JP2000301316A - 非晶質合金成型品の製造装置 - Google Patents

非晶質合金成型品の製造装置

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JP2000301316A
JP2000301316A JP11113181A JP11318199A JP2000301316A JP 2000301316 A JP2000301316 A JP 2000301316A JP 11113181 A JP11113181 A JP 11113181A JP 11318199 A JP11318199 A JP 11318199A JP 2000301316 A JP2000301316 A JP 2000301316A
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JP11113181A
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Masahide Onuki
正秀 大貫
Yoshie Takano
由重 高ノ
Jun Nishibayashi
純 西林
Manabu Tomosada
学 友定
Akihisa Inoue
明久 井上
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が簡単であり、かつ、薄肉でより大きな
面積の成型品を得ることができる非晶質合金成型品の製
造装置を提供することにある。 【解決手段】 金属材料5を溶解可能な溶解手段6と、
上型1と下型2から成る金型3とを備え、溶解手段6が
下型2上の金属材料5をアーク溶解するために上型1と
下型2の間に挿入されるアーク電極棒7を有する。さら
に、上型1・下型2にて下型2上の溶融金属を押圧する
直前にアーク電極棒7が上型1と下型2の間から退避す
るように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非晶質合金成型品
の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、1〜100 K/sの非常に小さな臨
界冷却速度をもった非晶質合金が開発されている。例え
ば、Zr−Al−Co−Ni−Cu系、Zr−Ti−A
l−Ni−Cu系、Zr−Ti−Nb−Al−Ni−C
u系、Zr−Ti−Hf−Al−Co−Ni−Cu系、
Zr−Al−Ni−Cu系などがある。また、これにと
もない、大型(バルク状)の非晶質合金成型品が種々の
方法により製造されつつある。例えば、溶融金属を押圧
して所定形状にする鍛造法、溶融金属を圧延して所定形
状にする圧延法、溶融金属を鋳込んで所定形状にする鋳
造法などである。
【0003】鍛造法では、図15に示すように、例えば水
冷された銅製の下型a上に設けられた溶解部に金属材料
bを設置し、アーク放電で金属材料bを溶解し、その溶
融金属が溶融しているうちに上型cと下型aとで押し広
げると共に臨界冷却速度以上で冷却して、非晶質合金成
型品を形成する。なお、dは棒状のアーク電極、eはア
ーク電源を示す。また、下型移動機構fにて下型aを左
右方向に移動させると共に、上型移動機構gにて上型c
を昇降させるように構成されると共に、冷却水供給装置
hから上型c・下型aに冷却水が供給されるように構成
されている。
【0004】この鍛造法は、溶湯(溶融金属)を金型に
押圧する過程があることから、鋳造法に比べて溶湯と金
型の接触圧が高く、従って接触部での熱伝導が高いため
に極めて高い冷却速度が得られ、過冷却度の高い良好な
大型(バルク状)の非晶質合金成型品が得られる。ま
た、金属材料を溶解する高エネルギー熱源として、レー
ザービームやアーク放電、高周波誘導加熱などがある
が、水冷された銅製の金型上で溶解し易く、安価なアー
ク放電による溶解方法が工業的に有効な手段とされてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、より良
