JP3488520B2 - 帯溶融式金属ガラスの製造方法 - Google Patents

帯溶融式金属ガラスの製造方法

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JP3488520B2
JP3488520B2 JP27590194A JP27590194A JP3488520B2 JP 3488520 B2 JP3488520 B2 JP 3488520B2 JP 27590194 A JP27590194 A JP 27590194A JP 27590194 A JP27590194 A JP 27590194A JP 3488520 B2 JP3488520 B2 JP 3488520B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、帯溶融法を用い、主に
金属材料の急冷要素となる固/液界面移動速度と、温度
勾配を熱源の移動速度を速めることによって増大させ、
バルク状金属ガラス(バルク状アモルファス金属)を連
続的に製造する帯溶融式金属ガラスの製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、アモルファス材を製造するた
めに金属や合金を溶融し、液体状態から急冷凝固させて
急冷金属(合金)粉末を得、得られた急冷金属粉末を結
晶化温度以下で所定形状に固化して真密度化する方法や
溶融金属や合金を急冷凝固させて直接所定形状のアモル
ファス材を得る方法などが種々提案されている。しかし
ながら、これら従来の方法によって得られるアモルファ
ス材は、小さい質量のものがほとんどで、これらの方法
ではバルク材を得ることは困難である。一方、急冷粉の
固化によってバルク状アモルファス材を得る方法も試み
られているが、満足のいくバルク材が未だ得られていな
い。
【0003】例えば、小さい質量で生成されるアモルフ
ァス材には、メルトスピニング法、単ロール法、プラナ
ーフロー鋳造法などによる薄い帯状(リボン状)、例え
ば最大板幅約200mm、最大板厚30μm程度のアモ
ルファス材などが得られており、これらのアモルファス
材のトランスのコア材等への応用が試みられているが、
未だ多くのものが材料化には至っていない。急冷粉から
小さい質量のアモルファス材を固化成形する技術とし
て、CIP、HIP、ホットプレス、熱間押出し、放電
プラズマ焼結法など種々の方法がとられているが、微細
な形状のため流動特性が悪く、ガラス遷移温度以上に昇
温できない温度特性の問題があり、成形もまた多工程を
要する上に、固化成形後もバルク材としての特性が充分
得られない等の欠点を有し、必ずしも満足する方法とは
いえない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、本発明者ら
も、最近、Ln−Al−TM、Mg−Ln−TM、Zr
−Al−TM、Hf−Al−TMおよびTi−Zr−T
M(ここで、Ln=ランタノイド金属、TM=VI−VIII
族遷移金属)等の三元系における多くのアモルファス金
属を、102 K/sのオーダーのガラス形成のための低
臨界冷却速度を持ち、金型鋳造法または高圧ダイキャス
ト法によって厚さ約9mmまでのバルク形状に製造でき
ることを報告している。
【0005】上述したように、バルク状、例えば5mm
以上の厚さのバルク状アモルファス合金は、種々の固化
法によって製造することができることが示されている。
しかしながら、これらのすべての方法は、バッチ型処理
であって、連続的に長いバルク状アモルファス合金を製
造することはできない。バルク状アモルファス合金の連
続的製造に至る新しい固化技術の開発と同様にさらに低
い臨界冷却速度を持つアモルファス合金の開発が、アモ
ルファス金属材料に対する形状の上限を撤廃するために
強く要望されている。
【0006】本発明の目的は、帯溶融法を用い、アモル
ファス材としての特性に優れたバルク状アモルファス材
を容易に連続的に製造することのできる帯溶融式金属ガ
ラスの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、先に提案
した三元合金によるバルク状アモルファス合金に関する
さらなる研究において、三元系合金の大きいガラス形成
能は、互いに10%より大きく原子サイズが異なる構成
元素の最適な原子サイズ比に主として依存することか
