JP2002076685A - 電磁波遮蔽性シート及びその製造方法 - Google Patents

電磁波遮蔽性シート及びその製造方法

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JP2002076685A
JP2002076685A JP2000257363A JP2000257363A JP2002076685A JP 2002076685 A JP2002076685 A JP 2002076685A JP 2000257363 A JP2000257363 A JP 2000257363A JP 2000257363 A JP2000257363 A JP 2000257363A JP 2002076685 A JP2002076685 A JP 2002076685A
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wave shielding
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groove
plate cylinder
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Kazuhiro Suga
和宏 須賀
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電磁波遮蔽性シートに透視性を付与し、性能
の均一性や生産性も良くする。 【解決手段】 電磁波遮蔽性シートSは、網目状の溝2
を、透明樹脂基材シート1に形成するか、或いは透明樹
脂基材シート上の電離放射線硬化性樹脂の硬化物層4で
形成し、溝中に電磁波遮蔽性インキ3を充填する。製法
は、加熱軟化した透明樹脂基材シートにエンボス版を押
圧して溝を賦形するか、或いは網目状の凸条部を有する
成形版胴に電離放射線硬化性樹脂の未硬化物を間に介し
て透明樹脂基材シートを供給して版胴上で電離放射線照
射して未硬化物を硬化物層とした後、透明樹脂基材シー
トと硬化物層を版胴から離型して溝を賦形する。その
後、全面に電磁波遮蔽性インキを塗工後、凸部上のイン
キを除去する事で溝に電磁波遮蔽性インキを充填する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁波シールド
(遮蔽)が必要な公共施設、ホール、病院、学校、企業
ビル、住宅等の各種建築物の壁面、ガラス面、樹脂パネ
ル面、或いは、電磁波を発生する機器の表示部等に使用
する、透視可能な電磁波遮蔽性シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電磁波を遮蔽可能な電磁波遮蔽シ
ート又は板としては、例えば次の様なものが使用されて
いた。 (1) 硝子、樹脂等からなる透明基材に、銀、ニッケル、
銅、黒鉛等の高導電率の導電性物質の粉末、鱗片を添加
した電磁波遮蔽性塗料を全面に塗布したシート又は板。 (2) 銅等の高導電率の金属箔を基材上の全面に貼ったシ
ート又は板。 (3) 非導電性繊維網に高導電率の金属メッキしたもの
を、基材に熱ラミネーション法等によって、貼ったシー
ト又は板。 (4) 導電性繊維を網目状に編んだものを、基材に貼った
シート又は板。 (5) フォトエッチング法を用い、前記(2) の金属箔上の
金属箔必要部直上部のみを被覆する様に、レジスト膜を
形成し、腐食液で非レジスト部の金属箔のみを除去し
て、網目状の金属箔パターンを形成したシート又は板。 (6) シルクスクリーン印刷法等の印刷法を用いて、透明
基材上に導電性インキで網目状のパターンを印刷形成し
てなるシート又は板(特開昭59−204590号公報
等に開示)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記(1) の
ものは、透視性が無い。その上、製造時の塗装環境が品
質に影響し、不均一な塗布量は性能が不均一になる他、
(基材の)塗装面の耐溶剤性の考慮、又は塗料溶剤の選
択が必要であり、溶剤臭も残る。また、上記(2) のもの
も、透視性が無い他、銅箔は高価で重いという問題があ
る。また、上記(3) のものは、透視性は有るが、メッキ
による為に生産性に劣る。また、熱ラミネーションによ
って繊維網と基材とを圧着する際に、網目が歪み、外観
を損なう。また、圧着する際に、メッキ層にクラックが
入り性能が低下する事がある。この為、圧着条件の調整
を厳密にする必要がある。また、液晶表示装置(LC
D)等の表示部に用いる場合は、網目の間隔と表示画素
との相互関係によりモアレが発生する事がある。また、
上記(4) のものは、透視性は有るが、高価であり、ま
た、編み物は厚くなる上、外観デザイン上の制約が有
る。また、上記(5) のものも透視性は有るが、製造工程
数が増加し、湿式工程も含む為に、加工が煩雑になり、
加工時間も長くなり生産性が低くなり、また除去されて
無駄となる金属部分が多く高価となるという問題があ
る。また、上記(6) のものは、透視性が有り、工程数も
比較的少なく、価格も低くできるが、印刷法を適用する
際、網目状パターンを網目乃至はセルに分割、量子化す
る必要があり、そのため、導電性インキ層が互いに断続
した点の集合となり易く、また塗布量(インキ層厚み)
もあまり厚くは出来ない為、電磁波遮蔽性能が不十分と
なったり、或いはロット毎にバラついたりし易かった。
また、印刷抜け欠点が発生した場合、外観上非常に目立
ち易く実用レベルでは無かった。
【0004】上述の如く、本発明の課題は、透視性を有
すると共に電磁波遮蔽パターン(網目状パターン)の歪
みも無く、遮蔽性能も良好でロット毎のバラツキも生じ
難く、且つ生産性も良い電磁波遮蔽性シートと、その製
造方法を提供する事である。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の電磁波遮蔽性シートの第1の形態では、透
明樹脂基材シートが網目状の溝を有し、該溝中に電磁波
