JP2015077633A - 球状化剤インゴットの製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】球状化剤溶湯中の黒鉛球状化元素の酸化を効果的に抑制しつつ、より緻密で偏析の少ない、高品質な板状の球状化剤インゴットを、工業的に有利に製造し得る方法を提供すること。
【解決手段】黒鉛球状化元素を含む原料を溶融して球状化剤溶湯22を形成し、その球状化剤溶湯22をインゴットケース10の成形凹所12内に注湯して、所定深さの溶湯プール24を形成せしめ、かかる溶湯プール24の湯面に蓋体14を接触せしめて、蓋体14の下面16にて溶湯プール24の湯面を加圧して押し下げることにより、インゴットケース10と蓋体14との間において球状化剤溶湯22を押し拡げて、溶湯プール24の溶湯深さを低減せしめる一方、蓋体14による冷却作用によって、球状化剤溶湯22の冷却を促進させて、凝固せしめることにより、所定厚さの板状の球状化剤インゴットを製造するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、球状化剤インゴットの製造法に係り、特に、緻密で成分偏析の少ない、均質な球状化剤の板状インゴットを、有利に製造する方法に関するものである。
従来から、鋳鉄溶湯に、Mg、Ca、Si、RE(希土類元素)等の黒鉛球状化元素を含む球状化剤を添加して、かかる溶湯中の黒鉛を球状化せしめることにより得られる球状黒鉛鋳鉄は、強度や靭性等の特性に優れているところから、鋳鉄管や自動車のエンジン、足回り材料等として、広く用いられてきている。また、そのような球状黒鉛鋳鉄の製造に際しては、通常、置き注ぎ法やサンドイッチ法と称される手法が採用されて、固形の粒状形態にある所定サイズの球状化剤を取鍋の底部に配置した状態において、鋳鉄溶湯を注湯せしめることにより、それら球状化剤と鋳鉄溶湯との反応を進めて、かかる球状化剤中の黒鉛球状化元素にて、鋳鉄溶湯中の黒鉛を球状化せしめるようになっている。
そして、そのような置き注ぎ法やサンドイッチ法による黒鉛球状化に際しては、球状化剤として、特許文献1〜2や非特許文献1にみられるように、所定サイズ(大きさ)の固形の粒状物が用いられており、それには、一般に、Fe−Si−Mg合金、Ni−Mg合金、Cu−Mg合金等の黒鉛球状化添加合金からなる板状インゴットを破砕して、得られる破砕物が、市場において提供され、例えば、2mm〜30mm程度のサイズのものが、用いられてきている(非特許文献2等参照)。
ところで、そのような球状化剤の破砕物は、一般に、図4(a)に示されるように、球状化剤(黒鉛球状化添加合金)の溶湯Mを、インゴットケースCの成形凹所F内に注湯して、所定深さの溶湯プールを形成せしめ、そしてその形態において徐冷することにより、凝固せしめて、かかる球状化剤の板状物(インゴット)を成形した後、その得られたインゴットを、適当な破砕装置を用いて、目的のサイズに破砕することによって、製造されている。
しかしながら、そこでは、インゴットケースCの成形凹所Fが大気中に開放された状態下において、球状化剤溶湯Mが放冷されて、凝固せしめられることにより、インゴットが成形されることとなるところから、溶湯表面が大気に長時間さらされることとなり、それによって、球状化剤溶湯中の合金成分たるMgやRE等の黒鉛球状化元素が空気にて酸化されて、酸化物となることにより、活性な黒鉛球状化元素の含有量が低下した球状化剤が製造されることとなる。そのために、鋳鉄溶湯中の黒鉛を球状化させる球状化剤自体の使用量を多くしなければならないという問題があり、また凝固時間が長くなることにより、溶湯中の添加成分の偏析が多くなって、球状化剤自体の品質の均一性にも問題を生じるようになる。
また、球状化剤のインゴットの成形のために、図4(b)に示されるように、インゴットケースCの成形凹所Fの開口部に、蓋板Lを嵌合して配置せしめる一方、かかる蓋板Lの一部を切り欠いて形成された注湯口Iから、所定の球状化剤溶湯Mを注湯して、成形凹所F内に所定深さに収容した後、放冷凝固せしめることにより、目的とするインゴットを成形する手法も、考えられてはいるのであるが、そのようにして得られたインゴットにあっても、上記した黒鉛球状化元素の酸化、ひいては球状化剤の使用量が増える問題や、添加成分の偏析、ひいては球状化剤の不均一性の問題を充分に解決するには至っていないのである。
