JP2002080720A - 基板用カセット - Google Patents

基板用カセット

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JP2002080720A
JP2002080720A JP2000274124A JP2000274124A JP2002080720A JP 2002080720 A JP2002080720 A JP 2002080720A JP 2000274124 A JP2000274124 A JP 2000274124A JP 2000274124 A JP2000274124 A JP 2000274124A JP 2002080720 A JP2002080720 A JP 2002080720A
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substrate cassette
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面抵抗率を半導電性領域の所望の値に制御
することが可能で、流動性、発塵防止性、及び機械的特
性に優れ、かつ、基板表面への不純物の滲み出しが極め
て少ない基板用カセットを提供すること。 【解決手段】 基板用カセットにおいて、少なくとも基
板と接触する箇所の部材が、(A)ポリアリーレンスル
フィド10〜88.5重量%、(B)ポリスルホン10
〜88.5重量%、(C)体積抵抗率が102〜1010Ω
・cmの炭素前駆体1〜30重量%、及び(D)体積抵
抗率が102Ω・cm未満の導電性充填材0.5〜30重
量%を含有する熱可塑性樹脂組成物により形成されてい
ることを特徴とする基板用カセット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板用カセットに
関し、さらに詳しくは、エレクトロニクス実装技術分野
における液晶ディスプレイ用ガラス基板、プラズマディ
スプレイ用ガラス基板、サーマルヘッド用ガラス基板、
LSIパッケージ用セラミック基板、ハイブリッドIC
用セラミック基板などの薄板状の基板を収容するための
基板用カセットに関する。
【0002】
【従来の技術】エレクトロニクス実装技術では、膜技術
と微小接続技術を駆使して、半導体や機能部品、回路部
品などを配線基板の上に配置・接続し、これを他の構成
部品とともに組み立てて、所望の電子回路を構成してい
る。基板としては、例えば、ガラス基板、セラミック基
板、シリコン基板、複合基板(例えば、樹脂/セラミッ
ク基板、樹脂/シリコン基板)、メタルベース・メタル
コア基板(絶縁層は、ガラスやポリイミドなど)などの
薄板状の基板が用いられている。
【0003】これらの基板材料、導体パターンが形成さ
れた基板、薄膜トランジスタ(TFT)などの高機能素
子を組み込んだ基板(例えば、液晶ディスプレイ用ガラ
ス基板)などの各種基板は、実装基板や電子回路部品の
製造工程等において、搬送、保管、組立作業などのため
に、複数枚が一緒にまとめられて一つの基板用カセット
に収容されている。
【0004】基板用カセットには、各基板が互いに接触
しないように出し入れすることができ、かつ、各基板を
分離して支持・収容することができるような構造を有し
ていることが求められている。そのため、基板用カセッ
トは、通常、箱型枠体から形成されており、該枠体の一
対の対向する側面には溝付き側板が配置された構造を有
している。各基板は、これらの側板の対応する溝間に収
容される。溝付き側板の形状としては、側板の背肉部か
ら多数のリブ状の棚片が張り出した形状のものが一般的
である。隣接する棚片間の空隙が溝となり、そこに基板
が収容される。このような構造の基板用カセットは、例
えば、特開平6−286812号公報、特開平6−24
7483号公報、特開平5−147680号公報、特開
平9−36219号公報などに開示されている。
【0005】このような基板用カセットの具体例を図1
及び図2を参照しながら説明する。図1は、基板用カセ
ットの一例の正面図である。この基板用カセットは、底
面側フレーム1、上面側フレーム2、側板3,3、これ
らの側板のそれぞれに設けられたリブ状の棚板4,4、
及び受け側フレーム5,5から構成されている。隣接す
るリブ状の棚板間が溝となって、そこに基板Aが収容さ
れる。
【0006】図2に、上記の基板用カセットの斜視図を
示す。図2に示す基板用カセットでは、箱型枠体の一対
の側面に、溝付き側板3,3がそれぞれ3個づつ配置さ
れているが、この個数は、基板の大きさなどに応じて適
宜変更することができる。底面側フレーム1及び上面側
フレーム2は、いずれも格子状に形成されているが、他
の形状であってもよい。これらの各部材は、一般に、そ
れぞれ射出成形等により作製され、箱型枠体に組み立て
られる。
【0007】このような構造の基板用カセットは、一般
に、高分子材料、金属材料、またはこれらの材料を組み
合わせた複合材料(例えば、金属インサートまたはアウ
トサート部材)から形成されているが、多くの場合、高
分子材料もしくは少なくとも表面が高分子材料からなる
部材により形成されている。このような構造の基板用カ
セットに基板を収容すると、基板は、該カセットの溝付
