JP2002086574A - 立体形状物の製造方法および成形型 - Google Patents

立体形状物の製造方法および成形型

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JP2002086574A
JP2002086574A JP2000284018A JP2000284018A JP2002086574A JP 2002086574 A JP2002086574 A JP 2002086574A JP 2000284018 A JP2000284018 A JP 2000284018A JP 2000284018 A JP2000284018 A JP 2000284018A JP 2002086574 A JP2002086574 A JP 2002086574A
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Yukio Kurihashi
行雄 栗橋
Toshio Teramoto
俊夫 寺本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた機械的強度や耐熱性を有する立体形状
物を、高い生産効率で製造することができる方法および
高い寸法精度を有し、耐久性に優れた成形型を提供する
こと。 【解決手段】 立体形状物の製造方法は、1)光硬化性
樹脂の液面に選択的に光照射して硬化樹脂層を形成する
工程を繰り返すことにより、複数の硬化樹脂層が積層さ
れてなる一次硬化体を造形する光硬化工程と、2)光硬
化工程により得られた一次硬化体を熱処理して二次硬化
体を得る後硬化工程とを含む立体形状物の製造方法であ
って、前記光硬化工程において、少なくとも1の硬化樹
脂層を形成する際に、硬化樹脂の硬化度が異なる2以上
の層部分からなる硬化樹脂層となるように、光硬化性樹
脂の液面に選択的に照射する光の単位面積あたりの照射
エネルギーを変化させることを特徴とする。成形型は、
上記の方法により得られる立体形状物からなることを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、立体形状物の製造
方法および成形型に関する。
【0002】
【従来の技術】光硬化性樹脂の液面に選択的に光照射し
て硬化樹脂層を形成する工程を繰り返すことにより、複
数の硬化樹脂層が一体的に積層されてなる立体形状物を
造形する光造形法が知られている。かかる光造形法の代
表的な例を説明すると、液状の光硬化性樹脂の薄層を形
成し、この薄層に例えば紫外線レーザーによって選択的
に光を照射することによって硬化樹脂層を形成する。次
いで、この硬化樹脂層の上に、一層分の光硬化性樹脂を
供給してその薄層を形成し、当該薄層に選択的に光を照
射することにより、先行して形成された硬化樹脂層上に
これと連続するよう新しい硬化樹脂層を一体的に積層形
成する。そして、光が照射されるパターンを変化させな
がらあるいは変化させずに上記の工程を所定回数繰り返
すことにより、複数の硬化樹脂層が一体的に積層されて
なる立体形状物が造形される。
【0003】このような光造形法において、機械的強度
や耐熱性などの諸特性の良好な立体形状物を得るために
は、これを構成する硬化樹脂層を十分に硬化させる必要
がある。一方、立体形状物の生産効率を向上させる観点
から、造形時間を短縮することが要請されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】造形時間を短縮する方
法として、立体形状物を構成する硬化樹脂の硬化度を、
硬化樹脂層によって異ならせるよう造形することが考え
られる。具体的には、図1に示すように、立体形状物1
0の下面側部分11および上面側部分12を含む硬化樹
脂層(図1中、斜線で示す)における硬化樹脂の硬化度
を高く設定して形状安定性を確保するとともに、当該硬
化樹脂層以外の硬化樹脂層における硬化樹脂の硬化度を
ある程度低く設定することにより造形時間の短縮化を図
る方法が考えられる。
【0005】しかしながら、このような方法では、立体
形状物10の側面部分14における硬化樹脂の硬化度が
高いものでないため、形状安定性を十分に確保すること
ができず、高い寸法精度を有する立体形状物を得ること
が困難である。また、上面側部分12を含む硬化樹脂層
t中に、ピン15の付け根に相当する部分15aが含ま
れているために、当該ピン15が折れやすくなる。
【0006】本発明は、以上のような事情に基づいてな
されたものであって、その目的は、優れた機械的強度や
耐熱性を有する立体形状物を、高い生産効率で製造する
ことができる方法を提供することにある。本発明の他の
目的は、高い寸法精度を有し、耐久性に優れた成形型を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の立体形状物の製
造方法は、1)光硬化性樹脂の液面に選択的に光照射し
て硬化樹脂層を形成する工程を繰り返すことにより、複
数の硬化樹脂層が積層されてなる一次硬化体を造形する
光硬化工程と、2)光硬化工程により得られた一次硬化
体を熱処理して二次硬化体を得る後硬化工程とを含む立
体形状物の製造方法であって、前記光硬化工程におい
て、少なくとも1の硬化樹脂層を形成する際に、硬化樹
脂の硬化度が異なる2以上の層部分からなる硬化樹脂層
となるように、光硬化性樹脂の液面に選択的に照射する
光の単位面積あたりの照射エネルギーを変化させること
を特徴とする。
【0008】本発明の立体形状物の製造方法は、光硬化
性樹脂の液面に選択的に光照射して硬化樹脂層を形成す