遮蔽性インキが充填されている構成とした。
【0006】この様な構成とする事で、電磁波遮蔽材料
(インキ)がパターン状の網目となっている為に、透視
性が得られる。また、電磁波遮蔽性インキは溝の中に充
填する事で、該インキを多量に且つ網点分割もされるこ
と無く、均一に適用出来るので印刷法と比べて、遮蔽性
能も高く、性能の均一性も得られる。また、金属メッキ
した繊維網を基材シートに熱圧で貼る時に起きる様な、
網目の歪みやメッキ層のクラックも無い。
【0007】また、本発明の電磁波遮蔽性シートの第2
の形態では、透明樹脂基材シート上に、電離放射線硬化
性樹脂の硬化物からなる硬化物層によって網目状の溝が
形成され、該溝中に電磁波遮蔽性インキが充填されてい
る構成とした。
【0008】この様な構成とする事でも、上記構成と同
様に、電磁波遮蔽材料(インキ)がパターン状の網目と
なっている為に、透視性が得られる。また、電磁波遮蔽
性インキは溝の中に充填する事で、該インキを多量に且
つ網点分割もされること無く、均一に適用出来るので印
刷法と比べて、遮蔽性能も高く、性能の均一性も得られ
る。また、金属メッキした繊維網を基材シートに熱圧で
貼る時に起きる様な、網目の歪みやメッキ層のクラック
も無い。また、硬化物層は電離放射線硬化性樹脂からな
るので、製造時(電磁波遮蔽性インキをワイピング法で
溝に充填する時等)や、硬化物層が露出する様な使われ
方をする時に、傷が付き難くく、透視性が傷付きで低下
しない。
【0009】また、本発明の電磁波遮蔽性シートの製造
方法の第1の形態では、前記第1の形態の電磁波遮蔽性
シートを製造する方法として、(A)透明樹脂基材シー
トを加熱軟化させ、(B)該軟化した基材シートに、表
面に網目状の凸条部を有するエンボス版を押圧した後、
該基材シートを冷却固化させ、(C)次いで、前記エン
ボス版を該基材シートから離型させることによって、該
基材シートに網目状の溝となる凹部を賦形し、(D)次
いで、該基材シート表面の凹部及び凸部を含めた全面に
わたって、電磁波遮蔽性インキを塗工し、(E)次い
で、該基材シート表面の凸部上の電磁波遮蔽性インキの
みを除去することで、網目状の溝となる凹部内に電磁波
遮蔽性インキを充填させる、各工程から成る構成とし
た。
【0010】この様な構成とする事で、前記第1の形態
の電磁波遮蔽性シートを、生産性良く製造できる。それ
は、電磁波遮蔽材料をパターン状に形成する為に金属箔
のフォトエッチング法を利用する場合に比べて、湿式工
程を含まない為、工程数が少なく工程が簡略となる為で
ある。また、金属メッキした網を熱プレス融着で基材に
貼る時の様な、網の歪みやクラックを生じない。また、
シルクスクリーン印刷で電磁波遮蔽性インキを網目状に
印刷形成する場合に比べて、電磁波遮蔽性インキをより
多量に且つ連続体として形成出来、安定して高性能の電
磁波遮蔽性能を得る事が出来るようになる。
【0011】また、本発明の電磁波遮蔽性シートの製造
方法の第2の形態では、前記第2の形態の電磁波遮蔽性
シートを製造する方法として、(A)表面に網目状の凸
条部を有する成形版胴を回転させ、(B)該版胴上に透
明樹脂基材シートを該版胴の回転周速度と同期する速度
で走行させつつ供給し、(C)間に電離放射線硬化性樹
脂の未硬化物を介して該基材シートを該版胴上に密着さ
せ、(D)その状態で該基材シート側から或いは該版胴
内部側から電離放射線を照射して、未硬化物を硬化させ
て硬化物層とするとともに、該版胴表面の凹凸形状を該
硬化物層に賦形する事で網目状の溝となる凹部を形成し
て、(E)而る後に、透明樹脂基材シートを、該基材シ
ート表面に接着し且つ該基材シート上に網目状の溝を形
成してなる硬化物層と共に、該版胴から離型させて、
(F)次いで、該基材シートの硬化物層側表面の凹部及
び凸部の全面にわたって、電磁波遮蔽性インキを塗工
し、(G)次いで、該硬化物層表面の凸部上の電磁波遮
蔽性インキのみを除去することで、網目状の溝とする前
記凹部内に電磁波遮蔽性インキを充填させる、各工程か
ら成る構成とした。
【0012】この様な構成とする事で、前記第2の形態
の電磁波遮蔽性シートを、生産性良く製造できる。それ
は、電磁波遮蔽材料をパターン状に形成する為に金属箔
のフォトエッチング法を利用する場合に比べて、湿式工
程を含まない為、工程数が少なく工程が簡略となる為で
ある。また、電磁波遮蔽性インキを充填する溝は、電離
放射線硬化性樹脂の硬化物層で形成するので、該インキ
の溶剤の選択自由度が広くなる上、硬化物層表面全面に
電磁波遮蔽性インキを塗工後、該硬化物層の凸部上の不
要な電磁波遮蔽性インキのみを、拭き取る(例えば後述
ワイピング法)等して除去する際に、凸部表面に傷付き
等が発生して外観不良となる事が無い。また、金属メッ
キした網を熱プレス融着で基材に貼る時の様な、網の歪
みやクラックを生じない。また、硬化物層は電離放射線
硬化性樹脂で形成するので、製造時、例えば、電磁波遮
蔽性インキをワイピング法で溝に充填する時等に傷が付
き難くく、傷付きによる透視性低下も起きない。また、
シルクスクリーン印刷で電磁波遮蔽性インキを網目状に
印刷形成する場合に比べて、電磁波遮蔽性インキをより
多量に且つ連続体として形成出来、安定して高性能の電
磁波遮蔽性能を得る事が出来るようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の電磁波遮蔽性シー
ト及びその製造方法について、実施の形態を説明する。
【0014】〔概要〕先ず、図1は、本発明の電磁波遮
蔽性シートの一例として、その網目状の溝の平面視パタ
ーン形状を示す平面図と、溝の断面形状を示す断面図で
ある。同図の電磁波遮蔽性シートSは、網目状の溝2
は、正方格子状に形成され、この溝2の凹部内に電磁波
遮蔽性インキ3が充填されている。溝2は、図1(A)
の平面図の切断線A−Aにおける断面図である図1
(B)で示す様に、透明樹脂基材シート1自体に形成さ
れる形態の他に、図1(C)の断面図で示す様に透明樹