き側板などの各部材と接触する。基板用カセットを構成
する各部材が帯電性または導電性を有するものである場
合には、基板がこれらの部材と接触したときに様々な不
都合が生じる。
【0008】例えば、基板用カセットに、薄膜トランジ
スタを形成したガラス基板を収容する場合、このガラス
基板と接触する部材の表面抵抗率が1012Ω/□超過で
あると、該部材表面に帯電した静電気によりガラス基板
の回路が損傷したり、静電気によって空中に浮遊してい
る埃等がガラス基板に吸着されてしまう。一方、ガラス
基板と接触する部材の表面抵抗率が105Ω/□未満で
あると、該部材にガラス基板が接触した場合、感電、漏
電または帯電していたガラス基板が急激に放電して、回
路が破損してしまう。
【0009】このように、基板を静電気から保護し、埃
等を寄せ付けず適切なクリーン度を保つという点、並び
に急激な放電を防ぐ点からは、基板と接触する部材の表
面抵抗率を105〜1012Ω/□の範囲内に厳密に制御
する必要がある。そのため、従来から、高分子材料に帯
電防止剤や電気抵抗の小さな充填材をブレンドした樹脂
組成物からなる成形物が基板用カセットの部材として用
いられている。
【0010】しかしながら、帯電防止剤を含有する樹脂
組成物を用いて成形物を成形する方法では、長期間の帯
電防止には充分でない。すなわち、成形物の表面に存在
する帯電防止剤は、水洗、摩擦などにより除去されてし
まい、帯電防止効果が失われる。しかも、帯電防止剤が
成形物の表面にブリードしすぎると、ゴミや埃の粘着が
起こるばかりではなく、帯電防止剤の溶出及び揮発によ
り周囲の環境が汚染される等の問題点があった。
【0011】電気抵抗の小さな充填材を含有する樹脂組
成物を用いて成形した基板用カセットとして、樹脂成分
に金属繊維とウイスカー状導電性材料とを含有せしめた
樹脂組成物を溶融成形してなる基板用カセット(特開平
5−147680号公報)、樹脂成分に金属繊維、金属
粒子、カーボン繊維、カーボンブラック、グラファイト
等の導電性物質を含有せしめた樹脂組成物を成形してな
る部材を用いた基板用カセット(特開平9−36219
号公報)などが提案されている。
【0012】しかし、これらの導電性充填材を用いた場
合、導電性充填材と樹脂の電気抵抗率が大きくかけ離れ
ていることもあって、樹脂成分と導電性充填材とからな
る樹脂組成物の電気抵抗率は、導電性充填材の含有量の
僅かの変化でも、急激に変化する。特に、基板用カセッ
トに要求される表面抵抗率105〜1012Ω/□の範囲
において、表面抵抗率の変動が急激である。しかも、該
樹脂組成物を成形してなる成形物の表面抵抗率は、場所
によるバラツキが大きい。したがって、樹脂成分と導電
性充填材とを含有する樹脂組成物を用いたのでは、10
5〜1012Ω/□の範囲内の所望の表面抵抗率値を有す
る成形物を安定して成形することが極めて困難である。
また、成形物の場所による表面抵抗率のバラツキが大き
いため、いずれの箇所をとっても一定の帯電防止性や表
面抵抗率を示す基板用カセットやその部材を製造するこ
とが困難である。
【0013】液晶ディスプレイの大型化に伴ってガラス
基板の大型化が進んでいるが、このような大型基板を基
板用カセットに収容すると、基板用カットを構成する各
部材に高い応力がかかるため、各部材には、優れたクリ
ープ特性、弾性率、強度などを有することが求められて
いる。しかし、帯電防止剤や導電性充填材を含有させた
樹脂組成物を用いる方法では、強化繊維をブレンドしな
いと弾性率などの改善が困難であった。
【0014】また、基板用カセットと基板とが接触する
と、基板用カセットを構成する部材が発塵して基板を汚
染することがある。さらに、各部材は、成形時や熱処理
時にそりが発生しやすい。ポリスルホンは、発塵性が小
さく、そりが少ない成形体を与えることができるもの
の、ポリスルホンとカーボン繊維などの導電性充填材と
からなる樹脂組成物は、溶融流動性に劣るため、金型転
写性などの成形性が悪いという問題があった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、少な
くとも基板と接触する箇所の部材の表面抵抗率が105
〜1012Ω/□の範囲内の所望の値に厳密に制御され、
かつ、場所による表面抵抗率のバラツキが小さい基板用
カセットを提供することにある。
【0016】また、本発明の目的は、このように優れた
電気的特性を有する基板用カセットを、溶融流動性、成
形性、発塵防止性、機械的特性に優れ、基板表面への不
純物の滲みだしが極めて少ない熱可塑性樹脂組成物を用
いて提供することにある。
【0017】本発明者らは、前記課題を達成すべく鋭意
研究した結果、樹脂成分としてポリアリーレンスルフィ
ドとポリスルホンとを特定割合で併用し、さらに、この
樹脂成分に、体積抵抗率がそれぞれ特定の領域にある炭
素前駆体と導電性充填材とを含有せしめた熱可塑性樹脂
組成物に想到した。該熱可塑性樹脂組成物を用いて得ら
れる成形物は、表面抵抗率が前記の半導電性領域に厳密
に制御され、場所による表面抵抗率のバラツキが小さ
く、基板用カセットを構成する部材として好適である。
しかも、該熱可塑性樹脂組成物は、溶融流動性、成形
性、発塵防止性、機械的強度に優れ、基板表面を汚染す
ることもない。本発明は、これらの知見に基づいて完成
