアクチュエータを駆動することによってダ
ンピングを付与していた。若しくは、除振台の各所に装
着された加速度センサの出力から、除振台の運動モード
に関する加速度信号を抽出し、運動モードごとに適切な
補償を施し、除振台の重心を基準にした空気ばねアクチ
ュエータの幾何学的配置を考慮した行列演算によって駆
動指令の分配を行うことによって空気ばねアクチュエー
タにダンピングの駆動力を発生させるという運動モード
別のループ構成を採用していた。この場合も上述と同様
に、運動モード別にダンピング付与を行うと、過剰なダ
ンピングを付与してしまう結果として、位置決め収束を
緩慢なものとしてしまう場合があった。これを避けるた
めには、既に調整済みの加速度に関する運動モードのフ
ィードバックゲインを再度調整し直さねばならないとい
う煩雑さがあった。
【0012】本発明は、上記問題に鑑みてなされたもの
であり、過剰なダンピングを付与することなく、結果と
して、既に調整済みの加速度に関する運動モードのフィ
ードバックゲインを再度調整し直す必要がなく、除振台
の姿勢を好適に調整することができるアクティブ除振装
置およびこれを用いた露光装置を提供することを目的と
する。また、アクティブ除振装置によって支持される除
振台の固有の振動モードに対して個別かつ非干渉で、ダ
ンピングを調整できる利点を有する振動モード別非干渉
化制御系を実現するためのモード行列を、簡便、短時
間、かつ高精度で算出するモード行列の算出方法、アク
ティブ除振装置およびこれらを用いた露光装置を提供す
ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者等
は、上記目的達成のため試行錯誤して検討した結果、以
下の手段によって上記目的が達成されることを見いだ
し、本発明を完成せしめた。すなわち、上記目的を達成
するために、本発明のアクティブ除振装置は、除振台
と、該除振台を駆動する複数のアクチュエータと、該除
振台の振動を検出する複数の振動計測手段と、該除振台
の変位を検出する複数の位置計測手段とを備え、前記振
動計測手段の出力に基づく振動モードごとの振動制御ル
ープと、前記位置計測手段の出力に基づく運動モードご
との位置制御ループとを具備することを特徴とする。こ
こで、振動モードとは、支持されている除振台の固有の
共振のことを指す。そして、運動モードとは、除振台に
直交座標系を定めたとき、各軸と平行な方向の並進運動
と、各軸回りの回転運動とを指す。
【0014】本発明においては、前記アクティブ除振装
置は、運動モード加速度信号を振動モード加速度信号へ
と変換する振動モード抽出演算手段と、運動モードに対
するダンピング発生のための駆動信号へと変換する振動
モード分配演算手段とを有し、振動モードごとにダンピ
ングを掛けることができる。
【0015】また、前記複数のアクチュエータは、複数
の空気ばねアクチュエータと複数の電磁アクチュエータ
とであって、振動モードごとの前記振動制御ループによ
って前記電磁アクチュエータを駆動し、運動モードごと
の前記位置制御ループによって前記空気ばねアクチュエ
ータを駆動することが可能である。
【0016】また、前記複数のアクチュエータは、複数
の空気ばねアクチュエータであって、振動モードごとの
前記振動制御ループと、運動モードごとの前記位置制御
ループとによって、前記空気ばねアクチュエータを駆動
することが可能である。さらに、前記振動計測手段は、
加速度センサ若しくは速度センサであることが好まし
い。
【0017】上述の何れのアクティブ除振装置の場合
も、振動制御ループは次のように構成される。すなわ
ち、複数の振動計測手段の出力に基づいて除振台の振動
モードを算出する一括の振動モード抽出演算手段と、振
動モード抽出演算手段の出力に対して適切な補償を施す
補償器と、同補償器の信号を入力して実際に配置されて
いるアクチュエータの部位で駆動力を発生させるための
駆動信号を得る一括の振動モード分配演算手段と、を備
える。ここで、振動モード抽出演算手段は上述のように
一括で実現することができるし、あるいは、振動センサ
の出力から除振台の運動モードを抽出する運動モード抽
出演算手段と、この運動モード抽出演算手段の出力を使
って振動モードを算出する振動モード抽出演算手段とを
カスケードに接続することによって実現してもよい。同
様に、振動モード分配演算手段は上述のように一括で実
現することができるし、あるいは、上述した適切な補償
器の出力を入力して、まず、運動モードの駆動信号を算
出するための振動モード分配演算手段を通し、しかる後
に各軸のアクチュエータを駆動するための駆動信号を得
るべく運動モード分配演算手段を通して実現してもよ
い。ただし、空気ばねアクチュエータのみを使用する場
合には、振動モード分配演算手段だけを用いればよい。
【0018】上記目的を達成するために、本発明のモー
ド行列の算出方法は、除振台と、該除振台を駆動する複
数のアクチュエータと、該除振台の振動を検出する複数
の振動計測手段と、該除振台の変位を検出する複数の位
置計測手段とを備えて該除振台を能動的に支持するアク
ティブ除振装置におけるモード行列の算出方法におい
て、擬似インパルスを前記アクチュエータに入力する工
程と、前記擬似インパルスの入力に対する前記除振台の
時間応答波形を前記振動計測手段または前記位置計測手
段にて計測する工程と、前記時間応答波形を周波数分析
する工程と、前記周波数分析の工程から前記除振台のモ
ード行列を算出する工程とからなることを特徴とする。
【0019】本発明においては、前記擬似インパルスの
時間幅は、前記アクチュエータで支持された除振台が有
する振動モードに対して等しい加振力を与えるスペクト
ラムであることが好ましい。
【0020】また、上記目的を達成するために、本発明
のモード行列の算出方法は、除振台と、該除振台を駆動
する複数のアクチュエータと、該除振台の振動を検出す
る複数の振動計測手段と、該除振台の変位を検出する複
数の位置計測手段とを備えて該除振台を能動的に支持す
るアクティブ除振装置におけるモード行列の算出方法に
おいて、掃引正弦波信号を前記アクチュエータに入力す
る工程と、前記掃引正弦波信号から前記振動計測手段ま
たは前記位置計測手段までの応答を周波数応答として計
測する工程と、前記周波数応答をナイキスト線図へと変
換するとともに、該ナイキスト線図に表れる少なくとも
除振台の振動モードの数だけの円に円適合させる1自由
度力学系としてのパラメータを算出する工程と、前記円
適合の結果からモード行列を算出する工程とからなるこ
とを特徴とする。前記モード行列の算出方法において
は、前記アクチュエータはリニアモータに代表される電
磁アクチュエータを好適に使用することができる。
【0021】本発明のアクティブ除振装置は、前記モー
ド行列の算出方法を備えたアクティブ除振装置であっ
て、前記複数の振動計測手段の出力から前記除振台の振
動モードを抽出する振動モード抽出演算手段と、前記振
動モード抽出手段の出力に対し適切な補償を施した信号
を前記アクチュエータに分配するための振動モード分配
演算手段とを有する振動モード別非干渉化制御系を備
え、前記振動モード抽出演算手段と前記振動モード分配
演算手段の実装のため、前記モード行列の算出方法によ
る該モード行列を実装してアクティブ除振装置を構成す
る。
【0022】本発明の半導体デバイス製造方法は、前記
露光装置を含む各種プロセス用の製造装置群を半導体製
造工場に設置する工程と、該製造装置群を用いて複数の
プロセスによって半導体デバイスを製造する工程とを有
することができる。また、本発明の半導体デバイス製造
方法は、前記製造装置群をローカルエリアネットワーク
で接続する工程と、前記ローカルエリアネットワークと
前記半導体製造工場外の外部ネットワークとの間で、前
記製造装置群の少なくとも1台に関する情報をデータ通
信する工程とをさらに有することが可能である。さら
に、本発明の半導体デバイス製造方法は、前記露光装置
のベンダ若しくはユーザが提供するデータベースに前記
外部ネットワークを介してアクセスしてデータ通信によ
って前記製造装置の保守情報を得る、若しくは前記半導
体製造工場とは別の半導体製造工場との間で前記外部ネ
ットワークを介してデータ通信して生産管理を行うこと
が可能である。
【0023】本発明の露光装置を収容する半導体製造工
場は、前記露光装置を含む各種プロセス用の製造装置群
と、該製造装置群を接続するローカルエリアネットワー
クと、該ローカルエリアネットワークから工場外の外部
ネットワークにアクセス可能にするゲートウェイを有
し、前記製造装置群の少なくとも1台に関する情報をデ
ータ通信することを可能にする。
【0024】本発明の露光装置の保守方法は、半導体製
造工場に設置された前記露光装置の保守方法であって、
前記露光装置のベンダ若しくはユーザが、半導体製造工
場の外部ネットワークに接続された保守データベースを
提供する工程と、前記半導体製造工場内から前記外部ネ
ットワークを介して前記保守データベースへのアクセス