好な大型の非晶質合金成型品を得るために、下記の〜
の解決すべき問題点がある。 溶融金属が凝固しないうちに成型を完了しなければ
ならないことから、溶解工程と押圧工程の間の時間をで
きるだけ短くしなければならない。即ち、水冷された銅
製の金型上で溶解することから、アーク放電を停止すれ
ば直ちに水冷銅金型に熱を奪われ、溶湯温度の低下が始
まってしまい、溶湯の流れが悪くなり大型、特に薄肉で
面積の大きな非晶質合金成型品を得るのが困難となる。 アーク放電により溶解する場合、従来のアーク電極
dは鉛直方向に設置されることから、上型cの下方から
下型aを外した位置で溶解する必要がある。 溶融金属を乗せたまま下型aを上型cの下方位置に
移動させる際、例えばサーボモータiなどを用いて加速
や減速を上手くコントロールするなどして滑らかに、か
つ移動時間を短くしようとしても、移動にともなって溶
湯が暴れてしまい、押圧時に溶湯が所定位置からはみ出
してしまったり、流れる方向が定まらないなどの不都合
があった。 一方で、上型及びアーク電極を移動可能とし、固定
された下型上で溶解と押圧を行うことも考えられなくは
ないが、機構が複雑となってしまい、実用性は低い。 従って、従来の鉛直方向のアーク電極dによる方法
では、溶解後から押圧を開始するまでの時間短縮には限
度があった。即ち、金型の大きさにも依存するが、下型
aの移動に約2秒、上型cの下降開始から押圧完了まで
約1秒が限界であった。下型aの移動を速くしようとし
ても上述したように溶湯が暴れ、また、押圧する速度を
速くしすぎると溶湯が飛び散って所定形状に成型できな
いばかりか、溶湯の湯境が生じるなど、非晶質状態も悪
くなってしまう。
【0006】そこで、本発明は、構造が簡単であり、か
つ、薄肉でより大きな面積の成型品を得ることができる
非晶質合金成型品の製造装置を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明に係る非晶質合金成型品の製造装置は、金
属材料を溶解可能な溶解手段と、上型と下型から成る金
型とを備え、上記下型の上に設置した上記金属材料を上
記溶解手段にて溶解して形成した溶融金属を上記上型と
下型とで押圧して所定形状に変形しかつ臨界冷却速度以
上で冷却して上記所定形状に成型する非晶質合金成型品
の製造装置であって、上記溶解手段が金属材料をアーク
溶解するために上型と下型の間に挿入されるアーク電極
棒を有し、さらに、上型・下型にて溶融金属を押圧する
直前に上記アーク電極棒が上型と下型の間から退避する
ように構成したものである。
【0008】また、アーク電極棒が、水平面に対して−
30°〜+30°の角度で設けられ、該アーク電極棒の先端
電極部が下方へ折曲がった形状であるものである。ま
た、アーク電極棒が、上型と下型の間に横方向から抜き
差し可能とされたものである。また、下型が固定状に設
けられると共に、上型が下型の上方に昇降可能に設けら
れたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態を示す図面に基
づき、本発明を詳説する。
【0010】図1と図2は、非晶質合金成型品を作製す
る本発明の製造装置の実施の一形態を示し、この製造装
置は、上型1と下型2から成るプレス金型3と、下型2
のギャビティ部4に設置された金属材料5を溶解可能な
溶解手段6とを備え、溶解手段6にて溶解して形成した
溶融金属を上型1と下型2とで押圧して所定形状に変形
しかつ臨界冷却速度以上で冷却して所定形状の非晶質合
金成型品を成型するものである。
【0011】具体的に説明すると、上記溶解手段6は、
金属材料5をアーク溶解するために上型1と下型2の間
に挿入されるアーク電極棒7と、アーク電極棒7の先端
の先端電極部7aに電流を供給するアーク電源8と、を
具備している。また、金型3の上型1・下型2及びアー
ク電極棒7は、真空チャンバー9内に収納されかつ冷却
水供給装置10から冷水を循環供給されて冷却される。