するに至ったものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、基板用カセットにおいて、少なくとも基板と接触す
る箇所の部材が、(A)ポリアリーレンスルフィド10
〜88.5重量%、(B)ポリスルホン10〜88.5重
量%、(C)体積抵抗率が102〜1010Ω・cmの炭素
前駆体1〜30重量%、及び(D)体積抵抗率が102
Ω・cm未満の導電性充填材0.5〜30重量%を含有す
る熱可塑性樹脂組成物により形成されていることを特徴
とする基板用カセットが提供される。
【0019】
【発明の実施の形態】1.ポリアリーレンスルフィド
(PAS) 本発明で使用するポリアリーレンスルフィド(以下、
「PAS」と略記することがある)とは、式[−Ar−
S−](ただし、−Ar−は、アリーレン基である。)
で表されるアリーレンスルフィドの繰り返し単位を主た
る構成要素とする芳香族ポリマ-である。[−Ar−S
−]を1モル(基本モル)と定義すると、本発明で使用
するPASは、この繰り返し単位を通常50モル%以
上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90〜
100モル%の割合で含有する芳香族ポリマーである。
【0020】アリーレン基としては、例えば、p−フェ
ニレン基、m−フェニレン基、置換フェニレン基(好ま
しい置換基は、炭素数1〜6のアルキル基及びフェニル
基である。)、p,p′−ジフェニレンスルホン基、
p,p′−ビフェニレン基、p,p′−ジフェニレンカ
ルボニル基、ナフチレン基などが挙げられる。PASと
して、主として同一のアリーレン基を有するポリマーを
好ましく用いることができるが、加工法や耐熱性の観点
から、2種以上のアリーレン基を含むコポリマーを用い
ることもできる。
【0021】これらのPASの中でも、p−フェニレン
スルフィドの繰り返し単位を主構成要素とするポリフェ
ニレンスルフィド(PPS)が、加工性に優れ、しかも
工業的に入手が容易であることから特に好ましい。この
他に、ポリアリーレンケトンスルフィド、ポリアリーレ
ンケトンケトンスルフィドなどを使用することができ
る。コポリマーの具体例としては、p−フェニレンスル
フィドの繰り返し単位とm−フェニレンスルフィドの繰
り返し単位を有するランダムまたはブロックコポリマ
ー、フェニレンスルフィドの繰り返し単位とアリーレン
ケトンスルフィドの繰り返し単位を有するランダムまた
はブロックコポリマー、フェニレンスルフィドの繰り返
し単位とアリーレンケトンケトンスルフィドの繰り返し
単位を有するランダムまたはブロックコポリマー、フェ
ニレンスルフィドの繰り返し単位とアリーレンスルホン
スルフィドの繰り返し単位を有するランダムまたはブロ
ックコポリマーなどを挙げることができる。これらのP
ASは、結晶性ポリマ-であることが好ましい。PAS
は、靭性や強度などの観点から、実質的に直鎖状のポリ
マーであることが好ましい。
【0022】PASは、極性溶媒中で、アルカリ金属硫
化物とジハロゲン置換芳香族化合物とを重合反応させる
公知の方法(例えば、特公昭63−33775号公報)
により得ることができる。アルカリ金属硫化物として
は、例えば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリ
ウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムなどを挙げること
ができる。反応系中で、NaSHとNaOHを反応させ
ることにより生成させた硫化ナトリウムなども使用する
ことができる。
【0023】ジハロゲン置換芳香族化合物としては、例
えば、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、
2,5−ジクロロトルエン、p−ジブロムベンゼン、
2,6−ジクロロナフタリン、1−メトキシ−2,5−
ジクロロベンゼン、4,4′−ジクロロビフェニル、
3,5−ジクロロ安息香酸、p,p′−ジクロロジフェ
ニルエ-テル、4,4′−ジクロロジフェニルスルホ
ン、4,4′−ジクロロジフエニルスルホキシド、4,
4′−ジクロロジフェニルケトンなどを挙げることがで
きる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を
組み合わせて使用することができる。
【0024】PASに多少の分岐構造または架橋構造を
導入するために、1分子当たり3個以上のハロゲン置換
基を有するポリハロゲン置換芳香族化合物を少量併用す
ることができる。ポリハロゲン置換芳香族化合物の好ま
しい例としては、1,2,3−トリクロロベンゼン、
1,2,3−トリブロモベンゼン、1,2,4−トリク
ロロベンゼン、1,2,4−トリブロモベンゼン、1,
3,5−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリブロモ
ベンゼン、1,3−ジクロロ−5−ブロモベンゼンなど
のトリハロゲン置換芳香族化合物、及びこれらのアルキ
ル置換体を挙げることができる。これらは、それぞれ単
独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することが
