JP4272750B2 - 露光装置及び除振装置、システム同定装置及びその方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体露光装置におけるXYステージ、あるいはアクティブ除振装置などの運動機構の動特性を設計、生産、評価の場面で、短時間で高精度に同定する方法ならびにこれをハードあるいはソフトとして組み込んだ露光装置および除振装置、それら装置の特性の変化を同定するためのシステム同定装置及びその方法、更に該露光装置を用いてデバイスを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子ビームを使う電子顕微鏡、またはステッパやスキャナなどに代表される半導体製造装置には、XYステージ、同ステージに搭載される微動ステージ、およびこれらを床振動から絶縁する除振装置などさまざまな運動機構が組み込まれている。半導体製造装置の性能を確保し、かつ保証するためには、これら運動機構が持つ最高の性能を引き出すフィードバックがインプリメントされねばならない。その上で、運動機構の性能が単体のユニットのみならず、相互に関連していることを考慮した制御方式を更に組み込む必要がある。
【0003】
例えば、XYステージが本来有している最高の位置決め性能を引き出すには、除振装置の性能指標である除振および制振特性が完全に発揮されなくてはならない。不完全な場合、床振動などの外乱を十分に除振することができないと、XYステージが本来持っている位置決め性能を引き出すことはできない。このような現象は、半導体露光装置における運動機構の相互間でも発生する問題であり、かかる問題は高精度な位置決め性能が要求される装置において重要である。また、上記運動機構の特性が経時的に変化していくことを迅速かつ定量的に捉えて、常に一定の性能を満たすように保守を行なう必要がある。
【0004】
上述のような背景で、運動機構の能力を最高に引き出す制御系を構成するには、運動機構の特性を定量的に把握する必要がある。運動機構の特性は具体的に、粘性摩擦係数、ばね定数、機械の共振周波数などにより定義される。これらの物理パラメータを定量的に把握し、これらを制御系設計に巧妙に反映させることにより装置の設計及び保守の最適化が可能になる。可動部分に要求される位置決め性能、印加される駆動力等の動的な条件を考慮して、最適かつ定量的な物理パラメータを加味した制御系の特性は、それを加味しないで設計する制御系の特性に対して優位なものとなることは疑いのないところである。
【0005】
制御系の設計は、制御対象となる運動機構(XYステージ、微動ステージ、除振機構など)の物理的な挙動を定式化したモデル化が不可欠である。物理的なモデリングは動力学、若しくは電磁気学による物理法則に基いて行われ、最適な制御系の設計は運動機構を所望の状態で良好な制御を可能にする。
【0006】
小規模な運動機構の場合、実際の挙動を反映した物理的モデルの作成は厳密な挙動と良く一致するために比較的容易であるが、複数の運動機構が組み合わされる大規模なシステムの場合は機械ユニットの剛性の評価、発生する力の見積もりなど、パラメータの近似が必要となるために物理的モデルによるアプローチは厳密な制御系の設計という観点において有効ではない。
【0007】
また、厳密な物理モデルに基き設計した場合でも、産業用機械を対象とした運動機構は複数台生産されるので、機械ごとの特性のばらつきを管理する必要がある。同一の設計に基いた複数の装置であっても、部品の加工、組立て条件の微妙な差異(例えば、部品の加工精度や組付けトルクのばらつきなど)により運動機構の特性は個々の装置間でばらつくために、個々の装置を最高の状態にチューニングすることを想定した設計および生産は装置の大量生産には適合しない。
【0008】
また、運動機構は稼働によって機械的な特性(たとえば摺動部分の摩擦抵抗など)が経時的に変化し、それが制御性能の低下を招く。摩擦抵抗が大きくなると、目標位置に対する位置の偏差が残り、位置決め誤差となる。最悪の場合には、故障、あるいは破壊に至る。そこで、運動機構に対する定期的なメインテナンスが必要となる。
【0009】
従来、設計、生産現場で複数台の運動機構の特性把握、経時的な運動機構の特性変化を定量的に把握するために、産業界で採用されている最も一般的な方法は周波数応答に基いた周波数特性データの取得である。周波数特性データは、周波数応答分析装置(通称、サーボアナライザ/FFT(Fast Fourier Transform)アナライザ)と呼ばれる測定器を使って取得できる。制御対象へ正弦波を入力し、その周波数を小刻みに変えて周波数伝達関数を求める正弦波掃引法は周波数の刻みを小さくとることによって詳細な周波数伝達関数を得ることが可能である。
対象とする運動機構に正弦波を入力して加振する入力波形の振幅と、定常状態における応答波形の振幅との比(ゲイン)及び位相を測定して多数の測定点におけるゲインと位相特性をボード線図上にプロットして運動機構の応答性、位置決め性能を実験的に評価するものである。
【0010】
これらの特性より、運動機構の動特性を把握し、これを設計に反映させていた。また、複数台の運動機構について物理パラメータを算出することによって、ばらつきの所在を突き止めていた。さらには、制御理論でよく知られたゲイン余裕と位相余裕を使って、対象とする運動機構に施された閉ループ系の性能を把握することができ、かつ経時的にこの指標のトレンドを監視することによって性能の劣化を把握していた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、周波数応答分析装置によって得られる測定データは運動機構の特性を解析するものとしては有益ではあるが、運動機構の経時的な変化に応じた制御則やメインテナンスのためには利用されていない。なぜなら、実験的に得られた周波数伝達関数等はシステムを評価するための可視化情報であり、これらを物理モデルとして記述して制御系設計に応用するためには、カーブフィッティングなどの高度な手法を用いて周波数伝達関数を記述し直さなければならないからである。更に、その周波数伝達関数から、質量、剛性、粘性摩擦係数等の制御系のパラメータを求めるために、連続系である(無限の自由度を有する)実際の運動機構の特性を記述するのに必要かつ十分なn個の自由度に離散化する処理が不可欠となるからである。
【0012】
また、対象とする運動機構の固有周波数が低い場合、精度の高い周波数特性を取得するには、測定データの平均化のために数周期の低周波信号を入力し、サンプリング周波数の刻みを細かくして測定しなければならないなど、適正な測定条件の設定が必要となるため、対象とする運動機構の固有振動が低いほど測定時間は長くなる。このため、測定に時間を要する実験手法を生産現場で稼動している複数の装置に適用することは、生産効率を落とす大きな原因となっていた。要求される測定性能を発揮し、設計、生産の現場において必要十分な解析を行なうためには測定結果の表示、データ変換(A/D、D/A)、測定範囲の設定などオペレータとのマン・マシン・インタフェースも重要な要素である。
【0013】
さらに、経時的な運動機構の特性変動を把握するには、定期的に測定行為を伴う診断を行ない、得られた測定結果のトレンドをみていく必要がある。しかし、半導体露光装置によるICの生産を停止することは極力避けねばならない。したがって定期的なメインテナンスおよび診断のための測定を短時間で完了する必要があるが、従来の周波数応答分析装置を用いた測定では、上記要請に応えることができず、短時間で、しかも分析精度の高い測定法ならびにその測定法がハードないしソフトとしてインプリメントされた露光装置や除振装置の実現が期待されていた。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の従来例における問題に鑑みてなされたもので、短時間に、しかも運動機構に多大の負担をかけることなく運動機構の特性を正確に測定するシステムの同定と、その同定の結果を経時的な特性の変化として制御則に反映し、外乱を排除するための除振装置、さらに同定と除振に基き安定した露光性能を実現する露光装置、更には、その露光装置を用いて半導体デバイスを製造する方法を提供することを目的とする。上記目的を達成する本発明は主として以下の構成からなることを特徴とする。
【0015】
すなわち、露光装置は互いに無相関な複数個の疑似不規則信号を発生し、該複数個の擬似不規則信号を運動機構においてその運動を制御するための複数のアクチュエータのそれぞれに印加する疑似不規則信号発生手段と、
該疑似不規則信号の時系列データとともに前記運動機構の運動状態を計測するセンサの時系列データを収集して記憶するデータ記憶手段と、
該データ記憶手段に記憶された時系列データに対してフィルタリングを施すプリフィルタリング手段と、
該プリフィルタリング手段で処理したデータに対して数学モデルを導出するシステム同定手段と、
該システム同定手段が導出する数学モデルを使って前記運動機構の特性値を導出する特性抽出手段とを備え、
前記疑似不規則信号発生手段は、前記運動機構が制御のために備える複数のアクチェエータのそれぞれと1対1で対応する前記互いに無相関な複数個の疑似不規則信号を全アクチュエータに同時に印加することを特徴とする。
【0016】
また、除振装置は、互いに無相関な複数個の疑似不規則信号を発生し、該複数個の擬似不規則信号を運動機構においてその運動を制御するための複数のアクチュエータのそれぞれに印加する疑似不規則信号発生手段と、
該疑似不規則信号の時系列データとともに前記運動機構の運動状態を計測するセンサの時系列データを収集して記憶するデータ記憶手段と、
該データ記憶手段に記憶された時系列データに対してフィルタリングを施すプリフィルタリング手段と、
該プリフィルタリング手段で処理したデータに対して数学モデルを導出するシステム同定手段と、
該システム同定手段が導出する数学モデルを使って前記運動機構の特性値を導出する特性抽出手段とを備え、
前記疑似不規則信号発生手段は、前記運動機構が制御のために備える複数のアクチュエータのそれぞれと1対1で対応する前記互いに無相関な複数個の疑似不規則信号を全アクチュエータに同時に印加することを特徴とする。
【0017】
また、システム同定方法は、運動機構においてその運動を制御するための複数のアクチュエータに互いに無相関な複数個の疑似不規則信号をそれぞれ印加する工程と、
この疑似不規則信号の時系列データとともに前記運動機構の運動状態を計測するセンサの時系列データを収集してデータ記憶手段に記憶させる工程と、
該データ記憶手段に記憶された時系列データに対してフィルタリングを施す工程と、
該フィルタリングしたデータを使ってシステムを同定する工程と、
該システムの同定によって算出した数学モデルを使って前記運動機構の特性値を導出する工程とを含み、
前記疑似不規則信号として前記運動機構が制御のために備える複数のアクチュエータのそれぞれと1対1で対応する前記互いに無相関な複数個の疑似不規則信号を、全アクチュエータに同時に印加することを特徴とする。
【0018】
また、デバイス製造方法は、露光装置を準備する工程と、前記準備した露光装置によりデバイスを製造する工程とを備える。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、添付した図面により本発明にかかる実施形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
