JP2002086258A - 非晶質合金の製造方法及び非晶質合金製造装置 - Google Patents

非晶質合金の製造方法及び非晶質合金製造装置

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JP2002086258A
JP2002086258A JP2000276998A JP2000276998A JP2002086258A JP 2002086258 A JP2002086258 A JP 2002086258A JP 2000276998 A JP2000276998 A JP 2000276998A JP 2000276998 A JP2000276998 A JP 2000276998A JP 2002086258 A JP2002086258 A JP 2002086258A
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amorphous alloy
molding cavity
metal
lower mold
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JP2000276998A
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Hiroto Setogawa
広人 瀬戸川
Yoshie Takano
由重 高ノ
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 金型の耐久性の低下を防止する。 【解決手段】 下型4と、この下型4に向かって押圧さ
れることにより下型4に接して成型キャビティを形成し
うる上型3とからなる金型2、及び成型キャビティ内に
満たされた溶融金属を臨界冷却速度以上で冷却する冷却
装置を用いることにより非晶質合金を製造する非晶質合
金の製造方法である。上型3の下型4への押圧時の最大
の押圧力Fと、前記上型3と下型4とが接する接触全面
積Aとの比(F/A)である型締め圧力を5kPa以上
かつ1×107 kPa未満として前記押圧する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非晶質合金製造装
置及びそれを用いた非晶質合金の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】結晶構
造を実質的に持たない非晶質合金(アモルファス合金、
金属ガラスなどとも称される。)は、高硬度、高強度、
高靱性を併せ持つ高性能な素材として注目されており、
各種の工業製品やゴルフクラブヘッドといったスポーツ
用品に採用されつつある。例えば、Zr−Al−Co−
Ni−Cu系、Zr−Ti−Al−Ni−Cu系、Zr
−Ti−Nb−Al−Ni−Cu系、Zr−Ti−Hf
−Al−Co−Ni−Cu系又はZr−Al−Ni−C
u系の非晶質合金においては、臨界冷却速度が1〜10
0(K/s)と非常に小さいものが既に開発され、これ
に伴い、塊状(バルク状)の非晶質合金成型品が種々の
方法により製造されている。
【0003】塊状の非晶質合金は、例えば、溶融金属を
金型のキャビティに押し込んで所定形状に変形させて急
冷する鍛造法(例えば特開2000−61614号公
報)、溶融金属を鋳型に流し込んで急冷する鋳造法など
が知られている。前記鍛造法は、例えば図10(A)、
(B)に示すように、上型a、下型bからなる金型cの
前記下型bに設けられた例えば保温性に優れるグラファ
イト等からなる金属溶解部dで、アーク放電などにより
成型材料を溶解するとともに、上型aを押圧し、一端側
から下型bに斜めに接触させていき、溶解された溶融金
属fを押圧し前記金属溶解部dに隣接して設けたキャビ
ティgへと流し込むものである。そして、金型cを冷却
してキャビティg内に充填された溶融金属fを臨界冷却
速度以上で冷却、凝固させることにより非晶質合金iを
成型している。
【0004】このような鍛造法は、上型aと下型bとを
当接させて型締めするに際し、溶融金属fをキャビティ
g側へと流し込む工程を有するため、溶融金属fとキャ
ビティgとの接触圧が高く、両者の接触部で効率の良い
