JP3837881B2 - 画像信号処理方法及び電子カメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は画像信号処理方法及び装置に関し、特に、固体撮像素子で得た画像信号を高速に処理するに適した画像信号処理方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CCD型撮像素子やMOS型撮像素子などの固体撮像素子を用いる電子カメラでは、固体撮像素子から得た画像信号に各種信号処理を施して輝度(Y)信号と色差信号(Cb,Cr)信号とを作成している。
【0003】
この信号処理のブロックダイアグラムを図10に示す。なお、ここでは、固体撮像素子のカラーフィルタがYe(イエロー),Cy(シアン),Mg(マゼンタ),G(グリーン)の4色である場合を想定する。
【0004】
まず、固体撮像素子から得られた上記4色の画像信号をRGB変換して、R0,G0,B0信号を生成する。次に階調特性を補正する階調変換を行い、R0’,G0’,B0’信号を生成する。そして、R0’,G0’,B0’信号について狭帯域LPF処理を施して、R1,G1,B1信号を生成する。さらにこの信号を色変換して、R,G,B信号を生成する。この後、CbCr変換を行って、Cb,Cr信号を得る。
【0005】
また、固体撮像素子から得られた上記4色の画像信号を階調変換して、Ye’,Cy’,Mg’,G’信号を得る。この階調変換された信号について、広帯域LPF処理を施して、輝度信号の高周波成分Y_highを生成する。また、前記階調変換された信号について、狭帯域LPF処理を施して、輝度信号の低周波成分Y_lowを生成する。
【0006】
そして、Y_highからY_lowを差し引いて、エッジ信号Y_edgeを作成する。また、前記色変換で作成されたR,G,B信号についてY変換を行って、輝度信号の低周波成分Y_low’を作成する。そして、Y_edgeとY_low’とを加算して輝度信号としてのY信号を作成する。なお、このY信号をエッジ強調してY’信号として最終的な輝度信号を得る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上のようにして輝度信号と色差信号とを得るようにしているが、上述した例では、2つの狭帯域LPF処理と1つの広帯域LPF処理との合計で3つのLPF処理が含まれている。
【0008】
このLPF処理では、コンボリューション演算が必要であるため、演算量が多く、CPUや演算回路並びにソフトウェアに大きな負担を掛けている。従って、高速に演算可能なハードウェアやソフトウェアが必要とされていた。また、近年は固体撮像素子の画素数が増大してきており、ますます、演算量が増大している。
【0009】
従って、本発明の目的は、コンボリューション演算の演算量を減らした状態で、固体撮像素子の画像信号から輝度信号と色差信号とを得ることが可能な画像信号処理方法及び装置を実現することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
従って、課題を解決する手段としての発明は、以下に説明するものである。
(1)請求項1記載の発明は、複数色のカラーフィルタを有する固体撮像素子で得られた画像信号を処理して色差信号と輝度信号とを生成する画像信号処理方法であって、所定領域の画像信号に対しカラーフィルタ毎の画像信号の平均値を求め、前記平均値に対してRGB変換、色変換、階調変換を施した後に、YCrCbの比率に応じた所定画素数ブロック単位で信号を平均し、さらにCbCr変換を施して色差信号CbCrを作成し、前記所定領域の画像信号に対するカラーフィルタ毎の画像信号の平均値と、前記所定領域の画像信号に対するカラーフィルタ毎の画像信号の平均前の値とによって広帯域ローパスフィルタ処理を施して輝度信号高周波成分Y_ high を作成し、前記カラーフィルタ毎の画像信号の平均値をさらに平均して輝度信号低周波成分Y_ low を作成し、前記輝度信号高周波成分から前記輝度信号低周波成分を減算してエッジ信号Y_ edge を作成し、このエッジ信号をエッジ強調してエッジ信号Y_ edge ’を作成し、前記階調変換で作成された信号にY変換を施して輝度信号低周波成分Y_ low ’を作成し、輝度エッジ信号Y_ edge ’と輝度信号低周波成分Y_ low ’を加算した後に階調変換して最終的な輝度信号Y’を作成する、ことを特徴とする画像信号処理方法である。
