JP4343313B2 - 金属ガラスの製造方法および装置 - Google Patents

金属ガラスの製造方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融金属を管(パイプ)状に負圧吸引して臨界冷却速度以上で急冷し、任意形状の管状金属ガラス(パイプ状アモルファス金属)を確実に安定して製造する金属ガラスの製造方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アモルファス合金材を製造するために金属や合金を溶融し、液体状態から急冷凝固させて急冷金属(合金)粉末を得、得られた急冷金属粉末を結晶化温度以下で所定形状に固化して真密度化する方法や溶融金属や合金を急冷凝固させて直接所定形状のアモルファス合金材を得る方法などが種々提案されている。しかしながら、これら従来の方法によって得られるアモルファス合金材は、小さい質量のものがほとんどで、これらの方法ではバルク材を得ることは困難である。一方、急冷粉の固化によってバルク状アモルファス合金材を得る方法も試みられているが、満足のいくバルク材が未だ得られていない。特に、管などの複雑な形状のバルク状アモルファス合金材は満足のいくものが得られてはいないのが現状である。
【0003】
例えば、小さい質量で生成されるアモルファス材には、メルトスピニング法、単ロール法、プラナーフロー鋳造法等による薄い帯状(リボン状)、例えば最大板幅約200mm、最大板厚30μm程度のアモルファス材等が得られており、これらのアモルファス材のトランスのコア材等への応用が試みられているが、未だ多くのものが材料化には至っていない。急冷粉から小さい質量のアモルファス材を固化成形する技術として、CIP、HIP、ホットプレス、熱間押出し、放電プラズマ焼結法など種々の方法がとられているが、微細な形状のため流動特性が悪く、ガラス遷移温度以上に昇温できない温度特性の問題があり、成形もまた多工程を要する上に、固化成形後もバルク材としての特性が充分得られない等の欠点を有し、必ずしも満足する方法とはいえない。
【0004】
ところで、本発明者らは、例えばZr−Al−Ni−Cu合金系において、直径10〜30mm、長さ100〜200mmのバルク状アモルファス合金を、差圧鋳造法を用いて、溶融状態の金属材料を水冷鋳型に瞬時に鋳込むことにより、アモルファス材としての特性に優れた大型のアモルファス材を簡単な操作で容易に製造することのできる差圧鋳造式金属ガラスの製造方法を特開平8−109419号公報に開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本発明者らが特開平8−109419号公報に開示した差圧鋳造式金属ガラスの製造方法では、溶融金属を保持している水冷ハースの底部を高速度で鉛直下方に下降させて、出現した縦型の水冷鋳型に溶融金属を瞬時に鋳込み、溶融金属の移動速度を速くして、大きな冷却速度を得ている。その結果、この従来法でも、大型の柱状の、厚肉であれば大型の管状のバルクアモルファス材を製造することができるし、得られたアモルファス材も優れた特性を示す。
【0006】
しかしながら、この従来法では、金属材料を溶解して貯留する水冷ハース底部を高速で鉛直下方に引き抜いて出現した縦型の水冷鋳型に溶融金属を鋳込んでいるため、溶融金属がその移動部分やすき間に入り込み、あるいは鋳型表面に溶融金属が融着固化して、再現性を低下させたり、極端な場合には、かみ込んで装置を動作不良や動作停止や不能に追い込む恐れがあるという問題があった。
また、管状バルクアモルファス材の肉厚が薄くなると、特に、アモルファス合金材の組成や温度によっては溶融金属の粘度が高く、流動性が低い場合には、管状のハース底部の移動と伴に溶融金属が均一に降下できず、得られた管状アモルファス材の性質や肉厚などの形状が均一とならず、極端な場合には溶融金属が鋳込まれない部分が生じ、管状材を製造できなくなるという問題があった。
【0007】
また、この従来法では、水冷ハース底部を高速で下降させる構造であるので、真っ直ぐな管状アモルファスバルク材は製造できるものの、構造上、エルボ、U字管などの曲がり管、T字管(チーズ)やスプリング状パイプなどの複雑な形状の管などの任意形状の管材を製造できないという問題があった。
さらに、金属材料を水冷ハースで溶解しているため、ハースと接触している金属材料は、たとえ溶解していても必ず融点以上の温度の溶融金属ではないため、不均一核生成の原因となるが、これらの不均一核生成部分も一緒に縦型の水冷鋳型に鋳込まれるため、当該部分に結晶核が生じてしまう恐れがあるという問題もあった。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、溶融金属を管(パイプ)状に負圧吸引して臨界冷却速度以上で急冷することにより、多様な用途に適用が可能である、特性や形状寸法などの均一性に優れた任意形状の管状バルクアモルファス材を確実、かつ再現性よく安定して得ることのできる金属ガラスの製造方法および装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る金属ガラスの製造方法は、高加熱源を用いて所定雰囲気中にて金属材料を融解させ、柱状中空部を持つ鋳型を移動させて、得られた溶融金属中に前記鋳型の前記柱状中空部の先端を挿入し、前記鋳型の前記柱状中空部の内部を瞬時に負圧にすることによる負圧吸引力により、前記鋳型の前記柱状中空部の内部に前記溶融金属を急速に移動させ、前記鋳型の前記柱状中空部の内面に接する前記溶融金属を臨界冷却速度以上で選択的に急冷して固化し、管状金属ガラスを製造する金属ガラスの製造方法であって、前記負圧吸引力による、前記鋳型の前記柱状中空部の内部への前記溶融金属の移動中は、前記鋳型を、前記金属材料の溶融温度以下に加熱することにより、前記鋳型内部の前記溶融金属の粘性を低下させて前記溶融金属の流動性を維持しつつ、前記負圧吸引力により、前記溶融金属を前記鋳型の前記柱状中空部の内部へ移動させ、前記鋳型の前記柱状中空部の内部に前記溶融金属の管形状が形成された後、前記鋳型の前記柱状中空部の内部の前記溶融金属を臨界冷却速度以上で前記鋳型の外周面側から急冷することにより、長尺または薄肉の管状金属ガラスを製造することを特徴とする。