熱伝導が得られる結果、極めて大きな冷却速度を得るこ
とができ、鋳造法などに比べて良好かつ大型のバルク状
の非晶質合金成型品を得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の製造方法では、
上型aと下型bとを大きな圧力で型締めし、溶融金属f
を前記金属溶解部dに隣接して設けたキャビティgへと
流し込むことが行われている。ところが、このような大
きな圧力での型締めを繰り返すと、金型cへの負荷が過
大となるため、早期に変形等の損傷が生じやすく、ひい
ては金型cの耐久性が低下するという問題があった。
【0006】発明者らは、このような実状に鑑み鋭意研
究を重ねたところ、型締め力を従来に比して小さな一定
の値に限定したときには、金型の耐久性低下を防ぎつつ
意外にも良好な成型品を得ることが可能であることを見
出し本発明を完成させるに至った。
【0007】以上のように本発明は、上型を押圧する最
大の押圧力Fと、上型と下型とが接触する接触全面積A
との比(F/A)である型締め圧力を5kPa以上かつ
1×107 kPa未満ととすることを基本として金型の
耐久性の低下を防止しつつ品質良く比較的大型の非晶質
合金を製造しうる非晶質合金の製造方法及び非晶質合金
製造装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のうち請求項1記
載の発明は、下型と、この下型に向かって押圧されるこ
とにより下型に接して成型キャビティを形成しうる上型
とからなる金型、及び成型キャビティ内に満たされた溶
融金属を臨界冷却速度以上で冷却する冷却装置を用いる
ことにより非晶質合金を製造する非晶質合金の製造方法
であって、前記下型は、前記成型キャビティの下部側を
なす下成形部と、成型金属を溶融する金属溶融部とが下
型上面に隣接して凹設され、かつ前記上型は、前記下成
形部と合体し前記成形キャビティを形成する上成形部
と、前記金属溶融部で溶融した溶融金属を押し下げて前
記成型キャビティに送り出す湯押し部とを上型下面に有
し、しかもこの上型を押圧する最大の押圧力Fと、前記
上型と下型とが接する接触部、前記成型キャビティ及び
前記湯押し部を含む金型全面積Aとの比(F/A)であ
る型締め圧力を5kPa以上かつ1×107 kPa未満
として前記押圧することを特徴としている。
【0009】また請求項2記載の発明は、下型と、この
下型に向かって押圧されることにより下型に接し成型キ
ャビティを形成しうる上型とからなる金型、及び成型キ
ャビティ内に満たされた溶融金属を臨界冷却速度以上で
冷却する冷却装置を用いることにより非晶質合金を製造
する非晶質合金製造装置であって、前記下型は、前記成
型キャビティの下部側をなす下成形部と、成型金属を溶
融する金属溶融部とが下型上面に隣接して凹設され、か
つ前記上型は、前記下成形部と合体し前記成形キャビテ
ィを形成する上成形部と、前記金属溶融部で溶融した溶
融金属を押し下げて前記成型キャビティに送り出す湯押
し部とを上型下面に有し、しかもこの上型を押圧する最
大の押圧力Fと、前記上型と下型とが接する接触部、前
記成型キャビティ及び前記湯押し部を含む金型全面積A
との比(F/A)である型締め圧力が5kPa以上かつ
1×107 kPa未満とすることを特徴としている。
【0010】また請求項3記載の発明は、前記金型は、
銅、銅合金、銀、クロムニッケル鋼、鋳鉄、ニッケル
鋼、ケイ素鋼、炭素鋼、純鉄又はFe、Ni又はCoを
基材とする耐熱合金から形成されたことを特徴とする請
求項2記載の非晶質合金製造装置である。
【0011】また請求項4記載の発明は、前記非晶質合
金が、Zr系非晶質合金である請求項2又は3記載の非
晶質合金製造装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の非晶質合金の製造
方法及び製造装置を、ゴルフクラブヘッドのフェース部
材を成型する場合を例に取り図面に基づき説明する。図
1には、本実施形態の非晶質合金の製造装置1(以下、
単に「製造装置」ということがある。)の概略構成図を
例示している。図において、製造装置1は、本例では、
開閉可能な上型3、下型4を有する金型2と、成型金属
を溶解するための熱源としてアーク放電を行うアーク電