【0012】真空チャンバー9は、SUS製水冷ジャケ
ット構造で、真空引きするために真空排気口によって油
拡散真空ポンプ(ディフュージョンポンプ)11及び油回
転真空ポンプ(ロータリポンプ)12が連結され、真空引
き後、不活性ガスによる置換が可能なようにアルゴンガ
ス導入口によってガス供給源(ガスボンベ)13と連結さ
れる。また、冷却水供給装置10は循環戻り冷却水をクー
ラントにより冷却した後に、再び冷却水として上型1・
下型2及びアーク電極棒7に供給する。
【0013】しかして、金型3の下型2は真空チャンバ
ー9内に固定状に設けられると共に、上型1は下型2の
上方に設けられ上型移動機構14にて昇降可能とされてい
る。この上型移動機構14としては、移動開始時や停止時
の動作の応答性や高速と低速の切替え時の応答性が良
く、速度制御が容易な油圧シリンダが望ましい。
【0014】また、アーク電極棒7は、水冷冷却される
本体部7bと、本体部7bの先端から下方へ折曲形成さ
れた上記先端電極部7aとを有し、本体部7bが水平面
Pに対して所定の角度θで設けられている。具体的にこ
の角度θは、水平面Pに対して−30°(下向き)〜+30
°(上向き)の範囲に設定されており、本実施の形態で
は、アーク電極棒7が水平状───水平面Pに対して0
°の角度θ───に設けられた場合を例示している。な
お、水平面Pに対するアーク電極棒7(本体部7b)の
取付角度θが−30°〜+30°の範囲を越えると、開放状
態の上型1・下型2間の間隙寸法が大きくなり過ぎ、プ
レス成型時の上型1の下降時間が長くなってしまう。
【0015】また、アーク電極棒7は、アーク電極棒移
動機構15にて上型1と下型2の間に横方向から抜き差し
可能とされている。この場合、アーク電極棒移動機構15
としては、油圧シリンダやエアシリンダ等が用いられ
る。また、アーク電極棒移動機構15を省略して手動にて
アーク電極棒7を抜き差し移動させるよう構成するもよ
い。なお、アーク電極棒7を首振りさせて上型1と下型
2の間に進退移動させることも考えられるが、一般的に
プレス製造装置の場合、上型・下型間にガイド棒が存在
するため、首振りさせるとアーク電極棒がガイド棒に干
渉してしまう不都合がある。
【0016】ここで本発明に於て、上記横方向とは、水
平方向に限らず、水平面Pに対して−30°〜+30°の角
度θの斜め方向も包含すると定義する。つまり、図2に
示すように、例えば、アーク電極棒7(本体部7b)が
水平状に設けられている場合、アーク電極棒7は矢印A
の如く水平方向に往復動する。また、(仮想線で示す如
く)アーク電極棒7が傾斜状に設けられている場合、ア
ーク電極棒7は矢印B又は矢印Cの如く斜め方向(軸方
向)に往復動する。あるいは、アーク電極棒7が傾斜状
に設けられている場合であっても、傾斜状態のまま水平
方向に移動してもよい。
【0017】ところで、金属材料溶解のためのアーク電
極棒7によるアーク放電が停止すると直ちに溶湯温度は
低下しだすことから、放電停止からできるだけ早く押圧
工程が開始されるために、放電停止後速やかにアーク電
極棒7の先端電極部7aを上型1と下型2の間から後退
させることが望ましい。そのため、本発明の非晶質合金
成型品の製造装置は、放電停止のタイミングに合わせて
自動的にアーク電極棒7が後退開始(引き抜き開始)す
るように構成されている。この場合、後退開始は必ずし
もアーク放電停止後である必要はない。例えば、後退開
始後、アーク放電の一方の電極である下型2をアーク電
極棒7の先端電極部7aが外れるまでに放電が停止する
ようにしてもよいし、あるいは、先端電極部7aが下型
2から外れることで強制的に放電が持続できずに停止す
るようにしてもよい。なお、手動にてアーク電極棒7を
後退させる場合は、例えば、作業者がアーク電極棒7を
引き抜くタイミングを計るためのブザーが所定回数鳴
り、最終のブザーと同時にアーク放電が停止しかつ電極
棒7を引き抜くようにしてもよい。
【0018】また、上述したように、アーク放電停止後
は速やかに押圧工程を開始する必要があることから、本