を許可する工程と、前記保守データベースに蓄積される
保守情報を前記外部ネットワークを介して半導体製造工
場側に送信する工程とを有することができる。
【0025】本発明の露光装置は、前記露光装置におい
て、ディスプレイと、ネットワークインタフェースと、
ネットワーク用ソフトウェアを実行するコンピュータと
をさらに有し、露光装置の保守情報をコンピュータネッ
トワークを介してデータ通信することを可能にする。さ
らに、前記ネットワーク用ソフトウェアは、前記露光装
置が設置された工場の外部ネットワークに接続され前記
露光装置のベンダ若しくはユーザが提供する保守データ
ベースにアクセスするためのユーザインタフェースを前
記ディスプレイ上に提供し、前記外部ネットワークを介
して該データベースから情報を得ることを可能にする。
【0026】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を用いて
詳細に説明する。 [第1の実施例]本実施例の詳細な説明の前に、再度本
発明の基本的な考え方を述べておく。まず、アクティブ
除振装置における位置制御ループは、露光装置本体を所
定位置に定位させるという機能を有する。従って、定位
のための調整時には、露光装置本体を所望の方位に微妙
に並進させたり、回転させたりして露光装置本体の姿勢
を調整していければ便利である。つまり、並進と回転と
いう運動モードに基づいて位置の制御ループを掛けてお
きたい。しかるに、加速度のフィードバックループに代
表される振動制御ループは機械振動に対してダンピング
を付与するという役割があるので、本来は運動モード別
よりも振動モード別にダンピングが掛けられるように構
成されていることが望ましい。従来の運動モード別にダ
ンピングを付与するループ構成は、少なくとも、各軸独
立のループ構成に比較すれば、除振台の減衰性を運動モ
ードごとにきめ細かく調整できるという大いなるメリッ
トを有していた。しかしながら、機械共振に対するダン
ピング付与を運動モード別ではなく振動モード別に付与
できるならば、なお一層のこと除振台の振動特性をきめ
細かく調整できることになる。なんとなれば、除振台の
複数の機械共振に対する減衰量を個々に調整できるから
である。
【0027】そこで、本発明では、複数の空気ばねアク
チュエータASで除振台を含む本体構造体の位置決め制
御を行い(運動モードごとの前記位置制御ループによっ
て前記空気ばねアクチュエータを駆動する)、リニアモ
ータLM等の複数の電磁アクチュエータを使って、除振
台を含む本体構造体にダンピングを与える(振動モード
ごとの前記振動制御ループによって前記電磁アクチュエ
ータを駆動する)というアクティブ除振装置を対象にし
て、ダンピング付与の制御ループを、従来の運動モード
に基づくループから振動モードに基づくループヘと再構
成することを案出したものである。
【0028】従来は、図16に示したように加速度セン
サAC−Z1,AC−Z2,AC−Z3,AC−Xl,
AC−Y2,AC−Y3の出力信号を運動モード抽出演
算手段9に導いて運動モード加速度信号(ax ,ay
z ,aθx ,aθy ,aθ z )を算出し、これらの信
号に対して個別に補償を掛けていた。本実施例では、運
動モード加速度信号に代えて、振動モード加速度信号を
抽出する。まず、運動モードに代えて導入するところの
振動モードの概念を説明しよう。一般に、剛体の運動方
程式は次式で表現される。
【0029】
【数1】 である。
【0030】振動モードは、剛体の直交座標系における
変位ベクトルをX=(x,y,z,θx ,θy ,θz
T と振動モードの変位ベクトルをZ=(ξ1 ,ξ2 ,ξ
3 ,ξ4 ,ξ5 ,ξ6T と、モード行列をφとおいて
次式で表現できる。
【0031】
【数2】 モード行列φを使うと、(1)式の運動方程式は次式と
なる。
【0032】
【数3】
【0033】さて、(2)式の変換を行ってモード座標
系でのΣで考えると、振動モードは各独立したものとな
る。この考え方をダンピング付与のフィードバックに導
入する。すなわち、加速度信号について(2)式を2階
微分した関係式を用いて振動モード加速度信号Σへと変
換し、振動モードごとにダンピングを掛ける。
【0034】図1は、上述の考え方をダンピング付与の
ためのフィードバックループ(振動制御ループ)に組み
込んだアクティブ除振装置を示す。図16と図1を比較
して、フィードバックループの構成で異なる所は、加速
度に関する運動モード抽出演算手段9の次段に振動モー
ド抽出演算手段9aが、運動モード分配演算手段11の
前段に振動モード分配演算手段11aがそれぞれ新規に
挿入されていることである。
【0035】まず、加速度センサACの出力は、運動モ
ード抽出演算手段9に入力されて、この出力は運動モー
ド加速度信号(ax ,ay ,az ,aθx ,aθy ,a
θz)となり、結果として(2)式の左辺であるXの2
階微分相当の信号が得られる。次に、(2)式の2階微
分の関係式に基づいて振動モード加速度信号
【0036】
【外1】 へと変換するために、運動モード加速度信号は振動モー
ド抽出演算手段9aへ入力される。(2)式の変換から
明らかなように、振動モード抽出演算手段9aの演算内
容はφ-1である。
【0037】続いて、振動モード抽出演算手段9aの各
出力は、積分補償器10を通すことによって振動モード
ごとの速度信号に変換される。積分補償器10では、積
分作用とともにゲインの増減も行えるものとする。積分
補償器10におけるゲインの増減は、振動モードごと独
立のダンピングを付与する役割を有する。すなわち、積
分補償器10の出力は、各振動モードごとにリニアモー
タLMによってダンピングとしての駆動力を発生させる
ための駆動信号となる。この駆動信号は、実際のリニア
モータLMの空間的な配置を考慮して分配せねばならな
い。そのために、まず積分補償器10の出力は、振動モ
ード分配演算手段11aへ入力されて、同手段の出力と
しては運動モードに対する駆動信号となる。この演算内
容は、(3)式の右辺の関係を考慮して容易に分かるよ
うに、φ-Tである。そして、運動モードに対するダンピ
ング発生のための駆動信号は、次段の運動モード分配演
算手段11に入力することによって、リニアモータLM
が配置されている部位においてダンピングを発生させる
ための各軸の駆動信号へと変換される。この各軸の駆動
信号をリニアモータLMに電流を通電するドライバ12
の入力信号とすることによって、リニアモータLMには
電流が流れてダンピングとしての駆動力を発生する。
【0038】なお、図1を用いての説明においては、運
動モード抽出演算手段9と振動モード抽出演算手段9a
を個々に実現して両者を制御ループの中に挿入してい
る。同様に、運動モード分配演算手段11と振動モード
分配演算手段11aとを個々に実現して両者を制御ルー
プの中に挿入している。もちろん、運動モード抽出演算
手段9と振動モード抽出演算手段9aとを併せて、一括
の振動モード抽出演算手段9bとして実装しても構わな
い。同様に、運動モード分配演算手段11と振動モード
分配演算手段11aとを併せて、一括の振動モード分配
演算手段11bとして実装することができる。
【0039】さて、図1の実施例では、複数の振動計測
手段として加速度センサACが用いられている。その他
の振動センサとしては、速度信号を出力するサーボ式の
速度センサやジオフォンセンサが知られている。このよ
うな速度センサを使って、振動モードごとの振動制御ル
ープを構成することも本実施例に属する。この場合、図
1を参照して、加速度センサACに代えて速度センサを
用いることは勿論であるが、補償器の構成が異なる。す
なわち、積分補償器10の箇所をゲイン補償器に変更す
ることになる。運動モード抽出演算手段9、振動モード
抽出演算手段9a、振動モード分配演算手段11a、そ
して運動モード分配演算手段11の演算内容および振動
制御ループの中の配置は図1と同様である。
【0040】[第2の実施例]第1の実施例では、空気
ばねアクチュエータASと電磁アクチュエータの代表で
あるリニアモータLMを用いたハイブリッドのアクティ
ブ除振装置において、支持機構の機械共振に対してダン
ピングを付与するためにリニアモータLMを駆動した。
その際、支持機構で支持される除振台22の振動モード
を、振動計測手段の代表である加速度センサACの出力
を使って算出し、次いで積分補償器10の箇所でゲイン
を加減して振動モードごとにダンピングを調整する信号
を得、この信号に基づいてダンピングを発生させるため
に振動モードと運動モードの関係およびリニアモータの
空間的配置を考慮して分配した。一方、空気ばねアクチ
ュエータASは、除振台22を所定の位置に定位させる
位置制御のためのアクチュエータとして使用した。この
位置制御については、並進や回転といった運動モード別
に制御系を構成することを特徴としている。ここで、ダ
ンピングの駆動力を発生させることにおいて、駆動特性