できる。これらの中でも、経済性、反応性、物性などの
観点から、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,
5−トリクロロベンゼン、及び1,2,3−トリクロロ
ベンゼンが好ましい。
【0025】極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロ
リドン(以下、「NMP」と略記)などのN−アルキル
ピロリドン、1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノ
ン、テトラアルキル尿素、ヘキサアルキル燐酸トリアミ
ドなどに代表されるアプロチック有機アミド溶媒が、反
応系の安定性が高く、高分子量のポリマーが得やすいの
で好ましい。
【0026】本発明で使用するPASは、310℃、剪
断速度1200/秒で測定した溶融粘度が、通常10P
a・s〜800Pa・s、好ましくは15Pa・s〜6
00Pa・sであることが望ましい。PASの溶融粘度
が小さすぎると、機械的特性が不充分となるおそれがあ
る。PASの溶融粘度が大きすぎると、射出成形性など
の成形性が不充分となるおそれがある。
【0027】本発明で使用するPASは、重合終了後の
洗浄したものを使用することができるが、さらに、塩
酸、酢酸などの酸を含む水溶液、あるいは水−有機溶剤
混合溶液により処理されたものや、塩化アンモニウムな
どの塩溶液で処理されたものなどを使用し、アセトン/
水=1:2に調整した水−有機溶媒混合溶液中でのPA
SのpHを8以下にすることにより、流動性及び機械的
性質をより向上させることができる。
【0028】本発明で使用するPASは、100μm以
上の平均粒子径を有する粒状物であることが望ましい。
PASの平均粒子径が小さすぎると、押出機による溶融
押出の際、フィード量が制限されるため、樹脂組成物の
押出機内での滞留時間が長くなり、樹脂組成物の劣化等
の問題が生じるおそれがある。また、製造効率上も望ま
しくない。
【0029】PASの配合割合は、10〜88.5重量
%であり、好ましくは12〜85重量%、特に好ましく
は13〜60重量%である。PASの配合割合が少なす
ぎると、機械的強度が低下するとともに、流動性が悪く
なり、射出成形性及び押出成形性が不充分となる。PA
Sの配合割合が多すぎると、成形時や熱処理時の成形物
のそりが大きくなり、また、発塵防止性も悪化するおそ
れがある。
【0030】2.ポリスルホン 本発明で使用するポリスルホンは、−SO2−基を分子
内に有する高分子化合物であり、そのタイプには特に制
限はないが、下記式(I)で示される繰り返し単位を有
するポリスルホンが好適である。
【0031】
【化1】
【0032】上記ポリスルホンの製造方法としては、従
来公知の方法を採用することができる。一例としては、
ジハロゲン置換ジフェニルスルホンに対して実質的に等
モルの芳香族ジヒドロキ化合物をアルカリの存在下で反
応させる方法を挙げることができる。ポリスルホンは、
非晶性、耐熱性のエンジニアリングプラスチックとし
て、アモコジャパン社からユーデルやミンデル等の商品
名で市販されている。
【0033】本発明に用いるポリスルホンとしては、固
有粘度(N−メチル−2−ピロリドン中)が0.3〜
1.5程度のものが好ましい。固有粘度が低すぎると高
強度の成形品を得ることが難しくなる。固有粘度が高す
ぎると溶融ブレンドが難かしくなり、成形性が悪化す
る。
【0034】ポリスルホンの配合割合は、10〜88.
5重量%であり、好ましくは15〜85重量%、特に好
ましくは20〜60重量%である。ポリスルホンの配合
割合が多すぎると、流動性が悪くなり、射出成形性や押
出成形性が悪くなる。ポリスルホンの配合割合が少なす
ぎると、成形時や熱処理時の成形物のそりが大きくな
り、また、発塵防止性も悪化するおそれがある。
【0035】3.炭素前駆体 本発明で使用する体積抵抗率が102〜1010Ω・cm
の範囲内にある炭素前駆体は、有機物質を不活性雰囲気
中、400〜900℃の温度で焼成することにより得る
ことができる。このような炭素前駆体は、例えば、石油
タール、石油ピッチ、石炭タール、石炭ピッチ等のピッ
チまたはタールを加熱し、芳香族化と重縮合を行い、必
要に応じて、酸素雰囲気中において酸化・不融化し、さ
らに、不活性雰囲気中において加熱・焼成する方法;ポ
リアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂
を酸素雰囲気中において不融化し、さらに、不活性雰囲
気中で加熱・焼成する方法;フェノール樹脂、フラン樹
脂等の熱硬化性樹脂を加熱硬化後、不活性雰囲気中で加
熱・焼成する方法;などにより製造することができる。
炭素前駆体とは、これらの処理によって、炭素の含有量
が97重量%以下であって、完全には炭素化していない
物質を意味する。
【0036】有機物質を不活性雰囲気中で加熱・焼成す
ると、焼成温度が上昇するにつれて得られる焼成体の炭
素含有量が上昇する。炭素前駆体の炭素含有量は、焼成
温度を適正に設定することによって、容易に制御するこ
とができる。本発明で使用する体積抵抗率が102〜1
10Ω・cmの炭素前駆体は、好ましくは、炭素含有量
