JP2003198184A - 電磁波遮蔽シートの製造方法および電磁波遮蔽シート - Google Patents

電磁波遮蔽シートの製造方法および電磁波遮蔽シート

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JP2003198184A
JP2003198184A JP2001392685A JP2001392685A JP2003198184A JP 2003198184 A JP2003198184 A JP 2003198184A JP 2001392685 A JP2001392685 A JP 2001392685A JP 2001392685 A JP2001392685 A JP 2001392685A JP 2003198184 A JP2003198184 A JP 2003198184A
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wave shielding
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Kazuhiro Suga
和宏 須賀
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 電磁波遮蔽シートの製造方法を提供する。 【解決手段】 基材1、樹脂層2、導電パターン部4
A、導電ベタ層部4bを有する電磁波遮蔽シート101
の製造方法であって、基材上の樹脂層2に凹部3を賦形
する工程A、樹脂層2の表面の所定領域Rに剥離層6を
形成する工程B、所定領域Rの剥離層6の全面および所
定領域以外の領域Qの樹脂層2の全面に導電層4を形成
する工程C、所定領域Rの剥離層6の上に熱可塑性樹脂
層32を介して剥離用シート31を設ける工程D、剥離
用シート31を引き剥がすことにより、凹部以外の樹脂
層平面5に積層された剥離層6、導電層4および熱可塑
性樹脂層32を除去し、凹部内に導電層4を有した導電
パターン部4Aおよび所定領域以外の領域Qに導電ベタ
層を有した導電ベタ層部4Bを形成する工程Eを有する
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁波シールドが
必要な公共施設、ホール、病院、学校、企業ビル、住宅
等の壁面、ガラス面または樹脂パネル面、または、電磁
波を発生する機器の表示部等に使用される電磁波遮蔽シ
ートの製造方法およびその方法により得られた電磁波遮
蔽シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】公共施設、ホール、病院、学校、企業ビ
ル、住宅等の壁面、ガラス面または樹脂パネル面、また
は、電磁波を発生する機器の表示面等の被遮蔽面を電磁
波シールドする方法は、従来より種々提案されている。
例えば、被遮蔽面上に電磁波遮蔽塗料を全面塗布する方
法、被遮蔽面上に金属箔を貼り合わせる方法、金属めっ
きされた繊維メッシュを樹脂板に熱ラミネートしてなる
電磁波遮蔽シートを、被遮蔽面に貼り合わせる方法、導
電性繊維をメッシュ状に編んだものを被遮蔽面に貼り合
わせる方法、等が一般的に行われている。
【0003】これらのうち、透明ガラス面、透明樹脂パ
ネル面、CRTやPDPの表示面等の被遮蔽面を電磁波
シールドする場合においては、被遮蔽面を透視可能に覆
うことができる電磁波遮蔽シートが要求されている。
【0004】そうした要求に対しては、金属めっきされ
た繊維メッシュや導電性繊維をメッシュ状に編んだもの
を樹脂板に熱ラミネートする方法により製造された電磁
波遮蔽シートA、基材上に貼り合わせた金属層をフォト
リソグラフィー法でメッシュ状にエッチングする方法に
より製造された電磁波遮蔽シートB、平面基材上に無電
解めっき用触媒塗料をパターン印刷した後に無電解めっ
きで導電層を形成する方法により製造された電磁波遮蔽
シートC、平面基材上に導電性塗料をパターン印刷して
導電層を形成する方法により製造された電磁波遮蔽シー
トD、等が使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した各種の電磁波
遮蔽シートにおいては、導電性繊維や導電層を接地する
こと(いわゆる、アースをとること。)が必要である
が、透視性が要求される電磁波遮蔽シートは、微細な導
電パターンからなる導電性繊維や導電層で形成されてい
るので、それらを接地するのが難しいという問題があっ
た。
【0006】こうした問題に対して、従来は、後工程と
して、接地する部分に導電性塗料や導電性粘着剤を塗布
することにより、導電性繊維や導電層を接地していた。
しかし、こうした方法では、後工程に基づく製造コスト
の問題、および、導電性塗料や導電性粘着剤の塗工厚さ
を考慮した製品設計が要求されるという煩雑さがあっ
た。
【0007】さらに、従来の電磁波遮蔽シートは、上記
の問題に加え、以下のような問題があった。例えば、導
電性を付与した繊維メッシュ等を利用して製造された電
磁波遮蔽シートAにおいては、熱ラミネートの際に、繊
維メッシュ等と樹脂板との間で歪みが生じて透視画像が
ゆがんだり、熱ラミネートの際にめっき層にクラックが
発生して電磁波シールド性能が低下したりする等、その
製造方法特有の問題が生じていた。また、その製法上、
導電性を付与した繊維の太さは50μm程度が限界であ
り、細径化が難しく、より透視性を向上させたり、電磁
波遮蔽シート全体の厚さを薄くすることが困難であると
いう問題があった。また、フォトリソグラフィー法を利
用して製造された電磁波遮蔽シートBにおいては、工程
が多く高コストになるという問題があった。また、無電
解めっきで導電層を形成する方法で製造された電磁波遮
蔽シートCは、例えば特開平11−170420号公報
に記載されているが、形成された導電層の線幅に太りや
滲み等があり、特に、透視性が要求される用途に使用さ
れる電磁波遮蔽シートにおいては、外観が劣るという問
題があった。さらに、電磁波遮蔽シートCの大きさはめ
っきラインの大きさに依存するので、幅2m程度の大き
な寸法からなる電磁波遮蔽シートを製造するにはその電
磁波遮蔽シートCを2〜3枚を繋ぎ合わせる必要があ
り、そのため、繋ぎ目から電磁波がもれて遮蔽を十分に
行うことができないおそれもあった。また、導電性塗料
を塗布して導電層を形成する方法で製造された電磁波遮
蔽シートDは、印刷時に導電性塗料の滲みがみられ、外
観が劣るという問題があった。
【0008】本発明の目的は、上述した接地の問題等が
生じない電磁波遮蔽シートの製造方法およびその方法に
より得られた電磁波遮蔽シートを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に適用される本発明にの電磁波遮蔽シートの製造方法
は、基材、樹脂層、導電パターン部、導電ベタ層部を有
する電磁波遮蔽シートの製造方法であって、基材上の樹
脂層に凹部を賦形する工程A、樹脂層の表面の所定領域
に剥離層を形成する工程B、所定領域の剥離層上および
所定領域以外の樹脂層上に導電層を形成する工程C、前
記所定領域の剥離層の上に熱可塑性樹脂層を介して剥離
用シートを設ける工程D、剥離用シートを引き剥がすこ
とにより、凹部以外の樹脂層平面に積層された剥離層、
導電層および熱可塑性樹脂層を除去し、凹部内に導電層
を有した導電パターン部および所定領域以外の領域に導
電ベタ層を有した導電ベタ層部を形成する工程E、を有
することに特徴を有する。
【0010】この発明によれば、熱可塑性樹脂層および
剥離用シートを利用することにより、樹脂層の表面の所
定領域に形成された剥離層を容易に除去することがで
き、その結果、凹部内のみに導電層が設けられた導電パ
ターン部と、その所定領域以外の領域に設けられた導電
ベタ層部とを有する電磁波遮蔽シートを容易に製造する
ことができる。さらに、本発明によれば、樹脂層平面に
形成された剥離層を除去することにより、凹部内のみに
導電層を形成することができ、極めて寸法精度のよい電
磁波遮蔽パターンを形成することができる。
【0011】本発明の電磁波遮蔽シートの製造方法にお
いて、前記工程Cは、所定領域の剥離層上および所定領
域以外の樹脂層上に導電性塗料を塗布し、その後乾燥し
て導電層を形成する工程C1、または、所定領域の剥離
層上および所定領域以外の樹脂層上に無電解めっき用触
媒塗料を塗布し、その後乾燥して無電解めっき用触媒層
を形成し、その後無電解めっきして導電層を形成する工
