JP6143928B1 - 慣性センサの動的感度マトリクスを計測する方法およびその装置 - Google Patents

慣性センサの動的感度マトリクスを計測する方法およびその装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6143928B1
JP6143928B1 JP2016161388A JP2016161388A JP6143928B1 JP 6143928 B1 JP6143928 B1 JP 6143928B1 JP 2016161388 A JP2016161388 A JP 2016161388A JP 2016161388 A JP2016161388 A JP 2016161388A JP 6143928 B1 JP6143928 B1 JP 6143928B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inertial sensor
vibration
vector
measuring
sensitivity matrix
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016161388A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018028511A (ja
Inventor
章 梅田
章 梅田
Original Assignee
株式会社ベクトル・ダイナミックス
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社ベクトル・ダイナミックス filed Critical 株式会社ベクトル・ダイナミックス
Priority to JP2016161388A priority Critical patent/JP6143928B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6143928B1 publication Critical patent/JP6143928B1/ja
Publication of JP2018028511A publication Critical patent/JP2018028511A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Navigation (AREA)
  • Gyroscopes (AREA)

Abstract

【課題】慣性センサの必要とする目標精度に応じて、非線形項を高次の項まで求めることにより、動的感度マトリクスを計測する。【解決手段】振動台制御装置により振動台を制御して、前記振動台に固定された多軸の慣性センサに並進振動または回転振動を印加し、信号処理用計算機が、振動の印加によって得られた前記慣性センサの出力値から動的感度マトリクスを計測する方法において、前記信号処理用計算機は、マクローリン冪変換されたベクトルが線形独立となる加振振幅ベクトルを選択し、選択された加振振幅ベクトルにより、前記慣性センサに振動を加え、前記慣性センサの必要とする目標精度に応じて、非線形項を高次の項まで求めることにより、動的感度マトリクスを計測する。【選択図】図1

Description

本発明は、多軸の慣性センサにおける動的感度マトリクスを計測する方法およびその装置に関する。
多軸の慣性センサは、加速度センサ、ジャイロ、または両者を結合したIMU(Inertial Measurement System)であって、多軸ベクトル量センサといえる。加速度センサが計測する加速度はベクトル量であり、ジャイロが計測する角速度もベクトル量であり、IMUの場合は最大6軸のベクトル量を計測する。また、コンボセンサとも言われるIMUは、地球磁場も計測するので、9軸を計測する場合もある。このような多軸の慣性センサとして、近年、シリコンの微細半導体加工技術で製造されたMEMS(Micro-Electro-Mechanical System)センサが、広く利用されている。
MEMS慣性センサは、自動車の自動運転技術への応用、社会インフラ保全のための振動検知への利用、人体の振動に対する暴露モニタリングへの利用等が期待されている。このような応用においては、慣性センサの計測精度を確保することが重要である。しかしながら、現状では、一軸の加速度の標準しか供給されておらず、角速度の標準が供給されていない。
慣性センサの感度の校正では、計測装置として一軸の振動台を使い、慣性センサに振動を加える方向と慣性センサの感度軸とを一致させるので、加速度はベクトルとはみなされず、感度は複素数で表されるだけである。従って、入力加速度(角速度)をレーザ干渉計により計測しても、正弦波に近似をするので非線形性は計測できない、といった問題が残されている。また、地球磁場も計測するIMUに対しては、加速度や角速度を発生する振動台から漏れる磁場が、地球磁場より数桁大きいので、計測方法にも工夫が必要であるのが現状である。
