JP2002083701A - ポリマーptc素子及びポリマーptc素子の製造方法 - Google Patents
ポリマーptc素子及びポリマーptc素子の製造方法Info
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Abstract
だけでなく、低コストでポリマーPTC素子を製造す
る。 【解決手段】 ポリマー及びこのポリマーに分散的に混
入された導電性物質により構成される板状の素子本体1
2が、ポリマーPTC素子10の本体部分を構成する。
素子本体12の上下両面に通電用の導電部材14の電極
部14Aがそれぞれ接合され、この電極部14Aに多数
の穴部16が形成されている。電極部14Aと一体的に
設けられたリード端子部14Bが電極部14Aから延び
ている。
Description
回路を保護する正の抵抗温度係数を示すポリマーPTC
素子及びポリマーPTC素子の製造方法に係り、携帯電
話、ビデオカメラ、コンピュータ等の電池パックに繋が
る回路を過電流や過熱から保護する為の素子及びこの素
子の製造方法として好適なものである。
ve Temperature Coefficient)素子の一種とされ、この
ポリマーPTC素子の従来例とされる実開平2−146
401号公報には、図18に示すように、はんだメッキ
層118を溶融させることで素子本体112に設けられ
た電極114とリード端子116との間をはんだ付けし
て接続した構造が、開示されている。
02号公報には、素子本体に設けられた電極とリード端
子との間を溶接により接続する構造が従来の技術として
開示されるだけでなく、図19に示すように、電極11
4が変形しない程度に押圧しつつリード端子116と電
極114との間をスポット溶接用電極120で溶接した
後に、その周辺を接着剤122により固定したものが開
示されている。
動作するポリマーPTC素子において、リード端子と電
極との間を一般的なはんだ付けにより単に接続する場
合、はんだの溶融温度が200℃程度以上であるので、
ポリマーPTC素子が熱劣化して特性不良を招いてしま
う欠点を有していた。また、上記実開平2−14640
1号公報のように、はんだメッキ層118を溶融させて
接続する場合であっても溶融温度が同様に高い為、熱劣
化の問題を基本的に解決することはできなかった。
の間を接続する為にはんだを溶融させる際に、一般的な
リフロー処理の他にも種々の処理が用いられるが、半田
ごて等を接触させる場合には圧力と熱により素子本体1
12が変形して、歩留りが低下してしまうという問題も
生じていた。
来の技術として開示された一般的な溶接では、素子本体
及び電極が変形して歩留りが低下する問題を有してい
た。従ってこの問題を改善すべく、電極114等が変形
しない程度に押圧して溶接した後に、その周辺を接着剤
122により固定してリード端子116の接続強度を高
くする製造方法がこの公報に開示されているが、この製
造方法では、接着剤122及び、この接着剤122を用
いた接着工程等の特殊工程が必要となってコスト高を招
いてしまう欠点を有していた。
特性不良を招くおそれを無くすだけでなく、リード端子
の接続強度を高くして特殊工程の必要を無くすと共に歩
留まりの向上を図って低コストで製造可能なポリマーP
TC素子及びポリマーPTC素子の製造方法を提供する
ことを目的とする。
PTC素子は、ポリマー及びこのポリマーに分散的に混
入された導電性物質を含むPTC素子本体を有したポリ
マーPTC素子であって、複数の穴部を有した電極部と
この電極部から延びるリード端子部とが一体的に設けら
れた外部接続導電部材が、前記PTC素子本体の両面に
この電極部によってそれぞれ接合されたことを特徴とし
た。
及びこのポリマーに分散的に混入された導電性物質を含
んで、例えば60℃〜120℃程度の低温度の温度範囲
で抵抗変化が生じるPTC素子本体を本体部分としたポ
リマーPTC素子が形成される。さらに、複数の穴部を
有した電極部とこの電極部から延びるリード端子部とが
一体的に設けられた外部接続導電部材が、このPTC素
子本体の両面にこの電極部によってそれぞれ接合される
構造に、このポリマーPTC素子はなっている。
にポリマーを成分に含むPTC素子本体が入り込んで、
このPTC素子本体のポリマーに電極部が食い込むよう
に密着することで、PTC素子本体と外部接続導電部材
との間の接合力が高まる。従って、このPTC素子本体
は、ポリマーに導電性物質が分散されている為に熱に対
して弱くなるものの、従来例のように電極部材をPTC
素子本体に貼り付けてから、リード端子をはんだ付けや
溶接する必要が無くなる。
なくなるのに伴って、電極とリード端子との間の接続強
度を高める為の接着剤を用いた接着工程等の特殊工程の
必要がなくなるだけでなく、熱による影響や変形からの
特性不良がPTC素子本体に生じない為に、ポリマーP
TC素子の信頼性が高くなるだけでなく歩留まりが高ま
り、さらにははんだ部材及びはんだ付け工程、溶接工程
が無い為に、安価なポリマーPTC素子ともなる。
ば、請求項1のポリマーPTC素子と同様の構成の他
に、請求項2では前記電極部の穴部の断面形状が、テー
パー形状或いは段付き部を有した形状とされるという構
成を有し、また、請求項3では前記電極部の穴部を形成
する部分が、バーリング形状とされるという構成を有し
ている。つまり、電極部の穴部を単にストレート形状と
してもPTC素子本体と外部接続導電部材との間の接合
力は充分に高くなるが、テーパー形状、段付き部を有し
た形状或いはバーリング形状の穴部とすることにより、
一層高い接合強度が得られるようになる。
リマー及びこのポリマーに分散的に混入された導電性物
質を含むPTC素子本体を有したポリマーPTC素子で
あって、複数の突起部を有した電極部とこの電極部から
延びるリード端子部とが一体的に設けられた外部接続導
電部材が、前記PTC素子本体の両面にこの電極部によ
ってそれぞれ接合されたことを特徴とした。
と同様に、ポリマー及びこのポリマーに分散的に混入さ
れた導電性物質を含んだPTC素子本体を本体部分とし
たポリマーPTC素子が形成される。さらに、複数の突
起部を有した電極部とこの電極部から延びるリード端子
部とが一体的に設けられた外部接続導電部材が、このP