脂基材シート1上に積層する電離放射線硬化性樹脂によ
る硬化物層4によって形成される形態もある。網目状の
溝2の断面形状は、図1(B)等で図示の如く長方形
(或いは正方形)の他、図示は省くが、下方が頂点とな
る様な三角形、下方が短い底辺となる様な台形等でも良
い。なお、硬化物層4も透視性を確保する為に透明であ
る。そして、前者の形態の溝を形成するには、エンボス
版を利用するエンボス加工法が好適であり、後者の形態
の溝を形成するには、ロール状の成形版胴を利用し、該
版胴上に於いて電離放射線硬化性樹脂の硬化と同時に溝
が成形された硬化物層を形成する加工法(成形版胴法)
が好適である。そして、これら何方の場合でも、溝の内
部に電磁波遮蔽性インキを充填するには、一旦全面に電
磁波遮蔽性インキを塗工後、溝以外の凸部上の不要なイ
ンキを拭き取って除去する所謂ワイピング法によって充
填すると良い。
【0015】溝2の平面視パターン形状は、網目状であ
れば特に制限は無く任意である。図2の平面図はそれら
の一例である。図2で、溝2で囲われた部分が網の目で
あり、この部分は透明樹脂基材シート(或いは更に硬化
物層)を通して反対側を透視することが出来、この部分
で透視性が確保される。そして、図2で例示する如く網
目のパターン形状は、正方形〔図2(A)〕、三角形
〔図2(B)〕、六角形〔図2(C)〕、或いは網目が
長方形で煉瓦積み配列〔図2(D)〕であり、或いは図
示は省略するが閉曲線の集まり等でも良い。なお、図2
では、網目は規則的な配列であるが、意識的に不規則な
配列としても良い。
【0016】次に、図3は、上記の如き電磁波遮蔽性シ
ートが得られる、本発明の電磁波遮蔽性シートの製造方
法を、その一形態(硬化物層を設ける第2の形態)で説
明する概念図である。図3(A)は、電離放射線硬化性
樹脂の硬化物層によって溝を形成する為に使用する成形
版胴10であり、その表面には網目状の凸条部11と凹
部12を有する。但し、図3(A)は成形版胴10の表
面近傍の一部の拡大図であり、成形版胴10の全体形状
は、図5の如く円筒状である。そして、図3(B)の如
く、上記成形版胴10を使用することで、透明樹脂基材
シート1上に、電離放射線硬化性樹脂からなる硬化物層
4が積層され、該硬化物層によって溝2が形成された構
成の溝付き積層シートLが得られる。次に、図3(C)
の如く、ドクタブレード20等を用いるワイピング法等
によって、溝内部に電磁波遮蔽性インキを充填すれば、
図3(D)に示す如く、透明樹脂基材シート1上に、電
離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる硬化物層4によっ
て網目状の溝2が形成され、該溝2中に電磁波遮蔽性イ
ンキ3が充填されている、電磁波遮蔽性シートSが得ら
れる。なお、図3(B)等では、溝2間の硬化物層4部
分は連結しているが、溝2で完全に分断され溝部分で透
明樹脂基材シートが露出する様な硬化物層によって溝2
を形成しても良い。なお、本発明の電磁波遮蔽性シート
は、図3(E)に示す如く、更に溝2側の面に粘着剤層
5を形成した構成としても良い。この電磁波遮蔽性シー
トSは、図3(F)に示す如く、その粘着剤層5によっ
て、例えば、ガラス板等の透明基板Bに貼着して使用す
る。なお、粘着剤層5は、透明基板B側に設けて、電磁
波遮蔽性シート側は省略する事もできる。
【0017】以下、順を追って詳述する。
【0018】〔透明樹脂基材シート〕透明樹脂基材シー
トの樹脂としては、透明性が有る樹脂であれば良く、例
えば熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリナフタレンテレフタレート、ポリアリレート等
のポリエステル樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレー
ト、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)
アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、
メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等のア
クリル樹脂〔なお、ここで(メタ)アクリレートとはア
クリレート又はメタクリレートの意味である。〕、ポリ
プロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペ
ンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン、トリアセチルセル
ロース、ジアセチルセルロース、ポリウレタン、ポリス
ルホン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエーテル系樹脂、
ポリアクリロニトリル系樹脂等が単層で、或いはこれら
のうち異種のもの同士の2層以上の積層で使用できる。
なお、必要に応じて、透明樹脂基材シート表面に、コロ
ナ放電処理、オゾン吹付処理、プラズマ処理、易接着プ
ライマー塗工処理等の公知の易接着処理を施しても良
い。また、透明樹脂基材シートとしては、シート(乃至
はフィルム)状、或いは板状のものでも使用できる。従
って、透明樹脂基材シートの厚さとしては特に制限は無
い。ただ、窓ガラス等の剛直板状の被着体に貼る用途で
は、可撓性を有するものの方が貼り易いので、シート
(乃至はフィルム)状のもの(例えば厚さ0.03mm
〜0.5mm程度のもの)が好ましい。またこの為に
は、透明樹脂基材シートの樹脂としては、上記する様な
熱可塑性樹脂が好ましい。
【0019】〔溝の形成法〕本発明による電磁波遮蔽性
シートの製造方法に於いては、溝の形成は、第1の形態
では透明樹脂基材シート自体への熱圧によるエンボス加
工で形成し、第2の形態では、電離放射線硬化性樹脂の
硬化物層を成形版胴を使用して積層すると同時に該硬化
物層によって透明樹脂基材シート上に溝を形成する。後
者の第2の形態の方が、溝以外の凸部部分を硬質に出来