慣性センサの出力は、電圧を単位とする信号であり、加速度は、この信号を変換して得られたベクトルの集合として表される。慣性センサの数学的機能は、実ベクトル空間を信号ベクトル空間に射影することであり、線形性を仮定すれば、ベクトルをベクトルに変換できるのはマトリックスだけである。従来は、静的線形性が考慮されているだけであって、動的線形性は考慮されておらず、計測に際しても定常的な計測のみであった。そこで、線形性を仮定した動的感度をマトリックスで表すための手法が、特許文献1〜2に開示されている。
特許4853937号公報 特許4924933号公報
しかしながら、実ベクトル空間から信号ベクトル空間への射影は常に線形とは限らず、実際の慣性センサは非線形性を有している。例えば、一部の高精度MEMS慣性センサは、静的な感度を5次の多項式で近似した時の係数が表されていたが、動的な場合に非線形項を高次まで一般的に求めるための方法は確立されていなかった。そのために、動的線形性を考慮するのみならず、非線形項を含めた慣性センサの校正方法も確立されていないという問題があった。
本発明の目的は、非線形項を高次の項まで解析した結果、n次(n≧2)の感度がマトリックスでまとめられること、および慣性センサの必要とする目標計測精度に応じて高次の項まで求める必要があることを示し、計測するため方法およびその装置を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、一実施態様は、振動台制御装置により振動台を制御して、前記振動台に固定された多軸の慣性センサに並進振動または回転振動を印加し、信号処理用計算機が、振動の印加によって得られた前記慣性センサの出力値から動的感度マトリクスを計測する方法において、前記信号処理用計算機は、前記出力値のベクトルをマクローリン展開し、フーリエ級数に展開するステップと、フーリエ級数に展開されたexp(jωt)の冪数の等しい項について、それぞれ係数行列と加振振幅ベクトルの積として表し、1次の項の加振振幅ベクトルを、2次以上の項の加振振幅ベクトルにマクローリン冪変換するステップと、マクローリン冪変換されたベクトルが線形独立となる加振振幅ベクトルを選択するステップと、選択された加振振幅ベクトルにより、前記慣性センサに振動を加え、前記慣性センサの必要とする目標精度に応じて、非線形項を高次の項まで求めることにより、動的感度マトリクスを計測するステップとを実行することを特徴とする。
本発明によれば、動的線形性を考慮するのみならず、慣性センサの必要とする目標精度に応じて、非線形項を高次の項まで求めることにより、慣性センサの計測精度を飛躍的に向上させることが可能となる。
本発明の一実施形態にかかる計測装置の構成を示す図である。 計測装置の振動台に必要な三軸6自由度を示す構成図である。 本発明の一実施形態にかかる計測方法を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。最初に解析方法を説明し、その後、具体的な計測装置と計測方法について述べる。
(線形マトリックス感度)
IMUの場合、最大6軸の自由度を有するが、マトリックスの大きさが大きくなり、紙面の大きさと比較して不便なので、ここでは3軸の場合について説明する。なお、3軸とも加速度を計測するのか、1軸だけ加速度を計測し、残り2軸は角速度を計測するというような配分は、以下の説明では問題にならない。
Figure 0006143928
慣性センサへの入力を(1−1)で定義し、かつ複素数表示にするために指数関数を導入して、(1−2)で入力ベクトルを定義する。慣性センサの出力は、入力の定義に従った書き方ではなく、一般的な書き方に留めておく。センサの出力を表す関数fx,fy,fzが連続で、無限回微分可能であると考えることは妥当であるから、(2)式をマクローリン展開すると、以下の式を得る。
Figure 0006143928
書き下ろすと、
Figure 0006143928
となる。(4)式の計算では、偏微分の入れ替えは可能であるとした。(4)式の第二項までが線形領域であり、第三項以降は非線形領域である。その理由は、線形領域では、定数項と入力の一次の項しか現れていないのに対して、第三項以降では、入力の二次以上の高次の項が現れているからである。
out(t),zout(t)についても、(4)式のfxをfy,fzの各々に交換すれば、yout(t)またはzout(t)を求めることができる。また,(4)式の第三項以降では、原点での値という意味でのx=y=z=0を省略した。入力ベクトルである(1)式の第二式を(4)式に代入すると、最初の[]はexp(jωt)でくくることができ、二番目の[]はexp(j2ωt)でくくることができ、三番目の[]はexp(j3ωt)でくくることができる。同様に、より高次の項についても可能になる。基本的に周波数特性を考えるので、xout(t),yout(t),zout(t)をフーリエ級数に展開できると考えられる。