が85〜97重量%の範囲内であって、完全には炭化し
ていない状態の焼成体として得ることができる。
【0037】炭素前駆体の炭素含有量が少なすぎると、
体積抵抗率が大きくなり、熱可塑性樹脂組成物からなる
成形物の表面抵抗率を所望の範囲内に低下させることが
困難になる。炭素前駆体の炭素含有量が多すぎると、体
積抵抗率が小さくなり、熱可塑性樹脂組成物からなる成
形物の表面抵抗率が小さくなりすぎ、さらには、炭素前
駆体の配合量の僅かな変化でも成形物の表面抵抗率が急
激に変化する。したがって、このような炭素前駆体を用
いると、所望の半導電性領域の表面抵抗率を有する基板
用カセットやその部材を、安定して再現性よく製造する
ことが困難となる。炭素前駆体の体積抵抗率は、好まし
くは103〜109Ω・cm、より好ましくは104〜1
8Ω・cmである。
【0038】炭素前駆体は、通常、粒子または繊維の形
状で使用される。本発明で用いる炭素前駆体粒子の平均
粒子径は、1mm以下が好ましい。炭素前駆体粒子の平
均粒径が大きすぎると、熱可塑性樹脂組成物を成形した
場合に、良好な外観の成形物を得ることが難しくなる。
炭素前駆体粒子の平均粒子径は、通常0.1μm〜1m
m、好ましくは1μm〜0.1mm、より好ましくは5
〜50μmである。多くの場合、5〜50μm程度の平
均粒子径の炭素前駆体粒子を使用することにより、良好
な結果を得ることができる。
【0039】本発明で使用する炭素前駆体繊維の直径
は、0.1mm以下であることが好ましい。平均直径が
大きすぎると、熱可塑性樹脂組成物を成形した場合に、
良好な外観の成形物を得ることが難しくなる。炭素前駆
体繊維は、平均繊維長が100mm以下の短繊維である
ことが分散性の観点から好ましい。
【0040】熱可塑性樹脂組成物中の体積抵抗率が10
2〜1010Ω・cmの範囲内にある炭素前駆体の配合割
合は、1〜30重量%であり、好ましくは5〜25重量
%、特に好ましくは8〜23重量%である。炭素前駆体
の配合割合が大きすぎると、熱可塑性樹脂組成物の体積
抵抗率が低くなりすぎ、特に基板用カセットとして好適
な表面抵抗率105〜1012Ω/□の範囲内に制御する
ことが困難となる。炭素前駆体の配合割合が小さすぎる
と、熱可塑性樹脂組成物の体積抵抗率を充分に下げるこ
とが困難となり、基板用カセットの表面抵抗率105
1012Ω/□の範囲内に制御することが困難となる。
【0041】4.導電性充填材 本発明で使用する体積抵抗率が102Ω・cm未満の導
電性充填材としては、特に制限はなく、例えば、黒鉛、
導電性カーボンブラック、金属粉末、炭素繊維などが挙
げられる。これらの中でも、体積抵抗率の制御性や再現
性などの観点から、黒鉛、導電性カーボンブラック、炭
素繊維、及びこれらの混合物などの導電性炭素材料が特
に好ましい。このような導電性炭素材料は、粒状(粉末
状や鱗片状を含む)または短繊維状である。
【0042】本発明で使用する導電性カーボンブラック
は、導電性を有するものであればとくに制限はなく、例
えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラッ
ク、サーマルブラック、チャンネルブラックなどを挙げ
ることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは
2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0043】DBP吸油量が通常250ml/100g
以上、好ましくは300ml/100g以上と大きい導
電性カーボンブラックを用いると、成形物の外層に対す
る内部の体積抵抗率が相対的に低くなるため、用途・目
的に応じてDBP吸油量の異なる導電性カーボンブラッ
クを使い分けることが可能である。導電性カーボンブラ
ックの、DBP吸油量は、ASTM D2414で規定
された方法で測定された値である。具体的には、測定装
置(Absorpotometer)のチャンバー中に
導電性カーボンブラックを入れ、そのチャンバー中に、
一定の速度でDBP(n−ジブチルフタレート)を加え
る。DBPを吸収するに従って、導電性カーボンブラッ
クの粘度は上昇し、ある程度に達した時までに吸収した
DBPの量からDBP吸油量を算出する。粘度の検出
は、トルクセンサーで行う。
【0044】本発明で使用する黒鉛は、特に制限なく、
コークス、タール、ピッチ等を高温で黒鉛化処理した人
造黒鉛、鱗片状黒鉛、及び土状黒鉛等の天然黒鉛を用い
ることができる。
【0045】本発明で使用する炭素繊維は、特に制限は
なく、セルロース系、ポリアクリロニトリル(PAN)
系、リグニン系、ピッチ系(石炭ピッチ系、石油ピッチ
系)などの種々の炭素繊維を使用することができる。こ
れらの中でもPAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、及
びこれらの混合物が好ましく、PAN系炭素繊維並びに
PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維との混合物がより
好ましい。
【0046】炭素繊維の平均直径は、0.1mm以下で
あることが好ましい。この平均直径が大きすぎると、良
好な外観や金型転写性を有する成形物を得ることが難し
