JP2002085011A

JP2002085011A - ハス胚芽抽出物組成物、ハス胚芽抽出物含有飲食物、及びハス胚芽抽出物の呈味改善方法

Info

Publication number: JP2002085011A
Application number: JP2000283097A
Authority: JP
Inventors: Riyouji Takagaki; 了士高▲柿▼; Yoshihiko Ishida; 芳彦石田
Original assignee: Maruzen Pharmaceutical Co Ltd
Current assignee: Maruzen Pharmaceutical Co Ltd
Priority date: 2000-09-19
Filing date: 2000-09-19
Publication date: 2002-03-26

Abstract

(57)【要約】【解決手段】（Ａ）糖アルコール、可食性酸類及び甘
味度がショ糖の０.１〜０.７倍である単糖類又は二糖類
から選ばれた少なくとも１種類の化合物と、（Ｂ）ハス
胚芽抽出物とを含有する呈味良好なハス胚芽抽出物組成
物、ハス胚芽抽出物含有飲食物、及びハス胚芽抽出物の
呈味改善方法。【効果】ハス胚芽抽出物が有する苦味及び渋み等の非
嗜好性の呈味を簡便な操作により改善し得、飲食物の製
造における経済性、安全性の点に優れており、ハス胚芽
抽出物を必要とする幅広い分野に利用することができる
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ハス胚芽抽出物組
成物、ハス胚芽抽出物含有飲食物、及びハス胚芽抽出物
の呈味改善方法に関し、更に詳述すると、ハス胚芽抽出
物を利用する場合の障害となる苦味や渋味等の不快な呈
味を解消することができるハス胚芽抽出物組成物、ハス
胚芽抽出物含有飲食物、及びハス胚芽抽出物の呈味改善
方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】スイレ
ン科ハス属に属するハスの実（種子）は、漢方では蓮子
（れんし）と呼ばれ、中国では子宝に恵まれる慶祝食品
として珍重されており、特にハスの実の胚芽には強い滋
養強壮効果があると考えられている。

【０００３】そこで、ハスの実の胚芽から上記有効成分
を抽出し、活性の強いハス胚芽抽出物を飲料に添加して
飲用するか、又は飲食物に添加して摂取することが試み
られている。

【０００４】しかしながら、ハス胚芽抽出物は、有効成
分それ自体が苦味及び渋味を強く感じさせる不快な味を
有するため飲用又は飲食に適さず、またそれを飲食物に
配合すればその飲食物本来の風味を著しく損なうか、味
の調和をとることが困難となり、広汎な利用が妨げられ
ているという問題がある。

【０００５】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
で、苦味及び渋味等の不快な呈味が利用の妨げとなって
いたハス胚芽抽出物の呈味を改善し得、飲料や飲食物の
形での摂取を容易にすることができ、幅広い分野に有効
利用を図ることができるハス胚芽抽出物組成物、ハス胚
芽抽出物含有飲食物、及びハス胚芽抽出物の呈味改善方
法を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を進めた結
果、ハス胚芽抽出物に糖アルコール、可食性酸類及び甘
味度がショ糖の０.１〜０.７倍である単糖類又は二糖類
から選ばれた少なくとも１種類の化合物を配合すること
により、これら各成分が相乗的に働いて、苦味及び渋味
等の不快な呈味を効果的に抑えることができ、優れた作
用を有するハス胚芽抽出物を飲料や飲食物の形で安全か
つ安価に提供できることを知見し、本発明をなすに至っ
た。