Figure 0006143928
そこで、(4)式、(5)式のexp(jωt)の冪数の等しい項を比較すると、以下の3式が導かれる。
Figure 0006143928
(6)式はX軸に関する関数fxについて計算した結果得られた式である。同様の計算をY軸に関する関数fyについて行うと(9)式が得られ、Z軸に関する関数fzについて行うと(10)式が得られる。
Figure 0006143928
(6)式、(9)式、(10)式において、1次項の式が全部出たことになる。そこで、次の置き換えをする。
Figure 0006143928
表1において、Sの下付き添え字の左側は出力軸であり、右側は入力軸を表す。そこで、表1の記号を用いて(6)式、(9)式、(10)式を書きなおすと、(11)式が得られる。原点での値であることを下添え字で表すことは省略する。
Figure 0006143928
ここで求めるべき未知数は、Sxx,Sxy,Sxz,Syx,Syy,Syz,Szx,Szy,Szzである。(11)式の係数行列をS1 3と表すこととする。
Figure 0006143928
を加振振幅ベクトルと呼ぶことにする。(11)式の右辺のベクトルは、複素数ベクトルである。(11)式は一回の加振を表している。一回の加振で導かれる数式は3本で、未知数は9個であるから、加振を三回行えば式の数と未知数の数は一致するので、解を導ける可能性が生まれる。そこで,以下のように記号を定める。
Figure 0006143928
表2の1回目の加振の入出力関係を(11)式に代入すると(11−1)式が得られ、2回目の加振の入出力関係を(11)式に代入すると(11−2)式が得られ、3回目の入出力関係を(11)式に代入すると(11−3)式が得られる。
Figure 0006143928
(11−1)式、(11−2)式、(11−3)式を未知数Sxx,Sxy,Sxz,Syx,Syy,Syz,Szx,Szy,Szzについて整理すると、次の連立一次方程式が得られる。
Figure 0006143928
(12)式が解けるためには、係数行列の行列式がゼロであってはならない。規則的に並んでいることを考慮して、係数行列式を計算する。
Figure 0006143928
(13)式の最初の行交換では、第二行と第四行を交換し、第三行と第七行を交換している。次の行交換は、第六行と第八行を交換している。最終的な行列式の3乗がゼロであってはならないといことは、入力加速度の加振振幅ベクトルが線形独立であればよいことを意味する。線形独立な加振振幅ベクトルで加振すれば、一次の項に相当する線形マトリックス感度は、一意に決まることを意味する。
(マクローリン冪変換)
(7)式は、X軸に関する関数fxについて計算した結果得られた式である。同様の計算をY軸に関する関数fyについて行うと(14)式が得られ、同じく同様の計算をZ軸に関する関数fzについて行うと(15)式が得られる。
Figure 0006143928
ここで、新たに記号を表3のように定める。
Figure 0006143928
そこで、(7)式、(14)式、(15)式をまとめると(16)式を得る。
Figure 0006143928
(16)式において未知数S*,*は18個であり、一回の加振で導かれる方程式は3本しかないので、方程式の数と未知数の数を一致させるためには、6回加振をしなければならない。(16)式の係数行列を、S2 3で表すこととする。
記法の簡単化のために、加振振幅ベクトル
Figure 0006143928
変換する変換を「マクローリン冪変換」と呼ぶことにする。マクローリンを使う理由は、マクローリン展開が議論の出発点にあるからである。「冪」の意味は、変換されるベクトルの成分の冪が変換後のベクトルの要素になるからである。変換されたベクトルで成分を並べる順番は、マクローリン級数展開での二次の偏微分係数を並べる順番に対応していなかればならないという条件がある。このとき、3成分のベクトルに対する二次のマクローリン冪変換であると言う意味で、変換をM2 3と表す。表2に相当する定義は、表4となる。
Figure 0006143928
この入出力関係を(16)式に代入して、未知数について整理すると、(17)式が得られる。
Figure 0006143928
(17)式では、加振振幅ベクトルのマクローリン冪変換ベクトルは6成分であるから、係数行列は18×18の正方行列である。06は、ゼロを6個並べたゼロベクトルである。2行と4行を入れ替え、3行と7行を入れ替え、12行と16行を入れ替え、15行と17行を入れ替える。係数行列は次のようになる
Figure 0006143928