【0010】
ここで、前記金属材料を融解する前記所定雰囲気は、主として常圧雰囲気、減圧雰囲気または真空であるのが好ましい。また、前記鋳型は、金属製またはセラミックス製であるのが好ましく、前記鋳型の前記柱状中空部の先端には耐火材料製の吸い込みノズルを有するのが好ましい。
また、前記鋳型は、少なくとも前記金属材料の溶融温度以下に加熱され、前記鋳型によって管形状が形成された後、前記鋳型の外面または内面を、液体または気体によって急速に冷却することが好ましい。
また、前記鋳型の前記柱状中空部への前記溶融金属の吸い込み時間および負圧吸引力の少なくとも一方を調整して前記溶融金属の流量を調整し、前記鋳型の前記柱状中空部内に吸い込まれる前記溶融金属の量を調整し、前記管状金属ガラスの長さおよび肉厚を調整することが好ましい。
【0011】
また、前記鋳型の前記柱状中空部の内部への前記溶融金属の負圧吸引力を増大させるために、前記溶融金属の前記鋳型柱状中空部内部への負圧吸引時、前記溶融金属を加圧するのが好ましい。
また、前記管状金属ガラスの形状は、円管状、長円管状、角管状および異形管状のいずれかであり、前記鋳型の柱状中空部の外側形状は、前記管状金属ガラスの形状に対応して円形状、長円形状、角形状および異形状のいずれかであるのが好ましい。
また、前記鋳型は、前記柱状中空部の中心に、中子、好ましくは加熱冷却可能な中子を有するのが好ましい。
また、前記鋳型は、前記金属ガラスを熔着または被覆する管状材料によって形成されるのが好ましい。
また、前記鋳型を高速回転させつつ、この鋳型の前記柱状中空部内に前記溶融金属を移動させるのが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る金属ガラスの製造装置は、金属材料を融解させる高加熱源と、この高加熱源によって融解された溶融金属を貯留するハースと、管状金属ガラスを製造するための柱状中空部を持つ鋳型と、この鋳型を保持する保持器具と、前記鋳型の前記柱状中空部の先端を前記溶融金属中に挿入するために、前記鋳型を前記保持器具に保持させて移動させる手段と、前記鋳型の前記柱状中空部の内部に前記溶融金属を急速に移動させて、前記鋳型の前記柱状中空部の内面に接する前記溶融金属を臨界冷却速度以上で選択的に急冷して固化する管状金属ガラスを製造するために、前記鋳型の前記柱状中空部の内部を瞬時に負圧にするために十分な容量を有する負圧吸引力発生手段とを有する金属ガラスの製造装置であって、前記保持器具は、前記鋳型内部の前記溶融金属の粘性を低下させ、この溶融金属の流動性を高めるために、前記鋳型を溶融温度以下に加熱する手段を有し、前記負圧吸引力発生手段による負圧吸引力によって、前記鋳型の前記柱状中空部の内部への前記溶融金属の移動中は、前記鋳型を、前記金属材料の溶融温度以下に加熱することにより、前記鋳型内部の前記溶融金属の粘性を低下させて前記溶融金属の流動性を維持しつつ、前記負圧吸引力発生手段による負圧吸引力により、前記溶融金属を前記鋳型の前記柱状中空部の内部へ移動させ、前記鋳型の前記柱状中空部の内部に前記溶融金属の管形状が形成された後、前記鋳型の前記柱状中空部の内部の前記溶融金属を臨界冷却速度以上で前記鋳型の外周面側から急冷することにより、長尺または薄肉の管状金属ガラスを製造することを特徴とする。
【0013】
ここで、前記金属材料を融解する前記所定雰囲気は、主として常圧雰囲気、減圧雰囲気または真空であるのが好ましい。また、前記鋳型は、金属製またはセラミックス製であるのが好ましく、前記鋳型の前記柱状中空部の先端には耐火材料製の吸い込みノズルを有するのが好ましい。
また、前記保持器具は、前記鋳型を少なくとも溶融温度以下に加熱する手段と、前記鋳型によって管状の形状が形成された後、前記鋳型の外面または内面を、液体または気体によって急速に冷却する急冷手段を有することが好ましい。
また、前記鋳型の前記柱状中空部への前記溶融金属の吸い込み時間および負圧吸引力の少なくとも一方を調整する調整手段を有し、この調整手段によって前記溶融金属の流量を調整し、前記鋳型の前記柱状中空部内に吸い込まれる前記溶融金属の量を調整し、前記管状金属ガラスの長さおよび肉厚を調整することが好ましい。
【0014】
また、さらに、前記鋳型の前記柱状中空部の内部への前記溶融金属の負圧吸引力を増大させるために、前記溶融金属の前記鋳型柱状中空部内部への負圧吸引時、前記ハース内の前記溶融金属を加圧する加圧手段を有することが好ましい。
また、前記管状金属ガラスの形状は、円管状、長円管状、角管状および異形管状のいずれかであり、前記鋳型の柱状中空部の外側形状は、前記管状金属ガラスの形状に対応して円形状、長円形状、角形状および異形状のいずれかであることが好ましい。