極5と、前記上型3、下型4、アーク電極5にそれぞれ
冷却水を循環供給しうる冷却装置としての冷却水供給装
置6と、前記金型2、アーク電極5等を収納しうる真空
チャンバー7と、モータM1により駆動されかつ下型4
を、上型3とアーク電極5の下方との間で移動させる下
型移動装置9と、モータM2により駆動されかつ上型3
を下型4に向けて押圧する上型移動装置10とを含むも
のが例示される。
【0013】前記アーク電極5は、アーク電源11に接
続されるとともに、例えばステッピングモータM3等に
よってX軸、Y軸及びZ軸方向に位置調整可能に構成さ
れる。さらに、アーク電極5の近傍には、下型5に載置
された成型金属との間の間隔を測定しうる例えば半導体
レーザセンサS等が付設される。これによってアーク電
極5は、加熱する成型材料との間隔が略一定となるよう
制御され、安定したアークを生じさせて均一な成型金属
の溶解をなしうる。なおアーク電極5のアーク発生部近
傍に、例えばArガス等を充填したガス供給源(ガスボ
ンベ)G1からの冷却用ガスを噴出する冷却ガス噴出口
12を設け、加熱後の急速冷却を促進してもよい。
【0014】また、成型金属を溶解する高エネルギー熱
源としては、本例のアーク熱源は比較的設備構成が簡単
でコストも低い点で好ましいが、これ以外にも、例えば
高周波熱源、プラズマ熱源、電子ビーム、レーザービー
ムなどを種々のものが用いられる。また、これらの熱源
は、複数個であってもよい。また前記金型2、アーク電
極5を冷却する媒体には、水以外にも他の媒体(例えば
冷媒ガス)などを適宜用いることができる。
【0015】前記真空チャンバー7は、例えばSUS製
水冷ジャケット構造であって、真空引きするために例え
ば真空排気口によって油拡散真空ポンプ(ディフュージ
ョンポンプ)DP及び油回転真空ポンプ(ロータリポン
プ)RPが連結される。また真空チャンバー7には、真
空引後、不活性ガスによる置換が可能なようにガス供給
源(ガスボンベ)G2が連結される。従って、真空チャ
ンバー7内は、高真空、例えば5×10-4Pa(液体窒
素トラップ使用)にした後、ガス供給源G2からアルゴ
ンガスを供給して該チャンバー7内をアルゴンガスにて
置換しうる。
【0016】また、上型3、下型4及びアーク電極5
は、冷却水供給装置6から供給される冷却水によって所
定の温度まで冷却される。なお、本例の冷却水供給装置
6は循環戻り冷却水をクーラントにより冷却した後に、
再び冷却水として上型3、下型4及びアーク電極5に供
給しうる。
【0017】図2は前記金型2の長手方向に沿う中央断
面図、図3は下型の平面図を示している(なお図2は、
図3のX−X線断面に相当する)。該金型2は、上型3
と下型4とからなり、開閉可能かつ上型3と下型4とを
所定の合わせ面P1、P2で接触させることにより、内
部に製品形状に近似した成型キャビティCを形成しう
る。
【0018】前記下型4は、図2、図3に示す如く、本
実施形態では、上型3側を向く下型上面4aに、前記キ
ャビティCの下側部分を形成する下成形部13と、成型
金属を溶融する金属溶融部14とを隣接して凹設してい
る。
【0019】前記金属溶融部14は、本例では非金属材
料からなる浅底容器体15を、金属材料からなる下型本
体16に装着することにより形成している。前記浅底容
器体15は、略円形状ないしおむすび状をなす底部15
aの周囲に、周囲壁15bを一体に立ち上げた受け皿状
に構成されている。また、この浅底容器体15には、主
として成型金属の溶解時の熱の散逸を防ぐために保温性
に優れ、かつ成型金属の溶解時に反応を生じない材料で
形成することが特に望ましいが、熱源が本例の如くアー
ク放電のような場合には導電性をも必要となる。本実施
形態では、この浅底容器体15を炭素から形成したもの
を例示する。ただし、浅底容器体15は、このような材
料に限定されるものではなく、実施形態に応じて種々の
非金属材料を採用しうるのは言うまでもない。
【0020】またこの浅底容器体15は、本実施形態で
は、金属材料からなる前記下型本体16に設けた凹所1
7に装着されている。前記凹所17は、図2に示す如
く、第1の底面17Aと、この第1の底面17Aの周囲
に段差を介しかつ該第1の底面17Aよりも高所に設け