る工程を繰り返すことにより、複数の硬化樹脂層が積層
されてなる硬化体を造形する光硬化工程を含む立体形状
物の製造方法であって、前記光硬化工程において、少な
くとも1の硬化樹脂層を形成する際に、高硬度の層部分
と低硬度の層部分とからなる硬化樹脂層となるように、
光硬化性樹脂の液面に選択的に照射する光の単位面積あ
たりの照射エネルギーを変化させることを特徴とする。
【0009】ここに、「層部分」とは、1の硬化樹脂層
において、実質的に同一の硬化度の硬化樹脂からなる部
分(領域)をいう。従って、2の層部分からなる硬化樹
脂層は、相対的に高い硬化度の硬化樹脂と、相対的に低
い硬化度の硬化樹脂とにより構成され、3の層部分から
なる硬化樹脂層は、硬化度が3段階に異なる硬化樹脂に
より構成される。なお、硬化樹脂層を構成する1の層部
分は、連続して形成されていてもよく、他の層部分によ
って分割された状態(例えば海島構造)で形成されてい
てもよい。また、「一次硬化体」、「二次硬化体」およ
び「硬化体」は、それぞれ、同一形状(目的とする形
状)を有する物品である。
【0010】本発明の立体形状物の製造方法にあって
は、前記光硬化工程において、少なくとも1の硬化樹脂
層を形成する際に、光照射ビームの走査速度、走査間隔
および光源強度の少なくとも1の条件を変化させること
により、単位面積あたりの照射エネルギーを変化させる
ことが好ましい。
【0011】本発明の立体形状物の製造方法にあって
は、前記光硬化工程において、少なくとも1の硬化樹脂
層を形成する際に、同種または異種の複数の光源を利用
して、単位面積あたりの照射エネルギーを変化させるこ
とが好ましい。
【0012】本発明の立体形状物の製造方法は、前記光
硬化工程において、少なくとも1の硬化樹脂層を形成す
る際に、目的とする立体形状物の表面部の全部または一
部を構成する層部分における硬化樹脂の硬化度が、当該
立体形状物の内部を構成する層部分における硬化樹脂の
硬化度よりも高くなるように、光硬化性樹脂の液面に選
択的に照射する光の単位面積あたりの照射エネルギーを
変化させることを特徴とする。
【0013】本発明の立体形状物の製造方法にあって
は、前記後硬化工程が、光硬化工程により得られた一次
硬化体を100〜200℃の温度で1〜24時間にわた
り加熱処理する工程であることが好ましい。
【0014】本発明の立体形状物の製造方法にあって
は、前記光硬化性樹脂が無機充填剤を含有するカチオン
重合性の光硬化性樹脂であることが好ましい。
【0015】本発明の成形型は、本発明の製造方法によ
り得られる立体形状物からなることを特徴とする。
【0016】
【作用】(1)少なくとも1の硬化樹脂層を形成する際
に、光硬化性樹脂の液面に選択的に照射する光の単位面
積あたりの照射エネルギーを変化させることにより、硬
化樹脂の硬化度が異なる2以上の層部分からなる硬化樹
脂層の積層体である一次硬化体を造形することができ
る。この一次硬化体は、相対的に高い硬化度の硬化樹脂
によって、その形状安定性が十分に確保されている。ま
た、一次硬化体を得るための造形時間は、全体が硬化度
の高い硬化樹脂からなる硬化体の造形時間と比較して大
幅に短縮される。そして、相対的に低い硬化度の硬化樹
脂は、後硬化工程における熱処理によって所期の硬化度
に至るまで硬化させることができるので、当該後硬化工
程を経て得られる二次硬化体(最終的に得られる立体形
状物)は、優れた機械的強度および耐熱性を有するもの
となる。
【0017】(2)目的とする立体形状物の表面部の全
部または一部を構成する層部分における硬化樹脂の硬化
度が、当該立体形状物の内部(前記表面部以外の部分)
を構成する層部分における硬化樹脂の硬化度よりも高く
なるように、光硬化性樹脂の液面に選択的に照射する光
の単位面積あたりの照射エネルギーを変化させることに
より、表面部を構成する硬化樹脂の硬化度が相対的に高
く、内部を構成する硬化樹脂の硬化度が相対的に低い一
次硬化体を造形することができる。
【0018】(3)表面部を構成する硬化樹脂の硬化度
が相対的に高く、内部を構成する硬化樹脂の硬化度が相
対的に低い一次硬化体を熱処理して得られる二次硬化体
(立体形状物)は、表面部における円滑性(平滑性)に
優れ、かつ、硬化樹脂層間の接着性に優れている。すな
わち、光硬化工程において得られる一次硬化体が、硬化
度の高い硬化樹脂によって構成される滑らかな表面部
と、硬化度の低い硬化樹脂によって構成される内部とか
らなるので、この一次硬化体を熱処理することにより、
内部を構成する層部分間の接着反応が更に進行し、得ら
れる二次硬化体における硬化樹脂層間の密着性が十分に
高いものとなると共に、当該二次硬化体(立体形状物)
の表面は、一次硬化体の滑らかな表面状態がそのまま維
持されることとなる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 <光造形装置>図2は、本発明の製造方法の光硬化工程
に使用される光造形装置の構成の一例を示す概略図であ
る。同図において、20は樹脂収容槽、21は支持ステ
ージ、22は光照射手段、23はデータファイル、24
は制御手段である。
【0020】樹脂収容槽20は、例えば光不透過性材料
により構成されており、その内部には、垂直支柱211
に沿って昇降可能に支持された支持ステージ21が配置
されている。ここに、光不透過性材料としては、例えば
ステンレス鋼などの金属材料などが挙げられる。
【0021】光照射手段22は、例えば紫外線レーザー
発光装置よりなり、光硬化性樹脂の液面に光スポットを
形成するための光源と、この光源による光スポットを偏