実施形態の詳細を説明するための前準備として、まず、運動機構を加振する信号としてのM系列について説明する。M系列(Maximum-length linear shift register sequence)は、疑似不規則信号の一種である。出力波形の一例を図2に、半導体露光装置内の運動機構をM系列で加振したときの応答波形の一例を図3に示す。M系列は図2のように、+1と−1のランダムな繰り返しパターンであり、システム同定のための入力信号として古くから知られている。しかしながら、実際のメカニカルシステムへの適用は数える程しかない。例えば、文献「足立ほか:ETS−VI軌道上同定実験データによる予測誤差法と部分空間法の比較、計測自動制御学会論文集,Vol.33,No.8,P.805-811(1997)」に、技術試験衛星ETS−VIの柔構造パラメータを推定するための同定実験が行なわれたという報告はあるが、特に大規模な多変数メカニカルシステムへの適用例は知られていない。したがって、現在のところ信号処理方法および産業用装置にとっての利用価値については明らかでないという状況である。
【0028】
そこで、本実施形態における半導体製造装置(ステッパあるいはスキャナ)は、M系列を加振用信号として使用したシステム同定機能をソフトまたはハードとして新たに実装する。これにより、運動機構の特徴を十二分に踏まえた装置構成を与えるとともに、産業用装置の半導体露光装置が享受できる利益を明確に示す。
【0029】
本発明の技術内容を容易に理解するため、本実施形態では、具体的な運動機構への適用例としてアクティブ除振装置を取り上げる。もちろん、本発明が開示する技術思想の適用は、アクティブ除振装置への適用に留まるものではなく、XYステージなど、半導体露光装置内の他の運動機構に適用しても構わないことは言うまでもない。同様に、半導体露光装置として備える運動機構ではなくて、本発明が開示するシステム同定を行なうという目的のために外付けの運動機構を用意しても構わない。外付けの運動機構としては、例えば加振器やマスダンパなどが考えられる。
【0030】
図1は半導体製造装置におけるアクティブ除振装置への一適用を示したブロック図である。図中、1は除振台を含む露光装置本体であり、除振台の制御のためのセンサとアクチュエータが取り付けられている。ACは振動検出手段としての例えば加速度センサ51、POは位置計測手段としての位置センサ52、SVは大重量の除振台を含む装置本体を支持するための不図示の空気ばねへの動作流体の給排気をコントロールするサーボバルブ、PRは空気ばね内の圧力を計測する圧力センサ53、LMは除振台の主に過渡的な振動を抑制するための電磁モータである。これらセンサとアクチュエータを表わす記号にハイフン“−”と共に付けた記号は、方位と除振台における部位とを示す。方位と部位は、図4を参照してより明らかとなる。
【0031】
図4において、除振台2の上にはXYステージ3が搭載されており、センサとアクチュエータとを内蔵する能動マウント4−1、4−2、4−3によってこれらが支持されている。AC−X1は、能動マウント4−1内の振動計測手段でありX方向の振動を計測するように配置されている。なお、同図面では、SV、PO、PRの記載は省略している。
【0032】
再び図1を参照して、電磁モータLMを使った振動制御系の構成を説明することにする。まず、加速度センサAC−Z1、−Z2、−Z3、−X1、−Y2、−Y3の出力は運動モード抽出演算手段5に導かれている。ここでは、除振台2の並進や回転といった運動モードの信号を、すなわち運動モード加速度信号(ax,ay,az,aθ x,aθ y,aθ z)を求めている。次に、運動モード加速度信号は積分補償器6に導かれて運動モードごとの速度信号へと変換されている。続いて、各運動モードごとにダンピングを調整するためのゲイン補償器7へと導かれ、その出力信号は運動モード駆動信号(dx,dy,dz,dθ x,dθ y,dθ z)となる。この信号は運動モード分配演算手段8を通って各能動マウントの各アクチュエータが発生すべき駆動信号(dz1,dz2,dz3,dx1,dy2,dy3)となり、この信号でドライバ9が励起される。このような振動制御系の構成によって、除振台2の振動特性は運動モードごとにほぼ非干渉に調整することができる。
【0033】
さて、上述の電磁モータLMに対する振動制御系の各ドライバ9の前段には加算端子が設けられており、そこには多チャンネル・無相関・M系列信号発生器10の出力が、スイッチ11を介して接続されている。スイッチ11は各能動マウント内の全電磁モータLMへの接続のオンオフを管理するものである。図示の場合、全電磁モータLMがM系列信号によって加振されることになる。ただし、10の出力のM系列信号は互いに無相関であり、無相関のM系列信号によって能動マウント4の全ての電磁モータが駆動されることになる。加振中の除振台2の挙動は、露光装置本体1に装着する振動計測手段AC、位置計測手段PO、圧力計測手段PRを含めて運動状態を計測する他のセンサの出力信号によって捉えることができ、これらのデータは、M系列信号発生器10の信号とともにデータ記憶部12に収集される。すなわち、M系列による加振は1回で済むことが特徴となる。
【0034】
次に、データ記憶部12に収集された時系列データは、プリフィルタリング部13に渡されてフィルタリング処理が施される。続いて、システム同定部14においてフィルタリングされた入出力データに対して同定がなされる。ここで行なうシステム同定とは、入出力データを使って数学モデルを導出することである。数学モデルとしては、例えばARX、FIR、ARMAX、ARARX、ARARMAX、BJ、OE、状態空間モデルなどを必要に応じて選択する。これら数学モデルの説明は省略する。詳しくは、足立修一著「MATLABによる制御のためのシステム同定」(東京電機大学出版局)を参照されたい。最後に、システム同定部14で取得した数学モデルは特性抽出・診断部15に送られて、ここで更に特性抽出および診断のためのデータ変換が行なわれる。
【0035】
アクティブ除振装置が備える電磁モータLM全部を無相関のM系列信号を使って1度に加振するために、計測時間は極めて短くなる。最近、多チャンネルのサーボアナライザが登場しているが、これを使っても本実施形態による加振の方が圧倒的に計測時間は短い。
【0036】
なお、多チャンネル・無相関・M系列信号発生器10の一つの信号を、スイッチ11の開閉を行なって電磁モニタLMごと独立に印加してもよい。すなわち、まず、電磁モータLM−Z1のみを加振して各種センサの出力信号を計測し、次にLM−Z2だけを加振して各種センサの出力信号を計測する、という計測をアクチュエータごと独立に行なうことも本実施形態の変形例として本発明の範囲に含まれる。
【0037】
(実施形態2)
実施形態1では、多チャンネル・無相関・M系列信号発生器10の無相関な信号で能動マウント4内の各軸のアクチュエータが同時に加振された。または、多チャンネル・無相関・M系列信号発生器10の出力信号の一つを各軸のアクチュエータごと独立に印加していく加振がなされた。
【0038】
しかし、加振方法はこのようなものに限定されるものではなく、図5に示すようにも実施できる。同図では、多チャンネル・無相関・M系列信号発生器10の出力をスイッチ11を介して運動モード分配演算手段8の前段に加算している。例えば、スイッチ11の接点cを通して印加するM系列によっては、z方向にゲイン補償された信号dzと接点cを通じて印加されるM系列とが運動モード分配演算手段8に入力され、Z軸方向の電磁モータLM−Z1、LM−Z2、LM−Z3を同相で励起するので除振台2全体をZ軸方向に加振することになる。同様に、x軸の回転方向にゲイン補償された信号dθxと接点dを通じて印加されるM系列とが運動モード分配演算手段8に入力され、X軸方向の電磁モータLM−X1を励起して、除振台2をx軸回りの回転させる加振が行なわれる。つまり、除振台2を直交する運動モードごとに加振できる装置構成になっている。実施形態1と同様に、スイッチ11の接点の開閉によって、除振台2の剛体6自由度の全運動モードを同時に加振することもできるし、運動モードごと独立に加振することもできる。このときの除振台2の挙動は、露光装置本体1に装着する振動計測手段AC、位置計測手段PO、圧力計測手段PRなどを含めた他の運動状態を計測するセンサの出力信号によって捉えることができ、これらのデータはデータ記憶部12に収集される。データ収集以降のデータ処理については図1と同様であり説明は省略する。
【0039】
なお、図1に対して、新たにループ遮断スイッチ16を設けている。これは、多チャンネル・無相関・M系列信号発生器10の出力信号による加振を、振動検出手段ACに基づいて電磁モータLMを駆動する閉ループを構成した状態で実施するのか、あるいはこのループを遮断して開ループの状態で行なうかを選択するものである。加振入力によって取得したいデータの分析目的に応じて、ループ遮断スイッチ16の開閉を選択することができる。図1では、ループ遮断スイッチ16を省略しているが、もちろん、これを備えてデータの分析目的に応じて電磁
モータLMを使った閉ループ系の開閉を選択することができる。
【0040】
なお、実施形態1と実施形態2ともに、M系列信号による加振には電磁モータLMが使われた。電磁モータは、対象とする運動機構を高周波数まで加振することができるので、システム同定にとって好適なアクチュエータとして使用できる。広く力アクチュエータが使用可能であれば電磁モータに限定されるものでないことはいうまでもない。
【0041】
(実施形態3)
上述の実施形態では、アクティブ除振装置が備えているアクチュエータをM系列信号によって励起し、同装置が備えるセンサによってデータを収集し、これを分析した。つまり、アクティブ除振装置それ自身の特性を把握したのである。しかしながら、先にも述べたように、半導体露光装置内の運動機構の性能は、それ自身で完結したものではなく、例えば、アクティブ除振装置の性能が除振台2に搭載されるXYステージ3(図4)の性能に多大の影響を及ぼすというように関連している。従来、互いに異なる運動機構の性能が相互に影響し合うことは知られていたが、定量的な分析はなされていなかった。従来の測定法、すなわちサーボアナライザを使った正弦波信号による加振では、運動機構相互の関連を把握するための測定は繋雑の極みとなってしまう。
【0042】
しかしながら、M系列信号を用いた加振では状況が異なる。短時間の測定で済み、しかも取得したデータは様々な角度からの分析が行なえるものとなっている。例えば、図6は、XYステージ3の外乱抑制率を表わす周披数応答である。XYステージ3に外乱としての振動が混入したとき、それをどの程度抑制するのかを表わす指標であり、XYステージ3の重要な能力の一つである。
【0043】
