JP2003198186A - 電磁波遮蔽シートの製造方法および電磁波遮蔽シート - Google Patents

電磁波遮蔽シートの製造方法および電磁波遮蔽シート

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JP2003198186A
JP2003198186A JP2001392687A JP2001392687A JP2003198186A JP 2003198186 A JP2003198186 A JP 2003198186A JP 2001392687 A JP2001392687 A JP 2001392687A JP 2001392687 A JP2001392687 A JP 2001392687A JP 2003198186 A JP2003198186 A JP 2003198186A
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electromagnetic wave
wave shielding
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shielding sheet
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Kazuhiro Suga
和宏 須賀
Yuji Kuwabara
祐司 桑原
Hironori Kamiyama
弘徳 上山
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 電磁波遮蔽シートおよびその製造方法を提供
する。 【解決手段】 基材1、電磁波遮蔽パターンからなる凸
部3が賦形された樹脂層2、凸部3に設けられた導電層
4、を有する電磁波遮蔽シートの製造方法であって、基
材上に塗工された硬化前の樹脂表面に、所定パターンの
凹凸を有する賦形部材を圧着し、樹脂を硬化させ、その
賦形部材を取り外して、樹脂層2に凸部3を賦形する工
程A1、または、所定パターンで形成された凹凸版から
なる賦形部材上に樹脂を塗工し、その上に基材1を積層
した後に樹脂を硬化させ、その後その賦形部材から取り
外すことにより、樹脂層2に凸部3を賦形する工程A2
の工程Aと凸部3に導電性塗料を塗布して導電層4’を
形成する工程B1、または、凸部3に無電解めっき用触
媒塗料を塗布して無電解めっき用触媒層12を形成し、
無電解めっきして導電層4”を形成する工程B2を有す
る工程Bよりなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁波シールドが
必要な公共施設、ホール、病院、学校、企業ビル、住宅
等の壁面、ガラス面または樹脂パネル面、または、電磁
波を発生する機器の表示部等に使用される電磁波遮蔽シ
ートの製造方法および電磁波遮蔽シートに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】公共施設、ホール、病院、学校、企業ビ
ル、住宅等の壁面、ガラス面または樹脂パネル面、また
は、電磁波を発生する機器の表示面等の被遮蔽面を電磁
波シールドする方法は、従来より種々提案されている。
例えば、被遮蔽面上に電磁波遮蔽塗料を全面塗布する方
法、被遮蔽面上に金属箔を貼り合わせる方法、金属めっ
きされた繊維メッシュを樹脂板に熱ラミネートしてなる
電磁波遮蔽シートを、被遮蔽面に貼り合わせる方法、導
電性繊維をメッシュ状に編んだものを被遮蔽面に貼り合
わせる方法、等が一般的に行われている。
【0003】これらのうち、透明ガラス面、透明樹脂パ
ネル面、CRTやPDPの表示面等の被遮蔽面を電磁波
シールドする場合においては、被遮蔽面を透視可能に覆
うことができる電磁波遮蔽シートが要求されている。
【0004】そうした要求に対しては、金属めっきされ
た繊維メッシュや導電性繊維をメッシュ状に編んだもの
を樹脂板に熱ラミネートする方法により製造された電磁
波遮蔽シートA、基材上に貼り合わせた金属層をフォト
リソグラフィー法でメッシュ状にエッチングする方法に
より製造された電磁波遮蔽シートB、平面基材上に無電
解めっき用触媒塗料を凹版オフセット印刷でパターン印
刷した後に無電解めっきで導電層を形成する方法により
製造された電磁波遮蔽シートC、平面基材上に導電性塗
料を凹版オフセット印刷でパターン印刷して導電層を形
成する方法により製造された電磁波遮蔽シートD、等が
使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、導電性
を付与した繊維メッシュ等を利用して製造された電磁波
遮蔽シートAにおいては、熱ラミネートの際に、繊維メ
ッシュ等と樹脂板との間で歪みが生じて透視画像がゆが
んだり、熱ラミネートの際にめっき層にクラックが発生
して電磁波シールド性能が低下したりする等、その製造
方法特有の問題が生じていた。また、その製法上、導電
性を付与した繊維の太さは50μm程度が限界であり、
細径化が難しく、より透視性を向上させたり、電磁波遮
蔽シート全体の厚さを薄くすることが困難であるという
問題があった。
【0006】また、フォトリソグラフィー法を利用して
製造された電磁波遮蔽シートBにおいては、工程が多く
高コストになるという問題があった。
【0007】また、無電解めっきで導電層を凹版オフセ
ット印刷を利用して製造された電磁波遮蔽シートCは、
例えば特開平11−170420号公報に記載されてい
るが、形成された導電層の線幅に太りや滲み等があり、
特に、透視性が要求される用途に使用される電磁波遮蔽
シートにおいては、外観が劣るという問題があった。さ
らに、電磁波遮蔽シートCの大きさはめっきラインの大
きさに依存するので、幅2m程度の大きな寸法からなる
電磁波遮蔽シートを製造するにはその電磁波遮蔽シート
Cを2〜3枚を繋ぎ合わせる必要があり、そのため、繋
ぎ目から電磁波がもれて遮蔽を十分に行うことができな
いおそれもあった。
【0008】また、導電性塗料を凹版オフセット印刷で
パターン印刷して導電層を形成する方法で製造された電
磁波遮蔽シートDは、印刷時に導電性塗料の滲みがみら
れ、外観が劣るという問題があった。
