JP2002076473A - 磁気抵抗効果素子、その製造方法及び製造装置並びに磁気再生装置 - Google Patents

磁気抵抗効果素子、その製造方法及び製造装置並びに磁気再生装置

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JP2002076473A JP2000269099A JP2000269099A JP2002076473A JP 2002076473 A JP2002076473 A JP 2002076473A JP 2000269099 A JP2000269099 A JP 2000269099A JP 2000269099 A JP2000269099 A JP 2000269099A JP 2002076473 A JP2002076473 A JP 2002076473A
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家 ひろみ 福
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Hitoshi Iwasaki
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    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y25/00Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
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    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices
    • H01F10/324Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer
    • H01F10/3254Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer the spacer being semiconducting or insulating, e.g. for spin tunnel junction [STJ]

Abstract

(57)【要約】 【課題】 バイアスポイントの設計が容易で、高感度且
つ高信頼性を有する磁気抵抗効果素子、磁気ヘッド、磁
気ヘッドアセンブリ及び磁気記録装置を提供することを
目的とする。 【解決手段】 スピンバルブ膜中に酸化物、または窒化
物の磁気抵抗効果向上層をもつ磁気抵抗効果素子におい
て、磁気抵抗効果向上層の形成方法として、希ガスイオ
ンのプラズマを照射準備が完全に整い、照射するのとほ
ぼ同時に酸素ガスを酸化室に導入することによって、低
酸素量しか暴露しないときでの制御性を良くするととも
に、希ガスイオンまたは希ガスプラズマによるエネルギ
アシスト効果のある、高エネルギ酸化が実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気抵抗効果素
子、その製造方法及び製造装置並びに磁気再生装置に関
し、より詳細には、本発明は、電子を鏡面反射する磁気
抵抗効果向上層としての酸化物層または窒化物層を有す
るスピンバルブ膜を用いた磁気抵抗効果素子、その製造
方法及び製造装置並びに磁気再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ハードディスク磁気記録装置(Hard Dis
k Drive:HDD)の高密度化を実現するために、磁気
抵抗効果を用いた巨大磁気抵抗効果型(Giant MagnetoR
esistace effect:GMR)ヘッドの開発が進められて
いる。更なる高密度化のためには、より高感度のSV−
GMR(Spin-Valve Giant Magnetoresistive)ヘッド
が必要であり、磁気抵抗変化率(以下、「MR変化率」
と称する)のさらなる向上が重要である。
【0003】本発明者らは、MR変化率の向上のために
スペキュラー(鏡面反射)効果を利用し、かつ実用的な
スピンバルブ膜構造となる、NOL−SPSV(Nano O
xideLayer Specular Spin-Valve)膜を提案した(Kamig
uchi et al. "CoFe SPECULAR SPIN VALVES WITH A NANO
OXIDE LAYER".Digests of Intermag'99, DB-01, 199
9)。「NOL」(Nano Oxide Layer)と呼ばれる極薄
の酸化層をフリー(磁化自由)層もしくはピン(磁化固
着)層中に挿入し、その界面で伝導電子を反射させるこ
とによって、スピンバルブ膜を擬似的な人工格子膜のよ