ら、多成分系合金における異なる原子サイズ比を持つ構
成元素の増加の効果に注目し、Zr−Al−Co−Ni
−Cu系およびZr−Ti−Hf−Al−Co−Ni−
Cu系において1〜100K/sの範囲のはるかに低い
臨界冷却速度を持つアモルファス合金を見い出し、直径
16mm以下、長さ150mmのバルク状アモルファス
合金をZr−Al−Ni−Cu系において、水晶管内の
溶融物を水中に入れて急冷することにより製造できるこ
とを知見した。
【0008】また、本発明者らは、得られたバルク状ア
モルファス合金が、引張応力−伸び曲線に鋸歯状のプラ
スチックフローを伴う圧縮強さおよび破壊(割れ)とほ
ぼ同様である1500MPaの高い引張強さを示し、こ
の高引張強さおよび鋸歯状プラスチックフロー現象は、
バルク状アモルファス合金が鋳造によって製造された大
きな厚さをもつにもかかわらず良い展延性を持つことを
示すことを知見した。
【0009】さらに、本発明者らは、上述したバッチ処
理によるバルク状アモルファス金属の製造における知見
に基づいて、連続したバルク状金属ガラスを製造する方
法を開発するために鋭意研究を重ねた結果、固/液界面
の移動速度と、それに伴う温度勾配をバランスを取りな
がら大きくとれば、急冷効果が増すという見地から、雰
囲気中にて水冷銅鋳型上の棒状あるいは粉末状などの金
属材料端末よりアーク溶解を開始し、その移動速度を増
すことによってその目的を達成できることを知見し、本
発明を完成するに至ったものである。
【0010】すなわち、本発明は、水冷鋳型上に金属材
料を充填し、不活性ガス雰囲気において、この金属材料
を急激に溶融可能な高エネルギ熱源を前記金属料の一
方の端末から他方の端末に向かって、水冷されている前
記水冷鋳型内の前記金属材料を溶融させながら相対的に
移動し、金属材料の溶融部を移動させ、この溶融部に大
きな温度勾配と固/液界面移動速度を生じさせて、大き
な急冷速度を得、溶融金属を急速に固化し、実質的に金
属ガラスから成るバルク状金属ガラスを連続的に製造す
ることを特徴とする帯溶融式金属ガラスの製造方法を提
供するものである。
【0011】前記不活性ガス雰囲気の圧力は、少なくと
も大気圧以上であるのが好ましい。前記溶融部の移動速
度が、少なくとも1mm/s以上であるのが好ましく、
より好ましくは10mm/s以上がよい。また、本発明
は、水冷鋳型上に金属材料を充填し、この金属材料を急
激に溶融可能な高エネルギ熱源を前記金属材料の一方の
端末から他方の端末に向かって、水冷されている前記水
冷鋳型内の前記金属材料を溶融させながら相対的に移動
し、金属材料の溶融部を少なくとも1mm/s以上で移
動させ、この溶融部に大きな温度勾配と固/液界面移動
速度を生じさせて、大きな急冷速度を得、溶融金属を急
速に固化し、実質的に金属ガラスから成るバルク状金属
ガラスを連続的に製造することを特徴とする帯溶融式金
属ガラスの製造方法を提供するものである。
【0012】
【発明の作用】本発明の帯溶融式金属ガラスの製造方法
では、まず水冷鋳型、例えば凹状水冷銅鋳型に金属材
料、好ましくはアモルファス形成能の高い金属粉末およ
びペレットの混合物等を充填し、好ましくは、チャンバ
ー内部を真空引後、不活性ガスにて置換し、鋳型のハー
ス部を強制冷却しながら高エネルギ熱源、例えばアーク
熱源にて一方の端末より他方の端末に向かって溶融を開
始する。ここで、好ましくは金属材料の溶融部の移動速
度が1mm/s以上、より好ましくは10mm/s以上
となるように、水冷銅鋳型および高エネルギ熱源のいず
れか少なくとも一方を移動させ、金属材料の溶融部と金
属ガラス固化部との間に大きな温度勾配を生じさせると
ともに大きな固/液界面移動速度を生じさせることによ
り、大きな急冷速度を得て、溶融金属材料を急速に固化
し、バルク状金属ガラスを連続的に製造することができ
る。
【0013】この時、好ましくは、溶融部ハース面には
断熱機構を設け溶融部移動と同期させることにより、溶
融部だけを断熱できる構造として冷却面との温度勾配を
大きくすることが促進され、また溶融部以外の試料面に
水冷銅板等をシールドとして用い、溶融部移動と同期さ
せることも熱源による輻射熱のシールド機構として温度
勾配の増大となり、これらの結果として急冷効果を高め
ることができ、安定したバルク状金属ガラスを連続的に
製造することができる。
【0014】本発明方法は、いわゆる溶融部と冷却部