の素性が良好なリニアモータLMを使用したが、空気ば
ねアクチュエータASにダンピングを発生させるように
してもよい。
【0041】そこで、空気ばねアクチュエータASに除
振台22を所定位置に定位させるとともに、ダンピング
も同アクチュエータを使って発生させるループ構成であ
って、ダンピング付与の調整を従来の運動モードに代わ
って振動モード別に行うための装置構成を図2に与え
る。なお、同図において、同一符号を付け既に説明した
箇所については重複を避ける。
【0042】さて、図2の中で、図1と異なる箇所は振
動制御ループである。図2においては、加速度センサA
Cの出力をまず運動モード抽出演算手段9に導いて運動
モード加速度信号(ax ,ay ,az ,aθx ,aθ
y ,aθz )を算出している。続いて、(2)式の2階
微分の関係を用いて、運動モード加速度信号を振動モー
ド抽出演算手段9aに入力して振動モード加速度信号
【0043】
【外2】 を算出し、これをゲイン補償器15に導いている。ゲイ
ン補償器15のゲインを調整することによって、振動モ
ードごとのダンピングを加減することができる。次に、
ゲイン補償器15の出力は、(3)式右辺関係に基づい
て、現実の物理座標系での運動モードの駆動力指令を生
成するために振動モード分配演算手段11aへと導かれ
ている。そして、11aの出力は運動モード分配演算手
段4の前段に配置される加速度に関するPI補償器3’
のZの前段にフィードバックされている。加速度に関す
るPI補償器3’の役割は、特願平11−327657
号(アクティブ除振装置および露光装置)に記載してあ
るように、圧力フィードバックループの特性が1次遅れ
特性となるので、この前段部に加速度に関するPI補償
器3’を配置して、圧力フィードバックループの1次遅
れの極を、加速度に関するPI補償器3’の零点で相殺
することである。そうして、PI補償器3’の持つ完全
な積分特性を使ってダンピングを付与する。すなわち、
加速度に関するPI補償器3’の前段に加速度信号を印
加すると、その出力は速度信号となるので、ダンピング
としての駆動力を発生するように作用する。加速度に関
するPI補償器3’の前段に配置している位置に関する
ゲイン補償器16は、運動モード偏差信号(ex ,e
y ,ez ,eθx ,eθy ,eθz )の出力に対するゲ
インであって、除振台22の位置に関する姿勢を運動モ
ードごとに調整する箇所である。このような原理を踏ま
えた上で、再び図2を参照しよう。
【0044】振動モード分配演算手段11aの入力段の
信号は、各振動モードごとにダンピングを発生させるた
めの操作量である。これを振動モード分配演算手段11
aを介することによって、運動モードとしてのダンピン
グを発生させるための信号となす。これを加速度に関す
るPI補償器3’の前段にフィードバックすると、この
PI補償器3’の積分特性によって、速度相当の信号と
なって、ダンピングとしての駆動力を発生させるための
信号となる。
【0045】なお、図1と同様に図2の場合も、運動モ
ード抽出演算手段9と振動モード抽出演算手段9aとを
併せて一括の振動モード抽出演算手段9bとして実装す
ることができる。
【0046】[第3の実施例]第2の実施例では、空気
ばねアクチュエータASを使って、ダンピングとしての
駆動力と、所定の場所に定位させる位置制御のための駆
動力とを発生させた。その際、空気ばねアクチュエータ
AS内の圧力を検出して、その検出出力をフィードバッ
クするという圧力フィードバックを投入していた。これ
は、特開平10−256141号(能動的除振装置)と
特願平11−44337号(空気ばね式能動的除振装
置)に開示した加圧力フィードバックの中の圧力フィー
ドバックのことである。しかし、上述の圧力フィードバ
ックを付加するためには、圧力計の装着が必要であって
コスト上昇を招くことは明らかである。空気ばねアクチ
ュエータASの駆動力を高精度に管理する必要のない簡
易なアクティブ除振装置においては、圧力フィードバッ
クの組み込みは必須ではない。そこで、第3の実施例で
は、圧力フィードバックを組み込まない場合に対して、
振動モード別にダンピングを調整できるアクティブ除振
装置の構成を与える。
【0047】図3に本実施例に係る第2の実施例の変形
のアクティブ除振装置の構成を示す。以下、図3および
図15を用いて説明する。ここでは、空気ばねアクチュ
エータASの内圧を調整するためのサーボバルブSVの
弁開閉を司る電圧電流変換器7への入力電圧力ら空気ば
ねアクチュエータASの内圧までの周波数特性が概ね積
分特性であることを利用している。すなわち、除振台2
2の振動を加速度センサACで検出し、これに適切なゲ
インを掛けて電圧電流変換器7の前段にフィードバック
すると、この積分特性によって除振台22にダンピング
が付与できる。この作用を振動モードごとに実施するわ
けであり、図3に示すように、加速度センサACの出力
を運動モード抽出演算手段9に導いて運動モード加速度
信号(a x ,ay ,az ,aθx ,aθy ,aθz )を
生成する。次に、この信号を(2)式を2階微分した関
係式に基づいて振動モード加速度信号
【0048】
【外3】 へと変換するために、振動モード抽出演算手段9aへと
入力する。振動モード抽出演算手段9aの出力は振動モ
ード加速度信号であって、この信号は、各振動モードご
とにゲイン調整を施すためのゲイ補償器15に導かれ
て、各振動モードごとにダンピングを発生させるための
駆動信号を得る。この駆動信号は、振動モードに対する
ものなので、実際の物理座標系で駆動力を発生させるた
めに、(1)式右辺の関係式に基づいて、運動モードに
対する駆動信号となすように振動モード分配演算手段1
1aに導く。この出力は運動モードごとにダンピングを
発生させるための駆動信号であるから、位置に関する運
動モードのフィードバック信号が流れており、しかも同
種の運動モードの箇所である運動モード分配演算手段4
の前段にフィードバックする。すると、位置に関する運
動モードのフィードバック信号と加算されて運動モード
駆動信号(dx ,dy ,dz ,dθx ,dθy ,dθ
z )となる。この運動モード駆動信号は、除振台22の
重心に関する空気ばねアクチュエータASの幾何学的な
配置を考慮した運動モード分配演算手段4を介すること
によって、空気ばねアクチュエータASが配置される実
際の部位で発生すべき各軸の駆動信号(dz1,dz2,d
z3,dx1,dy2)を生成する。各軸の駆動信号の中に
は、振動モード加速度信号
【0049】
【外4】 をゲイン補償器15に通した信号が振動モード分配演算
手段11aおよび運動モード分配演算手段4を介するこ
とによって伝達しているので信号成分として含まれてい
る。この信号成分については、電圧電流変換器7の入力
から空気ばねアクチュエータASの圧力までの特性が概
ね積分特性であるため、除振台22に対してはダンピン
グとして機能する駆動力を発生する。勿論、積分特性か
ら外れた周波数領域では、すなわち低周波領域と高周波
領域では積分特性からのずれを生じているので、これら
の周波数領域ではダンピングは掛からない。
【0050】最後に、周波数応答を使って振動モード別
にダンピングを付与できる様子を図4に与える。同図
は、除振台に印加したある運動モードの力からある運動
モードの加速度までの周波数特性、すなわちアクセレラ
ンスである。図中には、5個の共振ピークが明確に認識
できている。Aで指し示す一番低い周波数の振動モード
に減衰を与えるべく、この振動モードにダンピングを与
えるゲインを調整した(図1に即して言えば、積分補償
器10のゲインを操作する)。減衰を掛けていない状態
の点線のカーブから、この振動モードに対して減衰を付
与していくと破線のカーブとなり、更にゲインを増加す
ると実線のように共振ビークをつぶすことができる。こ
のような振動モードに対するダンピング調整において
は、Aで指し示す振動モード以外の振動モードに対して
全く減衰が掛かっていない。着目する振動モードに対し
てのみ減衰を掛けることができている。
【0051】しかしながら、従来の運動モード別にダン
ピングを付与するループ構成の場合、ある運動モードに
対するダンピングの調整を行ったとき、図4に現われて
いるほとんど全ての共振ピークを下げるように機能す
る。従って、各運動モードに関する調整を実施していく
と、次第に、共振ピークに対する減衰がより多く掛かっ
てしまうという、所謂過制動の状態を招いていた。周知
のように、過制動の状態は、位置決め収束波形を緩慢な
ものとしてしまう。過制動の状態から抜け出るには、運
動モードに対する一通りの調整を終えた後であって、既
に調整済みの加速度に関する運動モードのゲイン調整を
再度実施せねばならない、という煩雑さがあった。しか
るに、振動モード別のループ構成では、各振動モードに
対して独立にダンピングを付与することができるので、
過剰なダンピングを付与する原理的な問題はないのであ
る。従って、各振動モードを順番に1回だけ調整すれば
