JP3837477B2 - アルミナ粒子分散複合材料の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、アルミナ粒子分散複合材料の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、耐摩耗性の部分的な向上を容易に可能とし、大量生産やコスト低減などを図ることのできる、アルミナ粒子分散複合材料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
鉄道用ブレーキ材には、これまで、鋳鉄が一般に用いられてきている。これは、鋳鉄が、鉄マトリックス中に黒鉛が存在するものであることによる。鋼鉄製の車輪にブレーキ片を押し付ける際に、ブレーキ片を構成する鋳鉄中の黒鉛が、制動時に発生する摩擦熱によるブレーキ片の車輪への焼付きを防止するからである。
【0003】
このような鉄道用ブレーキ材をはじめ、粉粒体輸送用のパイプ、摺動部材などには、装置や設備を停止してのメンテナンスを軽減するためにも、耐摩耗性の向上が要求されるが、要求される部位は部材全体である必要はなく、ごく一部であればよい。
【0004】
そこで、それら部材に用いられる材料の金属基材、たとえば前記の鋳鉄などの鉄系合金、さらにアルミニウム合金のマトリックスにおいて、所要部分に、硬質であるアルミナ粒子を分散させたアルミナ粒子分散複合材料が一案として考えられる。
【0005】
ところが、アルミナは、溶融状態にある、鋳鉄、鉄系合金、さらにアルミニウム合金と濡れ性が悪く、しかも密度差が大きいため、アルミナ粒子を溶湯へ添加、攪拌しても、容易に分離してしまう。したがって、溶融鋳鉄、溶融鉄系合金、さらに溶融アルミニウム合金とアルミナとを複合化させるためには何らかの技術手段が必要とされる。粉末冶金法や、アルミナ粒子を圧縮成形し、その成形体に溶融金属を圧入するなどが試みられているが、いずれも、溶製法という範疇に属さないため、アルミナ粒子分散複合材料の製造方法としては簡単ではなく、その結果、生産性やコストなどに反映する。
【0006】
この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、耐摩耗性の部分的な向上を容易に可能とし、大量生産やコスト低減などを図ることのできる、アルミナ粒子分散複合材料の製造方法を提供することを解決すべき課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、前述の課題を解決するものとして、アルミナが、攪拌混合しても分離しやすく、アルミナより密度の大きい鋳鉄とアルミニウムとの混合溶湯に、金属酸化物を添加して攪拌し、溶湯内部でアルミニウムと金属酸化物とをテルミット反応させてアルミナを生成させ、次いで凝固させて、鋳鉄の表面付近にアルミナ粒子が分散し、鋳鉄と複合化された材料を製造することを特徴とするアルミナ粒子分散複合材料の製造方法(請求項1)を提供する。
【0009】
以下、実施例を示しつつ、この出願の発明のアルミナ粒子分散複合材料の製造方法についてさらに詳しく説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
この出願の発明のアルミナ粒子分散複合材料の製造方法では、前述の通り、アルミナが、攪拌混合しても分離しやすく、アルミナより密度の大きい鋳鉄とアルミニウムとの混合溶湯を作製する。たとえば、鋳鉄とアルミニウムインゴットとを同時に溶融したり、鋳鉄の溶湯中に、アルミニウムを添加して溶融させ、混合させたりするなどが考えられる。
【0011】
アルミニウムの量は、鋳鉄に対しおよそ1重量%〜20重量%程度とすることができる。アルミニウムの量が1重量%の時、添加したアルミニウムがすべてアルミナに変化しても、最終的に得られる材料では3.5体積%程度であるが、このアルミナを、耐摩耗性が必要とされる部位に局部的に集中させることを考慮すると、その程度の体積%でも耐摩耗性の向上に有効である。したがって、アルミニウムの量は、耐摩耗性が必要とされる部位の大きさに応じて、また、アルミナに変化させる金属酸化物の量を調節することなどにより適宜設定することができる。一方、アルミニウムの量が20重量%を超えると、これがすべてアルミナに変化した場合、最終的に得られる材料の70体積%以上を占めることとなり、使用に堪えないと懸念される。したがって、たとえ金属酸化物の量により、最終的に得られる材料中のアルミナの体積%を変化させることができるとしても、上限を考慮するならば、以上からアルミニウムの量は、20重量%が適当と考えられるのである。
【0012】
次いで、前記混合溶湯中に、たとえば酸化鉄などの金属酸化物を添加して攪拌し、溶湯内部でアルミニウムと金属酸化物とをテルミット反応させてアルミナを生成させる。テルミット反応は、アルミニウムの酸化により発生する多量の熱を利用した金属酸化物の還元反応であり、したがって、アルミニウムは、金属酸化物を還元し、自身はアルミナとなる。遊離した、たとえば鉄などの金属は、テルミット反応時に発生する高温により溶融状態となり、溶湯と混合される。
【0013】
そして、最終的に凝固させることにより、鋳鉄との密度差に基づき、アルミナ粒子が鋳鉄の表面付近に分散し、鋳鉄と複合化された材料が製造される。硬質であるアルミナ粒子は、溶湯内部で生成するため、鋳鉄との濡れ性が悪くとも良好に分散し、耐摩耗性が要求される鋳鉄の表面に分散する。
【0014】
このため、前述の鉄道用ブレーキ材、粉粒体輸送用のパイプ、摺動部材などは、耐摩耗性が要求される部位において耐摩耗性の向上が望める。したがって、装置や設備を停止してのメンテナンスが軽減されることになる。
【0015】
しかも、この出願の発明のアルミナ粒子分散複合材料の製造方法は、溶製法の範疇に属すため、耐摩耗性の部分的な向上を容易に可能とし、大量生産やコスト低減などを図ることができる。また、この出願の発明のアルミナ粒子分散複合材料の製造方法により製造されたアルミナ粒子分散複合材料は、リサイクル時にアルミナを容易に分離することができるという利点も有する。