くなる。炭素繊維は、平均繊維長が50μm以上の短繊
維であることが好ましい。炭素繊維の平均繊維長が50
μm以上であることにより、クリープ特性、弾性率、強
度等の機械的性質の改善効果が顕著となる。炭素繊維の
混合前の平均繊維長の上限は80mm程度である。混合
・押出後の樹脂組成物中での炭素繊維の平均繊維長の上
限は1000μm程度である。
【0047】熱可塑性樹脂組成物中における体積抵抗率
が102Ω・cm未満の導電性充填材の配合割合は、
0.5〜30重量%であり、好ましくは1〜25重量
%、より好ましくは2〜15重量%である。導電性充填
材の配合割合が大きすぎても、小さすぎても、成形物の
表面抵抗率を基板用カセットに求められる105〜10
12Ω/□の範囲内に制御することが困難となる。炭素繊
維は、成形物のクリープ特性、弾性率、強度等の機械的
性質を改善する上でも好ましい。本発明で使用する導電
性充填材の体積抵抗率は、102Ω・cm未満であり、
その下限は、通常、金属粉末や金属繊維などの金属材料
の体積抵抗率である。
【0048】5.充填材 本発明の基板用カセットの熱可塑性樹脂組成物には、機
械的強度や耐熱性の向上を目的として、必要に応じて、
その他の各種充填材を配合することができる。充填材と
しては、例えば、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ
繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、
窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維などの無機
繊維状物;ステンレス、アルミニウム、チタン、鋼、真
鍮などの金属繊維状物;ポリアミド、フッ素樹脂、ポリ
エステル樹脂、アクリル樹脂などの高融点有機質繊維状
物質;等の繊維状充填材が挙げられる。また、充填材と
して、例えば、マイカ、シリカタルク、アルミナ、カオ
リン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、
フェライト、クレー、ガラス粉、酸化亜鉛、炭酸ニッケ
ル、酸化鉄、石英粉末。炭酸マグネシウム、硫酸バリウ
ム等の粒状または粉末状充填材を挙げることができる。
ただし、成形物の表面抵抗率を好ましい範囲に制御する
には、非導電性の充填材を用いることが望ましい。
【0049】これらの充填材は、それぞれ単独で、ある
いは2種以上を組み合わせて使用することができる。充
填材は、必要に応じて、集束剤または表面処理剤により
処理されていてもよい。集束剤または表面処理剤として
は、例えば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合
物、シラン系化合物、チタネート系化合物の官能性化合
物が挙げられる。これらの化合物は、充填材に対して予
め表面処理または集束処理を施して用いるか、あるいは
組成物の調整の際に同時に添加してもよい。
【0050】6.その他の添加剤 本発明の基板用カセットには、前記以外のその他の添加
剤として、例えば、エポキシ基含有αオレフィン共重合
体のような衝撃改質材、エチレングリシジルメタクリレ
ートのような樹脂改良剤、ペンタエリスリトールテトラ
ステアレートのような滑剤、難燃剤、染料や顔料等の着
色剤等を適宜添加することができる。
【0051】7.合成樹脂組成物 本発明の合成樹脂組成物は、一般に合成樹脂組成物の調
整に用いられる設備と方法により調整することができ
る。例えば、各原料成分をヘンシェルミキサー、タンブ
ラー等により予備混合し、必要があればガラス繊維等の
充填材を加えてさらに混合した後、1軸または2軸の押
出機を使用して混練し、押し出して成形用ペレットとす
ることができる。必要成分の一部をマスターバッチとし
てから残りの成分と混合する方法、また、各成分の分散
性を高めるために、使用する原料の一部を粉砕し、粒径
を揃えて混合し、溶融押出することも可能である。
【0052】8.基板用カセット 本発明の基板用カセットは、特定の構造のものに限定さ
れないが、通常は、箱型枠体から形成されたものであっ
て、該枠体の一対の対向する側面には溝付き側板が配置
された構造を有している。前述した通り、このような基
板用カセットの具体例は、図1及び図2に示されている
ような構造を有している。
【0053】典型的な基板用カセットは、底面側フレー
ム1、上面側フレーム2、側板3,3、これらの側板の
それぞれに設けられたリブ状の棚板4,4、及び受け側
フレーム5,5から構成されている。リブ状棚板は、側
板の背肉部から所定のピッチで平行に多数枚が突き出す
ように設けられている。隣接するリブ状の棚板間が溝と
なって、そこに基板Aが収容される。溝付き側板の形状
や大きさは、所望に応じて、種々に変えることができ
る。これらの各部材は、通常、射出成形により製造さ
れ、その後、箱型枠体に組み立てられる。各部材は、そ
れぞれ全体が熱可塑性樹脂組成物から成形されていても
よく、あるいは金属インサートまたはアウトサート品で
あってもよい。
【0054】このような構造の基板用カセットは、全部
材が熱可塑性樹脂組成物から形成されていてもよいが、
必要に応じて、基板が接触する部材だけが熱可塑性樹脂
組成物から形成されていてもよい。基板と接触する部材