(固化部)の温度勾配が大きく、固/液界面移動速度を
増大できれば、上述した3元系合金、4元系以上の合金
を始めとして後述するZr−Al−Ni−Cu−Pdな
どの多元系合金を含むほとんどあらゆる元素の組み合わ
せからなる合金についてアモルファス相の生成が可能で
ある。これらの合金を本発明において金属材料として用
いる場合には、高エネルギー熱源による急激な溶解がよ
り容易なように、粉末状あるいはペレット状にして用い
るのが好ましいが、本発明はこれに限定されず、急激な
溶融が可能であれば、どのような形状の金属材料を用い
てもよい。例えば、粉末状、ペレット状の他、線状、板
状、帯状、棒状、塊状など、水冷鋳型と高エネルギ熱源
に応じて適当な形状を適宜選択すればよい。
【0015】本発明に用いられる高エネルギ熱源として
は、水冷鋳型に充填された金属材料を溶融可能であれ
ば、特に制限はなく、どのような熱源を用いてもよい
が、例えば、代表的にアーク熱源、プラズマ熱源、電子
ビーム、レーザなどを挙げることができる。これらの熱
源は、水冷鋳型に対し、1個であっても、複数個を重畳
して用いてもよい。
【0016】水冷鋳型上の金属材料の溶融部の移動は、
所定の、好ましくは1mm/s以上、より好ましくは1
0mm/s以上の移動速度が得られれば、特に制限はな
く、水冷鋳型を移動してもよいし、高エネルギ熱源を移
動してもよいし、両者を同時に移動してもよい。ここ
で、本発明においては、溶融部の移動は、水冷鋳型上の
金属材料の一方の端末から他方の端末に向かって行い、
所定のバルク状金属ガラスを連続的に製造するが、溶融
部の移動開始と停止は、所望のバルク形状に応じて定め
ればよい。なお、溶融部の移動に際しては、振動が生じ
ると、遊離核(結晶)が形成されやすいので、振動を極
力押えながら水冷鋳型もしくは熱源を急速に移動させる
のがよい。本発明において急速な移動とは、アーク熱源
が金属材料を連続的に溶解できる速度範囲をいう。
【0017】
【実施例】本発明に係る帯溶融式金属ガラスの製造方法
を添付の図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明す
る。図1は、本発明の帯溶融式金属ガラス製造装置の構
成を模式的に示すフローシートである。同図に示すよう
に、本発明の帯溶融式金属ガラス製造装置10は、棒状
または粉末状およびペレット状金属材料を充填する所定
形状の凹部を持つ水冷銅製鋳型(ハース)12と、水冷
銅製ハース12上の金属材料をアーク溶解するための水
冷電極(タングステン電極)14,14と、水冷ハース
12および水冷電極14,14を収納する真空チャンバ
ー16と、水冷ハース12および水冷電極14,14に
冷水を循環供給する冷却水循環供給装置18とを有す
る。
【0018】水冷ハース12は、金属材料の溶融部を移
動させるためにDCサーボモータ20によって移動可能
に構成される。水冷電極14は、アーク電源22に接続
される。また、水冷電極14は、水冷ハース12の移動
方向に対し垂直方向に配置され、ステッピングモータ2
4によってX,YおよびZ軸方向に調整可能に構成され
る。さらに、水冷ハース12上の金属材料と水冷電極1
4との間の間隔(Z方向)を一定に保つために金属材料
の位置を半導体レーザセンサー26によって測定し、モ
ータ24によって水冷電極14の移動が自動コントロー
ルされる。これはアーク電極14と金属材料との間の間
隙が一定でないと、溶融温度にばらつきが生じるからで
ある。また、水冷電極14のアーク発生部近傍に冷却用
ガス(例えばArガス)噴出口を設け、ガス供給源(ガ
スボンベ)28から冷却用ガスを噴出させ、加熱後の急
速冷却を促進している。
【0019】チャンバー16は、SUS製水冷ジャケッ
ト構造で、真空引するために真空排気口によって油拡散
真空ポンプ(ディフュージョンポンプ)30および油回
転真空ポンプ(ロータリポンプ)32が連結され、真空
引後、不活性ガスによる置換が可能なようにアルゴンガ
ス導入口によってガス供給源(ガスボンベ)34と連通
される。また、冷却水供給装置18は循環戻り冷却水を
クーラントにより冷却した後に、再び冷却水として水冷
ハース12および水冷電極14に供給し、気泡等が生じ
ないように閉鎖系で、冷却水は加圧密閉する。
【0020】次に、本発明の帯溶融式金属ガラス製造方
法を図1および図2を用いて説明する。図2(a)は、