【0011】
この画像信号処理方法では、色差信号の作成の際に、所定領域の画像信号に対しカラーフィルタ毎に画像信号の平均値を用いていることと、エッジ信号を作成する際に、カラーフィルタ毎に画像信号の平均値をさらに平均したものを用いていることにより、それぞれの処理で狭帯域ローパスフィルタが不要になる。従って、コンボリューション演算の演算量を減らした状態で、輝度信号と色差信号を作成することが可能になる。
【0012】
(2)請求項2記載の発明は、(1)の画像信号処理方法において、前記広帯域ローパスフィルタの周波数振幅特性の振幅最大値を、1.0より大きく設定したことを特徴とする。
【0013】
この画像信号処理方法では、広帯域ローパスフィルタから得られる輝度信号の低周波成分Y_highのエッジ部分が強調された状態になるため、後段のエッジ強調処理を省くことができる。
【0014】
(3)請求項3記載の発明は、(1)の画像信号処理方法において、前記色差信号を作成する際に、あるブロック単位でRGB信号を平均し、その平均値から色差信号を求めるものであり、ブロック単位は、YCbCrの比率が4:2:0である場合に、2×2画素のブロックであることを特徴とする。
【0015】
この画像信号処理方法では、色差信号を作成する際に、あるブロック単位で平均したRGB信号から色差信号を作成するので、電子カメラの色差信号の出力形態に合わせた状態で、効率の良い処理が可能になる。
【0016】
(4)請求項4記載の発明は、(1)の画像信号処理方法において、前記エッジ強調に用いる所定の係数を、輝度に応じて変化させることを特徴とする。
この画像信号処理方法では、輝度に応じてエッジ強調の係数を変化させているので、低輝度の条件下でノイズの影響を抑えることができる。
【0017】
(5)請求項5記載の発明は、複数色のカラーフィルタを有する固体撮像素子を備えた装置であって、所定領域の画像信号に対しカラーフィルタ毎の画像信号の平均値を求め、前記平均値に対してRGB変換、色変換、階調変換を施した後に、YCrCbの比率に応じた所定画素数ブロック単位で信号を平均し、さらにCbCr変換を施して色差信号CbCrを作成し、前記所定領域の画像信号に対するカラーフィルタ毎の画像信号の平均値と、前記所定領域の画像信号に対するカラーフィルタ毎の画像信号の平均前の値とによって広帯域ローパスフィルタ処理を施して輝度信号高周波成分Y_ high を作成し、前記カラーフィルタ毎の画像信号の平均値をさらに平均して輝度信号低周波成分Y_ low を作成し、前記輝度信号高周波成分から前記輝度信号低周波成分を減算してエッジ信号Y_ edge を作成し、このエッジ信号をエッジ強調してエッジ信号Y_ edge ’を作成し、前記階調変換で作成された信号にY変換を施して輝度信号低周波成分Y_ low ’を作成し、輝度エッジ信号Y_ edge ’と輝度信号低周波成分Y_ low ’を加算した後に階調変換して最終的な輝度信号Y’を作成する、ことを特徴とする装置である。
【0018】
この装置では、色差信号の作成の際に、所定領域の画像信号に対しカラーフィルタ毎に画像信号の平均値を用いていることと、エッジ信号を作成する際に、カラーフィルタ毎に画像信号の平均値をさらに平均したものを用いていることにより、それぞれの処理で狭帯域ローパスフィルタが不要になる。従って、コンボリューション演算の演算量を減らした状態で、輝度信号と色差信号を作成することが可能になる。
【0019】
(6)請求項6記載の発明は、複数色のカラーフィルタを有する固体撮像素子を備えた装置であって、所定領域の画像信号に対しカラーフィルタ毎の画像信号の平均値を求める第1の平均手段と、この第1の平均手段で求められた平均値に対してRGB変換を行ってR 0 G 0 B 0 信号を生成するRGB変換手段と、前記RGB変換手段の変換結果に対して色変換と階調とを行ってR’G’B’信号を生成する色階調変換手段と、前記色階調変換手段の変換結果に対してYCrCbの比率に応じた所定画素数ブロック単位で信号を平均する第2の平均手段と、前記第2の平均手段で求められた平均値に対してCbCr変換を施して色差信号CbCrを作成するCrCb変換手段と、前記第1の平均手段で求められた平均値と、前記所定領域の画像信号に対するカラーフィルタ毎の画像信号の平均前の値とによって広帯域ローパスフィルタ処理を施して輝度信号高周波成分Y_ high を作成する広帯域ローパスフィルタ処理手段と、前記第1の平均手段で求められた平均値をさらに平均して輝度信号低周波成分Y_ low を作成する第3の平均手段と、前記輝度信号高周波成分Y_ high から前記輝度信号低周波成分Y_ low を減算してエッジ信号Y_ edge を作成する減算手段と、このエッジ信号Y_ edge をエッジ強調してエッジ信号Y_ edge ’を作成するエッジ強調手段と、前記色階調変換手段で作成されたR’G’B’信号にY変換を施して輝度信号低周波成分Y_ low ’を作成するY変換手段と、前記輝度エッジ信号Y_ edge ’と輝度信号低周波成分Y_ low ’を加算する加算手段と、前記加算手段での加算結果を階調変換して最終的な輝度信号Y’を作成する階調変換手段と、を備えたことを特徴とする装置である。
【0020】
この装置では、色差信号作成手段での色差信号の作成の際に、所定領域の画像信号に対しカラーフィルタ毎に画像信号の平均値を用いていることと、エッジ信号作成手段でのエッジ信号を作成する際に、カラーフィルタ毎に画像信号の平均値をさらに平均したものを用いていることにより、それぞれの処理で狭帯域ローパスフィルタが不要になる。従って、コンボリューション演算の演算量を減らした状態で、輝度信号と色差信号を作成することが可能になる。
【0021】
(7)請求項7記載の発明は、(6)の装置において、広帯域ローパスフィルタの周波数振幅特性の振幅最大値を、1.0より大きく設定したことを特徴とする。
【0022】
この装置では、広帯域ローパスフィルタから得られる輝度信号の低周波成分Y_highのエッジ部分が強調された状態になるため、後段のエッジ強調処理を省くことができる。
【0023】
(8)請求項8記載の発明は、(6)の装置において、前記第2の平均手段は、前記色差信号を作成する際に、あるブロック単位でRGB信号を平均し、その平均値から色差信号を求めるものであり、ブロック単位は、YCbCrの比率が4:2:0である場合に、2×2画素のブロックであることを特徴とする。
【0024】
この装置では、色差信号を作成する際に、あるブロック単位で平均したRGB信号から色差信号を作成するので、装置の色差信号の出力形態に合わせた状態で、効率の良い処理が可能になる。
【0025】
(9)請求項9記載の発明は、(6)の装置において、前記エッジ強調手段におけるエッジ強調に用いる所定の係数を、輝度に応じて変化させることを特徴とする。
【0026】
この装置では、エッジ強調手段において、輝度に応じてエッジ強調の係数を変化させているので、低輝度の条件下でノイズの影響を抑えることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
<電子カメラの電気的構成>
まず、ここで図1を参照して本実施の形態例で使用する電子カメラの電気的構成について説明する。図1は本発明の実施の形態の電子カメラの全体の電気的な概略構成を示す機能ブロック図である。
【0028】
この図1に示す電子カメラにおいて、レンズ1,開口絞り2等で構成された光学系を介して得られた光画像は、CCD等の固体撮像素子(以下、単にCCDと言う)3の受光面に結像される。
【0029】
なお、このCCD3の受光面には、各種の光学フィルタが配置されている。CCD前面には、赤外線をカットする赤外カットフィルタ、空間周波数の低域のみを通過させる光学的ローパスフィルタが配置されている。また、CCD3の受光面には、R,G,Bまたは、Ye,Cy,Mg,Gのカラーフィルタからなるモザイクフィルタが配置されている。
【0030】
この実施の形態例では、図2に示すようなYe,Cy,Mg,Gのモザイクフィルタを有する単板式のCCDを用いた電子カメラを想定して説明を行う。また、この図2に示すモザイクフィルタを備えたCCDは、644×488の素子を有しており、640×480画素の信号を生成するためのものである。
【0031】
そして、この開口絞り2及びCCD3は、それぞれ露出制御回路5及びCCD駆動回路4により駆動される。ここで、CCD3は受光面に結像された光画像を電荷量に光電変換し、CCD駆動回路4からの転送パルスによってアナログの画像信号を出力する。