程C2、であることに特徴を有する。
【0012】さらに、本発明の電磁波遮蔽シートの製造
方法において、前記工程Dは、所定領域に熱可塑性樹脂
層を形成し、その熱可塑性樹脂層と剥離用シートを接着
する工程D1、または、所定領域に、熱可塑性樹脂層が
形成された剥離用シートを接着する工程D2、であるこ
とに特徴を有する。
【0013】以上、本発明の電磁波遮蔽シートの製造方
法によれば、導電ベタ層部を効率的な手段で形成でき、
その導電ベタ層は容易に接地可能であるので、製造コス
トの問題および製品設計の煩雑さの問題を解決できる。
さらに、この電磁波遮蔽シートの製造方法によれば、凹
部を設計寸法通りに形成して細径化、透視性の向上、外
観の向上、電磁波遮蔽シート全体の薄肉化等を達成する
ことができるので、希望した透視性や電磁波シールド特
性を有する電磁波遮蔽シートを設計通りに製造すること
ができる。さらに、従来の製造方法に比べても、製造が
容易で生産性が高く、従来の繊維メッシュのような熱ラ
ミネートに基づく歪みの問題や、導電層の線幅の太りや
滲みの問題も生じなく、凹部内のみに導電層を形成する
ことができるという格別の効果もある。
【0014】上記目的を達成するために適用される本発
明の電磁波遮蔽シートは、基材、樹脂層、導電パターン
部、導電ベタ層部を有するものであって、樹脂層の凹部
に導電層が設けられた導電パターン部、および、樹脂層
の平面および凹部に導電層が設けられた導電ベタ層部、
を有することに特徴を有する。なお、本発明の電磁波遮
蔽シートにおいては、前記導電層が、導電性塗料で形成
された層または無電解めっきで形成された層であること
が好ましい。
【0015】この発明によれば、樹脂層の平面および凹
部に導電層が設けられた導電ベタ層部を有するので、そ
の導電ベタ層部を容易に接地させることができる。さら
に、樹脂層の凹部のみに導電層が設けられるので、従来
の繊維メッシュのような熱ラミネートに基づく問題がな
く、しかも、導電層の線幅の太りや滲みの問題も生じな
い。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の電磁波遮蔽シート
の製造方法について図面を参照しつつ説明し、さらに、
その製造方法によって得られた電磁波遮蔽シートについ
て説明する。
【0017】電磁波遮蔽シート101は、図1に示すよ
うに、工程A、工程B、工程C1、工程D1(D1’、
D1”)、工程Eを順番に経ることによって製造され
る。また、図2に示すように、工程A、工程B、工程C
1、工程D2、工程Eを順番に経ることによっても製造
される。また、図3に示すように、工程C1に代えて工
程C2(C2’、C2”)によっても製造される。これ
らの方法によって製造された電磁波遮蔽シート101
は、基材1、樹脂層2、導電パターン部4A、導電ベタ
層部4Bを有するものであり、樹脂層2の凹部3のみに
導電層4が設けられた導電パターン部4A、および、樹
脂層2の平面5および凹部3に導電層4が一様に設けら
れた導電ベタ層部4B、を有する形態となる。以下、工
程ごと説明する。
【0018】(工程A)工程Aは、基材1上に設けられ
た樹脂層2に凹部3を賦形する工程である。この工程A
において、樹脂層2に所定の電磁波遮蔽パターンからな
る凹部3が形成される。
【0019】先ず、基材1について説明する。
【0020】基材1は、透明性を有するものであり、熱
可塑性樹脂または熱硬化性樹脂等からなる材料で形成さ
れる。基材1の材質としては、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリナフタレンテレフタレート、アクリル樹脂、
ポリカーボネート、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニ
ル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリステ
レン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロー
ス、ポリウレンタン、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテ
ル系樹脂、ポリメチルペンテン、ポリアクリルニトリル
系樹脂等が挙げられ、これらの材質からなる透明または
半透明のフィルム、シートまたは板が本発明における基
材1として適用される。基材1の厚さは、電磁波遮蔽シ
ート101が使用される用途や要求される透視性に基づ
いて任意に設定される。例えば、その用途に応じ、50
μm〜10mm程度の範囲のものが適用される。
【0021】基材1の表面には、後述する樹脂層2との
接着性を向上させるために、必要に応じてコロナ処理、
オゾン吹き付け処理またはプラズマ処理等の易接着処理
を施することができる。また、基材1の表面に、アンカ
ー層を形成して後述する樹脂層2との接着性を向上させ
ることもできる。アンカー層は樹脂材料で形成され、基
材1と樹脂層2の両方に接着性のよいものが用いられ
る。そうした樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタ
ン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。アンカ
ー層は、そうした樹脂を含む塗料を、ロールコート、ス
プレーコート、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクス
クリーン印刷等の塗工法または印刷法で形成して設けら
れる。
【0022】次に、樹脂層2について説明する。
【0023】樹脂層2は、上述の基材1上に設けられる
ものであって、透明性(透明または半透明)があり、後
述の手段により電磁波遮蔽パターンからなる凹部3が形
成されるものである。そうした樹脂層2は、電離放射線
硬化性樹脂により形成されることが好ましい。基材1上
に塗工された電離放射線硬化性樹脂は、紫外線や電子線
等の電離放射線を照射することによって速やかに硬化す
る。そのため、電離放射線硬化性樹脂が硬化する前に、
賦形部材によりその電離放射線硬化性樹脂の表面に凹部
3が賦形される。そして、その賦形状態を維持しつつ電
離放射線を照射することにより、所望寸法および形状の
凹部3を有する樹脂層2が形成される。
【0024】そうした電離放射線硬化性樹脂としては、
ラジカル重合性のビニル基を有する単官能もしくは多官
能アクリレート樹脂のモノマー、オリゴマー又はプレポ
リマーが挙げられる。例えば、分子中に(メタ)アクリ
ロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等の重合性不
飽和結合、または、エポキシ基等のカチオン重合性官能
基を有するプレポリマー、モノマー又はポリマーを、1
種のみ又は2種以上適宜混合した組成物を挙げることが
できる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせ
によるポリエン/チオール系のプレポリマーからなる組
成物も用いることができる。組成物は、未硬化時に液状
のものが用いられる。
【0025】前記分子中に重合性不飽和結合を有するプ
レポリマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価ア
ルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエス
テル(メタ)アタリレート、ウレタン(メタ)アタリレ
ート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メ
タ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等
の(メタ)アクリレート類がある(なお、本明細書で
は、(メタ)アクリレートとは、アタリレート又はメタ
クリレートの意味で用いる。以下同様)。また、前記分
子中に重合性不飽和結合を有するモノマーの例として
は、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノ
マー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシエ
チル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル等の単官能