特公昭57−40205号公報 特開2008−179854号公報
丸善株式会社発行「改訂3版 鋳物便覧」第1114〜1115頁 東洋電化工業株式会社カタログ「MAGNESIUM ALLOY 黒鉛球状化剤」第1〜18頁
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、球状化剤溶湯中の黒鉛球状化元素の酸化を効果的に抑制しつつ、より緻密で偏析の少ない、高品質な板状の球状化剤インゴットを、工業的に有利に製造し得る方法を提供することにある。
そして、本発明にあっては、かくの如き課題を解決するために、鋳鉄溶湯中の黒鉛を球状化せしめる黒鉛球状化元素を含む球状化剤からなる板状インゴットを製造する方法にして、(a)該黒鉛球状化元素を含む球状化剤を与える原料を溶融して、球状化剤溶湯を形成する溶湯形成工程と、(b)その得られた球状化剤溶湯をインゴットケースの成形凹所内に注湯して、所定深さの溶湯プールを形成せしめる工程と、(c)該インゴットケースの成形凹所内の溶湯プールの湯面に蓋体を接触せしめ、該蓋体を介して、かかる溶湯プールの湯面を加圧して押し下げることにより、該インゴットケースと該蓋体との間において該溶湯プールを形成する球状化剤溶湯を押し拡げて、該溶湯プールの溶湯深さを低減せしめる一方、該蓋体による冷却作用にて、該溶湯プールを形成する球状化剤溶湯の冷却を促進させて、凝固せしめることにより、所定厚さの板状のインゴットを成形する工程とを、含むことを特徴とする球状化剤インゴットの製造法を、その要旨とするものである。
なお、このような本発明に従う球状化剤インゴットの製造法の好ましい態様の一つによれば、前記蓋体の自重によって、前記溶湯プールの湯面に対する加圧が行われるようになっている。
また、本発明に従う球状化剤インゴットの製造法の望ましい態様の他の一つによれば、前記蓋体が、伝熱性の良好な材質を用いて形成されている。
さらに、本発明にあっては、好ましくは、前記板状のインゴットが、前記インゴットケースと前記蓋体との間において、50mmを超えない厚さを有するように成形されることとなる。
加えて、本発明においては、好ましくは、前記インゴットケースの成形凹所の底面が、球面形状乃至は楕円体面形状とされている一方、前記蓋体の溶湯プール湯面に接触せしめられる下面が、該成形凹所の内面に対応する球面形状乃至は楕円体面形状とされている構成が、採用される他、前記インゴットケースの成形凹所が、平坦な底面を備えて、一定深さの凹所として形成されている一方、前記蓋体が、該成形凹所内に入り込み得る寸法において形成されていると共に、その溶湯プール湯面に接触せしめられる下面が平坦面とされている構成が、採用されることとなる。
このように、本発明にあっては、インゴットケースの成形凹所内に収容された球状化剤溶湯からなる溶湯プールの湯面に対して、蓋体を接触せしめ、更にかかる蓋体を介して、溶湯プールの湯面を加圧して、押し下げるようにすることにより、インゴットケースと蓋体との間において、溶湯プールを形成する球状化剤溶湯が押し拡げられて、かかる溶湯プールの溶湯深さが低減せしめられる一方、かかる蓋体による冷却作用にて、溶湯プールを形成する球状化剤溶湯の冷却が、効果的に促進せしめられ得ることとなるのであり、これによって、迅速に球状化剤溶湯の凝固を行わしめ得ることとなるために、緻密な組織が効果的に実現され得て、添加成分の偏析も有利に抑制乃至は阻止され得るのであって、以て、得られるインゴットの品質の均一化が、有利に実現され得ることとなるのである。