うにして、MR変化率を向上させることができる。本発
明者らは、この構造によって、スピンバルブ膜のMR変
化率を飛躍的に向上させることに成功した。
【0004】しかしながら、ピン層中にNOLを挿入し
て、高いスペキュラー率を維持しつつ、NOLを介した
上下ピン層の磁気的に十分な強さのカップリングを保つ
ことは非常に困難である。
【0005】例えば、酸素ガスをフローさせてNOLを
形成する場合、高スペキュラー率を得るためにNOLを
形成する酸化工程において酸素暴露量を多くすると、N
OLを介した磁気的なカップリングは弱くなっていくの
に対して、スペキュラー率はあまり向上しないという問
題がある。
【0006】逆に、弱い酸素暴露量で酸化すると、NO
Lを介した上下ピン層の磁気的なカップリングは強くな
るが、高いスペキュラー率が得られなくなり、MR変化
率があまり向上しないという問題があった。
【0007】また、単純な酸素フローによる方法では、
酸素フローだけをコントロールすれば良いので低酸素量
から高酸素量まで制御性が良いというメリットはある
が、酸化プロセスにおいてエネルギを全く与えていない
ため、形成できるNOLの物性の制御範囲が狭く、プロ
セス上の制御範囲も非常に狭いものであった。
【0008】一方、安定した酸化物による高スペキュラ
ー率、酸素拡散の影響を小さいNOLを形成するため
に、上述したような単純な酸素フローによる酸化ではな
く、高エネルギプロセスを用いるという考え方もある。
【0009】例えば、酸素をプラズマ化して、イオンビ
ームとして酸化したい膜表面に照射するという方法があ
る(Ion Beam Oxidation:IBO)。この手法は、高エ
ネルギプロセスという点では有効だが、酸素プラズマを
着火(発生)するまでのあいだ、サンプル表面が浮遊酸
素に晒されてしまうため、単純酸素ガスによる酸化膜が
形成されてしまい、初期成長NOLの部分では自然酸化
膜と同様な層ができてしまうという問題があった。低エ
ネルギ、低反応性で生成された初期NOL層は、MR変
化率の指標となるΔGsを低下させてしまう。
【0010】これは、プラズマ酸化やラディカル酸化の
場合でも同様であり、プラズマエネルギによる高エネル
ギ酸化は可能なものの、初期成長NOLの部分におい
て、どうしても浮遊酸素による自然酸化膜の影響がでて
しまうという問題があった。
【0011】以上、説明したように、自然酸化法の場合
には、酸素フロー量の低酸素量から高酸素量まで酸素暴
露量の制御性は比較的優れているものの、酸化時にエネ
ルギが付与されないため高スペキュラー率が得られな
い。これに対して、IBO、ラディカル酸化やプラズマ
酸化では、高エネルギ酸化という点では有利なものの、
酸素量のコントロールが十分ではなく、低酸素量がコン
トロールできないばかりか、初期成長NOLとして自然
酸化膜が形成されてしまうという問題点があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、高スペキ
ュラー率を得るということと、NOL中の酸素を熱的に
安定にするために、エネルギ供給のない自然酸化では安
定した酸化物を得ることが非常に困難であるとの結論に
至った。しかしながら、従来の高エネルギプロセス手法
では低酸素量がコントロール困難であり、かつ初期成長
NOLが必ず自然酸化膜となってしまう。
【0013】本発明は、かかる課題の認識に基づいてな
されたものである。すなわち、その目的は、エネルギ供
給等による高反応性の利点を維持しつつ、初期成長によ
る自然酸化膜の発生を防ぐことができる方法により形成
した磁気抵抗効果素子、その製造方法及び製造装置並び
に磁気再生装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の磁気抵抗効果素子は、2つの強磁性層と、
これらの強磁性層の間に設けられた非磁性層と、を有す
る磁気抵抗効果素子であって、酸化物または窒化物を主
成分とする層をさらに有し、前記酸化物または窒化物を
主成分とする層は、それと接する層と比較して、アルゴ
ン、キセノン、ヘリウム、クリプトン、ネオンのうちの
少なくともいずれかの希ガスを相対的に多く含有するこ
とをことを特徴とする。
【0015】ここで、前記酸化物または窒化物を主成分
とする層に含有される前記希ガスの原子組成は、前記酸
化物または窒化物を主成分とする層に接する前記層に含
有される前記希ガスの原子組成の2倍よりも大きいこと
を特徴とする。
【0016】また、前記酸化物または窒化物を主成分と
する層は、酸素とも窒素とも結合していない、Co、F
e、Niのいずれかの磁性遷移金属元素を含有すること
を特徴とする。
【0017】また、前記酸化物または窒化物を主成分と
する層の膜厚は、1nm以上3nm以下であることを特
徴とする。
【0018】また、前記酸化物または窒化物を主成分と
する層は、Fe,Co,Ni,Mn,Cr,V,Ti,