TC素子本体の両面にこの電極部によってそれぞれ接合
される構造に、このポリマーPTC素子はなっている。
成分に含むPTC素子本体が電極部の複数の突起部の周
囲に入り込んで、ポリマーに電極部が食い込むように密
着することで、PTC素子本体と外部接続導電部材との
間の接合力が高まる。従って、このPTC素子本体は、
ポリマーに導電性物質が分散されている為に熱に対して
弱くなるものの、請求項1と同様に、従来例のように電
極部材をPTC素子本体に貼り付けてから、リード端子
をはんだ付けや溶接する必要が無くなり、請求項1と同
様にポリマーPTC素子の信頼性が高くなるだけでなく
歩留まりが高まると共に、安価なポリマーPTC素子と
もなる。
リマーPTC素子は、請求項4のポリマーPTC素子と
同様の構成の他に、請求項5では電極部の突起部が、電
極部の一部を切り曲げして形成されるという構成を有
し、請求項6では電極部の突起部が、電極部の一部を袋
状に突出させると共にこの突出された部分の先端を押し
つぶして形成されるという構成を有し、請求項7では電
極部の突起部が、金属材料を電極部に接合することで形
成されるという構成を有している。つまり、請求項4の
ように複数の突起部を有しただけでもPTC素子本体と
外部接続導電部材との間の接合力は充分に高くなるが、
これらの請求項のようにすることで、より簡易に一層高
い接合強度が得られる。
リマー及びこのポリマーに分散的に混入された導電性物
質を含むPTC素子本体を有したポリマーPTC素子で
あって、粗面化された表面を有した電極部とこの電極部
から延びるリード端子部とが一体的に設けられた外部接
続導電部材が、前記PTC素子本体の両面にこの電極部
の表面によってそれぞれ接合され、前記電極部の粗面化
された表面の粗面部分を構成する凹凸の内の凸部に圧力
が加えられて、この凸部がフック状に形成されているこ
とを特徴とした。
と同様に、ポリマー及びこのポリマーに分散的に混入さ
れた導電性物質を含んだPTC素子本体を本体部分とし
たポリマーPTC素子が形成される。さらに、粗面化さ
れた表面を有した電極部とこの電極部から延びるリード
端子部とが一体的に設けられた外部接続導電部材が、こ
のPTC素子本体の両面にこの電極部によってそれぞれ
接合される構造に、このポリマーPTC素子はなってい
る。そして、電極部の粗面化された表面の粗面部分を構
成する凹凸の内の凸部に圧力が加えられて、この凸部が
フック状に形成されている。
成分に含むPTC素子本体が電極部の粗面化された表面
の凹部に入り込んで、ポリマーに電極部が食い込むよう
に密着することで、PTC素子本体と外部接続導電部材
との間の接合力が高まる。従って、このPTC素子本体
は、ポリマーに導電性物質が分散されている為に熱に対
して弱くなるものの、請求項1と同様に、従来例のよう
に電極部材をPTC素子本体に貼り付けてから、リード
端子をはんだ付けや溶接する必要が無くなる。
なくなるのに伴って、請求項1と同様にポリマーPTC
素子の信頼性が高くなるだけでなく歩留まりが高まると
共に、安価なポリマーPTC素子ともなる。さらに、電
極部の表面を単に粗面化しただけでなく、この電極部の
表面が粗面化されるのに伴って生じる凸部に圧力を加え
て凸部の先端部を変形させてフック状の凸部とすること
により、フック状の凸部間の凹部内にPTC素子本体が
入り込んで一層高い接合強度が得られる。
リマー及びこのポリマーに分散的に混入された導電性物
質を含むPTC素子本体を有したポリマーPTC素子で
あって、粒状材が付着してフック状となった凸部により
表面が粗面化された電極部とこの電極部から延びるリー
ド端子部とが一体的に設けられた外部接続導電部材が、
前記PTC素子本体の両面にこの電極部の表面によって
それぞれ接合されたことを特徴とした。
と同様に、ポリマー及びこのポリマーに分散的に混入さ
れた導電性物質を含んだPTC素子本体を本体部分とし
たポリマーPTC素子が形成される。さらに、電極部と
この電極部から延びるリード端子部とが一体的に設けら
れた外部接続導電部材が、このPTC素子本体の両面に
この電極部によってそれぞれ接合される構造に、このポ
リマーPTC素子はなっている。そして、この電極部の
表面に、粒状材が付着して先端側が膨らんだフック状の
凸部が形成されることで、電極部の表面が粗面化されて
いる。
部の接合の際に、請求項8と同様にポリマーを成分に含
むPTC素子本体が電極部の粗面化された表面の凹部に
入り込んで、PTC素子本体と外部接続導電部材との間
の接合力が高まる。この結果、請求項8と同じくはんだ
付け等の接続工程が必要なくなるのに伴って、請求項1
と同様にポリマーPTC素子の信頼性が高くなるだけで
なく歩留まりが高まると共に、安価なポリマーPTC素
子ともなる。さらに、電極部の表面を単に粗面化しただ
けでなく、電極部の表面に付着した粒状材を成長させて
フック状の凸部としたので、フック状の凸部間の凹部内
にPTC素子本体が入り込み、いわゆるアンカー効果が
生じて一層高い接合強度が得られるようになった。
ポリマー及びこのポリマーに分散的に混入された導電性
物質を含むPTC素子本体を作製すると共に、複数の穴
部を有した電極部、複数の突起部を有した電極部或いは
粗面化された表面を有した電極部とこの電極部から延び
るリード端子部とが一体的に設けられた外部接続導電部
材を作製する。この次に、この電極部がPTC素子本体
に対向した状態で外部接続導電部材をこのPTC素子本
体の両面にそれぞれ配置した後、これらPTC素子本体
及び外部接続導電部材を圧着してこれらを接合したこと
で、ポリマーPTC素子が製造される。
部内や突起部間にポリマーを成分に含むPTC素子本体
が確実に入み或いは、電極部の粗面化された表面に生じ
た凹部内にポリマーを成分に含むPTC素子本体が確実
に入り込んで、このPTC素子本体のポリマーに電極部
が食い込むように密着することで、PTC素子本体と外
部接続導電部材との間の接合力が高まる。
に導電性物質が分散されている為に熱に対して弱くなる
ものの、請求項1と同様に、従来例のように電極部材を
PTC素子本体に貼り付けてから、リード端子をはんだ
付けや溶接する必要が無くなる。この結果、はんだ付け
等の接続工程が必要なくなるのに伴って、請求項1と同