しかも、本発明にあっては、溶湯プールの球状化剤溶湯に接触せしめた蓋体による冷却作用によって、球状化剤溶湯の凝固が迅速に進行せしめられると共に、押し拡げられる溶湯プールの溶湯表面が蓋体に接触して、大気から遮断されるようになるところから、球状化剤溶湯の酸化も、効果的に抑制乃至は阻止され得ることとなるのであり、以て、球状化剤中の酸化物量が有利に低減され得て、より有効な活性Mg等の黒鉛球状化元素を、球状化剤中により多く残存させることが出来るところから、少ない球状化剤の使用量にて黒鉛球状化効果を発揮させることが可能となって、そのような球状化剤の鋳鉄溶湯中への添加量も、効果的に削減することが出来ることとなるのである。
本発明に従う球状化剤インゴットの製造法の一つの工程を示す断面説明図であって、(a)は、インゴットケースの成形凹所内に所定深さの溶湯プールが形成された状態を示し、(b)は、インゴットケースの成形凹所内に形成された溶湯プールの湯面を蓋体にて押圧して、押し拡げてなる状態を示している。 本発明に従う球状化剤インゴットの製造法において、図1とは異なるインゴットケースを用いた場合における工程説明図であって、(a)及び(b)は、それぞれ、図1における(a)及び(b)に対応する状態を示している。 インゴットの金属組織を示す電子顕微鏡写真であって、(a)は、本発明に従って得られたインゴットの電子顕微鏡写真であり、(b)は、従来法によって得られたインゴットの電子顕微鏡写真である。 従来の球状化剤インゴットを製造する形態の異なる一つを示す断面説明図であって、(a)は、インゴットケースに球状化剤溶湯を収容して、凝固せしめる形態を示しており、(b)は、蓋付きのインゴットケースに球状化剤溶湯を注湯して、凝固せしめる形態を示している。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に従う球状化剤インゴットの製造法に用いられる成形型を構成するインゴットケースと蓋体の一例が、概略的に示されている。そこにおいて、インゴット成形型の下型となるインゴットケース10は、耐火性・耐熱性材質で、且つ熱伝導性に富む材質からなるものであって、中空の球体乃至は楕円体形状、所謂中華鍋形状を呈し、その内面が、球面形状乃至は楕円体面形状とされて、インゴットの成形凹所12が形成されている。また、蓋体14は、鋳鉄の如き伝熱性の良好な材質からなる重錘形状を呈するものであって、その下面16外周面が、インゴットケース10の成形凹所12の内面形状に対応した、球面形状乃至は楕円体面形状とされている一方、その上部に設けられた係合孔18に、クレーンのフック20が引っ掛けられることにより、重量のある蓋体14が吊り下げられて、昇降移動せしめられ得るようになっている。
そして、このようなインゴットケース10と蓋体14とを用いて、本発明に従って、目的とする板状のインゴットを製造するに際しては、先ず、図1(a)に示される如く、インゴットケース10の成形凹所12内に、球状化剤溶湯22の所定量が流し込まれて、所定深さ(D)の湯だまり、換言すれば溶湯プール24が、形成されることとなる。
ここで、かかるインゴットケース10の成形凹所12内に注湯される球状化剤溶湯22は、通常、MgやSi、Ca、RE(希土類元素)乃至はミッシュメタル等の、鋳鉄溶湯中の黒鉛を球状化せしめる黒鉛球状化元素を、Fe、Ni、Cu等の金属元素と合金化してなる、Fe−Si−Mg系合金、Ni−Mg系合金、Cu−Mg系合金等の形態とした黒鉛球状化添加合金の溶湯であって、一般に、そのような黒鉛球状化添加合金を与える従来と同様な原料を用いて、それを溶融することにより、所定の黒鉛球状化添加合金溶湯が、球状化剤溶湯22として形成されて、用いられることとなる。
次いで、インゴットケース10の成形凹所12内に形成された所定深さ(D)の溶湯プール24に対して、図1(a)に示される状態から、クレーンに吊り下げられた蓋体14が下降せしめられて、その下面16が湯面に接触せしめられた後、かかる蓋体14の自重(重量)にて、溶湯プール24の湯面を加圧して、押し下げるようにされる。即ち、蓋体14は、重りを兼ねた落とし蓋として溶湯表面に作用することとなるのである。これにより、インゴットケース10と蓋体14との間において、具体的には成形凹所12の内面(底面)と蓋体14の下面16との間において、溶湯プール24を構成する球状化剤溶湯22が押し拡げられて、溶湯プール24の溶湯深さ(d)が、図1の(b)に示される如く、低減されて、浅くなる一方、かかる蓋体14による冷却作用にて、溶湯プール24の球状化剤溶湯22の冷却が促進せしめられて、迅速に凝固させられるようにするのである。これによって、インゴットケース10の成形凹所12内面(底面)と蓋体14の下面16との間の距離に対応する厚さの板状のインゴットが、得られることとなるのである。