【0009】さらに、上述の電磁波遮蔽シートのうち、
特に電解めっきまたは無電解めっきで形成された導電層
を有するものにあっては、その導電層が金属光沢を有す
るものが多い。そのため、その導電層で光の反射が起こ
り、透視性が低下して対象物が見にくくなるという問題
があった。
【0010】本発明の目的は、上述した問題が生じない
電磁波遮蔽シートの製造方法およびその方法により得ら
れた電磁波遮蔽シートを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の電磁波遮蔽シートの製造方法は、基材、電磁波遮蔽
パターンからなる凸部が賦形された樹脂層、凸部に設け
られた導電層、を有する電磁波遮蔽シートの製造方法で
あって、基材上の樹脂層に凸部を賦形する工程A、およ
び、凸部に導電層を形成する工程B、を有することに特
徴を有する。
【0012】この発明によれば、工程Aにより、微細な
電磁波遮蔽パターンからなる凸部を精度よく形成するこ
とができる。そして、その凸部に導電層を形成すること
により、透視性に優れた電磁波遮蔽シートを製造するこ
とができる。
【0013】本発明の電磁波遮蔽シートの製造方法にお
いて、前記工程Aは、基材上に塗工された硬化前の樹脂
表面に、所定パターンの凹凸を有する賦形部材を圧着
し、その後その圧着状態を維持しつつ樹脂を硬化させ、
その後その賦形部材を取り外すことにより、樹脂層に凸
部を賦形する工程A1、または、所定パターンで形成さ
れた凹凸版からなる賦形部材上に樹脂を塗工し、その上
に基材を積層した後に樹脂を硬化させ、その後その賦形
部材から取り外すことにより、樹脂層に凸部を賦形する
工程A2、であることに特徴を有する。
【0014】この発明によれば、工程A1または工程A
2により、微細な電磁波遮蔽パターンからなる凸部を精
度よく形成することができる。
【0015】また、本発明の電磁波遮蔽シートの製造方
法において、前記工程Bは、凸部に導電性塗料を塗布し
て導電層を形成する工程B1、または、凸部に無電解め
っき用触媒塗料を塗布して無電解めっき用触媒層を形成
し、その後無電解めっきして導電層を形成する工程B
2、である。
【0016】また、本発明の電磁波遮蔽シートの製造方
法における上記工程B2において、無電解めっき用触媒
層が反射防止色で形成され、無電解めっきしてなる導電
層が反射防止処理されていることに特徴を有する。
【0017】この発明によれば、無電解めっき用触媒層
および無電解めっき導電層が反射防止作用を有するの
で、形成された導電層での光の反射が起こらず、透視性
に優れた電磁波遮蔽シートを製造できる。
【0018】以上、本発明の電磁波遮蔽シートの製造方
法によれば、凸部を設計寸法通りに形成して細径化、透
視性の向上、外観の向上、電磁波遮蔽シート全体の薄肉
化等を達成することができるので、希望した透視性や電
磁波シールド特性を有する電磁波遮蔽シートを設計通り
に製造することができる。さらに、上述した従来の製造
方法に比べて製造が容易で生産性が高く、従来の繊維メ
ッシュのような熱ラミネートに基づく歪みの問題や、導
電層の線幅の太りや滲みの問題も生じなく、凸部のみに
導電層を形成することができるという格別の効果もあ
る。
【0019】上記目的を達成する本発明の電磁波遮蔽シ
ートは、基材、電磁波遮蔽パターンからなる凸部が賦形
された樹脂層、凸部に設けられた導電層、を有すること
に特徴を有する。
【0020】この発明によれば、樹脂層の凸部に無電解
めっき導電層が設けられているので、従来の繊維メッシ
ュのような熱ラミネートに基づく問題がなく、しかも、
導電層の線幅の太りや滲みの問題も生じない。
【0021】本発明の電磁波遮蔽シートにおいては、導
電層が、導電性塗料で形成された層または無電解めっき
で形成された層であり、このうち、導電層が無電解めっ
き用触媒層および無電解めっき導電層からなる場合にお
いては、その無電解めっき用触媒層が反射防止色で形成
され、その無電解めっき導電層が反射防止処理されてい
ることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の電磁波遮蔽シート
の製造方法について図面を参照しつつ説明し、さらに、
本発明の電磁波遮蔽シートについて説明する。
【0023】電磁波遮蔽シート101は、図1および図
2に示すように、基材上の樹脂層2に凸部3を賦形する
工程A、凸部3に導電層4を形成する工程B、によって
製造される。この方法によって製造された電磁波遮蔽シ
ート101は、基材1、電磁波遮蔽パターンからなる凸
部3が賦形された樹脂層2、凸部に設けられた導電層4
(以下、後述の第1形態の導電層4’と第2形態の導電
層4”を特定しないときは、単に「導電層4」とい
う。)有する。凸部3には、導電性塗料11’で形成さ
れた第1形態の導電層4’、または、無電解めっき用触
媒塗料11”(以下、触媒塗料11”という。)により
無電解めっき用触媒層12(以下、触媒層12とい
う。)が形成され、その上に無電解めっきで形成された
第2形態の導電層4”が設けられる。
【0024】(工程A)工程Aは、基材1上に設けられ
た樹脂層2に凸部3を賦形する工程である。この工程A
において、樹脂層2上に所定の電磁波遮蔽パターンから
なる凸部3が形成される。
【0025】先ず、基材1について説明する。
【0026】基材1は、透明性を有するものであり、熱
可塑性樹脂または熱硬化性樹脂等からなる材料で形成さ
れる。基材1の材質としては、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリナフタレンテレフタレート、アクリル樹脂、
ポリカーボネート、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニ
ル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリステ
レン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロー
ス、ポリウレンタン、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテ
ル系樹脂、ポリメチルペンテン、ポリアクリルニトリル
系樹脂等が挙げられ、これらの材質からなる透明または
半透明のフィルム、シートまたは板が本発明における基
材1として適用される。基材1の厚さは、電磁波遮蔽シ
ート101が使用される用途や要求される透視性に基づ
いて任意に設定される。例えば、その用途に応じ、50
μm〜10mm程度の範囲のものが適用される。
【0027】基材1の表面には、後述する樹脂層2との
接着性を向上させるために、必要に応じてコロナ処理、
オゾン吹き付け処理またはプラズマ処理等の易接着処理
を施することができる。また、基材1の表面に、アンカ
ー層を形成して後述する樹脂層2との接着性を向上させ
ることもできる。アンカー層は樹脂材料で形成され、基
材1と樹脂層2の両方に接着性のよいものが用いられ
る。そうした樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタ
ン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。アンカ
ー層は、そうした樹脂を含む塗料を、ロールコート、ス
プレーコート、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクス
クリーン印刷等の塗工法または印刷法で形成して設けら
れる。
【0028】次に、樹脂層2について説明する。
【0029】樹脂層2は、上述の基材1上に設けられる
ものであって、透明性(透明または半透明)があり、後
述の手段により電磁波遮蔽パターンからなる凸部3が形
成されるものである。そうした樹脂層2は、電離放射線
硬化性樹脂により形成されることが好ましい。基材1上
に塗工された電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線(紫
外線、電子線など)の照射によって速やかに硬化する。
そのため、電離放射線硬化性樹脂が硬化する前に、賦形
部材6によりその電離放射線硬化性樹脂の表面に凸部3
が賦形される。そして、その賦形状態を維持しつつ電離
放射線を照射することによって、所望寸法および形状の
凸部3を有する樹脂層2が形成される。
【0030】そうした電離放射線硬化性樹脂としては、
ラジカル重合性のビニル基を有する単官能もしくは多官
能アクリレート樹脂のモノマー、オリゴマー又はプレポ
リマーが挙げられる。例えば、分子中に(メタ)アクリ
ロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等の重合性不
飽和結合、または、エポキシ基等のカチオン重合性官能
基を有するプレポリマー、モノマー又はポリマーを、1
種のみ又は2種以上適宜混合した組成物を挙げることが
できる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせ
によるポリエン/チオール系のプレポリマーからなる組
成物も用いることができる。組成物は、未硬化時に液状
のものが用いられる。
【0031】前記分子中に重合性不飽和結合を有するプ
レポリマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価ア
ルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエス
テル(メタ)アタリレート、ウレタン(メタ)アタリレ
ート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メ
タ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等
の(メタ)アクリレート類がある(なお、本明細書で
は、(メタ)アクリレートとは、アタリレート又はメタ
クリレートの意味で用いる。以下同様)。また、前記分
子中に重合性不飽和結合を有するモノマーの例として
は、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノ
マー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシエ
チル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル等の単官能
(メタ)アクリル酸エステル類、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
ート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アタリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
ト等の多官能(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)
アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、
(メタ)アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)
エチル、(メタ)アクリル酸−2−(N,N−ジベンジ
ルアミノ)エチル等の不飽和酸の置換アミノアルコール
エステル類、(メタ)アクリルアミド等の不飽和カルボ
ン酸アミド等がある。
【0032】また、分子中にカチオン重合性官能基を有
するプレポリマーとしては、ビスフェノール型エポキシ
樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹
脂等、脂肪環型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、脂肪族
系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル、ウレタン
系ビニルエーテル、エステル系ビニルエーテル等のビニ
ルエーテル系樹脂、環状エーテル系樹脂、スピロ系化合
物等のプレポリマー等がある。
【0033】また、ポリエン/チオール系のプレポリマ
ーとしては、分子中に2個以上のメルカプト基を有する
ポリチオール化合物、例えば、トリメチロールプロパン
トリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチ
オプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリ
コール等がある。一方、ポリエンとしては、ジオールと
ジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルア
ルコールを付加したもの等がある。
【0034】電離放射線硬化性樹脂は、以上の化合物を
必要に応じ1種又は2種以上混合して用いられるが、樹
脂組成物に通常の塗エ適性を付与するために、前記プレ
ポリマー又はオリゴマーを5質量%以上、前記モノマー
及び/又はポリチオールを95質量%以下とすることが
好ましい。
【0035】また、硬化物の可撓性、表面硬度、剥離性
等の物性を調節するために、前記電離放射線硬化性樹脂
に対して、以下のような電離放射線非硬化性樹脂を1〜
70質量%程度混合して用いることができる。電離放射
線非硬化性樹脂としては、ウレタン系樹脂、セルロース
系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ブチラ
ール樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑
性樹脂を用いることができる。また、剥離性を向上させ
る為に、シリコーン樹脂、ワックス等の滑剤を添加する
ことができる。
【0036】特に紫外線で硬化させる場合には、前記電
離放射線硬化性樹脂組成物に光重合開始剤を添加する。
分子中にラジカル重合性不飽和結合を有する化合物に対
しては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラ
ーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステ
ル、テトラメチルメウラムモノサルファイド、チオキサ
ントン類等がある。
【0037】分子中にカチオン重合性官能基を有する化
合物に対しては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホ
ニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、
ベンゾインスルホン酸エステル、ジアリルヨードシル塩
等がある。又、必要に応じて更に、光増感剤としてn−
ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホ
スフィン等を混合して用いることもできる。
【0038】なお、ここで電離放射線としては、電磁波
又は荷電粒子線のうち分子を重合、架橋し得るエネルギ
ーを有するものを意味し、紫外線、可視光線、X線、電
子線、α線等があるが、通常紫外線又は電子線が用いら
れる。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、
低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライトラン
プ、メタルハライドランプ等の光源が使用される。電子
線源としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラ
フト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は、直線
型、ダイナミトロン型もしくは高周波型等の各種電子線
加速器を用い、100〜1000keV、好ましくは、
100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射す
るものが使用される。
【0039】また、樹脂層用の樹脂には、熱線遮断材を
含有させることが好ましい。熱線遮断材を含有した樹脂
から形成された樹脂層2は、電磁波発生源から熱線(例
えば赤外線)が生じる場合にはその熱線を遮断し、ま
た、外部環境から熱線が照射される場合にはその熱線を
遮断する。熱線遮断材としては、赤外線反射材、赤外線
吸収材等を0.01〜1μm程度の平均粒径からなる微
粒子が好ましく使用される。前記粒径範囲の微粒子は、
電磁波遮蔽シートの透明性を阻害しないように、樹脂中
に(0.1〜30重量%)で含有させることが好まし
い。こうした赤外線反射材や赤外線吸収材の添加量は、
樹脂層2の厚さ、吸収係数(及びその波長特性)、ヒー
ターの輻射強度の波長特性、含有する赤外線吸収材の種
類に依存する。
【0040】赤外線反射材の具体例としては、Ag、I
23 、Sb23 等が挙げられる。赤外線吸収材の
具体例としては、例えば、Pb34 、MnO2 、Cu
2 O、SnO、FeO等の金属酸化物や、MgF2 、C
oTiO3 、AgAsO3 、Mg6 Al2 (OH)16
3 ・4H2 O(ハイドロタルサイト)等の金属塩等か
らなる無機化合物微粒子が使用でき、また、例えば、α
−ブロム−p−フェニルアセトフェノン、2−クロル−
5−ニトロベンゾフェノン等の芳香族ケトン、3,3′
−ジアミノベンジジン、4−クロル−m−フェニレンジ
アミン等の芳香族アミン、N−クロルフタルイミド、
1,3−ジフェニル−5−ピラゾロン等の芳香族アミ
ド、ジエチルジチオカルバミン酸銀、4−アリ−ルチオ
セミカルバミド等の脂肪族アミド等からなる有機化合物
の微粒子が使用できる。また、赤外線写真用の増感剤の
うち、比較的安定な物質も使用できる。或いはまた、特
開平7−70496号公報に開示の如きアミニウム化合
物等も使用できる。
【0041】電離放射線硬化性樹脂の塗布方法として
は、グラビアリバース、ロールコート、カーテンフロー
コート、Tダイコート、キスコート等の方法が適用され
る。これらのうち、溶剤希釈した塗料を用いた場合に
は、グラビアリバース、リバースロールコート、カーテ
ンフローコート、ロールコートが好ましく、無溶剤タイ
プの塗料を用いた場合には、Tダイコートが好ましい。
特に成形版胴に塗工する場合は、インキパン中の液状組
成物に、回転する成形版胴を浸漬させる(いわゆるドブ
浸け)も可能である。こうした塗布方法により、厚さ5
〜50μmの樹脂層2が形成される。