発明の製造装置は、アーク電極棒7の先端電極部7aが
上型1・下型2の間から外れると、直ちに上型1が下降
動作を開始するように構成されている。つまり、アーク
電極棒7の先端電極部7aが横方向に移動して上型1と
下型2の間隙から外れたことを例えばリミットスイッチ
にて検知すると、その検知信号にて上型移動機構14が起
動して上型1が下降動作を開始するように構成されてい
る。このとき、アーク電極棒7の先端電極部7aが上型
1と下型2の間から完全に外れないうちに上型1の自動
下降動作が開始してもよく、又は、引き抜き後に作業者
が上型下降開始スイッチを直ちにONできる構成であっ
てもよく、要は上型1とアーク電極棒7とが相互に干渉
しなければどのような動作手順であってもよい。
【0019】また、図2と図4と図5に示すように、金
型3は嵌合部を有さない形状である。即ち、上型1はそ
の下面16全面が連続した平面に形成されると共に、下型
2のパーティング面17が平面状に形成されかつ平面状の
(底面を有する)キャビティ部4を有している。さら
に、キャビティ部4の一部には、溶融金属18が上型1・
下型2の間で押圧される前に流れて(広がって)しまう
ことを防止するための流止め凹部19が設けられている。
なお、下型2のパーティング面17に沿った部位には、図
5に示す型閉め状態にて隙間を形成するための隙間形成
部20が設けられており、成型時の余分な溶融金属をこの
隙間形成部20に逃がすようにしている。
【0020】次に、非晶質合金成型品の製造工程及びこ
の製造装置の動作等について説明する。図1と図2に示
すように、先ず、下型2のキャビティ部4の流止め凹部
19に金属材料5を設置する。この金属材料5としては、
Ln−Al−TM、Mg−Ln−TM、Zr−Al−T
M等の三元系合金、Zr−Al−Ni−Cu、Zr−T
i−Al−Ni−Cu、Zr−Nb−Al−Ni−Cu
等のZr系合金を始めとして4元系以上の多元系合金を
含めほとんどあらゆる元素の組み合わせから成る合金に
ついて適用でき、高エネルギー熱源(図例ではアーク電
源8等)による急激な溶融がより容易なように、合金を
粉末状やペレット状にして用いるのが好ましいが、急激
な溶融が可能であれば線状や帯状や棒状や塊状などの形
状の金属材料を用いてもよい。なお、アーク電極棒7
は、金属材料5の設置時には邪魔にならない位置に後退
している。
【0021】その後、油拡散真空ポンプ11及び油回転真
空ポンプ12を用い、チャンバー9内を高真空、例えば5
×10-4Pa(液体窒素トラップ使用)にした後、ガス供
給源13からArガスを供給してチャンバー9内をArガ
スにて置換する。また、上型1・下型2及びアーク電極
棒7を冷却水供給装置10から供給される冷却水によって
冷却する。また、アーク電極棒7を上型1と下型2の間
に横方向から移動させて先端電極部7aの先端を金属材
料5の真上位置に停止させる。
【0022】以上の準備が終了した後、アーク電源8を
ONにして、図3(イ)と図4に示す如く、先端電極部
7aから金属材料5との間にプラズマアーク21を発生さ
せ、金属材料5を完全に溶解して溶融金属18を形成させ
る。このとき、アーク電源8の電流値はシーケンサにて
制御されており、所定の電流値制御にて所定時間アーク
溶解することで金属材料5を完全に溶解する。
【0023】溶融金属18が形成された後、シーケンサの
制御により自動的にアーク電流値が0となり、アーク放
電が停止する。アーク放電停止後、図3(ロ)に示す如
く、直ちにアーク電極棒7が(矢印A方向に)移動して
先端電極部7aが上型1と下型2の間から退避(後退)
し、図3(ハ)と図5に示すように、上型1が(矢印D
方向に)下降してプレス成型が行われる。このとき、
(上述したように)アーク電極棒7が後退してリミット
スイッチがONすることにより検知信号がシーケンサに
入力され、それによって上型移動機構14が起動して上型
1の下降動作が開始する。
【0024】ところで、上型移動機構14(油圧シリン