Zr,Mo,Hf,Ta,W,Alのいずれかの酸化物
または窒化物を主成分とすることを特徴とする。
【0019】また、前記2つの強磁性層のいずれか一方
は、磁化の方向が実質的に一方向に固着された磁化固着
層であり、前記2つの強磁性層のいずれか他方は、磁化
の方向が外部磁界に応じて変化する磁化フリー層であ
り、前記磁気抵抗効果素子の抵抗は、前記磁化固着層の
前記磁化の方向と前記磁化フリー層の前記磁化の方向と
の相対角度によって変化することを特徴とする。
【0020】但し、磁気抵抗効果素子としては、実施形
態において詳細に説明するスピンバルブ型の磁気抵抗効
果素子のほか、強磁性層が磁気結合した人工格子型の巨
大磁気抵抗効果素子や、非磁性層として非磁性絶縁層を
用いたトンネル時期抵抗効果素子などについても、本発
明は同様に適用して同様の効果を得ることができる。
【0021】一方、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方
法は、2つの強磁性層と、これらの強磁性層の間に設け
られた非磁性層と、を有する磁気抵抗効果素子の製造方
法であって、酸素及び窒素の少なくともいずれかを含有
する雰囲気において母材の表面に希ガスのイオンまたは
プラズマを照射することにより、前記母材の表面を酸化
または窒化させて、酸化物または窒化物を主成分とする
層を形成する工程を備えたことを特徴とする。
【0022】ここで、前記酸化物または窒化物を主成分
とする層を形成する工程は、前記希ガスのイオンまたは
プラズマを生成する工程と、前記希ガスのイオンまたは
プラズマを前記母材の表面に照射し、これとほぼ同時に
前記雰囲気に酸素及び窒素の少なくともいずれかを導入
する工程と、前記希ガスのイオンまたはプラズマの前記
母材への照射を停止し、これとほぼ同時に前記雰囲気へ
の前記酸素及び窒素の少なくともいずれかの導入を停止
する工程と、を含むことを特徴とする。
【0023】また、前記酸化物または窒化物を主成分と
する層を形成する工程は、イオン源に前記希ガスを導入
して前記希ガスのイオンまたはプラズマを生成する工程
と、前記希ガスのイオンまたはプラズマを前記母材の表
面に照射し、これとほぼ同時に前記イオン源に酸素及び
窒素の少なくともいずれかを導入する工程と、前記希ガ
スのイオンまたはプラズマの前記母材への照射を停止
し、これとほぼ同時に前記イオン源への前記酸素及び窒
素の少なくともいずれかの導入を停止する工程と、を含
むことを特徴とする。
【0024】または、本発明の磁気抵抗効果素子の製造
方法は、2つの強磁性層と、これらの強磁性層の間に設
けられた非磁性層と、を有する磁気抵抗効果素子の製造
方法であって、母材の表面を酸化または窒化させて、酸
化物または窒化物を主成分とする層を形成する工程を備
え、前記酸化物または窒化物を主成分とする層を形成す
る工程は、希ガスのプラズマを生成する工程と、前記希
ガスのプラズマを生成する工程の後に、前記希ガスのプ
ラズマを生成した雰囲気中に酸素及び窒素のいずれかを
導入する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0025】ラディカル酸化において、初期ラディカル
プラズマを生成する時に、最初から酸素ラディカルを生
成しようとすると、ラディカル状態でない単純な酸素ガ
スがチャンバーに漏れ入り、ダーティーな自然酸化膜が
形成されてしまう。これに対して、上記の構成によれ
ば、ラディカルプラズマを生成する時に、最初は希ガス
だけでプラズマを生成しておき、プラズマが安定したと
ころで酸素ガスを導入し(例えばラディカル源に酸素を
導入する)、酸素ガスの導入と同時に酸化が始まるよう
にする。従来のラディカル酸化では、こういう発想は全
くなかった。
【0026】ここで、前記希ガスのプラズマの生成が十
分に安定したことを確認した後に、酸素及び窒素のいず
れかを導入することが望ましい。
【0027】また、前記母材は、Fe,Co,Ni,M
n,Cr,V,Ti,Zr,Mo,Hf,Ta,W,A
lの少なくともいずれかを含むことを特徴とする。
【0028】また、前記酸素は600ラングミュア以下
であることを特徴とする。
【0029】また、前記希ガスのイオンを照射する時間
が5秒以上60秒以下であることを特徴とする。
【0030】また、前記母材の表面に希ガスのイオンを
照射するタイミングと、前記母材の表面を酸素及び窒素
の少なくともいずれかに晒すタイミングとの時間差は1
5秒以内であることを特徴とする。
【0031】また、前記母材の表面へのイオンの照射
は、イオンビームの照射によって行うことを特徴とす
る。
【0032】さらに、前記イオンビームの加速エネルギ
は50eV以上150eV以下であることを特徴とす
る。
【0033】また、前記希ガスのイオンをRF励起のプ
ラズマにより生成することを特徴とするで行うことを特