従って、このようにして得られた板状の球状化剤インゴットにあっては、溶湯プール24の球状化剤溶湯22を押し拡げてなる形態において、蓋体14の冷却作用にて、急速に冷却せしめて、凝固させられたものであるところから、添加成分の偏析が、可及的に抑制乃至は阻止され得ることとなって、より緻密で、偏析の少ない、均一な球状化剤を得ることが出来るのである。
また、重量のある蓋体14にて、溶湯プール24(球状化剤溶湯22)の湯面に接触させて、一気に押し拡げるようにすることにより、溶湯プール24の湯面が大気に接触する時間が短縮され、更に蓋体14の下面16にて、大気との接触が遮断されるようにもなるところから、Mg、Ca、RE等の容易に大気中の酸素と結合し易い黒鉛球状化元素類の酸化を、効果的に阻止せしめ得ることとなるのであって、これにより、黒鉛球状化元素の損失を回避して、鋳鉄溶湯中の黒鉛を球状化せしめるために必要とされる球状化剤の使用量も、有利に低減せしめることが可能となる。
しかも、溶湯プール24の湯面に浮遊する酸化物が存在していても、蓋体14の下面16にて溶湯プール24の湯面を押し下げることにより、そのような浮遊酸化物は、インゴットケース10と蓋体14との間において、押し拡げられた球状化剤溶湯22の外周部、例えば図1(b)に示されるように、インゴットケース10の成形凹所12の開口部周りの球状化剤溶湯22の溢流部26に集まるようになるのであり、また球状化剤溶湯22に含まれているガス類も、外周部へ押し出されるようになって、酸化物やガス類の巻き込みの少ない、より高品質な球状化剤のインゴットが得られるようになるのである。
なお、インゴットケース10の成形凹所12内に蓋体14を落とし込んで、溶湯プール24の湯面を加圧して、押し下げることにより、溶湯プール24の球状化剤溶湯22を押し拡げて、それらインゴットケース10と蓋体14との間に形成される球状化剤溶湯22の厚さ(d)、換言すれば、凝固して得られるインゴットの厚さとしては、蓋体14による冷却を効果的に行わしめる上において、50mmを超えない厚さ、好ましくは30mm以下、より好ましくは20mm以下の厚さが採用されることとなる。また、そのような球状化剤溶湯22の押し拡げられた厚さ(d)の下限としては、インゴット製造の容易性や生産性等の実用的な観点から、一般に、3mm以上、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上の厚さが採用されることとなる。
また、本発明の特徴は、図1に示される如き形状のインゴットケース10と蓋体14とを用いることによって、より一層有利に発揮され得るものであるが、本発明では、公知の各種の成形型構造を採用することが可能であり、例えば、図2に示される如き、平坦な成形凹所を備えた構造のインゴットケースや蓋体を用いることが可能である。
すなわち、図2においては、インゴットケース30の成形凹所32が、平坦な底面を有する形態において、一定深さの凹所として形成されている一方、厚肉ブロック状の蓋体34が、かかる成形凹所32内に入り込み得る寸法において形成されていると共に、その下面36が、平坦面とされている。そして、かかる蓋体34の平坦な下面36が、図2の(a)に示される球状化剤溶湯22の注湯によって形成された所定深さ(D)の溶湯プール24の湯面に接触せしめられて、かかる湯面を加圧して、押し下げることにより、図2の(b)に示される如く、インゴットケース30と蓋体34との間において、溶湯プール24を形成する球状化剤溶湯22を押し拡げて、球状化剤溶湯22の深さ乃至は厚さ(d)を低減せしめる一方、かかる蓋体34による冷却作用にて、球状化剤溶湯22の冷却を促進して、凝固せしめるようになっているのである。