アーク溶解を用いる帯溶融式金属ガラス製造装置におけ
る大型バルク状アモルファス合金塊の製造プロセスを示
す装置正面の模式的構造図であり、図2(b)は、その
装置側面の模式的構造図である。
【0021】図2(a)の右側部分に示されているよう
に、まず、水冷銅製ハース12の窪み13(凹状鋳型面
13:図2(b)参照)に金属材料(棒状体、粉末、ペ
レット、結晶体)36を充填する。充填された金属材料
の一方の端末に両水冷電極14,14が配置されるよう
に水冷ハース12をモータ20によって移動し、セット
する。一方、両水冷電極14,14は、共にセンサ26
およびモータ24によってアダプタ15を介して、X,
Y,Z軸方向の位置調整がなされ、金属材料36との間
の間隔(Z方向)が所定値にセットされる。
【0022】この時、ディフュージョンポンプ30およ
びロータリポンプ32を用い、チャンバー16内を高真
空、例えば5×10-4Pa(液体窒素トラップ使用)に
した後、Arガス供給源34からArガスを供給してチ
ャンバー16内をArガスにて置換し、チャンバー16
内の圧力を大気圧以上とするのがよい。また、水冷ハー
ス12および両水冷電極14,14は、冷却水供給装置
18から供給される冷却水によって冷却されている。
【0023】以上の準備が終了した後、図2(a)に示
すように、アーク電源22をオンして水冷電極14の先
端から金属材料36との間にプラズマアーク37を発生
させ、金属材料36を溶解して溶融合金(溶融部)38
を形成させると同時に、DCサーボモータ20の駆動を
開始して金属材料36の一方の端部から他方の端部に向
かって、図2(a)では矢印a方向に水冷ハース12を
所定速度、好ましくは1mm/s以上、より好ましくは
10mm/sで移動し、溶融部38を矢印aと逆方向に
同速度で移動させる。こうして、図2(a)に示すよう
に、溶融部38の左側において、大きな温度勾配を持つ
固/液界面が形成されるとともに、溶融部38が所定速
度で移動させられるため大きな固/液界面移動速度を生
じさせ、その結果大きな急冷速度を得ることができ、溶
融部38を固/液界面に沿って連続的に固化することに
より、図2(b)に示す鋳型面13に合致する断面形状
を有するバルク状アモルファス合金(固化部)39が連
続的に製造される。
【0024】この時、ガスボンベ28から供給された冷
却用Arガスを両水冷電極14のアーク37の発生部の
近傍の噴出口(図示せず)から噴出させて固/液界面近
傍の溶融部38を冷却することにより、加熱溶融後の急
速冷却を促進することができる。また、金属材料36の
溶融を十分もしくは完全に行わせるため、溶融部38の
移動に同期して溶融部38のみを水冷ハース12から断
熱する構造にすることにより、より大きな温度勾配、大
きな急冷速度を得るようにしてもよい。例えば、溶融部
38の移動に同期して断熱材を移動することにより、溶
融部38の下部の水冷ハース12に接しているため凝固
している部分も溶融できるようにするのが好ましい。さ
らに、溶融部38の固/液界面および固化部39の冷却
作用を効果的に行わせるため、熱源となるプラズマアー
ク37からの輻射熱のシールド機構を備えることによ
り、さらに大きな温度勾配、大きな急冷速度を得ること
もできる。
【0025】(実施例)本発明に係る帯溶融式金属ガラ
スの製造方法を実施例に基づいて以下に具体的に説明す
る。図3に示す構成の帯溶融式金属ガラス製造装置を用
いて、厚さ10mm、幅12mm、長さ270mmの直
方体状のバルク状アモルファスZr60Al10Ni10Cu
15Pd5 合金を製造した。ここで、バルク状アモルファ
ス合金製造のための金属材料としてZr60Al10Ni10
Cu15Pd5 合金が選ばれた理由は、多成分系合金は結
晶相の不均一核生成に高い耐性を持つとともに大きなガ
ラス形成能を併わせ持つからである。
【0026】まず、重さ約20gの数個の合金塊を純粋
なアルゴン雰囲気中で純粋な金属の混合物をアーク溶解
して製造した。予め合金化された合金塊の形状は直方体
であった。ここで組成は原子比(百分率)で表わされて
いる。次いで、熱源としてアーク電極を用いる帯溶融式
金属ガラス製造装置によって純粋なアルゴン雰囲気中で
5本の予合金塊が製造された。
【0027】図3は、図1に示す帯溶融式金属ガラス製
造装置10の具体的構成を示すもので、図3中矢印a方
向に移動可能な水冷銅製ハース12およびX,Yおよび