た第2の底面17Bとを含むものを例示する。そして、
前記浅底容器体15の底部15aと前記第2の底面17
Bとが接するように装着している。これにより、浅底容
器体15の底部15aと前記第1の底面17Aとの間
に、空所からなる断熱部19を介在させることができ
る。これにより、浅底容器体15で溶解された成型金属
の熱が金属材料からなる下型本体16へと散逸するのを
防止し、品質の良い非晶質合金を成型するのに役立つ。
【0021】ここで、前記断熱部19の厚さtは、特に
限定はされないが、例えば0.5〜4mm、より好ましく
は1〜3mmとするのが望ましい。前記高さtが0.5mm
未満であると、下型本体16に熱エネルギーを奪われや
すくなって断熱効果が低下する傾向があり、逆に4mmを
超えると、不必要に凹所17を大型化する結果、下型の
厚さが増大化し金型コストの上昇を招きやすい。
【0022】また下型上面4aには、上型3と合うこと
により該上型3と接する合わせ面P1を具えている。本
例の合わせ面P1は、下型4の最も高い位置に形成され
た同一高さの水平面からなる。なお図3においては、こ
の合わせ面P1にドットを付して表示している。
【0023】前記上型3は、図2に示す如く、本例では
前記下型4を向く上型下面3aを面一な水平面で形成し
た略板状をなすものを例示している。この上型下面3a
は前記下型4の合わせ面P1と面一に接触する合わせ面
P2を含むとともに、前記下型4の下成形部13と合体
し前記成形キャビティCを形成する上成形部21と、前
記金属溶融部14で溶融した溶融金属を押し下げること
により該溶融金属を成型キャビティCに送り出す湯押し
部22とを兼ねている。
【0024】なお成形キャビティCには、本例では製品
としては余分(バリ)となる成型金属が流れ込む空間C
aが付設されたものを例示する。また図2に示すよう
に、上型3、下型4を合わせた際に、前記成形キャビテ
ィCは、前記金属溶融部14へと連なり、該金属溶融部
14から成形キャビティCへの湯道が確保される。なお
本実施形態では、前記成型キャビティCについては、そ
の余剰材料が流れ込む空所Caを除く平面視での底面積
が例えば6000mm2 以上、さらに好ましくは7000
mm2 以上、より好ましくは9000mm2 以上とし、非晶
質合金としては比較的大型のバルク状材を形成可能なも
のを例示している。なお前記底面積の下限値は、特に限
定されないが、実用上、例えば12000mm2 以下とし
うる。
【0025】そして、例えば上型3の前記湯押し部22
を金属溶融部14の成形キャビティCとは反対側の一端
部E1から徐々に該金属溶融部14に向けて近接させる
ことにより、金属溶融部14上の溶融金属を成形キャビ
ティCへと送り込みしうる。
【0026】次にこのような製造装置1を用いて非晶質
合金を製造する具体的工程について説明する。図4に示
すように、金属溶融部14の浅底容器体15に成型金属
M1を山盛り状に載置する。この成型金属M1として
は、例えばZrを最大成分、好ましくはZrを50原子
%以上含むZr系合金、例えばZr−Al−Co−Ni
−Cu系、Zr−Ti−Al−Ni−Cu系、Zr−T
i−Nb−Al−Ni−Cu系、Zr−Ti−Hf−A
l−Co−Ni−Cu系又はZr−Al−Ni−Cu系
の合金材料とすることにより、冷却速度を小さくしても
比較的容易に非晶質組織を得ることが可能になる。特に
これらの合金は、Beのような毒性成分がなく、環境問
題や商業化への障害とならずコストも低下しうる点で好
ましい。なおアーク電極5による金属材料の急速な溶融
を容易にするため、成型金属M1には、粉末状やペレッ
ト状の合金材料を用いるのが好ましい。
【0027】また前記上型3は、上型移動装置10に装
着されている。上型移動装置10は、例えば上下に移動
しうる昇降軸10aと、この昇降軸10aに固着された
取付部材10bとを含み、この取付部材10bの下面に
前記上型3が装着されている。また取付部材10bと上
型3とは、下型4の下成型部13側の他端部E2をリン
ク31を介して枢結される。また一端部E1側かつ取付
部材10bと上型3とは、上型4を下に向けて付勢する
例えばコイルスプリングなどの弾性部材30を介在させ
て連結している。これにより、取付部材10bの下面に