様に、信頼性及び歩留まりが高いポリマーPTC素子を
安価に製造することができる。
複数の穴部を有した電極部、複数の突起部を有した電極
部或いは粗面化された表面を有した電極部とこの電極部
から延びるリード端子部とが一体的に設けられた外部接
続導電部材を複数連続した状態で作製すると共に、ポリ
マー及びこのポリマーに分散的に混入された導電性物質
を含むPTC素子本体を作製する。この際、PTC素子
本体をこの電極部の幅寸法に合わせた幅寸法を有するシ
ート状に作製する。
対向した状態でシート状のPTC素子本体の両面に外部
接続導電部材をそれぞれ密着させて接合した後、これら
PTC素子本体及び外部接続導電部材が接合された状態
で、これらを一体的に切断したことで、ポリマーPTC
素子が製造される。
や突起部を有し或いは粗面化された表面を有することに
より、このPTC素子本体のポリマーに電極部が食い込
むように密着して、PTC素子本体と外部接続導電部材
との間の接合力が高まり、従来例のように電極部材をP
TC素子本体にはんだ付け等する接続工程が必要なくな
るのに伴って、請求項10と同様に、信頼性及び歩留ま
りが高いポリマーPTC素子を安価に製造することがで
きる。
を連続して複数作製すると共に、PTC素子本体をこの
電極部の幅寸法に合わせた幅寸法を有するシート状に作
製し、これらPTC素子本体及び外部接続導電部材を接
合させた状態で、これらを一体的に切断したので、大量
のポリマーPTC素子をより一層簡易に製造でき、ポリ
マーPTC素子を一層安価に製造できるようになった。
複数の穴部を有した電極部、複数の突起部を有した電極
部或いは粗面化された表面を有した電極部とこの電極部
から延びるリード端子部とが一体的に設けられた外部接
続導電部材を作製した。この次に、成形金型内にこの外
部接続導電部材を配置した後、ポリマー及びこのポリマ
ーに分散的に混入された導電性物質を含み溶融されたP
TC素子本体を成形金型内に注入してPTC素子本体を
成形したことで、PTC素子本体が外部接続導電部材と
接合されてポリマーPTC素子が製造される。
の外部接続導電部材を配置した後に、PTC素子本体を
成形金型内に注入して外部接続導電部材と接合しつつP
TC素子本体を成形したので、電極部の穴部や突起部間
或いは電極部の粗面化された表面に生じた凹部に、ポリ
マーを成分に含むPTC素子本体が確実に入り込み、ポ
リマーに電極部が食い込むように密着して、外部接続導
電部材とPTC素子本体との間の接合力が一層高まり、
結果として、信頼性及び歩留まりが高いポリマーPTC
素子を安価に製造することができる。
係るポリマーPTC素子及びポリマーPTC素子の製造
方法の第1の実施の形態を説明することにより、本発明
を明らかにする。図1及び図2は本実施の形態に係るポ
リマーPTC素子10を示す図である。本実施の形態で
は、ポリマー及びこのポリマーに分散的に混入された導
電性物質により構成される板状のPTC素子本体である
素子本体12が、この図に示すポリマーPTC素子10
の本体部分を構成している。
0は比較的低い温度での温度変化の検出を可能なよう
に、メタロセン触媒を用いて合成されたポリマー及び、
このポリマーに分散的に混入されたスパイク状の突起を
有する導電性粒子を導電性物質として含んだものが素子
本体12として採用されており、この素子本体12の抵
抗変化点の温度は60℃〜120℃と比較的低く設定さ
れている。
通電用で金属製の外部接続導電部材である導電部材14
がそれぞれ接合されている。つまり、これら一対の導電
部材14それぞれには、素子本体12に接合される部分
である電極部14A及び、この電極部14Aから細長い
板状にそれぞれ形成されて延びるリード端子部14B
が、一体的に設けられている。
ド端子部14Bは、素子本体12を中心として相互に逆
向きに延びるように配置されており、素子本体12の上
下両面にこれら導電部材14がそれぞれ接合されること
で、ポリマーPTC素子10が形成されている。また、
素子本体12に接合される導電部材14の電極部14A
には、それぞれ電極部14Aを貫通する複数の穴部16
がそれぞれ円形でテーパ状に形成されていて、図2に示
すように、テーパの細い側で電極部14Aが素子本体1
2に対向して配置されることで、これら多数の穴部16
内に素子本体12が入り込んでいる。
して、メタロセン触媒を用いて合成されたポリマー及
び、このポリマーに分散的に混入されたスパイク状の突
起を有する導電性粒子を導電性物質として含んだものを
採用した理由を説明する。ポリマーPTC素子10の素
子本体12として要求される特性としては、室温におけ
る非動作時の室温抵抗値が充分低いこと、室温抵抗値と
動作時の抵抗値との間の変化率が十分大きいこと、繰り
返し動作による抵抗値の変化が小さいことが挙げられ
る。
体12用のポリマーである熱可塑性結晶性高分子とし
て、これまで結晶性の高い高密度ポリエチレンが主に用
いられていた。この理由は、高結晶性の高分子であるほ
ど膨張率が大きく、大きな抵抗変化率が得られるからで
ある。これに対して低結晶性の高分子であるほど結晶化
速度が遅く、溶融後冷却した時、元の結晶状態に復帰で
きず室温での抵抗値の変化が大きくなるので、採用する
ことは本来困難であった。
欠点として、その動作温度の高さが挙げられる。つま
り、過電流保護素子として用いたときのポリマーPTC
素子の動作温度はその融点の130℃前後となり、回路
基板上の他の電子部品への熱的な影響が無視できない場
合がある。また、2次電池の過熱保護部品としては動作
温度がやはり高すぎる。
ンより低い100℃前後の動作温度にしながら、良好な
抵抗復帰性を維持可能とするように、メタロセン触媒を
用いて重合されたポリマーである直鎖状低密度ポリエチ
レン(LLDPE)を特に採用することにした。このメ
タロセン触媒を使って重合することで、ポリマーの分子
量分布の幅が狭くなり低密度・低分子量成分が少ないこ
とが、抵抗復帰性を維持できる原因の一つと考えられ
る。つまり従来の一般的な直鎖状低密度ポリエチレンで
は高密度成分が結晶化し、それが結晶核になって結晶化
が進むようになる。これに対してメタロセン触媒を用い
て合成されたポリマーにおいては、結晶核が均一に生成
・成長する為、ポリマーPTC素子が動作して結晶が融