る為に該部分に傷が付き難く、電磁波遮蔽性インキをワ
イピング法で溝に充填する場合や、硬化物層が露出する
様なシート使用環境の場合等に耐性が得られる点で、よ
り好ましい。そこで、先ず後者の硬化物層によって溝を
形成する方法(この方法を「成形版胴法」と呼ぶことに
する。)から更に詳述する。
【0020】(成形版胴法)この方法は、特開昭57−
87318号公報、特公昭57−22755号公報、特
公昭63−50066号公報、特開平7−32476号
公報等に開示される賦形方法を流用するものであって、
成形版胴(賦形型)の凹凸形状を忠実に電離放射性硬化
性樹脂の硬化物層に賦形できる方法である。基本的に
は、以下の工程からなる。
【0021】(A)表面に網目状の凸条部を有する成形
版胴を回転させ、(B)該版胴上に透明樹脂基材シート
を該版胴の回転周速度と同期する速度で走行させつつ供
給し、(C)間に電離放射線硬化性樹脂の未硬化物を介
して該基材シートを該版胴上に密着させ、(D)その状
態で該基材シート側から或いは該版胴内部側から電離放
射線を照射して、未硬化物を硬化させて硬化物層とする
とともに、該版胴表面の凹凸形状を該硬化物層に賦形す
る事で網目状の溝となる凹部を形成して、(E)而る後
に、透明樹脂基材シートと、該基材シート表面に接着し
且つ該基材シートに網目状の溝を形成してなる硬化物層
とを、該版胴から離型させる。
【0022】この結果、透明樹脂基材シート上に積層さ
れた硬化物層によって所望の溝が賦形された積層シート
が得られる。なお、成形版胴は適度に加熱しても良い。
【0023】この方法に於いて、円筒形状の成形型とな
る成形版胴としては、公知の凹版、グラビア版、エンボ
ス版と基本的には、同様の材料、同様の構造、同様の製
法によるものを用いれば良い。版の材料としては、通常
は鉄、銅等の金属が用いられる。但し、版胴内部から紫
外線或いは可視光線を照射する場合には、硝子、石英等
の透明な材料を用いる。
【0024】また、成形版胴表面に、所望の網目状の凸
条部を形成する形成方法としては、例えば、切削、エッ
チング等によれば良い。また、成形版胴表面は、研磨加
工や、クロムメッキ加工等によって、表面の微細凹凸を
調整して鏡面仕上げしても良い。なお、本発明に於いて
「凸条部」と呼称するのは、平面視形状が線状(直線
状、曲線状等)の凸状部であり、三次元的に鳥瞰すれ
ば、土手状になった凸部の事を意味するからである。該
凸状部が交差する事により、網目状凸部を成す。
【0025】成形版胴の回転駆動は、通常の輸転式グラ
ビア印刷機、輪転式エンボス機等と同様な機構、方法を
用いれば良い。透明樹脂基材シートの成形版胴への密着
の為には、ゴム、金属等のローラ(押圧ローラ)で圧着
する。又透明樹脂基材シートの成形版胴からの剥離にも
ゴム、金属等のローラ(剥離ローラ)で押さえて剥離す
る。透明樹脂基材シートには、連続帯状のものを用い
る。此の様な透明樹脂基材シートは巻出ロール(供給ロ
ール)から巻き出して、硬化物層による溝を賦形後は巻
取りロール(排紙ロール)で巻き取る。
【0026】成形版胴上に透明樹脂基材シートを、これ
ら間に電離放射線硬化性樹脂の未硬化物を介して重ね合
わせて密着させる態様としては、次の(1) 〜(3) があ
る。 (1) 成形版胴塗工方式:先ず成形版胴上に未硬化物を液
状組成物として塗布し、次いで該版胴上の塗布面に透明
樹脂基材シートを重ね合わせる。 (2) 基材シート塗工方式:先ず透明樹脂基材シート上に
未硬化物として液状組成物を塗布し、次いで該塗布面が
成形版胴表面に向くようにして、該基材シートを該版胴
に重ね合わせる。 (3) 成形版胴及び基材シート塗工方式:先ず成形版胴上
と透明樹脂基材シート上との各々に未硬化物として液状
組成物を塗布し、次いで該基材シートと該版胴とを各々
の塗布面が対向する様にして重ね合わせる。
【0027】また、成形版胴と透明樹脂基材シート間に
ある未硬化物への電離放射線の照射の態様としては、次
の(A) と(B) がある。(A) 透明樹脂基材シート側から照
射する。(B) 電離放射線に対して透明な成形版胴を選び
(例えば、紫外線に対して石英の成形版胴を選択)、該
版胴の内部から照射する。
【0028】次に、前記(1) と上記(A) とによる方式を
図4の概念図で示し、前記(2) と上記(A) による方式を
図5の概念図で示す。
【0029】図4の概念図による方式では、成形版胴1
0の版面に、Tダイ型ノズルを有する塗工装置41によ
って、電離放射線硬化性樹脂の未硬化物として液状組成
物を塗布して版表面に未硬化物層6を形成し、その版面
上の未硬化物層6に対して透明樹脂基材シート1を押圧
ローラ42で押し付けて重ね合わせる。そして、成形版
胴10の版面周辺に設置した電離放射線照射装置43か
ら電離放射線Rを、透明樹脂基材シート1を透して照射
して、未硬化物層6を硬化させて硬化物層4とするとい
う方式である。そして、版面上で未硬化物層6が硬化し
て硬化物層4となった後、剥離ローラ44によって成形
版胴10から透明樹脂基材シート1を剥離すれば、透明
樹脂基材シート1と、該基材シート1表面に接着し且つ
該基材シート1に網目状の溝2を形成してなる硬化物層
4とが積層された構成の溝付き積層シートLが得られ
る。
【0030】また、図5の概念図による方式では、イン
キパン51や圧胴52等からなるロールコータ等による
塗工装置50によって、透明樹脂基材シート1上に電離
放射線硬化性樹脂の未硬化物として液状組成物を塗布
後、乾燥装置53を通して有機溶剤等を乾燥して未硬化
物層6を形成した後、未硬化物層6が積層された透明樹
脂基材シート1をガイドローラ54等によって回転する
成形版胴10に導いて、供給する。この際、透明樹脂基
材シート1と未硬化物層6とからなる積層シートは、押
圧ローラ42で成形版胴10表面に押し付けて、成形版
胴10表面の凹凸形状を未硬化物層6に賦形する。次
に、成形版胴10の版面周辺に設置した電離放射線照射
装置43から電離放射線Rを、透明樹脂基材シート1を