向走査して樹脂液層の表面に選択的に照射するための偏
向装置により構成されている。ここで、偏向装置として
は、例えばガルバノミラー方式、ポリゴンミラー方式の
ものなどが挙げられる。
【0022】データファイル23には、造形すべき立体
形状物のスライス形状データが記録されている。
【0023】制御手段24は、データファイル23から
のスライス形状データに基づいて、支持ステージ21お
よび光照射手段22の各々に制御信号を発し、これらの
動作を制御する機能を有する。制御手段24による光照
射手段22の動作の制御には、1の硬化樹脂層を形成す
る際に、硬化樹脂の硬化度が異なる2以上の層部分から
なる硬化樹脂層となるように、光硬化性樹脂の液面に選
択的に照射する光の単位面積あたりの照射エネルギー
(以下、単に「照射エネルギー」という。)を変化させ
る制御が含まれる。ここに、光照射手段22からの光の
照射エネルギーは、制御手段24からの制御信号に応じ
て、段階的または連続的に変化させることができ、例え
ば目的とする立体形状物の表面部を構成する層部分にお
ける硬化樹脂の硬化度が、内部を構成する層部分におけ
る硬化樹脂の硬化度よりも高くなるように、照射エネル
ギーを変化させることができる。この場合において、表
面部を構成する層部分であるか、内部を構成する層部分
であるかの認識は、通常、スライス形状データに基づい
て行われる。
【0024】<立体形状物の製造方法>本発明の製造方
法によれば、少なくとも1の硬化樹脂層を形成する際
に、光硬化性樹脂の液面に選択的に照射する光の照射エ
ネルギーを変化させることにより、硬化樹脂の硬化度が
異なる2以上の層部分からなる硬化樹脂層を少なくとも
1つ有してなる立体形状物を造形することができる。
【0025】光硬化性樹脂の液面に照射する光の照射エ
ネルギーの変化は、相対的に高い照射エネルギーと、相
対的に低い照射エネルギーとの間の2段階の変化、ある
いは3段階以上の多段階の変化とすることができ、また
連続的な変化とすることもできる。
【0026】以下に、本発明の製造方法の一実施例につ
いて説明する。この例の製造方法は、光硬化性樹脂の液
面に選択的に光照射して硬化樹脂層を形成する工程を繰
り返すことにより、複数の硬化樹脂層が積層されてなる
一次硬化体を造形する光硬化工程と、この一次硬化体を
熱処理して二次硬化体(立体形状物)を得る後硬化工程
とを含む。
【0027】<光硬化工程>図3は、光硬化工程により
得られる一次硬化体の一例を示す断面図であり、同図に
おいて、30は一次硬化体、31は一次硬化体30の表
面部、32は一次硬化体30の内部、311、312お
よび313は、それぞれ、表面部31の一部である下面
側部分、側面部分および上面側部分、35はピン、35
aはピン35の付け根部分である。ここで、下面側部分
311の厚さは0.1〜10mm、側面部分312の厚
さは0.1〜10mm、上面側部分313の厚さは0.
1〜10mmとされる。
【0028】図3に示す一次硬化体30において、表面
部31(下面側部分311,側面部分312,上面側部
分313)を構成する硬化樹脂の硬化度は、内部32を
構成する硬化樹脂の硬化度より高い。ここに、「硬化
度」とは、光硬化性樹脂の硬化反応の進行の度合をい
う。
【0029】表面部31を構成する硬化樹脂の硬化度と
しては、後硬化工程を経て得られる二次硬化体(最終的
に得られる立体形状物)を構成する硬化樹脂の引張強度
を(T)とするとき、0.3T〜0.8Tの引張強度を
有するまで硬化した状態であることが好ましい。また、
内部32を構成する硬化樹脂の硬化度は、表面部31を
構成する硬化樹脂の硬化度よりも低く、かつ、一次硬化
体30の形状安定性を損なわない範囲であれば特に限定
されるものではなく、目的とする立体形状物の形状によ
っては、液状またはゲル状のようなきわめて低い硬化状
態であってもよい。
【0030】以下、図3に示したような一次硬化体を造
形する具体的方法について説明する。 (1)第1層目の硬化樹脂層の形成工程;図4(イ)に
示すように、制御手段(図示せず)により、支持ステー
ジ21のステージ面212が光硬化性樹脂の液面から1
層分に相当する深さレベルd(例えば0.05〜0.2
0mm)に位置するまで支持ステージ21を降下させる
ことにより、ステージ面212上に光硬化性樹脂を供給
し、第1層目の樹脂液層p1を形成する。次いで、光照
射手段(図示せず)により第1層目の樹脂液層p1の液
面に光照射して第1層目の樹脂液層p1を硬化させ、図
4(ロ)に示すように、第1層目の硬化樹脂層h1を形
成する。
【0031】ここに、光照射手段による樹脂液層p1の
液面への光照射は、次のようにして行われる。先ず、制
御手段は、データファイルからのスライス形状データを
読み取って、第1層目の樹脂液層p1の全体が一次硬化
体の下面側部分(311)を構成するものであることを
認識する。そして、この認識に基づく制御手段からの信
号を受けた光照射手段により、樹脂液層p1の液面の全
域が相対的に高い照射エネルギーE1 で光照射されて、
高硬度の層部分、すなわち、硬化樹脂の硬化度の高い層
部分よりなる硬化樹脂層h1が形成される。
【0032】(2)第2層目の硬化樹脂層の形成工程;
図5(イ)に示すように、制御手段(図示せず)によ
り、支持ステージ21を更に1層分降下させることによ
り、第1層目の硬化樹脂層h1上に光硬化性樹脂を供給
し、第1層目の硬化樹脂層h1上に第2層目の樹脂液層
p2を形成する。次いで、光照射手段により第2層目の
樹脂液層p2の表面に光照射して第2層目の樹脂液層p
2を硬化させ、図5(ロ)に示すように、第2層目の硬