よいことになる。
【0052】[第4の実施例]上記した第1〜第3の実
施例(図1,図2,図3,図15参照)において、除振
台の位置決め姿勢を良好に整定させるには、各振動の共
振ピークを抑制すべくダンピングを付与する必要があ
る。この際、共振ピークを各独立に抑制できれば好まし
い。なんとなれば、共振ピークの抑圧量の大小が除振台
の整定性を左右するからである。しかし、共振ピークの
抑制は大きければよい訳ではない。抑制が強過ぎると、
所謂過制動の状態になって、除振台22の動きが緩慢に
なる。共振ピークを抑制する量は、位置決め整定性に深
く関与している。
【0053】そして、運動モード別と振動モード別とい
う制御構造の差異が共振ピークの抑制の仕方に決定的な
違いをもたらす。この違いを、3種類の振動の共振ピー
クを持つ図5の周波数特性を使って説明する。同図
(a)は、ダンピングをかけていないときの、例えば力
から加速度までの周波数特性を表す。ここでは、3つの
先鋭的な共振ピークが在る。振動モード別非干渉化制御
系では、次のようにダンピングを掛けていくことができ
る。
【0054】まず、この共振ピークの中で最低周波数の
共振ピークに対してダンピングを与える。すると、同図
(b)のように共振ピークは抑制されて破線のようにな
る。しかし、2番目及び3番目の共振ピークにはダンピ
ングが掛からない。次に、2番目の共振ピークに対して
ダンピングを掛けて同図(c)を得る。既にダンピング
を付与した1番目の共振ピーク及び3番目の共振ピーク
には、影響を及ぼすことなく2番目の共振ピークにのみ
ダンピングを付与できる。このようなダンピングの与え
方は、各振動モードに独立な調整を行えるので除振台の
位置決め整定性にとって好ましい。
【0055】一方、運動モード別非干渉化制御系におけ
る調整の状態を図5を参照して説明しよう。1番目の共
振ピークにダンピングを与えるべく調整を行うと、支配
的には1番目の共振ピークに対してダンピングを与え
る。しかし、2番目および3番目の共振ピークに対して
も若干のダンピングを付与してしまう。次に、2番目の
共振ピークに対してダンピングを付与する調整を行う。
このとき、支配的には2番目の共振ピークに対してダン
ピングを付与するが、既に調整済の1番目の共振に対し
てもダンピングをさらに付加してしまう。注意しない
と、1番目の共振に対しては過剰なダンピングを付与し
てしまい、従って位置決めを緩慢なものとしてしまう危
険がある。
【0056】上述した、ダンピング調整の違いは、振動
制御ループが振動モード別であるか、あるいは運動モー
ド別であるかというフィードバック構造に起因する。勿
論、前者の振動モード別制御系の方が、ダンピング付与
の調整が優れており、従って、位置決め整定性を向上せ
しめる能力は高い。
【0057】さて、従来の運動モード抽出演算手段2と
運動モード分配演算手段4であるが、前者は位置センサ
POの、後者は空気ばねアクチュエータASの幾何学的
配置によって定まっていた。従って、除振台の重心が判
明しており、位置センサPOと空気ばねアクチュエータ
ASを配置する座標が判明すれば、容易に実装できる。
幾何学的情報は、機械図面が完備していれば容易に判明
するので、運動モード別非干渉化制御系の実現に際して
技術的な困難はない。
【0058】一方、振動モード別非干渉化制御系は、振
動モードごと個別のダンピング調整をすることができる
ので、除振台22の位置決め整定性を良好となすことが
できる。しかしながら、振動モード別非干渉化制御系に
おける振動モード抽出演算手段9aと振動モード分配演
算手段11aは、幾何学的な配置によるものではなし
に、モード解析を行った結果として求められるものであ
った。従って、運動モード別非干渉化制御系に比べれ
ば、実装に際しての困難があった。なんとなれば、理論
的には質量行列Mと剛性行列Kによってモード行列φを
算出するので、これら行列を数値として求めねばならな
いからである。アクティブ除振動装置を眼前にして質量
行列Mと剛性行列Kとを算出する作業は苦労かつ煩雑の
極みである。なんとなれば、MとKを算出するための同
定行為は、直接に装置の性能を向上する作業ではないた
め敬遠されるし、その上、測定には長い時間が掛かるか
らである。その上、得られたMとKとを使って算出した
モード行列φを使って構成する振動モード別非干渉化制
御系の動作は、MとKの値の信頼性が低いために、良好
なものとならないことが知られていた。
【0059】つまり、振動モード別非干渉化制御系は、
運動モード別非干渉化制御系に比べれば除振台の位置決
め整定性をきめ細かく調整できる制御系の構造であっ
て、勿論各軸独立のフィードバックに比較すれば格段に
優れた除振・制振性能を実現できた。しかし、残念なこ
とに、振動モード別非干渉化制御系を実現するに際して
は、モード行列φを簡便かつ短時間で、しかも精度よく
求める方法がないという課題が残されていた。
【0060】第1〜第3の実施例に示した振動モード別
非干渉化制御系をアクティブ除振装置に実現する際、意
図どおりに動作するための鍵はモード行列の算出にあ
る。この算出精度が悪いと、
【従来の技術】の項で説明した運動モード別非干渉化制
御系と同程度の調整しかできない。すなわち、ダンピン
グ調整によって着目する共振ピークを主体的には抑制す
るのであるが、隣接する共振ピークにも影響を与えてし
まうことになる。
【0061】振動モード別非干渉化制御系の特長は、共
振ピークを各独立に抑制するというダンピング調整がで
きることある。この特長が損なわれるのであれば、運動
モード別非干渉化制御系から振動モード別非干渉化制御
系へと設計変更する必要はないと言わざるを得ない。
【0062】つまり、振動モード別非干渉化制御系の特
長を享受する鍵は、モード行列φの高精度な算出にあっ
た。加えて、アクティブ除振装置が組み込まれる露光装
置は、産業用の生産装置であるため、モード行列φを算
出するに当たっては、簡便かつ短時間なものであること
も望まれていた。
【0063】従来、除振台を加振することによって、慣
性行列Mと剛性行列Kを求め、これらよりφを求めてい
た(第1の実施例(3)式参照)。しかし、MとKを求
めてからφを求める作業は煩雑であって、かつ得られる
φの値の精度は、振動モード制御を構成するに際して問
題であった。
【0064】そこで、本実施例では、MとKを算出する
ことなく、実機を使った実測データに基づいてモード行
列Mを算出し、このφを振動モード別非干渉化制御系に
使用することを案出した。
【0065】まず、時間応答に基づくφの算出手順を説
明する。時間応答データに基づく方法では、プローニー
の方法が知られている。これは、インパルス入力に対す
る位置決め対象物の時間応答波形から、振動モードを知
る方法である。しかし、インパルスは、時間幅ゼロで無
限大の振幅を有する理想的な波形であって、実際の機械
にこの波形を入力することはできない。従って、本実施
例では、有限の時間幅と振幅とを有する擬似インパルス
を(アクチュエータに)入力する。ここで、入力方法で
あるが、上述の擬似インパルスによる駆動によって、機
構系が持つ全ての共振ピークを励振できることが、短時
間の測定と高精度化を図るために必要である。
【0066】勿論、擬似インパルスの入力に対する応答
は、機械系が安定ならば時間経過後に収束する。よっ
て、適切な時間経過後に、すなわち応答が十分収束した
後に、再び擬似インパルスを入力して時間応答波形を捕
捉する。もって、統計的な処理を施して、時間応答から
取得するモード行列φの精度を上げることができる。こ
の様子を図6に与える。擬似インパルスは、波高値V0
で時間幅△tの孤立パルスである。まず、上段に示す最
初の擬似インパルスの入力によって、下段のように除振
台のある部位が応答する。この応答波形は、時間経過後
には収束する。十分に収束した後、再び擬似インパルス
を入力して、応答を生じさせて、同一の擬似インパルス
に対する2回目の応答波形を取得することによって、応
答データの統計的な信頼性向上を図ることができる。勿
論、擬似インパルスの入力回数を2回に限ることなく複
数回入力することによって、信頼性のより一層の向上が
図れることは言うまでもない。なお、図6において、擬
似インパルスと次の擬似インパルスの時間間隔はt1
なっている。この時間は、先にも述べたように応答波形
が十分収束するに要する時間である。
【0067】さて、図6に示すような矩形状の擬似イン
パルスが有する周波数スペクトラムPは、すべての周波
数帯域にわたってエネルギーを有してはいない。Pの形
状は、周波数零を中心とする最大振幅を有するメインロ
ーブが在って、周波数の増加に伴って、より振幅の小さ
いサイドローブが繰り返し現れるという形状になる。す
なわち、スペクトラムが零になる特異な周波数が繰り返
し現れる。△tを小さくとるほど、広帯域にわたる加振
が可能になる。反対に、△tを大きくとると有意な加振
が行える周波数帯域は狭くなる。注意すべきことは、メ
