JP2002077645A - 画像処理装置 - Google Patents

画像処理装置

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JP2002077645A JP2000256515A JP2000256515A JP2002077645A JP 2002077645 A JP2002077645 A JP 2002077645A JP 2000256515 A JP2000256515 A JP 2000256515A JP 2000256515 A JP2000256515 A JP 2000256515A JP 2002077645 A JP2002077645 A JP 2002077645A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鮮鋭な画像を得る際に生じるノイズやジャギー
を防止する。 【解決手段】画像処理装置に、低域輝度信号を生成する
ルートと並列に、中高域輝度成分YHを抽出するルート
を設け、加算器8にて中高域輝度成分YHを低域輝度信
号YLに加えることにより、中高域輝度成分を補償す
る。これにより、従来よりも高い解像度の画像が得られ
ると同時に、鮮鋭な画像を得る際に生じるノイズやジャ
ギーも防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、デジタルカメラ
(例えば電子スチルカメラ)などに搭載され、原色フィ
ルタを用いたCCDエリアセンサにより撮像された画像
データを画像処理して高画質画像を得る画像処理装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、デジタルカメラなどに用いられる
画像処理装置は、原色フィルタが配設されたCCDエリ
アセンサから得た画像データを用いて、各色成分の補間
処理や輪郭強調処理などの一連の各種画像処理を行うこ
とにより高画質画像を得るものである。以下、図13〜
図21を用いて従来の画像処理装置について説明する。
【0003】図13は従来の画像処理装置の第1の構成
例を示すブロック図である。図13において、画像処理
装置100は、光学的なローパスフィルタ101と、原
色CCDエリアセンサ102と、RGB補間手段103
と、ホワイトバランス調整手段104と、ガンマ補正手
段105と、シャープ処理手段(輪郭強調手段)106
とを有している。
【0004】ローパスフィルタ101は、サンプリング
周波数fsの1/2以上の周波数成分をカットするもの
である。即ち、サンプリング定理よりサンプリング周波
数fsの1/2以上の周波数成分は、画像データを生成
したときに折り返しノイズとなる。この折り返しノイズ
を低減するために、CCDエリアセンサ102の前方に
光学的なローパスフィルタ101を設けている。
【0005】原色CCDエリアセンサ102は、複数の
受光素子がマトリクス状に配列されて構成されている。
原色CCDエリアセンサ102の受光素子面側には3原
色(R,G,B)カラーフィルタが画素単位で配設され
ている。このカラーフィルタは、R,G,B色配列の1
種であるBayer配列(図14)となっている。
【0006】RGB補間手段103は、詳細に後述する
が、カラーフィルタのR、G、B色のうち各画素毎に1
種類の色成分しか得られず、残りの2種類の色成分(欠
落している各色成分)については、カラーフィルタで得
られた色成分の周りの同色の色成分から求めることによ
り、各画素毎のR,G,B色成分を全て得るようになっ
ている。
【0007】ホワイトバランス調整手段104は、RG
B補間手段103で得た各画素毎のR,G,B色成分に
対して、画像の色合いを正しくするため、照明の色温度
に合せて白色を調節する処理を行うものである。
【0008】ガンマ補正手段105は、ホワイトバラン
ス調整後のR,G,B成分に対して、画像を出力するデ
ィスプレイやプリンタの特性と一致させるための処理を
行うものである。
【0009】シャープ処理手段106は、鮮鋭な画像を
得るために輪郭強調処理を行うものである。シャープ処
理とは、高域輝度成分強調フィルタリング処理によっ
て、失った高域輝度成分を補償する処理である。即ち、
ローパスフィルタ101を設けることによって、CCD
画像データに高域輝度成分が少なくなっている。しか
も、補間処理によって、画素毎に欠落している各色成分
を、その画素周囲の同色の色成分から平均値を取るなど
して求めているため、その補間処理によって得た画像に
は高域輝度成分が更に少なくなっている。したがって、
鮮鋭な画像を得るには、失った高域輝度成分を高域輝度
成分強調フィルタリング処理によって補償することが不
可欠である。
【0010】ここで、RGB補間手段103による補間
処理について、以下、さらに詳細に説明する。
【0011】単板式CCDエリアセンサ102の場合に
は、各画素毎にR、G、B色それぞれの色成分が揃うよ
うに、残りの2種類の色成分について補間処理を行い、
この補間処理で得られた色成分を含めたR、G、B色成
分によりカラー画像を作り上げている。
【0012】つまり、3板式CCDカメラの場合には、
3枚のCCDエリアセンサそれぞれに対して全面R色、
全面G色、全面B色のカラーフィルタがそれぞれ配設さ
れており、1つの画素に対してR、G、Bの各色成分が
同時に揃うため、補間処理の必要はないが、単板式CC
Dカメラの場合には、1枚のCCDエリアセンサ102
の受光素子面側に、R、G、Bフィルタを規則的に配列
したカラーフィルタ(例えば図14のBayer配列)
が設けられており、1つの画素に対してR、G、B色の
うち揃っていない各色成分に対する補間処理が必要であ
る。このため、1枚のCCDエリアセンサを搭載した単
板式CCDカメラの場合には、カラーフィルタの色成分
以外の色成分を各画素毎に種々の方法で作成している。
【0013】従来の技術であるUS Patent 4
605956,4642678,4630307および
James E.Adams,Jr.氏の論文”Int
eractions between color p
lane interpolation and ot
her image processing func
tions in electronic photo
graphy”には、ジャギー(Jaggy or Zi
p noise)の無い画像を作るために、色々な補間
方法が提案されている。なお、ジャギーとは各種ノイズ
のうちの一種類で、輪郭部に現れる階段状のノイズのこ
とである。
【0014】USP Patent 4605956で
は、例えば図15の画素配列から得られる各色成分に式
(1)〜式(4)を用いて補間している(バイリニア補
間法)。図14および図15の各画素位置におけるG成
分とB成分の補間処理を以下に示す。