また、前記鋳型は、前記柱状中空部の中心に中子、好ましくは加熱冷却可能な中子を有することが好ましい。もしくは、前記鋳型は、前記金属ガラスを熔着または被覆する管状材料によって形成されることが好ましい。
また、前記移動手段は、さらに、前記鋳型の前記柱状中空部内に前記溶融金属を移動させる際に前記鋳型を高速回転させる回転手段を有することが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係る金属ガラスの製造方法および装置を添付の図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。
【0016】
本発明の金属ガラスの製造方法では、まず溶解炉の炉床(ハース)上に金属材料、好ましくはアモルファス形成能の高い金属材料粉末およびペレットの混合物を充填し、そのままの、例えば常圧雰囲気中で、好ましくはチャンバー内部を減圧後そのまま減圧中で、さらに好ましくは真空引後そのまま真空中(減圧雰囲気や真空中の場合、大気圧(常圧雰囲気)中と比較して、対流による冷却が少ないため溶湯温度の冷却を防げることができる。例えば電子ビーム溶解などの方法を用いる場合)で、もしくは不活性ガスにて置換して、ハースをそのまま、もしくは強制冷却しながら高加熱源、すなわち高エネルギ熱源、例えばアーク熱源や高周波熱源にて金属材料を溶融する。
【0017】
この後、柱状中空部、すなわち柱状のキャビティを持つ鋳型、好ましくは金属製またはセラミックス製鋳型を、これを保持する器具とともに移動させて、好ましくは瞬時に昇降させて、柱状中空部の先端を、得られた融点以上の溶融金属中に挿入する。なお、鋳型は、柱状中空部の先端に、柱状中空部に連通する耐火材料製、例えば石英製の吸い込みノズルを取り付け、この吸い込みノズルを溶融金属中に挿入することにより、鋳型の劣化を防止し、鋳型の精度を維持し、長寿命化をはかり、管状金属ガラス製品の品質の劣化を防止できる。
【0018】
鋳型の柱状中空部の先端、好ましくは吸い込みノズルの先端をハース内の溶融金属に挿入直後に、鋳型の柱状中空部の内部、好ましくは吸い込みノズルおよび柱状中空部の内部を瞬時に負圧、好ましくは真空にし、こうして得られる負圧吸引力、好ましくは真空吸引力によってハース内の融点以上の溶融金属を鋳型の柱状中空部の内部、好ましくは吸い込みノズルを通って鋳型の柱状中空部の内部に移動させて、鋳型の柱状中空部の内表面と接触した溶融金属をその臨界冷却速度以上で急速に冷却して固化する。こうして金属ガラスが管状に製造される。
一方、鋳型の柱状中空部の中心側にある融点以上の溶融金属は、さらに鋳型の柱状中空部の内部を吸引されて移動し、次々に鋳型の柱状中空部の新しい内表面と接触して急速に冷却して固化し、管状の金属ガラスの製造が続く。そして、鋳型の柱状中空部の先端が、ハース内の溶融金属から離れると、鋳型の柱状中空部の新しい内表面と接触して急速に冷却して固化する溶融金属が無くなるので、管状の金属ガラスの製造が終了する。この管状の金属ガラスの製造の終了時期は、所望される管状の金属ガラスの長さや肉厚に応じて、鋳型の柱状中空部または吸い込みノズルの先端を移動させて、溶融金属中から引き抜くことにより、調整することができる。
こうして、所望の長さおよび肉厚の管状の金属ガラス、パイプ状アモルファス金属(合金)を製造することができる。
【0019】
ここで、本発明では、鋳型を溶融温度以下に加熱して、溶融金属の粘性を低下させ、特に鋳型の内部、好ましくは柱状中空部(以下、キャビティともいう)内での溶融金属の粘性を低下させ、この溶融金属の流動性を高めることにより、長尺または薄肉の管状金属ガラスを製造することも可能である。
また、本発明では、溶融金属が鋳型の柱状キャビティの内部に吸引され、柱状キャビティ内を移動している間は、鋳型を少なくとも溶融温度以下に加熱しておき、鋳型によって所定の管形状が形成された直後、鋳型の外面または内面を、液体、例えば冷却水または気体、冷却ガスによって急速に冷却して、鋳型の柱状キャビティの外表面に接する管状の溶融金属の冷却速度をその臨界冷却速度以上とするのが好ましい。こうすることにより、特に、強度特性などの機械的特性に優れ、かつ形状や寸法の均一性に優れ、かつ再現性に優れた管状金属ガラスを特に容易、かつ確実、かつ再現性よく安定して得ることもできる。
【0020】
また、本発明では、柱状キャビティ内、好ましくは吸い込みノズルを通しての柱状キャビティ内への溶融金属の吸い込み時間および負圧(真空も含む)吸引力の少なくとも一方を調整して溶融金属の流量を調整し、鋳型内に吸い込まれる溶融金属の量を調整することにより、管状金属ガラスの長さおよび肉厚を調整することもできる。
また、鋳型の柱状キャビティの内部への溶融金属の負圧吸引時、溶融金属の柱状キャビティ内への負圧吸引力を増大させるために、ハース内の溶融金属を加圧するのがよい。
また、鋳型の形状が単純なものであれば、鋳型を高速回転させつつ、この鋳型の柱状キャビティ内に溶融金属を移動させるのが好ましく、この際に得られる遠心力により、柱状キャビティの表面に溶融金属を均一に接触させることができ、均一な肉厚および密度や特性を達成することができる。
【0021】