透して照射して、未硬化物層6を硬化させて硬化物層4
とするという方式である。そして、版面上で未硬化物層
6が硬化して硬化物層4となった後、剥離ローラ44に
よって成形版胴10から透明樹脂基材シート1を剥離す
れば、透明樹脂基材シート1と、該基材シート1表面に
接着し且つ該基材シート1に網目状の溝2を形成してな
る硬化物層4とが積層された構成の溝付き積層シートL
が得られる。なお、こちらの方式では、直接に成形版胴
に電離放射線硬化性樹脂の未硬化物として液状組成物を
塗工しない為に、塗工適性や物性を調整する目的で該未
硬化物の液状組成物に揮発性の有機溶剤等を添加する事
もできる。
【0031】なお、硬化物層に用いる電離放射線硬化性
樹脂としては、公知の電離放射線硬化性樹脂を用途に応
じて使用すれば良い。この様な電離放射線硬化性樹脂と
しては、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)ア
クリロイルオキシ基等の重合性不飽和結合、又は、エポ
キシ基等のカチオン重合性官能基を有するプレポリマ
ー、モノマー、又はポリマー、或いはポリチオ一ル化合
物からなり、これらを1種のみ又は2種以上適宜混合し
た組成物を用いる。組成物は、未硬化時に液状のものを
用いる。
【0032】前記分子中に重合性不飽和結合を有するプ
レポリマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価ア
ルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエス
テル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレ
ート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メ
タ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類がある
〔尚、本明細書では(メタ)アクリレートとは、アクリ
レート又はメタクリレートの意味で用いる。以下同
様〕。前記分子中に重合性不飽和結合を有するモノマー
の例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチ
レン系モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸
メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル等
の単官能(メタ)アクリル酸エステル類、エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)
アクリート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリ
レート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリ
レート等の多官能(メタ)アクリル酸エステル類、(メ
タ)アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチ
ル、(メタ)アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミ
ノ)エチル、(メタ)アクリル酸−2−(N,N−ジベ
ンジルアミノ)エチル等の不飽和酸の置換アミノアルコ
ールエステル類、(メタ)アクリルアミド等の不飽和カ
ルボン酸アミド、分子中に2個以上のメルカプト基を有
するポリチオール化合物、例えば、トリメチロールプロ
パントリチオグリコレート、トリメチロールプロパント
リチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオ
グリコール等がある。
【0033】分子中にカチオン重合性官能基を有するプ
レポリマーとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、
ノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂等、
脂肪環型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、脂肪族系ビニ
ルエーテル、芳香族系ビニルエーテル、ウレタン系ビニ
ルエーテル、エステル系ビニルエーテル等のビニルエー
テル系樹脂、環状エーテル系樹脂、スピロ系化合物等の
プレポリマー等がある。
【0034】以上の化合物を必要に応じ1種もしくは2
種以上混合して用いるが、樹脂組成物に通常の塗工適性
を付与するために、前記プレポリマー又はオリゴマーを
5重量%以上、前記モノマー及び/又はポリチオールを
95重量%以下とすることが好ましい。また、硬化収
縮、硬化物の可撓性、表面硬度等の物性を調節する為に
前記プレポリマー、オリゴマー、モノマーの少なくとも
1種に対して、以下の様な電離放射線非硬化性樹脂を1
〜70重量%程度混合して用いることができる。電離放
射線非硬化性樹脂としてはウレタン系樹脂、セルロース
系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ブチラ
ール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の熱可
塑性樹脂を用いることができる。
【0035】特に紫外線で硬化させる場合には前記電離
放射線硬化性樹脂組成物に光重合開始剤を添加する。分
子中にラジカル重合性不飽和結合を有する化合物に対し
ては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラー
ベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、
テトラメチルメウラムモノサルファイド、チオキサント
ン類等がある。分子中にカチオン重合性官能基を有する