インローブにあってしかもスペクトラムの振幅が減衰し
ない周波数範囲に全ての振動モードが含まれているよう
に、△tを選択せねばならないことである。換言する
と、擬似インパルスの時間幅△tは、除振台が有する全
振動モードをほぼ等しい加振力で励振するスペクトラム
となるように選択される。
【0068】次に、擬似インパルスの入力部位とその方
法を説明する。まず、除振台22を、平衡位置近傍の浮
上させておく。従って、図7を参照して、電圧電流(V
I)変換器7の入力には、除振台22を浮上させておく
に必要な電圧をバイアス設定手段13から与える。ここ
では、閉ループ系の働きを排除した除振台22の支持特
性を得るために、空気ばねアクチュエータASおよびリ
ニアモータLMは開ループの状態にて測定を行う。つま
り、位置センサPOの出力に基づく空気ばねアクチュエ
ータASを使った位置制御、およびリニアモータLMを
使った振動制御は実施しないことが原則的な条件とな
る。
【0069】しかしながら、ダンピングを付与していな
い場合、除振台22を平衡位置近傍に安定に定位させて
おくことができない場合がある。この場合、空気ばねア
クチュエータASを使って、(1)弱い位置制御を掛け
ておくか、若しくは(2)位置制御に加えて弱いダンピ
ングも掛けておく。
【0070】このように、空気ばねアクチュエータAS
で支持される除振台の開ループとしての特性を可能な限
り保存するようにして、リニアモータLMにインパルス
入力を模擬する擬似インパルスを入力する。このときの
除振台22の時間応答波形を取得することによって、モ
ード行列φを算出する。
【0071】ここで、擬似インパルスを入力する駆動軸
は、図7に示すように、例えばLM−Z2とLM−Z3
の同時駆動、あるいはLM−Z3とLM−Y3の同時駆
動等が好適である。この駆動に限ることはないが、一つ
の能動的支持脚23におけるリニアモータLMの駆動
が、除振台22をXYZ直交軸に関して斜め方向に加振
し、その結果全ての運動モードの変位を生じさせる加振
方位が好適と言える。
【0072】この観点にたつと、例えばLM−Z1を駆
動軸には選択しない方がよい。理想的な駆動が行われた
場合には、この駆動によってY軸回りの回転変位が発生
せず、従って振動モードを励起しないからである。
【0073】例えば、LM−Z2とLM−Y2を同時の
駆動軸となして擬似インパルスを入力した場合、全ての
加速度センサAC−Z1,AC−Z2,AC−Z3,A
C−X1,AC−Y2,AC−Y3の出力波形をデータ
として取得する。すなわち、同時の擬似インパルス入力
からAC−Z1,AC−Z2,AC−Z3,AC−X
1,AC−Y2,AC−Y3までの6個の時間応答波形
を取得する(擬似インパルスの入力に対する除振台の時
間応答波形を振動計測手段または位置計測手段にて計測
する)。
【0074】次に、6個の時間応答波形の(周波数)分
析を行う。具体的には、周波数分析を行って、振動モー
ドが各時間波形にどの程度含まれており、各振動モード
の位相がどのような関係になっているかを調べることに
よって、モード行列φの各要素の値を知る(周波数分析
の工程から除振台のモード行列を算出する)ことができ
る。
【0075】上述した時間応答に基づくモード行列φの
算出に際しては、除振台22そのものの応答を使ってい
る。しかも、測定に時間を要しない。従って、実機の時
間応答波形の分析に基づくモード行列φの算出によっ
て、実機の特性を反映した精度の高いモード行列φを算
出することができる。そして、このモード行列φを使っ
て、振動モード別非干渉化制御系の動作を確実なものに
することができるのである。
【0076】以上をまとめて、図8に時間応答に基づく
モード行列φの算出フローチャートとして示す。ステッ
プS801では、擬似インパルスの加振軸を選択する。
除振台が有する全ての振動モードを励起できるような部
位と方位とを選ぶことが望ましい。振動モードを全て励
起できる加振軸は、除振台を支える能動的支持脚の本
数、配置、そして除振台の重心に依存する。従って、全
てのアクティブ除振装置に当てはまる一般化はできな
い。しかし、少なくとも3脚の能動的支持脚23で支持
した除振台であって、除振台22の略中心に重心が存在
する場合、能動的支持脚23−2内のリニアモータLM
−Z2,LM−Y2の同時駆動、あるいは能動的支持脚
23−3内のリニアモータLM−Z3,LM−Y3の同
時駆動が望ましい。ステップS802では、擬似インパ
ルスの入力に対する全加速度センサACの時間波形を同
時計測する。ステップS803では、同時計測した時間
波形を周波数分析する。ステップS804では、周波数
分析の結果よりモード行列φを算出する。ステップS8
05では、算出したモード行列φを使って、これを振動
モード別非干渉化制御系の中の構成要素であるところの
振動モード抽出演算手段9aと振動モード分配演算手段
11aの実現のために使用する。
【0077】なお、除振台の支持特性が、機械ごとにば
らつきを持つ場合がある。迅速な装置生産の側面から
は、一種類のモード行列φを実装した振動モード別非干
渉化制御系となしたい。すなわち、装置の生産、保守、
管理の側面からは、装置ごとに数値が異なるモード行列
φを使うことは好ましくない。しかしながら、装置のば
らつきの発生を回避することができない場合には、装置
ごとに異なる数値を有するモード行列φを使用せざるを
得ない。このとき、装置ごとに迅速かつ高精度でモード
行列φを算出することができれば、少なくとも装置の安
定な生産を阻害することにはならない。この点、時間応
答に基づくモード行列φの算出は優れている。
【0078】[第5の実施例]時間応答波形を取得する
という方法に代えて、周波数応答を取得することによっ
てもモード行列φを算出することができる。時間応答に
比べて測定に若干の時間が掛かるが、より精度の高い測
定が行える。
【0079】さて、時間応答に基づくφの算出と同様
に、掃引する正弦波の駆動信号に対して、全ての振動モ
ードを励振する必要がある。このような加振を行ったと
き、各能動的支持脚23に内蔵する振動センサまでの周
波数応答が取得できる。図1の場合、加速度センサAC
−Z1,AC−Z2,AC−Z3,AC−X1,AC−
Y2,AC−Y3までの応答が取得できる。すなわち、
少なくとも6個の周波数応答が取得できる。そして、こ
の周波数応答のデータをナイキスト線図ヘと変換する。
ナイキスト線図上には、各振動モードに応じた円が描け
る。この円は少なくとも振動モードの数だけは存在す
る。そして、一個一個の円に対して1自由度としての円
適合(カーブフィッテング)を行う。すると、モード行
列φの各要素の数値を算出することができる。このよう
な計算を、全ての周波数応答に対して適用することによ
って、モード行列φの各要素を決定することができる。
【0080】得られたモード行列φは、振動モード別非
干渉化制御系を構築するにあたって、振動モード抽出演
算手段9aと振動モード分配演算手段11aを実現する
ために使用する。
【0081】ここで、φを精度よく同定するには、能動
的支持脚23によって支えられた除振台が有する全振動
モードを励振する必要がある。振動を励起しない、若し
くは励振が不十分な加振を行って得られた周波数応答か
らは、モード行列φを算出できないことは明らかであ
る。対象の振動モードをすべて励振することができて、
はじめてモード行列φが算出できる。
【0082】振動モードを全て励起できる加振軸は、除
振台を支える能動的支持脚の本数、配置、そして除振台
の重心に依存する。従って、全てのアクティブ除振装置
に当てはまる一般化はできない。しかし、少なくとも3
脚の能動的支持脚23で支持した除振台であって、除振
台22の略中心に重心が存在する場合、能動的支持脚2
3−2内のリニアモータLM−Z2,LM−Y2の同時
駆動、あるいは能動的支持脚23−3内のリニアモータ
LM−Z3,LM−Y3の同時駆動が望ましい。以上の
ことを、周波数応答に基づくモード行列φの算出フロー
チャートとして図9に示す。
【0083】ステップS901では、図8のステップS
801と同様に、掃引正弦波信号を(アクチュエータ
に)入力して除振台を加振する軸を選択する。除振台が
有する全ての振動モードを励起できるような部位と方位
とを選ぶことが望ましい。ステップS902では、加振
軸に印加した掃引正弦波信号から全加速度センサACま
での周波数応答を同時計測する。ステップS903で
は、測定した周波数応答をナイキスト線図へと変換す
る。ナイキスト線図ごとに、少なくとも振動モードの数
だけの大小の円が描画される。これらの円ごとに1自由
度としての円適合(カーブフィッティング)を行う。ス
テップS904では、円適合の結果から、モード行列φ
の要素の数値を決定する。ステップS905では、得ら
れたモード行列φを、振動モード別非干渉化制御系にお
ける振動モード抽出演算手段9aと振動モード分配演算
手段11aの実装のために使用する。
【0084】なお、モード行列φを算出する際、時間応