また、鋳型は、中子、好ましくは加熱冷却可能な中子を有しているのが良く、中子は、鋳型の柱状キャビティの中心に配置されるのがよい。その結果、鋳型には、この中子により環状の中空部(キャビティ)を形成することができる。この環状キャビティを持つ鋳型によって、形状および肉厚などの寸法の均一性や再現性を優れたものとすることができる。この中子の外形は、円形状、長円形状、角形状および異形状など種々の形状を持つことができ、その結果、鋳型の環状キャビティの内側表面は、この中子の外形によって形成されるので、円形状、長円形状、角形状および異形状など種々の形状を持つことができる。一方、この鋳型の環状キャビティの外形形状は、元の柱状キャビティの外形形状、すなわち外側表面であり、この外側表面も、内側表面同様、円形状、長円形状、角形状および異形状など種々の形状を持つことができる。
従って、本発明においては、得られる管状金属ガラスの形状を円管状、長円管状、角管状および異形管状などの種々の形状にすることができ、その断面形状を円形状、長円形状、角形状および異形状など種々の形状にすることができる。
なお、中子は、溶融金属が鋳型内部に吸引される当初より鋳型内に存在していても良いし、溶融金属の鋳型内部への吸引後、好ましくは直後に急速に、鋳型内部に挿入されてもよい。
【0022】
また、溶融金属が吸引される空間、すなわち柱状中空部あるいは環状中空部が瞬時に所定減圧度まで減圧される、好ましくは真空に置き換わるものであれば、鋳型の形状、特に長手方向の形状もどのような形状でもよい。例えば、エルボ(管)やU字管などの曲がり管を製造するための曲率を有する空間であっても良いし、レデューサ(漸縮管または径違い継手)などを製造するための長手方向において断面形状が変化する空間であっても良いし、T字管(チーズ)などの分岐管を製造するための分岐を有する空間であっても良い。
さらに、本発明に用いられる鋳型は、この中子の代わりに、アモルファス金属ガラスを熔着または被覆する管状材料を用いてもよく、鋳型の環状キャビティの内側表面をこの管状材料によって形成してもよい。
【0023】
本発明において、鋳型や中子の材料は特に制限的ではなく、溶融金属の融点以上でも溶解せず、かつ溶融金属とも反応せず、かつ機械的強度に優れ、高温加熱、急速冷却でも熱衝撃ダメージを受けない材料、例えば、銅、ニッケル、タングステンなどの金属材料やセラミックス材料や、カーボンなどを、溶融金属の材料に応じて適宜選択すればよい。鋳型や中子は、液体、例えば水や気体による冷却や、後述する熱源等による融点以下の加熱ができるようにしておくのがよい。
【0024】
本発明は、アーク熱源、高周波熱源などの高エネルギ熱源を用いて溶融できれば、Zr−Al−Cu、Mg−Cu−Y、Mg−Ni−La、La−Al−Ni、La−Al−Cu、La−Al−Cu、Ln−Al−TM、Mg−Ln−TM、Zr−Al−TM、Hf−Al−TMおよびTi−Zr−TM(ここで、Ln=ランタノイド金属、TM=VI−VIII族遷移金属)等の3元系合金、Zr−Al−Ni−Cu、Zr−Ti−Al−Ni−Cu、Zr−Nb−Al−Ni−CuおよびZr−Al−Ni−Cu−Pd、Fe−Cu−Ni−Zr−B、Fe−Cu−Ni−Zr−Nb−B、Co−Fe−Zr−BなどのZr系合金や、Pd−Cu−Ni−P、Ln−Al−Ni−Cuなど始めとして、4元系以上の多元系合金を含めほとんどあらゆる元素の組み合わせからなる合金について適用でき、またアモルファス相の生成が可能である。
これらの合金を本発明において金属材料として用いる場合には、高エネルギ熱源による急激な溶融がより容易なように、粉末状あるいはペレット状にして用いるのが好ましいが、本発明はこれに限定されず、急激な溶融が可能であれば、どのような形状の金属材料を用いてもよい。例えば、粉末状、ペレット状の他、線状、帯状、棒状、塊状など、ハース、特に水冷ハースと高エネルギ熱源に応じて適当な形状を適宜選択すればよい。
【0025】
本発明に用いられる高エネルギ熱源としては、溶解炉やそのハースに充填された金属材料を溶融可能であれば、特に制限はなく、どのような熱源を用いてもよいが、例えば、代表的に高周波熱源、アーク熱源、プラズマ熱源、電子ビーム、レーザなどを挙げることができ、例えば、上述したZr系合金の場合には高周波熱源(高周波電源を用いた高周波加熱)を用い、Pd系合金の場合にはアーク熱源(アーク電源を用いたアーク放電による加熱)を用い、溶融すべき金属材料に応じて最適な熱源を適宜選択するのが良い。これらの熱源は、溶解炉やそのハースに対し、1個であっても、複数個を重畳して用いてもよい。
【0026】
本発明の金属ガラスの製造方法は、基本的に以上のように構成されるが、以下に本発明法を具体的に実施する本発明の金属ガラスの製造装置について詳細に説明する。
図1は、本発明の金属ガラスの製造方法を実施する本発明の金属ガラス製造装置の構成を模式的に示すフローシートであり、図2は、その金属ガラス製造装置の溶解炉の概略構成および金属ガラスの製造原理の概略図である。
同図に示すように、この金属ガラス製造装置10は、金属材料を充填するとともに溶融された金属材料(溶融金属)を貯留する炉床(ハース)28、このハース28内の溶解された金属材料の融点以上の溶融金属を真空吸引して管状に成形するとともにこの金属材料(溶融金属)の固有の臨界冷却速度より速い速度で急速冷却する昇降可能な鋳型30、この鋳型30を保持する器具31およびハース28と器具31に保持された鋳型30とを囲む真空チャンバ32を有する溶解炉12と、この溶解炉12内のハース28内の金属材料を溶解するための高熱のアークを発生するための高加熱源となる水冷電極、例えばタングステン電極(図示せず)に電力を供給するアーク電源14と、溶解炉12の上部に配置され、鋳型30をその保持器具31とともに昇降させる昇降装置16と、溶解炉12およびアーク電源14に冷却水を循環供給する冷却水供給装置18と、溶解炉12の真空チャンバ32内を真空雰囲気にする真空排気装置20と、溶解炉12内においてその先端がハース28内の溶融金属に挿入された鋳型30の柱状キャビティ30a内を瞬時に真空に置き換えるための大容量の真空タンク22と、この真空タンク22内を真空にする真空排気装置24と、鋳型30の柱状キャビティ30aへの溶融金属の吸引時に柱状キャビティ30aを除いて溶解炉12内の雰囲気を不活性ガス置換するための不活性ガス(例えば図示例ではArガス)を供給するガス供給源(ガスボンベ)26とを有する。
