JP2000336265A - 導電性ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

導電性ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物

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JP2000336265A
JP2000336265A JP11153558A JP15355899A JP2000336265A JP 2000336265 A JP2000336265 A JP 2000336265A JP 11153558 A JP11153558 A JP 11153558A JP 15355899 A JP15355899 A JP 15355899A JP 2000336265 A JP2000336265 A JP 2000336265A
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fiber
metal
polyphenylene sulfide
conductive
resin composition
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Tomohiro Ishikawa
朋宏 石川
Toshihiko Muneto
俊彦 宗藤
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Tosoh Corp
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた導電性、機械特性、加工性を有し、さ
らに導電性、機械特性の異方性が低いポリフェニレンス
ルフィド樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 (a)溶融粘度が100〜10000ポ
イズであるポリフェニレンスルフィド樹脂、(b)2m
m以上の繊維長を有する炭素繊維、金属被覆炭素繊維、
金属被覆ガラス繊維から選ばれる少なくとも1種の導電
性繊維、および(c)0.3mm以下の繊維長を有する
炭素繊維、金属被覆炭素繊維、金属被覆ガラス繊維から
選ばれる少なくとも1種の導電性繊維を(a)、(b)
および(c)が重量比で下記関係式(I),(II)を
満足するように製造する。 0.4≦(a)/((a)+(b)+(c))≦0.8 (I) 0.2≦(b)/((b)+(c))≦0.8 (II)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形用の導電
性ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に関する。この
導電性ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、各種の
導電性部材、燃料電池用の集電部材等に好適に使用で
き、非常に優れた導電性を有し、導電性の異方性が少な
く、さらに優れた機械的強度と成形加工性をあわせ有す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィド樹脂は、耐熱
性、耐薬品性、成形性等に優れた特性を示す樹脂であ
り、その優れた特性を生かし、電気・電子機器部材、自
動車機器部材およびOA機器部材等に幅広く使用されて
いる。
【0003】ポリフェニレンスルフィド樹脂に導電性を
付与するために、銅粉末,銀粉末等の金属粉末、アルミ
フレーク,ニッケルフレーク等の金属フレーク、ステン
レス繊維,アルミ繊維等の金属繊維、さらにカーボンブ
ラック、炭素繊維、金属被覆カーボン繊維、金属被覆ガ
ラス繊維等を添加した材料が開発されている(特開昭5
7−65754号,特開昭62−86054号)。
【0004】金属粉末、金属フレーク等は導電性が良好
で、樹脂に充填した場合、高導電性を与えることが可能
で、導電性の異方性も少ないが、高導電性を与えるため
には充填量を多くしなければならず、その結果、樹脂組
成物の高比重化、低流動性化、機械的強度の低下等の欠
点が生じる。金属繊維は金属粉末、金属フレークと比較
して少ない充填量で高導電性を与えることができるが、
樹脂との混練性、成形加工性が悪い欠点がある。カーボ
ンブラックは樹脂との混練性、成形加工性に優れるが、
他の充填材と比較して導電性が劣り、高導電性を与える
のは難しい。炭素繊維、金属被覆カーボン繊維、金属被
覆ガラス繊維は優れた導電性を有し、樹脂との混練性、
成形加工性に優れるが、成形時に繊維が配向するため、
導電性、機械特性に顕著な異方性が生じ、使用上の問題
となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、非常に優れ
た導電性を有し、導電性の異方性が少なく、さらに優れ
た機械的強度と成形加工性をあわせ有するポリフェニレ
ンスルフィド樹脂組成物を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を行った結果、本発明を完成す
るに至った。
【0007】すなわち、本発明は、(a)溶融粘度が1
00〜10000ポイズであるポリフェニレンスルフィ