徴とする。
【0034】さらに、前述したいずれの製造方法におい
ても、前記2つの強磁性層のいずれか一方は、磁化の方
向が実質的に一方向に固着された磁化固着層であり、前
記2つの強磁性層のいずれか他方は、磁化の方向が外部
磁界に応じて変化する磁化フリー層であり、前記磁気抵
抗効果素子の抵抗は、前記磁化固着層の前記磁化の方向
と前記磁化フリー層の前記磁化の方向との相対角度によ
って変化することを特徴とする。
【0035】但し、磁気抵抗効果素子としては、実施形
態において詳細に説明するスピンバルブ型の磁気抵抗効
果素子のほか、強磁性層が磁気結合した人工格子型の巨
大磁気抵抗効果素子や、非磁性層として非磁性絶縁層を
用いたトンネル時期抵抗効果素子などについても、本発
明は同様に適用して同様の効果を得ることができる。
【0036】一方、本発明の磁気抵抗効果素子の製造装
置は、2つの強磁性層と、これらの強磁性層の間に設け
られた非磁性層と、を有する磁気抵抗効果素子の製造装
置であって、酸化室内に載置した母材の表面に希ガスの
イオンを照射し、これとほぼ同時に前記母材の前記表面
を1000ラングミュア以下の酸素及び窒素の少なくと
もいずれかに晒すことにより、前記母材の表面を酸化ま
たは窒化させて、酸化物または窒化物を主成分とする酸
化物または窒化物を主成分とする層を形成可能としたこ
とを特徴とする。
【0037】ここで、前記2つの強磁性層のいずれか一
方は、磁化の方向が実質的に一方向に固着された磁化固
着層であり、前記2つの強磁性層のいずれか他方は、磁
化の方向が外部磁界に応じて変化する磁化フリー層であ
り、前記磁気抵抗効果素子の抵抗は、前記磁化固着層の
前記磁化の方向と前記磁化フリー層の前記磁化の方向と
の相対角度によって変化することを特徴とする。
【0038】但し、磁気抵抗効果素子としては、実施形
態において詳細に説明するスピンバルブ型の磁気抵抗効
果素子のほか、強磁性層が磁気結合した人工格子型の巨
大磁気抵抗効果素子や、非磁性層として非磁性絶縁層を
用いたトンネル時期抵抗効果素子などについても、本発
明は同様に適用して同様の効果を得ることができる。
【0039】ここで、前記希ガスのイオンは、アルゴ
ン、Xe、He、Kr、Neの少なくともいずれか希ガ
スのプラズマ化が可能なプラズマ源により生成すること
を特徴とする。
【0040】また、前記イオンの加速エネルギが50e
V以上150eV以下であることを特徴とする。
【0041】また、前記酸素及び窒素の少なくともいず
れかは1000ラングミュア以下であることを特徴とす
る。
【0042】また、前記希ガスのイオンを生成するため
のイオン源のポジティブグリッドの加速電圧用にグリッ
ドに流れる電流がグリッドの単位平方インチ面積あた
り、0.1mA/inch〜1mA/inchの制御が可能
であることを特徴とする。
【0043】また、前記磁気抵抗効果向上層は酸化室で
形成され、前記酸化室は、前記母材を表面に有するウェ
ーハを搬送する手段を有する搬送真空室と真空用バルブ
を介して接続され、その搬送真空室は、金属スパッタ成
膜用真空室とも真空用バルブを介して接続されているこ
とを特徴とする。
【0044】一方、本発明の磁気再生装置は、前述した
いずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子を備え、磁気記
録媒体に記録された磁気的情報を再生可能としたことを
特徴とする。
【0045】
【発明の実施の形態】本発明者は、エネルギの付与と酸
素供給とを独立に行うような製造法にすることによっ
て、初期NOLからエネルギ供給のある安定した酸化物
が得られるとの結論に至った。つまり、従来の高エネル
ギプロセスでは酸素をプラズマ状態にしてから酸化室へ
供給していたのに対し、本発明ではそのことが必ずしも
重要ではなく、エネルギと酸素とを独立に供給すること
が最も望ましい手法であるという結論に至った。
【0046】つまり、高エネルギのイオンのアシストが
ない状態や、ラディカル状態になっていないすなわち高
反応性でない状態の、単純な分子酸素ガスに対しては、
酸化したい膜表面が晒されないようにすることが重要で
あることがわかった。
【0047】そして、具体的には、例えばイオンビーム
によるエネルギ供給を考える場合には、イオンビームは
基本的にはアルゴン、Xe、Ne、またはHeなどの酸
素を含まない希ガスのイオンビームを用い、イオンビー
ム照射の準備が整いイオンビームを母材の表面に照射す
るときに初めて酸素ガスを酸化室に導入するというシー
ケンスにすることによって、初期NOLから自然酸化膜
のない高エネルギ酸化膜が得られることを見出した。
【0048】酸化室への酸素の供給方法は、イオン源と
は全く関係なく、酸化室に直接導入しても良いし、また
希ガスイオンビームと同様のイオン源に供給することも
できる。
【0049】このように、高エネルギプロセスとして希