【0042】次に、基材1上の樹脂層2に凸部3を賦形
する手段について、図3および図4を参照しつつ説明す
る。
【0043】第1の賦形手段(工程A1)は、図3に示
すように、基材上に樹脂を塗工し、硬化前の樹脂表面に
所定パターンの凹凸を有する賦形部材6を圧着し、その
後その圧着状態を維持しつつ樹脂を硬化させ、その後そ
の賦形部材6を取り外すことにより、樹脂層2に凸部3
を賦形する手段である。
【0044】第2の賦形手段(工程A2)は、図4に示
すように、所定パターンで形成された凹凸版からなる賦
形部材6上に樹脂を塗工し、その上に基材1を積層した
後に樹脂を硬化させ、その後その賦形部材6から取り外
すことにより、樹脂層2に凸部3を賦形する手段であ
る。
【0045】賦形部材6としては、図5に示すようなシ
リンダー7が好ましく使用される。なお、樹脂層表面に
凸部3を形成することが可能であれば、シリンダー7以
外の賦形部材や、上記手段(工程A1、A2)以外の賦
形手段を適用しても構わないが、電離放射線硬化性樹脂
を用いた上述の賦形手段は、電離放射線により所望の賦
形形態を保持させた状態で速やかに硬化させることがで
きるので、透視性に優れ、寸法精度に優れた所望形状の
凸部3を樹脂層2に容易に形成することができる点で優
れている。
【0046】ここで、図5は、基材上に塗工された電離
放射線硬化性樹脂の表面をシリンダー面9に圧着し、そ
の圧着状態を維持したまま電離放射線を照射して樹脂を
硬化させた後、シリンダー7から離型させることによ
り、樹脂層2に凸部3を賦形する態様を示す説明図であ
る。
【0047】この工程Aにおいては、金属製のシリンダ
ー7が好ましく使用される。シリンダー7は、大面積の
ものを使用できるので、大面積の電磁波遮蔽シートを容
易に製造することができる。シリンダー7上には、後述
する図7に示した電磁波遮蔽パターンを樹脂層2に賦形
できるように、所定の連続凸状パターン8が形成されて
いる。なお、シリンダー7上の賦形パターンは、化学エ
ッチング、レーザー露光エッチング、切削、ミル押し、
研磨、Crめっき等により形成される。樹脂層2に凸部
3を賦形する際には、シリンダー7を30〜80℃程度
に加熱して圧着することが好ましく、硬化させる前の電
離放射線硬化性樹脂に容易に電磁波遮蔽パターンを賦形
することができる。
【0048】こうした賦形手段により形成される凸部3
は、上述した樹脂層2の片面、より具体的には基材側で
ない側の樹脂層2の表面に所定の電磁波遮蔽パターンで
形成される。なお、形成する凸部3のパターン形状、凸
部3の線幅および凸部3の高さは、電磁波シールド性
能、透視性、用途等によって種々変化させることがで
き、さらに、凸部3の線幅は、均一であっても均一でな
くてもよく、その用途や仕様により任意に変化させるこ
とができる。特に、本発明においては、上述の賦形手段
により凸部3を形成するので、凸部3の線幅を5〜10
0μmの微細な幅で形成することができ、また、凸部3
の高さも5〜50μmの高さで形成することができる。
この凸部3と、凸部以外の平面5との差(凸部3の高
さ)は、後述する導電層4’の厚さ、または、触媒層1
2の厚さ、無電解めっき導電層4”の厚さ、得られた電
磁波遮蔽シート101全体の厚さ等を総合的に勘案して
設定される。
【0049】(工程B)工程Bは、凸部3に導電層4を
形成する工程である。この工程Bは、二つの工程を含ん
でいる。一つは、凸部3に導電性塗料11’を塗布し、
その後乾燥等をして導電層4’を形成する工程B1であ
り、他の一つは、凸部3に触媒塗料11”を塗布し、そ
の後乾燥等をして触媒層12を形成(工程B2’)し、
その後無電解めっきして導電層4”を形成(工程B
2”)する工程B2である。
【0050】この工程B(工程B1、B2)において、
導電性塗料11’または触媒塗料11”は、オフセット
印刷や、図6に示すフレキソ印刷により、凸部3のみに
塗布される。
【0051】導電性塗料11’は、導電性塗料11’中
の溶剤含量によっても異なるが、形成される導電層14
の厚さが1〜10μmとなるように、通常、3〜20μ
mの厚さで塗布される。また、触媒塗料11”について
も、触媒塗料11”中の溶剤含量によっても異なるが、
形成される触媒層12の厚さが1〜3μmとなるよう
に、通常、2〜10μmの厚さで塗布される。
【0052】導電性塗料11’は、バインダー樹脂に金
属粒子等の導電性粒子を分散させた塗料である。バイン
ダー樹脂としては、2液硬化型ウレタン樹脂等のウレタ
ン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、
塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポ
リエステル樹脂等の一種または二種以上からなる樹脂、
または、紫外線や電子線で硬化させる電離放射線硬化性
樹脂等が使用される。また、導電性粒子としては、金、
銀、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル等の金属粒子や、
カーボンブラック、黒鉛等の非金属粒子が使用される。
導電性粒子の形状は特に限定されないが、球、楕円、鱗
片形、針状の導電性粒子を好ましく使用でき、特に鱗片
形および針状の導電性粒子は導電性をより向上させるこ
とができる。また、導電性粒子には、銀、銅、ニッケ
ル、インジウム等の金属または酸化アンチモン、酸化イ
ンジウム、酸化スズ等の金属酸化物をドープすることも
できる。そうした導電性粒子の平均粒径は、1〜10μ
mであることが好ましい。なお、導電性塗料11’に
は、必要に応じてその他の添加剤、例えば界面活性剤等
を添加することができる。また、溶剤乾燥型の塗料とす
る場合には、イソプロピルアルコール等の溶剤を使用で
きる。導電性塗料11’は、形成された導電層4の体積
抵抗率が10-3〜10-6Ωcm、好ましくは10-4〜1
-5Ωcmとなるように、バインダー樹脂と導電性粒子
との含有比が調整される。例えば、導電性粒子をバイン
ダー樹脂中に30〜80重量%含有する導電性塗料1
1’が適用される。
【0053】なお、本発明においては、導電層4’が反
射防止色で形成されることが好ましく、そのため、導電