【０００７】即ち、本発明は、下記のハス胚芽抽出物組
成物、ハス胚芽抽出物含有飲食物及びハス胚芽抽出物の
呈味改善方法を提供する。請求項１：（Ａ）糖アルコール、可食性酸類及び甘味度がショ糖の
０.１〜０.７倍である単糖類又は二糖類から選ばれた少
なくとも１種類の化合物と、（Ｂ）ハス胚芽抽出物とを
含有する呈味良好なハス胚芽抽出物組成物。請求項２：上記（Ａ）成分の糖アルコールが、エリスリ
トール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、
マルチトール、パラチニット、ラクチトール及び還元デ
ンプン糖化物から選ばれる１種又は２種以上である請求
項１記載のハス胚芽抽出物組成物。請求項３：上記（Ａ）成分の可食性酸類が、クエン酸、
リンゴ酸、乳酸及びリン酸から選ばれる１種又は２種以
上である請求項１又は２記載のハス胚芽抽出物組成物。請求項４：上記（Ａ）成分の甘味度がショ糖の０.１〜
０.７倍である単糖類又は二糖類が、グルコース、キシ
ロース、ガラクトース、マルトース、乳糖、ラクチュロ
ース及びパラチノースから選ばれる１種又は２種以上で
ある請求項１，２又は３記載のハス胚芽抽出物組成物。請求項５：上記（Ｂ）成分のハス胚芽抽出物が、スイレ
ン科ハス属のハスの実の胚芽を水、親水性有機溶媒又は
これらの混合液により抽出処理して得られた抽出物であ
る請求項１乃至４のいずれか１項記載のハス胚芽抽出物
組成物。請求項６：ハス胚芽抽出物１質量部に対して糖アルコー
ル、可食性酸類及び甘味度がショ糖の０.１〜０.７倍で
ある単糖類又は二糖類から選ばれた少なくとも１種類の
化合物を０．００５〜５０００質量部添加した請求項１
乃至５のいずれか１項記載のハス胚芽抽出物組成物。請求項７：請求項１乃至６のいずれか１項記載のハス胚
芽抽出物組成物を飲食物に添加してなるハス胚芽抽出物
含有飲食物。請求項８：ハス胚芽抽出物１質量部に対して糖アルコー
ル、可食性酸類及び甘味度がショ糖の０.１〜０.７倍で
ある単糖類又は二糖類から選ばれた少なくとも１種類の
化合物を０．００５〜５０００質量部添加することによ
り、ハス胚芽抽出物の苦味及び渋味を抑えることを特徴
とするハス胚芽抽出物の呈味改善方法。

【０００８】本発明によれば、ハスの実の胚芽から抽出
したハス胚芽抽出物の有する苦味及び渋味等の不快な味
を、糖アルコール、可食性酸類及び甘味度がショ糖の
０.１〜０.７倍である単糖類又は二糖類から選ばれた少
なくとも１種類の化合物を配合することにより、効果的
に抑えることができると共に、ハス胚芽の有効成分に何
ら影響を与えることなく、簡便な操作で安価に、しか
も、後味が良く、総合的な美味しさと、繰り返して飲み
たいという優れた特性を有するハス胚芽抽出物組成物が
得られ、この組成物を飲食物に添加しても、飲食物本来
の風味を損うことがなく、また味の調和をとることが容
易なので、ハス胚芽抽出物を必要とする幅広い消費者、
特に苦味及び渋味に敏感な女性などにも安心して気軽に
摂取してもらえるハス胚芽抽出物組成物が得られるもの
である。

【０００９】以下、本発明について更に詳しく説明す
る。本発明のハス胚芽抽出物組成物は、（Ａ）糖アルコ
ール、可食性酸類及び甘味度がショ糖の０.１〜０.７倍
である単糖類又は二糖類から選ばれた少なくとも１種類
の化合物と、（Ｂ）ハス胚芽抽出物とを含有するもので
ある。

【００１０】ここで、ハス胚芽とは、スイレン科（Ｎｙ
ｍｐｈａｅａｃｅａｅ）ハス属（Ｎｅｌｕｍｂｏ）に属
するハス（ＮｅｌｕｍｂｏｎｃｉｆｅｒａＧＡＥＲ
ＴＮ）の種子中にある緑色で棒状の胚のことである。ハ
スは熱帯アジア原産の池や水田、堀などに栽培される多
年性水生植物であり、大きく分けると東洋ハスとアメリ
カハスの２種が分布している。ハス（蓮）は仏典の花と
して、また、中国では古来より漢方薬として用いられ、
わが国では地下茎の部分を蓮根として食しており、極め
てなじみが深く、安全な植物である。

【００１１】そして、ハスの実は数十年以上、中には千
年以上も寿命を保っているものもあり、ハスの実は、カ
リウム、ナトリウム、リン、カルシウム等の栄養成分を
豊富に含み、漢方では蓮子（れんし）と呼ばれ、中国で
は子宝に恵まれる慶祝食品として珍重されると共に、精
神安定作用、滋養・強壮作用、心臓、腎臓、胃腸の働き
を補う効果を有する他、最近では、ストレスによる過敏
性大腸炎症候群による下痢の予防に効果的なものであ
る。

【００１２】本発明のハス胚芽抽出物は、上記ハスの実
のハス胚芽を抽出原料とし、植物の抽出に一般に用いら
れている抽出方法により得ることができる。

【００１３】例えば、ハス胚芽を生のまま又は乾燥した
後、そのまま又は粗砕機を用い粉砕して溶媒抽出に供す
ることにより得ることができる。抽出に用いる溶媒とし
ては、水又は親水性有機溶媒及びこれらの混合液を室温
乃至溶媒の沸点程度の温度で用いることが好ましい。