ダ)は、高速モードと低速モードに切換え制御されてお
り、上型1が溶融金属18の近傍位置まで下降する際は高
速モードで動作し、次に低速モードに切換わって動作す
ることにより上型1を低速で下降させ下型2と共働きさ
せて溶融金属18をプレス成型する。具体的には、上型位
置を検知する近接センサを、上型1が溶融金属18に接触
する位置よりも上方の所定位置に設置し、近接センサが
ONすることにより上型移動機構14が低速モードに切換
わるように構成している。これによって、型閉め動作開
始から押圧完了までの時間が短縮すると共に、溶湯は飛
び散ることなく滑らかに湯流れすることとなり、良好な
充填が達成される。
【0025】しかして、プレス成型時においては、得ら
れた融点以上の溶融金属18を上型1・下型2にて押圧し
てキャビティ部4に流し込んで所定形状に変形し、か
つ、変形と同時もしくは変形後に、冷却されている金型
3にて溶融金属18を臨界冷却速度以上で冷却し、それに
よって溶融金属18が急速に固化して所定形状の非晶質合
金成型品(金属ガラス製成型品)22が成型される。
【0026】このとき、余分な溶融金属は、下型2に設
けられた(上述の)隙間形成部20に流れ込み、そして冷
却固化して成型品22のバリ部23となる。つまり、プレス
金型3は嵌合部を有さず、かつ、余分な溶融金属を吸収
するための隙間形成部20が設けられたことにより、金型
3による加圧中に溶融金属の流れが止められることがな
くなり、それによって型閉めが妨げられることがなくな
って、所定厚みの成型品22を確実に得ることができる。
また、バリ部23によって金型3が傷付けられることがな
く、金型3の長期間の使用が可能となる。
【0027】このように、本発明の非晶質合金成型品の
製造装置にて作製された薄板状の成型品22は、融点以上
の溶融金属を一気に所定形状に変形させ、かつ冷却した
ものであるため、均一に冷却凝固され、不均一凝固や不
均一核生成による結晶相が混在せず、しかも湯境などの
欠陥のない高強度、高靱性などの強度特性に優れた非晶
質合金成型品(アモルフアス合金材)であるといえる。
即ち、金属材料を溶解後、得られた融点以上の溶融金属
を、溶融金属の融点以下の冷却海面どうしを連ね合わせ
ることなく押圧して成型できる。
【0028】次に、図6は、本発明の非晶質合金成型品
の製造装置の他の実施の形態を示している。即ち、この
製造装置の場合、金型3の形状が上記説明のものと異な
っている。具体的に説明すると、図7と図8は上型1の
断面正面図と底面図を示し、上型1は矩形平板状に形成
されており、その下面16全面は平面状であると共に、下
面16の外周端縁(仮想線32の外側域)がパーティング面
24とされている。
【0029】また、図9と図10は下型2の断面正面図と
平面図を示し、下型2は、その上面の一端側に設けられ
た金属材料溶解部25(おにぎり型の浅い凹部)と、この
溶解部25よりも他端側に設けられたキャビティ部4(仮
想線で囲む範囲)とを有すると共に、上面の外周端縁が
上型1の上記パーティング面24に対応するパーティング
面17とされている。なお、金属材料溶解部25の近傍部分
はキャビティ部4と連続平面状とされている。また、キ
ャビティ部4の他端側のパーティング面17に沿って段付
状の隙間形成部20が設けられると共に、下型2の金属材
料溶解部25からキャビティ部4にかけては、溶解部25か
らの溶融金属がキャビティ部4へ流れ込み易いように広
がった形状とされている。
【0030】ところで、図6と図11に示すように、26は
上型移動機構14の昇降ロッドであり、この昇降ロッド26
の下端には上型1を保持するための取付部材27が水平状
に取付けられている。そして、取付部材27の下面側に上
型1が傾斜状に取付けられている。具体的には、上型1
の一端側と取付部材27の一端側とが弾発部材28(例えば
コイルスプリング)にて連結されると共に、上型1の他
端側と取付部材27の他端側とは揺動片29,29(図例では
一方のみを示す)及び支軸30,30を介して連結されてお