答に基づく方法と周波数応答に基づく方法の何れの場合
も、加速度センサACまでの応答を取得した。しかし、
時間応答にしろ周波数応答にしろ、応答は加速度センサ
ACの出力に限ることはない。位置センサPOまでの時
間応答若しくは周波数応答を取得することによってモー
ド行列φを算出しても構わない。
【0085】また、能動的支持脚23に内蔵する位置計
測手段と振動計測手段に限ることなく、除振台に別途の
位置計測手段と振動計測手段を設置し、これらの応答を
取得することによってモード行列φを算出してもよい。
【0086】さらに、本実施例では、空気ばねアクチュ
エータで支持された除振台を対象にして、モード行列φ
を算出する方法、および得られたモード行列φを用いて
なる振動モード別非干渉化制御系を示した。勿論、本実
施例の適用は、アクティブ除振装置に限定されるもので
はない。建築構造物、橋梁、位置決め機構等の振動抑制
のためにもモード行列φが必要であって、この算出に本
実施例が適用できることは言うまでもない。
【0087】なお、上記した第1の実施例〜第5の実施
例においてそれぞれ説明してきたアクティブ除振装置
(モード行列の算出方法)を露光装置における除振装置
として好適に備え、半導体等のデバイスを製造すること
が可能である。
【0088】[半導体生産システムの実施例]次に、上
記説明した露光装置を利用した半導体等のデバイス(I
CやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄
膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の生産システムの例
を説明する。これは、半導体製造工場に設置された製造
装置のトラブル対応や定期メンテナンス、若しくはソフ
トウェア提供等の保守サービスを、製造工場外のコンピ
ュータネットワーク等を利用して行うものである。
【0089】図10は、全体システムをある角度から切
り出して表現したものである。図中、101は半導体デ
バイスの製造装置を提供するベンダ(装置供給メーカ)
の事業所である。製造装置の実例として、半導体製造工
場で使用する各種プロセス用の半導体製造装置、例え
ば、前工程用機器(露光装置、レジスト処理装置、エッ
チング装置等のリソグラフィ装置、熱処理装置、成膜装
置、平坦化装置等)や後工程用機器(組立て装置、検査
装置等)を想定している。事業所101内には、製造装
置の保守データベースを提供するホスト管理システム1
08、複数の操作端末コンピュータ110、これらを結
んでイントラネット等を構築するローカルエリアネット
ワーク(LAN)109を備える。ホスト管理システム
108は、LAN109を事業所の外部ネットワークで
あるインターネット105に接続するためのゲートウェ
イと、外部からのアクセスを制限するセキュリティ機能
を備える。
【0090】一方、102〜104は、製造装置のユー
ザとしての半導体製造メーカの製造工場である。製造工
場102〜104は、互いに異なるメーカに属する工場
であっても良いし、同一のメーカに属する工場(例え
ば、前工程用の工場、後工程用の工場等)であっても良
い。各工場102〜104内には、夫々、複数の製造装
置106と、それらを結んでイントラネット等を構築す
るローカルエリアネットワーク(LAN)111と、各
製造装置106の稼動状況を監視する監視装置としてホ
スト管理システム107とが設けられている。各工場1
02〜104に設けられたホスト管理システム107
は、各工場内のLAN111を工場の外部ネットワーク
であるインターネット105に接続するためのゲートウ
ェイを備える。これにより各工場のLAN111からイ
ンターネット105を介してベンダ101側のホスト管
理システム108にアクセスが可能となり、ホスト管理
システム108のセキュリティ機能によって限られたユ
ーザだけがアクセスが許可となっている。具体的には、
インターネット105を介して、各製造装置106の稼
動状況を示すステータス情報(例えば、トラブルが発生
した製造装置の症状)を工場側からベンダ側に通知する
他、その通知に対応する応答情報(例えば、トラブルに
対する対処方法を指示する情報、対処用のソフトウェア
やデータ)や、最新のソフトウェア、ヘルプ情報等の保
守情報をベンダ側から受け取ることができる。各工場1
02〜104とベンダ101との間のデータ通信および
各工場内のLAN111でのデータ通信には、インター
ネットで一般的に使用されている通信プロトコル(TC
P/IP)が使用される。なお、工場外の外部ネットワ
ークとしてインターネットを利用する代わりに、第三者
からのアクセスができずにセキュリティの高い専用線ネ
ットワーク(ISDN等)を利用することもできる。ま
た、ホスト管理システムはベンダが提供するものに限ら
ずユーザがデータベースを構築して外部ネットワーク上
に置き、ユーザの複数の工場から該データベースへのア
クセスを許可するようにしてもよい。
【0091】さて、図11は、本実施形態の全体システ
ムを図10とは別の角度から切り出して表現した概念図
である。先の例では、それぞれが製造装置を備えた複数
のユーザ工場と、該製造装置のベンダの管理システムと
を外部ネットワークで接続して、該外部ネットワークを
介して各工場の生産管理や少なくとも1台の製造装置の
情報をデータ通信するものであった。これに対し本例
は、複数のベンダの製造装置を備えた工場と、該複数の
製造装置のそれぞれのベンダの管理システムとを工場外
の外部ネットワークで接続して、各製造装置の保守情報
をデータ通信するものである。図中、201は製造装置
ユーザ(半導体デバイス製造メーカ)の製造工場であ
り、工場の製造ラインには各種プロセスを行う製造装
置、ここでは例として露光装置202、レジスト処理装
置203、成膜処理装置204が導入されている。な
お、図11では、製造工場201は1つだけ描いている
が、実際は複数の工場が同様にネットワーク化されてい
る。工場内の各装置はLAN206で接続されてイント
ラネット等を構成し、ホスト管理システム205で製造
ラインの稼動管理がされている。一方、露光装置メーカ
210、レジスト処理装置メーカ220、成膜装置メー
カ230等、ベンダ(装置供給メーカ)の各事業所に
は、それぞれ供給した機器の遠隔保守を行うためのホス
ト管理システム211,221,231を備え、これら
は上述したように保守データベースと外部ネットワーク
のゲートウェイを備える。ユーザの製造工場内の各装置
を管理するホスト管理システム205と、各装置のベン
ダの管理システム211,221,231とは、外部ネ
ットワーク200であるインターネット若しくは専用線
ネットワークによって接続されている。このシステムに
おいて、製造ラインの一連の製造機器の中のどれかにト
ラブルが起きると、製造ラインの稼動が休止してしまう
が、トラブルが起きた機器のベンダからインターネット
200を介した遠隔保守を受けることで迅速な対応が可
能で、製造ラインの休止を最小限に抑えることができ
る。
【0092】半導体製造工場に設置された各製造装置は
それぞれ、ディスプレイと、ネットワークインタフェー
スと、記憶装置にストアされたネットワークアクセス用
ソフトウェアならびに装置動作用のソフトウェアを実行
するコンピュータを備える。記憶装置としては内蔵メモ
リやハードディスク、若しくはネットワークファイルサ
ーバ等である。上記ネットワークアクセス用ソフトウェ
アは、専用又は汎用のウェブブラウザを含み、例えば図
12に一例を示す様な画面のユーザインタフェースをデ
ィスプレイ上に提供する。各工場で製造装置を管理する
オペレータは、画面を参照しながら、製造装置の機種4
01、シリアルナンバー402、トラブルの件名40
3、発生日404、緊急度405、症状406、対処法
407、経過408等の情報を画面上の入力項目に入力
する。入力された情報はインターネットを介して保守デ
ータベースに送信され、その結果の適切な保守情報が保
守データベースから返信されディスプレイ上に提示され
る。また、ウェブブラウザが提供するユーザインタフェ
ースは、さらに図示のごとくハイパーリンク機能41
0,411,412を実現し、オペレータは各項目の更
に詳細な情報にアクセスしたり、ベンダが提供するソフ
トウェアライブラリから製造装置に使用する最新バージ
ョンのソフトウェアを引出したり、工場のオペレータの
参考に供する操作ガイド(ヘルプ情報)を引出したりす
ることができる。ここで、保守データベースが提供する
保守情報には、上記説明した本発明に関する情報も含ま
れ、また前記ソフトウェアライブラリは本発明を実現す
るための最新のソフトウェアも提供する。
【0093】次に、上記説明した生産システムを利用し
た半導体デバイスの製造プロセスを説明する。図13
は、半導体デバイスの全体的な製造プロセスのフローを
示す。ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回