次に、4行と10行を入れ替え、5行と13行を入れ替え、6行と12行を入れ替える。
Figure 0006143928
さらに、10行目と7行目を入れ替え、13行目と8行目を入れ替え、11行目と14行目を入れ替え、12行目と15行目を入れ替える。
Figure 0006143928
さらに、9行と13行を入れ替え、10行と14行を入れ替える。
Figure 0006143928
最後に、13行と15行を入れ替え、得られた13行と14行を入れ替える。
Figure 0006143928
となるので、6個の加振振幅ベクトルのマクローリン冪変換ベクトルが一次独立であれば求解可能であることになる。すなわち、そのような3成分のベクトルを6個見つければよい。この6個のベクトルは、一次独立である必要はない。
また、(13−3)式、(17)式が表すように、係数行列式は正方行列になる。(13)式、(17)式が一般に正方行列を持つ連立一次方程式になることについて次に述べる。
Figure 0006143928
という形式になっている。行列式が計算できて、求解条件を導くためには、行列Aが常に正方行列であることを、証明する必要がある。行列Xは、求める感度行列の成分が未知数として縦ベクトルに並んだ形である。一次(線形)項の場合には、行列Aは正方行列になることは、自明である。ここでは、高次の項を求める場合でも行列Aが正方行列になることを示す。
軸数をnとし、m次の感度マトリックスを求めるとする。Mm n変換したベクトルの成分数をkと置く。一軸あたりの非線形マトリックス感度の個数もkであることから、未知数となるベクトルのすべての要素の個数はknである。(17)式にみられるように、係数行列には、加振振幅ベクトルのマクローリン冪変換ベクトルが階段状に並ぶので、係数行列の行数はknとなる。
一方、係数行列の行ベクトルの個数は、ベクトルBの成分個数に等しい。ベクトルBの成分個数は、方程式の全個数を意味するので、未知数の総数に等しく、同時に係数行列の列ベクトルの個数に等しい。以上のことから、係数行列の行ベクトルの個数も列ベクトルの個数も等しいので正方行列である。
表5に、三軸慣性センサの二次項のマクローリン冪変換を示す。
Figure 0006143928
としたときの一次独立性を調べる。
Figure 0006143928
従って、表5の加振振幅ベクトルのマクローリン冪変換ベクトルは、一次独立であるから求解は可能となる。なお、一次項の場合には、加振振幅ベクトルそのものが線形独立であることが必要十分条件であったので、線形領域のマクローリン冪変換は、単位行列である。このことから(4)式を写像で一般化すると、以下の式で表すことが可能になる。
Figure 0006143928
(21)式中の
Figure 0006143928
は、線形領域に対応する線形写像と非線形領域に対応する非線形写像の線形結合表現になっている。(21)式の
Figure 0006143928
または(5)式中の直流分のベクトルは、出力信号の時間平均を計算すれば求められる。
表6は,慣性センサの軸数と、各軸における一次項(線形項)から非線形項までの感度の個数を記述している。
Figure 0006143928
6軸慣性センサの場合、線形項の記述には、軸あたり6個の感度があり、全部では軸数倍の36に過ぎないが、5次の非線形項では192個の感度が出てくる。感度全体ではこれの6倍であって、1152個の感度が出てくる。何次の項まで求める必要があるのかは、センサの動作原理に基づく、非線形性の強弱と計測の必要精度による。一軸あたりの非線形感度の個数を表す数値は、マクローリン冪変換されたベクトルの成分の個数であり、マクローリン冪変換されたベクトルをその数値分だけ一次独立にしなければならない。
任意の数のゼロ乗は1であることを考えると、0次のマクローリン冪変換ベクトルは、成分がいかなる値を取ろうとも、(22)〜(26)式に示すように定義するのが合理的である。
Figure 0006143928
0次のマクローリン冪変換を上記のように定義すると、(21)式におけるバイアス項は、ベクトルではなくてマトリックスで定義すると、慣性センサの写像という数学的機能を、簡潔に表現することが可能となる。バイアス感度として以下のように定義する。
Figure 0006143928
を(bx,by,bz)と書くとすると、ベクトルでは書かずに、(28)式のようにマトリックスで定義すると、(32)式が導かれる。
Figure 0006143928
(32)式は、線形領域と非線形領域の両方の領域において、動的入力を動的出力に変換する写像を表している。2軸の場合、4軸の場合、5軸の場合、6軸の場合についても、同様に以下に記述する。
Figure 0006143928
(計測装置の構成)