ド樹脂、(b)2mm以上の繊維長を有する炭素繊維、
金属被覆炭素繊維、金属被覆ガラス繊維から選ばれる少
なくとも1種の導電性繊維、および(c)0.3mm以
下の繊維長を有する炭素繊維、金属被覆炭素繊維、金属
被覆ガラス繊維から選ばれる少なくとも1種の導電性繊
維からなる組成物であって、(a)、(b)および
(c)が重量比で下記関係式(I),(II)を満足す
ることを特徴とする導電性ポリフェニレンスルフィド樹
脂組成物に関する。
【0008】 0.4≦(a)/((a)+(b)+(c))≦0.8 (I) 0.2≦(b)/((b)+(c))≦0.8 (II) 以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明に使用されるポリフェニレンスルフ
ィド樹脂は特に制限されるものではないが、測定温度3
15℃、荷重10kgの条件下、直径1mm,長さ2m
mのダイスを用いて高化式フローテスターで測定した溶
融粘度が100〜10000ポイズ、好ましくは200
〜5000ポイズである。溶融粘度が100ポイズ未満
では機械的強度が低く、溶融粘度が10000ポイズを
越えると成形加工がし難く、好ましくない。
【0010】本発明に使用されるポリフェニレンスルフ
ィド樹脂は、その構成単位としてp−フェニレンスルフ
ィド単位
【0011】
【化1】
【0012】を70モル%以上、特に90モル%以上含
有しているものが好ましい。
【0013】また、構成単位が30モル%未満、好まし
くは10モル%未満であれば、以下に示されるm−フェ
ニレンスルフィド単位、
【0014】
【化2】
【0015】o−フェニレンスルフィド単位、
【0016】
【化3】
【0017】フェニレンスルフィドスルホン単位、
【0018】
【化4】
【0019】フェニレンスルフィドケトン単位、
【0020】
【化5】
【0021】フェニレンスルフィドエーテル単位、
【0022】
【化6】
【0023】ジフェニレンスルフィド単位、
【0024】
【化7】
【0025】置換基含有フェニレンスルフィド単位、
【0026】
【化8】
【0027】分岐構造含有フェニレンスルフィド単位、
【0028】
【化9】
【0029】等の共重合単位を含有していても差し支え
ない。
【0030】ポリフェニレンスルフィド樹脂の合成に
は、通常、以下の原料が使用される。
【0031】アルカリ金属硫化物としては、硫化リチウ
ム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、
硫化セシウムおよびそれらの混合物が挙げられ、これら
は水和物の形で使用しても差し支えない。これらアルカ
リ金属硫化物は、水硫化アルカリ金属とアルカリ金属塩
基とを反応させることによって得られるが、ジハロベン
ゼンの重合系内への添加に先立ってその場で調整されて
も、また系外で調整されたものを用いても差し支えな
い。
【0032】ジハロベンゼンとしては、p−ジクロロベ
ンゼン、p−ジブロモベンゼン、p−ジヨードベンゼ
ン、m−ジクロロベンゼン、m−ジブロモベンゼン、m
−ジヨードベンゼン、1−クロロ−4−ブロモベンゼン
等が挙げられる。
【0033】また、アルカリ金属硫化物およびジハロベ
ンゼンの仕込量は、モル比で(アルカリ金属硫化物):
(ジハロベンゼン)=1.00:0.90〜1.10の
範囲とすることが好ましい。
【0034】重合溶媒としては、極性溶媒が好ましく、
特に非プロトン性で、高温でアルカリに対して安定な有
機アミドが好ましい溶媒である。有機アミドの若干の例
としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジ
メチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N
−メチル−ε−カプロラクタム、、N−エチル−2−ピ
ロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメ
チルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホ
ラン、テトラメチル尿素等およびその混合物が挙げられ
る。
【0035】また、溶媒として使用される有機アミドの
量は、重合によって生成するポリマーに対し150〜3
500重量%、好ましくは250〜1500重量%とな
る範囲で使用することができる。重合は200〜300
℃、好ましくは220〜280℃にて0.5〜30時
間、好ましくは1〜15時間攪拌下にて行われる。
【0036】さらに、本発明に使用されるポリフェニレ
ンスルフィド樹脂は、直鎖状のものであっても、酸素存
在下高温で処理し、架橋したものであっても、トリハロ
以上のポリハロ化合物を少量添加して若干の架橋または
分岐構造を導入したものであっても、窒素等の非酸化性
の不活性ガス中で加熱処理を施したものであってもかま
わないし、さらにこれらの構造の混合物であってもかま
わない。
【0037】本発明に使用される導電性繊維は、炭素繊
維、金属被覆炭素繊維、金属被覆ガラス繊維から選ばれ
る少なくとも1種である。
【0038】本発明に使用する炭素繊維としては、ポリ
アクリロニトリル系、ピッチ系、セルロース系、リグニ
ン系等のものが使用可能で、炭素質、黒鉛質の制限も受