化合物に対しては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スル
ホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合
物、ベンゾインスルホン酸エステル、ジアリルヨードシ
ル塩等がある。又、必要に応じて更に、光増感剤として
n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチ
ルホスフィン等を混合して用いることもできる。
【0036】以上の電離放射線硬化性樹脂組成物の未硬
化物として液状組成物を成形版胴、或いは透明樹脂基材
シートに塗工するには公知の各種方法、例えば、ロール
コート、カーテンフローコート、Tダイコート、グラビ
アリバースコート、キスコート等の方法を用る。特に成
形版胴塗工の場合はインキパン中の液状組成物に、回転
する成形版胴を浸漬させる(所謂ドブ浸け)も可能であ
る。
【0037】尚、ここで電離放射線としては、電磁波又
は荷電粒子線のうち分子を重合、架橋し得るエネルギー
を有するものを意味し、紫外線、可視光線、X線、電子
線、α線等があるが、通常紫外線、又は電子線が用いら
れる。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、
低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタ
ルハライドランプ等の光源が使用される。電子線源とし
ては、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、
共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダ
イナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用
い、100〜1000keV、好ましくは、100〜3
00keVのエネルギーをもつ電子を照射するものが使
用される。
【0038】(エンボス加工法)一方、第1の形態の製
造方法にて、溝を形成する為にエンボス版を使用するエ
ンボス加工法としては、対象となる透明樹脂基材シート
に熱、圧力によりエンボス版の凹凸形状を賦形する所謂
従来公知のエンボス加工法を採用できる。エンボス加工
は、平版プレス機、ロールエンボス機等の公知の各種プ
レス機、エンボス機を使用できる。なお、ロールエンボ
ス機を使用するロールエンボス法は、円筒状のエンボス
版の凹凸形状を対象物に熱圧で賦形する方法である。対
象物の加熱加圧条件は、加工対象の熱圧的挙動により異
なるが、通常の熱可塑性樹脂の場合、軟化点又は熱変形
温度と融点又は溶融温度との間の適当な温度に加熱し、
エンボス版を押圧して賦形し、冷却して形状を固定す
る。また、エンボス版は通常適度に加熱する。エンボス
加工法に於ける加熱方式としては、赤外線輻射加熱、温
風吹付加熱、加熱ローラからの電熱加熱、誘電加熱等の
公知の方法用いる。
【0039】〔電磁波遮蔽性インキ〕電磁波遮蔽性イン
キとしては、導電性インキ或いは磁性インキを使用す
る。前者の導電性インキは、主に電磁波の反射によって
電磁波遮蔽効果を発現する。導電性インキとしては、そ
の乾燥皮膜の体積抵抗率が好ましくは10-3〜10 -6
Ω・cm、より好ましくは10-4〜10-5Ω・cm程度
になる様に、導電性粉末をビヒクル中に分散させてイン
キ化したものを用いる。この様な導電性粉末としては、
例えば、銀、金、白金、銅、アルミニウム、ニッケル、
黒鉛、錫等を1種又は2種以上混合して用いる。また、
ビヒクル中のバインダー樹脂としては、例えば、アクリ
ル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等を1種又は
2種以上混合して用いる。また、導電性粉末の形状は、
球や楕円球よりも、鱗片形状の方が導電性が良好となる
点で好ましい。また、導電性粉末には、透明性を向上さ
せる為に、他の金属又は金属酸化物をドープしても良
い。例えば、ITO(インジウム−錫酸化物)等であ
る。一方、磁性インキは、主に電磁波の吸収によって電
磁波遮蔽効果を奏する。磁性インキとしては、磁性粉末
をビヒクル中に分散させてインキ化したものを用いる。
この様な磁性粉末としては、例えば、Mn−Znフェラ
イト等のフェライト、軟鉄、ケイ素鋼、カーボニル鉄、
センダスト鉄、パーマロイ等の軟磁性体等の平均粒径1
〜10μm程度の粉末が用いられる。ビヒクル中のバイ
ンダー樹脂としては、上記導電性インキの場合と同様の
ものを用いる。
【0040】なお、電磁波遮蔽性インキを溝中に充填す
るには、公知のワイピング法(特公昭58−14312
号公報等参照)によって行える。ワイピングは、ドクタ
ブレード法、ロールコート法等、従来から使用されてい
るワイピング法のいずれによっても良い。すなわち、溝
を有する面の全面に電磁波遮蔽性インキを塗工し、而る
後に、溝部以外の凸部上のインキをドクタブレード、ス
ポンジロール、布等で掻き落としたり、拭き取ったりし
て、溝内部にインキを残留させるようにする。なお、ド
クタブレードには、鋼鉄のセラミックメッキ加工品、テ
フロン(登録商標)製、シリコーンゴム製等を適宜選択
使用する。
【0041】〔粘着剤層〕本発明の電磁波遮蔽性シート
を、被着体に貼着するには、透明な接着剤や粘着剤を、
被着体側に施して貼着しても良いが、本発明の電磁波遮
蔽性シート自身を接着剤や粘着剤が既に施された構成と
しても良い。図3(E)に例示の電磁波遮蔽性シートS
は透明な粘着剤層5が溝を有する方の面に形成された例
であった。なお、この様に、電磁波遮蔽性シートを被着
体に貼着する際は、溝側の面で貼着すれば、透明樹脂基
材シートが溝内に充填された電磁波遮蔽性インキに対す
る保護層となる点で好ましい。ところで、接着剤や粘着
剤には、公知の材料を用途に応じて選択使用すれば良
い。例えば、ウレタン樹脂系やアクリル樹脂系の接着
剤、ゴム系やアクリル樹脂系の粘着剤等である。これら