化樹脂層h2を形成する。ここに、光照射手段による樹
脂液層p2の液面への光照射は、第1層目の硬化樹脂層
h1を形成する場合と同様にして行われる。
【0033】第1層目および第2層目の硬化樹脂層の形
成と同様の操作を繰り返し行うことにより、高硬度の層
部分よりなる第3層目から第m層目の硬化樹脂層(一次
硬化体の下面側部分)を形成する。
【0034】(3)第(m+1)層目の硬化樹脂層の形
成工程;図6(イ)に示すように、制御手段(図示せ
ず)により、支持ステージ21を、第m層目の硬化樹脂
層hmを形成したときの深さレベルより更に1層分降下
させることにより、第m層目の硬化樹脂層hm上に光硬
化性樹脂を供給し、第m層目の硬化樹脂層hm上に第
(m+1)層目の樹脂液層p(m+1)を形成する。次
いで、光照射手段(図示せず)により第(m+1)層目
の樹脂液層p(m+1)の表面に光照射して第(m+
1)層目の樹脂液層p(m+1)を硬化させ、図6
(ロ)に示すように、第(m+1)層目の硬化樹脂層h
(m+1)を形成する。
【0035】ここに、光照射手段による樹脂液層p(m
+1)の液面への光照射は、次のようにして行われる。
先ず、制御手段は、データファイルからのスライス形状
データを読み取って、形成すべき硬化樹脂層h(m+
1)が、側面部分(312)を構成する層部分と、内部
(32)を構成する層部分とからなるものであることを
認識する。そして、この認識に基づく制御手段からの信
号を受けた光照射手段により、側面部分(312)を構
成する層部分に相当する液面が相対的に高い照射エネル
ギーE1 で光照射されて高硬度の層部分が形成されると
共に、内部(32)を構成する層部分に相当する液面が
相対的に低い照射エネルギーE2 で光照射されて、低硬
度の層部分、すなわち、硬化樹脂の硬化度が低い層部分
が形成される。
【0036】ここに、高い照射エネルギーE1 として
は、例えば100〜400mJ/cm 2 とされ、低い照
射エネルギーE2 としては、例えば20〜100mJ/
cm2とされる。また、照射エネルギーの比(E2 /E
1 )としては、0.05〜0.8であることが好まし
い。
【0037】樹脂液層p(m+1)の液面に照射する光
の照射エネルギーを変化させる方法としては、(1)光
照射ビームの走査速度を変化させる方法、(2)光照射
ビームの走査間隔を変化させる方法、(3)光照射ビー
ムの光源強度を変化させる方法、(4)上記(1)〜
(3)を組み合わせる方法等を挙げることができる。
【0038】ここに、「(2)光照射ビームの走査間隔
を変化させる方法」とは、選択的に光照射すべき領域
(液面)において、光照射ビームの走査間隔を変化させ
る方法をいうものとする。
【0039】なお、高い照射エネルギーE1 で照射すべ
き領域を走査する光照射ビームの速度v1 としては、例
えば10〜600cm/秒とされ、低い照射エネルギー
2で照射すべき領域を走査する光照射ビームの速度v
2 としては、例えば50〜1000cm/秒とされる。
また、走査速度の比(v2 /v1 )としては、例えば1
〜100であることが好ましく、更に好ましくは2〜1
00、特に好ましくは2〜20であり、特に、光照射ビ
ームの走査速度のみを変化させる場合には、2〜20で
あることが好ましい。
【0040】側面部分(312)を構成する層部分と、
内部(32)を構成する層部分とは、それぞれ並行して
形成してもよいし、何れか一方の層部分を形成した後に
他方の層部分を形成してもよい。
【0041】目的とする立体形状物の表面部(31)を
構成する層部分に相当する液面に対して相対的に高い照
射エネルギーE1 で光照射するとともに、内部(32)
を構成する層部分に相当する液面に対して相対的に低い
照射エネルギーE2 で光照射することにより、高硬度の
層部分と低硬度の層部分とを有する第(m+2)層目か
ら第n層目の硬化樹脂層を形成する。
【0042】(4)第n+1層目の硬化樹脂層の形成工
程;図7(イ)に示すように、制御手段(図示せず)に
より、支持ステージ21を、第n層目の硬化樹脂層hn
を形成したときの深さレベルより更に1層分降下させる
ことにより、第n層目の硬化樹脂層hn上に光硬化性樹
脂を供給し、第n層目の硬化樹脂層hn上に第(n+
1)層目の樹脂液層p(n+1)を形成する。この樹脂
液層p(n+1)は、一次硬化体の上面側部分のみを構
成する層部分に相当する領域Aと、一次硬化体の側面部
分および内部を構成し、ピンの付け根部分となる層部分
に相当する領域Bと、一次硬化体の側面部分および内部
を構成する層部分に相当する領域Cと、非硬化領域Dと
を含むものである。次いで、光照射手段により第(n+
1)層目の樹脂液層p(n+1)の表面に光照射して硬
化させ、図7(ロ)に示すように、第(n+1)層目の
硬化樹脂層h(n+1)を形成する。
【0043】ここに、光照射手段による樹脂液層p(n
+1)の液面への光照射は、次のようにして行われる。
先ず、制御手段は、データファイルからのスライス形状
データを読み取って、形成すべき硬化樹脂層h(n+
1)が、上面側部分(313)を構成する層部分と、側
面部分(312)を構成する層部分と、内部(32)を
構成する層部分とからなることを認識する。そして、こ
の認識に基づく制御手段からの制御信号を受けた光照射
手段により、 上面側部分(313)のみを構成する層部分に相当
する領域Aの液面全域が相対的に高い照射エネルギーE
1 で光照射されて高硬度の層部分が形成され、 領域Bおよび領域Cの液面うち、側面部分(31
2)を構成する層部分に相当する液面が相対的に高い照
射エネルギーE1 で光照射されて高硬度の層部分が形成