Z軸方向に調節可能な2本の水冷電極14(1本のみ図
示)からなるハース炉と、ハース炉を収納する真空チャ
ンバー16と、図示されていない冷却水供給装置(1
8:図1参照)とを有する。真空チャンバー16には、
真空排気装置40が連結部41を介して取り付けられ、
真空排気装置40内には、図示されていないが、ディフ
ュージョンポンプ(30)やロータリーポンプ(32)
(図1参照)などが配設されている。また真空チャンバ
ー16には照明42と覗窓44とが取り付けられ、高輻
射熱を避けるために覗窓44には保護フィルタが設置さ
れ、覗窓44は水冷ジャケットとされる。
【0028】水冷銅製ハース12は、半円形断面形状の
鋳型面13を有し、有効範囲10×500lの合金塊が
製造可能な略直方体をなし、その前後において支持台4
6,46に載置固定され、支持台46,46はチャンバ
ー16の両側端で支持されるリニアガイド48に沿って
移動可能に構成される。一方の支持台46は、移動ナッ
ト50に固定され、移動ナット50は、チャンバー16
の両側端で回転可能に支持される駆動ボールねじ52に
螺合される。駆動ボールねじ52の回転軸は、チャンバ
ー16の一方の側端から磁気シールド54を介してチャ
ンバー16の外部に取り出され、カップリング56を介
してDCサーボモータ20に連結される。水冷銅製ハー
ス12は、このような駆動系構成により、1〜500m
m/sの範囲の移動速度に精密に速度制御される。また
水冷ハース12は、最適熱交換可能な様に配置された水
冷流路58を有し、水冷流路58には図示しない冷却水
供給装置(18:図1参照)から冷却水が供給される。
【0029】水冷電極14は、シース60に収納され、
その先端部においてアダプタ15に取り付けられ、シー
ル62を介して真空チャンバー16の上部に移動可能に
支持される。水冷電極14およびシース60はヘッド6
4に取り付けられ、ヘッド64は移動ナット66とに固
定され、移動ナット66とこれに螺合し、ステッピング
モータ24によって駆動される駆動ねじ68とからなる
駆動機構によって移動可能であり、水冷電極14のZ軸
(鉛直軸)方向の位置、すなわち水冷ハース12上の金
属材料(36)との間の間隙(ギャップ)は所定値に自
動コントロールされる。図示しないが、水冷電極14の
XおよびY軸方向の電極14の移動もステッピングモー
タコントロールにて駆動される。ヘッド64には、図示
しない1000Aの直流アーク電源(22:図1参照)
とケーブルで接続するための接続端子23が設けられ
る。こうして、アーク電極14は3000℃のアーク熱
源を最大に使用できるとともにICサイリスタにより温
度制御も可能である。また、ヘッド64には図示しない
冷却水供給装置(18)から供給される冷却水の導入口
19aと排出口19bとが設けられ、シース60および
アダプタ15内に収納された電極14を冷却するように
構成されている。また、ヘッド64には、図示しないガ
ス供給ボンベ(28)から供給される冷却用Arガスの
導入口を有し、冷却用Arガスをシース60を経由して
アダプタ15に設けられた冷却用ガス噴出口(図示せ
ず)から噴出させる。電極材14は、アーク発生部にト
リウム入りタングステンを使用しており、電極消耗とコ
ンタミネーションを極力低下でき、かつ水冷電極構造の
ため、機械的、熱的に安定しており、連続使用が可能
で、高い熱効率を達成できる。
【0030】本実施例においては、以上のような構成の
帯溶融式金属ガラス製造装置10が以下の操作条件で操
作された。アーク溶解中の電流と電圧は、それぞれ25
0Aと20Vであり、水冷電極14の移動速度は5.7
mm/sにコントロールされた。水冷電極14と予合金
塊からなる金属材料(36)との間の距離は約3mmに
調節された。
【0031】このようにして帯溶融法によって製造され
たバルク状アモルファス合金塊の構造は、X線回折分
析、光学顕微鏡検査(OM)、エネルギ分散X線分光分
析(EDX)とリンクされた走査型電子顕微鏡検査によ
って試験された。OM試料に対するエッチング処理は3
0%沸化水素酸溶液中、303Kで1.8ks行われ
た。構造的緩和、ガラス転移温度(Tg)、結晶化温度
(Tx)および結晶化熱(ΔHx)は示差走査熱量測定
法(DSC)によって加熱速度0.67K/sで測定さ
れた。硬さはヴィッカース微小硬度計によって100g
負荷で測定された。その結果を図4〜図8に示す。