図1に、本発明の一実施形態にかかる計測装置の構成を示す。計測装置は、除振装置8に載置された筐体18に組み込まれている計測装置本体と、制御装置19とから構成されている。計測装置本体には、計測の対象となる慣性センサ4を設置する振動台6が設けられ、6個の導電型アクチュエータ1〜3により振動台6を支えている。アクチュエータ1〜3と振動台6とは、球面軸受けを介したリンク機構7(一部は図示を省略)で結合されている。リンク機構7は、振動台6を機械的に拘束しないように設計されている。
X軸アクチュエータ2a,2bのそれぞれと、Y軸アクチュエータ3a,3bのそれぞれは、相対して設置され、加振用のロッドの中心軸がオフセットして配置されている。例えば、X軸アクチュエータ2a,2bがプッシュ・プルで動作するときは、振動台6に並進振動を加え、プッシュ・プッシュまたはプル・プルで動作するときは、振動台6に回転振動を加えることになる。Z軸のアクチュエータ1a,1bも、加振用のロッドの中心軸は、オフセットして配置されており、振動台6に並進振動と回転振動とを加えることができる。
このような構成により、振動台6は、図2に示す座標系において、三軸6自由度の方向に振動することができ、慣性センサ4に加速度、角速度を加えることができる。振動台6は、第1に、運動の自由度に制限がない、すなわち6自由度までの運動を同時に発生できること、第2に、図2に示す座標系の原点を移動する、すなわち座標原点を中心とする回転振動、または任意の方向の併進振動において、原点をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動可能であることが求められる。この機能が必要になる理由は、測定対象のIMUに対して座標原点と慣性中心を一致させる必要があるからである。また、例えばZ軸方向に振動台を正弦波で加振したとき、垂直な方向に相当するX軸方向またはY軸方向に不規則な振動が生じることがあり、これをクロストークという。振動台6のクロストークは、1/1000以下であることが望ましい。
制御装置19を含む制御系は、ディジタル計算機をフィードバックループの中に含み、加振中の振動台6の運動を測定し、実際の運動と運動の目標値とを比較する機能を有し、実際の運動と運動の目標値との誤差に基づいてフィードバック制御を行う。振動台6の運動の測定は、振動台6に設置されたミラーなどの光学素子5と光学計測装置10とを使用したり、振動台6に設置された制御用慣性センサ9とシグナルコンディショナ12とを使用する。光学計測装置10とシグナルコンディショナ12の出力は、過渡信号記録装置13を介して、信号処理用計算機15に入力される。
マトリックス感度が定義されている制御用慣性センサ9を、振動台6に載置し、慣性センサ4の出力を、シグナルコンディショナ11と過渡信号記録装置13を介して、信号処理用計算機15に入力する。振動台制御装置16は、制御用参照信号14(運動の目標値)と信号処理用計算機15の出力(実際の運動)とを比較して、各アクチュエータに対する制御値を計算し、電流増幅装置17を介して、各アクチュエータを制御する。
図1において、冷却装置、温度制御装置等の付属的装置は、図示を省略している。振動台6の振動は、潤滑油の温度などの計測装置本体の状態に左右されるので、所定の測定温度範囲内に制御することが望ましい。また、上述したフィードバック制御において、温度などの環境条件を加味した最適制御パラメータを計算するアルゴリズムを実装することも考えられる。
なお、慣性センサの計測作業の効率化の点から、振動台6の面積は広いことが望ましい。複数個の慣性センサがセットされているトレイを振動台6にローディング、アンローディングするロボット装置との同期運転により、測定にかかるコストを削減することができる、測定にかかる時間も短縮することができる。
(計測方法と制御アルゴリズム)
上記の解析方法の原理で述べたとおり、非線形項が求まるための必要十分条件は、必要な個数分の一次独立なマクローリン冪変換されたベクトルに対応する実際の加振振幅ベクトルを求めることである。
マクローリン冪変換した時に線形独立になる加振振幅ベクトルを必要個数見つける方法として、以下の方法が考えられる。最初に、加振振幅ベクトルのマクローリン冪変換ベクトルが線形独立であるか否かは、行列式を計算すればよい。この事実は、(13−3)式、(17)式の係数行列が正方行列であることから明らかである。
次に、必要個数の加振振幅ベクトルを見つけ出す方法について述べる。現状では、条件を満たす加振振幅ベクトルを演繹的に導き出すことができないので、計算機で試行錯誤を重ねて見つけ出すアルゴリズムを記述する。6軸の慣性センサを対象とする。並進加速度の3座標をX,Y,Zとし、角速度の3座標変数を、P,Q,Rとする。計測装置が発生する加速度、角速度のダイナミックレンジが、仮に1000倍あると仮定する。加振振幅ベクトル(X,Y,Z,P,Q,R)と書くと、5次の非線形項を計算する場合には、表7に示すように、6成分の192個のベクトルを見つけることが必要になる。