もちろん、図6中に示した外乱抑制率が大きい方が好ましい。この周波数特性は、アクティブ除振装置のアクチュエータを加振して、XYステージ3に対して構成する位置決め制御系の位置偏差信号、あるいは図1と図5に示すXYステージ3の位置計測のためのレーザ干渉計LA−X101、LA−Y102、LA−θ103の出力信号を観測することによって取得できる特性値である。ここで、LA−X101、LA−Y102、LA−θ103はXYステージ3のX方向の変位、Y方向の変位、および鉛直軸回りの回転を計測する。したがって、図1あるいは図5に記載のデータ記憶部12へ、新たにXYステージの位置偏差信号またはレーザ干渉計の情報を入力する装置構成とすることによって、上述した外乱抑制率は即座に計測できる。
【0044】
(実施形態4)
ここでは、特性抽出・診断部15で得る特性抽出の具体的な内容を説明する。
【0045】
(1)特性抽出が周波数応答の場合
図7はサーボアナライザを使って取得した除振台2の或る能動マウント4の周波数応答である。同様の部位であって、図1あるいは図5の装置構成において示したM系列信号によって除振台2を加振することによって、短時間で求められた周披数応答を図8に示す。従来の測定結果を基準にして、ほぼ同様の周波数特性を得ていることが確認できる。しかし、M系列信号を使った方が、測定は短時間である。短時間の加振によって従来の測定と同等の精度が得られているので、図1あるいは図5のシステム同定機能を有する半導体露光装置による周波数応答の測定の方が優れていることは明らかである。
【0046】
次に、周波数応答の利用方法であるが故障診断に使用することができる。M系列の信号を用いてアクティブ除振装置を加振して、例えば駆動力から加速度信号までの周波数応答を求める。これはイナータンスあるいはアクセレランスとして知られた応答特性であるが、概略の形状は図9のようになる。図中、点線Aで囲む部分のピークが共振周波数であり、例えば除振台の並振・回転運動の固有振動数となる。この周波数およびピーク量(減衰率)は除振台の動きを支配する重要なパラメータであり、管理限界を設けて例えばピーク量が増加する現象を検知してトリガ信号を起動し、警告を発生するか、あるいは最悪の場合には装置を強制停止させるように利用することができる。また、低域の点線Bで囲む部分の特性からは、除振台と固定側の機構部材との機械衝突の有無を検知することができる。
【0047】
高域の点線Cで囲む部分の特性からは、除振台との軽微な衝突の有無を検出することができる。このように、周波数応答の特徴を捉えることによって装置の状態を診断することができる。
【0048】
なお、もちろんのことであるが、診断のために用いる特性としては、上述のようなイナータンス応答に限定されるものではない。コンプライアンスやモビリティを用いてもよいし、アクティブ除振装置の閉ループ周波数応答を使うことも妨げられない。あるいは加振して得られる実波形を装置正常時の波形と比較して故障診断することも可能であるし、実波形をスペクトラム解析しても同様のことは実施できる。
【0049】
(2)特徴抽出が物理パラメータの場合
一般に、剛体の運動方程式は、
【0050】
【数1】
と表現できる。ここで、M:質量行列、C:粘性摩擦行列、K:剛性行列、F:駆動力ベクトル、X:変位ベクトルである。「・」は時間微分を示す。
【0051】
上式は剛体重心に関する並進・回転運動の方程式である。アクティブ除振装置で支持される運動機構が対象である場合、実際にはアクチュエータとセンサとが空間的に分布されている。したがって、その幾何的な配置と(1)式とを考慮して、M、C、K行列を構成する係数要素を一連の測定結果から導出することができる。実施形態1では、各アクチュエータを同時に加振して得た計測データ、または個別に加振して得られるアクチュエータの個数分の計測データの組を取得しており、計測データを収集したセンサとアクチュエータの配置座標とを考慮して、XYZ方向の並進、回転の振動モードに分離して、上式の形に計測データを変換することができる。また、図5に示す装置構成を用いた場合には、運動モードごとの加振がなされてあり、(1)式の形を使ってM、C、Kを直に算出することができる。したがって、幾つかの既知物理パラメータの存在を仮定してM、C、Kの値を算出することができる。この算出法を複数台数に適用して得られるM、C、Kの値を比較することにより、運動機構の何処にばらつきがあるのかを知ることができる。このばらつきを捉えることができれば、運動機構の部品加工、組立てにおいて、どこの公差を厳しくすべきか、製造工程の管理基準等を定量的に定めることができる。
【0052】
(3)統合化設計
従来、機構設計が完了したのち、その機構を所与として制御装置の設計を行なっていた。しかし、開発期間の短縮および同費用の削減などの要請に応えるため、機構設計と同時に制御設計を行なう必要に迫られている。運動機構と制御装置の両者を計算機の中で結合して、それらに対する設計・改良をシミュレーションする。所定の性能を満たしたときに初めて製品の製造を行なう。このときの大前堤は、実際の製品の現象を表現できる運動機構のモデルを持っていることである。本実施形態のシステム同定機能を有する半導体露光装置の中のシステム同定部14で得られる数学モデルは、統合化設計を推進するときの数学モデルとして活用できることは言うまでもない。
【0053】
(4)検出不能な箇所の振動推定
XYステージ3がステップアンドリピートもしくはステップアンドスキャンしたとき、半導体露光装置にとって最も重要な投影光学系を振動させ、ICの焼き付けに甚大な影響を与える。改良を施そうとするとき、まず事前にこのユニットの振動レベルを捉えておく必要がある。しかし、振動計測のために投影光学系のレンズに例えば加速度センサを張り付けるようなことは許されない。投影光学系のレンズに限らず、狭い箇所に配置する重要なユニットも存在するが、もちろん計測のために加速度センサなどの計測装置を入り込ませることはできない。このような場合、本実施形態のシステム同定機能を有する半導体露光装置の構成は威力を発揮する。データ記憶部12への入力には、既に述べたように図1あるいは図5に示したアクティブ除振装置が有するセンサの出力信号以外の各種計測出力を入力することができる。したがって、半導体露光装置内に空間的に分布して配置する各種センサ間の伝達特性が把握できる。空間的に分布する部位の相互関係が分かっていれば、センサを配置することができない箇所の伝達特性も推定することができる。例えば、投影光学系におけるレンズ中心の振動レベルの推定は容易なこととなる。
【0054】
特性抽出・診断部15では、直接計測不可能な箇所の振動レベル(物理情報)をデータ記憶部のデータとそのデータを取得した半導体露光装置内の部位とを考慮して推定する機能も有する。
【0055】
以上説明したように、本発明にかかる実施形態によると、
(1)疑似不規則信号(M系列)の加振によって取得できる運動機構の特性は精度の高いものであり、設計、保守のためのデータとして有効に活用することができる。取得したデータは自己診断のために解析・評価され、装置の性能を一定水準に維持することを可能にする。かかる信号発生手段を装置内部に備えることにより、加振条件を統一した解析・評価が可能になる。
【0056】
(2)疑似不規則信号(M系列)の入力は、極めて短時間で済み、正弦波による加振のように運動機構に過大な負荷を与えないという効果がある。
【0057】
(3)運動機構の自己診断は、半導体製造装置の稼働を止めることなく短時間で行なえるので、生産性を落とすことなく、適切なタイミングで保守の時期を見定め、これを実行することが可能となる。
【0058】
(実施形態5)
本実施形態は、運動機構の特性を同定するための具体的な同定装置の構成に関するものである。除振装置の実施形態について.図面に基づき詳細に説明する。図12に示すように、システム同定装置1201は、演算処理を行なう計算機1202と、アナログ信号からディジタル信号へのAD変換およびディジタル信号からアナログ信号へのDA変換を行なうAD/DA変換装置1203とから構成されている。計算機1202は主として同定の対象となる運動機構(若しくは同定対象となる運動機構システム、以下の実施形態ではこれらを総称して対象システムという。)の特性を同定するための同定演算を行ない、またディスプレイ画面1423(図14)へ同定結果を表示する。
【0059】
AD/DA変換装置1203は、同定対象に印加するディジタル入力信号をアナログ入力信号へとDA変換し、同定対象のアナログ出力信号をディジタル出力信号へとAD変換する。これによって、たとえ同定対象が連続系でありその入力信号と出力信号がアナログ信号であっても、ディジタルな信号に変換して演算することができる。
【0060】
システム同定装置1201の構成および動作について更に詳しく説明する。図12に示す同定装置1201の計算機1202は次のような処理が行われている。入力信号生成部1204は同定対象へ印加する入力信号を生成する。入力信号生成部が生成する入力信号は、白色信号か、あるいは擬似白色2値信号か、あるいはM系列信号である。また入力信号生成部1204はこの入力信号を入力信号データファイル1207に記録する。データ通信部1210は入力信号データファイル1207に記録された同定対象へ印加する入力信号をAD/DA変換装置1203へ送信する。出力信号取得条件設定部1209は同定対象の出力信号の取得条件を設定する。データ通信部1210は出力信号取得条件設定部1209が設定した条件に応じてAD/DA変換装置1203から同定対象の出力信号を受信し、この出力信号を出力信号データファイル1208へ記録する。同定演算部1205は入力信号生成部1204による入力信号と出力信号データファイル1208へ記録された出力信号に応じて同定対象の特性を同定するための演算を行なう。表示制御部1206は同定演算部1205による同定結果を表示する。
【0061】
システム同定装置1201のAD/DA変換装置1203において、AD/DA変換装置ドライバ1211は計算機1202のデータ通信部1210からディジタル入力信号を受信し、これをアナログ入力信号へとDA変換して同定対象に印加する。また、AD/DA変換装置ドライバ1211はこの時同定対象に生ずるアナログ出力信号をディジタル出力信号へとAD変換して計算機1202のデータ通信部1210へ送信する。
【0062】
出力信号取得条件設定部1209は、図13に示すように、信号取得の可否と信号レンジの設定をオペレータが自由に行なえるように、条件設定ウィンドウ1312をディスプレイ画面1423へ表示する。図13は、その表示例であり、チャンネルCH0からCH7まで計8チャンネルの信号の取得設定で、CH0からCH5まで計6チャンネルで取得する場合を示している。オペレータは信号取得セレクタ1314によってそれぞれのチャンネルに割り当てられた出力信号の取得の可否を設定できる。図13の場合、CH0〜CH5は信号取得セレクタ1314がONの状態に設定されているので、これらチャンネルに割り当てられた出力信号が取得される。CH6とCH7は信号取得セレクタ1314がOFFの状態に設定されているので、これらチャンネルに割り当てられた出力信号は取得されない。
【0063】
また、オペレータは、信号レンジセレクタ1313によって、信号取得レンジを±1V,±2V,±5V,±10Vの4段階に切り替えることができる。取得する出力信号の振幅あるいはレンジに応じて信号取得レンジを切り替えることにより、ノイズレベルの影響を受けること無く同定対象の出力信号を精度よく取得することが可能になる。
【0064】
