JP2002086579A - Frp構造体の製造方法 - Google Patents
Frp構造体の製造方法Info
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Abstract
速に流入、拡散させ、高い生産性を確保できるととも
に、とくに意匠面を、樹脂引けのない良好な仕上げ面に
成形できるFRP構造体の製造方法を提供する。 【解決手段】 コア材の両面に、強化繊維を配し該強化
繊維に樹脂を含浸させることによりFRP層を形成して
サンドイッチ構造のFRP構造体を成形するに際し、コ
ア材として、少なくとも片面にコア材の面方向に延びる
複数の樹脂拡散溝を形成するとともに、該樹脂拡散溝が
形成された面の各樹脂拡散溝の溝底からコア材の他面へ
と貫通する樹脂流動孔を設けたコア材を用い、コア材の
他面側に流入させるべき樹脂の少なくとも一部を、前記
樹脂流動孔を通して流入させることを特徴とする、FR
P構造体の製造方法。
Description
造方法に関し、とくに、成形の際の樹脂の良好な拡散性
と意匠面の良好な仕上がりとを両立させるようにしたF
RP構造体の製造方法に関する。
ア材の面に沿う方向に樹脂を流動させ強化繊維に含浸さ
せてFRP層を形成し、サンドイッチ構造のFRP構造
体を成形する技術が知られている。また、この成形にお
いては、樹脂の拡散性を向上するために、コア材にその
面方向に延びる複数の溝を形成し、注入した樹脂を溝に
沿わせて流動、拡散させるようにした技術、および、コ
ア材の両面に樹脂を流入させるために、コア材の樹脂注
入側の面から他面側へと貫通する孔を設け、該孔を通し
て他面側へと樹脂を流入させる技術がある。
溝を設けただけのコア材を用いる場合、たとえば主とし
てそのうちの一面側に向けて樹脂を注入し、他面側にも
樹脂を回り込ませ溝に沿わせて回り込んだ樹脂を拡散さ
せようとする場合、十分な量の樹脂が他面側に拡散され
ず、成形時に樹脂の引けが生じて、その部分の意匠が損
なわれたり、局部的に機械的強度の不十分な箇所が生じ
たりするという問題が発生することがある。とくに、こ
の他面側が意匠面となる場合、樹脂引けの発生は製品不
良につながる。
意匠面側にも溝が設けられることになるが、とくにこの
意匠面側に設けられる溝が、良好な樹脂流動特性を得る
ために、反意匠面側に設けられる溝と同様の比較的断面
積の大きな溝に形成されると、その溝に沿ったライン状
の樹脂の硬化引けが生じ、最終的に成形された製品の意
匠面における意匠性を大きく損ない、商品価値を大きく
低下させてしまう。逆に、意匠面側に設けられる溝が小
さすぎると、この面側での良好な樹脂流動特性が得られ
にくくなるため、樹脂不足、含浸不良等の欠陥が生じ、
やはり製品不良を招くことになる。
けのコア材を用いる場合には、流動性の低い樹脂を使用
する場合にとくに問題が生じ、孔を通して十分な量の樹
脂を他面側にまで流入させるには長時間を要するため生
産性が悪く、また使用樹脂がポットライフの長い樹脂に
限定されてしまうという問題がある。
ついて必要な量の樹脂を迅速に流入、拡散させ、高い生
産性を確保できるとともに、とくに意匠面を、樹脂引け
のない良好な仕上げ面に成形できるFRP構造体の製造
方法を提供することにある。
に、本発明に係るFRP構造体の製造方法は、コア材の
両面に、強化繊維を配し該強化繊維に樹脂を含浸させる
ことによりFRP層を形成してサンドイッチ構造のFR
P構造体を成形するに際し、コア材として、少なくとも
片面にコア材の面方向に延びる複数の樹脂拡散溝を形成
するとともに、該樹脂拡散溝が形成された面の各樹脂拡
散溝の溝底からコア材の他面へと貫通する樹脂流動孔を
設けたコア材を用い、コア材の他面側に流入させるべき
樹脂の少なくとも一部を、前記樹脂流動孔を通して流入
させることを特徴とする方法からなる。樹脂拡散溝は、
コア材の片面のみに形成してもよく、両面に形成しても
よい。
型、たとえば金型を使用して成形する場合には、両面に
強化繊維が配されたコア材の少なくとも片面側を型に収
容し、型の一辺側から樹脂を注入し前記樹脂拡散溝に沿
わせて型の他辺側に向けて樹脂を流動させるとともに、