【００１４】この場合、親水性有機溶媒としては、例え
ばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソ
プロピルアルコール等の炭素数１〜５の低級アルコー
ル；アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケト
ン；１，３−ブチレングリコール、プロピレングリコー
ル、グリセリン等の炭素数２〜５の多価アルコールなど
が挙げられ、これら親水性有機溶媒と水との混合溶媒な
どを用いることができる。なお、水と親水性有機溶媒と
の混合系溶媒を使用する場合には、低級アルコールの場
合は水１０質量部に対して１〜９０質量部、低級脂肪族
ケトンの場合は水１０質量部に対して１〜４０質量部、
多価アルコールの場合は水１０質量部に対して１０〜９
０質量部添加することが好ましい。

【００１５】本発明において、ハス胚芽の有効成分を抽
出するにあたり特殊な抽出方法を採用する必要はなく、
室温乃至還流加熱下で、溶媒の種類や抽出規模に応じて
任意の装置を用いて抽出を行うことができる。

【００１６】具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽に
抽出原料を投入し、時々攪拌して可溶性成分を溶出す
る。その後、濾過して抽出残査を除き、得られた抽出液
を濃縮、乾燥することにより、有効成分を含有する抽出
物を得ることができる。抽出条件は、抽出溶媒として水
を用いた場合には、通常５０〜９０℃で３０分〜２時間
程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの
混合溶媒を用いた場合には、通常４０〜８０℃で３０分
〜２時間程度である。なお、溶媒で抽出することにより
得られる抽出液は、抽出溶媒が安全性の高いものであれ
ばそのまま配合することができる。

【００１７】なお、得られる抽出液を脱色、脱臭、活性
向上等を目的として精製することもできる。

【００１８】このようにして得られる本発明のハス胚芽
抽出物は、そのままでは苦味や渋味等の不快な呈味を有
しており、この呈味を改善するため、糖アルコール、可
食性酸類及び甘味度がショ糖の０.１〜０.７倍である単
糖類又は二糖類から選ばれた少なくとも１種類の化合物
を配合し、ハス胚芽抽出物組成物として利用に供され
る。

【００１９】上記（Ａ）成分の糖アルコールとは、還元
基を有する糖の還元基(アルデヒド基及びケトン基)を還
元してアルコール基としたものをいい、この糖アルコー
ルは発酵法などにより天然に産するもの、Ｈ₂やＮａＢ
Ｈ₄等の化学試薬で工業的に元の糖の還元基に水素を添
加することにより製造することができる。

【００２０】このような糖アルコールとしては、エリス
リトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトー
ル、マルチトール、パラチニット、ラクチトール、リビ
トール、還元澱粉糖化物などが挙げられ、これらの１種
を単独で又は２種以上を組み合せて用いることができ
る。

【００２１】上記（Ａ）成分の甘味度がショ糖の０．１
〜０．７倍である単糖類としては、グルコース、キシロ
ース、ガラクトースなどが挙げられ、甘味度がショ糖の
０．１〜０．７倍である二糖類としてはマルトース（麦
芽糖）、ラクトース（乳糖）、ラクチュロース、パラチ
ノースなどが挙げられ、これらの１種を単独で又は２種
以上を組み合せて用いることができる。これらよりも甘
味度が低い単糖類又は二糖類を用いたのでは呈味改善効
果が発揮されない。一方、これらよりも甘味度が高い単
糖類又は二糖類を用いると強い甘味によって全体に甘っ
たるくキレのないぼけた呈味となってしまう。

【００２２】上記（Ａ）成分の可食性酸類としては、ク
エン酸、リンゴ酸、乳酸及びリン酸などが挙げられ、こ
れらの１種又は２種以上を組合わせて用いることができ
る。

【００２３】本発明のハス胚芽抽出物組成物は、上記
（Ａ）糖アルコール、可食性酸類及び甘味度がショ糖の
０.１〜０.７倍である単糖類又は二糖類から選ばれた化
合物の１種を単独で用いても勿論優れた呈味改善効果を
奏するものであるが、これら化合物を２種以上組合わせ
ることにより更に優れた呈味改善効果を発揮し得るもの
である。

【００２４】呈味改善に寄与する化合物を２種以上組合
わせた例としては、例えばハス胚芽抽出物とマルチトー
スと乳糖とを配合してなるハス胚芽抽出物組成物、ハス
胚芽抽出物とエリスリトールとクエン酸とラクチュロー
スとを配合してなるハス胚芽抽出物組成物、ハス胚芽抽
出物とパラチノースとソルビトールとを配合してなるハ
ス胚芽抽出物組成物、ハス胚芽抽出物とキシリトールと
マルチトールとを配合してなるハス胚芽抽出物組成物、
ハス胚芽抽出物とソルビトールとクエン酸とを配合して
なるハス胚芽抽出物組成物などが好適である。