解しても、その後の特性変化が小さくなって室温での抵
抗値の変化が少なくなると考えられる。
れたポリマーを採用することにより、従来のポリマーP
TC素子より動作温度を低くすることができ、従来は困
難であった低動作温度でありながら特性が安定している
素子を得ることができる。
子を用いたことにより、低い室温抵抗と大きい抵抗変化
率の両立が可能となった。つまり、スパイク状の突起を
有する導電性粒子を用いているので、その形状によりト
ンネル電流が流れ易くなり、球状の導電性粒子と比較し
て低い室温抵抗の素子本体が得られる。また、導電性粒
子間の間隔が球状のものと比較して大きいため、動作時
にはより大きな抵抗変化が得られるようになった。
して採用できる材質の第1例における抵抗と温度との関
係を表すグラフを図3に示し、第2例における抵抗と温
度との関係を表すグラフを図4に示す。これらの図の内
の図3に示す第1例では加熱と冷却の間でヒステリシス
を有しているが素子本体12として採用可能な範囲であ
る。一方、低分子有機化合物を混入し、この低分子有機
化合物を動作物質とすることで、加熱時に抵抗が増加す
る転移温度(動作温度)と冷却時に低抵抗に復帰する温
度とを殆ど同じにでき、図4に示すグラフの特性の材質
を得ることが可能となった。
素子10の製造工程を説明する。先ず、ポリマー及びこ
のポリマーに分散的に混入された導電性物質により構成
される素子本体12を製造すると共に、電極部14Aと
リード端子部14Bとが一体的に設けられた導電部材1
4を製造する。
ち抜きや切断等により製品形状にしたり、或いは成形時
にシート状ではなく直接に製品形状にすることで、この
図5(A)に示す直方体状の製品形状に素子本体12が
形成される。またこれとは別に、金属製の薄板をプレス
加工して打ち抜くことで、図5(A)に示すように、導
電部材14が形成されるが、この際に多数のテーパ状の
穴部16をプレス加工により電極部14Aに形成してお
くことにする。
14Aが素子本体12に対向した状態で、一対の導電部
材14をこの素子本体12の上下両面にそれぞれ配置す
る。そしてこの後、図5(B)に示すように、これら素
子本体12及び一対の導電部材14をプレス機20等で
圧着することで、これらが接合されて図1及び図2に示
すポリマーPTC素子10が完成される。以上より、こ
れら素子本体12及び一対の導電部材14の接合の際
に、ポリマーを成分に含んで変形し易くなっている素子
本体12が電極部14Aの穴部16内に入り込んで、こ
の素子本体12のポリマーに電極部14Aが食い込むよ
うに密着するので、素子本体12と導電部材14との間
の接合力が高まる。
素子10及びポリマーPTC素子10の製造方法の作用
を説明する。本実施の形態では、ポリマー及びこのポリ
マーに分散的に混入された導電性物質を含んで、低温度
の60℃〜120℃の温度範囲で抵抗変化が生じる素子
本体12をポリマーPTC素子10の本体部分として採
用した。さらに、複数の穴部16を有した電極部14A
とこの電極部14Aから延びるリード端子部14Bとが
一体的に設けられた導電部材14が、この電極部14A
を介してこの素子本体12の両面にそれぞれ接合される
構造に、このポリマーPTC素子10はなっている。
に電極部14Aの穴部16にポリマーを成分に含んで変
形し易くなっている素子本体12が入り込んで、この素
子本体12のポリマーに電極部14Aが食い込むように
密着するので、素子本体12と導電部材14との間の接
合力が高まることになる。従って、この素子本体12
は、ポリマーに導電性物質が分散されている為に熱に対
して弱く、特に200℃以上の熱付加により特性の劣化
が顕著となるものの、本実施の形態においては、従来例
のように電極部材を素子本体に貼り付けてから、リード
端子をはんだ付けや溶接する必要が無くなる。
なくなるのに伴って、電極とリード端子との間の接続強
度を高める為の接着剤を用いた接着工程等の特殊工程の
必要がなくなるだけでなく、熱による劣化の影響や変形
からの特性不良が素子本体12に生じないようになる為
に、ポリマーPTC素子10の信頼性が高くなるだけで
なく歩留まりが高まり、さらにははんだ部材及びはんだ
付け工程、溶接工程が無い為に、安価なポリマーPTC
素子10を製造できることになる。
リマーPTC素子10の変形例を説明する。図6(B)
〜(D)は電極部14Aに設けた穴部16の変形例の断
面形状を示す断面図である。例えば、穴部16の断面形
状としては、図6(A)に示すテーパー形状の他に、図
6(B)に示す単純なストレートの穴形状としたもの、
図6(C)に示す段付き部22を有する形状としたも
の、図6(D)に示すバーリング部24を有するバーリ
ング形状としたものなどが、考えられる。
トレート形状としても素子本体12と導電部材14との
間の接合力は充分に高くなるものの、テーパー形状、段
付き部22を有する形状及び、バーリング形状等の穴部
16とすることにより、一層高い接合強度が得られる。
た穴部16の変形例の平面形状を示す平面図である。例
えば、穴部16の平面形状としては、図7(A)に示す
丸い形状の他に、図7(B)に示す長穴状穴部26とし
たもの、図7(C)に示す星型穴部28としたものなど
色々考えられ、これらによっても一層高い接合強度が得
られる。図8は本実施の形態に係るポリマーPTC素子
10自体の変形例を示す斜視図であり、電極部14Aの
形状が円形であってリード端子部14Bの延びる方向も
相互に同一方向となった構造とされている。
設けた変形例の詳細形状を示す断面図である。電極部1
4Aに複数の突起部18を設けたものとしては、図9
(A)及び図9(B)に示すように一対のスリット34
を電極部14Aに形成し、これらスリットの間の電極部
14Aの部分をV字形状に切り曲げて突起部18とした
もの、図9(C)に示すフック状の突起部18をプレス
加工により電極部14Aの一部を袋状に突出変形させる
と共に先端部分を押しつぶすことで設けたものなどが、
考えられる。
材を超音波接合で電極部14Aに接合して、頂部が突出
したぎぼし状の突起部18を電極部14Aに設けたも
の、図9(E)に示すT型のチップ36を溶接して電極
部14Aにフック状の突起部18を設けたもの、図9
(F)に示すボール形状の球材38をはんだ又は溶接し