(メタ)アクリル酸エステル類、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
ート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アタリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
ト等の多官能(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)
アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、
(メタ)アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)
エチル、(メタ)アクリル酸−2−(N,N−ジベンジ
ルアミノ)エチル等の不飽和酸の置換アミノアルコール
エステル類、(メタ)アクリルアミド等の不飽和カルボ
ン酸アミド等がある。
【0026】また、分子中にカチオン重合性官能基を有
するプレポリマーとしては、ビスフェノール型エポキシ
樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹
脂等、脂肪環型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、脂肪族
系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル、ウレタン
系ビニルエーテル、エステル系ビニルエーテル等のビニ
ルエーテル系樹脂、環状エーテル系樹脂、スピロ系化合
物等のプレポリマー等がある。
【0027】また、ポリエン/チオール系のプレポリマ
ーとしては、分子中に2個以上のメルカプト基を有する
ポリチオール化合物、例えば、トリメチロールプロパン
トリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチ
オプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリ
コール等がある。一方、ポリエンとしては、ジオールと
ジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルア
ルコールを付加したもの等がある。
【0028】電離放射線硬化性樹脂は、以上の化合物を
必要に応じ1種又は2種以上混合して用いられるが、樹
脂組成物に通常の塗エ適性を付与するために、前記プレ
ポリマー又はオリゴマーを5質量%以上、前記モノマー
及び/又はポリチオールを95質量%以下とすることが
好ましい。
【0029】また、硬化物の可撓性、表面硬度、剥離性
等の物性を調節するために、前記電離放射線硬化性樹脂
に対して、以下のような電離放射線非硬化性樹脂を1〜
70質量%程度混合して用いることができる。電離放射
線非硬化性樹脂としては、ウレタン系樹脂、セルロース
系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ブチラ
ール樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑
性樹脂を用いることができる。また、剥離性を向上させ
る為に、シリコーン樹脂、ワックス等の滑剤を添加する
ことができる。
【0030】特に紫外線で硬化させる場合には、前記電
離放射線硬化性樹脂組成物に光重合開始剤を添加する。
分子中にラジカル重合性不飽和結合を有する化合物に対
しては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラ
ーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステ
ル、テトラメチルメウラムモノサルファイド、チオキサ
ントン類等がある。
【0031】分子中にカチオン重合性官能基を有する化
合物に対しては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホ
ニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、
ベンゾインスルホン酸エステル、ジアリルヨードシル塩
等がある。又、必要に応じて更に、光増感剤としてn−
ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホ
スフィン等を混合して用いることもできる。
【0032】なお、ここで電離放射線としては、電磁波
又は荷電粒子線のうち分子を重合、架橋し得るエネルギ
ーを有するものを意味し、紫外線、可視光線、X線、電
子線、α線等があるが、通常紫外線又は電子線が用いら
れる。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、
低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライトラン
プ、メタルハライドランプ等の光源が使用される。電子
線源としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラ
フト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は、直線
型、ダイナミトロン型もしくは高周波型等の各種電子線
加速器を用い、100〜1000keV、好ましくは、
100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射す
るものが使用される。
【0033】電離放射線硬化性樹脂の塗布方法として
は、グラビアリバース、ロールコート、カーテンフロー
コート、Tダイコート、キスコート等の方法が適用され
る。これらのうち、溶剤希釈した塗料を用いた場合に
は、グラビアリバース、リバースロールコート、カーテ
ンフローコート、ロールコートが好ましく、無溶剤タイ
プの塗料を用いた場合には、Tダイコートが好ましい。
特に成形版胴に塗工する場合は、インキパン中の液状組
成物に、回転する成形版胴を浸漬させる(いわゆるドブ
浸け)も可能である。こうした塗布方法により、厚さ5
〜50μmの樹脂層2が形成される。
【0034】次に、基材1上の樹脂層2に凹部3を賦形
する手段について説明する。
【0035】第1の賦形手段としては、基材上に塗工さ
れた硬化前の電離放射線硬化性樹脂表面に、所定パター
ンの凹凸を有する賦形部材を圧着し、その後その圧着状
態を維持しつつ、電離放射線を照射して電離放射線硬化
性樹脂を硬化させ、その後その賦形部材を取り外すこと
により、樹脂層2に凹部3を賦形する。
【0036】第2の賦形手段としては、所定パターンで
形成された凹凸版からなる賦形部材上に直接電離放射線
硬化性樹脂を塗工し、その上に基材1を積層した後、電
離放射線を照射して電離放射線硬化性樹脂を硬化させる
ことにより、樹脂層2に凹部3を賦形する。
【0037】賦形部材としては、図4や図5に示すよう
なシリンダー7が好ましく使用される。なお、樹脂層2
に凹部3を形成することが可能であれば、シリンダー7
以外の賦形部材や上記以外の賦形部材を適用しても構わ
ないが、電離放射線硬化性樹脂を用いた上述の賦形手段
は、電離放射線により所望の賦形形態を保持させた状態
で速やかに硬化させることができるので、透視性に優
れ、寸法精度に優れた所望形状の凹部3を樹脂層2に形
成することができる点で優れている。
【0038】ここで、図4は、シリンダー面9に電離放
射線硬化性樹脂の塗工表面を圧着した態様を示す説明図
である。また、図5は、シリンダー面9に形成された連
続凸状パターン8の一例を示す断面図である。この工程
Aにおいては、金属製のシリンダー7が好ましく使用さ
れる。シリンダー7は、大面積にすることができるの
で、大面積の電磁波遮蔽シートを容易に製造することが
できる。シリンダー7上には、後述する図8に示した電
磁波遮蔽パターンを樹脂層2に賦形できるように、所定
の連続凸状パターン8が形成されている。なお、シリン
ダー7上の賦形パターン8は、化学エッチング、レーザ
ー露光エッチング、切削、ミル押し、研磨、Crめっき
等により形成される。樹脂層2に凹部3を賦形する際に
は、シリンダー7を30〜80℃程度に加熱して圧着す
ることが好ましく、硬化させる前の電離放射線硬化性樹
脂に容易に電磁波遮蔽パターンを賦形することができ
る。
【0039】こうした賦形手段により形成される凹部3
は、上述した樹脂層2の片面、より具体的には基材側で