Figure 0006143928
図3に、本発明の一実施形態にかかる計測方法を示す。第1の方法は、ループを使う計算方法である。この方法では、192回のループが6重に出ている。これは、表5に示すように、6成分のベクトルの5次のマクローリン冪変換が192個の成分を持つからである。6軸であれば、4次の場合には126個になるが、軸数が同じなので計算のループは6重で変わらない。4軸で5次の場合には、表5からわかるように、56回のループが4重の計算ループになる。計測装置の信号処理用計算機15において、この計算を行ってもよいし、外部の計算機を使用したり、複数の計算機でクラスタ処理を行ってもよい。
第2の方法は、乱数を使う計算方法である。ダイナミックレンジが500であるとすると、192個の6成分の加振振幅ベクトルの各成分に、[0 1]の乱数を発生させ、500倍して有効数字を3桁、4桁と加振振幅ベクトルの発生装置に合わせた数値を配置する。配置し終わったところで、各加振振幅ベクトルに対応したマクローリン冪変換ベクトルを計算し、192×192の正方行列が得られ、行列式を計算する。行列式がゼロでなければ、192個の加振振幅ベクトルは求まったことになる。行列式がゼロになった場合には、線形独立でないので、乱数計算を続行して行列式計算を続ける。
本実施形態によれば、多軸の慣性センサの機械的構造に由来する非線形共振を検出することができる。動的感度マトリックスを適用して、動的線形性を考慮するのみならず、非線形性まで定量化することができるので、慣性センサの動的モデルがより精緻になることにより、センサ出力から非線形性をも考慮して入力信号を推定することができるので、慣性センサの計測精度を飛躍的に向上させることができる。
1 Z軸アクチュエータ
2 X軸アクチュエータ
3 Y軸アクチュエータ
4 慣性センサ
5 光学素子
6 振動台
7 リンク機構
8 除振装置
9 制御用慣性センサ
10 光学計測装置
11,12 シグナルコンディショナ
13 過渡信号記録装置
14 制御用参照信号
15 信号処理用計算機
16 振動台制御装置
17 電流増幅装置
18 筐体
19 制御装置

Claims (3)

  1. 振動台制御装置により振動台を制御して、前記振動台に固定された多軸の慣性センサに並進振動または回転振動を印加し、信号処理用計算機が、振動の印加によって得られた前記慣性センサの出力値から動的感度マトリクスを計測する方法において、前記信号処理用計算機は、
    前記出力値のベクトルをマクローリン展開し、フーリエ級数に展開するステップと、
    フーリエ級数に展開されたexp(jωt)の冪数の等しい項について、それぞれ係数行列と加振振幅ベクトルの積として表し、1次の項の加振振幅ベクトルを、2次以上の項の加振振幅ベクトルにマクローリン冪変換するステップと、
    マクローリン冪変換されたベクトルが線形独立となる加振振幅ベクトルを選択するステップと、
    選択された加振振幅ベクトルにより、前記慣性センサに振動を加え、前記慣性センサの必要とする目標精度に応じて、非線形項を高次の項まで求めることにより、動的感度マトリクスを計測するステップと
    を実行することを特徴とする動的感度マトリクスを計測する方法。
  2. 多軸の慣性センサの動的感度マトリクスを計測する装置において、
    振動台に固定された慣性センサに並進振動または回転振動を印加する振動台制御装置と、
    振動の印加によって得られた前記慣性センサの出力値から動的感度マトリクスを計測する信号処理用計算機であって、
    振動の印加によって得られた前記慣性センサの出力値のベクトルをマクローリン展開し、フーリエ級数に展開し、
    フーリエ級数に展開されたexp(jωt)の冪数の等しい項について、それぞれ係数行列と加振振幅ベクトルの積として表し、1次の項の加振振幅ベクトルを、2次以上の項の加振振幅ベクトルにマクローリン冪変換し、
    マクローリン冪変換されたベクトルが線形独立となる加振振幅ベクトルを選択し、
    選択された加振振幅ベクトルにより、前記慣性センサに振動を加え、前記慣性センサの必要とする目標精度に応じて、非線形項を高次の項まで求めることにより、動的感度マトリクスを計測する信号処理用計算機と
    を備えたことを特徴とする動的感度マトリクスを計測する装置。
  3. 前記振動台は、三軸6自由度の振動を前記慣性センサに加えることを特徴とする請求項2に記載の動的感度マトリクスを計測する装置。