て電極部14Aに突起部18を設けたものなどのよう
に、電極部14Aに金属材料を接合するものも、考えら
れる。
面に電極部14Aによってそれぞれ接合される際に、ポ
リマーを成分に含む素子本体12が電極部14Aのこれ
ら複数の突起部18の周囲に入り込んで、ポリマーに電
極部14Aの複数の突起部18が食い込むように密着す
ることで、素子本体12と外部接続導電部材14との間
の接合力が高まるようになる。
8の大きさは、例えば直径Dが50μm程度とされると
共に高さ寸法Hが30μm程度とされ、他の図9(E)
及び図9(F)に示す突起部18も平面が同様の直径の
円形とされている。また、図9(E)に示す突起部18
を設ける際に、T型のチップ36の替わりにテトラポッ
ト形状等の他の形状のものを接合しても良い。
素子10の素子本体12と導電部材14との間の接合強
度について、説明する。すなわち、一対の導電部材14
のそれぞれのリード端子部14Bを図1の矢印P方向に
相互に引っ張ることにより素子本体12に対する電極部
14Aの剥離強度を測定したところ、穴部16や突起部
18の無いサンプルでは10ニュートン程度の強度を有
し、図6(B)のストレートの穴形状のサンプルでは9
0ニュートン程度の強度を有し、図6(A)のテーパー
形状のサンプルでは100ニュートン程度の強度を有し
ていた。
16を有する本実施の形態に係るポリマーPTC素子1
0の接合強度が十分に高くなっていることが理解でき
る。但し、本実施の形態では、素子本体12の板厚が
0.3〜0.4mm程度とされ、導電部材14の板厚が
0.1〜0.2mm程度とされ、テーパ量としても0.
1〜0.2mm程度とされている。また、穴部16の数
は50個程度とされ、穴部16の内径はテーパーの最小
径で測定して0.3〜0.5mm程度であった。
を電極部14Aに設けたサンプルの素子本体12に対す
る電極部14Aの剥離強度を、図9に示す複数の突起部
18を電極部14Aに設けた変形例の代表として同様に
測定したところ、100ニュートン程度の強度を有して
いた。
びポリマーPTC素子の製造方法の第2の実施の形態を
説明する。但し、第1の実施の形態で説明した部材と同
一の部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略
する。本実施の形態に係るポリマーPTC素子10の完
成品は、図1及び図2に示す第1の実施の形態と同様の
構造とされるが、以下のような製造方法が採用されてい
る。
工して連続的に打ち抜くことで、電極部14Aとリード
端子部14Bとが一体的に設けられた導電部材14を複
数連続した状態で製造するが、この際に複数の穴部16
をプレス加工により電極部14Aに形成しておくことに
する。またこれとは別に、ポリマー及びこのポリマーに
分散的に混入された導電性物質により構成される素子本
体12を製造するが、この際に素子本体12を電極部1
4Aの幅寸法に合わせた幅寸法を有するシート状に形成
する。
Aが素子本体12に対向した状態で、このシート状の素
子本体12の両面に、複数連続された導電部材14をそ
れぞれ密着させ、プレス機等で図10(A)に示すよう
に圧着して接合する。この後、これら素子本体12及び
導電部材14が接合された状態で、この図に示すように
順次これらを一体的に切断することで、図10(B)に
示すポリマーPTC素子10が順次製造される。
部14Aが穴部16を有することで、素子本体12と導
電部材14との間の接合力が高まり、信頼性及び歩留ま
りが高いポリマーPTC素子10を安価に製造すること
ができる。さらに、本実施の形態では、導電部材14を
複数連続した状態で形成すると共に、素子本体12をこ
の電極部14Aの幅寸法に合わせた幅寸法を有するシー
ト状に形成し、これら素子本体12及び導電部材14を
接合させた状態で、これらを一体的に切断するようにし
たので、大量のポリマーPTC素子10をより一層簡易
に製造でき、ポリマーPTC素子10を一層安価に製造
できるようになった。
びポリマーPTC素子の製造方法の第3の実施の形態を
説明する。但し、第1の実施の形態で説明した部材と同
一の部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略
する。本実施の形態に係るポリマーPTC素子10の完
成品は、図1及び図2に示す第1の実施の形態と同様の
構造とされるが、以下のような製造方法が採用されてい
る。
抜くことで、穴部16を有した電極部14Aとこの電極
部14Aから延びるリード端子部14Bとが一体的に設
けられた導電部材14を図5(A)に示す導電部材14
と同様に形成する。次に、図11に示す上型32Aと下
型32Bとから成る成形金型32内にこの導電部材14
を配置した後、ポリマー及びこのポリマーに分散的に混
入された導電性物質を含み溶融された素子本体12を成
形金型32内に注入して素子本体12を射出成形するこ
とで、素子本体12が導電部材14と接合されてポリマ
ーPTC素子10が製造される。
2内にこの導電部材14を配置した後に、素子本体12
を成形金型32内に注入して導電部材14と接合しつつ
素子本体12を成形したので、電極部14Aの穴部16
内に素子本体12が確実に入り込み、導電部材14と素
子本体12との間の接合力が一層高まり、結果として、
信頼性及び歩留まりが高いポリマーPTC素子10を安
価に製造することができる。
びポリマーPTC素子の製造方法の第4の実施の形態を
説明する。但し、第1の実施の形態で説明した部材と同
一の部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略
する。図12及び図13に示すように本実施の形態に係
るポリマーPTC素子10の完成品は第1の実施の形態
とほぼ同様の構造とされるが、以下のような相違を有す
る。
が穴部16を有する替わりに、本実施の形態に係るポリ
マーPTC素子10を構成する導電部材14の電極部1
4Aは、凹凸を有するように粗面化された表面42を有
しており、この凹凸の内の凸部46が図14(B)に示
すフック状に形成されている。さらに、この粗面化され
た表面42が素子本体12に対向した状態で、素子本体
12の上下両面に一対の導電部材14がそれぞれ接合さ
れる構造に、このポリマーPTC素子10はなってい