され、 領域Bおよび領域Cの液面うち、内部(32)を構
成する層部分に相当する液面が相対的に低い照射エネル
ギーE2 で光照射されて低硬度の層部分が形成される。
なお、樹脂液層p(n+1)の領域Dの液面に対しては
光照射を行わない。
【0044】以上のような硬化樹脂層の形成工程を繰り
返して行うことにより、図8に示すような、複数の硬化
樹脂層が積層されてなり、表面部31を構成する硬化樹
脂の硬化度が、内部32を構成する硬化樹脂の硬化度よ
り高い一次硬化体が形成される。
【0045】そして、一次硬化体の表面に残存する未反
応の光硬化性樹脂の除去処理を行うことにより、図3に
示すような断面形状を有する一次硬化体30が得られ
る。その後、必要に応じて洗浄処理および乾燥処理が行
われ、一次硬化体30は後硬化工程に付される。
【0046】<後硬化工程>後硬化工程は、一次硬化体
(30)を熱処理することにより、当該一次硬化体(3
0)を構成する硬化樹脂(特に、内部(32)を構成す
る硬化樹脂)の硬化度をさらに高くする工程である。処
理条件としては、一次硬化体(30)の硬化状態によっ
ても異なるが、例えば100〜200℃の温度で1〜2
4時間にわたって行われることが好ましい。このような
熱処理工程によれば、目的とする立体形状物を構成する
硬化樹脂の硬化状態を十分に高いものとすることがで
き、所期の特性(機械的強度、耐熱性)を付与すること
ができる。
【0047】以上のように、本実施例の製造方法によれ
ば、表面部(31)を構成する層部分における硬化樹脂
の硬化度が、内部(32)を構成する層部分における硬
化樹脂の硬化度よりも高くなるように、光硬化性樹脂の
液面に選択的に照射する光の照射エネルギーを(E1
と(E2 )の間で変化させて硬化樹脂層を形成すること
により、表面部(31)を構成する硬化樹脂の硬化度が
相対的に高く、内部(32)を構成する硬化樹脂の硬化
度が相対的に低い一次硬化体(30)を造形することが
できる。この一次硬化体(30)は、表面部(31)
〔下面側部分(311)、上面側部分(313)および
側面部分(312)〕を構成する硬化樹脂によって形状
安定性が十分に確保されるとともに、内部(32)を構
成する層部分に相当する液面に対して相対的に低い照射
エネルギー(E2 )で光照射することにより、造形時間
を大幅に短縮することができる。
【0048】そして、一次硬化体(30)の内部(3
2)を構成する硬化樹脂は、熱処理工程によって所期の
硬化度に至るまで硬化させることができるので、最終的
に得られる立体形状物(二次硬化体)は、優れた機械的
強度および耐熱性を有するものとなる。しかも、立体形
状物の上面側部分(12)を含む硬化樹脂層〔h(n+
1)〕中に、ピン(35)の付け根部分(35a)が含
まれていても、当該ピン(35)が折れることがない。
【0049】また、この一次硬化体(30)は、表面部
(31)を構成する硬化樹脂の硬化度が十分に高いの
で、表面円滑性(表面平滑性)が高いものとなり、最終
的に得られる立体形状物(二次硬化体)の外観状態を好
適なものとすることができる。更に、内部(32)を構
成する硬化樹脂の硬化度が低く、後硬化工程において、
硬化樹脂層間(特に、内部を構成する層部分間)の接着
反応が進行することから、最終的に得られる立体形状物
(二次硬化体)における硬化樹脂層間の密着性が高いも
のとなる。
【0050】以上、本発明の一実施例について説明した
が、本発明は上記の態様に限定されるものではない。 (1)光硬化性樹脂の液面に照射する光の照射エネルギ
ーを変化させる手段として、複数の光源を使用し、制御
手段によってこれらの光源のオン−オフ制御を行っても
よい。この場合には、それぞれの光源により形成される
光スポットの各々が一点で重なるように光源が配置さ
れ、各光源は、異種または同種のいずれのものでもよ
い。
【0051】(2)一次硬化体(30)の内部(32)
を構成する層部分(硬化樹脂層の部分)を形成する際
に、当該層部分に相当する液面に照射する光の照射エネ
ルギーを変化させてもよい。これにより、内部(32)
を構成する層部分における硬化樹脂の硬化度を部分的に
異ならせる(分布を持たせる)ことができる。具体的に
は、内部(32)を構成する低硬度の層部分の一部にお
ける硬化樹脂の硬化度を、表面部(31)を構成する高
硬度の層部分における硬化樹脂の硬化度と同等程度と
し、そのような内部(32)を構成する層部分と、表面
部(31)を構成する層部分とを有する硬化樹脂層を積
層して一次硬化体を造形することができる。このような
方法によれば、前記内部(32)を構成する層部分の一
部における硬化樹脂の補強効果により、一次硬化体の形
状安定性の更なる向上を図ることができる。ここに、内
部(32)を構成する層部分の一部の形状として、格子
形状を例示することができる。
【0052】(3)上記(2)に記載の態様を含めて、
少なくとも1の硬化樹脂層を形成する際に、光硬化性樹
脂の液面に選択的に照射する光の単位面積あたりの照射
エネルギーを変化させる方法は、本発明の製造方法に包
含されるものである。
【0053】<光硬化性樹脂>本発明において使用され
る光硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂などのカ
チオン重合性光硬化性樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹
脂、ビニルエーテル樹脂などのラジカル重合性光硬化性
樹脂、およびこれらの混合物、さらにこれらの樹脂に無
機および/または有機の粒子状あるいは繊維状の充填剤