表示制御部1206は、図14へ示すように、同定演算部1205による同定結果を受けて、同定結果表示ウィンドウ1417をディスプレイ画面1423に表示する。同定結果表示ウィンドウ1417は周波数特性のゲイン線図1418と位相線図1419の両方あるいは一方を表示する。このような周波数特性を表示することによって、同定対象の特性を明確に表示することができる。なお、図14において同定結果表示ウィンドウ1417は周波数特性のゲイン線図と位相線図を表示しているが、同定結果表示ウィンドウ1417が表示する同定結果としては、極零配置,微分方程式,差分方程式、あるいは共振周波数と減衰係数などであってもよい。
【0065】
また、同定結果表示ウィンドウ1417は、同じく図14へ示すように、ディスプレイ画面1423の画面全体へ表示される。これにより同定結果を視認性良く表示することが出来るので、オペレータは同定結果を明確に認識できる。
【0066】
次に、除振装置1720の特性を同定するシステム同定装置1201について説明する。図17に示すように、除振装置1720は除振台1721と、除振台20の四隅を支持するマウント部1722a,1722b,1722c,1722dと、除振台に制御力を作用させるアクチュエータと、除振台の振動を検出する振動センサとから構成されている(図17においてアクチュエータおよび振動センサは不図示である)。除振装置1720は除振台1721に生ずる振動を速やかに減衰させるように振動制御を行う。除振台1721に生じる振動は、XYZ座標系を基準として、X軸方向並進,Y軸方向並進,Z軸方向並進,X軸まわり回転,Y軸まわり回転,Z軸まわり回転の6モードに分解することができる。
【0067】
従って、同定対象である除振装置1720の特性はこれら6モードの振動により表現することが可能である。システム同定装置1201は、アクチュエータへ入力信号を印加し、その信号に基づき駆動するアクチュエータは除振台21を加振する。この時、除振台1721に生ずる振動は振動センサにより検出される。同定装置1201は振動センサの出力信号を取得し、これら入力信号と出力信号に応じて除振装置1201の特性を同定する。アクチュエータに印加する入力信号は、X軸方向並進Fx,Y軸方向並進Fy,Z軸方向並進Fz,X軸まわり回転Mx,Y軸まわり回転My,Z軸まわり回転Mzの6モードである。また、振動センサより取得する出力信号はX軸方向並進Sx,Y軸方向並進Sy,Z軸方向並進Sz,X軸まわり回転Sθx,Y軸まわり回転Sθy,Z軸まわり回転Sθzの6モードである。これらの信号の送受はAD/DA変換装置ドライバ1211を介して行われる(図12)。
【0068】
図14はこのような除振装置1720の特性を同定したシステム同定装置1201の処理表示である。同定結果表示ウィンドウ1417は並進3自由度と回転3自由度、合計6モードの同定結果を、それぞれゲイン線図1418と位相線図1419として表示する。
【0069】
すなわち、X軸方向の並進入力信号Fxに基く出力信号Sx、Y軸方向の並進入力信号Fyに基く出力信号Sy、Z軸方向の並進入力信号Fzに基く出力信号Sz、X軸まわりの回転入力信号Mxに基く出力信号Sθx、Y軸まわりの回転入力信号Myに基く出力信号Sθy、Z軸まわりの回転入力信号Mzに基く出力信号Sθzの、6モードの同定結果を表示ウィンドウ1417に表示する。
【0070】
例えば、X軸方向並進における入力信号Fxとその出力信号Sxの表示1418、1419には、SxFxというように入力信号と出力信号とを明記して、6つのモードを区別し表示する。表示のレイアウトはディスプレイ画面1423の上段の左から順にX軸方向並進,Y軸方向並進,Z軸方向並進の3モード、そしてディスプレイ画面1423の下段の左から順にX軸まわり回転,Y軸まわり回転,Z軸まわり回転の3モードである。座標系を合わせて並進と回転の結果を上下にレイアウトすることにより、オペレータは除振装置1720の特性を明確に認織することができる。
【0071】
図14では並進の運動モードと回転の運動モードによってディスプレイ画面1423を上下に分割しているが、これを左右に分割してもよい。この場合、左右に分割されたディスプレイ画面1423のそれぞれにおいて、上から順にX軸方向並進あるいはX軸まわり回転、次にY軸方向並進あるいはY軸まわり回転、最後にY軸方向並進あるいはZ軸まわり回転の運動モードを表示する。このような表示方法でも、除振装置1720の特性が6つの同定結果表示ウィンドウ1417にて整然とディスプレイ画面に表示できるので、やはり、オペレータは除振装置1720の特性を明確に認識することが可能となる。
【0072】
図15は除振装置1720の特性をさらに群しく表示した場合のシステム同定装置1201の処理表示である。図14の場合は、例えば、x軸方向の入力信号に対して、x軸方向の出力信号を表示するというように、入出力の座標系が一致しているのに対して(多自由度系の運動方程式として表現した場合の対角要素に相当する)、図15の場合は、例えば、x軸方向の入力信号に対して励振するx軸方向の出力のみならず、y軸、z軸方向の出力信号(多自由度系の運動方程式として表現した場合の非対角要素に相当する)をも表示するという点においてより詳細な情報を表示するものである。
【0073】
除振装置1720の入力信号と出力信号は、これまで述べたようにそれぞれ6モードであるから、6モードそれぞれの入力信号と6モードそれぞれの出力信号とが連成して、除振装置の特性は合計36通りの振動モード情報により定義される。図15においては、ディスプレイ画面1423を上下方向,左右方向それぞれ6分割することにより、36個の同定結果表示ウィンドウ1417に表示する。
【0074】
例えば、X軸方向並進の入力信号Fxに対してX軸方向並進の出力信号SxはSxFxと明記し、X軸方向並進の入力信号Fxに対するY軸方向並進の出力信号はSyFxと明記することによって、データの入出力関係をオペレータは明確に認識することが可能となる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態にかかるシステム同定装置、方法に拠れば、計算機とAD/DA変換器とを有し、オペレータがプラント等の出力に応じて信号取得のレンジを設定することができ、また、プラント等の特性を認識しやすいように同定結果を表示することが可能となる。
【0076】
(実施形態6)
図18はシステム同定装置において、物理パラメータを導出するための構成を示す図であり、露光装置などを搭載する除振台1801は4つの能動除振装置1802a,b,c,dで支持されている。能動除振装置の支持部1802a、b,c,dには、空気ばねなどの防振支持手段が鉛直および水平方向に備えられており、これにより装置本体を支持している。ここでは、図18に示すような、除振台1801が、能動除振装置1802により4点で防振支持されている装置を例にして説明するが、本発明が開示する装置および方法は、この例にとどまらず、3点支持の形態をとる装置など、一般的な6自由度運動機構に対しても適用可能であり、それらに対する本装置及び方法の適用も、本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【0077】
図19は能動除振装置の構造をより詳細に示す図である。能動除振装置1802a,b,c,dは、除振台1801に鉛直方向の制御力を加える鉛直アクチュエータ1921、除振台1801に水平方向の制御力を加える水平アクチュエータ1922、除振台1801を鉛直方向に防振支持する鉛直支持手段1923、除振台1801を水平方向に防振支持する水平支持手段1924、除振台1801、あるいは、それと剛に締結された部材に取付けられ、除振台1801の鉛直・水平方向の振動をそれぞれ検出する、鉛直振動センサ1925、および、水平振動センサ1926を備える。
【0078】
鉛直アクチュエータ1921、水平アクチュエータ1922には、リニアモータなどの電磁駆動アクチュエータ、空気ばねの内部圧力をそれへの空気の給排気を調整するバルブによって制御する空気圧駆動式アクチュエータ、あるいは、それらを併用したものなどを用いることができる。鉛直アクチュエータ1921、水平アクチュエータ1922として、前記のような空気ばねを使用した空気圧駆動式アクチュエータを用いる場合は、これを鉛直支持手段1923、水平支持手段1924と兼ねることができる。
【0079】
鉛直振動センサ1925、水平振動センサ1926には、除振台1801の振動を加速度として検出する、加速度センサを好適に用いることができる。
能動除振装置1802(図18の1802a,b,c,dを代表的に指示する。)は、これら鉛直振動センサ1925、水平振動センサ1926による除振台1801の振動検出信号を、図示しない制御演算手段に入力して補償演算を施し、ここで得られた信号に基づいて、鉛直アクチュエータ1921、水平アクチュエータ1922を制御することにより、装置振動を能動的に制御する。
【0080】
能動除振装置の制御演算は、1802a,b,c,dごとに個別に制御ループを構成するものや、除振台1801全体の並進・回転などの運動挙動ごとに振動制飾を行なうべく、各1802a,b,c,dが協調して制御を行なうように構成したものなどを用いることができる。
【0081】
さて、同定対象となる運動機構は、水平方向の並進2自由度(X,Y)、鉛直方向の並進1自由度(Z)、および、X,Y,Z各軸まわりの回転3自由度(θx,θy,θz)の運動自由度を有する6自由度剛体運動機構として捉えることができる。ここでは、この6自由度運動機構における除振台1801の質量、慣性モーメント、慣性乗積、および、能動除振装置1802に構成された防振支持手段のばね定数、粘性摩擦係数を同定する手順および装置を説明する。
【0082】
図20は、除振台1801と、それを防振支持する能動除振装置1802a,b,c,dとからなり、並進3自由度、回転3自由度の運動モードを有する6自由度運動機構を力学モデルとして、模式的に表わしたものである。
【0083】
本発明で開示する同定装置は6自由度運動機構の特性を同定するために、図18に示すように、除振台1801を加振する複数の加振手段1811と、加振手段1811に印加する加振入力信号を発生する信号発生手段1812と、信号発生手段1812からの信号をそれぞれの加振手段に分配する第1の補助演算手段として機能する信号分配手段1813と、更に、除振台1801に対する加振手段1811の制御力を測定する力センサ1814、除振台1801の運動挙動を測定する複数の振動センサ1803、複数の振動センサ1803の出力から所望の信号を抽出する第2の補助演算手段として機能する信号抽出手段1815と、信号発生手段1812および信号抽出手段1815の出力時系列データを取得するデータ収集手段1816、データ収集手段1816に取得した信号をもとに、対象となる運動機構の特性や物理パラメータを同定する同定演算手段1817とを備える。
【0084】
同定演算手段1817は、データ収集手段1816に記録された時系列データに基づき、運動機構の運動状態を出力とした運動機構の入出力特性を表わす数学モデルを導出するシステム同定手段1817aと、その数学モデルに基づいて運動機構を構成するメカ的・電気的要素の物理的特性値を導出する物理パラメータ導出手段1817bとからなる。
【0085】