【0032】図4は、本実施例において、アーク式帯溶
融法により製造されたZr60Al10Ni10Cu15Pd5
合金塊の表面外観を示している。この合金塊は高さ10
mm、幅12mm、長さ270mmの直方形に近い形状
を有している。自由凝固表面は良好な白色金属光沢を有
しているが、表面上には約13mmの間隔で帯溶融の流
れの痕跡が見られる。この間隔はおおよそアーク溶解に
おける帯溶融の幅(約10mm)に一致しているので、
自由凝固表面上の痕跡はアーク電極によって生成された
溶融帯に相当するものと思われる。
【0033】この合金塊の構造を調べるために、この合
金塊のほぼ中央部でしかも横断面の中心域でのX線回折
図形を図5に示す。X線回折図形にはブロードなハロー
ピークのみしか見られず、構成相は主としてアモルファ
ス相であると結論される。また、図6に示す合金塊の横
断面の光学顕微鏡写真に見られるように、結晶相に相当
する約80μmの小領域の他には合金塊のほぼ中央域に
は結晶相の析出を示すコントラストは見られず、ほぼア
モルファス単相となっており、X線回折の結果と一致し
ている。
【0034】しかしながら、銅製ハース(銅炉床)に近
い領域では図7に例証するように、アモルファス相と結
晶相が混在している。この結晶相はX線回折の結果、主
としてbct構造のZr2 Cuとして回折できることか
ら、NiとPdをCuサイトに含んだZr2 (Cu,N
i,Pd)化合物相と考えられる。上述したように、こ
の化合物相は冷却速度が大きいと考えられる銅炉床に接
触した領域で生成していることから、銅炉床との接触に
よる不均一核生成のために生成したと考えられる。
【0035】すなわち、水冷した銅炉床と直接接触して
いる領域での合金溶湯の温度は融点近傍であり、銅炉床
から遠く離れた領域と同様に融点よりもはるかに高い温
度域に高めることは困難である。なお、現在の帯溶融法
により得られる冷却速度を同じ体積を持つAl−33重
量%Cu合金の2次デントライトアーム間隔を用いて測
定した結果、合金塊中央部では約2×102 K/sであ
ると評価される。この冷却速度は本合金のアモルファス
相生成の臨界冷却速度である約10K/sを大きく上回
っており、不均一核生成の影響を受けない合金塊のほぼ
中央部でアモルファス相が生成する結果と一致してい
る。
【0036】図8は本実施例の帯溶融合金塊のほぼ中央
部でのアモルファス相から得たDSC曲線を示してい
る。ガラス遷移による吸熱反応と結晶化による発熱反応
の開始がそれぞれ685Kおよび767Kに見られ、過
冷却液体域が82Kのかなり広い温度域において生成し
ている。この結果は、真にガラス状の金属が帯溶融法と
いう連続製造プロセスにおいても生成できることを実証
しており、不均一核生成の発生の抑制を工夫することに
より、帯溶融法によりアモルファス単相の大型合金塊を
作製できるものと期待される。なお、バルク状アモルフ
ァス合金塊の中央域のヴィッカース硬度(Hv)はリボ
ン状試料に対する値(550)とほぼ同じ530である
と測定された。
【0037】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれ
ば、帯溶融法を用いてバルク状金属ガラスを連続的にか
つ容易に製造することができる。本発明によってなされ
た連続した合金塊の製造が可能な帯溶融法によるアモル
ファス相の生成技術は、今後のアモルファス合金の基礎
科学から工業材料の発展において極めて重要であり、大
型アモルファス合金の製造に道を開いたという産業上大
きな効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の帯溶融式金属ガラスの製造方法を実
施する帯溶融式金属ガラス製造装置の一構成例を機械的
に示すフローシートである。
【図2】 本発明のバルク状アモルファス合金インゴッ
トの製造プロセスの一例を示す、熱源としてアーク電極
を用いる帯溶融式金属ガラス製造装置の模式的構造図で
あり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図3】 本発明の実施例に用いられる、本発明の帯溶
融式金属ガラスの製造方法を実施する帯溶融式金属ガラ
ス製造装置の一具体的構成を示す部分断面正面図であ
る。
【図4】 本発明の実施例において帯溶融法によって製
造されたバルク状Zr60Al10Ni10Cu15Pd5 の外