は、前記上型3が、前記一端部E1側を下方とする傾斜
状態で取付けられる。このときの傾斜角度αは、例えば
1〜15°、より好ましくは3〜5゜とすることができ
る。
【0028】しかる後、図5に示すように、前記下型移
動装置9(図1に示す)を駆動し、下型4だけをアーク
電極5の下方に移動して位置決め停止させる。なお前記
下型移動装置9には、例えば公知の並進機構や往復動機
構等を用いることができる。またアーク電極5は、必要
な位置調整がなされ、成型金属M1との間の相対距離な
どが正しくセットされる。そして、アーク電源11をO
Nにし、アーク電極5からプラズマアークを発生させ、
成型金属M1を完全に溶解する。これにより溶融金属M
2が浅底容器体15の上にその表面張力で山盛り状に形
成される。成型金属M1が完全に溶解されると、アーク
電源11をOFFとし、プラズマアークを消す。
【0029】また成型金属M1の溶解を終えると、図6
に示す如く、速やかに下型4を上型3の下方に移動させ
るとともに、上型移動装置10により上型3を下型に向
かって押圧して下降させる。このとき下型4は、移動不
能に固定されている。また上型3は下型4に対して前記
傾斜状態のまま下降することにより、先ず下型4の前記
一端部E1側から下型4に接し、徐々に前記傾斜を減じ
て最終的には互いに前記合わせ面P1、P2を水平とし
て接触しうる。これにより上型3、下型4は、型締めさ
れる(図7)。この型締めに際して、上型3の傾斜状態
から水平状態への揺動に伴ない該上型3に設けた湯押し
部22が浅底容器体15の上の溶融金属M2を押し下げ
ることにより前記成型キャビティCに送り出しでき、該
溶融金属M2は一気にかつ圧延状に押圧されつつ流れ込
むことが可能になる。本例では、前記上型移動装置10
を制御するコントローラ(図示せず)により、上型3の
下型4に向かう押圧力を、上型3と下型4とが接触を始
めた時点から徐々に上昇させ、上型3と下型4とが完全
に合わされた時点で最大となるように制御しているもの
を示す。
【0030】また本発明では、前記上型3を押圧する最
大の押圧力Fと、前記上型3と下型4とが前記合わせ面
P1、P2にて接する接触部K、前記成型キャビティC
及び前記湯押し部22を含む金型全面積Aとの比(F/
A)である型締め圧力を5kPa以上かつ1×107
Pa未満、より好ましくは5kPa以上かつ1×10 4
kPa未満、さらに好ましくは500kPa以上かつ1
000kPa以下として前記押圧することを特徴事項の
一つとしている。このように、型締め圧力を限定するこ
とにより、金型2の前記合わせ面P1、P2などに早期
に摩耗や変形等が生じるのを防止でき、金型2を長期に
亘り使用することができ耐久性を向上できる。なお前記
成型キャビティCなどは立体形状をなすため、前記金型
全面積Aは、水平面に投影された面積として計算され
る。
【0031】なお前記型締め圧力が5kPa未満である
と、型締め圧力が低くなりすぎるため、溶融金属M2か
らの反力により例えば大型のバルク材の成型や複雑な形
状の成型が困難となり、また溶融金属M2の粘性抵抗が
大きい場合には溶融金属M2を成型キャビティCに十分
に充填することができず、品質の良い非晶質合金を得る
ことができない。特に、溶融金属M2の粘性抵抗を減じ
るために、該溶融金属M2をより高い温度で溶解させる
必要があり、溶融工程においてより多くの熱エネルギー
が必要となる不具合もある。逆に前記型締め圧力が1×
107 kPa以上になると、金型2の変形が早期に生じ
易く金型の耐久性を低下させてしまう。
【0032】なお前記金型2は、熱伝導性に優れかつ加
工性にも優れた材料、例えば銅、銅合金、銀、クロムニ
ッケル鋼、鋳鉄、ニッケル鋼、ケイ素鋼、炭素鋼、純鉄
又はFe、Ni又はCoを基材とする耐熱合金(例え
ば、Fe基超耐熱合金、Ni基超耐熱合金、Co基超耐
熱合金)から形成することが望ましく、特に望ましくは
コストが低く熱伝導性に優れる銅、銅合金、クロムニッ
ケル鋼が好ましい。このような材料からなる金型に前記
型締め圧力を適用することにより、金型耐久性をより一
層良好としうるとともに、前記銅や各鋼合金が本来有し
ている優れた熱伝導率に基づき、良好な組成を有する非
晶質合金を安定して供給しうる。