る。尚、この図において、凸部46の高さ寸法Hとして
は1μm以上であれば良いが、4〜10μm程度とする
ことが考えられ、凸部46間のピッチ寸法Pは高さ寸法
Hに比例した大きさとし、高さ寸法Hが大きくなればピ
ッチ寸法Pを大きくするような形とされている。
素子10の製造工程を説明する。先ず第1の実施の形態
と同様に、ポリマー及びこのポリマーに分散的に混入さ
れた導電性物質により構成される素子本体12を製造す
る。またこれとは別に、金属製の薄板をプレス加工して
打ち抜くことで、電極部14Aとリード端子部14Bと
が一体的に設けられた導電部材14を製造するが、この
際に電極部14Aに穴部16を形成しない替わりに、電
極部14Aの表面42を粗面化する。
極部14Aの表面42を化学的又は機械的に粗した状態
とし、この状態でこの表面42の一部又は全面に圧力を
加えて粗されて生じた凸部44を変形させて、図14
(B)に示すフック状の凸部46とした。
Aの粗面化された表面42を素子本体12に対向した状
態で、一対の導電部材14をこの素子本体12の上下両
面にそれぞれ配置する。そしてこの後、図15(B)に
示すように、これら素子本体12及び一対の導電部材1
4をプレス機20等で圧着することで、これらが図14
(C)のように接合されて図12及び図13に示すポリ
マーPTC素子10が完成される。
素子10及びポリマーPTC素子10の製造方法の作用
を説明する。以上の説明より、これら素子本体12及び
一対の導電部材14の接合の際に、ポリマーを成分に含
んで変形し易くなっている素子本体12が電極部14A
の粗面化された表面42の凸部46間の凹部に入り込ん
で、この素子本体12のポリマーに電極部14Aが食い
込むように密着することで、素子本体12と導電部材1
4との間の接合力が高まる。
導電性物質が分散されている為に熱に対して弱くなるも
のの、第1の実施の形態と同様に従来例のように電極部
材を素子本体に貼り付けてから、リード端子をはんだ付
けや溶接する必要が無くなる。この結果、はんだ付け等
の接続工程が必要なくなるのに伴って、電極とリード端
子との間の接続強度を高める為の接着剤を用いた接着工
程等の特殊工程の必要がなくなり、第1の実施の形態と
同様に、ポリマーPTC素子10の信頼性が高くなるだ
けでなく歩留まりが高まると共に、安価なポリマーPT
C素子10ともなる。
面化しただけでも素子本体12と導電部材14との間の
接合力は充分に高くなるが、本実施の形態では、この電
極部14Aの表面42に生じた凸部44を変形させてフ
ック状の凸部46としたので、一層高い接合強度が得ら
れることになる。
素子10の素子本体12と導電部材14との間の接合強
度について、説明する。すなわち、一対の導電部材14
のそれぞれのリード端子部14Bを図12の矢印P方向
に相互に引っ張ることにより素子本体12に対する電極
部14Aの剥離強度を測定したところ、粗面化されてい
ないサンプルでは10ニュートン程度の強度を有し、図
14(A)の状態に粗面化されたサンプルでは50ニュ
ートン程度の強度を有し、図14(B)の状態に粗面化
されたサンプルでは100ニュートン程度の強度を有し
ていた。従って、この結果から本実施の形態に係るポリ
マーPTC素子10の接合強度が十分に高くなっている
ことが理解できる。
びポリマーPTC素子の製造方法の第5の実施の形態を
説明する。但し、第1の実施の形態及び第4の実施の形
態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し
て、重複した説明を省略する。本実施の形態に係るポリ
マーPTC素子10の完成品は、第4の実施の形態と同
様に図12及び図13に示す構造とされる。
C素子10を構成する導電部材14の電極部14Aは、
第4の実施の形態とほぼ同様に、凹凸を有するように粗
面化された表面42を有しており、この凹凸の内の凸部
46が図16(B)に示すような先端側が膨らんでフッ
ク状となった凸部46になっている。
の表面42に粒状材48が付着してフック状となった多
数の凸部46により表面42が粗面化されるという相違
を、第4の実施の形態に対して有する。尚、この図16
(B)に示す電極部14Aの表面42の表面粗さは、R
a で例えば1.1〜1.3μm程度となっている。さら
に、第4の実施の形態と同様に本実施の形態でも、図1
6(C)に示すように、この粗面化された表面42が素
子本体12に対向した状態で、素子本体12の上下両面
に一対の導電部材14がそれぞれ接合される構造に、こ
のポリマーPTC素子10はなっている。
素子10の製造工程を説明する。先ず第1の実施の形態
と同様に、ポリマー及びこのポリマーに分散的に混入さ
れた導電性物質により構成される素子本体12を製造す
る。またこれとは別に、圧延加工することで導電部材1
4用の金属製の薄板を作製し、少なくとも電極部14A
となる薄板の部分を図16(A)に示すようにエッチン
グ又はメッキ等の処理により粗して粗面化されて、凸部
44を有する表面42とする。
処理を施して、粗された表面42の内の凸部44の頂部
分に電解液中のイオン化された物質を付着する。例え
ば、この凸部44の頂部分に限界電流密度付近の電流密
度で金属の粉末とメッキの中間的な塊状の粒状材48を
析出させることにより、この粒状材48を成長させて粒
状材48が付着した図16(B)に示すフック状の凸部
46とする。
ことで、フック状の凸部46を有した電極部14Aとリ
ード端子部14Bとが一体的に設けられた導電部材14
を製造する。但し、プレス加工は粗面化処理の前に行っ
ても良く、この場合には導電部材14の形状になった状
態で、粗面化処理及び電解処理が行われることになる。
部14Aの粗面化された表面42を素子本体12に対向
した状態で、一対の導電部材14をこの素子本体12の
上下両面にそれぞれ配置し、これら素子本体12及び一
対の導電部材14をプレス機等で圧着する。これにより
これらが図16(C)のように接合されて、第4の実施
の形態と同様の図12及び図13に示すポリマーPTC
素子10が完成される。
素子10の別の製造方法による製造工程を説明する。前
記と同様に素子本体12とは別に、圧延加工することで
金属製の薄板を作製する。この後、この薄板の表面42