表面外観の金属光沢および帯溶融の流れの痕跡を示すた
めの図面代用写真である。
【図5】 本発明の実施例において製造された厚さ10
mm、幅12mm、長さ270mmの直方体形状のバル
ク状Zr60Al10Cu15Pd5 の横縦断面における中央
域から取られたX線回折パターンである。
【図6】 金属組織を示す図面代用写真であって、本発
明の実施例において製造されたバルク状アモルファスZ
r−Al−Ni−Cu−Pd合金塊の横縦断面における
中央域の光学顕微鏡写真である。
【図7】 金属組織を示す図面代用写真であって、本発
明の実施例において製造されたバルク状アモルファスZ
r−Al−Ni−Cu−Pd合金塊の横縦断面における
底の側から約2mm離れた領域の光学顕微鏡写真であ
る。
【図8】 本発明の実施例において製造されたバルク状
アモルファスZr−Al−Ni−Cu−Pd合金塊の横
縦断面における中央域から取られた示差走査熱量測定曲
線である。
【符号の説明】
10 帯溶融式金属ガラス製造装置 12 水冷銅製鋳型(ハース) 13 窪み(凹状鋳型面) 14 水冷(タングステン)電極 15 アダプタ 16 真空チャンバー 18 冷却水供給装置 19a 冷却水導入口 19b 冷却水排出口 20 DCサーボモータ 22 アーク電源 23 接続端子 24 ステッピングモータ 26 半導体レーザセンサー 28,34 ガス供給源(ガスボンベ) 30 油拡散真空ポンプ(ディフュージョンポンプ) 32 油回転真空ポンプ(ロータリーポンプ) 36 金属材料 37 プラズマアーク 38 溶融合金(溶融部) 39 アモルファス合金(固化部) 40 真空排気装置 42 照明 44 覗窓 46 支持台 48 リニアガイド 50,66 移動ナット 52,68 駆動ボールねじ 54 磁気シール 56 カップリング 58 水冷流路 60 シース 62 シール 64 ヘッド a 水冷ハースの移動方向
フロントページの続き (72)発明者 真 壁 英 一 宮城県仙台市宮城野区苦竹3丁目1番25 号 (56)参考文献 特開 平3−294487(JP,A) 特開 昭63−76885(JP,A) 特開 昭59−126739(JP,A) 特許3359750(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 1/00 - 1/02 B22D 18/00 - 18/06 B22D 23/00 B23K 26/00 C22B 9/20

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水冷鋳型上に金属材料を充填し、不活性ガ
    ス雰囲気において、この金属材料を急激に溶融可能な高
    エネルギ熱源を前記金属料の一方の端末から他方の端
    末に向かって、水冷されている前記水冷鋳型内の前記
    属材料を溶融させながら相対的に移動し、金属材料の溶
    融部を移動させ、この溶融部に大きな温度勾配と固/液
    界面移動速度を生じさせて、大きな急冷速度を得、溶融
    金属を急速に固化し、実質的に金属ガラスから成るバル
    ク状金属ガラスを連続的に製造することを特徴とする帯
    溶融式金属ガラスの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記不活性ガス雰囲気の圧力は、少なくと
    も大気圧以上である請求項1に記載の帯溶融式金属ガラ
    スの製造方法。
  3. 【請求項3】前記溶融部の移動速度が、少なくとも1m
    m/s以上である請求項1または2に記載の帯溶融式金
    属ガラスの製造方法。
  4. 【請求項4】水冷鋳型上に金属材料を充填し、この金属
    材料を急激に溶融可能な高エネルギ熱源を前記金属材料
    の一方の端末から他方の端末に向かって、水冷されてい
    る前記水冷鋳型内の前記金属材料を溶融させながら相対
    的に移動し、金属材料の溶融部を少なくとも1mm/s
    以上で移動させ、この溶融部に大きな温度勾配と固/液
    界面移動速度を生じさせて、大きな急冷速度を得、溶融
    金属を急速に固化し、実質的に金属ガラスから成るバル
    ク状金属ガラスを連続的に製造することを特徴とする帯
    溶融式金属ガラスの製造方法。
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