【0027】
溶解炉12のハース28は、金属材料、例えば粉末状およびペレット状金属材料を充填するとともに、アーク電源14から供給された電力によって発生されたアークで溶融された金属材料、すなわち融点以上の溶融金属を貯留する所定形状のハースである。なお、ハース28は、融点以上の溶融金属を貯留できればどのようなものでもよい。
【0028】
また、アーク電源14から供給された電力によってアークを発生するアーク水冷電極は、ハース28に対しわずかに傾斜させて配置され、ステッピングモータなどの駆動手段(図示せず)によってX,YおよびZ軸方向に調整可能に構成するのが好ましい。さらに、ハース28内の金属材料と水冷電極との間の間隔(Z方向)を一定に保つために金属材料の位置を半導体レーザセンサ(図示せず)によって測定し、モータによって水冷電極の移動が自動コントロールされるようにしてもよい。これはアーク電極と金属材料との間の間隙が一定でないと、アークが不安定になり、溶融温度にばらつきが生じるからである。なお、ハース28内の溶融金属を常に融点以上に保持しておくために、アーク電源14から水冷電極に、常にまたは必要に応じて必要な電力を供給して水冷電極からアークを発生させるようにしておくのが好ましい。
なお、本発明においては、上述したように、ハース28内の金属材料を溶融するための高エネルギ熱源(高加熱源)は、図示例の如く、金属材料をアーク溶解させるためのアークを発生させるアーク加熱源に限定されず、高周波加熱によって金属材料を溶解させるための高周波熱を発生させる高周波加熱源(高周波電源)などの種々の高加熱源を用いることができる。ここで、本発明においては、高加熱源を金属材料に応じて適宜最適なものを選択するのが好ましく、例えば、金属材料がZr系合金の場合には高周波熱源を用い、Pd系合金の場合にはアーク熱源を用いるのが好ましい。
【0029】
器具31は、図2に示すように、柱状中空部(柱状キャビティ)30aを有する鋳型30を保持し、昇降装置16によって保持器具31を昇降させることによって鋳型30を昇降させることができる。なお、図示しないが、溶融金属を真空吸引するために、鋳型30の柱状中空部(柱状キャビティ)30aの先端に溶解炉12のハース28内の溶融金属内に挿入される、柱状キャビティ30aと連通する耐火物製の吸い込みノズルを取り付けるのが好ましい。器具31は、鋳型30を器具31とともに、図2に示す矢印a方向に昇降、より好ましくは瞬時に昇降させるための昇降装置16と連結される。この昇降装置16によって鋳型30の柱状キャビティ30aまたは吸い込みノズルの先端を溶解炉12のハース28内の溶融金属に挿入し、溶融金属を柱状キャビティ30aの先端または吸い込みノズルから鋳型30のキャビティ30aの内部に吸引することができる。なお、昇降装置16には、鋳型30の柱状キャビティ30a内に溶融金属を吸引する際に鋳型30を高速回転させる回転手段を有するのが好ましい。この回転手段により溶融金属に遠心力を与え、鋳型30の柱状キャビティ30a内に均一に溶融金属を管状に充填し、得られる管状金属ガラスの肉厚を均一にすることができる。昇降装置16は特に制限的ではなく、従来公知の並進機構や往復動機構等を用いることができ、例えば、ボールねじを用いたドライブスクリューとトラベリングナットやエアシリンダなどの空気圧機構や油圧シリンダなどの油圧機構などを好適に用いることができる。また、回転手段も、モータなどの公知の回転手段を用いることができる。
【0030】
鋳型30は、上述したように、環状キャビティ(の内側表面)を形成するために中子(図示せず)をその中心に備えるのが好ましい。なお、本発明においては、中子の替わりに金属ガラス(アモルファス金属)の膜を管状に熔着または被覆するための管状材料を用いてもよい。なお、本発明に用いられる鋳型30においては、その柱状キャビティ30a内に、中子が予め組み込まれ、環状キャビティが、溶融金属を吸引する当初から形成されていてもよいし、溶融金属を吸引する時点では、管形成用キャビティは、柱状キャビティ30aのままで環状に形成されておらず、溶融金属の吸引中または後に、柱状キャビティ30aに中子などを挿入して、環状キャビティを形成してもよいし、環状キャビティの形成後も環状キャビティと吸い込みノズルと間は、常時連通していても良いし、柱状キャビティ30aへの溶融金属の充填後急速に挿入される中子等によって遮断されるものであっても良い。
【0031】
また、器具31には、鋳型30の柱状キャビティ30a内に真空吸引された溶融金属を融点以下の所定の温度に加熱するまたは溶融金属を冷却するための加熱または冷却領域31aを柱状キャビティ30aの近傍に設け、この加熱または冷却領域31aを加熱または冷却する加熱または冷却手段(図示せず)を備えているのが好ましい。この加熱または冷却手段により、鋳型30を冷却し、または溶融温度以下に加熱し、溶融金属の粘性を低下させ、鋳型30の柱状キャビティ30aの内部での溶融金属の流動性を高めることにより、長尺または薄肉の管状金属ガラスを製造することができる。