【0016】
なお、この出願の発明のアルミナ粒子分散複合材料の製造方法では、耐摩耗性の向上がより有効に発揮されるには、生成するアルミナ粒子は、粒子径数μmの微細粒よりも10μm以上のものが好ましい。また、生成したアルミナ粒子は凝集しやすいため、金属酸化物を添加するタイミング、凝固時間などを適宜調整し、耐摩耗性の向上に有効な大きさにまで成長させることが好ましい。さらに、粉粒体輸送用などのパイプを製造する際には、重力差を利用し、遠心鋳造などを行い、密度の低く、硬質のアルミナ粒子をパイプの内表面付近に分散させることができる。このように、この出願の発明のアルミナ粒子分散複合材料の製造方法では、適宜な手段を講ずることにより、耐摩耗性が要求される部材の表面付近に、硬質のアルミナ粒子を分散させることができる。
【0017】
次に、この出願の発明のアルミナ粒子分散複合材料の製造方法の実施例を示す。
【0018】
【実施例】
まず、工業用純鉄(具体的には電解鉄)、黒鉛(具体的には電極黒鉛)、 Fe-Si 合金、そしてアルミニウムインゴットを溶融し、炭素 3.2 重量 % 、シリコン 2.0 重量 % 、アルミニウム 1 重量 % のアルミニウム含有鋳鉄の溶湯を作製した。
【0020】
次いで、鋳鉄中のアルミニウムをすべてアルミナに変化させる量の酸化鉄を鉄箔に包み、耐火断熱取鍋の内部に配置した後、1773Kの前記アルミニウム含有鋳鉄の溶湯を流し込み、30秒間サイアロン製攪拌子で攪拌した。そして、大きさ40mm×40mm×150mmのブロック状試験片採取用の砂型に流し込み、試料を鋳造した。
【0021】
図1<a><b>は、それぞれ、鋳造した試料を縦方向に切り出し、その断面を光学顕微鏡により異なる倍率で観察した図面に代わる組織写真である。
【0022】
これらの組織写真には、試料上部の表面付近に、黒球状のアルミナ(Al2O3)と白いシリカ(SiO2)が混在した粒子が分散していることが写し出されている。この結果から、溶湯内部でアルミニウムと酸化鉄とがテルミット反応し、0.5μm以下の微細なアルミナ粒子が生成した後、凝集時に溶湯中のシリカを巻き込み、大きいものでは約30μm程度に成長するものの、溶湯との密度差が大きいため、鋳塊上部の表面付近に浮上したと考えられる。
【0023】
もちろん、この出願の発明は、以上の実施形態及び実施例によって限定されるものではない。金属酸化物の種類、アルミニウムの量などの細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。
【0024】
【発明の効果】
以上詳しく説明した通り、この出願の発明によって、耐摩耗性の部分的な向上が容易に可能となり、大量生産やコスト低減などに寄与する。また、この出願の発明では、材料のリサイクル時にアルミナを容易に分離することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】<a><b>は、それぞれ、実施例で鋳造した試料を縦方向に切り出し、その断面を光学顕微鏡により異なる倍率で観察した図面に代わる組織写真である。
Claims (1)
- アルミナが、攪拌混合しても分離しやすく、アルミナより密度の大きい鋳鉄とアルミニウムとの混合溶湯に、金属酸化物を添加して攪拌し、溶湯内部でアルミニウムと金属酸化物とをテルミット反応させてアルミナを生成させ、次いで凝固させて、鋳鉄の表面付近にアルミナ粒子が分散し、鋳鉄と複合化された材料を製造することを特徴とするアルミナ粒子分散複合材料の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2001245879A JP3837477B2 (ja) | 2001-08-14 | 2001-08-14 | アルミナ粒子分散複合材料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001245879A JP3837477B2 (ja) | 2001-08-14 | 2001-08-14 | アルミナ粒子分散複合材料の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2003055720A JP2003055720A (ja) | 2003-02-26 |
JP3837477B2 true JP3837477B2 (ja) | 2006-10-25 |
Family
ID=19075549
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2001245879A Expired - Lifetime JP3837477B2 (ja) | 2001-08-14 | 2001-08-14 | アルミナ粒子分散複合材料の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3837477B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104308398A (zh) * | 2014-10-11 | 2015-01-28 | 江苏大学 | 一种制备铁基原位复合材料堆焊焊丝的方法 |
-
2001
- 2001-08-14 JP JP2001245879A patent/JP3837477B2/ja not_active Expired - Lifetime
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CN104308398A (zh) * | 2014-10-11 | 2015-01-28 | 江苏大学 | 一种制备铁基原位复合材料堆焊焊丝的方法 |
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