ガスイオンによるアシスト効果を利用し、反応させたい
酸素や窒素ガスとは別に、イオンを供給する本発明の酸
化方法をIAOと命名した(Ion Assisted Oxidatio
n)。
【0050】本発明の基本的な考え方は、反応させたい
酸素や窒素については、特にイオン化する必要がないた
め、酸素や窒素ガスの供給ラインは酸化室に通常の分子
ガスとして供給する、というものである。
【0051】しかし、本発明によるイオンやプラズマに
よるエネルギを与える前に酸素や、窒素が酸化室に導入
されないような本発明による新しいIAOによるプロセ
スシーケンスを用いれば、従来IBO装置のイオンガン
に酸素や窒素を供給しても実施することができる。ま
た、通常のプラズマ酸化では酸素プラズマ酸化プロセス
シーケンスのみが変わることになる。このIAOによる
プロセスシーケンスの考え方は、従来のプラズマ酸化や
ラディカル酸化を用いた手法にも適用することが可能と
なる。例えば、通常のプラズマ酸化では酸素のプラズマ
を照射するという考え方だが、本発明ではアルゴンやX
eなどの希ガスのプラズマを照射するところに酸素や窒
素ガスは分子状態で与えればよいので、低酸素、低窒素
量の制御が可能となる。
【0052】また、本発明の手法をラディカル酸化に適
用する場合は、ラディカル源でプラズマを生成する段階
では酸素ガスは導入せず希ガスのみを導入して、希ガス
プラズマが安定した後に、酸素ガスをラディカル源に導
入して酸化工程を開始する。従来のラディカル酸化法で
は、初期のプラズマを生成する段階からラディカル源に
酸素ガスを導入していたため、高反応性を有しない、ラ
ディカル状態でない単純酸素分子ガスが膜表面に達し、
低反応性過程によってダーティーな自然酸化膜が形成さ
れてしまう。これに対して本発明によれば、酸素ガスを
ラディカル源に導入するタイミングを最適化することよ
り、ダーティーな自然酸化膜の生成を防ぐことができ
る。
【0053】以下、本発明の実施の形態について具体例
を参照しつつ詳細に説明する。
【0054】(第1の実施例)まず、本発明の第1の実
施例として、スピンバルブ構造の磁気抵抗効果素子に、
IAO酸化を用いた低酸素量の酸化によるNOLを付与
する具体例について説明する。
【0055】本実施例においては、以下のような積層構
成を有するNOL−SPSV(NOL−鏡面反射スピン
バルブ)膜を形成した。ここで、各層のかっこ内の数字
は、層厚(ナノメータ)を表す。
【0056】 Ta(2nm) キャップ層 TaO 反射層 Cu(1nm) 高導電層 CoFeNi(2nm)フリー層 Cu(2.2nm) 非磁性中間層 CoFe(2nm) ピン層 NOL NOL CoFe(1nm) ピン層 PtMn(10nm) 反強磁性層 NiFeCr(5nm)下地膜 Ta(3nm) 下地膜 基板 基板 基板としては、実際のヘッドにおいてはシールド膜の上
にアモルファスアルミナがコートされた「アルチック基
板」を用いるが、膜特性を評価する場合には、熱酸化シ
リコン基板を用いた。両者の間で膜の特性が変わらない
ことは確認している。本実施例では熱酸化シリコン基板
を用いた。なお、アモルファスアルミナがコートされた
シリコン基板を用いた場合でも、膜特性は変わらない。
【0057】図1は、本実施例においてNOL−SPS
V膜を形成した成膜システムの構成を表す概略図であ
る。
【0058】すなわち、本成膜システム100は、トラ
ンスファー室102に対して、ロードロック室104の
ほか、プレクリーニング室106、酸化室108、2つ
のメタルデポジション室110及び112がそれぞれ真
空バルブ104V〜112Vを介して接続されている。
そして、以下に説明する各プロセスにおいて各室からト
ランスファー室を介して、ウェーハが搬送されるように
なっている。
【0059】ウェーハは、大気圧にしたロードロック室
104に導入されるが、この時も、それ以外の全ての室
はプロセスガスを導入しない状態の背圧が8×10
torrよりも高真空に保たれている。ロードロック室
はトランスファー室に真空バルブ104Vを介して結合
されている。
【0060】メタルデポジション室110、112は、
スピンバルブ膜を成膜できるように薄膜金属成膜に適し
たものであり、少なくともいずれかのメタルデポジショ
ン室は6元以上の多元方式のもので、DC方式またはR
F方式のPVD(Physical Vapor Deposition)スパッ
タ室でも、IBD(Ion Beam Deposition)スパッタ室
でも構わない。また、図1に例示したように2つのメタ
ルデポジション室を有さず、1つのメタルデポジション
室のみでもスピンバルブ膜の材料数が足りれば構わな
い。本実施例の構成の膜においては、DCマグネトロン
方式の6元PVDが可能なメタルデポジション室11
0、112で金属膜の部分を成膜した。
【0061】ロードロック室104にセットされたウェ