また、器具31では、加熱手段によって鋳型30の加熱または冷却領域31aを少なくとも溶融温度以下に加熱し、鋳型30の柱状キャビティ30a内に溶融金属が充填され、管状の形状が形成された後、冷却手段によって鋳型30の柱状キャビティ30aの外面または内面を、冷却水などの液体または冷却ガスなどの気体によって急速に冷却するのが好ましい。
なお、本発明においては、鋳型30の柱状キャビティ30aの外側断面形状は、円形に限定されず、得られる管状金属ガラスの形状も、円管に限定されないことは、上述した通りである。
【0032】
真空チャンバー32は、SUS製水冷ジャケット構造で、真空引するために真空排気口によって油拡散真空ポンプ(ディフュージョンポンプ)DPおよび油回転真空ポンプ(ロータリポンプ)RPなどの真空排気装置20が連結され、真空引後、不活性ガスによる置換が可能なようにアルゴンガス導入口によってガス供給源(ガスボンベ)26と連通される。また、冷却水供給装置18は循環戻り冷却水をクーラントにより冷却した後に、再び冷却水として溶解炉12内のハース28、器具31の加熱または冷却領域31a、およびアーク電源14に供給する。
真空タンク22は、鋳型30の柱状キャビティ30a内を瞬時に真空化する容量を持つものであれば、どのようなものでもよい。また、真空タンク22内を真空にするための真空排気装置24は、メカニカルブーストポンプMBPやロータリポンプRPなどが連結されるが、これらに限定されない。
【0033】
また、本発明においては、鋳型30の柱状キャビティ30aまたは吸い込みノズルへの溶融金属の吸い込み時間および負圧吸引力の少なくとも一方を調整する調整手段を設け、この調整手段によって溶融金属の流量を調整し、鋳型30の柱状キャビティ30aまたは環状キャビティ内に吸い込まれる溶融金属の量を調整し、管状金属ガラスの長さおよび肉厚を調整することもできる。
さらに、鋳型30の柱状キャビティ30a内への溶融金属の負圧吸引力を増大させるために、溶融金属の鋳型30の柱状キャビティ30aの内部へ負圧吸引時、溶解炉12のハース28内の溶融金属を加圧する加圧手段を有するのが好ましい。
【0034】
【実施例】
本発明に係る金属ガラスの製造方法および装置を実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
(実施例1)
図1および図2に示す構成の金属ガラス製造装置10を用いて、以下のようにして、長さ100〜1000mm×直径10mmΦ×肉厚0.5〜1.5mmの種々の寸法の円管状のアモルファスバルク材を表1に示す種々(14種)の合金について製造した。
なお、本実施例においては、鋳型30の柱状キャビティ30a形状および寸法は、直径10mmΦ×長さ2000mmの円柱状であった。
【0035】
アーク電源14(水冷電極)は3000℃のアーク熱源を最大に使用できるとともにICサイリスタにより温度制御も可能なものとし、冷却用Arガスをアダプタに設けられた冷却用ガス噴出口(図示せず)から噴出させた。アーク電源14は、アーク発生部にトリウム入りタングステンを使用したため、電極消耗とコンタミネーションを極力低下でき、かつ水冷電極構造のため、機械的、熱的に安定しており、連続使用が可能で、高い熱効率を達成できた。
本実施例においては、金属ガラス製造装置10が、以下の操作条件で操作された。アーク溶解中の電流と電圧は、それぞれ250Aと20Vであり、アーク電源14と粉末状およびペレット状金属材料との間の距離は0.7mmに調節された。
【0036】
このようにして製造された円管状アモルファス合金材の構造は、X線回折分析、光学顕微鏡検査(OM)、エネルギ分散X線分光分析(EDX)とリンクされた走査型電子顕微鏡検査によって試験された。OM試料に対するエッチング処理は30%沸化水素酸溶液中、303Kで1.8ks行われた。構造的緩和、ガラス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tx)および結晶化熱(ΔHx:過冷却液体領域の温度幅)は示差走査熱量測定法(DSC)によって加熱速度0.67K/sで測定された。また、得られた円管板状のアモルファス合金材の機械的特性も測定された。測定された機械的特性は、以下の破断エネルギ(Es)、ビッカース硬さ(Hv)、引張強さ(σf)(なお、実施例4、5、10および11では、引張強さでは計測できず、圧縮強さで計測した。)、伸び(εf)およびヤング率(E)であった。なお、ビッカース硬さ(Hv)はビッカース微小硬度計によって100g負荷で測定された。
得られた14種類の合金の円管状のアモルファスバルク材の合金組成および特性も合わせて表1に示す。なお、表1中符号tは、矩形板状のアモルファスバルク材の厚さを示す。
【0037】
【表1】
Figure 0004343313
【0038】
さらに、実施例13のPd40Ni10Cu3020合金材のX線回折の結果および結晶化熱の測定結果をそれぞれ図3および図4に示す。なお、図3および図4には、円管状アモルファスバルク材の結果とともに、比較のため、メルトスパンリボン法による薄膜状アモルファスバルク材の結果も示す。
図3は、実施例13のPd40Ni10Cu3020合金材のほぼ中央部でしかも横断面の中心域でのX線回折図形を示している。この合金材は長さ300mm×直径10mmΦ×肉厚1.0mmの円管状であった。この合金材のX線回折図形にはブロードなハローピークのみしか見られず、構成相はアモルファス相単相であることがわかる。また、この合金材の横断面の光学顕微鏡写真においても、合金材のほぼ中央域には結晶相の析出を示すコントラストは見られず、アモルファス単相となっており、X線回折の結果と一致した。