ない側の樹脂層2の表面に所定の電磁波遮蔽パターンで
形成される。なお、形成する凹部3のパターン形状、凹
部3の線幅および凹部3の深さは、電磁波シールド性
能、透視性、用途等によって種々変化させることがで
き、さらに、凹部3の線幅や深さは、均一であっても均
一でなくてもよく、その用途や仕様により任意に変化さ
せることができる。特に、本発明においては、上述の賦
形手段により凹部3を形成するので、凹部3の線幅を5
0〜100μmの微細な幅で形成することができ、ま
た、凹部3の深さも5〜50μmの深さで形成すること
ができる。この凹部3と、凹部以外の平面5との差(凹
部3の深さ)は、後述する剥離層6の厚さ、導電層4の
厚さ、得られた電磁波遮蔽シート101の凹み深さ(樹
脂層平面と凹部内の最上部との差:深さ)等を総合的に
勘案して設定される。
【0040】(工程B)工程Bは、樹脂層2の表面の所
定領域Rに剥離層6を形成する工程である。この工程B
において、剥離層6は、所定領域Rの樹脂層2の凹部3
および所定領域R内の凹部以外の平面5に一様に形成さ
れる。その所定領域Rは、製造された電磁波遮蔽シート
101において優れた透視性が要求される領域であっ
て、その形状および大きさは、適用される製品に応じて
任意に設計される。本発明においては、所定領域以外の
領域Qには、剥離層6を形成しない。
【0041】剥離層6は、剥離層用の塗料をグラビアリ
バース、リバースロールコート、ロールコート、キスコ
ート、ダイコート等の塗工法により、または、グラビア
印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷等の印刷法
により、形成される。剥離層用の塗料としては、上述し
た樹脂層2に対して剥離性を有するアクリル樹脂、ポリ
エステル樹脂等、一般的な剥離層に使用される樹脂を含
有するものが使用される。剥離層6は、樹脂層2の凹部
3およびその凹部以外の平面5に一様に形成され、その
厚さは、1〜10μmであることが好ましい。
【0042】塗料を構成する樹脂と溶剤との比は、樹
脂:溶剤が2:1〜1:5であることが好ましい。溶剤
の相対的な割合が大きい程、凹部内に形成された剥離層
6はその凹部3に沿った形状で窪んだ形態で形成され
る。一方、溶剤の相対的な割合が小さい場合は、凹部内
に形成された剥離層6はあまり窪まず、その凹部3を埋
めるような形態で形成される。従って、凹部内に形成さ
れた剥離層6の凹み14の程度は、剥離層用の塗料中の
樹脂成分と溶剤との比で調整することができる。例え
ば、樹脂成分と溶剤との比を2:1〜1:5の範囲内と
することにより、凹部内に形成された剥離層6の凹み1
4の程度は、凹み深さの1/3〜5/6となり、樹脂成
分と溶剤との比を10:1〜2:1の範囲内とすること
により、凹部内に形成された剥離層6の凹み14の程度
は、僅かに凹む程度となる。
【0043】凹部3に形成された剥離層6と、凹部以外
の平面5に形成された剥離層6との差(凹み14の深
さ)は、5〜40μmであることが好ましい。この凹み
14の深さは、工程Cで形成される導電層4の厚さ、工
程Dで任意に形成される熱可塑性樹脂層32の厚さ、得
られた電磁波遮蔽シート101の凹み14深さ等を総合
的に勘案して設定される。こうして形成された剥離層6
は、樹脂層2からは比較的剥がれやすく、導電層4と良
好に接着するので、後述する工程Eにおいて容易に引き
剥がすことが可能となる。
【0044】(工程C1、C2)工程Cは、所定領域R
の剥離層上および所定領域以外の樹脂層上に導電層4を
形成する工程である。この工程Cは、二つの工程を含ん
でいる。一つは、所定領域Rの剥離層6の上(全面)お
よび所定領域以外の領域Qの樹脂層2の上(全面)に導
電性塗料11’を塗布し、その後乾燥して導電層4を形
成する工程C1であり、他の一つは、所定領域Rの剥離
層6上および所定領域以外の領域Qの樹脂層2上に無電
解めっき用触媒塗料11”を塗布し、その後乾燥して無
電解めっき用触媒層12を形成し、その後無電解めっき
して導電層4を形成する工程C2である。
【0045】この工程C(工程C1、C2)において、
導電性塗料11’または無電解めっき用触媒塗料11”
は、剥離層6が形成された所定領域Rの凹部内および凹
部以外の平面上に、さらには、剥離層6が形成されてい
ない所定領域以外の領域Qの凹部内および凹部以外の平
面上に、一様に塗布される。
【0046】導電性塗料11’または無電解めっき用触
媒塗料11”は、グラビアリバース、ロールコート、キ
スコート、ダイコート等の塗工法により、または、グラ
ビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷等の印
刷法により、所定領域Rの剥離層6の全面および所定領
域以外の領域Qの樹脂層2の全面に塗布される。
【0047】導電性塗料11’は、導電性塗料11’中
の溶剤含量によっても異なるが、形成される導電層4の
厚さが1〜10μmとなるように、通常、1〜20μm
の厚さで塗布される。また、無電解めっき用触媒塗料1
1”についても、無電解めっき用触媒塗料11”中の溶
剤含量によっても異なるが、形成される無電解めっき用
触媒層12の厚さが1〜3μmとなるように、通常、1
〜5μmの厚さで塗布される。
【0048】導電性塗料11’は、バインダー樹脂に金
属粒子等の導電性粒子を分散させた塗料である。バイン
ダー樹脂としては、2液硬化型ウレタン樹脂等のウレタ
ン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、
塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポ
リエステル樹脂等の一種または二種以上からなる樹脂、
または、紫外線や電子線で硬化させる電離放射線硬化性
樹脂等が使用される。また、導電性粒子としては、金、
銀、銅、白金、アルミニウム、鉄、ニッケル等の金属粒
子や、カーボンブラック、黒鉛等の非金属粒子が使用さ
れる。導電性粒子の形状は特に限定されないが、球、楕
円、鱗片形、針状の導電性粒子を好ましく使用でき、特
に鱗片形および針状の導電性粒子は導電性をより向上さ
せることができる。また、導電性粒子には、インジウ
ム、スズ、亜鉛、アンチモン等の金属または酸化インジ
ウム、酸化スズ、酸化亜鉛等の金属酸化物をドープする
こともできる。そうした導電性粒子の平均粒径は、0.
1〜10μmであることが好ましい。なお、導電性塗料
11’には、必要に応じてその他の添加剤、例えば、硬
化剤、レベリング剤等を添加することができる。また、
溶剤乾燥型の塗料とする場合には、イソプロピルアルコ
ール等の溶剤を使用できる。導電性塗料11’は、形成
された導電層4の体積抵抗率が10-3〜10-6Ωcm、
好ましくは10 -4〜10-5Ωcmとなるように、バイン
ダー樹脂と導電性粒子との含有比が調整される。例え
ば、導電性粒子をバインダー樹脂中に50〜80重量%
含有する導電性塗料11’が適用される。
【0049】一方、無電解めっき用触媒塗料11”は、
バインダー樹脂と無電解めっき用触媒を含む塗料であ
り、塗布後に無電解めっき用触媒層12を形成し、その
上に無電解めっきによる導電層4の形成を可能にさせる
ものである。なお、ここでいう無電解めっき用触媒と
は、無電解めっきを選択的に析出・成長させることがで
きる核のことであり、本発明においては、貴金属コロイ
ド粒子のことである。バインダー樹脂としては、2液硬
化型ウレタン樹脂等のウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ア
クリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂等の一種
または二種以上からなる樹脂が使用される。貴金属コロ
イド粒子としては、パラジウム、金、銀、白金等の微粒
子が用いられる。特に、パラジウムの微粒子が好ましく
用いられる。貴金属コロイド粒子の大きさは、およそ
0.01〜0.1μmであることが好ましい。こうした
貴金属コロイド粒子は、バインダー樹脂中に10〜30
0重量%含有させることが好ましい。こうした無電解め
っき用触媒塗料11”には、バインダー樹脂および貴金
属コロイドの種類および性質に応じて、有機溶剤系、水
系、エマルジョン系の各種の溶剤が任意に選択して用い
られる。さらに、無電解めっき用触媒塗料11”には、
必要に応じて、体質顔料、界面活性剤、着色剤等の添加
剤を含有させることができる。