前記樹脂流動孔を通してコア材の他面側に樹脂を流入さ
せるようにすることが好ましい。樹脂の注入および含浸
は、型内を減圧し、その真空圧を利用して行う方法、あ
るいは、樹脂の注入および含浸を加圧を利用して行う方
法のいずれも採用可能である。また、この方法では、前
記コア材の他面側のFRP層の表面を意匠面に形成する
ことができる。
の面側を型内に収容し、他方の面側は、たとえば後述の
実施態様に示すように、フレキシブルなバッグ基材(た
とえば、バギングフィルム)で覆うように行ってもよ
い。さらに、実質的に型を用いずに、基台上にコア材と
強化繊維を配置し、その上からバッグ基材で覆ってその
内部に樹脂を注入することも可能である。
ないが、FRP構造体全体の軽量化を考慮する場合、発
泡体からなるコア材を用いることが好ましい。もちろ
ん、木材やその他の材質からなるコア材も使用可能であ
る。
れに対し複数設けられることが好ましく、その場合、隣
接する樹脂拡散溝に対して設けられる樹脂流動孔が千鳥
状に配設されるように設けられることが好ましい。
製造方法においては、コア材の少なくとも片面に設けら
れた複数の樹脂拡散溝を介して、注入された樹脂が各溝
に沿ってコア材の面方向に良好にかつ迅速に流動、拡散
し、この面に配された強化繊維に迅速かつ均一に含浸さ
れる。この樹脂流動とともに、樹脂拡散溝に沿って流動
している樹脂の一部が、各樹脂流動孔設置箇所におい
て、樹脂流動孔を通してコア材の他面側へと流動され、
該他面側にも各樹脂流動孔設置箇所から十分な量の樹脂
が迅速に流入される。樹脂流動孔の配設間隔を適切に設
定しておくことにより、コア材の他面側全面にわたっ
て、実質的に均一に、かつ、迅速に、必要な量の樹脂が
拡散されることになり、この面側においても樹脂が均一
に強化繊維に含浸される。その結果、この他面側におけ
る成形過程での樹脂引け、とくにこの他面側に樹脂拡散
溝が存在する場合に発生しやすかったライン状の樹脂引
けの発生が防止されるとともに、良好な樹脂の流動性に
より成形時間の短縮も可能になる。とくにこの面が意匠
面となる場合、樹脂引けによる不良の発生が効率よく防
止されることになる。なお、樹脂流動孔に関しても、成
形過程での樹脂引けの問題は存在するが、樹脂流動孔が
あるサイズ(ある径)以下になると、この樹脂引けは全
く目だたなくなる。したがって、適切なサイズの樹脂流
動孔を適切なピッチで配設することにより、良好な樹脂
の流動性を確保しつつ、樹脂引けの問題を完全に解消す
ることができる。
設けられない場合には、基本的にライン状の樹脂引けは
発生しないから、上記の如く適切なサイズの樹脂流動孔
を適切なピッチで配設し、成形に必要かつ十分な量の樹
脂を樹脂流動孔を介して供給することにより、優れた品
質の意匠面が得られる。この他面側にも樹脂拡散溝が設
けらる場合においても、樹脂流動孔を介して十分な量の
樹脂を供給することにより樹脂拡散溝に起因するライン
状の樹脂引けの発生を防止することができ、かつ、樹脂
流動孔のサイズや配設ピッチを適切に設定することによ
り、樹脂流動孔に起因する樹脂引けの発生も同時に防止
することができる。
形態について、図面を参照しながら説明する。図1ない
し図5は、本発明の一実施態様に係るFRP構造体の製
造方法を実施する様子を示している。図1において、1
は、発泡体(たとえば、ウレタンフォーム)からなるコ
ア材を示しており、このコア材1の両面に、強化繊維か
らなる基材2が配置される。本実施態様では、強化繊維
基材2は、複数枚積層配置されているが、配置の形態、
配置される強化繊維の形態はとくに限定されない。ま
た、強化繊維の種類もとくに限定されず、炭素繊維やガ
ラス繊維、アラミド繊維、さらにはこれらを併用した強
化繊維が例示される。
にも示すように、コア材1の面方向に並行に延びる複数
の樹脂拡散溝3が形成されており、各樹脂拡散溝3は、
コア材1の一辺側から他辺側まで貫通するように延びて
いる。各樹脂拡散溝3の溝底3aからは、コア材1の他
面1bへと貫通する樹脂流動孔4が設けられている。樹
脂流動孔4は、一つの樹脂拡散溝3に対し溝長手方向に
複数配設されている。本実施態様では、各樹脂流動孔4