【0032】
出力されたアナログの画像信号は、プリプロセス回路6においてCDS(相関二重サンプリング)処理でノイズが低減され、またAGCにより利得の調整が行われ、ダイナミックレンジ拡大のためのニー処理などが行われる。
【0033】
そして、A/D変換器7によって所定ビット数のディジタル画像データに変換された後、メインCPU12の制御によって画像用メモリ14に記憶される。また、このディジタル画像データは、液晶表示装置17に画像表示される。
【0034】
画像圧縮回路16は画像用メモリ14に記憶された画像データについてJPEG等の画像圧縮を行うもので、画像圧縮されたディジタル画像データは画像記録部15に記録される。なお、パラメータ記憶用メモリ13は画像処理に必要な各種パラメータを保持している。
【0035】
また、タイミング発生回路8は各部の動作に必要な基準同期信号やクロックなどを生成し、各部に供給している。
サブCPU9は、モード設定のためのモードスイッチ10と電源スイッチ11との操作状態に従って装置の動作状態を決定し、メインCPU12と露出制御回路5に指示を与える。
【0036】
<画像信号処理方法の説明>
次に、電子カメラの動作における画像信号処理方法および装置の処理手順を説明する。ここでは、信号処理のブロックダイアグラムとして装置構成要件を示す図3及び処理手順を示すフローチャートとしての図4を参照して説明する。なお、本実施の形態例では従来例の説明と対応させて、CCD3のカラーフィルタがYe(イエロー),Cy(シアン),Mg(マゼンタ),G(グリーン)の4色である場合を想定する。
【0037】
まず、固体撮像素子から得られた上記4色の画像信号について、初期位置から始めて(図4S11)、注目画素周囲の所定領域(ここでは、5×5とする)内のカラーフィルタ毎の平均値を計算する(図4S12)。
【0038】
この平均値は、5×5領域の各色カラーフィルタの総和×平均化係数であり、各色の平均値を、Ye_m,Cy_m,Mg_m,G_mとすると、
Ye_m=Ye×AYe,
Cy_m=Cy_s×ACy,
Mg_m=Mg_s×AMg,
G_m=G_s×AG,
となる。ここで、AX=ホワイトバランス調整係数/5×5のX色についてのカラーフィルタの画素数,である。また、AYe=1.0/9,ACy=1.0235/6,AMg=0.07033/6,AG=0.7403/4,である。
【0039】
このようにして求めたカラーフィルタ毎の平均値を用いて、後述するように輝度信号と色差信号とを並行して求める。ここでは、まず、色差信号を求める手順を先に説明する。
【0040】
さきほど求めたカラーフィルタ毎の平均値をRGB変換して、R0,G0,B0信号を生成する(図4S13)。このRGB変換について、求めるR0,G0,B0信号とカラーフィルタの平均値Ye_m,Cy_m,Mg_m,G_mとの関係は以下のようになる。
【0041】
【数1】
【0042】
である。
さらにこの信号を色変換して、R,G,B信号を生成する(図4S14)。次に階調特性を補正する階調変換を行い、R’,G’,B’信号を生成する(図4S15)。
【0043】
このように、本実施の形態例ではカラーフィルタ毎の平均値を用いることで、RGB信号を作成する際の狭帯域LPF処理が不要になり、演算量を少なくすることができる。
【0044】
この後、注目画素が奇数番目の画素であるかを判定し(図4S16)、奇数であれば、2×2画素毎でRGB信号を平均する(図4S17)。そして、平均した得たR_m,G_m,B_m信号にCbCr変換を行って、Cb,Cr信号を得る(図4S18)。このCbCr変換は以下のように行う。
【0045】
【数2】
【0046】
なお、この2×2画素は、電子カメラとして一般的なYCbCr=4:2:0方式の場合に色差信号を得るのに適した平均画素数である。従って、このようにすることでも、各画素ごとに演算をするのに比較して演算量を少なくすることができる。
【0047】
そして、前述したように求めたカラーフィルタ毎の平均値を用いて、輝度信号を求める手順を以下に説明する。