けないが、導電性付与および機械的強度の面よりポリア
クリロニトリル系あるいはピッチ系の炭素繊維が好まし
い。炭素繊維の形状は、通常の場合、繊維径15μm以
下のものを用いる。
【0039】本発明で使用するガラス繊維は特に制限さ
れるものではなく、機械特性、電気特性面から好ましく
はEガラスを用いる。
【0040】本発明で使用する炭素繊維、ガラス繊維を
被覆する金属は、通常10-5Ω・cm以下の体積固有抵
抗を有する金属であれば特に制限されるものではなく、
ニッケル、銀、金、銅、アルミ等の単体金属や、これら
の少なくとも1種を主成分とする合金を用いることがで
きる。導電性、耐蝕性、耐酸化性から好ましくはニッケ
ル、銀が用いられる。炭素繊維、ガラス繊維の表面を金
属で被覆する方法としては種々挙げることができるが、
例えば、化学メッキ、電解メッキ、真空蒸着、スパッタ
リング、イオンプレーティング、ディッピングなどが挙
げられる。
【0041】金属被膜の厚みは、溶融混練、射出成形等
において著しい破損を受けない程度の強度を有する厚み
であれば良く、通常の場合、0.1μm以上あれば良
い。
【0042】2mm以上の繊維長を有する炭素繊維、金
属被覆炭素繊維、金属被覆ガラス繊維から選ばれる少な
くとも1種の導電性繊維は、単繊維で使用することも行
われるが、通常の場合、100〜20000本を収束し
たチョップドストランドとして使用される。通常の場
合、繊維径15μm以下のものを用いる。
【0043】0.3mm以下の繊維長を有する炭素繊
維、金属被覆炭素繊維、金属被覆ガラス繊維から選ばれ
る少なくとも1種の導電性繊維はミルドファイバーと呼
ばれ、一般に上記チョップドストランドを粉砕すること
により得られる。通常の場合、繊維径15μm以下のも
のを用いる。アスペクト比(繊維長対繊維径の比)は特
に制限されるものではないが、導電性および機械特性の
改良効果と異方性の低減効果から5〜30の範囲である
ことが好ましい。
【0044】本発明に用いる導電性繊維としては、炭素
繊維、金属被覆炭素繊維、金属被覆ガラス繊維を単独あ
るいはそれらを組み合わせて使用することができるが、
金属被覆炭素繊維が導電性、機械特性の面から好まし
い。
【0045】本発明の導電性ポリフェニレンスルフィド
樹脂組成物は、(a)溶融粘度が100〜10000ポ
イズであるポリフェニレンスルフィド樹脂、(b)2m
m以上の繊維長を有する炭素繊維、金属被覆炭素繊維、
金属被覆ガラス繊維から選ばれる少なくとも1種の導電
性繊維、および(c)0.3mm以下の繊維長を有する
炭素繊維、金属被覆炭素繊維、金属被覆ガラス繊維から
選ばれる少なくとも1種の導電性繊維が、重量比で下記
関係式(I),(II)を満足するものである。
【0046】 0.4≦(a)/((a)+(b)+(c))≦0.8 (I) 0.2≦(b)/((b)+(c))≦0.8 (II) (a)/((a)+(b)+(c))の値は0.4〜
0.8、好ましくは0.5〜0.7である。0.8を越
える場合は導電性、機械特性が不十分であり、0.4未
満の場合は溶融時の流動性が悪く、成形加工が困難にな
り好ましくない。(b)/((b)+(c))の値は
0.2〜0.8、好ましくは0.3〜0.5である。
0.8を越える場合は導電性、機械特性の異方性が大き
く好ましくない。0.2未満の場合は導電性、機械特性
が不十分である。
【0047】本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を逸
脱しない範囲で、各種熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、例
えば、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、フェノー
ル樹脂、ポリイミド、シリコーン樹脂、ポリオレフィ
ン、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンオキサ
イド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル
イミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、
ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィ
ドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン等の1種
以上を混合して使用することができる。
【0048】本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組
成物の製造方法としては、従来使用されている加熱溶融
混練方法を用いることができる。例えば、単軸または二
軸押出機、ニーダー、ミル、ブラベンダー等による加熱
溶融混練方法が挙げられるが、特に混練能力に優れた二
軸押出機による溶融混練方法が好ましい。また、この際
の混練温度は特に限定されるものではないが、通常28
0〜400℃の中から任意に選ぶことができる。導電性
繊維の押出機への供給方法としては特に制限されるもの
ではないが、2mm以上の繊維長を有する導電性繊維に
ついては、繊維の折損を避けるためにサイドフィードに