【0050】以上のように、剥離層6の表面に、導電性
塗料11’または無電解めっき用触媒塗料11”が塗布
される。その後、それらの塗料11’、11”の成分に
応じた処理、例えば、乾燥処理または電離放射線処理等
をし、厚さ1〜10μmの導電層4または厚さ1〜3μ
mの無電解めっき用触媒層12が形成される。この場合
において、塗料11’、11”の成分に応じた処理は通
常の条件で行われ、例えば、乾燥処理にあっては40〜
130℃の熱処理を施し、電離放射線処理にあっては紫
外線や電子線を照射して、導電層4または無電解めっき
用触媒層12を形成する。
【0051】なお、剥離層6の表面に導電性塗料11’
または無電解めっき用触媒塗料11”が塗布された後、
乾燥処理または電離放射線処理等される前に、必要に応
じてワイピングを行うことも可能である。ワイピング
は、比較的高価な塗料11’、11”の節約に有利であ
る。ワイピングは、凹部内に塗料を残し、凹部以外に塗
布された塗料を拭き取ることであり、例えば、ドクター
を使用して凹部以外の塗料を除去することができる。ド
クターについては、鉄又は鋼をセラミックで被覆したも
の、ポリテトラフルオロエチレンからなるもの、シリコ
ンゴムからなるもの等が適宜選択して使用される。
【0052】形成された導電層4および無電解めっき用
触媒層12においては、塗料11’、11”中の溶剤の
相対的な割合が大きい程、各塗料から形成された凹部内
の層(ここでは、導電層4と無電解めっき用触媒層12
をいう。)は、その凹部3に沿った形状で窪んだ形態で
形成される。一方、溶剤の相対的な割合が小さい場合
は、各塗料から形成された凹部内の層はあまり窪まず、
その凹部3が埋まるような形態で形成される。従って、
凹部内に形成された層の凹み14の程度は、各塗料1
1’、11”中のバインダー樹脂成分と溶剤との比で調
整することができる。例えば、樹脂成分と溶剤との比を
2:1〜1:5の範囲内とすることにより、凹部内に形
成された層の凹み14の程度は、凹部3の深さの1/3
〜5/6程度となり、樹脂成分と溶剤との比を10:1
〜2:1の範囲内とすることにより、凹部内に形成され
た層の凹み14の程度は、僅かに凹む程度となる。
【0053】次に、形成された導電層4および無電解め
っき用触媒層12の凹み深さについて説明する。
【0054】本発明において、凹部3に形成された導電
層4と、凹部以外の平面5に形成された導電層4との差
(凹みの深さ)は、5〜30μmであることが好まし
い。導電層4を形成した後の凹み深さは、工程Dで任意
に形成される熱可塑性樹脂層32の厚さおよび得られる
電磁波遮蔽シート101の凹み深さを総合的に勘案して
設定される。凹部以外の平面に形成された導電層4は、
剥離層6および後述する熱可塑性樹脂層32と良好に接
着するので、後述する工程Eにおいて容易に引き剥がさ
れる。
【0055】一方、凹部3に形成された無電解めっき用
触媒層12と、凹部以外の平面5に形成された無電解め
っき用触媒層12との差(凹み深さ)は、10〜30μ
mであることが好ましい。無電解めっき用触媒層12の
上には、後述する導電層4が無電解めっきにより形成さ
れるので、上記の凹みの深さは、形成される導電層4の
厚さ、工程Dで任意に形成される熱可塑性樹脂層32の
厚さ、および得られた電磁波遮蔽シート101の凹み深
さを総合的に勘案して設定される。
【0056】次に、無電解めっきについて説明する。
【0057】図3は、工程C2のフロー図である。この
工程C2は、所定領域Rの剥離層6上および所定領域以
外の領域Qの樹脂層2上に無電解めっき用触媒塗料1
1”を塗布し、その後乾燥して無電解めっき用触媒層1
2を形成する工程C2’と、その後無電解めっきして導
電層4を形成する工程C2”とからなっている。なお、
工程C2’は、既に上述したとおりである。
【0058】工程C2”は、無電解めっき用触媒層12
上に無電解めっきする工程である。無電解めっきを行う
溶液としては、銅、鉄、ニッケル、クロム、銀、金、白
金、コバルト等の無電解めっき液を使用することができ
る。無電解めっきは、各々の無電解めっき液固有のめっ
き条件に設定することによって、金属または合金を析出
させ、導電層4を形成することができる。形成された導
電層4の材質としては、銅、鉄、ニッケル、クロム、
銀、金、白金、コバルト等、またはそれら金属と還元剤
成分であるリン、ボロン等との合金等が挙げられる。ま
た、2種類以上の無電解めっきを行って、2以上の無電
解めっき層を積層させた導電層4としてもよく、例え
ば、導電性に優れた無電解銅めっきをした後に黒色の無
電解ニッケルめっきを施した導電層4とすることも可能
である。電解めっきにより形成された導電層4の厚さ
は、1〜5μmであることが好ましい。
【0059】形成された導電層4は、高い導電性を有す
る点で優れており、例えば、10-3〜10-6Ωcmの体
積抵抗率からなる導電層4を形成することができる。な
お、鉄、銅、銀等の錆び易いものからなる導電層4に関
しては、最表面に錆びにくいめっき層を形成したり、導
電層上に酸化膜を形成して防錆処理してもよい。
【0060】本発明において、凹部3に形成された導電
層4と、凹部以外の平面5に形成された導電層4との差
(凹みの深さ)は、その後において、後述の工程D1と
工程D2の何れかが適用されるかによって任意に設定さ
れる。例えば、後述の工程D1が適用される場合には、
その凹み部分にさらに熱可塑性樹脂層32が形成される
ので、熱可塑性樹脂層32の厚さを加味して設定され
る。具体的な凹み深さとしては、5〜20μmとするこ
とが好ましい。一方、後述の工程D2が適用される場合
には、その上に熱可塑性樹脂層32が形成されないこと
を加味して設定される。具体的な凹み深さとしては、5
〜20μmとすることが好ましい。これらの凹みの深さ
は、無電解めっきの析出時間等の条件を変更することに
よって任意に調整することができ、凹部3の深さ、剥離
層6の厚さ、導電層4の厚さ(無電解めっき用触媒層1
2の厚さ)、得られた電磁波遮蔽シート101の凹み深
さにより調節される。
【0061】(工程D)工程Dは、所定領域Rに、熱可
塑性樹脂層32を介して剥離用シート31(以下、シー
ト31という。)を設ける工程である。この工程Dに
は、工程D1と工程D2の二つの工程がある。
【0062】工程D1:工程D1は、図1に示すよう
に、所定領域Rに熱可塑性樹脂層32を形成し、その熱
可塑性樹脂層とシート31を接着する工程である。
【0063】熱可塑性樹脂層32を形成する樹脂として
は、アクリル樹脂、ポリエステル、塩化ビニル樹脂、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン
等が挙げられる。これらの樹脂の中から、シート31と
熱可塑性樹脂層32との接着力、熱可塑性樹脂層32
と導電層4との接着力、導電層4と剥離層6との接着
力、剥離層6と樹脂層2との接着力、を考慮して最
適なものが選択される。その選択の基準としては、>
(、)>の関係を条件とした。無電解めっき用触
媒層12を形成した場合においては、シート31と熱可
塑性樹脂層32との接着力、熱可塑性樹脂層32と導
電層4との接着力、導電層4と無電解めっき用触媒層
12との接着力、無電解めっき用触媒層12と剥離層
6との接着力、剥離層6と樹脂層2との接着力、を
考慮して最適なものが選択される。その選択の基準とし
ては、>(、、)>の関係を条件とした。
【0064】熱可塑性樹脂層32を形成する樹脂塗料
は、グラビアリバース、ロールコート、キスコート、ダ
イコート等の塗工法により、所定領域R(剥離層6が形
成されている範囲)に塗布される。そして、その後の乾
燥により熱可塑性樹脂層32が形成される。熱可塑性樹
脂層32の厚さは、後述する工程Eにより、凹部以外の
樹脂層平面から剥離層等が剥離し易い厚さに調節され、
通常、1〜10μm程度に形成される。
【0065】この工程において、熱可塑性樹脂層用の塗
料中の溶剤の相対的な割合が大きい程、その塗料から形
成された凹部内の熱可塑性樹脂層32は、その凹部3に
沿った形状で窪んだ形態で形成される。一方、溶剤の相
対的な割合が小さい場合は、その塗料から形成された凹
部内の熱可塑性樹脂層32はあまり窪まない。従って、
凹部内に形成された熱可塑性樹脂層32の凹み14の程
度は、塗料中のバインダー樹脂成分と溶剤との比で調整
することができる。例えば、樹脂成分と溶剤との比を
2:1〜1:5の範囲内とすることにより、凹部内に形
成された熱可塑性樹脂層32の凹み14の程度は、凹み