【0015】 G5=(G2+G4+G6+G8)/4 (1) B5=(B1+B3+B7+B9)/4 (2) B2=(B1+B3)/2 (3) B4=(B1+B7)/2 (4) 図15に示すBayer配列は、R、G、Bの各色が規
則的に配列されているため、図15の例えば中央画素位
置R5に注目すると、カラーフィルタで欠落している各
色成分は、G5,B5である。G5は式(1)により得
られ、同様にして、B5は式(2)により得られる。
【0016】また、B2は式(3)により得られ、B4
は式(4)により得られ、さらに、B6,B8の補間処
理も、隣接する上下または左右の平均値をとる式(3)
および式(4)と同様にして得られる。R2,R4,R
6,R8についても、B2,B4,B6,B8の場合と
同様に補間処理される。
【0017】さらに、G1は、B1を中心とした周囲の
G成分の画像データから式(1)と同様にして得られ、
G3,G7,G9についても同様である。また、R1は
B1を中心とした周囲のR成分の画像データから式
(2)と同様にして得られ、R3,R7,R9について
も同様である。
【0018】次に、特開平10−164371号公報の
画像処理方法について図16を参照して説明する。
【0019】図16は、従来の画像処理装置の第2の構
成例を示すブロック図である。図16に示すように、画
像処理装置200は、Bayer配列のカラーフィルタ
が配設された原色CCDエリアセンサ201と、RGB
補間手段202と、R,G,B成分毎に設けられた輪郭
強調手段203とを有している。
【0020】RGB補間手段202は、図15の画像配
列から得られる各色成分に対してメディアン処理を示す
以下の(5)式を用いて、まず、G成分を補間し、それ
から、補間したG成分を利用して、図14のR,Bの画
素位置にのみ(R−G)成分と(B−G)成分を生成
し、最後に、生成した(R−G)、(B−G)成分をバ
イリニア処理で補間してから、これにG成分を加えて
R、B成分を得るようにしている。
【0021】 G5=(G2+G4+G6+G8−Min−Max)/2 (5) Min=Min(G2,G4,G6,G8) Max=Max(G2,G4,G6,G8) 図15を用いて、G4の画素位置におけるB4を求める
場合について具体的に説明する。まず、式(5)を用い
たメディアン処理によって、G1,G3,G5,G7,
G9を補間する。その後に、例えばB1,B7の画素位
置の(B−G)成分であるB1−G1,B7−G7を生
成する。したがって、G4の画素位置の(B−G)成分
であるB4−G4は、 B4−G4=(1/2){(B1−G1)+(B7−G
7)} となる。
【0022】∴B4=(1/2){(B1−G1)+
(B7−G7)}+G4 となって、B4を得ることができる。
【0023】輪郭強調手段203は、RGBの各成分そ
れぞれに対して図17(a)の2次元2次微分フィルタ
を採用している。図17(a)の2次元2次微分フィル
タは、各領域がそれぞれ1画素に対応し、各領域内の数
字は「重み」を表しており、トータルで0になるように
なっている。
【0024】次に、特開平11−18047の補間処理
について図18を参照して説明する。
【0025】図18は、従来の画像処理装置の第3の構
成例を示すブロック図である。図18において、画像処
理装置300は、Bayer配列のカラーフィルタが配
設された原色CCDエリアセンサ301と、RGB補間
手段302と、中域成分強調手段303と、高域成分強
調手段304と、ホワイトバランス調整手段305と、
ガンマ補正手段306とを有している。
【0026】RGB補間手段302は、R,G,B成分
に対してそれぞれ補間処理を行う。画質のよい補間方法
として、G成分には式(5)のメディアン法を用い、
R,B成分には式(2)〜式(4)のバイリニア法を用
いる。
【0027】中域成分強調手段303は中域成分抽出手
段303aおよび加算手段303bからなり、補間した
G成分を利用して中域成分抽出手段303aで抽出した
中域成分を、R,G,B成分それぞれに各加算手段30
3bにてそれぞれ合成して補償することにより中域成分
強調処理を行うようにしている。この中域成分強調処理
は、例えばG成分とそのローパスフィルタリング処理し
た結果の差を補償成分としてG成分に上乗せしている。
つまり、ローパスフィルタ(図示せず)によりG成分の
高域成分がカットされて、周波数変化の少ないGバーを
求め、G成分との差である補償成分(G−Gバー)をG
成分に上乗せすることにより中域成分強調を行うもので
ある。
【0028】高域成分強調手段304は高域成分抽出手
段304aおよび加算手段304bからなり、補間した
G成分を利用して高域成分抽出手段304aで抽出した
高域成分を、R,G,B成分それぞれに各加算手段30
4bにてそれぞれ合成して補償することにより高域成分
強調処理を行うようになっている。この高域成分強調処
理には、図17(b)の2次元2次微分フィルタを採用
している。図17(b)の中央領域「4」に対応する画
素の画素データを求めるには、フィルタの「重み」に各
画素のデータをかけて足し算を行う。したがって、変化
しなければゼロ、変化が大きければこの値も大きくな
り、高域成分強調となる。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】図14のBayer配
列に対して、実際のサンプリング周波数をfs=1/△
x=1/△yとすると、R,G,B成分について個別サ
ンプリングを行った場合のサンプリング周波数分布範囲
を、図19に示している。なお、△xは横方向(x方
向)の画素幅(画素ピッチ)、△yは縦方向(y方向)
の画素幅(画素ピッチ)である。
【0030】サンプリング定理により、元の画像に含ま
れる空間周波数のうちで復元可能な最高周波数は、図1
9においてG成分が実線で示すひし形状内であり、R,
B成分が2点鎖線で示す正方形状内であることから、画
像データのR,G,B成分に正しく復元できる周波数範
囲は、2点鎖線で示される正方形の範囲内である。した
がって、その正しく復元できる最高周波数は、図19か
らサンプリング周波数fs(=1/△x=1/△y)の
半分であることが解る。したがって、復元可能な最高周
波数fs/2よりも高い周波数成分はノイズとして現れ
ることになる。
【0031】この問題を避けるために、CCDエリアセ
ンサに光学的なローパスフィルタ(折返しノイズ防止フ
ィルタ)を付けるようにしている。このローパスフィル
タにより、画像データのfs/2以上の周波数成分をカ
ットすると同時にフィルタが理想的でないためfs/2
以下の周波数成分も減衰される。図20に示すように、
グラフaは理想的なローパスフィルタ周波数特性(fs
/2できれいにカット)であるが、実際には、グラフb
のローパスフィルタの周波数特性となる。また、グラフ
cは、ローパスフィルタによって減衰した高域輝度成分
を補償してグラフbをシステム全体の理想的なグラフa
の特性に近づけるための補償用フィルタの理想的な周波
数特性である。本発明では、新たに抽出する中高域輝度