路設計を行う。ステップ2(マスク製作)では設計した
回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステ
ップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウ
エハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工
程と呼ばれ、上記用意したマスクとウエハを用いて、リ
ソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成す
る。次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ス
テップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チッ
プ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、
ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等
の組立て工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ
5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久
性テスト等の検査を行う。こうした工程を経て半導体デ
バイスが完成し、これを出荷(ステップ7)する。前工
程と後工程はそれぞれ専用の別の工場で行い、これらの
工場毎に上記説明した遠隔保守システムによって保守が
なされる。また、前工程工場と後工程工場との間でも、
インターネットまたは専用線ネットワークを介して生産
管理や装置保守のための情報等がデータ通信される。
【0094】図14は、上記ウエハプロセスの詳細なフ
ローを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を
酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に
絶縁膜を成膜する。ステップ13(電極形成)ではウエ
ハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イ
オン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ
15(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。
ステップ16(露光)では上記説明した露光装置によっ
てマスクの回路パターンをウエハに焼付露光する。ステ
ップ17(現像)では露光したウエハを現像する。ステ
ップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の
部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエ
ッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。こ
れらのステップを繰り返し行うことによって、ウエハ上
に多重に回路パターンを形成する。各工程で使用する製
造機器は上記説明した遠隔保守システムによって保守が
なされているので、トラブルを未然に防ぐと共に、もし
トラブルが発生しても迅速な復旧が可能で、従来に比べ
て半導体デバイスの生産性を向上させることができる。
【0095】
【発明の効果】以上詳しく説明したように、本発明のア
クティブ除振装置、モード行列の算出方法による効果は
以下の通りである。 (1)従来のアクティブ除振装置においては、運動モー
ド別にダンピングが付与されていた。従って、順次に運
動モードごとのダンピング調整を行っていくと、過剰な
ダンピングを付与してしまうことがあった。しかるに、
本発明によれば、個々の振動モードに対してダンピング
が個別に付与できる。従って、従来のように隣接する振
動モードにまでダンピングを付与することがないので過
制動に陥る危険はなく、除振台の姿勢を好適に調整する
ことができる、という効果がある。 (2)その結果として、アクティブ除振装置によって支
持される除振台に搭載される精密機器、例えばステージ
の位置決め精度および整定時間を短縮することができ
る。また、除振台に搭載の精密計測機器が持つ機械共振
を不用意に励起することがないという効果がある。 (3)能動的支持脚によって支えられた除振台の全振動
モードを励起することができる。 (4)従って、モード行列φ算出のための労力を省きつ
つ、かつモード行列φを精度よく求めることができる。 (5)実測結果に基づいた高精度のモード行列を用いて
振動モード別非干渉化制御系を構築できる。すなわち、
実機の特性を忠実に反映した振動モード別非干渉化制御
系をアクティブ除振装置に対して構築することができ
る。 (6)アクティブ除振装置の効果的な調整は、特に、同
装置に搭載されるXYステージの位置決め整定性向上に
資する。以って、露光装置の生産性に寄与するところ大
という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例に係るダンピング付与
のためのフィードバックループに組み込んだアクティブ
除振装置を示す図である。
【図2】 本発明の第2の実施例に係るダンピング付与
の調整を振動モード別に行うためのアクティブ除振装置
の装置構成を示す図である。
【図3】 本発明の第3の実施例に係る第2の実施例の
変形のアクティブ除振装置の装置構成を示す図である。
【図4】 本発明の第3の実施例に係るアクティブ除振
装置に対して周波数応答を使って振動モード別にダンピ
ングを付与できる様子を示す図である。
【図5】 本発明の第4の実施例に係るアクティブ除振
装置の共振ピークの抑制の仕方を示す図である。
【図6】 本発明の第4の実施例に係るアクティブ除振
装置の擬似インパルスと時間応答を示す図である。
【図7】 本発明の第4の実施例に係るアクティブ除振
装置への擬似インパルス若しくは掃引正弦波信号の印加
を示す図である。
【図8】 本発明の第4の実施例に係る時間応答に基づ
くモード行列の算出フローチャートである。
【図9】 本発明の第5の実施例に係る周波数応答に基
づくモード行列φの算出フローチャートである。
【図10】 本発明の一実施例に係る露光装置を含む半
導体デバイスの生産システムをある角度から見た概念図
である。
【図11】 本発明の一実施例に係る露光装置を含む半
導体デバイスの生産システムを別の角度から見た概念図
である。
【図12】 本発明の一実施例に係る露光装置を含む半
導体デバイスの生産システムにおけるユーザインタフェ
ースの具体例を示す図である。
【図13】 本発明の一実施例に係る露光装置によるデ
バイスの製造プロセスのフローを説明する図である。
【図14】 本発明の一実施例に係る露光装置によるウ
エハプロセスを説明する図である。
【図15】 従来例に係るハイブリッド化したアクティ
ブ除振装置の装置構成図である。
【図16】 図15の除振台に対して施される従来のア
クティブ除振装置のフィードバック構成を示す図であ
る。
【符号の説明】
1:位置目標値出力部、2:位置信号に関する運動モー
ド抽出演算手段、3,3’:位置に関するPI補償器、
4:運動モード分配演算手段、5:圧力検出器、6:圧
力に関するPI補償器、7:電圧電流(VI)変換器、
8:圧力目標値出力部、9:加速度に関する運動モード
抽出演算手段、9a:振動モード抽出演算手段、9b:
一括の振動モード抽出演算手段、10:積分補償器、1
1:運動モード分配演算手段、11a:振動モード分配
演算手段、11b:一括の振動モード分配演算手段、1
2:ドライバ、13:バイアス設定手段、15,16:
ゲイン補償器、21:XYステージ、22:除振台、2
3−1,23−2,23−3:能動的支持脚、PO:位
置センサ、AC:加速度センサ、SV:サーボバルブ、
PR:圧力センサ、LM:リニアモータ、AS:空気ば
ねアクチュエータ、101:ベンダの事業所、102,
103,104:製造工場、105:インターネット、
106:製造装置、107:工場のホスト管理システ
ム、108:ベンダ側のホスト管理システム、109:
ベンダ側のローカルエリアネットワーク(LAN)、1
10:操作端末コンピュータ、111:工場のローカル
エリアネットワーク(LAN)、200:外部ネットワ
ーク、201:製造装置ユーザの製造工場、202:露
光装置、203:レジスト処理装置、204:成膜処理
装置、205:工場のホスト管理システム、206:工
場のローカルエリアネットワーク(LAN)、210:
露光装置メーカ、211:露光装置メーカの事業所のホ
スト管理システム、220:レジスト処理装置メーカ、
221:レジスト処理装置メーカの事業所のホスト管理
システム、230:成膜装置メーカ、231:成膜装置
メーカの事業所のホスト管理システム、401:製造装