を混合した樹脂組成物等を挙げることができる。
【0054】これらのうち、無機充填剤を含有するカチ
オン重合性の光硬化性樹脂が好ましい。ここに、好まし
い光硬化性樹脂を構成する無機充填剤の具体例として
は、例えば酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケ
イソウ土、ガラスビーズ、中空ガラスビーズ、酸化マグ
ネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、シ
リカ粒子、シラスバルーン、ガラス繊維、チタン酸カリ
ウムウィスカー、カーボンウィスカー、サファイアウィ
スカー、ベリリアウィスカー、炭化ホウ素ウィスカー、
炭化ケイ素ウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、タルク
およびカーボンブラック等を挙げることができる。これ
らの中では、ガラスビーズ、中空ガラスビーズ、シリカ
粒子、チタン酸カリウムウイスカー、タルクおよびカー
ボンブラック等が好ましい。これらの無機充填剤は、単
独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができ
る。
【0055】また、無機充填剤としては、シランカップ
リング剤等により表面処理されたものであってもよい。
無機充填剤の表面処理剤として使用されるシランカップ
リン剤としては、例えばビニルトリクロルシラン、ビニ
ルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−(メタ
クリロキシプロピル)トリメトキシシラン、β−(3、
4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−
β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチ
ルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシ
シラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等を挙げる
ことができる。
【0056】これらの無機充填剤の市販品としては、例
えばガラスビーズGB210、GB210A、GB21
0B、GB210C、GB045Z、GB045ZA、
GB045ZB、GB045ZC、GB731、GB7
31A、GB731B、GB731C、GB731M、
GB301S、EGB210、EGB210A、EGB
210B、EGB210C、EGB045Z、EGB0
45ZA、EGB045ZB、EGB045ZC、MB
−10、MB−20、EMB−10、EMB−20、H
SC−070Q、HSC−024X、HSC−080
S、HSC−070G、HSC−075L、HSC−1
10、HSC−110A、HSC−110B、HSC−
110C(以上、東芝バロティーニ(株)製);ラジオ
ライト#100、ラジオライト ファインフローB、ラ
ジオライト ファインフローA、ラジオライトスパーク
ルフロー、ラジオライト スペシャルフロー、ラジオラ
イト#300、ラジオライト #200、ラジオライト
クリアーフロー、ラジオライト #500、ラジオラ
イト #600、ラジオライト #2000、ラジオラ
イト #700、ラジオライト #500S、ラジオラ
イト #800、ラジオライト #900、ラジオライ
ト #800S、ラジオライト #3000、ラジオラ
イト エース、ラジオライトスーパーエース、ラジオラ
イト ハイ・エース、ラジオライト PC−1、ラジオ
ライト デラックスP−5、ラジオライト デラックス
W−50、ラジオライト マイクロファイン、ラジオラ
イトF、ラジオライト SPF、ラジオライト GC
(以上、昭和化学工業(株)製);ハイジライト H−
X、ハイジライト H−21、ハイジライト H−3
1、ハイジライト H−32、ハイジライト H−4
2、ハイジライト H−42M、ハイジライト H−4
3、ハイジライト H−32ST、ハイジライト H−
42STV、ハイジライト H−42T、ハイジライト
H−34、ハイジライト H−34HL、ハイジライ
ト H−32I、ハイジライト H−42I、ハイジラ
イト H−42S、ハイジライト H−210、ハイジ
ライト H−310、ハイジライト H−320、ハイ
ジライト H−141、ハイジライトH−241、ハイ
ジライト H−341、ハイジライト H−320I、
ハイジライト H−320ST、ハイジライト HS−
310、ハイジライト HS−320、ハイジライト
HS−341、アルミナ A−42−6、アルミナ A
−42−1、アルミナ A−42−2、アルミナ A−
42−3、アルミナ A−420、アルミナ A−43
−M、アルミナ A−43−L、アルミナ A−50−
K、アルミナ A−50−N、アルミナ A−50−
F、アルミナ AL−45−H、アルミナ AL−45
−2、アルミナ AL−45−1、アルミナAL−43
−M、アルミナ AL−43−L、アルミナ AL−4
3PC、アルミナ AL−150SG、アルミナ AL
−170、アルミナ A−172、アルミナ A−17
3、アルミナ AS−10、アルミナ AS−20、ア
ルミナ AS−30、アルミナ AS−40、アルミナ
AS−50(以上、昭和電工(株)製);スターマグ
−U、スターマグ−M、スターマグ−L、スターマグ−
P、スターマグ−C、スターマグ−CX、高純度マグネ
シアHP−10、高純度マグネシアHP−10N、高純
度マグネシアHP−30、スターブランド−200、ス