としては、例えば、溝付き側板3,3、受けフレーム
5,5などがある。溝付き側板3,3は、側板本体とリ
ブ状棚板とが熱可塑性樹脂により一体的に成形されてい
てもよく、あるいは、別々に成形されたものを一体的に
組み立ててもよい。また、側板本体は、骨格を金属で作
成し、そのまわりに熱可塑性樹脂をインサートまたはア
ウトサート成形により複合化したものであってもよい。
受けフレーム5,5は、1つでもよく、2つ以上であっ
てもよい。また、受けフレームは、平板状であってもよ
いが、溝付き側板と同様に、リブ状の棚板を設けたもの
であってもよい。
【0055】基板用カセットに収容する基板としては、
ガラス基板、セラミック基板、シリコン基板、複合基板
(例えば、樹脂/セラミック基板、樹脂/シリコン基
板)、メタルベース・メタルコア基板(絶縁層は、ガラ
スやポリイミドなど)などの薄板状の基板を挙げること
ができる。これらの基板の用途としては、エレクトロニ
クス実装技術分野における液晶ディスプレイ用ガラス基
板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、サーマルヘッ
ド用ガラス基板、LSIパッケージ用セラミック基板、
ハイブリッドIC用セラミック基板など挙げることがで
きる。本発明の基板用カセットは、特に液晶ディスプレ
イ用ガラス基板などのガラス基板を収容するのに好適で
ある。
【0056】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明に
ついてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実
施例のみに限定されるものではない。物性の測定方法
は、以下に示すとおりである。
【0057】(1)表面抵抗率 試料の表面抵抗率が1×106Ω/□以上の場合は、J
IS K6911に準拠して、定電圧器(菊水社製30
0−1A型)、電流計(ケースレー社製616型)及び
試料セル(横河・ヒューレトパッカード社製1608A
型)を用い、印加電圧100Vで測定した。試料の表面
抵抗率が1×106Ω/□未満の場合には、JIS K
7194に準拠して、三菱化学社製ロレスターHPを用
いて測定した。基板用カセットの溝付き側板の表面抵抗
率の測定は、三菱化学社製ハイレスターUP及び微小サ
ンプル用プローブ(ガード電極直径10mm:UR−S
Sプローブ)を用い、印加電圧500Vで測定した。測
定は、成形物上の10点について行い、平均値並びに最
大と最小の表面抵抗率を示す。
【0058】(2)曲げ弾性率 ASTM D790に準拠して、曲げ弾性率を測定し
た。 (3)溶融粘度 キャピログラフ(東洋精機社製)を用いて、温度360
℃、せん断速度1200/秒の条件で測定した。
【0059】[製造例1]炭素前駆体の製造例 軟化点210℃、キノリン不溶分1重量%、H/C原子
比0.63の石油系ピッチ68kgとナフタレン32k
gとを、攪拌翼のついた内容積300Lの耐圧容器に仕
込み、190℃に加熱して溶解混合した後、80〜90
℃に冷却して押出し、直径が約500μmの紐状成形体
を得た。次いで、この紐状成形体を直径と長さの比が約
1.5になるように粉砕し、得られた粉砕物を、93℃
に加熱した0.53%のポリビニルアルコール(ケン化
度88%)水溶液中に投下し、撹拌分散し、冷却して球
状ピッチ成形体を得た。さらに、濾過を行なって水分を
除去し、球状ピッチ成形体の約6倍量のn−ヘキサンで
ピッチ成形体中のナフタレンを抽出除去した。
【0060】このようにして得られた球状ピッチ成形体
を、加熱空気を通じながら、260℃で1時間保持して
酸化処理を行い、酸化ピッチを得た。この酸化ピッチを
窒素気流抽で580℃で1時間熱処理した後、粉砕し
て、平均粒子径が約25μmの炭素前駆体粒子とした。
この炭素前駆体粒子の炭素含有量は、91.0%であっ
た。この炭素前駆体の体積抵抗率を調べるために、炭素
前駆体粉末13gを、断面積80cm2の円筒金型に充
填し、圧力196MPaで成形して、成形体試料を得
た。この試料について、JIS K7194に準拠して
体積抵抗率を測定したところ、5×107Ω・cmであ
った。
【0061】[実施例1〜6、比較例1〜6]表1に示
す配合処方(数値は重量部)に基づいて、合成樹脂、炭
素前駆体、炭素繊維、及び導電性カーボンブラックの各
成分をタンブラーミキサーで均一にドライブレンドした
後、45mmφの2軸混練押出機(磯貝鉄鋼社製PCM
−46)へ供給し、溶融押出を行ってペレットを 調製
した。得られたペレットを乾燥した後、射出成型機(東
芝機械社製IS−75)により、表面抵抗率測定用の平
板及び曲げ弾性率測定用の試験片を作成し、表面抵抗率
及び曲げ弾性率を測定した。さらに、このペレットを用
いて、120mm×310mm×2mmの基板用カセッ
トの溝付き側板を射出成形し、表面抵抗率のバラツキを
測定した。また、基板用カセットの溝付き側板を目視に
より観察し、金型転写性を評価した。結果を表1に示
す。
【0062】
【表1】
【0063】(脚注) (1)PPS(ポリフェニレンスルフィド):フォートロ
ンKPS W214A(呉羽化学工業社製) (2)PSU(ポリスルホン):ユーデル P―1700
(テイジンアモコエンジニアリングプラスチックス社