の径は、各樹脂拡散溝3の溝幅と実質的に同じ大きさに
設定されている。また、各樹脂流動孔4は、図2に示す
ように、隣接する樹脂拡散溝3に対して設けられる樹脂
流動孔4が千鳥状に配設されるように設けられている。
本実施態様では、コア材1の片面側のみに樹脂拡散溝3
を設けるようにしたが、両面に設けることも可能であ
る。
に強化繊維基材2が配された状態にて、金型からなる下
型5に収容される。本実施態様では、金型からなる上型
6が閉じられ、コア材1と強化繊維基材2がキャビティ
7内に所定の状態で収容される。
コア材1の樹脂拡散溝3が延設されている両側の辺に相
当する下型5の両辺部分に、樹脂案内溝8、吸引溝9が
設けられており、樹脂案内溝8側に注入された樹脂が、
キャビティ7内を樹脂拡散溝3延設方向に沿って拡散、
流動された後、吸引溝9側へと流動するようになってい
る。
引ポート11とが設けられており、樹脂注入ポート10
が樹脂案内溝8へと連通し、真空吸引ポート11が吸引
溝9へと連通するようになっている。図示を省略した真
空ポンプ等の吸引源により、真空吸引ポート11、吸引
溝9を介してキャビティ7内が吸引減圧され、それを利
用して、樹脂注入ポート10、樹脂案内溝8を介してキ
ャビティ7内に樹脂が注入される。
ず、FRPのマトリックス樹脂となるものであればあら
ゆる樹脂が使用可能である。たとえば、エポキシ樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性
樹脂や、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド樹
脂等の熱可塑性樹脂、さらにはこれらの混合樹脂等を使
用できる。
内に拡がり、図5に示すように、樹脂案内溝8からキャ
ビティ7内に流入される。このとき、流入樹脂12は、
コア材1の両面側へと流入しようとするが、樹脂案内溝
8からの流入部がコア材1の図の上面1a側に位置して
いるので、大半の樹脂はこの面1a側に流入され、樹脂
拡散溝3に沿って流動するとともに、面1a上に配置さ
れている強化繊維基材2に拡散、含浸される。
一部は、樹脂流動孔4を通してコア材1の他面1b側へ
と流入され、該他面1b側に樹脂が供給される。樹脂流
動孔4の数や配設ピッチを適切に設定することにより、
他面1b側にも必要十分な量の樹脂が供給され、供給さ
れた樹脂が、この面1b上に配置されている強化繊維基
材2に拡散、含浸される。
より、コア材1の両面にFRP層が形成され、サンドイ
ッチ構造のFRP構造体が成形される。本実施態様で
は、図1の下面側、つまりコア材1の他面側1b上に成
形されるFRP層が、FRP構造体の意匠面を構成する
ようになっている。
しては、コア材1の片面1aに複数の樹脂拡散溝3が設
けられており、注入された樹脂はこの樹脂拡散溝3に沿
って該面1a上を良好に流動できるので、樹脂は迅速に
拡散され、かつ、強化繊維基材2に樹脂が均一に含浸さ
れていく。そして、樹脂拡散溝3に沿って流動する樹脂
の一部は、適切な間隔で配設された樹脂流動孔4を通し
てコア材1の他面1b側に適切な量だけ流入されるの
で、他面1b側にも必要十分な樹脂量が適切な供給ピッ
チにて流入されることになり、この面1b側においても
樹脂の迅速な拡散と均一な含浸が可能となる。とくに本
実施態様では、コア材1の他面1b側には樹脂拡散溝3
が設けられていないので、必要十分な樹脂量が供給され
ることと相まって、ライン状の樹脂ひけは発生しない。
したがって、コア材1の他面1b側には、必要十分な樹
脂量が適切な供給ピッチにて流入されるとともに、ライ
ン状の樹脂ひけも発生しないので、欠陥のない望ましい
意匠面が得られることになる。
造方法では、コア材1の両面での良好な樹脂流動性およ
び迅速な拡散、含浸性が確保されつつ、とくに意匠面に
おける樹脂引けの問題が解消される。
横断面積が大きすぎると、貫通孔である樹脂流動孔4に
充満した樹脂の引けが問題となるおそれが生じるが、こ
の樹脂流動孔4に起因する樹脂引けは、樹脂流動孔4が
あるサイズ以下になると全く目立たなくなるので、成形
条件に応じて最適な樹脂流動孔4に設定することによ