より供給することが好ましい。さらに、得られた組成物
は、射出成形機、押出成形機、トランスファー成形機、
圧縮成形機等を用いて任意の形状に成形することができ
る。
【0049】本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を逸
脱しない範囲で、繊維状、非繊維状の補強材を使用する
ことができる。繊維状補強材としては、ガラス繊維、ア
ルミナ繊維、チタン酸カリウィスカー、硼酸アルミウィ
スカー、酸化亜鉛ウィスカー等が挙げられる。また、非
繊維状の補強材としては、炭酸カルシウム、マイカ、シ
リカ、タルク、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、ワ
ラステナイト、ゼオライト、ガラスビーズ、ガラスパウ
ダー等が挙げられる。これらの補強材は2種以上を併用
することができ、必要によりシラン系、チタン系カップ
リング剤で表面処理をして使用することができる。特に
好ましい補強材は、繊維状補強材ではガラス繊維、非繊
維状補強材では炭酸カルシウム、タルクである。
【0050】さらに、本発明の樹脂組成物は、本発明の
目的を逸脱しない範囲で、従来公知の離型剤、滑剤、熱
安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、発泡
剤、金型腐食防止剤、難燃剤、難燃助剤、染料,顔料等
の着色剤、帯電防止剤等の添加剤を1種以上併用しても
良い。
【0051】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもので
はない。
【0052】参考例1(ポリフェニレンスルフィドの合
成) 15lオートクレーブに、N−メチル−2−ピロリドン
を5l仕込み、120℃に昇温した後、Na2S・2.
8H2O 1866gを仕込み、攪拌しながら徐々に2
05℃まで昇温して、水を407g留出させた。この系
を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン 2
080gを添加した。225℃に昇温し、2時間重合さ
せた後、250℃に昇温し、さらに250℃にて1.5
時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却したスラ
リーを大量の水中に投入して重合体を析出させ、濾別、
純水による洗浄を繰り返し行った後、一晩加熱真空乾燥
を行うことにより重合体を単離した。得られたポリフェ
ニレンスルフィドの溶融粘度は260ポイズであった。
この様にして得られたポリフェニレンスルフィドをPP
S−Iとする。
【0053】参考例2(ポリフェニレンスルフィドの合
成) 参考例1で得られたポリフェニレンスルフィド(PPS
−I)を、さらに空気雰囲気下235℃で加熱硬化処理
し、溶融粘度1500ポイズとした。この様にして得ら
れたポリフェニレンスルフィドをPPS−IIとする。
【0054】参考例3(ポリフェニレンスルフィドの合
成) 参考例2で得られたポリフェニレンスルフィド(PPS
−II)を、さらに空気雰囲気下235℃で加熱硬化処
理し、溶融粘度6000ポイズとした。この様にして得
られたポリフェニレンスルフィドをPPS−IIIとす
る。
【0055】参考例4(ポリフェニレンスルフィドの合
成) 参考例3で得られたポリフェニレンスルフィド(PPS
−III)を、さらに空気雰囲気下235℃で加熱硬化
処理し、溶融粘度30000ポイズとした。この様にし
て得られたポリフェニレンスルフィドをPPS−IVと
する。
【0056】実施例1 参考例1で得られたPPS−Iとニッケル被覆されたミ
ルド炭素繊維(平均繊維長200μm、繊維径12μ
m)を表1に示す割合で配合し、ニッケル被覆したチョ
ップド炭素繊維(平均繊維長6mm、繊維径7.5μ
m)をサイドフィードすることにより、二軸押出機を用
いて310℃で溶融混練し、ペレット化した。ついで、
成形品の体積抵抗率、機械特性を評価するため、射出成
形機によって試験片を作成し、以下の方法により測定を
行った。
【0057】(a)体積抵抗率 横70mm、縦70mm、厚さ2mmの金型を用いて射
出成形した平板を切削し、樹脂の流動方向(MD方向)
および流動に垂直な方向(TD方向)にそれぞれ幅2c
m、長さ5cmの試験片を作成し、体積抵抗率の測定に
使用した。両端に導電ペーストを塗布し、25℃、50
%恒温恒湿の条件に24時間保持した後、デジタルマル
チメーター(タケダ理研工業製 TR−6855)によ
り抵抗値を測定し、次式から体積抵抗率を求めた。
【0058】ρv=R×W×T/L ここで、ρv;体積抵抗率(Ω・cm)、R;実測抵抗
値(Ω)、W;試験片の幅(cm)、T;試験片の厚さ
(cm)、L;電圧電極間の幅(cm)である。
【0059】(b)曲げ強度 曲げ強度は、ASTM D−638に準拠し測定を行っ
た。
【0060】曲げ強度の異方性は、横70mm、縦70
mm、厚さ2mmの金型を用いて射出成形した平板を切
削し、樹脂の流動方向(MD方向)および流動に垂直な
方向(TD方向)にそれぞれ幅12.7mm、長さ70
mmの試験片を作成し、測定に使用した。
【0061】測定結果を表2に示す。得られた樹脂組成
物は、導電性、機械特性および成形加工性に優れたもの
であった。