JP2016161388A 2016-08-19 2016-08-19 慣性センサの動的感度マトリクスを計測する方法およびその装置 Active JP6143928B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016161388A JP6143928B1 (ja) 2016-08-19 2016-08-19 慣性センサの動的感度マトリクスを計測する方法およびその装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016161388A JP6143928B1 (ja) 2016-08-19 2016-08-19 慣性センサの動的感度マトリクスを計測する方法およびその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6143928B1 true JP6143928B1 (ja) 2017-06-07
JP2018028511A JP2018028511A (ja) 2018-02-22

Family

ID=59012169

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016161388A Active JP6143928B1 (ja) 2016-08-19 2016-08-19 慣性センサの動的感度マトリクスを計測する方法およびその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6143928B1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109141478A (zh) * 2018-10-11 2019-01-04 湖南航天机电设备与特种材料研究所 光纤陀螺反馈回路非线性度测试方法
JP2021043033A (ja) * 2019-09-10 2021-03-18 エミック株式会社 振動試験装置及びその故障予知方法
CN114459502A (zh) * 2021-12-17 2022-05-10 中国计量科学研究院 一种基于Stewart平台的惯性测量单元校准方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5562266A (en) * 1992-10-29 1996-10-08 Aerospatiale Societe Nationale Industrielle Rate gyro calibration method and apparatus for a three-axis stabilized satellite
JP4853937B2 (ja) * 2003-04-28 2012-01-11 独立行政法人産業技術総合研究所 慣性センサの動的感度マトリックス計測装置およびその計測方法
JP4924933B2 (ja) * 2004-03-31 2012-04-25 独立行政法人産業技術総合研究所 加速度を検出するセンサを校正する方法および加速度計測方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5562266A (en) * 1992-10-29 1996-10-08 Aerospatiale Societe Nationale Industrielle Rate gyro calibration method and apparatus for a three-axis stabilized satellite
JP4853937B2 (ja) * 2003-04-28 2012-01-11 独立行政法人産業技術総合研究所 慣性センサの動的感度マトリックス計測装置およびその計測方法
JP4924933B2 (ja) * 2004-03-31 2012-04-25 独立行政法人産業技術総合研究所 加速度を検出するセンサを校正する方法および加速度計測方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109141478A (zh) * 2018-10-11 2019-01-04 湖南航天机电设备与特种材料研究所 光纤陀螺反馈回路非线性度测试方法
JP2021043033A (ja) * 2019-09-10 2021-03-18 エミック株式会社 振動試験装置及びその故障予知方法
JP7405393B2 (ja) 2019-09-10 2023-12-26 エミック株式会社 振動試験装置及びその故障予知方法
CN114459502A (zh) * 2021-12-17 2022-05-10 中国计量科学研究院 一种基于Stewart平台的惯性测量单元校准方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018028511A (ja) 2018-02-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4272750B2 (ja) 露光装置及び除振装置、システム同定装置及びその方法
JP3644292B2 (ja) 構造物の加振試験装置及び加振試験方法