接着剤や粘着剤や、ロールコート等の公知の塗工法で施
せば良い。
【0042】〔用途〕本発明の電磁波遮蔽性シートは、
透明な被着体の表面に貼着して使用されるが、該被着体
としては特に制限は無い。例えば、被着体としては、ポ
リエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリスチレン等からなる透明基板等である。或い
は、ガラス板も被着体となる。また、液晶表示ディスプ
レイ等の各種表示装置の表示部等も被着体となる。
【0043】
【実施例】以下、本発明について、実施例により更に説
明する。
【0044】〔実施例1〕先ず、成形版胴は次の様にし
て用意した。鉄製円筒状のシリンダの表面に銅メッキ層
を形成し、その銅メッキ層表面にネガ型の感光性レジス
ト膜を塗工後、該シリンダを回転させつつ、その表面に
アルゴンイオンレーザビームを走査しつつ露光した。そ
の際、電算制御により、予め記憶装置に記録したプログ
ラム及びデータに基づいて、ビーム強度及びビームのオ
ンオフを制御して、正方格子パターン状〔図2(A)参
照〕にレジスト膜を露光した。そして、レジスト膜を現
像して未露光部を洗浄除去してレジストパターンをシリ
ンダ表面に形成し、次いで、塩化第二鉄水溶液によって
腐食して、表面に網目状の凸条部を有する凹凸形状を形
成して、成形版胴を得た。なお、凸条部の凸部幅は10
μm、凸部と凸部の間隔は150μm、凸部の高さは1
0μmである。
【0045】そして、基材シート塗工方式〔図5参照〕
によって、透明樹脂基材シート上に硬化物層を形成する
事で溝を形成した。具体的には、透明樹脂基材シート1
として、厚み100μmの2軸延伸ポリエチレンテレフ
タレートシートの片面に、多官能アクリレートモノマー
及び多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを適量の有
機溶剤で希釈してなる電離放射線硬化性樹脂の未硬化物
である液状組成物を、リバースロールコータにより塗布
し、乾燥装置53で溶剤を蒸発乾燥させて厚さ10μm
の未硬化物層6を形成して積層シートとした後、この積
層シートを、その未硬化物層側が成形版胴側と接する様
に成形版胴10に供給して版胴表面に圧着し、圧着した
状態で透明樹脂基材シート側から、高圧水銀灯からなる
電離放射線照射装置で300mJ/cm2 の紫外線を照
射して、未硬化物層を硬化して透明樹脂基材シートに密
着させると共に硬化物層4とした。そして、硬化物層4
を透明樹脂基材シート1と共に成形版胴10から剥離し
て、溝付き積層シートLを得た。
【0046】次に、この溝付き積層シートLの溝側の表
面全面に、導電性粉末として平均粒径6μmの鱗片状の
ニッケル粉末を、アクリルポリオールと1,6−ヘキサ
メチレンジイソシアネートとを100対6質量比に混合
してなる2液硬化型ウレタン樹脂をバインダー樹脂とす
るビヒクル中に、導電性粉末/バインダー樹脂=90/
10質量比となる様に配合した導電性インキを塗布した
後、溝内部のインキのみ残る様に、インキ塗布面をドク
タブレードで掻き取った。その後、インキを乾燥し、表
面抵抗率が0.10Ω/□である電磁波遮蔽性シートを
得た。
【0047】得られた電磁波遮蔽性シートの外観は、図
1(C)の如く、溝2の内部のみ電磁波遮蔽性インキ
(導電性インキ)3が存在し、透視性は良好であった。
【0048】〔実施例2〕実施例1に於いて、溝形成に
用いた成形版胴として、凸条部の凸部間隔を150μm
から100μmに変更して、溝の網目をより小さいくし
た版胴を用いた以外は、実施例1と同様にして電磁波遮
蔽性シートを得た。得られた電磁波遮蔽性シートの表面
抵抗率は0.06Ω/□となり、透視性も良好であっ
た。
【0049】〔実施例3〕実施例1で使用した成形版胴
をエンボス版として使用し、このエンボス版を表面温度
140℃に加熱し、加熱軟化させた透明樹脂基材シート
(厚さ0.3mmのポリカーボネート樹脂シート)の片
面に300N/cmの力で押し付けて、溝を賦形した。
その後、実施例1同様に、溝内部に電磁波遮蔽性インキ
を充填し、図1(B)の如き構成の電磁波遮蔽性シート
を得た。得られた電磁波遮蔽性シートの表面抵抗率は
0.1Ω/□となり、透視性も良好であった。
【0050】〔実施例4〕実施例2で使用した成形版胴
をエンボス版として使用し、このエンボス版を表面温度
90℃に加熱して、加熱軟化させた透明樹脂基材シート
(厚さ0.5mmのポリエステル樹脂シート)の片面に
300N/cmの力で押し付けて、溝を賦形した。その
後、実施例1同様に、溝内部に電磁波遮蔽性インキを充
填し、図1(B)の如き構成の電磁波遮蔽性シートを得
た。得られた電磁波遮蔽性シートの表面抵抗率は0.0
6Ω/□となり、透視性も良好であった。
【0051】〔比較例1〕ポリエステル繊維にニッケル
メッキしたメッキ繊維(網目のメッシュは80本/2
5.4mm)を、実施例1で使用した透明樹脂基材シー
トにウレタン系接着剤で貼着して、電磁波遮蔽性シート
とした。なお、上記メッキ繊維の表面抵抗率は0.5Ω
/□であった。
【0052】〔比較例2〕ポリエステル繊維に銅及びニ
ッケルメッキしたメッキ繊維(網目のメッシュは135
本/25.4mm)を、実施例1で使用した透明樹脂基
材シートにウレタン系接着剤で貼着して、電磁波遮蔽性
シートとした。なお、上記メッキ繊維の表面抵抗率は
0.14Ω/□であった。
【0053】〔性能比較〕上記の各電磁波遮蔽性シート
について、電磁波遮蔽性能、透視性(全光線透過率)、
表示外観を評価した。性能評価結果は、表1に示す。な
お、電磁波遮蔽性能は、シールドボックス法に基づいて
500MHzの電磁波の遮蔽性能を測定した。また、全
光線透過率は、直読ヘイズメータ(東洋精機株式会社
製)にて測定した。また、表示外観は、液晶ディスプレ
イ上に電磁波遮蔽性シートを置いて、表示画像の視認性
を目視評価した。
【0054】
【表1】
【0055】〔評価結果考察〕実施例1〜4の全ては、