性塗料11’中に、カーボン粉末等を1〜20重量%程
度含有させて、形成される導電層4’を黒色化したり暗
色化することが好ましい。こうして形成された導電層
4’は光の反射を起こさないので、透視性に優れた電磁
波遮蔽シートの製造に寄与できる。
【0054】一方、触媒塗料11”は、バインダー樹脂
と無電解めっき用触媒を含む塗料であり、塗布後に触媒
層12を形成し、その上に無電解めっきによる導電層
4”の形成を可能にさせるものである。なお、ここでい
う無電解めっき用触媒とは、無電解めっきを選択的に析
出・成長させることができる核のことであり、本発明に
おいては、貴金属コロイド粒子のことである。バインダ
ー樹脂としては、2液硬化型ウレタン樹脂等のウレタン
樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポ
リエステル樹脂等の一種または二種以上からなる樹脂が
使用される。貴金属コロイド粒子としては、パラジウ
ム、金、銀、白金等の微粒子が用いられる。特に、パラ
ジウムの微粒子が好ましく用いられる。貴金属コロイド
粒子の大きさは、およそ0.01〜1μmであることが
好ましい。こうした貴金属コロイド粒子は、バインダー
樹脂中に30〜80重量%含有させることが好ましい。
こうした触媒塗料11”には、バインダー樹脂および貴
金属コロイドの種類および性質に応じて、有機溶剤系、
水系、エマルジョン系の各種の溶剤が任意に選択して用
いられる。さらに、触媒塗料11”には、必要に応じ
て、体質顔料、界面活性剤、着色剤等の添加剤を含有さ
せることができる。
【0055】なお、本発明においては、触媒層12が反
射防止色で形成されることが好ましく、そのため、触媒
塗料11”中に、カーボン粉末等を0.01〜20重量
%程度含有させて、形成される触媒層12を黒色化した
り暗色化することが好ましい。こうして形成された触媒
層12は光の反射を起こさないので、透視性に優れた電
磁波遮蔽シートの製造に寄与できる。
【0056】以上のように、凸部3に導電性塗料11’
または触媒塗料11”が塗布される。その後、それらの
塗料11’、11”の成分に応じた処理、例えば、乾燥
処理または電離放射線処理等をし、厚さ1〜10μmの
導電層4’または厚さ1〜3μmの触媒層12が形成さ
れる。この場合において、塗料11’、11”の成分に
応じた処理は通常の条件で行われ、例えば、乾燥処理に
あっては40〜130℃の熱処理を施し、電離放射線処
理にあっては紫外線や電子線を照射して、導電層4’ま
たは触媒層12を形成する。なお、導電層4’の厚さ
や、触媒層12の厚さは、凸部3の高さ、後述する導電
層4”の厚さ、得られた電磁波遮蔽シート101全体の
厚さ等を総合的に勘案して設定される。
【0057】次に、無電解めっき工程について説明す
る。無電解めっきは、図2に示すように、上述のように
形成した触媒層12上に無電解めっきによる導電層4”
を設ける工程(工程B”)である。
【0058】無電解めっきを行う溶液としては、銅、
鉄、ニッケル、クロム、銀、金、白金、コバルト等の無
電解めっき液を使用することができる。無電解めっき
は、各々の無電解めっき液固有のめっき条件に設定する
ことによって、金属または合金を析出させ、導電層4”
を形成することができる。形成された導電層4”の材質
としては、銅、鉄、ニッケル、クロム、銀、金、白金、
コバルト、アルミニウム等、またはそれら金属と還元剤
成分であるリン、ボロン等との合金等が挙げられる。ま
た、2種類以上の無電解めっきを行って、2以上の無電
解めっき層を積層させた導電層4”としてもよく、例え
ば、導電性に優れた無電解銅めっきをした後に、反射防
止を目的として黒色の無電解ニッケルめっきを施した導
電層4”とすることも可能である。電解めっきにより形
成された導電層4”の厚さは、凸部3の高さ、触媒層1
2の厚さ、得られた電磁波遮蔽シート101全体の厚さ
等を総合的に勘案して設定されるが、およそ1〜5μm
であることが好ましい。
【0059】形成された導電層4”は、高い導電性を有
する点で優れており、例えば10-4〜10-6Ωcmの体
積抵抗率からなる導電層4”を形成することができる。
なお、鉄、銅、銀等の錆び易いものからなる導電層4”
に関しては、最表面に錆びにくいめっき層を形成した
り、導電層”上に酸化膜を形成して防錆処理してもよ
い。
【0060】さらに、本発明においては、無電解めっき
により形成されてなる導電層4”を、硫化水素ガスに接
触させたり、金属硫化物水溶液に接触させたりして、導
電層4”の表面に硫化物を析出させて黒色化させること
も有効である。こうして黒色化した導電層4”は、金属
層特有の光沢を無くすので、光の反射が抑制され、透視
性に優れた電磁波遮蔽シートの製造に寄与できる。より
具体的には、硫化水素ガスを接触させたり、金属硫化物
水溶液を接触させる。
【0061】(その他の工程)凸部3に導電層4が形成
された電磁波遮蔽シートの製造方法には、更に、図9に
示すように、粘着剤層15または接着剤層を積層する工
程を加えることができる。粘着剤層15または接着剤層
の形成工程を経て製造された電磁波遮蔽シート101’
は、粘着剤層15または接着剤層を介して被遮蔽面に容
易に粘着または接着される。
【0062】粘着剤層15または接着剤層を形成するた
めの樹脂は、溶剤系でも水系でもどちらでもよく特に限
定されない。具体的には、粘着剤層15を形成する樹脂
としては、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリブチレ
ン、SBR、ブチルゴム、クロロプレンゴム等が挙げら
れ、接着剤層を形成する樹脂としては、アクリル、ポリ
エステル、ウレタン、酢酸ビニル、スチレン等が挙げら
れる。これらの樹脂は、従来公知の手段、例えば、グラ
ビアリバース、ロールコート、キスコート、ダイコート
等の塗工法、または、グラビア印刷、フレキソ印刷、シ
ルクスクリーン印刷等の印刷法、により電磁波遮蔽シー
トの導電層形成側の全面に塗布される。そして、その後
の乾燥により粘着剤層15または接着剤層が形成され
る。粘着剤層15または接着剤層の厚さは、その表面の
凹凸・平坦性を考慮して任意に設定されるが、1〜10