【００２５】本発明のハス胚芽抽出物組成物の配合量
は、ハス胚芽抽出物１質量部に対して糖アルコール、可
食性酸類及び甘味度がショ糖の０.１〜０.７倍である単
糖類又は二糖類から選ばれた少なくとも１種類の化合物
を０．００５〜５０００質量部、より好ましくは０．１
〜５００質量部配合することが好ましい。呈味改善に寄
与する化合物の配合量が多すぎると呈味の改善効果以外
にそれ自体の甘味や酸味が強く感じられるようになる場
合がある。一方、化合物の配合量が少なすぎるとハス胚
芽抽出物に対する呈味改善効果が十分期待できなくなる
場合がある。なお、呈味改善に寄与する化合物を２種以
上組合わせて用いる場合の配合量は合計量で上記範囲を
満たすものである。

【００２６】更に具体的な配合量は、配合する呈味改善
に寄与する化合物の種類に応じて異なり、下記の通りで
あることが好ましい。（１）糖アルコールハス胚芽抽出物１質量部に対して０．０１質量部〜５０
００質量部、より好ましくは０．１質量部〜５００質量
部配合することが好ましい。（２）甘味度がショ糖の０．１〜０．７倍である単糖類
又は二糖類ハス胚芽抽出物１質量部に対して０．０１質量部〜５０
００質量部、より好ましくは０．１質量部〜５００質量
部配合することが好ましい。（３）クエン酸等の可食性酸類ハス胚芽抽出物１質量部に対して０．００５質量部〜５
００質量部、より好ましくは０．０１質量部〜１００質
量部配合することが好ましい。

【００２７】次に、本発明のハス胚芽抽出物の呈味改善
方法は、ハス胚芽抽出物１質量部に対して糖アルコー
ル、可食性酸類及び甘味度がショ糖の０.１〜０.７倍で
ある単糖類又は二糖類から選ばれた少なくとも１種類の
化合物を０．００５〜５０００質量部、好ましくは０．
１〜５００質量部添加し、同時に飲食することにより、
ハス胚芽抽出物の苦味及び渋味を抑えることができるも
のである。

【００２８】よって、本発明組成物の配合方法は、同時
に飲食させる以外には特段の制限はなく、ハス胚芽抽出
物を製造する段階で呈味改善に寄与する化合物を予め配
合しておいても良く、また、ハス胚芽抽出物と呈味改善
に寄与する化合物を別々に飲食物中に配合しても構わな
い。なお、ハス胚芽抽出物と呈味改善に寄与する化合物
との混合は粉末状で行うことが好ましいが、溶液状で行
うこともできる。

【００２９】本発明のハス胚芽抽出物組成物は、これを
そのまま健康・栄養補助食品等として摂取することも勿
論可能であるが、各種飲食物に添加してハス胚芽抽出物
含有飲食物とすることができる。この場合、ハス胚芽抽
出物組成物の飲食物への添加量は、飲食物の種類に応じ
て異なり一概に規定することはできないが、ハス胚芽抽
出物組成物として飲食物全体の０．１〜５０質量％の添
加が好ましく、場合によっては５０質量％を超えても使
用可能である。また、ハス胚芽抽出物として１日あたり
１０〜１０００ｍｇの摂取量で有効な結果が得られる。

【００３０】このような本発明のハス胚芽抽出物組成物
が適用できる飲食物は、特に限定されず、例えば清涼飲
料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料
(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む)；アイ
スクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓；そ
ば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの
皮、中華麺、即席麺等の麺類；飴、キャンディー、ガ
ム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、
ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類；かま
ぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品；加工
乳、発酵乳等の乳製品；サラダ油、てんぷら油、マーガ
リン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリー
ム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品；ソース、
たれ等の調味料；種々の形態の健康・栄養補助食品；そ
の他スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物などが挙げ
られる。更に、本発明組成物は、上記飲食物以外にも経
口摂取する、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、トロー
チ、うがい薬等の医薬品、医薬部外品等、口中清涼剤、
口臭防止剤等の口腔内で使用する口腔清涼剤、歯磨剤な
どに用いることができる。

【００３１】本発明の呈味の改善されたハス胚芽抽出物
組成物は、粉末、顆粒、キューブ、ペースト、液体など
いずれの形態でも良く、製剤化に際しては、必要に応じ
て更に分散剤、賦形剤等の任意の助剤を配合することが
できる。

【００３２】

【実施例】以下、製造例、実施例及び比較例を示し、本
発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例に
制限されるものではない。

【００３３】〔製造例１〕ハス胚芽３００ｇに５０質量
％エタノール２０００ｍｌを加え、還流冷却器を付け
て、８０℃にて１時間抽出を行った後、濾紙にて濾過
し、抽出液を得た。得られた抽出液を減圧下に濃縮、乾
燥を行い、製造例１のハス胚芽の抽出物７５ｇ（粉末）
を得た。