置の機種、402:シリアルナンバー、403:トラブ
ルの件名、404:発生日、405:緊急度、406:
症状、407:対処法、408:経過、410,41
1,412:ハイパーリンク機能。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/30 503F

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 除振台と、該除振台を駆動する複数のア
    クチュエータと、該除振台の振動を検出する複数の振動
    計測手段と、該除振台の変位を検出する複数の位置計測
    手段とを備え、 前記振動計測手段の出力に基づく振動モードごとの振動
    制御ループと、 前記位置計測手段の出力に基づく運動モードごとの位置
    制御ループと、 を具備することを特徴とするアクティブ除振装置。
  2. 【請求項2】 前記アクティブ除振装置は、運動モード
    加速度信号を振動モード加速度信号へと変換する振動モ
    ード抽出演算手段と、運動モードに対するダンピング発
    生のための駆動信号へと変換する振動モード分配演算手
    段とを有し、振動モードごとにダンピングを掛けること
    を特徴とする請求項1に記載のアクティブ除振装置。
  3. 【請求項3】 前記複数のアクチュエータは、複数の空
    気ばねアクチュエータと複数の電磁アクチュエータとで
    あって、 振動モードごとの前記振動制御ループによって前記電磁
    アクチュエータを駆動し、運動モードごとの前記位置制
    御ループによって前記空気ばねアクチュエータを駆動す
    ることを特徴とする請求項1または2に記載のアクティ
    ブ除振装置。
  4. 【請求項4】 前記複数のアクチュエータは、複数の空
    気ばねアクチュエータであって、 振動モードごとの前記振動制御ループと、運動モードご
    との前記位置制御ループとによって、前記空気ばねアク
    チュエータを駆動することを特徴とする請求項1または
    2に記載のアクティブ除振装置。
  5. 【請求項5】 前記振動計測手段は、加速度センサ若し
    くは速度センサであることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれかに記載のアクティブ除振装置。
  6. 【請求項6】 除振台と、該除振台を駆動する複数のア
    クチュエータと、該除振台の振動を検出する複数の振動
    計測手段と、該除振台の変位を検出する複数の位置計測
    手段とを備えて該除振台を能動的に支持するアクティブ
    除振装置におけるモード行列の算出方法において、 擬似インパルスを前記アクチュエータに入力する工程
    と、 前記擬似インパルスの入力に対する前記除振台の時間応
    答波形を前記振動計測手段または前記位置計測手段にて
    計測する工程と、 前記時間応答波形を周波数分析する工程と、 前記周波数分析の工程から前記除振台のモード行列を算
    出する工程とからなることを特徴とするモード行列の算
    出方法。
  7. 【請求項7】 前記擬似インパルスの時間幅は、前記ア
    クチュエータで支持された除振台が有する振動モードに
    対して等しい加振力を与えるスペクトラムであることを
    特徴とする請求項6に記載のモード行列の算出方法。
  8. 【請求項8】 除振台と、該除振台を駆動する複数のア
    クチュエータと、該除振台の振動を検出する複数の振動
    計測手段と、該除振台の変位を検出する複数の位置計測
    手段とを備えて該除振台を能動的に支持するアクティブ
    除振装置におけるモード行列の算出方法において、 掃引正弦波信号を前記アクチュエータに入力する工程
    と、 前記掃引正弦波信号から前記振動計測手段または前記位
    置計測手段までの応答を周波数応答として計測する工程
    と、 前記周波数応答をナイキスト線図へと変換するととも
    に、該ナイキスト線図に表れる少なくとも除振台の振動
    モードの数だけの円に円適合させる1自由度力学系とし
    てのパラメータを算出する工程と、 前記円適合の結果からモード行列を算出する工程とから
    なることを特徴とするモード行列の算出方法。
  9. 【請求項9】 前記アクチュエータは、電磁アクチュエ
    ータであることを特徴とする請求項6または8に記載の
    モード行列の算出方法。
  10. 【請求項10】 請求項6〜9のいずれかに記載のモー
    ド行列の算出方法を備えたアクティブ除振装置であっ
    て、前記複数の振動計測手段の出力から前記除振台の振
    動モードを抽出する振動モード抽出演算手段と、前記振
    動モード抽出手段の出力に対し適切な補償を施した信号
    を前記アクチュエータに分配するための振動モード分配
    演算手段とを有する振動モード別非干渉化制御系を備
    え、前記振動モード抽出演算手段と前記振動モード分配
    演算手段の実装のため、前記モード行列の算出方法によ
    る該モード行列を実装してなることを特徴とするアクテ
    ィブ除振装置。
  11. 【請求項11】 原版に形成された回路パターンを投影
    光学系を介して基板ステージ上の感光基板に転写する露
    光装置であって、 請求項1、2、3、4、5、10のいずれかに記載のア
    クティブ除振装置を露光装置における除振装置として備
    えることを特徴とする露光装置。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の露光装置を含む各
    種プロセス用の製造装置群を半導体製造工場に設置する
    工程と、該製造装置群を用いて複数のプロセスによって
    半導体デバイスを製造する工程とを有することを特徴と
    する半導体デバイス製造方法。
  13. 【請求項13】 前記製造装置群をローカルエリアネッ
    トワークで接続する工程と、前記ローカルエリアネット
    ワークと前記半導体製造工場外の外部ネットワークとの
    間で、前記製造装置群の少なくとも1台に関する情報を
    データ通信する工程とをさらに有することを特徴とする
    請求項12に記載の半導体デバイス製造方法。
  14. 【請求項14】 前記露光装置のベンダ若しくはユーザ
    が提供するデータベースに前記外部ネットワークを介し
    てアクセスしてデータ通信によって前記製造装置の保守
    情報を得る、若しくは前記半導体製造工場とは別の半導
    体製造工場との間で前記外部ネットワークを介してデー
    タ通信して生産管理を行うことを特徴とする請求項13
    に記載の半導体デバイス製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項11に記載の露光装置を含む各
    種プロセス用の製造装置群と、該製造装置群を接続する
    ローカルエリアネットワークと、該ローカルエリアネッ
    トワークから工場外の外部ネットワークにアクセス可能
    にするゲートウェイを有し、前記製造装置群の少なくと
    も1台に関する情報をデータ通信することを可能にする
    ことを特徴とする半導体製造工場。
  16. 【請求項16】 半導体製造工場に設置された請求項1
    1に記載の露光装置の保守方法であって、前記露光装置
    のベンダ若しくはユーザが、半導体製造工場の外部ネッ
    トワークに接続された保守データベースを提供する工程
    と、前記半導体製造工場内から前記外部ネットワークを
    介して前記保守データベースへのアクセスを許可する工
    程と、前記保守データベースに蓄積される保守情報を前
    記外部ネットワークを介して半導体製造工場側に送信す
    る工程とを有することを特徴とする露光装置の保守方
    法。
  17. 【請求項17】 請求項11に記載の露光装置におい
    て、ディスプレイと、ネットワークインタフェースと、
    ネットワーク用ソフトウェアを実行するコンピュータと
    をさらに有し、露光装置の保守情報をコンピュータネッ
    トワークを介してデータ通信することを可能にすること
    を特徴とする露光装置。
  18. 【請求項18】 前記ネットワーク用ソフトウェアは、
    前記露光装置が設置された工場の外部ネットワークに接
    続され前記露光装置のベンダ若しくはユーザが提供する
    保守データベースにアクセスするためのユーザインタフ
    ェースを前記ディスプレイ上に提供し、前記外部ネット
    ワークを介して該データベースから情報を得ることを可
    能にすることを特徴とする請求項17に記載の露光装
    置。
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