【0033】次にこの溶融金属M2の変形と同時もしく
は変形後に、金型2にて溶融金属M2を臨界冷却速度以
上で急速に冷却し、溶融金属M2が急冷固化された非晶
質合金を得ることができる。型締めを行っている時間
は、成型材料の配合や非晶質合金成型体の大きさなどに
よっても異なるが、概ね5〜120秒程度に設定され、
しかる後、上型3を上方に持ち上げ、成型品が脱型され
る。なお図8(A)には、冷却を終えて脱型された非晶
質合金成型品25の断面図を示しており、切断線L1、
L2にて不要な部分を削除することにより、図8(B)
の如く、ゴルフクラブヘッドのフェース部材26として
形成できる。
【0034】
【実施例】次に本発明を具現化した実施例についてさら
に説明する。先ず本発明の実施例として、図1〜3に示
した非晶質合金製造装置を用いてかつ図4〜図7にて説
明した製造工程を経て非晶質合金を製造し、種々の評価
を行った。
【0035】実施例、比較例とも、上型には、図2に示
した上型下面が平坦な板状のものを用いるとともに、下
型は、図2、図3に示すものとし、図3におけるX寸法
を80mm、Y寸法を150mmとした下成型部と、略円形
(おむすび状)の金属溶融部とを隣接して形成したもの
を用いている。なお金属溶融部に配した浅底容器体は炭
素(IG−11)により形成した。
【0036】また成型材料には、Zr55Al10Ni5 C
u30(数字は原子%)の組成を採用した。また成型金属
を溶解するアーク放電を停止した後、下型を上型の下ま
で移動させるのに要した下型移動時間は1.6秒であ
り、上型が下降を始めたときから下型と完全に合わされ
るまでの型閉め時間は1.3秒であった。
【0037】本実施例では、成型キャビティに充填され
る溶融金属の量を7段階(成型キャビティの底面積が1
2000mm2 に対して、該成型キャビティに充填される
溶融金属の底面積がほぼ6000mm2 (その状態を図9
に略示する)、7000mm2、8000mm2 、9000m
m2 、10000mm2 又は12000mm2 の7段階)に
変化させ、合金試作を行った。そして、金型が完全に閉
じ合わされる前に合金が固まり成型不良となったものを
「×」、金型が完全に閉じ合わされ溶融金属が良好に成
型キャビティに流れ込んでいたものを「○」で評価し
た。「−」表示は、それ以前の試作で評価が×となった
ため、試作を行わなかったことを示す。この実験によっ
て良好な非晶質状態で成形できる非晶質合金の最大面積
(平面視での最大面積)を明らかにしている。従って、
成型キャビティ全体を溶融金属で満たすことを意図して
はいない。また実施例1〜4では、本来成形できない大
きさのキャビティが用いているに過ぎない。テスト結果
を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】表1において、アーク電源の電流値が大き
いほど溶融金属に加えられた熱エネルギーが大きいこと
を示し、従って、該電流値の大きいものほど溶融金属の
粘性抵抗が相対的に小さくなっている。また型締め圧力
は、最大の押圧力Fを、上型と下型とが完全に閉じ合わ
されるか否かを問わず予め計算される金型全面積Aで除
すことにより求めた値である。
【0040】また試作後の金型の損傷状態を目視により
調べたところ、実施例1〜6については、変形等は一切
生じていなかった。実施例7については、図9のα部に
変形が見られたが、成型キャビティ付近には変形がなく
以後の使用に耐えうる程度のものであった。なお実施例
8では、図9のα部、β部のいずれにも変形が見られ、
成型キャビティ付近にも変形が生じており、以後の使用
には耐え得ない程度の損傷が生じていた。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1又は請求
項2に記載した非晶質合金の製造方法及び製造装置にあ
っては、金型の寿命を延ばしつつ安定した非晶質合金を
製造することができる。
【0042】また請求項3記載の発明は、金型の材料を
限定したことにより、金型耐久性をより一層良好としう
るとともに、前記銅や各鋼合金が本来有している優れた
熱伝導率に基づいて、良好な組成を有する非晶質合金を
安定して供給しうる。
【0043】また請求項4記載の発明は、前記非晶質合