【００３４】〔製造例２〕ハス胚芽３００ｇに水２００
０ｍｌを加え、９０℃にて１時間抽出を行った後、濾紙
にて濾過し、抽出液Ａを得た。また、抽出残渣に再び水
２０００ｍｌを加え、同様に９０℃で１時間加熱抽出を
行った後、濾紙にて濾過し、抽出液Ｂを得た。得られた
抽出液Ａ，Ｂを合せて抽出液とした。得られた抽出液
（Ａ＋Ｂ）を減圧下に濃縮、乾燥を行い、製造例２のハ
ス胚芽の抽出物９６ｇ（粉末）を得た。

【００３５】〔実施例１、比較例１〕製造例１のハス胚
芽５０質量％エタノール抽出物１質量部にマルチトール
をそれぞれ０．１質量部、１質量部、１０質量部、５０
質量部、１００質量部、５００質量部加えて、粉砕機で
粉砕して均一な混合物とし、呈味の改善されたハス胚芽
抽出物組成物を製造した。

【００３６】それぞれの混合物をハス胚芽５０質量％エ
タノール抽出物として０．０５質量％の濃度となる水溶
液に調製し、下記方法に従って呈味の評価を行った。結
果を表１及び図１〜６に示す。

【００３７】比較例１として、製造例１のハス胚芽５０
質量％エタノール抽出物のみを０．０５質量％含む水溶
液を調製し、同様に呈味の評価を行った。結果を表１及
び図１〜６に示す。

【００３８】<呈味の評価方法>得られたハス胚芽抽出物
含有水溶液を用いて、呈味の評価を成人パネラー２０名
（男性：１２名、女性：８名）により、試飲を行った
後、アンケート用紙に回答する方法で行った。

【００３９】アンケートの評価方法は、パネラーに各評
価項目（総合的な美味しさ、味、苦味・渋味、
後味、匂い、繰り返して飲みたいか）について各５
段階（５：非常によい、４：比較的よい、３：許容範
囲、２：比較的悪い、１：非常に悪い）に分けて判定し
た。評価の基準は、ハス胚芽抽出物０．０５質量％水溶
液の呈味の評価を２点と定めた。なお、検体の提供はダ
ブルブラインドで行い、パネラー同士は隔離された状態
で評価を行った。得られたパネラーの評価結果を平均値
化し、レーダーチャートで表現した。

【００４０】

【表１】

【００４１】表１及び図１〜６の結果から、本発明糖ア
ルコールの一つであるマルチトールはハス胚芽抽出物１
質量部に対して０．１〜５００質量部添加で優れた呈味
改善効果を有し、総合的な美味しさを備え、繰り返して
飲みたいと感じさせるものであることが認められた。

【００４２】〔実施例２、比較例２〕製造例１のハス胚
芽５０質量％エタノール抽出物１質量部に乳糖をそれぞ
れ０．１質量部、１質量部、１０質量部、５０質量部、
１００質量部加え、粉砕機で粉砕して均一な混合物と
し、呈味の改善されたハス胚芽抽出物組成物を製造し
た。

【００４３】それぞれの混合物をハス胚芽５０質量％エ
タノール抽出物として０．０５質量％の濃度となる水溶
液に調製し、上記同様に呈味の評価を行った。結果を表
２及び図７〜１１に示す。

【００４４】比較例２として、製造例１のハス胚芽５０
質量％エタノール抽出物のみを０．０５質量％含む水溶
液を調製し、同様に呈味の評価を行った。結果を表２及
び図７〜１１に示す。

【００４５】

【表２】

【００４６】表２及び図７〜１１の結果から、本発明二
糖類の一つである乳糖はハス胚芽抽出物１質量部に対し
て０．１〜１００質量部添加で優れた呈味改善効果を有
し、総合的な美味しさを備え、繰り返して飲みたいと感
じさせるものであることが認められた。

【００４７】〔実施例３、比較例３〕製造例１のハス胚
芽５０質量％エタノール抽出物１質量部にクエン酸をそ
れぞれ０．１質量部、１質量部、５質量部、１０質量部
加え、粉砕機で粉砕して均一な混合物とし、呈味の改善
されたハス胚芽抽出物組成物を製造した。

【００４８】それぞれの混合物をハス胚芽５０質量％エ
タノール抽出物として０．０５質量％の濃度となる水溶
液に調製し、同様に呈味の評価を行った。結果を表３及
び図１２〜１５に示す。

【００４９】比較例３として、製造例１のハス胚芽５０
質量％エタノール抽出物のみを０．０５質量％含む水溶
液を調製し、同様に呈味の評価を行った。結果を表３及
び図１２〜１５に示す。