図18では、加振手段1811は水平1方向に2台配置されているが、6自由度運動機構のすべての運動自由度を、個別に励振できるように、鉛直方向3台以上、水平方向3台以上の、合計6台以上を配置することが望ましい。
【0086】
加振手段1811には、前述の鉛直アクチュエータ1921、水平アクチュエータ1922を、振動センサ1803には、加速度センサを用いることができる。
【0087】
また、加振手段1811には、リニアモータなどの電磁駆動アクチュエータを用いることもできる。その場合、駆動指令入力とそれに対するアクチュエータ発生力の関係は対象の運動機構の主たる動特性が作用する周波数領域で、ほぼ、比例関係で記述することができ、加振手段1811の発生力をその駆動指令信号から容易に推定できる。よってこの場合は、力センサ1814は不要である。本実施形態では、加振手段1811として、リニアモータなどの電磁駆動アクチュエータを用いることとし、以降、力センサ1814を用いない場合について説明する。近年では、能動除振装置のアクチュエータとして、リニアモータなどの電磁駆動アクチュエータと、空気ばねの内部圧力をそれへの空気の給排気を調整するバルブによって制御する空気圧駆動式アクチュエータを併用したものが実用化されているが、このような装置においては、加振手段1811として、この電磁駆動アクチュエータを有効活用することができる。
【0088】
力センサ1814を用いる場合は、データ収集手段1816は、加振手段1811の信号に相当する信号として、信号発生手段1812が発生する信号の代わりに力センサ1814の出力信号、または、その信号に適切な演算処理を施した信号の時系列データを収集して記録するものとしてもよい。この場合、データ収集手段1816は、力センサ1814の出力信号を演算処理して抽出したアクチュエータによる運動機構への並進推力、回転モーメントに相当する信号を収集して記録するものとしてもよい。また、データ収集手段1816は、信号発生手段1812が発生する信号の代わりに、信号分配手段1813のような補助演算手段の出力時系列データを収集して記録するものであってもよい。対象とする運動機構の運動状態として収集・記録する信号は、振動センサ1803の出力信号の時系列データとすることもできる。
【0089】
本実施形態では、信号分配手段1813と加振手段1811をまとめて、除振台1801への作用要素としてみなし、信号発生源1812で発生された信号を対象運動機構へ入力して、データ収集手段1816に出力信号を収集する場合を例に説明する。6自由度運動機構の物理パラメータの同定は、図21に示す手順で行なう。以下、その手順を説明する。
【0090】
<ステップ70の処理>
ステップ70では、対象とする6自由度運動機構について、運動方程式を作成し、状態方程式を導く。ここで対象としている6自由度運動機構の運動方程式は、(2)式に示すとおりである。
【0091】
【数2】
ここで、X=[x,y,z,θx、θy、θz]T
F=[Fx、Fy、Fz,Mx、My、Mz]T
(2)式において、M、Cd、Kはそれぞれ質量、粘性減衰、剛性をそれぞれ示す定係数行列であり、Xは並進、回転の変位を示す行列、Fは駆動源となる力及びモーメントを示す行列である。
【0092】
M、Cd、K行列はそれぞれ形式的に(2a)式として示される。
【0093】
【数2a】
更に、それぞれの行列要素は(2b)式により求めることができる。
【0094】
【数2b】
(2),(2a),(2b)式(以下(2)式等という。)において、x,y,z,θx,θy,θzは除振台1801の並進・回転変位、xi,yi,zi(i=1,2,3,4)は能動除振装置1802a〜dに構成された支持手段が除振台1801を支持する位置の座標を示し、kxi,kyi,kzi(i=1,2,3,4)は能動除振装置1802a,b,c,dそれぞれのばね定数(剛性)、cxi,cyi,czi(i=1,2,3,4)は能動除振装置1802a,b,c,dの粘性摩擦係数を示す。mは除振台1801の質量、Ixx,Iyy,Izz,Ixy,Ixz,Iyzは除振台1801の慣性モーメント・慣性乗積、Fx,Fy,Fzは除振台1801の重心位置Gに作用するX,Y,Z各方向の並進推力、Mx,My,MzはX,Y,Z各軸まわりに作用するモーメントである。装置重心位置Gが未知の場合は、仮想重心位置G’を定義し、これを原点として用いる。本実施形態では、装置重心位置Gが既知であるものとして説明を進める。装置重心位置Gが未知であるとし、その位置を推定する手法については、実施形態7で説明する。
【0095】
また、能動除振装置1802a,b,c,dには、通常、4つともすべて同じ構造・特性のものを用いると、X,Y,Z各方向のばね定数kxi,kyi,kzi、および、粘性摩擦係数cxi,cyi,cziは、各方向ごとにそれぞれ同じ値kx,ky,kz、および、粘性摩擦係数cx,cy,czとなる。
【0096】
図18、図20に示すように、除振台1801が、4つの能動除振装置で防振支持されている場合、変数の成分はそれぞれの能動除振装置に対応した4つであるが(i=1,2,3,4)、例えば、除振台1801が3点で支持されている場合は3つ(i=1,2,3)となる。
【0097】
以上のようにして得られた対象運動機構の運動方程式を、状態方程式として記述すると(3)式のようになる。入力はX,Y,Z方向の推力及びモーメント、出力はX,Y,Z方向の速度及び加速度、角速度及び角加速度である。
【0098】
【数3】
以上が、ステップ70の処理である。ステップ70の処理は、以下の処理・作業に先立って行なっておき、その結果得られた(1)式、(2)式等の情報を予め、同定演算手段17における物理パラメータ導出手段1817bに取り込んでおく。
【0099】
<ステップ71の処理>
次に、システム同定手段1817aにおいて、対象となる運動機構の入出力特性を、実測データに基いて同定する。システム同定理論の分野では、対象となるシステム特性の同定を行なう様々な手法が提案されており、それらの中から適切なアルゴリズムを選択してシステム同定を行なう。
【0100】
ここで同定対象としている6自由度運動機構のような多自由度運動機構は、(1)式、(2)式等から明らかなように多入出力系となる。このような場合は、同定モデルを、(3)式のような状態方程式におけるシステム行列A,B,C,Dとし、これらを直接同定することができる部分空間同定法が有効である。ここでは、部分空間同定法を用いて運動機構のシステム行列A,B,C,Dを求める方法を例に説明する。部分空間同定法は、状態空間モデルのシステム行列A,B,C,Dを同定モデルとする方法であり、本質的に多入出力系の効率的な同定に適している。
【0101】
本ステップでは、(4)式のような、加振手段1811を用いた運動機構への加振入力指令信号から、対象運動機構の加速度および角加速度の検出出力信号までの入出力関係を同定する。
【0102】
本実施形態では、加振手段1811にリニアモータなどの電磁駆動アクチュエータを用いることとしている。リニアモータなどの電磁駆動アクチュエータは、その駆動指令入力と、それに対するアクチュエータ発生力の関係が、この種の運動機構の主たる動特性が作用する周波数領域では、ほぼ、比例関係で記述することができる。従って、(4)式は実質上、加振手段1811による6自由度運動機構への並進推力・回転モーメントを入力としている場合と、等価に考えることができる。
【0103】
【数4】
ただし、Ax,Ay,AzはX,Y,Z方向の加速度出力信号、Aθx,Aθy,Aθzはθx,θy,θz方向の角加速度出力信号、ux,uy,uzは、X,Y,Z方向の推力指令信号、uθx,uθy,uθzはθx,θy,θz方向のモーメント指令信号である。
【0104】
ここで、X,Y,Z方向の加速度、θx,θy,θz方向の角加速度は、除振装置各支持部、またはその近傍に備えられた、複数の振動センサ1803の検出方向および幾何配置に基づき、各振動センサの出力信号をリアルタイムで演算処理して導出する。また、各加振手段1811は、その作用方向および幾何配置を考慮した演算式に従い、X,Y,Z方向の推力指令,θx,θy,θz方向のモーメント指令に基づいて駆動される。演算処理はいずれも、装置重心位置Gを原点とした座標系に基いて行なわれる。装置重心位置Gが未知の場合は、仮想重心位置G’を定義し、これを原点として用いる。
【0105】
図22は(3)式の入出力関係を同定する装置を詳細に示す図である。6自由度運動機構を加振するためのX,Y,Z方向の推力指令信号、θx,θy,θz方向のモーメント指令信号は、信号発生手段1812から出力され、推力・モーメント指令を各加振手段1811に分配演算する入力側モード演算回路2231、電流増幅アンプ2232からなる信号分配手段1813を介して、各加振手段1811に印加される。X,Y,Z方向の推力指令信号,θx,θy,θz方向のモーメント指令信号には、相互に無相関なM系列信号などの疑似不規別信号を用いることが望ましい。M系列信号は、白色性の2値信号であり、同定対象とする運動機構の多くの周波数成分を励起することができる。
【0106】
一方、複数の振動センサ1803の出力信号は、出力側モード演算回路2233からなる信号抽出手段1815においてX,Y,Z方向の加速度,θx,θy,θz方向の角加速度に換算される。これらの時系列の出力データを、加振手段1811への推力指令信号とモーメント指令信号の時系列入力データとともに、データ収集手段1816に取り込む。
【0107】
図23(a)から(f)に入出力データの一例として、X,Y方向の推力指令信号ux,uy,θz方向のモーメント指令uθz、および、X,Y方向の加速度出力信号Ax,Ay,θz方向の角加速度出力信号Aθzの実測波形を示す。
【0108】
データ収集手段1816に取り込んだ入出力データは、システム同定手段1817aにおいて、同定演算処理が施される。同定演算には、部分空間同定法を適用する。この処理には、“MATLAB”などに代表される、市販の数値演算処理ソフトを利用することができる。この際、入出力データには、予めデシメーシヨンなどの適切な前処理演算を施しておくことが望ましい。以上の処理によって、(3)式の入出力特性を表わすシステム行列A,B,C,Dを導く。
【0109】
なお、ここでは、運動機構へのX,Y,Z方向の推力及びモーメントの指令信号を入力、運動機構のX,Y,Z加速度及び角加速度の出力信号を出力とする入出力特性を同定している。
【0110】
しかし、ここで導出したい物理パラメータは、(2)式等のように運動機構に作用するX,Y,Z方向の推力及びモーメントを入力、運動機構のX,Y,Z加速度及び角加速度を出力とする入出力特性に基くものである。よって、本ステップでは、必要に応じて、推力,モーメント指令信号から運動機構に作用する推力,モーメントのゲイン、および、加速度・角加速度の検出ゲインを考慮してシステム行列を補正する。
【0111】
また、実際の運動機構は、ここで例示する能動除振装置のように、制御が施されている場合が多い。このような対象において、制御が実施されていない状態の特性を同定しようとする場合には、制御系閉ループの特性を、制御ループ中にある制御演算装置の特性を考慮して、開ループの特性に変換する閉ループ同定の手法を適用すればよい。もちろん、この同定処理のために、制御ループを開くことが可能な場合は、直接、制御動作の影響のない、開ループの特性を直接同定してもよい。