ターブランド−10、スターブランド−10A、星印炭
酸マグネシウム金星、星印炭酸マグネシウム 二ッ星、
星印炭酸マグネシウム 一ッ星、星印炭酸マグネシウム
S、星印炭酸マグネシウム 飼料用、星印炭酸マグネ
シウム重質、高純度炭酸マグネシウムGP−10、高純
度炭酸マグネシウム30、スターブランド軽質炭酸カル
シウム 一般用、スターブランド軽質炭酸カルシウムE
C、スターブランド軽質炭酸カルシウム KFW−20
0(以上、神島化学工業(株)製)、MKCシリカ G
S50Z、MKCシリカ SS−15(以上、三菱化学
(株)製)、アドマファイン SO−E3、アドマファ
イン SO−C3、アドマファイン AO−800、ア
ドマファイン A0−809、アドマファインAO−5
00、アドマファイン AO−509(以上、(株)ア
ドマテックス製);XM−220(三井化学(株)
製);ティスモ−D、ティスモ−L、トフィカーY、ト
フィカーYN、トフィカーYB、デンドールWK−20
0、デンドールWK−200B、デンドールWK−30
0、デンドールBK−200、デンドールBK−30
0、スワナイト、バリハイBスーパーデントール(以
上、大塚化学(株)製)等が挙げられ、球状のシリカ粒
子の市販品として、例えばサンスフェアNP−100、
NP−200(以上、洞海化学工業(株)製)、シルス
ターMK−08、MK−15(以上、日本化学工業
(株)製)、FB−48(以上、電気化学工業(株)
製)等が挙げられる。カーボンブラックとしては、例え
ばFEF、SRF、HAF、ISAFおよびSAFなど
を挙げることができ、特に、ヨウ素吸着量(IA)が6
0mg/g以上で、ジブチルフタレート吸油量(DB
P)が80ml/100g以上であるものが好ましい。
また、耐摩耗性の良好な立体形状物を得る観点からは、
HAF、ISAF、SAFを用いることが好ましい。
【0057】本発明の製造方法に好適に使用することの
できる光硬化性樹脂の具体例としては、例えばJSR株
式会社製の「デソライトSCR」シリーズとして市販さ
れている「SCR−802」、「SCR−801」、
「SCR−701」、「SCR−751」、「SCR−
935」、「SCR−950」、「SCR−710」、
「SCR−730」などを挙げることができる。
【0058】本発明の製造方法により得られる立体形状
物は、デザインモデル、医療用モデルさらには樹脂成形
用型等のマスターモデルなどとして用いることができ
る。本発明の製造方法により得られる立体形状物は、射
出成形法、プレス成形法、真空成形法、圧空成形法、発
泡成形法、パルプモールド成形法などの各種成形法に用
いる樹脂製成形型として特に好適である。本発明の製造
方法により得られる立体形状物は、硬化樹脂層間の密着
性が高く、表面円滑性(表面平滑性)に優れていること
から、ダイレクト型として特に好適である。
【0059】
【実施例】<実験例>図2に示したような光造形装置を
使用し、光硬化樹脂の液面へのレーザー光の照射エネル
ギーを200mJ/cm2 (高い照射エネルギーE1
として硬化樹脂層を形成する工程を800回にわたり繰
り返し、得られた一次硬化体を120℃のオーブン内に
2時間放置することにより試験片を作製した(これを
「試験片1」とする。)。また、光硬化樹脂の液面への
レーザー光の照射エネルギーを40mJ/cm2(低い
照射エネルギーE2 )として硬化樹脂層を形成する工程
を800回にわたり繰り返し、得られた一次硬化体を1
20℃のオーブン内に2時間放置することにより試験片
を作製した(これを「試験片2」とする。)。また、光
硬化樹脂の液面へのレーザー光の照射エネルギーを40
mJ/cm2(低い照射エネルギーE2 )として硬化樹
脂層を形成する工程を400回にわたり繰り返し、更
に、照射エネルギーを200mJ/cm2 (高い照射エ
ネルギーE1 )として硬化樹脂層を形成する工程を40
0回にわたり繰り返し、得られた一次硬化体を120℃
のオーブン内に2時間放置することにより試験片を作製
した(これを「試験片3」とする。)。
【0060】上記の試験片1〜3の各々について、下記
に示す方法により、層間密着強度の測定および表面平滑
性の評価を行った。ここに、各試験片1〜3は、長さ1
0mm、幅4mm、厚さ(高さ)80mm、層数が80
0の板状のもので、401層目の硬化樹脂層の位置に、
深さ0.1mmのノッチ部分(応力集中点)が形成され
ている。
【0061】(1)層間密着強度の測定は、JIS−K
7203に準じた曲げ試験を、インストロン社製の
「モデル5567試験システム」を用いて行い、その破
壊に要するエネルギー量で評価した。
【0062】(2)表面平滑性の評価は、ミツトヨ社製
の「三次元画像測定機」を用いて、試験片の表面の凹凸
の差を測定することにより行った。
【0063】
【表1】
【0064】表1の結果から、下記のことが理解され
る。高硬度の硬化樹脂層のみからなる試験片1は、表面
平滑性は高いが、硬化樹脂層間の剥離強度に劣るもので
ある。低硬度の硬化樹脂層のみからなる試験片2は、硬
化樹脂層間の剥離強度は十分に高いが、表面平滑性に劣
るものである。低硬度の硬化樹脂層の上に高硬度の硬化
樹脂層が積層されてなる試験片3では、高硬度の硬化樹
脂層と低硬度の硬化樹脂層との間でも十分な剥離強度を
有するものであることが確認された。
【0065】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、層間密着性
を含む機械的強度、耐熱性、表面円滑性に優れた立体形
状物を、高い生産効率で製造することができる。本発明
の成形型によれば、寸法精度の高い成形品を得ることが