成分に中域輝度成分と高域輝度成分とを任意の割合で合
成し、グラフcに近い周波数特性を有する補償用フィル
タによって補償する。
【0032】また、図14のBayer配列の各画素に
対して欠落した2種類の各色成分を補間して作る際に
も、高域輝度成分が少なくなるが、減衰した高域輝度成
分を補償することは鮮鋭な画像を作るには不可欠な処理
である。通常、この補償は図21に示すように中域輝度
成分補償用フィルタの周波数特性(グラフd)と高域輝
度成分補償用フィルタの周波数特性(グラフc)とに分
けて行っている。図21において、グラフbはローパス
フィルタ(折返しノイズ防止用フィルタ)および補間処
理結果後の総合周波数特性であり、グラフaは補償処理
を含めた画像処理システム全体の理想周波数特性であ
る。
【0033】前述した従来技術では、図21の中域成分
補償用フィルタの周波数特性(グラフd)と高域成分補
償用フィルタの周波数特性(グラフc)とによって中域
成分と高域成分の補償を行っている。グラフdの振幅の
最大値は角周波数ωがπ/2(fs/4に相当)の処に
あり、グラフcの振幅の最大値は角周波数ωがπ(fs
/2に相当)の処にある。よって、グラフdにより中域
成分補償を行い、グラフcにより高域成分補償を行う。
【0034】しかし、鮮鋭な画像を得るための輪郭強調
処理において、高域成分補償により画像の高域成分が強
調されると、角周波数ωがfs/2より高い成分は全て
ノイズとなる。この結果、画像の解像度を上げようとす
るとノイズやジャギー成分が目立ってくる。
【0035】例えば、上記従来の第1の構成例に提案さ
れた方法では、主として輝度に大きく寄与するG成分の
上記式(1)による補間処理によって得られた画像デー
タを輪郭強調処理することによって、画像エッジ部分に
ジャギーを生じる。この問題に対して、色平滑補間法
(US Patent 4642678)やパターン認
識補間法(USA Patent 4630307)や
適応補間法(JamesE. Adams, Jr.氏
の論文)が提案されている。これらの方法は何れも、補
間法としては異なるが、図13に示すような画像処理装
置100と同様の構成によって行われている。即ち、鮮
鋭な画像に不可欠な高域成分は、最終段のシャープ処理
手段106の輪郭強調処理によって生成されている。こ
れらの方法は、偽色とジャギーの低減にある程度の効果
があるものの、高域成分の処理に関しては高域強調フィ
ルタリング処理以外には何ら特別な手法を講じておら
ず、高域強調フィルタリング処理時にノイズを生じてし
まう。
【0036】したがって、上記従来の第1〜第3の構成
例に提案された方法においては、シャープ処理(輪郭強
調処理)で高域成分補償を行う場合に、ノイズを強調し
てしまうことは避けられないという問題があった。つま
り、高域成分補償時に、サンプリング周波数fsの1/
2以上の周波数も強調され、これがノイズやジャギーと
なって現れてしまうのである。
【0037】本発明は、上記従来の問題を解決するもの
で、鮮鋭な画像を得る際に生じるノイズやジャギーを防
止することができる画像処理装置を提供することを目的
とする。
【0038】
【課題を解決するための手段】本発明の画像処理装置
は、原色フィルタが形成された撮像素子から出力された
RGB画像データを処理する画像処理装置において、該
RGB画像データに基づいて生成した、所定周波数以下
の理想的な周波数輝度特性から中高域輝度成分が減衰し
た低域輝度信号に対して、減衰した中高域輝度成分を補
償する中高域輝度成分補償手段を備えたものであり、そ
のことにより、上記目的が達成される。なお、中高域輝
度成分とは、中高域周波数成分を主な成分とする輝度成
分である。また、低域輝度信号とは低域周波数成分を主
な成分とする輝度信号である。
【0039】この構成により、所定周波数(サンプリン
グ周波数fs/2)以下の理想的な周波数特性から中高
域輝度成分が減衰した実際の低域輝度信号に対して、減
衰した中高域輝度成分を補償するので、輪郭強調処理時
に、より鮮鋭な画像を得ると共に、この鮮鋭な画像を得
る際に生じるノイズやジャギーを防止することが可能と
なる。
【0040】本発明の画像処理装置は、原色フィルタが
形成された撮像素子から出力されるRGB画像データを
処理する画像処理装置において、各画素からのRGB画
像データに基づいて生成した第1輝度信号から、角周波
数ωがπで振幅がゼロとなり、かつ角周波数ωがπ/2
とπの間で振幅が最大となる中高域輝度成分を抽出する
中高域輝度成分抽出手段と、このRGB画像データに基
づいて生成した低域輝度信号に、中高域輝度成分を加え
て第2輝度信号を生成する第1合成手段とを備えたもの
であり、そのことにより、上記目的が達成される。
【0041】この構成により、高い解像度の画像が得ら
れると同時に、鮮鋭な画像を得る際に生じるノイズやジ
ャギーを防止することが可能となる。
【0042】また、好ましくは、本発明の画像処理装置
における中高域輝度成分抽出手段は、少なくとも一つの
偶数サイズのフィルタを使用して第1輝度信号の演算処
理を行う。
【0043】この構成により、角周波数ωがπで振幅が
ゼロとなり、かつ角周波数ωがπ/2とπの間で振幅が
最大となる中高域輝度成分を容易に抽出することが可能
となる。
【0044】さらに、好ましくは、本発明の画像処理装
置における偶数サイズのフィルタは2次元フィルタであ
り、かつ各項の係数はx方向およびy方向に対して対称
である。
【0045】この構成により、フィルタリング処理の効
果を均一にできるので、画像を忠実に再現することが可
能となる。
【0046】さらに、好ましくは、本発明の画像処理装
置における偶数サイズのフィルタは、微分効果を有する
第1ローパスフィルタと、第2ローパスフィルタとから
構成され、第1ローパスフィルタを使用して第1輝度信
号の演算処理により得られた出力と、第2ローパスフィ
ルタを使用して第1輝度信号の演算処理により得られた
出力との出力差を中高域輝度成分として出力する。
【0047】この構成により、x方向、y方向の演算を
分離して行うことができるので、計算規模を抑えること
ができるため、ハードウエアにより容易に実現すること
が可能となる。
【0048】さらに、好ましくは、本発明の画像処理装
置において、第1輝度信号を生成する前に、各画素毎に
R,G,Bの各成分のうち欠落している成分を補間処理
により求める第1補間手段をさらに備え、第1補間手段
は3画素×3画素のフィルタを使用してRGB画像デー
タの演算処理を行うことにより欠落している成分を補間
処理する。
【0049】この構成により、中高域輝度成分を最も損
なわずに抽出することが可能となる。
【0050】さらに、好ましくは、本発明の画像処理装
置において、撮像素子からのRGB画像データに基づい
て低域輝度信号を生成する前に、各画素毎にR,G,B
の各成分のうち欠落している成分を補間処理により求め
る第2補間手段をさらに備え、第2補間手段は偶数サイ