【0112】
<ステップ72の処理>
以上のようにしてシステム行列A,B,C,Dを同定したが、通常この種のシステム同定理論は、実システムの物理量をある一定の時間間隔ごとにサンプリングした時系列データに基く離散時間系を対象にしている。一方、運動機構の特性は、対象運動機構の力学特性に基づく運動方程式など、連続時間系で取り扱う。
【0113】
そこで、同定の結果得られた離散時間系のシステム行列A,B,C,Dを、連続時間系のシステム行列A,B,C,Dに変換する。この離散時間系の連続時間系への変換に関しても、種々のアルゴリズムが提案されており、それらを活用して変換を行なう。この処理演算は、システム同定手段1817aで行なう。
【0114】
<ステップ73の処理>
ここまでに得られた式、データをもとに、以下、物理パラメータの同定を行なう。以降の処理演算は、物理パラメータ導出手段1817bで行なう。
【0115】
まず、システム行列Dに着目して、除振台1801の質量m、慣性モーメント・慣性乗積Ixx,Iyy,Izz,Ixy,Ixz,Iyzを導出する。このステップを実施せず、以降、説明するステップの処理のみでも、これらのパラメータを同定することは可能である。しかし、未知の物理パラメータが多い場合、以降に説明する装置・方法のみでは、適切な同定が行なえない場合があること、未知パラメータを削減できれば、代数演算の負荷を低滅できること、などから、本ステップを効果的に実施することが望ましい。もちろん、設計段階で、これらの物理パラメータが既知で、かつ、その特性値の変化の可能性がなければ、このステップは省略可能である。
【0116】
以下、本ステップでの動作を説明する。
【0117】
(1)、(2)式等から明らかなように、さきに同定した運動機構の入出力特性を、入力を運動機構に作用する推力・モーメント、出力を加速度・角加速度とすると、システム行列Dは、除振台1801の質量、慣性モーメント、慣性乗積で与えられることがわかる。状態方程式によるシステム特性の表現は、状態量としてどのようなパラメータをとるかによりシステム行列A,B,Cが変わるという特徴があるが、システム行列Dは、対象となる運動機構への入力と出力の伝達特性を直接的に定義する項である。つまり、入力と出力の物理量の関係を直接記述する項であり、状態量のとり方とは無縁に一意に決まるものである。
【0118】
よって、さきのステップ71,72で、部分空間同定法などを適用して同定したシステム行列Dと、(1)、(2)式等のシステム行列Dの関係を比較することにより、除振台1801の質量、慣性モーメント、慣性乗積の値を同定することができる。
【0119】
<ステップ74,75の処理>
最後に、物理パラメータの同定を行なう。ここでは、前のステップで、除振台1801の質量、慣性モーメント、慣性乗積などの慣性に関する物理的特性値が導出されているとし、残りのパラメータ、つまり、能動除振装置1802を構成する支持手段のばね定数、粘性摩擦係数などの同定について説明する。ここで残っている未知の物理パラメータは、X,Y,Z各方向のばね定数kx,ky,kz、および、粘性摩擦係数cx,cy,czである。
【0120】
本発明では、状態方程式において状態量をどのように定義しても、対象となる運動機構の特性多項式は同じものになる、つまり、先のステップ71,72で実システムの同定結果として得られたシステム行列と、(2)式等に記載されたシステム行列は、共に特性多項式が同じになる、という点に着目して、物理パラメータを同定する。
【0121】
(2)式等に記載されたシステム行列A,B,Cと、ステップ71,72においてシステム同定手段1817aにて導出したシステム行列A,B,Cは、状態量が必ずしも一致しないため、双方は、同じものにはなるとは限らない。ステップ71で行なったシステム同定方法では、状態方程式における状態量を任意に選ぶことができないためである。しかし、対象システムが同じものであれば、システム固有の特性、固有値、特性多項式は同じものになる。従って、ステップ71,72で実システムの同定結果として得られたシステム行列と、(2)式等に記載されたシステム行列は、共に同じ特性多項式を有する。本発明では、この点に着目して、物理パラメータの同定を行なう。
【0122】
なお、この処理は、ステップ71,72で同定したシステム次数と、運動機構の運動方程式などで記述されるモデルのシステム次数が−致していることが前提となる。例えば、ここで例示する6自由度運動機構は、(1)式や(2)式等から明らかなように12次のシステム、つまり、システム行列Aの固有値が12個存在する。よって、ステップ71,72におけるシステム行列A,B,C,Dも、予め12次のモデルであるとして、同定処理演算を行なっておく必要がある。
【0123】
以下、物理パラメータの同定手順を具体的に説明する。
【0124】
まず、運動方程式などをベースに構築した、(3)式の状態方程式に基き、システムの特性多項式を求める(ステップ74a)。本実施形態で対象としている運動機構は、12次のシステムなので、得られる特性多項式は以下のようになる。
【0125】
s12 + a11s11 + a10s10 + ・・・・+ a2s2 + a1s +a0 …(5)
(5)式は、ラプラス演算子s、システム行列Aと同じ次数の単位行列Iとしたとき、(6)式のようにまとめることができる。
【0126】
det(sI−A) ・・・(6)
ここで、運動方程式をベースに構築した(2)式等のシステム行列は、未知の物理パラメータを合む代数行列で記述される。よって、(5)式中sの係数a11,…,a0は未知の物理パラメータの代数式として与えられる。
【0127】
次に、同様にして、ステップ71,72における処理によって得られたシステムの特性多項式を求める(ステップ74b)。
【0128】
s12 + a'11s11 + a'10s10 + ・・+ a'2s2 + a'1s +a'0 …(7)
ここで、同定の結果得られたシステム行列は数値行列になるので、(7)式の、sの係数a'11,…a'0は、すべて数値(関数を含まない定係数)になる。
【0129】
最後に、(5)式、(7)式、双方の特性多項式の係数を比較し、未知の物理パラメータを同定する。つまり、a11とa'11、a10とa'10,…,a0とa'0が等しくなるという条件に従って、未知の物理パラメータを導出する。
【0130】
係数比較による物理パラメータの推定は、未知の物理パラメータの数と、比較する係数の数、すなわち、条件式が同じ場合は、連立方程式を解くという手法で容易に行なえる。
【0131】
本実施形態のように、未知の物理パラメータの数が条件式の数より少ない、あるいは、さきに構築した運動方程式ではモデル化されていない部分の特性の影響が小さくない場合には、最適化の手法を用いて、未知の物理パラメータ同定すればよい。最急降下法を用いた未知の物理パラメータの導出は、(5)式、(7)式の特性多項式の係数差を最小にすべく、(8)式の評価関数を設定し、これを最小化するような処理演算を実施することによって行なうことができる。
【0132】
【数8】
この評価関数は、未知の物理パラメータξj(j=1,2,…,6)の関数として記述される。ここで、ξjは、未知の物理パラメータkx,ky,kz,cx,cy,czである。
【0133】
そして、未知の物理パラメータξjに適切な初期値を設定し、以下の(9)式の演算を繰返し行なうことによって、この評価関数Jが最小となる物理パラメータξjの数値を求める。
【0134】
【数9】
ここでσは、適切な正数である。
【0135】
以上のような手順・構成で、対象の6自由度運動機構の物理パラメータを同定することができる。
【0136】
なお、対象となる運動機構の減衰特性が十分に小さい場合は、能動除振装置1802の粘性摩擦係数もゼロとして同定演算を行なえば、より同定演算処理を簡単にすることができる。この場合、(2)式等,(3)式を、より簡単なものにすることができ、(5)、(7)式もsの偶数乗の項以外はゼロとなる。特に、空気ばねを防振支持手段に用いた除振装置は、一般に、機械部品による受動的な減衰特性が小さいことが知られており、このような場合は、比較的容易に対の物理パラメータを同定することが可能である。対象が、空気ばねを用いたタイプの能動除振装置であり、制御ループによって特性が調整され、減衰特性が付与されている場合でも、閉ループ同定の手法を駆使することによって、容易に開ループ特性、つまり、パッシブな状態の特性を同定でき、パッシブな減衰係数が十分に小さいという前提条件のもとに、比較的簡単に構成要素のメカ特性の同定を行なうことができる。
【0137】
(実施形態7)
実施形態6では、装置の重心位置が既知であるとして説明したが、ここでは、装置の重心位置Gが未知の場合に、その真の重心位置Gを推定する方法について説明する。
【0138】
まず、装置の重心位置を仮に設定し、これを仮想重心位置G’とする。そして、仮想重心位置G’と真の重心位置GとのX,Y,Z各方向の距離を図24に示すように、Lx,Ly,Lzとする。この際、装置の真の重心位置Gが、仮想重心位置G’より、X,Y,Z座標系で正の方向にある場合は、Lx,Ly,Lzに正の極性を、負の方向にある場合は、負の極性を定義する。
【0139】
次に、仮想重心位置G’と真の重心位置Gとの位置の差異の情報を盛り込んで、(3)式の運動方程式を書き直す。
【0140】
仮想重心位置G’に作用するX,Y,Z方向の並進推力、θx,θy,θzまわりの回転モーメントをそれぞれ、Fx0,Fy0,Fz0,Mx0,My0,Mz0とし、真の重心位置Gに作用するX,Y,Z方向の並進推力,θx,θy,θzまわりの回転モーメントを、それおぞれ、Fx,Fy,Fz,Mx,My,Mzとすると、両者の関係は、(10)式のようになる。
【0141】
【数10】
同様に、仮想重心位置G’のX,Y,Z方向の並進加速度出力、仮想重心位置G’のθx,θy,θzまわりの回転角加速度出力をそれぞれ求めると以下のようになる。
【0142】
d2/dt2(x0),d2/dt2(y0),d2/dt2(z0),
d2/dt2(θx0),d2/dt2(θy0),d2/dt2(θz0)
ここで、「d2/dt2(パラメータ)」なる記述はかっこ内のパラメータを時間に関して2階微分することを示すものである。
【0143】
また、真の重心位置GのX,Y,Z方向の並進加速度出力、真の重心位置Gまわりの回転角加速度出力を求めると、それぞれは以下のようになる。
【0144】
d2/dt2(x),d2/dt2(y),d2/dt2(z),
d2/dt2(θx),d2/dt2(θy),d2/dt2(θz),
両者の関係は(11)式のようになる。
【0145】
【数11】
これらの関係を(2)式等の状態方程式に作用させシステムへの入力を仮想重心位置G’に作用する並進推力・回転モーメント、出力を仮想重心位置G’の並進加速度、仮想重心位置G’まわりの回転角加速度として、状態方程式を整理すると、システム行列A,B,C,Dは、以下の(12)式のようになる。
【0146】
【数12】