【００５０】

【表３】

【００５１】表３及び図１２〜１５の結果から、本発明
可食性酸類の一つであるクエン酸はハス胚芽抽出物１質
量部に対して０．１〜１０質量部添加で優れた呈味改善
効果を有するものであることが認められた。

【００５２】〔実施例４、比較例４〕製造例１のハス胚
芽５０質量％エタノール抽出物１質量部にエリスリトー
ルをそれぞれ１質量部、５０質量部、１００質量部加
え、粉砕機で粉砕して均一な混合物とし、呈味の改善さ
れたハス胚芽抽出物を製造した。

【００５３】それぞれの混合物をハス胚芽５０質量％エ
タノール抽出物として０．０５質量％の濃度となる水溶
液に調製し、同様に呈味の評価を行った。結果を表４及
び図１６〜１８に示す。

【００５４】比較例４として、製造例１のハス胚芽５０
質量％エタノール抽出物のみを０．０５質量％含む水溶
液を調製し、同様に呈味の評価を行った。結果を表４及
び図１６〜１８に示す。

【００５５】

【表４】

【００５６】表４及び図１６〜１８の結果から、本発明
糖アルコールの一つであるエリスリトールはハス胚芽抽
出物１質量部に対して１〜１００質量部添加で優れた呈
味改善効果を有するものであることが認められた。

【００５７】〔実施例５、比較例５〕製造例１のハス胚
芽５０質量％エタノール抽出物１質量部にマルトースを
それぞれ１質量部、５０質量部、１００質量部加え、粉
砕機で粉砕して均一な混合物とし、呈味の改善されたハ
ス胚芽抽出物組成物を製造した。

【００５８】それぞれの混合物をハス胚芽５０質量％エ
タノール抽出物として０．０５質量％の濃度となる水溶
液に調製し、呈味の評価を行った。結果を表５及び図１
９〜２１に示す。

【００５９】比較例５として、製造例１のハス胚芽５０
質量％エタノール抽出物のみを０．０５質量％含む水溶
液を調製し、同様に呈味の評価を行った。結果を表５及
び図１９〜２１に示す。

【００６０】

【表５】

【００６１】表５及び図１９〜２１の結果から、本発明
二糖類の一つであるマルトースはハス胚芽抽出物１質量
部に対して１〜１００質量部添加で優れた呈味改善効果
を有するものであることが認められた。

【００６２】〔実施例６、比較例６〕製造例１のハス胚
芽５０質量％エタノール抽出物１質量部にキシリトール
をそれぞれ１質量部、５０質量部、１００質量部加え、
粉砕機で粉砕して均一な混合物とし、呈味の改善された
ハス胚芽抽出物を製造した。

【００６３】それぞれの混合物をハス胚芽５０質量％エ
タノール抽出物として０．０５質量％の濃度となる水溶
液に調製し、同様に呈味の評価を行った。結果を表６及
び図２２〜２４に示す。

【００６４】比較例６として、製造例１のハス胚芽５０
質量％エタノール抽出物のみを０．０５質量％含む水溶
液を調製し、同様に呈味の評価を行った。結果を表６及
び図２２〜２４に示す。

【００６５】

【表６】

【００６６】表６及び図２２〜２４の結果から、本発明
糖アルコールの一つであるキシリトールはハス胚芽抽出
物１質量部に対して１〜１００質量部添加で優れた呈味
改善効果を有するものであることが認められた。

【００６７】〔実施例７、比較例７〕製造例１のハス胚
芽５０質量％エタノール抽出物１質量部にグルコースを
それぞれ１質量部、５０質量部、１００質量部加え、粉
砕機で粉砕して均一な混合物とし、呈味の改善されたハ
ス胚芽抽出物組成物を製造した。

【００６８】それぞれの混合物をハス胚芽５０質量％エ
タノール抽出物として０．０５質量％の濃度となる水溶
液に調製し、同様に呈味の評価を行った。結果を表７及
び図２５〜２７に示す。

【００６９】比較例７として、製造例１のハス胚芽５０
質量％エタノール抽出物のみを０．０５質量％含む水溶
液を調製し、同様に呈味の評価を行った。結果を表７及
び図２５〜２７に示す。

【００７０】

【表７】

【００７１】表７及び図２５〜２７の結果から、本発明
単糖類の一つであるグルコースはハス胚芽抽出物１質量
部に対して１〜１００質量部添加で優れた呈味改善効果
を有するものであることが認められた。

【００７２】〔実施例８〕錠剤下記の配合でハス胚芽抽出物の補給を目的とする錠剤を
通常の打錠機により製造した。製造例１のハス胚芽抽出物の粉末１０質量部マルチトール７２質量部乳糖１００質量部グリセリン脂肪酸エステル８質量部原料の混合と打錠は容易であり、呈味の良好な錠剤が得
られた。