り、上型1の一端側が弾発部材28にて下方へ弾発付勢さ
れることによって比較的小さな傾斜角度αで傾斜状とさ
れている。なお、下型2は水平状に固定されている。
【0031】次に、この製造装置による非晶質合金成型
品の製造工程を説明すると、図6と図11に示すように、
先ず、下型2の金属材料溶解部25に金属材料5を設置し
た準備完了後、アーク電極棒7の先端電極部7aと金属
材料5との間にプラズマアーク21を発生させ、金属材料
5を完全に溶解して溶融金属18を形成する。このとき、
溶融金属18は金属材料溶解部25にて流止めされる。
【0032】その後、(図3等で説明した如く)アーク
放電を停止すると共に、アーク電極棒7の先端電極部7
aを上型1と下型2の間から後退させかつ速やかに上型
移動機構14にて上型1の下降動作を開始させる。上型1
は高速下降後、図12に示す如く、低速下降しつつ傾斜状
態で溶融金属18に接触し、その後傾斜状から水平状とな
って溶融金属18を押圧し、これによって溶融金属18が金
属材料溶解部25からキャビティ部4へ流れ込む。このと
き、上型1が型閉めされる───即ち、金型3による溶
融金属18への押圧力が増大する───と、溶融金属18が
キャビティ部4全体に充満し、かつ、溶融金属18と金型
3との接触面積が急激に増大して高い冷却速度が得ら
れ、図13に示すような薄肉で大きな面積の板状(所定形
状)の非晶質合金成型品22が形成される。なお、得られ
た成型品22のうちキャビティ部4に対応する部分以外の
不必要な部分は切削・研磨等の加工にて除去される。
【0033】なお、本発明は上述の実施の形態に限定さ
れず、例えば、本実施の形態では下型2のキャビティ部
4の底面は平面状の場合を例示したが、凹曲面状又は凸
曲面状等とするも自由である。
【0034】
【実施例】次に、図6〜図12で説明した本発明の非晶質
合金成型品の製造装置を実施例として成型品を作製し、
このときのアーク放電停止から押圧完了までの時間、湯
流れ状況及び成型品の非晶質度を測定し、その結果を図
13及び表1に示した。また、比較例として、図15で説明
した下型移動式の製造装置に図6〜図12で説明した金型
及び上型取付機構を使用し、この装置にて成型品を作製
してその結果を図14及び表1に示した。なお、実施例及
び比較例とも下記の〜の条件とされている。 下型2のキャビティ部4の大きさは縦寸法Xが80m
m、横寸法Yが50mmとした。 金型材料には無酸素銅を使用した。 金属材料5にはZr55Al10Ni5 Cu30なる合金
を用いた。 非晶質度は、X線回析及び光学顕微鏡による組織観
察により測定した。
【0035】
【表1】
【0036】図13及び表1から次のことが分かる。即
ち、実施例では、アーク放電停止から押圧完了までの時
間が2.0 秒であり、(比較例と比べて)押圧工程時間が
短縮化されている。また、成型品22はキャビティ部4全
体に形成されていることから、湯流れが極めて良好であ
り、非晶質度も良好である。これに対して比較例では、
アーク放電停止から押圧完了までの時間が3.1 秒であ
り、実施例よりも押圧工程時間が1.1 秒長い。また、成
型品31は非晶質度が良好であるものの、キャビティ部4
に隙間(非充填部分)を残した状態で形成されているこ
とから、湯流れが不十分である。即ち、押圧工程時間が
長いため、アーク放電停止後に溶湯温度が低下して湯流
れが悪くなったことが分かる。このように、実施例によ
れば、湯流れが改善され、広面積でかつ非晶質度の良好
な非晶質合金成型品が得られることが分かる。
【0037】
【発明の効果】本発明は上述の如く構成されるので、次
に記載する効果を奏する。
【0038】(請求項1によれば)溶融金属18の形成後
のアーク放電停止から上型1・下型2による押圧完了ま
での時間が短縮できる。即ち、溶融金属18の形成後、
(従来に比べて)より高い溶湯温度の溶融金属18をプレ
ス成型することができるため、湯流れが改善され、薄肉
でより広面積の非晶質合金成型品22を作製することがで
きる。