よって、仮想重心位置G’を原点とする座標系に対して、実施形態6におけるステップ71,72の処理を行なってシステム行列Dを求め、その要素を(11)式のシステム行列Dの要素と比較すれば、除振台1801の質量、慣性モーメント、慣性乗積とともに、仮想重心位置G'と真の重心位置との距離Lx,Ly,Lzを推定することができる。この処理は、図21におけるステップ73で実施することが望ましい。ここで得られた重心位置の情報を(2)式等、(3)式に反映させ、実施形態6で開示した手順に従って作業を進めれば、ばね定数や粘性摩擦係数などの物理パラメータをより正確に同定することができる。
【0147】
(実施形態8)
運動機構を構成する要素の変動しうる物理パラメータのうち、慣性に関するもの以外のものの総数がシステム次数と等しいか、それより少ない場合は、実施形態6、7に記載した手法で、それらすべての要素の物理パラメータの変動を知ることができ、装置構成要素の特性変動を伴う、装置異常を診断・検出することが可能である。
【0148】
運動機構を構成するメカ的・電気的要素の物理的特性値の経時的変化を監視して、その状態を自己診断し、異常を検出する。XYステージ、能動除振装置など、大規模な装置に組み込まれた運動機構、および、それを構成するメカ的・電気的要素の特性を同定して、システム全体の自己診断や異常検出を行なうことも可能である。物理的パラメータを同定する装置を組込んで、動特性の経時的変化を監視して、その変化を装置の制御則に反映させる露光装置も、本発明の趣旨に含まれる。例えば、図25に模式的に表わした6自由度運動機構を考える。
【0149】
この6自由度運動機構は、鉛直・水平各1方向のみに、ばね・減衰要素を有する能動除振装置1802a,b,cと、それら3つの能動除振装置で支持された除振台1801からなる。この運動機構では、水平のばね・減衰要素は、除振台1801の3つの支持点を頂点とする三角形の各辺に平行に配置されている。
ここで、未知の物理パラメータを各支持部の鉛直及び水平方向のばね定数をそれぞれkv1,kv2,kv3及びkh1,kh2,kh3とし、鉛直及び水平方向の粘性摩擦係数をそれぞれcv1,cv2,cv3及びch1,ch2,ch3とすると、6自由度運動機構のシステム次数は12次に対して、未知パラメータ12となり、実施形態6、7で開示した手法と同じ手法で、これらの物理パラメータを同定することができる。ただし、除振台1801の質量、慣性モーメントは、システム行列Dに着目して同定するものとする。
【0150】
実施形態6では、除振装置支持部の鉛直方向のばね定数はすべて同じ値としたが、ここでは、それらはすべて別の値をとりうるという前提にたっている。この手法によれば、装置を構成する要素のうち複数配置された同種の要素の個々についても、経時的な特性変動を捉えることができ、装置の異常を診断・検出することが可能である。
なお、この手法は、対象のばね定数、減衰係数、慣性に関する物理的特性値のみを同定するものではない。例えば、未知パラメータをアクチュエータの推力定数や振動センサの特性パラメータにすれば、これら要素部品の異常検出方法として機能させることも可能である。
【0151】
(実施形態9)
実施形態6、7の説明において、対象とする運動機構の特性多項式は、システム行列A,B,C,Dをシステム同定理論の手法により同定したが、正弦波掃引加振によって得られた対象運動機構の周波数特性に対してカーブフィット、極零解析などの処理を施し、得られたシステムの極、固有値に基いて、特性多項式を構築することもできる。
【0152】
この場合は、まず、データ収集手段1816に記録した時系列データに基づき、加振手段1811による運動機構への作用を入力、それに対する運動機構の運動状態を出力としたときの、入出力間のゲイン、位相関係に関する周波数応答特性を導出する。
【0153】
そして、得られた周波数特性に対してカーブフィット、極零解析などの処理を施し、対象運動機構の固有値を導出する。特性多項式は、対象運動機構の固有値を例えば、P1,P2,…P12とおいた場合(13)式となる。
【0154】
(s−P1)(s−P2)・・・(s−P12) ・・・(13)
こうして得られた特性多項式を用いて、実施形態6で開示した処理を行なえば、物理パラメータの同定は可能である。
【0155】
実施形態6乃至9にかかる発明では、多自由度の運動機構の入出力特性と、運動機構を構成するメカ的・電気的要素の特性を表わす物理パラメータとを、運動機構の挙動特性を支配する特性多項式に着目することによって結び付け、従来は困難であった多自由度運動機構の構成要素の物理パラメータを、系統的に、効率よく導出する装置・手法を提案・開示した。これにより、従来は、熟練した作業者の知識と経験に大きく依存して、試行錯誤的作業を交えながら行なってきたこの種の作業を、短時間に効率良く、かつ、必要な精度で行うことが可能となる。これにより、装置の特性の迅速かつ正確な把握が可能となり、制御設計や機構系再設計に、より詳細な情報を提供することができ、精密機器を構成する運動機構の特性向上に大きく寄与することができる。
【0156】
また、本手法及び装置は、対象の力学モデルが特定されていれば、比較的短時間で、装置を構成する各要素の特性を同定することが可能となり、装置の生産効率、運転効率を犠牲にすることなく、半導体露光装置のような産業機器の自己診断や異常検出を迅速に行なうことができる。
【0157】
また、装置の稼働によって生じる運動機構の経時的に特性変化を予想し、適切なタイミングで定期的な診断・保守作業を行なうことが可能となる。特性の変化を時系列に捉え、これを制御則に反映することで、装置の性能を能動的に維持することが可能になる。
【0158】
(デバイス生産方法の実施形態)
次に上記説明した露光装置を利用したデバイスの生産方法の実施形態を説明する。
【0159】
図10は微小デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造のフローを示す。ステップ1(回路設計)ではデバイスのパターン設計を行なう。ステップ2(マスク製作)では設計したパターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ3(ウエハ製造)ではシリコンやガラス等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意したマスクとウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
【0160】
図11は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では上記説明したシステム同定機能を有する露光装置によってマスクの回路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ17(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0161】
本実施形態の生産方法を用いれば、従来は製造が難しかった高集積度のデバイスを低コストに製造することができる。
【0162】
なお上述の実施形態1乃至9及びデバイス生産方法の実施形態においては、本発明のシステム同定機能を主に半導体露光装置に適用する例について述べたが、本発明は、半導体露光装置以外の半導体製造装置や、半導体以外の例えば液晶デバイスを製造する際に用いられる露光装置においても適用可能である。
【0163】
また、上述においては、疑似不規則信号として最も一般的なM系列信号を用いた例を示したが、他の疑似不規則信号を用いることも可能である。特に、アクチュエータごと、または運動自由度ごとに独立に印加する疑似不規則信号は、1種類でも足りるため、必ずしもM系列信号である必要はない。
【0164】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、
(1)疑似不規則信号の加振によって取得できる運動機構の特性は精度の高いものであり、設計、保守のためのデータとして有効に活用することができる。取得したデータは自己診断のために解析・評価され、装置の性能を一定水準に維持することを可能にする。かかる信号発生手段を装置内部に備えることにより、加振条件を統一した解析・評価が可能になる。
【0165】
(2)疑似不規則信号の入力は、極めて短時間で済み、正弦波による加振のように運動機構に過大な負荷を与えないという効果がある。
【0166】
(3)運動機構の自己診断は、半導体製造装置の稼働を止めることなく短時間で行なえるので、生産性を落とすことなく、適切なタイミングで保守の時期を見定め、これを実行することが可能となる。
【0167】
(4)オペレータは運動機構の出力に応じて信号取得のレンジを設定することができ、その同定結果を認識しやすいように表示することが可能となる。
【0168】
(5)熟練した作業者の知識と経験に依存した試行錯誤的作業によることなく運動機構の特性を表わす物理パラメータを効率よく導出し、その特性の変化を経時的に把握して、運動機構の制御則に反映することで装置の性能を能動的に維持することが可能になる。
【0169】
(6)比較的短時間で、装置を構成する各要素の特性を同定することが可能となり、装置の生産効率、運転効率を犠牲にすることなく、半導体露光装置のような産業機器の自己診断や異常検出を迅速に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るシステム同定機能を有する半導体露光装置の構成を示す図である。
【図2】M系列の出力波形の一例を示す図である。
【図3】M系列の加振に対する応答波形の一例を示す図である。
【図4】アクティブ除振装置とそれに搭載されたXYステージの構造を示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るシステム同定機能を有する半導体露光装置の構成を示すブロック図である。
【図6】アクティブ除振装置の加振によって求められるステージの外乱抑圧率を示す図である。
【図7】正弦波の加振で測定した周波数応答(イナータンス)を示す図である。
【図8】M系列の加振で測定した周波数応答(イナータンス)を示す図である。
【図9】図9は、イナータンスの周波数応答を示す図である。
【図10】微小デバイスの製造の流れを示す図である。
【図11】図10におけるウエハプロセスの詳細な流れを示す図である。
【図12】システム同定装置において同定結果を表示処理するための構成を示す図である。
【図13】条件設定ウィンドウの構成を示す図である。
【図14】同定結果の表示例を示す図である。
【図15】同定結果を詳細に表示するために対応する要素ごとに画面を分割して表示する図である。
【図16】同定装置の外観構成を示す図である。
【図17】除振装置を同定するために同定装置が印加する信号と、受信する信号とを示す図である。
【図18】システム同定装置において、物理パラメータの導出処理をするための構成を示す図である。
【図19】対象運動機構の一例である能動除振装置の構造を示す図である。
【図20】運動機構を6自由度(XYZ方向の並進、回転)で支持する構成図である。
【図21】物理パラメータの導出手順を示す図である。
【図22】物理パラメータを導出するためのデータ処理を示すブロック図である。
【図23】入出力信号の一例を示す図である。
【図24】運動機構の真の重心位置Gと仮想重心位置G'との位置関係を表わす図である。