ズのフィルタを使用してRGB画像データの演算処理を
行うことにより欠落している成分を補間処理する。
【0051】この構成により、低域輝度信号に対して中
高域輝度成分による補償を行う際に、中高域輝度成分の
中心が各画素と画素との間にあるため、第2補間手段に
偶数サイズのフィルタを使用することによって低域輝度
信号の中心も各画素と画素との間にしておかないと再現
された画像にゴーストが発生する。
【0052】さらに、好ましくは、本発明の画像処理装
置における第1補間手段および第2補間手段の少なくと
も何れかは、G成分についてはメディアン方式により、
R成分およびB成分についてはバイリニア方式により補
間処理を行う。
【0053】この構成により、G成分についてはメディ
アン方式で補間処理を行うことによって高域輝度成分の
減少を最小限に抑えると共に、R成分およびB成分につ
いてはバイリニア方式で補間処理を行うことによってノ
イズを少なくすることが可能となる。したがって、輪郭
がより強調されると共に、画質のよい画像を得ることが
可能となる。
【0054】さらに、好ましくは、本発明の画像処理装
置において、第2輝度信号に基づいて中域輝度成分およ
び高域輝度成分の少なくとも何れかを抽出する中域・高
域輝度成分抽出手段と、中域輝度成分および高域輝度成
分の少なくとも何れかを第2輝度信号に加えて第3輝度
信号を生成する第2合成手段とをさらに備える。なお、
中域輝度成分とは、中域周波数成分を主な成分とする輝
度成分である。また、高域輝度成分とは、高域周波数成
分を主な成分とする輝度成分である。
【0055】この構成により、中域輝度成分と高域輝度
成分の割合を任意の割合にすることにより、画像の立体
感を好みに応じて調整することが可能となる。
【0056】さらに、好ましくは、本発明の画像処理装
置における中域・高域輝度成分抽出手段はその係数を調
整できる一つのフィルタを使用して第2輝度信号の演算
処理を行う。
【0057】この構成により、中域、高域輝度成分抽出
手段を単一フィルタにより簡単に構成することが可能と
なる。
【0058】さらに、好ましくは、本発明の画像処理装
置において、第2補間手段からのRGB画像信号に基づ
いて生成された色差信号に含まれる、撮像デバイスに固
有のノイズを除去するメディアンフィルタリング処理手
段をさらに備え、メディアンフィルタリング処理手段
は、ノイズの量に応じてメディアンフィルタのサイズを
切り替える。
【0059】この構成により、例えばCCDなどの撮像
素子の質によって色差信号に含まれるノイズの量が異な
るため、ノイズの量に応じてメディアンフィルタを使い
分けることにより、ノイズの少ない色差信号を生成する
ことが可能となる。
【0060】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照しながら説明する。
【0061】図1は本発明の一実施形態における画像処
理装置の構成を示すブロック図である。図1において、
画像処理装置1は、光学ローパスフィルタ2と、原色C
CDエリアセンサ3と、第1RGB補間手段(中高域輝
度成分抽出用RGB補間手段)4と、中高域輝度成分抽
出用輝度生成手段5と、中高域輝度成分抽出手段6と、
第1合成手段としての乗算器7および加算器8と、中域
・高域輝度成分抽出手段9と、第2合成手段としての乗
算器10および加算器11とを備えている。これらの第
1RGB補間手段4、中高域輝度成分抽出用輝度生成手
段5および中高域輝度成分抽出手段6により中高域輝度
成分補償手段が構成されている。
【0062】光学ローパスフィルタ2は、サンプリング
周波数fsの1/2以上の高域輝度成分をカットするも
のである。
【0063】原色CCDエリアセンサ3は、複数の受光
素子がマトリクス状に配列されており、その受光素子面
側にカラーフィルタが配設されている。このカラーフィ
ルタは、Bayer配列(図14)となっている。な
お、CCDエリアセンサ3から読み出されたRGB画像
データは、雑音を低減させるCDS(Correlated Doubl
e Sampling)回路、ゲイン調整処理を行うAGC(Auto
matic Gain Control)回路、さらに分解能が例えば10
ビットのA/D変換回路を介して、デジタル画像データ
として後段の第1RGB補間手段4およ第2RGB補間
手段(低域輝度信号生成及び色差信号生成用RGB補間
手段)12に出力されるようになっている。
【0064】第1RGB補間手段4は、カラーフィルタ
のR、G、Bのうち揃っていない各色の色成分について
は、各画素毎にその周りの同色成分データから補間する
ものである。即ち、B,R成分に対しては、式(2)〜
式(4)で示されるバイリニア法で行い、また、G成分
に対しては、式(5)で示されるメディアン法で行うよ
うにしている。第1RGB補間手段のRGB補間処理フ
ィルタは、フィルタサイズが3画素×3画素以上の奇数
サイズの2次元フィルタを用いる。
【0065】このフィルタのサイズが大きくなるほど、
中高域輝度成分が少なくなり、その成分を抽出しにくく
なる。1画素×1画素のフィルタでは補間処理ができな
い。また、2画素×2画素の2次元フィルタを用いた場
合、バイリニア補間法を用いることができないので、最
近接補間法(Nearest neighbor interpolation)に依
らなければならない。この補間法を用いると、バイリニ
ア補間法を用いたものに比べて中高域輝度線分が損なわ
れる。したがって、3画素×3画素の2次元フィルタが
ベストである。
【0066】中高域輝度成分抽出用輝度生成手段5は、
第1RGB補間手段4にて得られた第1RGB画像信号
を使用して、下記の式(6)にて中高域輝度成分抽出用
輝度信号Yを生成するようになっている。
【0067】 Y=0.30R+0.59G+0.11B (6) 中高域輝度成分抽出手段6は、中高域輝度成分抽出用輝
度生成手段5で生成した中高域輝度成分抽出用輝度信号
Yに、図2(a)および図2(b)のYH抽出用フィル
タ1,2を使用して演算することにより中高域輝度成分
YHを抽出するようになっている。つまり、中高域輝度
成分抽出手段6は、図2(a)の6画素×6画素のYH
抽出用フィルタ1からの出力と、図2(b)の4画素×
4画素のYH抽出用フィルタ2からの出力との差出力と
して中高域輝度成分YHを出力するものである。YH抽
出用フィルタ1,2におけるxは横方向の演算、yは縦
方向の演算を示している。
【0068】なお、図2(a)のYH抽出用フィルタ1
の特長は、まず、微分効果を有するローパスフィルタ
(負の係数が含まれている)、次に、x方向およびy方
向に対して対称、x、y共、偶数サイズ(8×8、10
×10などでもよい)、さらに、正方形(x、yの数が
同一)が望ましいが、例えばx方向を強調したいのであ
れば、横長(xの数がyの数よりも多い)でもよく、y
方向を強調したいのであれば、縦長(yの数がxの数よ
りも多い)でもよく、さらには、各項の係数はフィルタ