μm程度が好ましい。
【0063】(電磁波遮蔽シート)図8は、上述した工
程を経て製造された本発明の電磁波遮蔽シート101の
一例を示す断面図である。本発明の電磁波遮蔽シート1
01は、基材1上に樹脂層2が設けられ、その樹脂層表
面には、電磁波遮蔽パターンからなる凸部3が賦形され
ており、その凸部3には、図8(a)に示すように導電
層4’が形成され、または、図8(b)に示すように触
媒層12および導電層4”が形成されている。さらに、
本発明の電磁波遮蔽シートにおいては、図9に示すよう
に、粘着剤層15または接着剤層を形成したものであっ
てもよい。
【0064】本発明の電磁波遮蔽シートの開口率は、6
0〜90%の範囲であることが好ましい。開口率をこの
範囲とすることにより、得られた電磁波遮蔽シート10
1を、透視性が要求される用途、例えば電磁波を発生す
る各種電気機器のLCD、PDP、CRT等の表示装置
の表示面、または、施設や家屋の透明ガラス面や透明パ
ネル面に好適に適用することができる。開口率が60%
未満では、透明性が損なわれ、開口率が90%を超える
と、シールド性能が不十分になることがある。なお、開
口率とは、導電層4が設けられる凸部3以外の開口部
が、全面積に占める面積割合のことである。
【0065】凸部3の平面パターンは特に限定されない
が、図7の(A)〜(E)に示す正方格子(A)、六角
格子(B)、三角格子(C)、ストライプ格子(D)、
煉瓦積み模様(E)の平面パターンを例示することがで
きる。これらの各パターンにおいて、黒い部分は、凸部
3に導電層4が形成されている部分であり、白い部分
は、凸部3が形成されていない部分である。凸部3の平
面パターンについても、領域全体を同じパターンで形成
しても、領域毎に異なるパターンで形成してもよく、そ
の用途や仕様により任意に変化させることができる。な
お、図7の(A)〜(E)に示す平面パターンのうち、
ストライプ格子(D)は、他のパターンよりも電磁波遮
蔽効果が弱いので実用上はあまり使用されてはいない。
【0066】凸部3には、上述した導電層4’または触
媒層12・導電層4”が必ず設けられているが、それら
以外の層であって独自の作用効果を奏するものが設けら
れていても構わない。
【0067】
【実施例】以下に、実施例および比較例により、本発明
を更に具体的に説明する。
【0068】(実施例1)基材1として厚さ100μm
の透明なポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを使
用し、その片面にアクリレートモノマーおよびアクリレ
ートオリゴマーからなるUV硬化性樹脂を、溶剤乾燥後
の厚さが15μmとなるようダイコートにより塗工し
た。その塗工面を、微細な凹凸パターンが形成されたシ
リンダー面に圧着し、その状態で500mJ/cm2
UV光を照射した。UV光の照射により硬化した樹脂層
2を基材1と共に剥離し、高さ10μmの凸部3が形成
された賦形フィルムを得た。
【0069】なお、シリンダー表面に形成した微細なパ
ターンは、シリンダー表面に設けられた銅めっき層をミ
ル押しにより形成した。さらに、そのシリンダー表面に
クロムめっきを施し、耐久性を向上させた。電磁波遮蔽
シートの凸部3に対応するシリンダー表面の凹部パター
ンは、凹部幅:15μm、凹部間隔:300μm、凹部
深さ:10μmの寸法で形成した。
【0070】樹脂層2の凸部3に、図6に示すようなフ
レキソ印刷により、黒に着色した触媒塗料11”を塗布
し、その後乾燥等して厚さ1μmの触媒層12を形成し
た。触媒塗料11”としては、パラジウムコロイド粒子
が電子線硬化型樹脂中に分散したものを用いた。
【0071】次いで、銅を析出させることができる無電
解めっき液を用い、40℃の条件で厚さ3μmの無電解
銅めっきを行い、導電層4”を形成した。さらに、反射
防止処理として、その導電層4”を金属硫化物溶液に浸
漬し、その表面に黒色の硫化銅を形成した。こうして実
施例1の電磁波遮蔽シート101を製造した。
【0072】得られた電磁波遮蔽シート101の外観
は、微細なパターンからなる凸部3のみに導電層4”を
設けることができ、透視性もきわめて良好であった。ま
た、得られた電磁波遮蔽シート101の開口率、全光線
透過率、電磁波遮蔽度、反射防止性を評価し、その結果
を表1に示した。
【0073】(実施例2)実施例1と同様の方法で得ら
れた賦形フィルムを用い、その樹脂層2の凸部3に、グ
ラビア印刷により、黒に着色した導電性塗料11’を塗
布し、その後乾燥等して厚さ5μmの導電層4’を形成
した。導電性塗料11’としては、平均粒径1μmの銀
粒子をポリエステル樹脂中に分散したものを用いた。ま
た、熱線遮断材として、平均粒径0.01μmの酸化ア
ンチモンおよび酸化スズ粒子を含有させた。こうして実
施例2の電磁波遮蔽シート101を製造した。
【0074】得られた電磁波遮蔽シート101の外観
は、微細なパターンからなる凸部3のみに導電層4’を
設けることができ、透視性もきわめて良好であった。ま
た、得られた電磁波遮蔽シート101の開口率、全光線
透過率、電磁波遮蔽度、反射防止性を評価し、その結果
を表1に示した。
【0075】(比較例1)基材1として厚さ100μm
の透明なポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを使
用し、その片面に、パラジウム粒子を含有を有する触媒
塗料11”を凹版オフセット印刷によりパターン印刷し
た。そして、その後乾燥等して厚さ1μmの触媒層12
を形成した。なお、電磁波遮蔽パターンは、実施例1と
同じにした。さらに、実施例1と同じ無電解めっき液を
用い、同じ条件で厚さ3μmの無電解銅めっきを行い、
導電層4を形成した。こうして比較例1の電磁波遮蔽シ
ートを製造した。
【0076】得られた電磁波遮蔽シートの外観は、その
パターンの格子線が設計値よりも太く広がっており、格
子形状も角部が丸くなっていた。また、得られた電磁波
遮蔽シートの開口率、全光線透過率、電磁波遮蔽度を評
価し、その結果を表1に示した。
【0077】
【表1】
【0078】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電磁波遮