金が、Zr系非晶質合金からなることにより、冷却速度
を小さくしても比較的容易に非晶質組織を得ることが可
能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の非晶質合金製造装置の概略構成図
である。
【図2】上型、下型を合わせた長手方向に沿う断面図で
ある。
【図3】下型の下型上面から見た平面図である。
【図4】上型を傾斜させて保持する状態を示す断面図で
ある。
【図5】溶融金属を形成する状態を示す断面図である。
【図6】上型にて溶融金属を押圧した状態を示す説明図
である。
【図7】金型の型閉め状態を示す説明図である。
【図8】(A)は非晶質合金の成型品を例示する断面
図、(B)はその部品図である。
【図9】実施例を説明する下型の平面図である。
【図10】(A)、(B)は従来の非晶質合金の製造方
法を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 非晶質合金製造装置 2 金型 3 上型 4 下型 5 アーク電極 13 下成型部 14 金属溶融部 21 上成型部 22 湯押し部 C 成形キャビティ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22D 27/09 B22D 27/09 A C22C 1/00 C22C 1/00 A // C22C 45/10 45/10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下型と、この下型に向かって押圧されるこ
    とにより下型に接して成型キャビティを形成しうる上型
    とからなる金型、 及び成型キャビティ内に満たされた溶融金属を臨界冷却
    速度以上で冷却する冷却装置を用いることにより非晶質
    合金を製造する非晶質合金の製造方法であって、 前記下型は、前記成型キャビティの下部側をなす下成形
    部と、成型金属を溶融する金属溶融部とが下型上面に隣
    接して凹設され、 かつ前記上型は、前記下成形部と合体し前記成形キャビ
    ティを形成する上成形部と、前記金属溶融部で溶融した
    溶融金属を押し下げて前記成型キャビティに送り出す湯
    押し部とを上型下面に有し、 しかもこの上型を押圧する最大の押圧力Fと、前記上型
    と下型とが接する接触部、前記成型キャビティ及び前記
    湯押し部を含む金型全面積Aとの比(F/A)である型
    締め圧力を5kPa以上かつ1×107 kPa未満とし
    て前記押圧することを特徴とする非晶質合金の製造方
    法。
  2. 【請求項2】下型と、この下型に向かって押圧されるこ
    とにより下型に接し成型キャビティを形成しうる上型と
    からなる金型、 及び成型キャビティ内に満たされた溶融金属を臨界冷却
    速度以上で冷却する冷却装置を用いることにより非晶質
    合金を製造する非晶質合金製造装置であって、 前記下型は、前記成型キャビティの下部側をなす下成形
    部と、成型金属を溶融する金属溶融部とが下型上面に隣
    接して凹設され、 かつ前記上型は、前記下成形部と合体し前記成形キャビ
    ティを形成する上成形部と、前記金属溶融部で溶融した
    溶融金属を押し下げて前記成型キャビティに送り出す湯
    押し部とを上型下面に有し、 しかもこの上型を押圧する最大の押圧力Fと、前記上型
    と下型とが接する接触部、前記成型キャビティ及び前記
    湯押し部を含む金型全面積Aとの比(F/A)である型
    締め圧力が5kPa以上かつ1×107 kPa未満とす
    ることを特徴とする非晶質合金製造装置。
  3. 【請求項3】前記金型は、銅、銅合金、銀、クロムニッ
    ケル鋼、鋳鉄、ニッケル鋼、ケイ素鋼、炭素鋼、純鉄又
    はFe、Ni又はCoを基材とする耐熱合金から形成さ
    れたことを特徴とする請求項2記載の非晶質合金製造装
    置。
  4. 【請求項4】前記非晶質合金が、Zr系非晶質合金であ
    る請求項2又は3記載の非晶質合金製造装置。
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