ーハは、まずプレクリーニング室106においてアルゴ
ン(アルゴン)イオンビームによって表面吸着物をクリ
ーニングされる。なお、ここではプレクリーニング室1
06を用いたが、メタルデポジション室110または1
12でPVDの逆スパッタしたり、IBDのアシストガ
ンによってウェーハをクリーニングしても構わない。
【0062】その後、ウェーハは、PVD方式のメタル
デポジション室110または112に搬送され、Ta
層、NiFeCr層、PtMn層、CoFe層がそれぞ
れ成膜される。
【0063】ここで、下地膜のTa/NiFeCrに関
しては、Ti、Zr、Hf、W、Nbおよびその合金材
料やその他のバッファ層になる材料、NiFeCrの代
わりにfcc(face centered cubic)配向を促進する
シード層材料であっても構わない。もし、これらの下地
バッファ層のいずれか1層で十分役割を果たすならば、
2層積層膜ではなく1層構成でも構わない。良好な下地
バッファ効果、シード効果をもたせるためには、これら
下地層の膜厚を合計で3〜8nmとするのが好ましい。
【0064】また、この上に成膜するPtMn層(反強
磁性層)の代わりに、PdPtMn、IrMn、RuR
hMnのようなほかの反強磁性材料を成膜しても構わな
い。膜厚としては、15nm〜7nm程度が好ましく、
この範囲のなかでも反強磁性膜としての特性が得られる
かぎり薄ければ薄いほど好ましい。これは、PtMnは
MR変化率に対してシャント分流の効果をもってしまう
ので、シャント低減のためという意味合いと、シールド
タイプのヘッドとして本発明が使われる場合には、高密
度化に伴い狭ギャップにする必要があるため、スピンバ
ルブ膜のトータル膜厚が薄ければ薄いほど好ましいから
である。
【0065】また、この反強磁性膜の上に成膜されるC
oFe層(ピン層)の代わりに、Co、Ni、Fe、
NiFe、もしくはそれらの材料に添加元素を加えたも
のを用いてもよい。この膜は、この後に成膜されるNO
Lになる母材金属膜の材料と兼用できるときには成膜し
なくとも構わない。この膜の好ましい範囲は、0〜3n
mである。
【0066】また、本実施例においては、単純ピン構造
をとっているが、シンセティックアンチフェリ構造(S
y−AF構造)をとっても構わない。その場合には、P
tMn等の反強磁性膜の上にCo、CoFe、NiF
e、またはそれらの金属に添加元素を加えた磁性材料が
成膜され、その上にRuが約1nm、その上に成膜され
る材料が本実施例でPtMnの上に成膜されたCoFe
1nmと同様な役割を果たす膜となる。よって、Sy−
AF構成の場合であっても、以下に説明することは本質
的には変わらない。
【0067】以上説明した積層金属膜を形成した後、上
記(1)でNOL(Nano Oxide Layer)と明示されてい
る部分となるべき金属膜も金属成膜室で成膜される。こ
こでは、Fe50Co50を約1nm成膜した。ここ
で、酸化膜であれば「NOL」という言葉で適切だが、
本発明は必ずしも酸化膜だけに限定されない。そこで、
本願明細書においては、酸化物だけでなく、窒化物、炭
化物、硼素化物、フッ化物からなる薄膜も含めた一般的
な呼び方として、「NOL」の代わりに「磁気抵抗効果
向上層」なる言葉も併用する。
【0068】すなわち、本願明細書において、「磁気抵
抗効果層」とは、これらの材料を主成分とした薄膜であ
って、磁気抵抗効果素子中に設けられセンス電流として
検出されるべき電流を構成する荷電粒子を反射させる作
用を有するものをいう。
【0069】磁気抵抗効果向上層となるべき母材金属の
材料選定は、良好なスペキュラリティーを得るために非
常に重要である。特に、ピン層側に挿入される磁気抵抗
効果向上層については、磁気的な結合も達成しなければ
ならないため、材料選定はさらに重要である。高スペキ
ュラリティーと大きな磁気的結合を両立するための一つ
の条件として、少なくともCo、Fe、Niの3つのう
ちの1つの磁性金属元素を含むことが磁気抵抗効果向上
層には望ましい。これら3種以外の元素でも、Mn,C
r,Vを含み、それら母材金属の中にB、Ti,Zr,
Mo,Hf,Ta,W,Alを含んでいるものも用いる
ことができる。
【0070】磁気抵抗効果向上層としてNOLを用いる
場合の母材としては、酸化によって形成されるNOLが
高ネール点、高キュリー点をもつ、Fe、FeCo合金
等が望ましい。これらの母材に、Cr、B、C等の添加
元素を加えたものでも構わない。本実施例で用いたFe
50Co50を母材にしたNOLは、後に述べるよう
に、高いスペキュラリティーと高い磁気的カップリング
とを両立できるが、Co 90Fe10では良好な磁気カ
ップリングは得られない。Co90Fe10を用いた場
合には、本プロセスのような高エネルギ酸化ではなく、
酸素をフローするだけの自然酸化をすれば磁気的カップ