【0039】
図4は、実施例13のPd40Ni10Cu3020合金材のほぼ中央部でのアモルファス相から得たDSC曲線を示している。ガラス遷移による吸熱反応と結晶化による発熱反応の開始がそれぞれ580℃および670℃に見られ、過冷却液体域が90℃のかなり広い温度域において生成している。この結果は、真にガラス状の金属が本発明法を適用した製造プロセスにおいて、強度特性に優れたアモルファス単相の円管状合金材を製造できることを実証している。
【0040】
表1から明らかなように、実施例1〜14のいずれにおいても、優れた機械的強度を示していることから、本発明法によって製造された円管状のバルク状アモルファス合金材は、強度特性に優れたバルクアモルファスであることが分かる。また、実施例13の解析からも分かるように、これらの実施例で得られた円管状のバルク状アモルファス合金材は不均一核生成を防止し、結晶相の混在の全くないアモルファス単相からなることが分かる。
【0041】
本発明に係る金属ガラスの製造方法および装置について、種々の実施形態を挙げて、詳細に説明したが、本発明はこれらに限定されるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や設計の変更を行っても良いことはもちろんである。
【0042】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明によれば、溶融金属を管(パイプ)状に負圧吸引して臨界冷却速度以上で急冷することにより、多様な用途に適用が可能である、特性や形状寸法などの均一性に優れた任意形状の管状バルクアモルファス材(管状金属ガラス)を確実、かつ再現性よく安定して得ることができる。
また、本発明によれば、強度特性に優れた所望の形状、寸法の管状のバルクアモルファスを、精度良く、かつ再現性よく得ることができる。さらに、本発明によれば、融点以上の溶融金属のみを臨界冷却速度以上の速度で冷却したアモルファス単相からなる、肉厚などの寸法や特性が均一で、強度特性に優れた所望の管形状のバルクアモルファスを、簡単な工程で再現性よく得ることができる。
このようにして得られた管状金属ガラスは、優れた強度特性および寸法、特に肉厚などの均一性等を持つものであるので、カテーテルや人工骨他の医療分野の機能性新素材、トランス材やマッチングコイル材他の磁性材料、地熱プラント配管材料や化学プラント配管材料他の耐蝕性材料、軽量構造用材料やスポーツ関連機器他の高強度材料、水素貯蔵合金他のエネルギ関連材料等に広く適用でき、工業的価値は計り知れないほど高いという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る金属ガラスの製造方法を実施する本発明の金属ガラス製造装置の一構成例を模式的に示すフローシートである。
【図2】 図1に示す金属ガラス製造装置の溶解炉の構成原理の一実施例を示す概略模式図である。
【図3】 本発明の実施例13において製造された管状Pd40Ni10Cu3020 合金材の断面における中央域から取られたX線回折パターンである。
【図4】 本発明の実施例13において製造された管状Pd40Ni10Cu3020合金材の断面における中央域から取られた示差走査熱量測定曲線である。
【符号の説明】
10 金属ガラス製造装置
12 溶解炉
14 アーク電源
16 昇降装置
18 冷却水供給装置
20、24 真空排気装置
22 真空タンク
26 ガス供給源(ガスボンベ)
28 ハース
30 鋳型
30a 柱状中空部(キャビティ)
31 (保持)器具
31a 加熱または冷却領域
32 真空チャンバ
DP 油拡散真空ポンプ(ディフュージョンポンプ)
RP 油回転真空ポンプ(ロータリーポンプ)
MBP メカニカルブーストポンプ

Claims (16)

  1. 高加熱源を用いて所定雰囲気中にて金属材料を融解させ、
    柱状中空部を持つ鋳型を移動させて、得られた溶融金属中に前記鋳型の前記柱状中空部の先端を挿入し、
    前記鋳型の前記柱状中空部の内部を瞬時に負圧にすることによる負圧吸引力により、前記鋳型の前記柱状中空部の内部に前記溶融金属を急速に移動させ、
    前記鋳型の前記柱状中空部の内面に接する前記溶融金属を臨界冷却速度以上で選択的に急冷して固化し、管状金属ガラスを製造する金属ガラスの製造方法であって、
    前記負圧吸引力による、前記鋳型の前記柱状中空部の内部への前記溶融金属の移動中は、前記鋳型を、前記金属材料の溶融温度以下に加熱することにより、前記鋳型内部の前記溶融金属の粘性を低下させて前記溶融金属の流動性を維持しつつ、
    前記負圧吸引力により、前記溶融金属を前記鋳型の前記柱状中空部の内部へ移動させ、前記鋳型の前記柱状中空部の内部に前記溶融金属の管形状が形成された後、前記鋳型の前記柱状中空部の内部の前記溶融金属を臨界冷却速度以上で前記鋳型の外周面側から急冷することにより、長尺または薄肉の管状金属ガラスを製造することを特徴とする金属ガラスの製造方法。
  2. 前記鋳型は、少なくとも前記金属材料の溶融温度以下に加熱され、前記鋳型によって管形状が形成された後、前記鋳型の外面または内面を、液体または気体によって急速に冷却することを特徴とする請求項に記載の金属ガラスの製造方法。