電磁波遮蔽性能、透視性、及び表示外観の全てが良好で
総合評価は良好となった。しかし、メッキ繊維を用いた
比較例1は、透視性が低下し、また表示外観は(液晶デ
ィスプレイ画素ピッチと網目とによって)モアレが若干
発生し、総合評価はやや良好止まりであった。また、比
較例2は、透視性は比較例1同程度であるが、電磁波遮
蔽性能が低下し、更に表示外観はモアレが角度により発
生し、総合評価は不良となった
【0056】
【発明の効果】(1) 本発明の第1及び第2の形態の電磁
波遮蔽性シートによれば、透視性が得られる。また、透
視性や電磁波遮蔽性能の均一性も得られる。また、金属
メッキした繊維網を基材シートに熱圧で貼る時に起きる
様な、網目の歪みやメッキ層のクラックも無い。また、
硬化物層を設けた第2の形態では、硬化物層は電離放射
線硬化性樹脂からなるので傷が付き難く、製造時(電磁
波遮蔽性インキをワイピング法で溝に充填する時等)
や、硬化物層が露出する様な使われ方をする時に、表面
耐性も得られる。
【0057】(2) また、本発明の第1及び第2の形態の
電磁波遮蔽性シートの製造方法によれば、生産性良く、
且つ遮蔽性能も安定して製造できる。それは、電磁波遮
蔽材料をパターン状に形成する為に金属箔のフォトエッ
チング法を利用する場合に比べて、湿式工程を含まない
為、工程数が少なく工程が簡略となる為である。また、
金属メッキした網を熱プレス融着で基材に貼る時の様
な、網の歪みやクラックを生じない。 (3) 更に、第2の形態の製造方法の場合では、電磁波遮
蔽性インキを充填する溝を、電離放射線硬化性樹脂の硬
化物層で形成するので、該インキの溶剤の選択自由度が
広くなる上、硬化物層表面全面に電磁波遮蔽性インキを
塗工後、該硬化物層の凸部上の不要な電磁波遮蔽性イン
キのみを、拭き取る(例えばワイピング法)等して除去
する際に、凸部表面に傷付き等が発生して外観不良とな
る事も無い。また、硬化物層は電離放射線硬化性樹脂で
形成するので、製造時、例えば、電磁波遮蔽性インキを
ワイピング法で溝に充填する時等に傷が付き難くく、傷
付きによる透視性低下も起きない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁波遮蔽性シートを示す平面図と断
面図。
【図2】網目状の溝の各種パターン形状を例示する平面
図。
【図3】本発明の電磁波遮蔽性シートの製造方法をその
1形態(第2の形態)で説明する概念図。
【図4】電磁波遮蔽性シートの製造方法の第2の形態に
於いて、成形版胴塗工方式を説明する概念図。
【図5】電磁波遮蔽性シートの製造方法の第2の形態に
於いて、基材シート塗工方式を説明する概念図。
【符号の説明】
1 透明樹脂基材シート 2 溝 3 電磁波遮蔽性インキ 4 硬化物層 5 粘着剤層 6 未硬化物層 10 成形版胴 11 凸条部 12 凹部 20 ドクタブレード 41 塗工装置(Tダイ型ノズル) 42 押圧ローラ 43 電離放射線照射装置 44 剥離ローラ 50 塗工装置(ロールコータ) 51 インキパン 52 圧胴 53 乾燥装置 54 ガイドローラ B 透明基板 L 溝付き積層シート R 電離放射線 S 電磁波遮蔽性シート

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明樹脂基材シートが網目状の溝を有
    し、該溝中に電磁波遮蔽性インキが充填されている、電
    磁波遮蔽性シート。
  2. 【請求項2】 透明樹脂基材シート上に、電離放射線硬
    化性樹脂の硬化物からなる硬化物層によって網目状の溝
    が形成され、該溝中に電磁波遮蔽性インキが充填されて
    いる、電磁波遮蔽性シート。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の電磁波遮蔽性シートを製
    造する方法であって、 (A)透明樹脂基材シートを加熱軟化させ、 (B)該軟化した基材シートに、表面に網目状の凸条部
    を有するエンボス版を押圧した後、該基材シートを冷却
    固化させ、 (C)次いで、前記エンボス版を該基材シートから離型
    させることによって、該基材シートに網目状の溝となる
    凹部を賦形し、 (D)次いで、該基材シート表面の凹部及び凸部を含め
    た全面にわたって、電磁波遮蔽性インキを塗工し、 (E)次いで、該基材シート表面の凸部上の電磁波遮蔽
    性インキのみを除去することで、網目状の溝となる凹部
    内に電磁波遮蔽性インキを充填させる、各工程から成
    る、電磁波遮蔽性シートの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の電磁波遮蔽性シートを製
    造する方法であって、 (A)表面に網目状の凸条部を有する成形版胴を回転さ
    せ、 (B)該版胴上に透明樹脂基材シートを該版胴の回転周
    速度と同期する速度で走行させつつ供給し、 (C)間に電離放射線硬化性樹脂の未硬化物を介して該
    基材シートを該版胴上に密着させ、 (D)その状態で該基材シート側から或いは該版胴内部
    側から電離放射線を照射して、未硬化物を硬化させて硬
    化物層とするとともに、該版胴表面の凹凸形状を該硬化
    物層に賦形する事で網目状の溝となる凹部を形成して、 (E)而る後に、透明樹脂基材シートを、該基材シート
    表面に接着し且つ該基材シート上に網目状の溝を形成し
    てなる硬化物層と共に、該版胴から離型させて、 (F)次いで、該基材シートの硬化物層側表面の凹部及
    び凸部の全面にわたって、電磁波遮蔽性インキを塗工
    し、 (G)次いで、該硬化物層表面の凸部上の電磁波遮蔽性
    インキのみを除去することで、網目状の溝とする前記凹
    部内に電磁波遮蔽性インキを充填させる、各工程から成
    る、電磁波遮蔽性シートの製造方法。
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