リングは得られるが、スペキュラリティーは、本発明に
よるIAOを用い、NOLの母材としてFe50Co
50を用いたものと比較して明らかに小さいので、不十
分である。
【0071】その後、ウェーハは、酸化室に搬送され
る。この室でのNOL形成プロセスが本発明による大き
な特徴となるところである。ここでは本発明によるIA
Oプロセスを行う。
【0072】図2は、IAOプロセスを行う酸化室の構
成を例示する概念図である。すなわち、酸化室108
は、クライオ・ポンプなどの排気ポンプ108Aにより
減圧状態とすることができ、ウェーハを載置するホルダ
108B、シャッター108C、イオン源108Dが設
けられている。また、ウェーハ付近に酸素ガスを供給す
る酸素ガス導入系108Eと、イオン源にガスを導入す
るイオン源ガス導入系108Fと、酸化室にアルゴンガ
スを導入するアルゴン導入系108Gとが設けられてい
る。それぞれの導入系は、マスフローコントローラなど
の流量制御手段108H、108I、108Jを有す
る。
【0073】IAOプロセスを行う酸化室108のひと
つの特徴は、酸素ガス導入系108Eがイオン源108
Dではなく酸化室108のウェーハ周囲に酸素を直接導
入する点にある。また、エネルギ供給源としてイオン源
108Dがあり、加速グリッド、減速グリッド、gra
nd−グリッドを有する。さらに、プラス(+)にチャ
ージされたイオンを中性化するためのニュートラライザ
も有する。イオン源用ガスとして、ここではアルゴン
(アルゴン)ガスを用いる場合を例示したが、希ガスで
あれば、Xe、He、Ne、Kr等のガスを用いても構
わない。
【0074】なお、図2においては、膜表面にイオンビ
ームを垂直(90°)に入射させる機構を例示したが、
酸化膜厚を制御するためにイオンビームを斜めに入射さ
せてもよい。この時に、入射角が傾斜する程、膜厚方向
へのエネルギ供給の代わりに、膜表面近傍だけでのエネ
ルギ照射に近づき、膜表面だけでの酸化膜を形成するこ
とが可能となる。つまり、装置構成としては、イオンビ
ームの入射角度が90°の場合のみでなく、入射角度が
10°程度の低角度までの範囲に対応するものであって
も良い。
【0075】2 図3は、本発明の酸化プロセス及びそ
の前後のプロセスのシーケンスを表すフローチャートで
ある。
【0076】また、図4は、比較例として本発明者が実
施した酸化プロセス及びその前後のプロセスのシーケン
スを表すフローチャートである。
【0077】まず、図4を参照しつつ、比較例の酸化プ
ロセスについて説明する。
【0078】比較例の酸化プロセスにおいては、まず、
ステップS101において、メタルデポジション室にお
いてPVD法やIBD法などにより金属膜を堆積する。
【0079】次に、ステップS102において、ウェー
ハを酸化室に搬送する。
【0080】次に、ステップS103において、酸素を
含むイオンビームをストライクできる状態にする。具体
的には、イオン源ガス供給系108Fを介してイオン源
108Dに、酸素を含有したガスを導入し、イオン源1
08Dの内部でプラズマを発生させて安定化させる。こ
の際に導入するガスは、酸素のみでも良く、または酸素
とアルゴンやキセノンなどとの混合ガスでも良い。
【0081】このステップにおいて、ホルダ108Bに
載置されたウェーハは、シャッター108Cによって覆
われているため、イオン源108Dから放出される酸素
イオンビームはウェーハ表面には照射されない。しか
し、イオン源108Dから漏れ出た酸素ガスは、シャッ
タ108Cの周囲からまわり込んでウェーハに達する。
つまり、シャッタ108Cを閉じた状態でも、ウェーハ
は酸素ガスに晒されることとなる。その結果として、ウ
ェーハの表面には自然酸化膜が形成されてしまう。
【0082】次に、ステップS104においてウェーハ
に酸素イオンビームを照射する。具体的には、イオン源
108Dのイオンビームが所定の条件で安定した状態
で、シャッター108Cを開ける。酸素イオンビームが
照射されることにより、ウェーハの表面が酸化されて酸
化膜が形成される。
【0083】そして、所定の時間イオン照射を実施した
ら、ステップS105において、シャッター108Cを
閉じて酸化膜の形成を停止する。
【0084】次に、ステップS106において、酸化室
108をプロセスガスがない状態の真空度と同じオーダ
ーぐらいまで排気する。
【0085】その後、ステップS107において、ウェ
ーハをPVDまたはIBDなどのメタルデポジション室
に搬送し、ステップS108において、CoFe/Cu
/CoFeNi/Cuの上層側の金属層を成膜する。
【0086】以上、説明したように、比較例のプロセス
においては、ステップS103においてイオン源108
Dに酸素を含むガスを供給するが、この際に、イオン源
108Dから漏れ出た浮遊酸素がシャッタ108Cの周
囲からウェーハの表面にまわり込んで自然酸化膜を形成