のx方向およびy方向に対して対称であることである。
また、図2(b)のYH抽出用フィルタ2の特長は、ロ
ーパスフィルタ(正の係数のみ)、次に、x、y共、偶
数サイズ(ただし、図2(a)のYH抽出用フィルタ1
のサイズ以下)、さらに、正方形が望ましいが、横長や
縦長の矩形でもよく、さらには、各項の係数はフィルタ
のx方向およびy方向に対して対称であることである。
各項の係数が対称であることにより、フィルタリング処
理の効果を均一にすることができるので、画像を忠実に
再現することができる。
【0069】このように、YH抽出用フィルタを2枚の
フィルタで構成することによって、x方向とy方向の演
算を分離することができるので、ハード化しやすくな
る。図3に図2のYH抽出用フィルタ1,2およびそれ
らの差出力の周波数特性を示している。図3において、
グラフhはYH抽出用フィルタ1の周波数特性、グラフ
iはYH抽出用フィルタ2の周波数特性であり、グラフ
jは、グラフhとグラフiとの差出力からなる中高域輝
度成分YHの周波数特性である。なお、ここでは、YH
抽出用フィルタを2枚のフィルタで構成したが、YH抽
出用フィルタを1枚のフィルタで構成することもでき
る。そのフィルタの係数は、図22に示す通りである。
この場合には計算規模が増大する。
【0070】乗算器7は、中高域輝度成分抽出手段6で
抽出した中高域輝度成分YHに対して、調節係数である
ゲインαの調整で補助的な補償を行うものである。
【0071】加算器8は、後述する低域輝度信号生成手
段15からの低域輝度信号YLに、所定の倍率のゲイン
αがかけられた中高域輝度成分αYHを加算して輝度信
号(YL+αYH)を生成するものである。
【0072】中域・高域輝度成分抽出手段9は、加算器
8からの輝度信号(YL+αYH)に対して、図4の複
合輪郭強調フィルタをかけて中域・高域輝度成分ENH
を抽出するようになっている。なお、図4に示す変数
l,mの割合で中域輝度成分と高域輝度成分の割合を調
整することもできる。
【0073】乗算器10は、中域・高域輝度成分抽出手
段9からの中域・高域輝度成分ENHに対して、調節係
数であるゲインβによる補助的な補償を行うものであ
る。
【0074】加算器11は、加算器8からの輝度信号
(YL+αYH)に、乗算器10で調節係数のゲインβ
の調整を行った後の中域、高域輝度成分βENHを加算
して輝度信号(YL+αYH+βENH)を出力するもの
である。
【0075】また、画像処理装置1は、原色CCDエリ
アセンサ3に接続された第2RGB補間手段12と、ホ
ワイトバランス調整手段13と、ガンマ補正手段14
と、低域輝度信号生成手段15と、色差信号生成手段1
6と、メディアンフィルタ17とを備えている。
【0076】第2RGB補間手段12は、その補間処理
が、図5(a)および図5(b)に示す補間フィルタに
よる演算処理によって行われるようになっている。第2
RGB補間手段12により補間した色成分と、カラーフ
ィルタにより得た色成分とを合わせて、各画素毎にRG
B成分が全て揃った第2RGB画像信号が生成されてい
る。また、R,B成分に図5(a)のR,B補間フィル
タを用い、G成分に図5(b)のG補間フィルタを用
い、G補間フィルタはx方向の演算が先行することが要
求されている。
【0077】例えばR成分の補間を行う際には、図14
に示すBayer配列にあるR成分のみを、図5(a)
のR,B補間フィルタに入力すると共に、B成分とG成
分の処に0を入力することにより、図5(a)のR,B
補間フィルタからの出力は、補間された1枚のR成分画
像となる。図5(a)のR,B補間フィルタでは、x方
向とy方向の重み係数は同じであるので、演算順序には
関係ないが、図5(b)のG補間フィルタでは、x方向
とy方向の重み係数が異なるので、x方向の演算は先
に、y方向の演算は後にしなければならない。なお、y
方向の演算を先にすることが要求されるような場合に
は、図5(b)のG補間フィルタにあるx方向とy方向
の重み係数を置換えればよい。また、図5(a)および
図5(b)のフィルタの特長としては、まず、ローパス
フィルタ(正の係数のみ)、次に、x、y共、偶数サイ
ズ、さらに、各項の係数はフィルタのx方向およびy方
向に対して対称であることである。各項の係数が対称で
あることにより、フィルタリングの効果を均一にするこ
とができるので、画像を忠実に再現することができる。
【0078】また、第2RGB補間手段12において、
図5に示す偶数サイズのフィルタを使用するのは、低域
輝度信号YLに中高域輝度成分YHを加える加算器8
で、画素データの位置を合わせる必要があるからであ
る。即ち、中高域輝度成分抽出手段6のYH抽出用フィ
ルタは既に述べたように偶数サイズでなければならず、
第1RGB補間手段4で用いる補間フィルタは奇数サイ
ズである。したがって、抽出された中高域輝度成分YH
の画素データは各画素の間にある。このため、第2RG
B補間手段12で用いる補間フィルタを偶数サイズとす
ることにより、低域輝度信号YLの画素データも画素間
の境界上に新たな画素を作らなければならない。このと
き、低域輝度信号YLの画素データの位置は各画素の間
にあって、中高域輝度成分YHの画素データの位置と合
うことになる。
【0079】ホワイトバランス調整手段13は、画像の
色合いを正しくするために、補間されたR,G,B成分
に対して、照明の色温度に合せて白色を調節する処理を
実行するものである。
【0080】ガンマ補正手段14は、画像を出力するデ
ィスプレイやプリンタの特性と一致させるための処理を
実行するものである。
【0081】低域輝度信号生成手段15は、ガンマ補正
後に上記式(6)により低域輝度信号YLを生成するよ
うになっている。
【0082】色差信号生成手段16は、ガンマ補正後に
下記の式(7)により色差信号Cr,Cbを生成するよ
うになっている。
【0083】 Cr=0.70R−0.59G−0.11B Cb=−0.30R−0.59G+0.89B (7) メディアンフィルタ17は、上記式(7)で生成された
色差信号に対してノイズを除去して出力するようになっ
ている。メディアンフィルタ17のサイズについては、
CCDの質によって決められる。即ち、ノイズの多いC
CDには5画素×5画素のメディアンフィルタを用い、
ノイズの少ないCCDには3画素×3画素のメディアン
フィルタを用いるように選択して処理するようにしてい
る。
【0084】ここで、本発明の原理について詳細に説明
する。
【0085】前述したように、図21において、高域輝
度成分を高域輝度成分補償用フィルタの周波数特性(グ
ラフc)で強調する際に、サンプリング周波数fs/2
よりも高い周波数成分も一緒に強調することがジャギー
を生じた原因であった。このため、本発明では図21の
グラフeのような中高域輝度成分をメインとして補償
し、補助的に画像の中域輝度成分と高域輝度成分とを補
償する。中高域輝度成分は、角周波数ωがπ/2〜πの