【0039】(請求項2によれば)開放状態の上型1・
下型2間の間隙寸法を小さく設定することができるた
め、上型1の下降開始から型閉め完了までの押圧工程時
間を短縮できる。
【0040】(請求項3によれば)上型・下型間にガイ
ド棒が設けられたプレス製造装置であっても、ガイド棒
に干渉せずにアーク電極棒7を上型と下型の間に進退往
復動させることができる。即ち、上型が下型の上方から
下降してプレス成型する一般的なプレス製造装置に対応
することができ、装置構造が簡素化できる。
【0041】(請求項4によれば)溶融金属18の形成
後、下型2上の溶融金属18を(揺らさず)静止させた状
態で上型1・下型2にて押圧することができるため、よ
り良好な湯流れとなって非晶質度の良好な非晶質合金成
型品22を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す簡略構成説明図で
ある。
【図2】金属材料の設置状態を示す要部断面正面図であ
る。
【図3】成型工程を示す説明図である。
【図4】溶融金属の形成状態を示す要部断面正面図であ
る。
【図5】成型状態を示す要部断面正面図である。
【図6】本発明の他の実施の形態を示す簡略構成説明図
である。
【図7】上型を示す要部断面正面図である。
【図8】上型を示す要部底面図である。
【図9】下型を示す要部断面正面図である。
【図10】下型を示す要部平面図である。
【図11】溶融金属の形成状態を示す要部断面正面図であ
る。
【図12】上型・下型による溶融金属の押圧状態を示す要
部断面正面図である。
【図13】金型にて成型された成型品を示す平面図であ
る。
【図14】金型にて成型された別の成型品を示す平面図で
ある。
【図15】従来例を示す簡略構成説明図である。
【符号の説明】
1 上型 2 下型 3 金型 5 金属材料 6 溶解手段 7 アーク電極棒 7a 先端電極部 18 溶融金属 P 水平面 θ 角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西林 純 兵庫県神戸市東灘区森北町6−7−26 (72)発明者 友定 学 兵庫県神戸市須磨区若草町1丁目1−11 グリーンコート若草302 (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内元支倉35番地 川 内住宅11−806

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属材料5を溶解可能な溶解手段6と、
    上型1と下型2から成る金型3とを備え、上記下型2の
    上に設置した上記金属材料5を上記溶解手段6にて溶解
    して形成した溶融金属18を上記上型1と下型2とで押圧
    して所定形状に変形しかつ臨界冷却速度以上で冷却して
    上記所定形状に成型する非晶質合金成型品の製造装置で
    あって、上記溶解手段6が金属材料5をアーク溶解する
    ために上型1と下型2の間に挿入されるアーク電極棒7
    を有し、さらに、上型1・下型2にて溶融金属18を押圧
    する直前に上記アーク電極棒7が上型1と下型2の間か
    ら退避するように構成したことを特徴とする非晶質合金
    成型品の製造装置。
  2. 【請求項2】 アーク電極棒7が、水平面Pに対して−
    30°〜+30°の角度θで設けられ、該アーク電極棒7の
    先端電極部7aが下方へ折曲がった形状である請求項1
    記載の非晶質合金成型品の製造装置。
  3. 【請求項3】 アーク電極棒7が、上型1と下型2の間
    に横方向から抜き差し可能とされた請求項1又は2記載
    の非晶質合金成型品の製造装置。
  4. 【請求項4】 下型2が固定状に設けられると共に、上
    型1が下型2の上方に昇降可能に設けられた請求項1、
    2又は3記載の非晶質合金成型品の製造装置。
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