まず、カラーフィルタ毎の平均値を用いて以下に示す広帯域ローパスフィルタ処理を行う(図4S20)。この広帯域ローパスフィルタ処理としては、たとえば、図5のような重み付けのフィルタ係数を用いるとする。その場合、注目画素をG0とした場合にその周囲の5×5画素が図6のようになっているとすると、広帯域ローパスフィルタによって得られる輝度信号の高周波成分Y_highは以下のようになる。
Y_high=[(13G0−G_m)+(5(Ye0+Ye1)・0.7033−Ye_m)
+(5(Mg0+Mg1)・1.0235−Mg_m)+Cy_m]/16
なお、この広帯域ローパスフィルタの周波数振幅特性を図示すると、図7のようになる。この図7で横x,y軸は正規化空間周波数を表しており、1.0はナイキスト周波数を表している。
【0048】
ここでは、広帯域ローパスフィルタの周波数振幅特性の振幅最大値を、1.0より大きく設定した状態を示している。このようにすると、広帯域ローパスフィルタから得られる輝度信号の高周波成分Y_highのエッジ部分が強調された状態になるため、後段のエッジ強調処理を省くことができる。
【0049】
このように広帯域ローパスフィルタ処理すると、カラーフィルタの平均値と平均前のカラーフィルタの値とを用いて重み付けした加算処理が中心になっているので、従来の広帯域ローパスフィルタよりも演算量(特に乗算)を減らすことができる。
【0050】
また、この広帯域ローパスフィルタ処理と並行して、カラーフィルタ毎の平均値を用いて、さらに平均値を求める(図4S21)。ここで、カラーフィルタの平均値Ye_m,Cy_m,Mg_m,G_mと、さらにこれらの平均値である輝度信号の低周波成分Y_lowとの関係は以下のようになる。
【0051】
Y_low=(Ye_m+Cy_m+Mg_m+G_m)/4
これは単純な平均であり、カラーフィルタ毎の平均値をさらに平均することで、演算量の多い狭帯域LPF処理をすることなく同じ結果を得ることができるようになる。なお、この平均化によるローパスフィルタの周波数振幅特性を図示すると、図8のようになる。この図8で横x,y軸は正規化空間周波数を表しており、1.0はナイキスト周波数を表している。
【0052】
そして、以上の広帯域ローパスフィルタ処理結果Y_highからカラーフィルタの平均値の平均Y_lowを差し引くことで、エッジ信号Y_edgeを作成する(図4S22)。
【0053】
このエッジ信号Y_edgeについて所定の係数をもってエッジ強調を行う(図4s23)。なお、エッジ強調に用いる所定の係数を輝度に応じて変化させることが、低輝度の条件下でノイズの影響を抑える点で好ましい。そこで、カラーフィルタの平均値の中の、Ye_mとCy_mとをエッジ強調の係数として用いる。このエッジ強調の係数をαとすると、αとYe_m及びCy_mとの関係は図9のように表すことができる。ここでは、低輝度の領域でαを低下させ、それ以外ではαが一定になる状態を示している。
【0054】
そして、前述した階調変換(図4S15)で作成されたR’,G’,B’信号にY変換を施し、輝度信号の低周波成分Y_low’を作成する(図4S24)。なお、このY変換処理は、以下の式で示すことができる。
【0055】
Ylow’=0.2990R’+0.5870G’+0.1140B’
そして、Y_edge’信号とY_low’信号とを加算して輝度信号としてのY信号を作成する(図4S25)。なお、このY信号の作成処理は、以下の式で示すことができる。
【0056】
Y=Y_low’+α(Y_high−Y_low)
ここで、αは前述のエッジ強調の係数である。
そして、このY信号を階調変換してY’信号として最終的な輝度信号を得る(図4S26)。
【0057】
以上のような輝度信号と色差信号とを得る処理を、図2に示したカラーフィルタの場合には、CCD3の各画素について繰り返して行い、横640画素,縦480画素分の信号を得る(図4S27〜S30)。
【0058】
本実施の形態例では以上のようにして輝度信号と色差信号とを得るようにしているが、従来の2つの狭帯域LPF処理を平均化処理に置換することで、演算量を極めて少なく抑えることができるようになる。また、広帯域ローパスフィルタ処理についても、カラーフィルタ毎の平均値を用いることで演算量を抑えることができる。
【0059】