間に振幅の最大値があって、角周波数ωがπのところで
振幅がゼロになるような成分である。
【0086】ここでは、説明を簡略化するために、2次
元フィルタではなく1次元フィルタを使って検証する。
上記中高域輝度成分を抽出できるフィルタは図6のフィ
ルタ(A)である。図6に示す偶数サイズのフィルタ
(A)の伝達関数は、以下の式(8)に示されている。
注意すべき点は、図6のフィルタ(A)のような偶数サ
イズのフィルタの中心が画素と画素の中間に存在するこ
とであり、フィルタ出力の位置も画素と画素の中間に存
在することである。偶数サイズのフィルタを使用する理
由は、図21のグラフeに示された周波数特性を得るた
めである。なお、図6のフィルタ(A)の各領域内の数
字は各画素の「重み」を表している。
【0087】 H(z)=−Z-1.5+Z-0.5+Z0.5−Z1.5 =2cos(0.5ω)−2cos(1.5ω) (8) ただし、z=e=cosω+jsinω 従来技術で使われている中域輝度成分補償フィルタおよ
び高域輝度成分補償フィルタと比較するため、図17の
2次元2次微分フィルタ(B)を1次元フィルタに置き
換えると、図6のフィルタ(B)となり、図17の2次
元2次微分フィルタ(a)を1次元フィルタに置き換え
ると、図6のフィルタ(C)となる。図6のフィルタ
(B)の伝達関数は式(9)に示され、図6のフィルタ
(C)の伝達関数は式(10)に示される。
【0088】 H(z)=−Z-1+2Z0−Z1 =2−2cos(ω) (9) H(z)=−Z-2+2Z0−Z2 =2−2cos(2ω) (10) 式(8)、式(9)および式(10)の伝達関数を正規
化して、その周波数特性をそれぞれ図7のグラフ
(A),(B),(C)に対応させて表示している。グ
ラフ(A)に示す式(8)の周波数特性は角周波数ωが
0.6πの処で振幅が最大値(ピーク)に達して、角周
波数ωがπの処で振幅がゼロになる。このため、中高域
輝度成分による補償が可能となる。
【0089】また、角周波数ωがπの処で伝達関数の値
(振幅)がゼロになる奇数サイズのフィルタでは、振幅
がピークになる角周波数ωがπ/2(fs/4に相当)
以外にはない。例えば図6のフィルタ(A),(D),
(E)の周波数特性を図8に示すと、奇数サイズのフィ
ルタ(D),(E)の振幅は角周波数ωがπの処でゼロ
ではないことが判る。したがって、奇数サイズのフィル
タは、従来のようにノイズやジャギーが生じる原因とな
る。
【0090】このため、ノイズやジャギーを強調せず、
より高い周波数を補償するには、図6のフィルタ(A)
に示すような偶数サイズのフィルタを選択すべきであ
る。図6のフィルタ(F)はフィルタ(A)に高次微分
項を加えた偶数サイズのフィルタであり、その伝達関数
は、以下の式(11)になる。
【0091】 H(z)=Z-2.5−5Z-1.5+4Z-0.5+4Z0.5−5Z1.5+Z2.5 =8cos(0.5ω)−10cos(1.5ω) +2cos(2.5ω) (11) 正規化した伝達関数(8)の周波数特性(フィルタA)
を図9のグラフ(A)に示し、正規化した伝達関数(1
1)の周波数特性(フィルタF)を図9のグラフ(F)
に示している。グラフ(A)の振幅のピーク位置は角周
波数ωが0.6πにあり、グラフ(F)の振幅のピーク
位置は角周波数ωが0.68πにある。これらは共に角
周波数ωがπの処で振幅がゼロである。したがって、何
れのフィルタも中高域輝度成分による補償のために使用
することはできるが、振幅の最大値の角周波数ωがより
大きいグラフ(F)に示す周波数特性を有するフィルタ
が望ましい。つまり、角周波数ωがπのところで振幅が
ゼロであることによって、fs/2以上の周波数成分に
よるノイズを抑え、また、振幅の最大値をπ/2とπの
間でよりπに近づけることによって、より高域に近い高
域輝度成分の補償をすることが可能となるからである。
【0092】また、偶数サイズのフィルタの使用はCC
D画素の元位置でなく、元の画素と画素との間の境界上
に新たな画素を作ることを意味している。したがって、
2次元に配列されたフィルタでは図10のようになる。
即ち、図10に示す◎印は元の画素位置であり、図10
に示す○印は偶数サイズのフィルタ使用後の画素データ
位置となっている。
【0093】ここで、本発明の画像処理装置の動作を検
証するため、1次元の場合の輝度信号に関する処理の周
波数特性を調べてみる。図1に示すように、原色CCD
エリアセンサ3からの出力から加算器8によって輝度信
号(YL+αYH)を得るまでの一連の処理に注目して
分析する。なお、図1の中高域輝度成分抽出用輝度生成
手段5、ホワイトバランス調整手段13、ガンマ補正手
段14および低域輝度信号生成手段15による各処理は
画像データの周波数分布に影響を与えないので、ここで
はその説明を省略する。
【0094】第1RGB補間手段4により、B,R成分
に対しては、式(2)〜式(4)で示されるバイリニア
法で行い、また、G成分に対しては、式(5)で示され
るメディアン法で行われている。このような補間処理に
よって、中高域輝度成分は減衰するが、完全に失われて
はいない。
【0095】中高域輝度成分抽出手段6により、図2の
YH抽出用フィルタを用いて中高域輝度成分YHを抽出
する。その抽出した中高域輝度成分YHはゲインαで自
由に調節することができる。なお、説明を簡略化するた
めに、第1RGB補間手段4での補間処理では中高域輝
度成分YHの損失については考慮しないものとする。
【0096】中高域輝度成分YHの抽出処理について、
図2の中高域輝度成分抽出用2次元フィルタ(YH抽出
用フィルタ1,2)に対応する1次元フィルタは図6の
フィルタ(F)に示されており、その伝達関数は式(1
1)に表されている。
【0097】また、第2RGB補間手段12のRGB補
間フィルタについては、図5の2次元フィルタに相当す
る1次元フィルタとしては、図6のフィルタ(G)に示
されており、その伝達関数は、以下の式(12)に表さ
れている。
【0098】 H(jω)=Z-1.5+3Z-0.5+3Z0.5+Z1.5 (12) YH抽出用フィルタの式(11)の周波数特性は、図1
1にグラフ(J)で表示し、第2RGB補間手段12に
よるRGB補間処理を表す式(12)の周波数特性は、
図11にグラフ(I)で表示している(正規化処理
後)。輝度信号(YL+YH)の周波数特性は同図のグ
ラフ(H)で表している。図11から中高域輝度成分Y
Hは補償されたことがよく判る。
【0099】中域輝度成分および高域輝度成分の補償は
図17の2つのフィルタを使って補助的に行う。比較の
ため、図2のYH抽出用フィルタおよび図17の2つの
2次微分フィルタに対して、その1次元形式の伝達関数
(11),(9),(10)の周波数特性を図12に再
表示している。図12において、グラフ(J)は式(1
1)に示されたフィルタFの周波数特性、グラフBは図
17の(b)の高域輝度成分抽出フィルタ、グラフCは