【0062】実施例2 参考例2で得られたPPS−IIを使用する以外は実施
例1と同様の操作および評価を行った。配合組成を表1
に、結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、導電
性、機械特性および成形加工性に優れたものであった。
【0063】実施例3 参考例3で得られたPPS−IIIを使用する以外は実
施例1と同様の操作および評価を行った。配合組成を表
1に、結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、導電
性、機械特性および成形加工性に優れたものであった。
【0064】実施例4〜7 導電性繊維の種類と添加量を変更した以外は実施例1と
同様の操作および評価を行った。配合組成を表1に、結
果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、導電性、機械
特性および成形加工性に優れたものであった。
【0065】比較例1 参考例4で得られたPPS−IVを用い、各成分を表1
に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作および評価
を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、
流動性が著しく悪く、試験片の成形が困難であった。
【0066】比較例2 参考例2で得られたPPS−IIを用い、各成分を表1
に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作および評価
を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、
流動性が著しく悪く、試験片の成形が困難であった。
【0067】比較例3 参考例1で得られたPPS−Iを用い、各成分を表1に
示す割合で配合し、実施例1と同様の操作および評価を
行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、成
形加工性は良好であったが、導電性、機械特性の異方性
が大きいものであった。
【0068】比較例4 参考例2で得られたPPS−IIを用い、各成分を表1
に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作および評価
を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、
成形加工性は良好であったが、導電性、機械特性に劣る
ものであった。
【0069】比較例5 参考例2で得られたPPS−IIを用い、各成分を表1
に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作および評価
を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、
導電性、機械特性に劣るものであった。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、特定のポリフェニレンスルフィド樹脂に、平
均繊維長の異なる特定の導電性繊維を配合することによ
り、優れた導電性、機械特性、加工性を有し、さらに導
電性、機械特性の異方性が低いポリフェニレンスルフィ
ド樹脂組成物が得られ、その工業的価値は高い。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)溶融粘度が100〜10000ポイ
    ズであるポリフェニレンスルフィド樹脂、(b)2mm
    以上の繊維長を有する炭素繊維、金属被覆炭素繊維、金
    属被覆ガラス繊維から選ばれる少なくとも1種の導電性
    繊維、および(c)0.3mm以下の繊維長を有する炭
    素繊維、金属被覆炭素繊維、金属被覆ガラス繊維から選
    ばれる少なくとも1種の導電性繊維からなる組成物であ
    って、(a)、(b)および(c)が重量比で下記関係
    式(I),(II)を満足することを特徴とする導電性
    ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。 0.4≦(a)/((a)+(b)+(c))≦0.8 (I) 0.2≦(b)/((b)+(c))≦0.8 (II)
  2. 【請求項2】導電性繊維が、ニッケルまたは銀で被覆さ
    れた炭素繊維であることを特徴とする請求項1に記載の
    導電性ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】0.3mm以下の繊維長を有する導電性繊
    維のアスペクト比(繊維長対繊維径の比)が、5〜30
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電
    性ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
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Cited By (4)

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