【図25】特性の同定を実施する運動機構の例を示す図である。
【符号の説明】
1 露光装置本体
5 運動モード抽出演算手段
8 運動モード分配演算手段
10 多チャンネル・無相関・M系列信号発生器
11 スイッチ
12 データ記憶部
13 プリフィルタリング
14 システム同定部
15 特性抽出・診断部
Claims (34)
- 互いに無相関な複数個の疑似不規則信号を発生し、該複数個の擬似不規則信号を運動機構においてその運動を制御するための複数のアクチュエータのそれぞれに印加する疑似不規則信号発生手段と、
該疑似不規則信号の時系列データとともに前記運動機構の運動状態を計測するセンサの時系列データを収集して記憶するデータ記憶手段と、
該データ記憶手段に記憶された時系列データに対してフィルタリングを施すプリフィルタリング手段と、
該プリフィルタリング手段で処理したデータに対して数学モデルを導出するシステム同定手段と、
該システム同定手段が導出する数学モデルを使って前記運動機構の特性値を導出する特性抽出手段とを備え、
前記疑似不規則信号発生手段は、前記運動機構が制御のために備える複数のアクチェエータのそれぞれと1対1で対応する前記互いに無相関な複数個の疑似不規則信号を全アクチュエータに同時に印加することを特徴とする露光装置。 - 前記疑似不規則信号発生手段は、一つの疑似不規則信号を前記運動機構が制御のために備えるアクチュエータごと独立に印加するためのスイッチ手段を有することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 互いに無相関な複数個の疑似不規則信号を発生し、該複数個の擬似不規則信号を運動機構においてその運動を制御するための複数のアクチュエータのそれぞれに印加する疑似不規則信号発生手段と、
該疑似不規則信号の時系列データとともに前記運動機構の運動状態を計測するセンサの時系列データを収集して記憶するデータ記憶手段と、
該データ記憶手段に記憶された時系列データに対してフィルタリングを施すプリフィルタリング手段と、
該プリフィルタリング手段で処理したデータに対して数学モデルを導出するシステム同定手段と、
該システム同定手段が導出する数学モデルを使って前記運動機構の特性値を導出する特性抽出手段とを備え、
前記疑似不規則信号発生手段は、前記運動機構の運動自由度の個数と同数の互いに無相関な疑似不規則信号をそれぞれの運動自由度に対応して同時に印加することを特徴とする露光装置。 - 前記疑似不規則信号発生手段は、一つの疑似不規則信号を前記運動機構の運動自由度ごと独立に印加するためのスイッチ手段を有することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 前記特性値は、周波数応答、前記運動機構の物理パラメータ、共振周波数、減衰率、ゲイン余裕、位相余裕、および露光装置内で計測不可能な部位の物理情報のいずれか少なくとも1つまたは全部であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の露光装置。
- 前記アクチュエータは電磁モータであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の露光装置。
- 前記運動機構は、露光装置の本体構造体を防振支持するためのアクティブ除振装置であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の露光装置。
- 前記運動機構は、露光装置に対してシステム同定を行なうために外付けされることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の露光装置。
- 前記疑似不規則信号はM系列信号であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の露光装置。
- 互いに無相関な複数個の疑似不規則信号を発生し、該複数個の擬似不規則信号を運動機構においてその運動を制御するための複数のアクチュエータのそれぞれに印加する疑似不規則信号発生手段と、
該疑似不規則信号の時系列データとともに前記運動機構の運動状態を計測するセンサの時系列データを収集して記憶するデータ記憶手段と、
該データ記憶手段に記憶された時系列データに対してフィルタリングを施すプリフィルタリング手段と、
該プリフィルタリング手段で処理したデータに対して数学モデルを導出するシステム同定手段と、
該システム同定手段が導出する数学モデルを使って前記運動機構の特性値を導出する特性抽出手段とを備え、
前記疑似不規則信号発生手段は、前記運動機構が制御のために備える複数のアクチュエータのそれぞれと1対1で対応する前記互いに無相関な複数個の疑似不規則信号を全アクチュエータに同時に印加することを特徴とする除振装置。 - 前記疑似不規則信号発生手段は、一つの疑似不規則信号を前記運動機構が制御のために備えるアクチュエータごと独立に印加するためのスイッチ手段を有することを特徴とする請求項10に記載の除振装置。
- 互いに無相関な複数個の疑似不規則信号を発生し、該複数個の擬似不規則信号を運動機構においてその運動を制御するための複数のアクチュエータのそれぞれに印加する疑似不規則信号発生手段と、
該疑似不規則信号の時系列データとともに前記運動機構の運動状態を計測するセンサの時系列データを収集して記憶するデータ記憶手段と、
該データ記憶手段に記憶された時系列データに対してフィルタリングを施すプリフィルタリング手段と、
該プリフィルタリング手段で処理したデータに対して数学モデルを導出するシステム同定手段と、
該システム同定手段が導出する数学モデルを使って前記運動機構の特性値を導出する特性抽出手段とを備え、
前記疑似不規則信号発生手段は、前記運動機構の運動自由度の個数と同数の互いに無相関な疑似不規則信号をそれぞれの運動自由度に対応して同時に印加することを特徴とする除振装置。 - 前記疑似不規則信号発生手段は、一つの疑似不規則信号を前記運動機構の運動自由度ごと独立に印加するためのスイッチ手段を有することを特徴とする請求項10に記載の除振装置。
- 前記特性値は、周波数応答、前記運動機構の物理パラメータ、共振周波数、減衰率、ゲイン余裕、位相余裕、および除振装置内で計測不可能な部位の物理情報のいずれか少なくとも1つまたは全部であることを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1つに記載の除振装置。
- 前記アクチュエータは電磁モータであることを特徴とする請求項10乃至14のいずれか1つに記載の除振装置。
- 前記運動機構は露光装置の本体構造体を防振支持することを特徴とする請求項10乃至15のいずれか1つに記載の除振装置。
- 前記運動機構は、除振装置に対してシステム同定を行なうために外付けされることを特徴とする請求項10乃至15のいずれか1つに記載の除振装置。
- 前記疑似不規則信号はM系列信号であることを特徴とする請求項10乃至17のいずれか1つに記載の除振装置。
- システム同定方法であって、
運動機構においてその運動を制御するための複数のアクチュエータに互いに無相関な複数個の疑似不規則信号をそれぞれ印加する工程と、
この疑似不規則信号の時系列データとともに前記運動機構の運動状態を計測するセンサの時系列データを収集してデータ記憶手段に記憶させる工程と、
該データ記憶手段に記憶された時系列データに対してフィルタリングを施す工程と、
該フィルタリングしたデータを使ってシステムを同定する工程と、
該システムの同定によって算出した数学モデルを使って前記運動機構の特性値を導出する工程とを含み、
前記疑似不規則信号として前記運動機構が制御のために備える複数のアクチュエータのそれぞれと1対1で対応する前記互いに無相関な複数個の疑似不規則信号を、全アクチュエータに同時に印加することを特徴とするシステム同定方法。 - 前記疑似不規則信号として一つの疑似不規則信号を、スイッチ手段を介して前記運動機構が制御のために備えるアクチュエータごと独立に印加することを特徴とする請求項19に記載のシステム同定方法。
- システム同定方法であって、
運動機構においてその運動を制御するための複数のアクチュエータに互いに無相関な複数個の疑似不規則信号をそれぞれ印加する工程と、
この疑似不規則信号の時系列データとともに前記運動機構の運動状態を計測するセンサの時系列データを収集してデータ記憶手段に記憶させる工程と、
該データ記憶手段に記憶された時系列データに対してフィルタリングを施す工程と、
該フィルタリングしたデータを使ってシステムを同定する工程と、
該システムの同定によって算出した数学モデルを使って前記運動機構の特性値を導出する工程とを含み、
前記疑似不規則信号として前記運動機構の運動自由度の個数と同数の互いに無相関な疑似不規則信号を、それぞれの運動自由度に対応して同時に印加することを特徴とするシステム同定方法。 - 前記疑似不規則信号をそれぞれ印加する工程は一つの疑似不規則信号を、スイッチ手段を介して前記運動機構の運動自由度ごと独立に印加することを特徴とする請求項19に記載のシステム同定方法。
- 前記特性値は、周波数応答、前記運動機構の物理パラメータ、共振周波数、減衰率、ゲイン余裕、位相余裕、および運動機構内で計測不可能な部位の物理情報のいずれか少なくとも1つまたは全部であることを特徴とする請求項19乃至22のいずれか1つに記載のシステム同定方法。
- 前記運動機構は、露光装置の本体構造体を防振支持するためのアクティブ除振装置であることを特徴とする請求項19乃至23のいずれか1つに記載のシステム同定方法。
- 前記運動機構は露光装置に対してシステム同定を行なうために外付けされることを特徴とする請求項19乃至23のいずれか1つに記載のシステム同定方法。
- 前記疑似不規則信号はM系列信号であることを特徴とする請求項19乃至25のいずれか1つに記載のシステム同定方法。
- デバイス製造方法であって、
請求項1乃至9のいずれか1つに記載の露光装置を準備する工程と、
前記準備した露光装置によりデバイスを製造する工程と、
を備えることを特徴とするシステム同定方法。 - 前記導出された特性値から該露光装置の特性の変化を解析して自己診断する手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 前記自己診断に従い、該装置の特性が所定の基準値を超えた場合は、異常を報知するための手段を更に備えることを特徴とする請求項28に記載の露光装置。
- 前記装置の特性値は、周波数応答、共振周波数、減衰率、ゲイン余裕、位相余裕、のいずれか少なくとも1つにより定義されることを特徴とする請求項28に記載の露光装置。
- 前記自己診断は、装置正常時の特性値と比較して行なわれることを特徴とする請求項28に記載の露光装置。
- 前記導出された特性値から露光装置の特性の変化を解析して自己診断する手段を更に備えることを特徴とする請求項10に記載の除振装置。
- 前記自己診断は、装置正常時の特性値と比較して行なわれることを特徴とする請求項32に記載の除振装置。
- 露光装置であって、
請求項32に記載の除振装置を用いて、運動機構の振動を除振するための手段を備えることを特徴とする露光装置。
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