ところで、かくの如き本発明の特徴は、図1に示されるインゴットケースと蓋体14を用いて成形して得られた本発明に従う球状化剤インゴットと、図4(a)に示されるインゴットケースCを用いて得られた従来の球状化剤インゴットとを対比することにより、更に明瞭に理解することが出来る。
すなわち、図1に示されるインゴットケース10と蓋体14を用いた球状化剤インゴットの製造に際しては、先ず、インゴットケース10の成形凹所12内に、別途溶製した球状化剤溶湯22の約1トンを注湯した。なお、球状化剤溶湯22は、加熱溶解炉として電気炉を用い、目標合金組成が、重量基準で、Si:37〜50%、Mg:4.8〜5.2%、Ca:1.8〜2.2%、RE:1.6〜2.0%、Fe:残部からなる黒鉛球状化剤を製造すべく、溶解原料として、フェロシリコン(Fe−Si:75%Si)、金属マグネシウム(Mg)、ミッシュメタル(RE)、カルシリ(Ca−Si)及び鉄スクラップ(Fe)の所定量を投入して、溶製した。
次いで、かかる球状化剤溶湯22の注湯の後、その球状化剤溶湯22が凝固する前に、直ちに、クレーンに吊り下げられた蓋体14を降下せしめて、溶湯表面に接触させ、更に、その自重にて、溶湯プール24の湯面を加圧して、押し下げることにより、インゴットケース10と蓋体14の間において、溶湯プール24の球状化剤溶湯22を押し拡げ、溶湯深さを低減せしめた。一方、蓋体14の下面16との全面的な接触によって、球状化剤溶湯22を急激に冷却せしめて、凝固を行い、所定厚さの板状の球状化剤固形物からなる椀型乃至中華鍋形状の球状化剤インゴットを得た。そして、そのような形状の球状化剤インゴットを破砕することによって、3〜25mm程度の固形の黒鉛球状化剤(粒状物)を得た。その合金組成は、Si:44.13%、Mg:5.21%、RE:2.07%、Ca:1.58%、Al:0.54%、Fe:残部であり、その酸素含有量の分析値は、0.5〜0.7%であった。
一方、比較のために、図4(a)に示される従来の球状化剤インゴットの製造法に従って、上記で用いた球状化剤溶湯22を、インゴットケースCの成形凹所F内に注湯した後、そのまま放置して、冷却し、凝固せしめることにより、所定厚さの板状のインゴットを成形した。そして、その得られた板状インゴットを、更に、破砕することにより、固形の黒鉛球状化剤(粒状物)を製造したところ、その合金組成は、Si:44.6%、Mg:5.25%、RE:2.1%、Ca:1.65%、Al:0.53%、Fe:残部となり、その酸素含有量の分析値は、1.0〜1.2%となった。
また、上記で得られた本発明に従う球状化剤インゴットと、従来法によって得られた球状化剤インゴットとについて、それぞれ、その金属組織を電子顕微鏡(日本電子株式会社製JIB−4600F)を用いて観察し、それらの顕微鏡写真を、図3(a)及び(b)として示す。そこにおいて、(a)は、本発明に従って得られたインゴットに係る顕微鏡写真であり、(b)は、従来法に従って得られたインゴットの顕微鏡写真である。
そして、かかる図3(a)及び(b)に示される顕微鏡写真の対比から明らかな如く、本発明に従って得られる球状化剤インゴットにおいては、結晶が小さく、凝固の方向性がよく理解出来ると共に、より緻密で、偏析の少ない金属組織となっているのが認められるのに対して、従来法に従って得られた球状化剤インゴットにおいては、球状化剤溶湯の放冷による凝固によって、結晶が大きく、凝固の方向性にも乏しいことが理解されると共に、偏析が生じており、また緻密度も低いことが認められるのである。
さらに、それら2種類のインゴットから得られた黒鉛球状化剤を用いて、それぞれ、鋳鉄溶湯(C:3.7%、Si:2.5%、Mn:0.27%、P:0.06%、S:0.0125%、Fe:残部)の1トンを、1480℃の処理温度において、黒鉛球状化処理を施した。その結果、目的とする黒鉛球状化処理を達成するには、従来の黒鉛球状化剤を用いた場合には、0.95%の添加量が必要であったのに対して、本発明に従うインゴットから得られた黒鉛球状化剤にあっては、その添加量を0.90%まで低下させることが可能となり、これによって、本発明に従って得られたインゴットから得られる黒鉛球状化剤にあっては、その使用量を5%程度削減し得ることが明らかとなった。