できる共に、成形型自体が優れた耐久性を有するものと
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】立体形状物の一例を示す概略図である。
【図2】本発明において使用される光造形装置の構成の
一例を示す概略図である。
【図3】目的とする一次硬化体の一例を示す説明用断面
図である。
【図4】光硬化工程における第1層目の硬化樹脂層形成
工程を模式的に示す説明用断面図である。
【図5】光硬化工程における第2層目の硬化樹脂層形成
工程を模式的に示す説明用断面図である。
【図6】光硬化工程における第(m+1)層目の硬化樹
脂層形成工程を模式的に示す説明用断面図である。
【図7】光硬化工程における第(n+1)層目の硬化樹
脂層形成工程を模式的に示す説明用断面図である。
【図8】光硬化工程を模式的に示す説明用断面図であ
り、一次硬化体が造形された状態を示す。
【符号の説明】
10 立体形状物 11 下面側部分 12 上面側分 14 側面部分 15 ピン 15a 付け根部分 20 樹脂収容槽 21 支持ステージ 211 垂直支柱 212 ステージ面 22 光照射手段 23 データファイル 24 制御手段 30 一次硬化体 31 表面部 311 下面側部分 312 側面部分 313 上面側部分 32 内部 35 ピン 35a 付け根部分

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1)光硬化性樹脂の液面に選択的に光照
    射して硬化樹脂層を形成する工程を繰り返すことによ
    り、複数の硬化樹脂層が積層されてなる一次硬化体を造
    形する光硬化工程と、2)光硬化工程により得られた一
    次硬化体を熱処理して二次硬化体を得る後硬化工程とを
    含む立体形状物の製造方法であって、 前記光硬化工程において、少なくとも1の硬化樹脂層を
    形成する際に、硬化樹脂の硬化度が異なる2以上の層部
    分からなる硬化樹脂層となるように、光硬化性樹脂の液
    面に選択的に照射する光の単位面積あたりの照射エネル
    ギーを変化させることを特徴とする立体形状物の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 光硬化性樹脂の液面に選択的に光照射し
    て硬化樹脂層を形成する工程を繰り返すことにより、複
    数の硬化樹脂層が積層されてなる硬化体を造形する光硬
    化工程を含む立体形状物の製造方法であって、 前記光硬化工程において、少なくとも1の硬化樹脂層を
    形成する際に、高硬度の層部分と低硬度の層部分とから
    なる硬化樹脂層となるように、光硬化性樹脂の液面に選
    択的に照射する光の単位面積あたりの照射エネルギーを
    変化させることを特徴とする立体形状物の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記光硬化工程において、少なくとも1
    の硬化樹脂層を形成する際に、光照射ビームの走査速
    度、走査間隔および光源強度の少なくとも1の条件を変
    化させることにより、単位面積あたりの照射エネルギー
    を変化させることを特徴とする請求項1または請求項2
    に記載の立体形状物の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記光硬化工程において、少なくとも1
    の硬化樹脂層を形成する際に、同種または異種の複数の
    光源を利用して、単位面積あたりの照射エネルギーを変
    化させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいず
    れかに記載の立体形状物の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記光硬化工程において、少なくとも1
    の硬化樹脂層を形成する際に、目的とする立体形状物の
    表面部の全部または一部を構成する層部分における硬化
    樹脂の硬化度が、当該立体形状物の内部を構成する層部
    分における硬化樹脂の硬化度よりも高くなるように、光
    硬化性樹脂の液面に選択的に照射する光の単位面積あた
    りの照射エネルギーを変化させることを特徴とする請求
    項1乃至請求項4のいずれかに記載の立体形状物の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記後硬化工程は、光硬化工程により得
    られた一次硬化体を100〜200℃の温度で1〜24
    時間にわたり加熱処理する工程であることを特徴とする
    請求項1、請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の立
    体形状物の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記光硬化性樹脂が無機充填剤を含有す
    るカチオン重合性の光硬化性樹脂であることを特徴とす
    る請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の立体形状物
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載
    の方法により製造される立体形状物からなることを特徴
    とする成形型。
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