図17の(a)の中域輝度成分抽出フィルタの周波数特
性を示している。光学ローパスフィルタ2の影響(図2
0)を考慮し、図12のグラフ(b)およびグラフ
(c)の周波数特性を利用して図11のグラフ(H)に
対して中域輝度成分と高域輝度成分を補償することがで
きる。中高域輝度成分YHによる補償だけでは理想状態
である図20のグラフ(c)に完全に一致させることは
できないが、図4の複合輪郭強調フィルタのパラメータ
1,mおよびゲインα、ENHゲインβを調節すること
によってグラフ(c)により近づけることができる。
【0100】以上により、本実施形態によれば、画像処
理システムに、第2RGB補間手段12を有する低域輝
度信号YL生成ルートと並列に、第1RGB補間手段4
および中高域輝度成分抽出手段6を有する中高域輝度成
分YH生成ルートを設け、加算器8にて中高域輝度成分
YHを低域輝度信号YLに加えることにより、中高域輝
度成分YHで中高域輝度成分を補償すると共に、従来の
補償法を使って中域輝度成分および高域輝度成分につい
ても補助的に補償を行うため、従来よりも高い解像度の
画像が得られると同時にノイズやジャギーも防止するこ
とができるものである。
【0101】偽色防止のために、色差信号はローパスフ
ィルタ特性を持つ補間処理で作られた第2RGB画像信
号から生成され、更にメディアンフィルタをかけてから
出力される。輝度信号については、低域輝度信号YLに
中高域輝度成分YHを加えた後、中域輝度成分と高域輝
度成分による補償を補助的に行う。このとき、低域輝度
信号YLに中高域輝度成分YHを加える加算器8で画素
データの位置を合わせる必要がある。中高域輝度成分抽
出手段6の抽出用フィルタは、既に述べたように、中高
域輝度成分YHを抽出するために、偶数サイズのフィル
タである必要があることから、第1RGB補間処理手段
4のRGB補間処理用フィルタは、中高域輝度成分YH
を最も損なわない3画素×3画素の奇数サイズのフィル
タとすると共に、第2RGB補間処理手段12のRGB
補間処理用フィルタは偶数サイズのフィルタとする必要
がある。
【0102】なお、本実施形態では、CCDエリアセン
サに配設されたカラーフィルタのR,G,Bの色配列を
Bayer配列として説明したが、これに限らず、どの
ような色配列であってもよい。
【0103】なお、本実施形態の画像処理装置について
更に説明すると、画像処理装置は、光学ローパスフィル
タ2を介してエリアセンサ3から出力された画像データ
を画像処理する画像処理装置において、このエリアセン
サ3からのRGB画像データに基づいて生成した、ロー
パスフィルタによる理想的な周波数特性から中高域輝度
成分が減衰した低域輝度信号に対して、減衰した中高域
輝度成分を補償する中高域輝度成分補償手段を備えたも
のである。この構成により、ローパスフィルタによる理
想的な周波数特性から中高域輝度成分が減衰した実際の
低域輝度信号に対して、減衰した中高域輝度成分を補償
するので、輪郭強調処理時に、より鮮鋭な画像を得ると
共に、この鮮鋭な画像を得る際に生じるノイズやジャギ
ーを防止することができる。
【0104】
【発明の効果】以上により、請求項1によれば、所定周
波数(サンプリング周波数fs/2)以下の理想的な周
波数特性から中高域輝度成分が減衰した実際の低域輝度
信号に対して、減衰した中高域輝度成分を補償するた
め、輪郭強調処理時に、より鮮鋭な画像を得ると共に、
この鮮鋭な画像を得る際に生じるノイズやジャギーを防
止することができる。
【0105】また、請求項2によれば、高い解像度の画
像が得られると同時に、鮮鋭な画像を得る際に生じるノ
イズやジャギーを防止することができる。
【0106】さらに、請求項3によれば、角周波数ωが
πで振幅がゼロとなり、かつ角周波数ωがπ/2とπの
間で振幅が最大となる中高域輝度成分を容易に抽出する
ことができる。
【0107】さらに、請求項4によれば、フィルタリン
グ処理の効果を均一にできるので、画像を忠実に再現す
ることができる。
【0108】さらに、請求項5によれば、x方向、y方
向の演算を分離して行うことができるので、計算規模を
抑えることができるため、ハードウエアにより容易に実
現することができる。
【0109】さらに、請求項6によれば、中高域輝度成
分を最も損なわずに抽出することができる。
【0110】さらに、請求項7によれば、低域輝度信号
に対して中高域輝度成分による補償を行う際に、中高域
輝度成分の中心が各画素と画素との間にあり、低域輝度
信号の中心も各画素と画素との間にあるため、再現され
た画像にゴーストの発生を防止することができる。
【0111】さらに、請求項8によれば、G成分につい
てはメディアン方式で補間処理を行うことによって高域
輝度成分の減少を最小限に抑えると共に、R成分および
B成分についてはバイリニア方式で補間処理を行うこと
によってノイズを少なくすることができる。したがっ
て、輪郭がより強調されると共に、画質のよい画像を得
ることができる。
【0112】さらに、請求項9によれば、中域輝度成分
と高域輝度成分の割合を任意の割合にすることにより、
画像の立体感を好みに応じて調整することができる。
【0113】さらに、請求項10によれば、中域、高域
輝度成分抽出手段を単一フィルタにより簡単に構成する
ことができる。
【0114】さらに、請求項11によれば、例えばCC
Dなどの撮像素子の質によって色差信号に含まれるノイ
ズの量が異なるため、ノイズの量に応じてメディアンフ
ィルタを使い分けることにより、ノイズの少ない色差信
号を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における画像処理装置の構
成を示すブロック図である。
【図2】(a)(b)は図1の中高域輝度成分抽出手段
で用いるYH抽出用フィルタ1,2の具体例を示す図で
ある。
【図3】図2のYH抽出用フィルタ1,2およびそれら
の差出力の各周波数特性図である。
【図4】図1の中域、高域輝度成分抽出手段で用いる複
合輪郭強調フィルタの具体例を示す図である。
【図5】図1の第2RGB補間手段で用いるRGB補間
フィルタであって、(a)はR,B補間フィルタの具体
例を示す図、(b)はG補間フィルタの具体例を示す図
である。
【図6】(A)〜(G)は1次元フィルタの例を示す図
である。
【図7】偶数サイズフィルタAと奇数サイズフィルタ
B,Cの各周波数特性図である。
【図8】偶数サイズフィルタAと奇数サイズフィルタ
D,Eの各周波数特性図である。
【図9】異なるサイズの偶数サイズフィルタの各周波数
特性図である。
【図10】偶数サイズのフィルタにより各画素間に画素
データを生成する場合の説明図である。
【図11】低域輝度信号、中高域輝度成分および、低域
輝度信号に中高域輝度成分を補償した輝度信号の周波数
特性図である。
【図12】中高域輝度成分抽出、中域輝度成分抽出およ
び高域輝度成分抽出用の各フィルタ周波数特性図であ
る。