【００７３】〔実施例９〕インスタントティ顆粒下記の配合でハス胚芽抽出物を配合したインスタントテ
ィ顆粒を流動層造粒機により製造した。製造例２のハス胚芽抽出物の粉末１０質量部エリスリトール４０質量部クエン酸５０質量部ラクチュロース５０質量部デキストリン８１０質量部原料の混合と流動層造粒機による顆粒化は容易であり、
呈味の良好な顆粒が得られた。

【００７４】〔実施例１０〕ビスケット小麦粉１ｋｇ、コーンスターチ１００ｇ、グルコース２
５０ｇ、マーガリン１２５ｇ、食塩５ｇ、炭酸ソーダ２
５ｇ、炭酸アンモニウム９ｇ、レシチン６ｇ、全卵７５
ｇ、乳酸カルシウム５０ｇ、製造例１のハス胚芽抽出物
粉末２ｇ及び水３５０ｇを用いてドウを作成し、延展
後、これを成形してばい焼し、呈味の良好なビスケット
を製造した。

【００７５】〔実施例１１〕グミキャンディパラチノース３３０ｇ、ソルビトール１４０ｇ、水２７
０ｇを混合して加熱し、そこにゼラチン８０ｇ、及び製
造例２のハス胚芽抽出物粉末１０ｇを水１５０ｇに溶か
した溶液と、５０質量％リン酸水溶液８ｇとを混合し、
型に流し込んで冷却することにより、呈味の良好なグミ
キャンディを得た。

【００７６】〔実施例１２〕チューインガムチューインガム試作用ミキサーにガムベース２５質量
部、パラチニットシロップ１４質量部を加え混合する。
更に、粉末キシリトール３５質量部と粉末マルチトール
２５質量部、製造例１のハス胚芽抽出物粉末１４質量
部、ステビア甘味料（丸善製薬株式会社性、商品名マル
ミロン５０）０．４質量部を予め混合したものを数回に
分けて加えよく練り合わせた。次いで、グリセリンを１
質量部加えて充分混合した後、ミキサーから取り出し、
ローラーで圧延することによって呈味の良好なチューイ
ンガムを製造した。

【００７７】〔実施例１３〕マウスウオッシュ下記の組成を常法によりマウスウオッシュを調製した。エタノール１５質量部ソルビトール１０質量部クエン酸０．０５質量部クエン酸ナトリウム０．２質量部安息香酸ナトリウム０．２質量部ラウリル硫酸ナトリウム０．２質量部サッカリンナトリウム０．０５質量部製造例１のハス胚芽抽出物０．２質量部ｌ−メントール０．０５質量部精製水残部合計１００質量部調製されたマウスウオッシュは呈味の良好なものであった。

【００７８】

【発明の効果】本発明によれば、スイレン科ハス属のハ
スの実の胚芽を抽出して得られる抽出物が有する苦味及
び渋み等の非嗜好性の呈味を簡便な操作により改善し
得、飲食物の製造における経済性、安全性の点に優れて
おり非常に有用なハス胚芽抽出物組成物が得られる。

【００７９】また、本発明のハス胚芽抽出物組成物は、
苦味及び渋み等の呈味が改善されているので、各種飲食
物などに添加して用いることができ、ハス胚芽抽出物を
必要とする幅広い分野に利用することができるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例１及び比較例１の呈味評価の結果を示し
たレーダーチャートである。