深さの1/3〜5/6程度となり、樹脂成分と溶剤との
比を10:1〜2:1の範囲内とすることにより、凹部
内に形成された熱可塑性樹脂層32の凹み14の程度
は、僅かに凹む程度となる。
【0066】こうして形成された熱可塑性樹脂層とシー
ト31を接着する。接着は、加熱処理および加圧処理に
より行われ、それらの条件は、熱可塑性樹脂およびシー
ト31を構成する樹脂の種類に応じて選定されるが、通
常、80〜200℃の範囲で処理される。加圧力も、そ
れらの樹脂の種類に応じて選定されるが、通常、0.1
〜4MPaの範囲で処理される。
【0067】熱可塑性樹脂層32とシート31を接着す
る際においては、そのシート31が凹部の熱可塑性樹脂
層32に接着しない程度に、凹部内の熱可塑性樹脂層3
2が凹部以外の熱可塑性樹脂層32の平面5から下方に
凹んだ態様で形成されていることが好ましい。こうした
態様で熱可塑性樹脂層32が形成されることにより、シ
ート31が凹部3の熱可塑性樹脂層32に接着すること
がないので、シート31が引き剥がされる際に、凹部内
に設けられた各層(具体的には熱可塑性樹脂層32およ
び導電層4)が除去されることがない。従って、シート
31を熱可塑性樹脂層32に接着する際において、予
め、凹部以外の熱可塑性樹脂層32の平面5から下方へ
の凹み14深さが5〜20μmであることが好ましい。
【0068】シート31の材質としては、経済性や耐熱
性を考慮して各種のシート用の樹脂材料の中から任意に
選択して用いられる。例えば、安価なポリプロピレン
や、耐熱性のあるポリエチレンテレフタレートが好まし
く挙げられる。熱可塑性樹脂層32との密着性を向上さ
せるために、必要に応じてコロナ処理、オゾン吹き付け
処理またはプラズマ処理等の易接着処理を施することが
できる。また、シート31の表面に、アンカー層を形成
して熱可塑性樹脂層32との接着性を向上させることも
できる。アンカー層は樹脂材料で形成され、シート31
と熱可塑性樹脂層32の両方に接着性のよいものを選択
して用いる。そうした樹脂としては、例えば、2液硬化
型ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。アンカ
ー層は、そうした樹脂を含む塗料を、ロールコート、ス
プレーコート、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクス
クリーン印刷等の塗工法または印刷法で形成して設けら
れる。なお、シート31の厚さは、5〜25μm程度が
好ましい。
【0069】工程D2:工程D2は、図2に示すよう
に、所定領域Rに、熱可塑性樹脂層32が形成されたシ
ート31を接着する工程である。
【0070】熱可塑性樹脂層32が形成されたシート3
1は、その熱可塑性樹脂層32と、凹部以外の樹脂層2
の上方に形成された導電層4とを貼り合わせるようにし
て接着される。接着は、加熱処理(いわゆるヒートシー
ルのこと。)および加圧処理により行われる。加熱温度
は、熱可塑性樹脂の種類および導電層4を構成するバイ
ンダー樹脂の種類に応じて主に選定されるが、上述の加
熱条件および加圧条件と同じである。
【0071】熱可塑性樹脂層32を有するシート31を
接着する際においては、その熱可塑性樹脂層32が凹部
内の導電層4に接着しない程度に、凹部内の導電層4が
平面5から下方に凹んだ態様で形成されていることが好
ましい。こうした態様で導電層4が形成されていること
により、熱可塑性樹脂層32は導電層4に接着しない。
その結果、後述の工程Eでシート31が引き剥がされる
際に、凹部内の導電層4が除去されることがない。従っ
て、熱可塑性樹脂層32を有するシート31を凹部以外
の導電層4のみに接着するために、凹部3に形成れてい
る導電層4は、平面5から下方に5〜20μm程度の深
さで凹んでいることが好ましい。
【0072】この工程で適用される熱可塑性樹脂は、上
述のものと同じものを用いることができ、上述のような
各層間の接着力を考慮して選定される。シート31上へ
の熱可塑性樹脂の塗工手段としては、グラビアリバー
ス、ロールコート、キスコート、ダイコート等の塗工
法、または、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスク
リーン印刷等の印刷法、が挙げられる。そして、その後
の乾燥により熱可塑性樹脂層32が形成される。なお、
熱可塑性樹脂層32の厚さは、1〜10μm程度が好ま
しい。
【0073】(工程E)工程Eは、剥離用シート31を
引き剥がすことにより、凹部以外の樹脂層2の平面5に
積層された剥離層6、導電層4(無電解めっきにより形
成される場合にあっては、無電解めっき用触媒層12お
よび導電層4。以下同じ。)および熱可塑性樹脂層32
を除去し、所定領域Rの凹部内に導電層4を有した導電
パターン部4Aを形成し、所定領域以外の領域Qに導電
ベタ層を有した導電ベタ層部4Bを形成する工程であ
る。この工程Eにおいて、樹脂層2の平面5に積層され
た剥離層6、導電層4および熱可塑性樹脂層32が除去
されるので、凹部内のみに導電層4を形成することがで
きる。
【0074】こうして所定領域Rに形成された導電層4
は、樹脂層表面の凹部内のみ形成されるので、透視性に
優れ、その導電層4の作用により、被遮蔽面を電磁波シ
ールドすることができる。また、所定領域以外の領域Q
に形成された導電層4は、凹部3および平面5に一様に
形成されているので、その部分から極めて容易にアース
をとることができる。
【0075】(その他の工程)本発明の電磁波遮蔽シー
トの製造方法においては、さらに、図7に示すように、
粘着剤層15または接着剤層を積層する工程を加えるこ
とができる。粘着剤層15または接着剤層の形成工程を
経て製造された電磁波遮蔽シート101’は、粘着剤層
15または接着剤層を介して被遮蔽面に容易に粘着また
は接着できる。
【0076】粘着剤層15または接着剤層を形成するた
めの樹脂は、溶剤系でも水系でもどちらでもよく特に限
定されない。具体的には、粘着剤層15を形成する樹脂
としては、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリブチレ
ン、SBR、ブチルゴム、クロロプレンゴム等が挙げら
れ、接着剤層を形成する樹脂としては、アクリル樹脂、
ポリエステル、ウレタン樹脂、酢酸ビニル、スチレン等
が挙げられる。これらの樹脂は、従来公知の手段、例え
ば、グラビアリバース、ロールコート、キスコート、ダ
イコート等の塗工法、または、グラビア印刷、フレキソ
印刷、シルクスクリーン印刷等の印刷法により、電磁波
遮蔽シートの導電層形成側の全面に塗布される。そし
て、その後の乾燥により粘着剤層15または接着剤層が
形成される。なお、粘着剤層15または接着剤層の厚さ
は、1〜10μm程度が好ましい。
【0077】本発明の電磁波遮蔽シートは、上述したよ
うに、導電層等が設けられた凹部3をやや凹んだ形態と
することができるので、その上にさらに粘着剤層15ま
たは接着剤層を形成した後の表面を、やや凹んだ形態の
溝14とすることもできる(図7を参照。)。そうした
溝14は、エア抜き用の溝として作用し、粘着剤層15
または接着剤層側の面を被遮蔽面に張り合わせた際にお
けるエアの混入を防ぐことができる。この場合における
溝14の深さは5〜20μm程度が好ましい。溝14の
深さが20μmを超えると、外観上凹み14が目立つた
め好ましくなく、溝14の深さが5μm未満では、エア
抜きとして十分ではなくエア残りを発生しやすい。
【0078】(電磁波遮蔽シート)図6は、上述した工
程を経て製造された本発明の電磁波遮蔽シート101の
一例を示す断面図である。本発明の電磁波遮蔽シート
は、基材1上に、電磁波遮蔽パターンからなる凹部3が
賦形されている樹脂層2が設けられ、その樹脂層2の凹
部3に導電層4が設けられた導電パターン部4A、およ
び、その樹脂層2の平面5および凹部3に導電層4が設
けられた導電ベタ層部4B、が形成されている。図7
は、さらに粘着剤層15が形成された電磁波遮蔽シート
101’の一例を示す断面図である。
【0079】本発明の電磁波遮蔽シートの開口率は、6
0〜90%の範囲であることが好ましい。開口率をこの
範囲とすることにより、得られた電磁波遮蔽シート10
1を、透視性が要求される用途、例えば電磁波を発生す
る各種電気機器のLCD、PDP、CRT等の表示装置
の表示面、または、施設や家屋の透明ガラス面や透明パ