【図13】従来の画像処理装置の第1の構成例を示すブ
ロック図である。
【図14】Bayer配列を示す平面図である。
【図15】図14のBayer配列の一部を示す図であ
る。
【図16】従来の画像処理装置の第2の構成例を示すブ
ロック図である。
【図17】(a)および(b)は輪郭強調処理における
2次元2次微分フィルタを示す図である。
【図18】従来の画像処理装置の第3の構成例を示すブ
ロック図である。
【図19】Bayer配列における各色成分の復元可能
なサンプリング周波数の範囲を示す図である。
【図20】光学ローパスフィルタと補償用フィルタの周
波数特性を示す図である。
【図21】中域輝度成分、中高域輝度成分、高域輝度成
分補償用フィルタの周波数特性を示す図である。
【図22】図1の中高域輝度成分抽出手段で用いるYH
抽出用フィルタが1枚の場合の具体例を示す図である。
【符号の説明】
1 画像処理装置 2 光学ローパスフィルタ 3 原色CCDエリアセンサ 4 第1RGB補間手段(中高域輝度成分抽出用RG
B補間手段) 5 中高域輝度成分抽出用輝度生成手段 6 中高域輝度成分抽出手段 7,10 乗算器 8,11 加算器 9 中域・高域輝度成分抽出手段 12 第2RGB補間手段(低域輝度信号及び色差信
号生成用RGB補間手段) 15 低域輝度信号生成手段 16 色差信号生成手段 17 メディアンフィルタ Y 中高域輝度成分抽出用輝度信号 YL 低域輝度信号 YH 中高域輝度成分 ENH 中域・高域輝度成分 Cr,Cb 色差信号 α 中高域輝度成分補償用ゲイン β 中域・高域輝度成分補償用ゲイン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04N 9/07 H04N 1/40 D 9/64 101D Fターム(参考) 5B057 BA02 CA01 CA08 CA12 CA16 CB01 CB08 CB12 CB16 CC01 CE03 CE05 CE06 CH09 5C065 AA01 BB22 BB48 CC02 CC03 DD02 DD17 EE05 EE06 GG04 GG13 GG21 5C066 AA01 AA11 CA07 CA17 EA03 EC02 EE01 GA01 GA02 GA05 GB02 JA01 KA12 KC04 KC06 KD06 KE02 KF05 KM02 5C077 LL05 MM03 MP08 PP02 PP03 PP32 PP37 PP47 PQ03 PQ08 PQ12 RR19 TT09 5C079 HB01 LA15 LA28 LA31 MA11 NA02 NA04 PA00

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原色フィルタが形成された撮像素子から
    出力されたRGB画像データを処理する画像処理装置に
    おいて、該RGB画像データに基づいて生成した、所定
    周波数以下の理想的な周波数輝度特性から中高域輝度成
    分が減衰した低域輝度信号に対して、減衰した中高域輝
    度成分を補償する中高域輝度成分補償手段を備えた画像
    処理装置。
  2. 【請求項2】 原色フィルタが形成された撮像素子から
    出力されるRGB画像データを処理する画像処理装置に
    おいて、 前記RGB画像データに基づいて生成した第1輝度信号
    から、角周波数ωがπで振幅がゼロとなり、かつ角周波
    数ωがπ/2とπの間で振幅が最大となる中高域輝度成
    分を抽出する中高域輝度成分抽出手段と、 該RGB画像データに基づいて生成した低域輝度信号
    に、該中高域輝度成分を加えて第2輝度信号を生成する
    第1合成手段とを備えた画像処理装置。
  3. 【請求項3】 前記中高域輝度成分抽出手段は、少なく
    とも一つの偶数サイズのフィルタを使用して前記第1輝
    度信号の演算処理を行う請求項2記載の画像処理装置。
  4. 【請求項4】 前記偶数サイズのフィルタは2次元フィ
    ルタであり、かつ各項の係数はx方向およびy方向に対
    して対称である請求項3記載の画像処理装置。
  5. 【請求項5】 前記偶数サイズのフィルタは、微分効果
    を有する第1ローパスフィルタと、第2ローパスフィル
    タとから構成され、該第1ローパスフィルタを使用して
    前記第1輝度信号の演算処理により得られた出力と、該
    第2ローパスフィルタを使用して該第1輝度信号の演算
    処理により得られた出力との出力差を前記中高域輝度成
    分として出力する請求項3または4記載の画像処理装
    置。
  6. 【請求項6】 前記第1輝度信号を生成する前に、各画
    素毎にR,G,Bの各成分のうち欠落している成分を補
    間処理により求める第1補間手段をさらに備え、 前記第1補間手段は3画素×3画素のフィルタを使用し
    て該RGB画像データの演算処理を行うことにより欠落
    している成分を補間処理する請求項2〜5の何れかに記
    載の画像処理装置。
  7. 【請求項7】 前記低域輝度信号を生成する前に、各画
    素毎にR,G,Bの各成分のうち欠落している成分を補
    間処理により求める第2補間手段をさらに備え、 前記第2補間手段は偶数サイズのフィルタを使用して該
    RGB画像データの演算処理を行うことにより欠落して
    いる成分を補間処理する請求項2〜6の何れかに記載の
    画像処理装置。
  8. 【請求項8】 前記第1補間手段および第2補間手段の
    少なくとも何れかは、G成分についてはメディアン方式
    により、R成分およびB成分についてはバイリニア方式
    により補間処理を行う請求項5または6記載の画像処理
    装置。
  9. 【請求項9】 前記第2輝度信号に基づいて中域輝度成
    分および高域輝度成分の少なくとも何れかを抽出する中
    域・高域輝度成分抽出手段と、該中域輝度成分および高
    域輝度成分の少なくとも何れかを第2輝度信号に加えて
    第3輝度信号を生成する第2合成手段とをさらに備えた
    請求項2〜8の何れかに記載の画像処理装置。
  10. 【請求項10】 前記中域・高域輝度成分抽出手段はそ
    の係数を調整できる一つのフィルタを使用して前記第2
    輝度信号の演算処理を行う請求項9記載の画像処理装
    置。
  11. 【請求項11】 前記第2補間手段からのRGB画像信
    号に基づいて生成された色差信号に含まれる、前記撮像
    デバイスに固有のノイズを除去するメディアンフィルタ
    リング処理手段をさらに備え、 前記メディアンフィルタリング処理手段は、該ノイズの
    量に応じてメディアンフィルタのサイズを切り替える請
    求項2〜10の何れかに記載の画像処理装置。
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