【図２】実施例１及び比較例１の呈味評価の結果を示し
たレーダーチャートである。

【図３】実施例１及び比較例１の呈味評価の結果を示し
たレーダーチャートである。

【図４】実施例１及び比較例１の呈味評価の結果を示し
たレーダーチャートである。

【図５】実施例１及び比較例１の呈味評価の結果を示し
たレーダーチャートである。

【図６】実施例１及び比較例１の呈味評価の結果を示し
たレーダーチャートである。

【図７】実施例２及び比較例２の呈味評価の結果を示し
たレーダーチャートである。

【図８】実施例２及び比較例２の呈味評価の結果を示し
たレーダーチャートである。

【図９】実施例２及び比較例２の呈味評価の結果を示し
たレーダーチャートである。

【図１０】実施例２及び比較例２の呈味評価の結果を示
したレーダーチャートである。

【図１１】実施例２及び比較例２の呈味評価の結果を示
したレーダーチャートである。

【図１２】実施例３及び比較例３の呈味評価の結果を示
したレーダーチャートである。

【図１３】実施例３及び比較例３の呈味評価の結果を示
したレーダーチャートである。

【図１４】実施例３及び比較例３の呈味評価の結果を示
したレーダーチャートである。

【図１５】実施例３及び比較例３の呈味評価の結果を示
したレーダーチャートである。

【図１６】実施例４及び比較例４の呈味評価の結果を示
したレーダーチャートである。

【図１７】実施例４及び比較例４の呈味評価の結果を示
したレーダーチャートである。

【図１８】実施例４及び比較例４の呈味評価の結果を示
したレーダーチャートである。

【図１９】実施例５及び比較例５の呈味評価の結果を示
したレーダーチャートである。

【図２０】実施例５及び比較例５の呈味評価の結果を示
したレーダーチャートである。

【図２１】実施例５及び比較例５の呈味評価の結果を示
したレーダーチャートである。

【図２２】実施例６及び比較例６の呈味評価の結果を示
したレーダーチャートである。

【図２３】実施例６及び比較例６の呈味評価の結果を示
したレーダーチャートである。

【図２４】実施例６及び比較例６の呈味評価の結果を示
したレーダーチャートである。

【図２５】実施例７及び比較例７の呈味評価の結果を示
したレーダーチャートである。

【図２６】実施例７及び比較例７の呈味評価の結果を示
したレーダーチャートである。

【図２７】実施例７及び比較例７の呈味評価の結果を示
したレーダーチャートである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考）Ａ２３Ｌ 2/52 Ａ２３Ｌ 2/38 Ｃ４Ｃ０８８ 2/38 ＺＡ６１Ｋ 35/78 ＣＡ６１Ｋ 35/78 47/10 47/10 47/12 47/12 47/26 47/26 Ａ６１Ｐ 1/00 Ａ６１Ｐ 1/00 3/00 3/00 43/00 １０５ 43/00 １０５Ａ２３Ｌ 2/00 ＦＦターム(参考） 4B014 GB07 GG18 GK06 GL04 GL10 4B017 LC02 LC03 LG15 LK08 LK12 4B018 MD09 MD28 MD29 MD32 MD61 ME02 ME14 MF01 4B032 DB21 DK07 DK12 DK29 4C076 AA31 AA36 BB01 CC03 CC16 CC21 DD38T DD43T DD67T FF52 4C088 AB39 BA07 BA09 BA10 CA05 CA06 CA07 CA08 CA11 MA04 MA52 NA09 NA14 ZA66 ZB01 ZC21

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】（Ａ）糖アルコール、可食性酸類及び甘
味度がショ糖の０.１〜０.７倍である単糖類又は二糖類
から選ばれた少なくとも１種類の化合物と、（Ｂ）ハス
胚芽抽出物とを含有する呈味良好なハス胚芽抽出物組成
物。
【請求項２】上記（Ａ）成分の糖アルコールが、エリ
スリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトー
ル、マルチトール、パラチニット、ラクチトール及び還
元デンプン糖化物から選ばれる１種又は２種以上である
請求項１記載のハス胚芽抽出物組成物。
【請求項３】上記（Ａ）成分の可食性酸類が、クエン
酸、リンゴ酸、乳酸及びリン酸から選ばれる１種又は２
種以上である請求項１又は２記載のハス胚芽抽出物組成
物。
【請求項４】上記（Ａ）成分の甘味度がショ糖の０.
１〜０.７倍である単糖類又は二糖類が、グルコース、
キシロース、ガラクトース、マルトース、乳糖、ラクチ
ュロース及びパラチノースから選ばれる１種又は２種以
上である請求項１，２又は３記載のハス胚芽抽出物組成
物。
【請求項５】上記（Ｂ）成分のハス胚芽抽出物が、ス
イレン科ハス属のハスの実の胚芽を水、親水性有機溶媒
又はこれらの混合液により抽出処理して得られた抽出物
である請求項１乃至４のいずれか１項記載のハス胚芽抽
出物組成物。
【請求項６】ハス胚芽抽出物１質量部に対して糖アル
コール、可食性酸類及び甘味度がショ糖の０.１〜０.７
倍である単糖類又は二糖類から選ばれた少なくとも１種
類の化合物を０．００５〜５０００質量部添加した請求
項１乃至５のいずれか１項記載のハス胚芽抽出物組成
物。
【請求項７】請求項１乃至６のいずれか１項記載のハ
ス胚芽抽出物組成物を飲食物に添加してなるハス胚芽抽
出物含有飲食物。
【請求項８】ハス胚芽抽出物１質量部に対して糖アル
コール、可食性酸類及び甘味度がショ糖の０.１〜０.７
倍である単糖類又は二糖類から選ばれた少なくとも１種
類の化合物を０．００５〜５０００質量部添加すること
により、ハス胚芽抽出物の苦味及び渋味を抑えることを
特徴とするハス胚芽抽出物の呈味改善方法。