ネル面に好適に適用することができる。開口率が60%
未満では、透明性が損なわれ、開口率が90%を超える
と、シールド性能が不十分になることがある。なお、開
口率とは、導電層4が設けられる凹部3以外の開口部
が、全面積に占める面積割合のことである。
【0080】凹部3の平面パターンは特に限定されない
が、図8の(A)〜(E)に示す正方格子(A)、六角
格子(B)、三角格子(C)、ストライプ格子(D)、
煉瓦積み模様(E)の平面パターンを例示することがで
きる。これらの各図において、黒い部分は、凹部3に導
電層4が形成されている部分であり、白い部分は、凹部
3が形成されていない部分である。凹部3の平面パター
ンについても、領域全体を同じパターンで形成しても、
領域毎に異なるパターンで形成してもよく、その用途や
仕様により任意に変化させることができる。なお、図8
の(A)〜(E)に示す平面パターンのうち、ストライ
プ格子(D)は、他のパターンよりも電磁波遮蔽効果が
弱いので実用上はあまり使用されてはいない。
【0081】なお、凹部内には、上述した導電層4およ
び剥離層6が必ず設けられているが、それら以外の層で
あって独自の作用効果を奏するものが設けられていても
構わない。
【0082】
【実施例】以下に、実施例および比較例により、本発明
を更に具体的に説明する。
【0083】(実施例1)基材1として厚さ100μm
の透明なポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを使
用し、その片面にアクリレートモノマーおよびアクリレ
ートオリゴマーからなるUV硬化性樹脂を溶剤乾燥後の
厚さが20μmとなるようリバースロールコートにより
塗工した。その塗工面を、微細な凹凸パターンが形成さ
れたシリンダー面に圧着し、その状態で300mJ/c
2 のUV光を照射した。UV光の照射により硬化した
樹脂層2を基材1と共に剥離して凹部3が形成された賦
形フィルムを得た。なお、シリンダー表面に形成した微
細なパターンは、銅メッキされたシリンダー表面に設け
られたレジスト層をレーザー露光後、エッチングするこ
とにより形成した。このとき、凸部幅が20μm、凸部
間隔が300μm、凸高さが20μmとなるように形成
した。
【0084】シリンダー表面に形成した微細なパターン
をそのまま保持した寸法で賦形された樹脂層2の表面の
所定領域R(ディスプレイ表示部:縦110mm×横7
0mm)に、黒に着色したアクリル樹脂系の剥離層用塗
料を約1g/m3 となるように部分的にグラビア印刷
し、厚さ約1μmの剥離層6を形成した。次いで、所定
領域Rの剥離層6の全面および所定領域以外の領域Qの
樹脂層2の全面に導電性塗料11’を塗布した後、乾燥
等して厚さ約7μmの導電層4を形成した。
【0085】次に、こうして得られた電磁波遮蔽シート
中間製造物(以下「中間製造物イ」という。)の導電層
側表面の上記所定領域Rに、黒に着色したポリエステル
樹脂系の熱可塑性樹脂層用塗料を約2g/m3 となるよ
うに部分的にグラビア印刷し、厚さ約2μmの熱可塑性
樹脂層32を形成した。熱可塑性樹脂層32を形成した
後の凹部3は、熱可塑性樹脂層32の平面部分から約1
0μm凹んだ態様を示していた。
【0086】その後、予めコロナ処理した厚さ12μm
のポリエチレンテレフタレートからなる剥離用のシート
31を、上述の熱可塑性樹脂層側から重ね、温度:16
0℃、圧力:5kg/cm2 、速度:3m/分の条件で
一体化させた後、その剥離用のシート31を剥離した。
こうして実施例1の電磁波遮蔽シート101を製造し
た。
【0087】製造された電磁波遮蔽シート101は、上
記所定領域R(ディスプレイ表示部)においては、凹部
内にのみ導電層4が設けられた導電パターン部4Aが形
成され、上記所定領域以外の領域Q(ディスプレイ表示
周辺部)においては、凹部内および平面部に導電層4が
形成された導電ベタ層部4Bが形成された。導電ベタ層
部4Bは、容易に接地させること(アースをとること)
ができ、また、導電パターン部4Aは、外観および透視
性が良好であった。また、得られた電磁波遮蔽シート1
01の全光線透過率、電磁波遮蔽度を評価し、その結果
を表1に示した。なお、全光線透過率は、直読ヘイズメ
ーター(東洋精機)により測定し、電磁遮蔽度は、シー
ルドボックス法により測定した。
【0088】(実施例2)実施例1の中間製造物イを用
い、その導電層側表面の上記所定領域Rに、その所定領
域Rと同じ大きさの熱可塑性樹脂層32を有する剥離用
のシート31を接着させた。なお、中間製造物イの凹部
3は、導電層4の平面部分から約12μm凹んだ態様を
示していた。
【0089】この剥離層用のシート31は、予めコロナ
処理した厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートか
らなるシート31上に、上記所定領域Rと同じ大きさ
で、黒に着色したポリエステル樹脂系の熱可塑性樹脂層
用塗料を約2g/m3 となるようにグラビア印刷し、厚
さ約2μmの熱可塑性樹脂層32が形成されたものであ
る。
【0090】中間製造物イと剥離用のシート31は、温
度:160℃、圧力:5kg/cm 2 、速度:3m/分
の条件で両者を重ね合わせて一体化させた。その後、そ
の剥離用のシート31を剥離した。こうして実施例2の
電磁波遮蔽シート101を製造した。
【0091】製造された電磁波遮蔽シート101は、上
記所定領域R(ディスプレイ表示部)においては、凹部
内にのみ導電層4が設けられた導電パターン部4Aが形
成され、上記所定領域以外の領域Q(ディスプレイ表示
周辺部)においては、凹部内および平面部に導電層4が
形成された導電ベタ層部4Bが形成された。導電ベタ層
部4Bは、容易に接地させること(アースをとること)
ができ、また、導電パターン部4Aは、外観および透視
性が良好であった。また、得られた電磁波遮蔽シート1
01の全光線透過率、電磁波遮蔽度を評価し、その結果
を表1に示した。
【0092】(実施例3)基材1として厚さ100μm
の透明なポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを使
用し、その片面にアクリレートモノマーおよびアクリレ
ートオリゴマーからなるUV硬化性樹脂を溶剤乾燥後の
厚さが20μmとなるようリバースロールコートにより
塗工した。その塗工面を、微細な凹凸パターンが形成さ
れたシリンダー面に圧着し、その状態で300mJ/c
2 のUV光を照射した。UV光の照射により硬化した
樹脂層2を基材1と共に剥離して凹部3が形成された賦
形フィルムを得た。なお、シリンダー表面に形成した微
細なパターンは、銅メッキされたシリンダー表面に設け
られたレジスト層をレーザー露光後、エッチングするこ
とにより形成した。このとき、凸部幅が20μm、凸部
間隔が300μm、凸高さが20μmとなるように形成
した。
【0093】シリンダー表面に形成した微細なパターン
をそのまま保持した寸法で賦形された樹脂層2の表面の
所定領域R(ディスプレイ表示部:縦110mm×横7
0mm)に、黒に着色したアクリル樹脂系の剥離層用塗
料を約3g/m3 となるように部分的にグラビア印刷
し、厚さ約3μmの剥離層6を形成した。次いで、所定
領域Rの剥離層6の全面および所定領域以外の領域Qの
樹脂層2の全面に無電解めっき用触媒塗料11”を塗布
した後、乾燥等して厚さ約2μmの触媒層12を形成し
た。なお、触媒塗料11”は、パラジウムコロイド粒子
が紫外線硬化型樹脂中に分散した塗料を用いた。
【0094】次いで、銅を析出させることができる無電
解めっき液を用い、40℃の条件で厚さ3μmの無電解
めっきを行い、上記の触媒層上に導電層4を形成した。
【0095】次に、こうして得られた電磁波遮蔽シート
中間製造物(以下「中間製造物ロ」という。)の導電層
側表面の上記所定領域Rに、黒に着色したポリエステル
樹脂系の熱可塑性樹脂層用塗料を約2g/m3 となるよ
うに部分的にグラビア印刷し、厚さ約2μmの熱可塑性
樹脂層32を形成した。熱可塑性樹脂層32を形成した
後の凹部3は、熱可塑性樹脂層32の平面部分から約1
0μm凹んだ態様を示していた。
【0096】その後、予めコロナ処理した厚さ12μm
のポリエチレンテレフタレートからなる剥離用のシート
31を、上述の熱可塑性樹脂層側から重ね、温度:16
0℃、圧力:5kg/cm2 、速度:3m/分の条件で
一体化させた後、その剥離用のシート31を剥離した。
こうして実施例3の電磁波遮蔽シート101を製造し