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
例えば、上述の実施形態において用いられる蓋体14,34には、何れも、伝熱性の良好な材質として、鋳鉄材質が採用されているのであるが、その他、鋼材質や銅材質等の金属材質も採用することが出来、またSiCやレンガ等のセラミック材質を採用することも可能である。
また、蓋体14,34は、その自重を利用して、球状化剤溶湯22にて形成される溶湯プール24の湯面を加圧するように構成して、蓋体14,34とインゴットケース10,30との間において、溶湯プール24を構成する球状化剤溶湯22を押し拡げるようになっているが、これに代えて、或いは蓋体14,34の重量を利用しつつ、そのような蓋体14,34に対してプレス加圧等の機械的な操作を加えることによって、溶湯プール24の湯面に対して押圧力を加えるようにすることも可能である。
なお、本発明に従って、インゴットケース10,30と蓋体14,34とを用いて、球状化剤溶湯22を凝固せしめて得られる所定厚さの板状のインゴットは、従来と同様な破砕等の機械的な破壊操作にて、目的とする大きさの黒鉛球状化剤粒状物として、鋳鉄溶湯の黒鉛球状化操作に用いられることとなる。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
10,30 インゴットケース 12,32 成形凹所
14,34 蓋体 16,36 下面
18 係合孔 20 フック
22 球状化溶湯 24 溶湯プール

Claims (6)

  1. 鋳鉄溶湯中の黒鉛を球状化せしめる黒鉛球状化元素を含む球状化剤からなる板状インゴットを製造する方法にして、
    該黒鉛球状化元素を含む球状化剤を与える原料を溶融して、球状化剤溶湯を形成する溶湯形成工程と、
    その得られた球状化剤溶湯をインゴットケースの成形凹所内に注湯して、所定深さの溶湯プールを形成せしめる工程と、
    該インゴットケースの成形凹所内の溶湯プールの湯面に蓋体を接触せしめ、該蓋体を介して、かかる溶湯プールの湯面を加圧して押し下げることにより、該インゴットケースと該蓋体との間において該溶湯プールを形成する球状化剤溶湯を押し拡げて、該溶湯プールの溶湯深さを低減せしめる一方、該蓋体による冷却作用にて、該溶湯プールを形成する球状化剤溶湯の冷却を促進させて、凝固せしめることにより、所定厚さの板状のインゴットを成形する工程とを、
    含むことを特徴とする球状化剤インゴットの製造法。
  2. 前記蓋体の自重によって、前記溶湯プールの湯面に対する加圧が行われるようになっている請求項1に記載の球状化剤インゴットの製造法。
  3. 前記蓋体が、伝熱性の良好な材質を用いて形成されている請求項1又は請求項2に記載の球状化剤インゴットの製造法。
  4. 前記板状のインゴットが、前記インゴットケースと前記蓋体との間において、50mmを超えない厚さを有するように成形される請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の球状化剤インゴットの製造法。
  5. 前記インゴットケースの成形凹所の底面が、球面形状乃至は楕円体面形状とされている一方、前記蓋体の溶湯プール湯面に接触せしめられる下面が、該成形凹所の内面に対応する球面形状乃至は楕円体面形状とされている請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の球状化剤インゴットの製造法。
  6. 前記インゴットケースの成形凹所が、平坦な底面を備えて、一定深さの凹所として形成されている一方、前記蓋体が、該成形凹所内に入り込み得る寸法において形成されていると共に、その溶湯プール湯面に接触せしめられる下面が平坦面とされている請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の球状化剤インゴットの製造法。
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