すなわち、本実施の形態例によれば、コンボリューション演算のための演算量が少なくすることができ、CPUや演算回路並びにソフトウェアに大きな負担を強いることがなくなる。従って、高速に演算可能なハードウェアやソフトウェアを用いる必要がなくなる。また、近年は固体撮像素子の画素数が増大してきているが、演算量に余裕があるため、その場合にも容易に対応することができる。
【0060】
なお、以上の説明で用いた数値や式などは一例であり、他の数値や式を用いることも可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上実施の形態例及び実施例と共に詳細に説明したように、この明細書記載の各発明によれば以下のような効果が得られる。
【0062】
▲1▼請求項1,請求項5及び請求項6に記載の発明では、色差信号の作成の際に、所定領域の画像信号に対しカラーフィルタ毎に画像信号の平均値を用いていることと、エッジ信号を作成する際に、カラーフィルタ毎に画像信号の平均値をさらに平均したものを用いていることにより、それぞれの処理で狭帯域ローパスフィルタが不要になる。従って、コンボリューション演算の演算量を減らした状態で、輝度信号と色差信号を作成することが可能になる。
【0063】
▲2▼請求項2と請求項7に記載の発明では、広帯域ローパスフィルタから得られる輝度信号の低周波成分Y_highのエッジ部分が強調された状態になるため、後段のエッジ強調処理を省くことができる。
【0064】
▲3▼請求項3と請求項8に記載の発明では、色差信号を作成する際に、あるブロック単位で平均したRGB信号から色差信号を作成するので、電子カメラの色差信号の出力形態に合わせた状態で、効率の良い処理が可能になる。
【0065】
▲4▼請求項4と請求項9に記載の発明では、輝度に応じてエッジ強調の係数を変化させているので、低輝度の条件下でノイズの影響を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態例で使用する電子カメラの構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態例で使用するモザイクフィルタの配置例を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態例の動作例を模式的に示すブロックダイヤグラムである。
【図4】本発明の実施の形態例の動作例を示すフローチャートである。
【図5】広帯域ローパスフィルタのフィルタ係数の一例を示す説明図である。
【図6】広帯域ローパスフィルタ処理の説明のための説明図である。
【図7】広帯域ローパスフィルタの処理の周波数振幅特性の説明のための特性図である。
【図8】ローパスフィルタの処理の周波数振幅特性の説明のための特性図である。
【図9】エッジ強調処理の説明のための特性図である。
【図10】従来の装置の動作例を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1 レンズ
2 開口絞り
3 CCD
4 CCD駆動回路
5 露出制御回路
6 プリプロセス回路
7 A/D変換器
8 タイミング発生回路
9 サブCPU
10 モードスイッチ
11 電源スイッチ
12 メインCPU
13 パラメータ記憶用メモリ
14 画像用メモリ
15 画像記録部
16 画像圧縮回路
17 液晶表示装置
Claims (9)
- 複数色のカラーフィルタを有する固体撮像素子で得られた画像信号を処理して色差信号と輝度信号とを生成する画像信号処理方法であって、
所定領域の画像信号に対しカラーフィルタ毎の画像信号の平均値を求め、前記平均値に対してRGB変換、色変換、階調変換を施した後に、YCrCbの比率に応じた所定画素数ブロック単位で信号を平均し、さらにCbCr変換を施して色差信号CbCrを作成し、
前記所定領域の画像信号に対するカラーフィルタ毎の画像信号の平均値と、前記所定領域の画像信号に対するカラーフィルタ毎の画像信号の平均前の値とによって広帯域ローパスフィルタ処理を施して輝度信号高周波成分Y_ high を作成し、前記カラーフィルタ毎の画像信号の平均値をさらに平均して輝度信号低周波成分Y_ low を作成し、前記輝度信号高周波成分から前記輝度信号低周波成分を減算してエッジ信号Y_ edge を作成し、このエッジ信号をエッジ強調してエッジ信号Y_ edge ’を作成し、前記階調変換で作成された信号にY変換を施して輝度信号低周波成分Y_ low ’を作成し、輝度エッジ信号Y_ edge ’と輝度信号低周波成分Y_ low ’を加算した後に階調変換して最終的な輝度信号Y’を作成する、