をエッチング又はメッキにより粗面化する処理を省略し
て、この状態でいきなり前述の電解処理を薄板に施すよ
うにする。この場合、薄板の表面42は電解処理前にお
いて粗面化されていないものの、圧延加工後の表面が本
来的に有している図17(A)に示す凹凸の内の凸部4
4の頂部分に電解液中のイオン化された物質が付着する
ことになる。そして、前述と同様に粒状材48を成長さ
せて、粒状材48が付着した図17(B)に示すフック
状の凸部46とすることができる。この後、前述と同様
に図17(C)のように一対の導電部材14を素子本体
12の上下両面に接合してポリマーPTC素子10を完
成する。
素子10及びポリマーPTC素子10の製造方法の作用
を説明する。以上の説明より、本実施の形態に係るポリ
マーPTC素子10も、第4の実施の形態と同様にこれ
ら素子本体12及び一対の導電部材14の接合の際に、
ポリマーを成分に含んで変形し易くなっている素子本体
12が電極部14Aの粗面化された表面42の凸部46
間の凹部に入り込んで密着し、素子本体12と導電部材
14との間の接合力が高まることになる。
の形態と同様にポリマーを成分に含む素子本体12が電
極部14Aの粗面化された表面42の凹部に入り込ん
で、この素子本体12のポリマーに電極部14Aが食い
込み、素子本体12と導電部材14との間の接合力が高
まる。この結果、第4の実施の形態と同じくはんだ付け
等の接続工程が必要なくなるのに伴って、第1の実施の
形態と同様にポリマーPTC素子10の信頼性が高くな
るだけでなく歩留まりが高まると共に、安価なポリマー
PTC素子10ともなる。さらに、電極部14Aの表面
42を単に粗面化しただけでなく、電極部14Aの表面
42に付着した粒状材48を成長させてフック状の凸部
46としたので、フック状の凸部46間の凹部内に素子
本体12が入り込むことで、いわゆるアンカー効果が生
じて一層高い接合強度が得られるようになった。
4として採用される金属材料としては、ニッケル、ニッ
ケル合金、銅或いは、銅合金が考えられるが、他の金属
材料を採用しても良い。さらに、上記第5の実施の形態
において用いられる粒状材48の材質としてはニッケル
や銅でも良く、導電部材14と粒状材48との組み合わ
せも同一種の材質だけでなく、例えば、ニッケルと銅と
の組み合わせや、銅とニッケルとの組み合わせなども、
考えられる。
2により素子本体12と導電部材14との間の接合力を
高めたポリマーPTC素子10を製造する際に、第4の
実施の形態の製造方法の替わりに、第2の実施の形態の
ように、複数連続した状態で製造された導電部材14と
シート状に形成された素子本体12とを接合してからこ
れらを順次切断するようにしても良い。さらに、第3の
実施の形態のように、成形金型32内に導電部材14を
配置した後に、素子本体12を成形金型32内に注入し
て導電部材14と接合しつつ素子本体12を成形するよ
うにしても良い。
実施の形態において、素子本体12及び一対の導電部材
14をプレス機20等で圧着してこれらを接合し、ポリ
マーPTC素子10を完成したが、プレス機20等によ
る圧着時に適切な熱量の熱を加える事により、素子本体
12と導電部材14との間をより容易に密着できる場合
もある。
14Aの表面42を化学的又は機械的に粗した状態とす
る際には、例えばメッキやエッチング等の化学的手段或
いは、切削加工や研削加工等の機械加工及びレーザ加工
を含む機械的手段を採用することができる。また、図3
及び図4のグラフの特性を有した物質を第2の実施の形
態から第4の実施の形態においても、素子本体12とし
て当然に採用できる。
ーPTC素子の製造方法によれば、熱劣化による特性不
良を招くおそれを無くすだけでなく、リード端子の接続
強度を高くして特殊工程の必要を無くすと共に歩留まり
の向上を図って低コストでポリマーPTC素子を製造す
ることが可能となる。
C素子を示す斜視図である。
C素子を示す断面図である。
の第1例における素子本体の抵抗と温度との関係を表す
グラフを示す図である。
の第2例における素子本体の抵抗と温度との関係を表す
グラフを示す図である。
C素子の製造を示す図であって、(A)は素子本体と導
電部材との間の接合前の状態を示す図であり、(B)は
素子本体と導電部材との間の圧着の状態を示す図であ
る。
C素子及びその変形例の要部を示す断面図であって、
(A)は第1の実施の形態の断面図であり、(B)は穴
部を単純なストレートの穴形状とした変形例の断面図で
あり、(C)は段付き部を有する形状の変形例の断面図
であり、(D)はバーリング形状とした変形例の断面図
である。
C素子及びその変形例を示す導電部材の平面図であっ
て、(A)は第1の実施の形態の平面図であり、(B)
は穴部を長穴状穴部とした変形例の平面図であり、
(C)は穴部を星型穴部とした変形例の平面図である。
C素子自体の変形例を示す斜視図である。
C素子の変形例の要部を示す断面図であって、(A)は
V字形状に電極部の一部を曲げて突起部を設けた変形例
の断面図であり、(B)は(A)の9B−9B矢視線断
面図であり、(C)はフック状の突起部を設けた変形例
の断面図であり、(D)はぎぼし状の突起部を設けた変
形例の断面図であり、(E)は溶接によりフック状の突
起部を設けた変形例の断面図であり、(F)はボール形
状の突起部を設けた変形例の断面図である。
TC素子の製造を示す図であって、(A)はシート状の
素子本体と複数連続した状態の導電部材との間が接合さ
れたものからポリマーPTC素子が切断される状態を示
す図であり、(B)は切断された状態のポリマーPTC
素子の側面図である。
TC素子の製造を示す図であって、成形金型内で素子本
体が射出成形されてポリマーPTC素子が製造される状
態を示す断面図である。
TC素子を示す斜視図である。
TC素子を示す断面図である。
TC素子の電極部の表面を粗面化する手順を説明する図
であって、(A)は電極部の表面を化学的又は機械的に
粗した状態を示す断面図であり、(B)は電極部の表面
に生じている凸部を変形させた状態を示す断面図であ
り、(C)は電極部と素子本体とが接合された状態を示
す断面図である。
TC素子の製造を示す図であって、(A)は素子本体と
導電部材との間の接合前の状態を示す図であり、(B)
は素子本体と導電部材との間の圧着の状態を示す図であ