た。
【0097】製造された電磁波遮蔽シート101は、上
記所定領域R(ディスプレイ表示部)においては、凹部
内にのみ導電層4が設けられた導電パターン部4Aが形
成され、上記所定領域以外の領域Q(ディスプレイ表示
周辺部)においては、凹部内および平面部に導電層4が
形成された導電ベタ層部4Bが形成された。導電ベタ層
部4Bは、容易に接地させること(アースをとること)
ができ、また、導電パターン部4Aは、外観および透視
性が良好であった。また、得られた電磁波遮蔽シート1
01の全光線透過率、電磁波遮蔽度を評価し、その結果
を表1に示した。
【0098】(実施例4)実施例3の中間製造物ロを用
い、その導電層側表面の上記所定領域Rに、その所定領
域Rと同じ大きさの熱可塑性樹脂層32を有する剥離用
のシート31を接着させた。なお、中間製造物ロの凹部
3は、導電層4の平面部分から約14μm凹んだ態様を
示していた。
【0099】この剥離層用のシート31は、予めコロナ
処理した厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートか
らなるシート31上に、上記所定領域Rと同じ大きさ
で、黒に着色したポリエステル樹脂系の熱可塑性樹脂層
用塗料を約2g/m3 となるようにグラビア印刷し、厚
さ約2μmの熱可塑性樹脂層32が形成されたものであ
る。
【0100】中間製造物ロと剥離用のシート31は、温
度:160℃、圧力:5kg/cm 2 、速度:3m/分
の条件で両者を重ね合わせて一体化させた。その後、そ
の剥離用のシート31を剥離した。こうして実施例2の
電磁波遮蔽シート101を製造した。
【0101】製造された電磁波遮蔽シート101は、上
記所定領域R(ディスプレイ表示部)においては、凹部
内にのみ導電層4が設けられた導電パターン部4Aが形
成され、上記所定領域以外の領域Q(ディスプレイ表示
周辺部)においては、凹部内および平面部に導電層4が
形成された導電ベタ層部4Bが形成された。導電ベタ層
部4Bは、容易に接地させること(アースをとること)
ができ、また、導電パターン部4Aは、外観および透視
性が良好であった。また、得られた電磁波遮蔽シート1
01の全光線透過率、電磁波遮蔽度を評価し、その結果
を表1に示した。
【0102】
【表1】
【0103】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電磁波遮
蔽シートの製造方法によれば、導電ベタ層部を効率的な
手段で形成でき、その導電ベタ層は容易に接地可能であ
るので、製造コストの問題および製品設計の煩雑さの問
題を解決できる。さらに、この電磁波遮蔽シートの製造
方法によれば、凹部を設計寸法通りに形成して細径化、
透視性の向上、外観の向上、電磁波遮蔽シート全体の薄
肉化等を達成することができるので、希望した透視性や
電磁波シールド特性を有する電磁波遮蔽シートを設計通
りに製造することができる。さらに、従来の製造方法に
比べても、製造が容易で生産性が高く、従来の繊維メッ
シュのような熱ラミネートに基づく歪みの問題や、導電
層の線幅の太りや滲みの問題も生じなく、凹部内のみに
導電層を形成することができるという格別の効果もあ
る。
【0104】製造された本発明の電磁波遮蔽シートは、
透視性が要求される用途に対して好適に用いられるもの
であり、例えば、電磁波シールドが必要な公共施設、ホ
ール、病院、学校、企業ビル、住宅等のガラス面または
樹脂パネル面、または、電磁波を発生する機器の表示部
等に好ましく使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁波遮蔽シートの製造方法の一例を
示す工程フロー図である。
【図2】本発明の電磁波遮蔽シートの製造方法の他の一
例を示す工程フロー図である。
【図3】工程C2の一例を示すフロー図である。
【図4】シリンダー面に電離放射線硬化性樹脂層を圧着
した態様を示す説明図である。
【図5】シリンダー面に形成された連続凸状パターンの
一例を示す断面図である。
【図6】本発明の電磁波遮蔽シートの一例を示す断面図
である。
【図7】本発明の電磁波遮蔽シートの他の一例を示す断
面図である。
【図8】本発明の電磁波遮蔽シートに形成された凹部の
平面パターンの各例を示す概略図である。
【符号の説明】
101、101’ 電磁波遮蔽シート 1 基材 2 樹脂層 3 凹部 4 導電層 4A 導電パターン部 4B 導電ベタ層 5 平面 6 剥離層 7 シリンダー 8 連続凸状パターン 9 シリンダー面 10 ガイドローラ 11’ 導電性塗料 11” 無電解めっき用触媒塗料 12 触媒層 14 凹み、溝 15 粘着剤層 21 ドクター 22 導電性塗料 31 シート 32 熱可塑性樹脂層 R 所定領域 Q 所定領域以外の領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) E04B 1/92 E04B 1/92 H01B 13/00 503 H01B 13/00 503D // H01B 5/14 5/14 B B29L 7:00 B29L 7:00 9:00 9:00 Fターム(参考) 2E001 DH01 FA03 GA06 GA17 HB02 HB04 HB05 HD13 HD14 4F100 AK01B AK25 AK42 AT00A BA05 BA07 BA10A BA10E CC00D CC00E DD01B DD06B DD09B EH112 EH462 EH712 EJ542 EJ852 EJ862 EJ912 GB90 JG01D JG01E JK06C 4F204 AA21 AA24 AE03 AG01 AG03 AG05 EA03 EB02 EF01 EF05 EF23 EK18 5E321 AA43 AA44 AA46 BB23 BB32 BB41 CC16 GG05 GH01 5G323 CA05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材、樹脂層、導電パターン部、導電ベ
    タ層部を有する電磁波遮蔽シートの製造方法であって、 基材上の樹脂層に凹部を賦形する工程A、 樹脂層の表面の所定領域に剥離層を形成する工程B、 所定領域の剥離層上および所定領域以外の樹脂層上に導
    電層を形成する工程C、 前記所定領域に熱可塑性樹脂層を介して剥離用シートを
    設ける工程D、 剥離用シートを引き剥がすことにより、凹部以外の樹脂
    層平面に積層された剥離層、導電層および熱可塑性樹脂
    層を除去し、凹部内に導電層を有した導電パターン部お
    よび所定領域以外の領域に導電ベタ層を有した導電ベタ
    層部を形成する工程E、を有することを特徴とする電磁
    波遮蔽シート。
  2. 【請求項2】 前記工程Cは、所定領域の剥離層上およ
    び所定領域以外の樹脂層上に導電性塗料を塗布し、その
    後乾燥して導電層を形成する工程C1、または、所定領
    域の剥離層上および所定領域以外の樹脂層上に無電解め
    っき用触媒塗料を塗布し、その後乾燥して無電解めっき
    用触媒層を形成し、その後無電解めっきして導電層を形
    成する工程C2、であることを特徴とする請求項1に記
    載の電磁波遮蔽シートの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記工程Dは、所定領域に熱可塑性樹脂
    層を形成し、その熱可塑性樹脂層と剥離用シートを接着
    する工程D1、または、所定領域に、熱可塑性樹脂層が
    形成された剥離用シートを接着する工程D2、であるこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電磁波
    遮蔽シートの製造方法。
  4. 【請求項4】 基材、樹脂層、導電パターン部、導電ベ
    タ層部を有する電磁波遮蔽シートであって、 樹脂層の凹部に導電層が設けられた導電パターン部、お
    よび、樹脂層の平面および凹部に導電層が設けられた導
    電ベタ層部、を有することを特徴とする電磁波遮蔽シー
    ト。
  5. 【請求項5】 前記導電層が、導電性塗料で形成された
    層または無電解めっきで形成された層であることを特徴
    とする請求項4に記載の電磁波遮蔽シート。
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