ことを特徴とする画像信号処理方法。 - 前記広帯域ローパスフィルタの周波数振幅特性の振幅最大値を、1.0より大きく設定したことを特徴とする請求項1記載の画像信号処理方法。
- 前記色差信号を作成する際の前記ブロック単位は、YCbCrの比率が4:2:0である場合に、2×2画素のブロックであることを特徴とする請求項1記載の画像信号処理方法。
- 前記エッジ強調に用いる所定の係数を、輝度に応じて変化させることを特徴とする請求項1記載の画像信号処理方法。
- 複数色のカラーフィルタを有する固体撮像素子を備えた装置であって、
所定領域の画像信号に対しカラーフィルタ毎の画像信号の平均値を求め、前記平均値に対してRGB変換、色変換、階調変換を施した後に、YCrCbの比率に応じた所定画素数ブロック単位で信号を平均し、さらにCbCr変換を施して色差信号CbCrを作成し、
前記所定領域の画像信号に対するカラーフィルタ毎の画像信号の平均値と、前記所定領域の画像信号に対するカラーフィルタ毎の画像信号の平均前の値とによって広帯域ローパスフィルタ処理を施して輝度信号高周波成分Y_ high を作成し、前記カラーフィルタ毎の画像信号の平均値をさらに平均して輝度信号低周波成分Y_ low を作成し、前記輝度信号高周波成分から前記輝度信号低周波成分を減算してエッジ信号Y_ edge を作成し、このエッジ信号をエッジ強調してエッジ信号Y_ edge ’を作成し、前記階調変換で作成された信号にY変換を施して輝度信号低周波成分Y_ low ’を作成し、輝度エッジ信号Y_ edge ’と輝度信号低周波成分Y_ low ’を加算した後に階調変換して最終的な輝度信号Y’を作成する、
ことを特徴とする装置。 - 複数色のカラーフィルタを有する固体撮像素子を備えた装置であって、
所定領域の画像信号に対しカラーフィルタ毎の画像信号の平均値を求める第1の平均手段と、
この第1の平均手段で求められた平均値に対してRGB変換を行ってR 0 G 0 B 0 信号を生成するRGB変換手段と、
前記RGB変換手段の変換結果に対して色変換と階調とを行ってR’G’B’信号を生成する色階調変換手段と、
前記色階調変換手段の変換結果に対してYCrCbの比率に応じた所定画素数ブロック単位で信号を平均する第2の平均手段と、
前記第2の平均手段で求められた平均値に対してCbCr変換を施して色差信号CbCrを作成するCrCb変換手段と、
前記第1の平均手段で求められた平均値と、前記所定領域の画像信号に対するカラーフィルタ毎の画像信号の平均前の値とによって広帯域ローパスフィルタ処理を施して輝度信号高周波成分Y_ high を作成する広帯域ローパスフィルタ処理手段と、
前記第1の平均手段で求められた平均値をさらに平均して輝度信号低周波成分Y_ low を作成する第3の平均手段と、
前記輝度信号高周波成分Y_ high から前記輝度信号低周波成分Y_ low を減算してエッジ信号Y_ edge を作成する減算手段と、
このエッジ信号Y_ edge をエッジ強調してエッジ信号Y_ edge ’を作成するエッジ強調手段と、
前記色階調変換手段で作成されたR’G’B’信号にY変換を施して輝度信号低周波成分Y_ low ’を作成するY変換手段と、
前記輝度エッジ信号Y_ edge ’と輝度信号低周波成分Y_ low ’を加算する加算手段と、
前記加算手段での加算結果を階調変換して最終的な輝度信号Y’を作成する階調変換手段と、
を備えたことを特徴とする装置。 - 前記広帯域ローパスフィルタの周波数振幅特性の振幅最大値を、1.0より大きく設定したことを特徴とする請求項6記載の装置。
- 前記第2の平均手段は、前記色差信号を作成する際の前記ブロック単位として、YCbCrの比率が4:2:0である場合に、2×2画素のブロックとすることを特徴とする請求項6記載の装置。
- 前記エッジ強調手段におけるエッジ強調に用いる所定の係数を、輝度に応じて変化させることを特徴とする請求項6記載の装置。
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