る。
TC素子の電極部の表面を粗面化する手順を説明する図
であって、(A)は電極部の表面を粗した状態を示す断
面図であり、(B)は電極部の表面に生じている凸部に
粒状材を付着した状態を示す断面図であり、(C)は電
極部と素子本体とが接合された状態を示す断面図であ
る。
TC素子の電極部の表面を粗面化する別の手順を説明す
る図であって、(A)は電極部の圧延加工後の表面を示
す断面図であり、(B)は電極部の表面に生じている凸
部に粒状材を付着した状態を示す断面図であり、(C)
は電極部と素子本体とが接合された状態を示す断面図で
ある。
示す斜視図である。
示す図であって、(A)はポリマーPTC素子の素子本
体の斜視図であり、(B)は素子本体にリード端子を溶
着する状態を示す斜視図であり、(C)はリード端子を
固定したポリマーPTC素子の外観斜視図である。
Claims (12)
- 【請求項1】 ポリマー及びこのポリマーに分散的に混
入された導電性物質を含むPTC素子本体を有したポリ
マーPTC素子であって、 複数の穴部を有した電極部とこの電極部から延びるリー
ド端子部とが一体的に設けられた外部接続導電部材が、
前記PTC素子本体の両面にこの電極部によってそれぞ
れ接合されたことを特徴としたポリマーPTC素子。 - 【請求項2】 前記電極部の穴部の断面形状が、テーパ
ー形状或いは段付き部を有した形状とされることを特徴
とした請求項1記載のポリマーPTC素子。 - 【請求項3】 前記電極部の穴部を形成する部分が、バ
ーリング形状とされることを特徴とした請求項1記載の
ポリマーPTC素子。 - 【請求項4】 ポリマー及びこのポリマーに分散的に混
入された導電性物質を含むPTC素子本体を有したポリ
マーPTC素子であって、 複数の突起部を有した電極部とこの電極部から延びるリ
ード端子部とが一体的に設けられた外部接続導電部材
が、前記PTC素子本体の両面にこの電極部によってそ
れぞれ接合されたことを特徴としたポリマーPTC素
子。 - 【請求項5】 前記電極部の突起部が、電極部の一部を
切り曲げして形成されることを特徴とした請求項4記載
のポリマーPTC素子。 - 【請求項6】 前記電極部の突起部が、電極部の一部を
袋状に突出させると共にこの突出された部分の先端を押
しつぶして形成されることを特徴とした請求項4記載の
ポリマーPTC素子。 - 【請求項7】 前記電極部の突起部が、金属材料を電極
部に接合することで形成されることを特徴とした請求項
4記載のポリマーPTC素子。 - 【請求項8】 ポリマー及びこのポリマーに分散的に混
入された導電性物質を含むPTC素子本体を有したポリ
マーPTC素子であって、 粗面化された表面を有した電極部とこの電極部から延び
るリード端子部とが一体的に設けられた外部接続導電部
材が、前記PTC素子本体の両面にこの電極部の表面に
よってそれぞれ接合され、 前記電極部の粗面化された表面の粗面部分を構成する凹
凸の内の凸部に圧力が加えられて、この凸部がフック状
に形成されていることを特徴としたポリマーPTC素
子。 - 【請求項9】 ポリマー及びこのポリマーに分散的に混
入された導電性物質を含むPTC素子本体を有したポリ
マーPTC素子であって、 粒状材が付着してフック状となった凸部により表面が粗
面化された電極部とこの電極部から延びるリード端子部
とが一体的に設けられた外部接続導電部材が、前記PT
C素子本体の両面にこの電極部の表面によってそれぞれ
接合されたことを特徴としたポリマーPTC素子。 - 【請求項10】 ポリマー及びこのポリマーに分散的に
混入された導電性物質を含むPTC素子本体を有したポ
リマーPTC素子を製造するポリマーPTC素子の製造
方法であって、 まず、複数の穴部を有した電極部、複数の突起部を有し
た電極部或いは、粗面化された表面を有した電極部とこ
の電極部から延びるリード端子部とが一体的に設けられ
た外部接続導電部材を作製すると共に、PTC素子本体
を作製し、 次に、この電極部がPTC素子本体に対向した状態でP
TC素子本体の両面に外部接続導電部材をそれぞれ配置
し、 この後、これらPTC素子本体及び外部接続導電部材を
圧着することでこれらを接合したことを特徴としたポリ
マーPTC素子の製造方法。 - 【請求項11】 ポリマー及びこのポリマーに分散的に
混入された導電性物質を含むPTC素子本体を有したポ
リマーPTC素子を製造するポリマーPTC素子の製造
方法であって、 まず、複数の穴部を有した電極部、複数の突起部を有し
た電極部或いは、粗面化された表面を有した電極部とこ
の電極部から延びるリード端子部とが一体的に設けられ
た外部接続導電部材を複数連続した状態に作製すると共
に、この電極部の幅寸法に合わせた幅寸法を有するシー
ト状にPTC素子本体を作製し、 次に、この電極部がPTC素子本体に対向した状態でシ
ート状のPTC素子本体の両面に外部接続導電部材をそ
れぞれ密着させて接合し、 この後、これらPTC素子本体及び外部接続導電部材を
接合した状態でこれらを一体的に切断したことを特徴と
したポリマーPTC素子の製造方法。 - 【請求項12】 ポリマー及びこのポリマーに分散的に
混入された導電性物質を含むPTC素子本体を有したポ
リマーPTC素子を製造するポリマーPTC素子の製造
方法であって、 まず、複数の穴部を有した電極部、複数の突起部を有し
た電極部或いは、粗面化された表面を有した電極部とこ
の電極部から延びるリード端子部とが一体的に設けられ
た外部接続導電部材を作製し、 次に、この外部接続導電部材を成形金型内に配置し、 この後、成形金型内に溶融されたPTC素子本体を注入
することで、外部接続導電部材と接合しつつPTC素子
本体を成形したことを特徴としたポリマーPTC素子の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001008751A JP3830349B2 (ja) | 2000-06-20 | 2001-01-17 | ポリマーptc素子及びポリマーptc素子の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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