JP5532238B2 (ja) 剛体特性同定装置及び剛体特性同定方法
JP6143928B1 (ja) 慣性センサの動的感度マトリクスを計測する方法およびその装置
García et al. Sensor fusion for compliant robot motion control
Karbasizadeh et al. Experimental dynamic identification and model feed-forward control of Novint Falcon haptic device
JPH0510846A (ja) 構造物の振動試験装置、振動試験方法及び振動応答解析装置
Vuong et al. Dynamic model identification for industrial robots
Zhang et al. A disturbance observer-based adaptive control approach for flexure beam nano manipulators
JP2018031754A (ja) 三次元測定装置及び座標補正方法
Naerum et al. The effect of interaction force estimation on performance in bilateral teleoperation
Miermeister et al. Differential kinematics for calibration, system investigation, and force based forward kinematics of cable-driven parallel robots
Akdağ et al. Investigation of performance and sensitivity of S-curve motion profiles on reduction in flexible manipulator vibrations
Li et al. Research on force-sensing element's spatial arrangement of piezoelectric six-component force/torque sensor
JP3396425B2 (ja) 振動台制御装置
Cailliez et al. Modeling and experimental characterization of an active MEMS based force sensor
Šiaudinytė et al. Modal analysis and experimental research into improved centering–leveling devices
Ding et al. Modeling and control of a 6-DOF contactless electromagnetic suspension system with passive gravity compensation
Lichiardopol et al. Robust disturbance estimation for human–robotic comanipulation
Bayat et al. Observation of stage position in a 2-axis nano-positioner using hybrid Kalman filter
Sharifi et al. Adaptive estimation of robot environmental force interacting with soft tissues
Bansevičius et al. Mechatronic means for machine accuracy improvement
JP3811639B2 (ja) 制御装置
JP2014185877A (ja) 力センサ評価装置、及び力センサ評価方法
Vuong et al. Improved dynamic identification of robotic manipulators in the linear region of dynamic friction

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170411

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170509

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6143928

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250