蔽シートの製造方法によれば、凸部を設計寸法通りに形
成して細径化、透視性の向上、外観の向上、電磁波遮蔽
シート全体の薄肉化等を達成することができるので、希
望した透視性や電磁波シールド特性を有する電磁波遮蔽
シートを設計通りに製造することができる。さらに、上
述した従来の製造方法に比べて製造が容易で生産性が高
く、従来の繊維メッシュのような熱ラミネートに基づく
歪みの問題や、導電層の線幅の太りや滲みの問題も生じ
なく、凸部のみに導電層を形成することができるという
格別の効果もある。さらに、導電層が反射防止作用を有
するので、導電層での光の反射が起こらず、透視性に優
れた電磁波遮蔽シートを製造できる。
【0079】製造された本発明の電磁波遮蔽シートは、
透視性が要求される用途に対して好適に用いられるもの
であり、例えば、電磁波シールドが必要な公共施設、ホ
ール、病院、学校、企業ビル、住宅等のガラス面または
樹脂パネル面、または、電磁波を発生する機器の表示部
等に好ましく使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁波遮蔽シートの製造方法の一例を
示す工程フロー図である。
【図2】本発明の電磁波遮蔽シートの製造方法の他の一
例を示す工程フロー図である。
【図3】賦形手段の一態様を示すフロー図である。
【図4】賦形手段の他の一態様を示すフロー図である。
【図5】シリンダー面に樹脂層を圧着して賦形する態様
を示す説明図である。
【図6】樹脂層の凸部に塗料を塗布する方法を示す概略
説明図である。
【図7】電磁波遮蔽パターンの各例を示す概略図であ
る。
【図8】本発明の電磁波遮蔽シートの一例を示す断面図
である。
【図9】本発明の電磁波遮蔽シートの他の一例を示す断
面図である。
【符号の説明】
101、101’ 電磁波遮蔽シート 1 基材 2 樹脂層 3 凸部 4、4’、4” 導電層 6 賦形部材 7 シリンダー 8 連続凸状パターン 9 シリンダー面 10 ガイドローラ 11’ 導電性塗料 11” 無電解めっき用触媒塗料 12 触媒層 15 粘着剤層
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) E04B 1/92 E04B 1/92 // B29L 7:00 B29L 7:00 9:00 9:00 (72)発明者 上山 弘徳 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 2E001 DH01 FA03 FA26 FA32 GA03 GA06 GA17 GA24 GA42 GA47 GA84 HB01 HD11 HD14 JB01 JD02 4F100 AK01B AK25 AK42 AT00A BA05 BA07 BA10A BA10E CC00C DD01B DD06B EH112 EH462 EH71E EH712 EJ542 EJ852 EJ862 EJ912 GB00 JG01C JN06D 4F204 AA24 AA25 AD05 AE03 AG01 AG03 AG05 EA03 EB02 EF01 EF05 EF23 EK18 5E321 AA04 AA43 AA44 AA46 BB23 BB41 CC16 GG05 GH01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材、電磁波遮蔽パターンからなる凸部
    が賦形された樹脂層、凸部に設けられた導電層、を有す
    る電磁波遮蔽シートの製造方法であって、 基材上の樹脂層に凸部を賦形する工程A、および、凸部
    に導電層を形成する工程B、を有することを特徴とする
    電磁波遮蔽シートの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記工程Aは、基材上に塗工された硬化
    前の樹脂表面に、所定パターンの凹凸を有する賦形部材
    を圧着し、その後その圧着状態を維持しつつ樹脂を硬化
    させ、その後その賦形部材を取り外すことにより、樹脂
    層に凸部を賦形する工程A1、または、所定パターンで
    形成された凹凸版からなる賦形部材上に樹脂を塗工し、
    その上に基材を積層した後に樹脂を硬化させ、その後そ
    の賦形部材から取り外すことにより、樹脂層に凸部を賦
    形する工程A2、であることを特徴とする請求項1に記
    載の電磁波遮蔽シートの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記工程Bは、凸部に導電性塗料を塗布
    して導電層を形成する工程B1、または、凸部に無電解
    めっき用触媒塗料を塗布して無電解めっき用触媒層を形
    成し、その後無電解めっきして導電層を形成する工程B
    2、であることを特徴とする請求項1または請求項2に
    記載の電磁波遮蔽シートの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の工程B2において、無
    電解めっき用触媒層が反射防止色で形成され、無電解め
    っきしてなる導電層が反射防止処理されていることを特
    徴とする請求項3に記載の電磁波遮蔽シートの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 基材、電磁波遮蔽パターンからなる凸部
    が賦形された樹脂層、凸部に設けられた導電層、を有す
    ることを特徴とする電磁波遮蔽シート。
  6. 【請求項6】 導電層が、導電性塗料で形成された層ま
    たは無電解めっきで形成された層であることを特徴とす
    る請求項5に記載の電磁波遮蔽シート。
  7. 【請求項7】 導電層が無電解めっき用触媒層および無
    電解めっき導電層からなり、その無電解めっき用触媒層
    が反射防止色で形成され、その無電解めっき導電層が反
    射防止処理されていることを特徴とする請求項5に記載
    の電磁波遮蔽シート。
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