り、樹脂流動孔4に起因する樹脂引けの問題は消滅す
る。
いる強化繊維基材の剛性(たとえば、そのプライ数)や
単意図のヤング率等に関係するが、たとえば、プライ数
が2プライの場合、炭素繊維クロスを使用する場合には
樹脂流動孔4の孔径は1.5mm〜2.5mm、あるい
はそれ以下であることが好ましく、ガラス繊維クロスを
使用する場合には樹脂流動孔4の孔径は1mm以下であ
ることが好ましい。
ア材の片面に、幅1.5mm、深さ4mmの樹脂拡散溝
を15mmのピッチで複数設け、樹脂拡散溝の溝底から
コア材の他面へと貫通する孔径1.5mmの樹脂流動孔
を、各樹脂拡散溝内における配設ピッチ50mmにて、
隣接樹脂拡散溝の樹脂流動孔が上記の半分のピッチ25
mmとなるように千鳥状に配設した。上下型に図1に示
したような金型を用い、強化繊維として炭素繊維を用
い、エポキシ樹脂を注入してサンドイッチ構造のFRP
構造体を成形したところ、成形時間は短く、意匠面に樹
脂引けの問題も全く生じなかった。
型に金型を使用したが、たとえば図6に別の実施態様を
示すように、下型21のみに金型を使用し、その中にコ
ア材1と強化繊維基材2を収容して、上型の代わりにシ
ート状バッグ基材22を使用することもできる。バッグ
基材22に、樹脂注入ポート23と真空吸引ポート24
を設けておけばよい。
し、その真空圧を利用して樹脂注入、拡散を行うように
したが、樹脂の流動速度を高めるために、加圧を利用し
て樹脂注入、拡散を行うようにすることもできる。すな
わち、注入樹脂を、積極的に加圧し(たとえば、1〜3
kg/cm2 程度の圧力で加圧し)、樹脂の注入、拡散
速度を高めることにより、一層迅速な成形が可能とな
り、生産性を大幅に高めることが可能となる。この加圧
注入は、図6に示したようなフレキシブルなバッグ基材
を用いる場合には比較的適用しづらいが、図1に示した
ような上下型を用いる場合には、容易に適用できる。
造体の製造方法によれば、サンドイッチ構造のFRP構
造体を成形するに際し、注入樹脂の良好な流動性を確保
して短時間での効率のよい成形を可能にするとともに、
意匠面における樹脂引けの問題を解消でき、優れた品質
のFRP構造体を高い生産性をもって製造することがで
きる。
方法を実施する成形装置の概略斜視図である。
面図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 コア材の両面に、強化繊維を配し該強化
繊維に樹脂を含浸させることによりFRP層を形成して
サンドイッチ構造のFRP構造体を成形するに際し、コ
ア材として、少なくとも片面にコア材の面方向に延びる
複数の樹脂拡散溝を形成するとともに、該樹脂拡散溝が
形成された面の各樹脂拡散溝の溝底からコア材の他面へ
と貫通する樹脂流動孔を設けたコア材を用い、コア材の
他面側に流入させるべき樹脂の少なくとも一部を、前記
樹脂流動孔を通して流入させることを特徴とする、FR
P構造体の製造方法。 - 【請求項2】 両面に強化繊維が配されたコア材の少な
くとも片面側を型に収容し、型の一辺側から樹脂を注入
し前記樹脂拡散溝に沿わせて型の他辺側に向けて樹脂を
流動させるとともに、前記樹脂流動孔を通してコア材の
他面側に樹脂を流入させる、請求項1のFRP構造体の
製造方法。 - 【請求項3】 樹脂の注入および含浸を真空圧を利用し
て行う、請求項1または2のFRP構造体の製造方法。 - 【請求項4】 樹脂の注入および含浸を加圧を利用して
行う、請求項1または2のFRP構造体の製造方法。 - 【請求項5】 前記コア材の他面側のFRP層の表面を
意匠面に形成する、請求項1〜4のいずれかに記載のF
RP構造体の製造方法。 - 【請求項6】 前記コア材として発泡体からなるコア材
を用いる、請求項1〜5のいずれかに記載のFRP構造
体の製造方法。 - 【請求項7】 前記樹脂流動孔を、隣接する樹脂拡散溝
に対して設けられる樹脂流動孔が千鳥状に配設されるよ
うに設ける、請求項1〜6のいずれかに記載のFRP構
造体の製造方法。
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