製) (3)カーボンブラック:ケッチェンブラックEC600
JD、DBP吸油量500ml/100g(ライオン社
製) (4)PAN系炭素繊維:ベスファイトHTA3000
(東邦レーヨン社製)(5)ピッチ系炭素繊維:M107
T(呉羽化学工業社製)
【0064】表1の結果から明らかなように、ポリフェ
ニレンスルフィド、ポリスルホン、炭素前駆体、及び導
電性充填材を特定に割合で併用すると(実施例1〜
6)、1E+06(1×106)〜3E+07(3×1
7)Ω/□の狭い範囲で半導電性領域の表面抵抗率を
示すとともに、そり量が少なく、金型転写性も良好であ
り、基板用カセットの材料としての要求特性を満たす。
また、この基板用カセットの溝付き側板は、その上のど
の点における表面抵抗率も実質的に同一であり、部分的
に高抵抗あるいは低抵抗の箇所がないために、空気中を
浮遊している塵埃などを吸着することがない。もちろ
ん、この溝付き側板を備えた基板用カセットは、薄膜ト
ランジスタを組み込んだガラス基板の回路を破壊するお
それもない。
【0065】また、炭素繊維を充填した熱可塑性樹脂組
成物(実施例1〜5)は、曲げ弾性率が7000MPa
以上を示し、大型液晶ディスプレイ用ガラス基板の収容
に際して要求される剛性基準を達成していることがわか
る。これに対してポリフェニレンスルフィド、炭素前駆
体、及び導電性充填剤のみを含有させた場合(比較例
1)や、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、炭
素前駆体、及び導電性充填材を含有させても、ポリスル
ホンの配合割合が小さい場合(比較例2)は、そりが大
きく、実用上大きな問題となる。
【0066】一方、ポリスルホン、炭素前駆体、及び導
電性充填材にみを含有させた場合(比較例4)や、ポリ
フェニレンスルフィド、ポリスルホン、炭素前駆体、及
び導電性充填材を含有させても、ポリフェニレンスルフ
ィドの配合割合が小さい場合(比較例3)には、溶融粘
度が高いことから、成形性が悪く、また、金型転写性も
不充分であり、実用上大きな問題となる。
【0067】ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホ
ン、及び導電性充填材のみを含有させた場合(比較例
5、6)には、炭素繊維の配合割合の僅かの差で表面抵
抗率が極端に変化する。したがって、所望の表面抵抗率
を有する成形物を安定して得ることが困難である。ま
た、基板用カセットの溝付き側板上には、表面抵抗率の
バラツキが見られ、この点でも実用上問題がある。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、少なくとも基板と接触
する箇所の部材の表面抵抗率が105〜1012Ω/□の
範囲内の所望の値に厳密に制御され、かつ、場所による
表面抵抗率のバラツキが小さい基板用カセットが提供さ
れる。また、本発明によれば、表面抵抗率が半導電性領
域に厳密に制御され、流動性、発塵防止性、及び機械的
特性に優れ、しかも基板表面への不純物の滲み出しが極
めて少ない基板用カセットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、基板用カセットの一例を示す正面図で
ある。
【図2】図2は、基板用カセットの一例を示す斜視図で
ある。
【符号の説明】
1:底面側フレーム 2:上面側フレーム 3:側板 4:リブ状の棚板 5:受け側フレーム A:基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/68 H01L 21/68 V Fターム(参考) 4F071 AA62 AA64 AB03 AE15 AE17 AF37Y AH12 BC07 4J002 CN01W CN03X DA016 DA017 DA027 DA037 DA067 FA046 FA047 FD116 FD117 GQ02 5F031 CA05 DA01 EA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板用カセットにおいて、少なくとも基
    板と接触する箇所の部材が、(A)ポリアリーレンスル
    フィド10〜88.5重量%、(B)ポリスルホン10
    〜88.5重量%、(C)体積抵抗率が102〜1010Ω
    ・cmの炭素前駆体1〜30重量%、及び(D)体積抵
    抗率が102Ω・cm未満の導電性充填材0.5〜30重
    量%を含有する熱可塑性樹脂組成物により形成されてい
    ることを特徴とする基板用カセット。
  2. 【請求項2】 該炭素前駆体が、有機物質を不活性雰囲
    気中で焼成して得られる炭素含有量が80〜97重量%
    の焼成体である請求項1記載の基板用カセット。
  3. 【請求項3】 該導電性充填材が、ポリアクリロニトリ
    ル系炭素繊維である請求項1または2記載の基板用カセ
    ット。
  4. 【請求項4】 該導電性充填材が、ポリアクリロニトリ
    ル系炭素繊維とピッチ系炭素繊維との混合物である請求
    項1または2記載の基板用カセット。
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