  3. 前記鋳型の前記柱状中空部への前記溶融金属の吸い込み時間および負圧吸引力の少なくとも一方を調整して前記溶融金属の流量を調整し、前記鋳型の前記柱状中空部内に吸い込まれる前記溶融金属の量を調整し、前記管状金属ガラスの長さおよび肉厚を調整することを特徴とする請求項1または2に記載の金属ガラスの製造方法。
  4. 前記鋳型の前記柱状中空部の内部への前記溶融金属の負圧吸引力を増大させるために、前記溶融金属の前記鋳型柱状中空部内部への負圧吸引時、前記溶融金属を加圧することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属ガラスの製造方法。
  5. 前記管状金属ガラスの形状は、円管状、長円管状、角管状および異形管状のいずれかであり、前記鋳型の柱状中空部の外側形状は、前記管状金属ガラスの形状に対応して円形状、長円形状、角形状および異形状のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属ガラスの製造方法。
  6. 前記鋳型は、前記柱状中空部の中心に中子を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の金属ガラスの製造方法。
  7. 前記鋳型は、前記金属ガラスを熔着または被覆する管状材料によって形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の金属ガラスの製造方法。
  8. 前記鋳型を高速回転させつつ、この鋳型の前記柱状中空部内に前記溶融金属を移動させる請求項1〜7のいずれかに記載の金属ガラスの製造方法。
  9. 金属材料を融解させる高加熱源と、
    この高加熱源によって融解された溶融金属を貯留するハースと、
    管状金属ガラスを製造するための柱状中空部を持つ鋳型と、
    この鋳型を保持する保持器具と、
    前記鋳型の前記柱状中空部の先端を前記溶融金属中に挿入するために、前記鋳型を前記保持器具に保持させて移動させる手段と、
    前記鋳型の前記柱状中空部の内部に前記溶融金属を急速に移動させて、前記鋳型の前記柱状中空部の内面に接する前記溶融金属を臨界冷却速度以上で選択的に急冷して固化する管状金属ガラスを製造するために、前記鋳型の前記柱状中空部の内部を瞬時に負圧にするために十分な容量を有する負圧吸引力発生手段とを有する金属ガラスの製造装置であって、
    前記保持器具は、前記鋳型内部の前記溶融金属の粘性を低下させ、この溶融金属の流動性を高めるために、前記鋳型を溶融温度以下に加熱する手段を有し、
    前記負圧吸引力発生手段による負圧吸引力によって、前記鋳型の前記柱状中空部の内部への前記溶融金属の移動中は、前記鋳型を、前記金属材料の溶融温度以下に加熱することにより、前記鋳型内部の前記溶融金属の粘性を低下させて前記溶融金属の流動性を維持しつつ、
    前記負圧吸引力発生手段による負圧吸引力により、前記溶融金属を前記鋳型の前記柱状中空部の内部へ移動させ、前記鋳型の前記柱状中空部の内部に前記溶融金属の管形状が形成された後、前記鋳型の前記柱状中空部の内部の前記溶融金属を臨界冷却速度以上で前記鋳型の外周面側から急冷することにより、長尺または薄肉の管状金属ガラスを製造することを特徴とする金属ガラスの製造装置。
  10. 前記保持器具は、前記鋳型を少なくとも溶融温度以下に加熱する手段と、前記鋳型によって管状の形状が形成された後、前記鋳型の外面または内面を、液体または気体によって急速に冷却する急冷手段を有することを特徴とする請求項に記載の金属ガラスの製造装置。
  11. 前記鋳型の前記柱状中空部への前記溶融金属の吸い込み時間および負圧吸引力の少なくとも一方を調整する調整手段を有し、この調整手段によって前記溶融金属の流量を調整し、前記鋳型の前記柱状中空部内に吸い込まれる前記溶融金属の量を調整し、前記管状金属ガラスの長さおよび肉厚を調整することを特徴とする請求項9または10のいずれかに記載の金属ガラスの製造装置。
  12. 請求項9〜11のいずれかに記載の金属ガラスの製造装置であって、
    さらに、前記鋳型の前記柱状中空部の内部への前記溶融金属の負圧吸引力を増大させるために、前記溶融金属の前記鋳型柱状中空部内部への負圧吸引時、前記ハース内の前記溶融金属を加圧する加圧手段を有することを特徴とする金属ガラスの製造装置。
  13. 前記管状金属ガラスの形状は、円管状、長円管状、角管状および異形管状のいずれかであり、前記鋳型の柱状中空部の外側形状は、前記管状金属ガラスの形状に対応して円形状、長円形状、角形状および異形状のいずれかであることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の金属ガラスの製造装置。
  14. 前記鋳型は、前記柱状中空部の中心に中子を有することを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の金属ガラスの製造装置。
  15. 前記鋳型は、前記金属ガラスを熔着または被覆する管状材料によって形成されることを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載の金属ガラスの製造装置。
  16. 前記移動手段は、さらに、前記鋳型の前記柱状中空部内に前記溶融金属を移動させる際に前記鋳型を高速回転させる回転手段を有することを特徴とする請求項9〜15のいずれかに記載の金属ガラスの製造装置。
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