してしまう。
【0087】さらに、ステップS105においてシャッ
タ108Cを閉じた後も、酸化室108の内部には浮遊
酸素が残留し、ウェーハの表面に吸着する可能性があ
る。
【0088】これに対して、図3に例示した本発明のプ
ロセスによれば、このような「浮遊酸素」の発生を防ぐ
ことができる。
【0089】図3のプロセスを説明すると、以下の如く
である。
【0090】まず、ステップS1において、メタルデポ
ジション室においてPVD法やIBD法などにより金属
膜を堆積する。
【0091】次に、ステップS2において、ウェーハを
酸化室に搬送する。
【0092】次に、ステップS3において、アルゴンイ
オンビームをストライクできる状態にする。具体的に
は、イオン源ガス供給系108Fを介してイオン源10
8Dにアルゴンを導入し、イオン源108Dの内部でプ
ラズマを発生させて安定化させる。このときホルダ10
8Bに載置されたウェーハは、シャッター108Cによ
って覆われているため、イオン源108Dから放出され
るアルゴンイオンビームはウェーハ表面には照射されな
い。但し、ウェーハは、シャッタ108Cの周囲からま
わり込んでくるアルゴンガスには晒されることになる。
しかし、この段階では、酸素は供給されていないので、
ウェーハは浮遊酸素に晒されることはない。
【0093】ここで、もし、図4に例示したIBOプロ
セスのように、酸素のイオンビームを最初から発生させ
ようとすると、アルゴンなどで希釈されている、いない
に関わらず、プラズマを発生させてストライクの準備を
するまでの間に浮遊酸素にウェーハ表面が晒され、自然
酸化膜が形成されることになる。これに対して、本発明
ではイオンビーム用ガスには酸素を用いていないため、
その心配はない。本実施例では酸素を用いたが、これは
窒化膜を形成させるための窒素ガスを用いた場合などに
も同様である。
【0094】アルゴンイオンビームが所定の条件で安定
したら、ステップS4において、シャッター108Cを
開け、これと前後して酸素ガス導入系108Eから酸素
ガスを酸化室108に導入する。ステップS4におい
て、シャッタを開けるタイミングと酸素の導入のタイミ
ングは、ほぼ同時であることが重要である。両者のタイ
ミングは完全に一致する必要はないが、酸素導入が先に
なる場合でも、シャッタの開きが先になる場合でも1分
以上の間隔がないことが望ましい。その間隔は、30秒
以内とすることが望ましく、15秒以内とすることがさ
らに望ましい。
【0095】本発明によれば、酸素の導入量を高い精度
で制御でき、且つアルゴンイオン照射によって適度のエ
ネルギを与えることにより酸化膜の膜質を改善する「ア
シスト効果」も得られる。そして、これらの効果は、そ
れぞれ独立に制御性よくバランスさせることができる。
ここで、本発明におけるアルゴンイオン照射の「アシス
ト効果」は、単純な分子ガスとして導入された酸素分子
の酸素原子への解離や、イオン化、ラジカル化等を促進
する効果も併せ持つと考えられる。これらの効果により
ウェーハ表面での酸化反応を制御し、良質の酸化膜を高
い制御性で得ることができる。
【0096】ステップS4において用いるイオンビーム
の望ましい条件を表1として以下に表す。
【0097】表1.イオンビームの条件 ビームエネルギ :50〜150eV ビーム電流 :0.1〜1mA/inch メタルエッチング速度 :1〜10A/分 照射時間 :5秒〜5分 上記のビーム電流は加速グリッドの単位平方インチ面積
あたりの電流量である。すなわち、実際の電流量はグリ
ッドの面積に応じて変化する。上記のイオンビームの条
件は本発明において良好な特性のNOLを得る上で非常
に重要であり、特にビームエネルギすなわち加速電圧は
重要である。
【0098】図5は、加速エネルギを変えた場合のNO
L形成メカニズムの違いを概念的に表した説明図であ
る。
【0099】図5(a)に例示したように、加速エネル
ギが低い場合には、アルゴンイオン照射は酸素フローに
よって吸着された酸素を脱離する程度の効果で、良好な
酸化膜を形成するほどのエネルギは与えられない。この
とき、アルゴンイオンのエネルギは、金属表面のエッチ
ングもほとんど生じない程度の範囲である。
【0100】図5(b)に例示したように、加速エネル
ギが適度な大きさの場合には、酸素フローによって膜表
面に吸着した反応性の弱い酸素を脱離させるだけでな
く、NOLを形成すべき膜表面の母材金属の表面をもエ
ッチングして、金属原子−金属原子の結合を解離するこ
とができ、酸素との反応性を向上させることが可能とな
る。つまり、金属のエッチングレートよりも酸素供給量
が多ければ膜表面に良好な膜質の酸化膜が形成される。
当然、このときのアルゴンイオンビームは金属表面のエ
ッチングを行っているだけの効果だけではなく、酸化す
る際のエネルギアシスト源としても作用することにな
る。その結果、不必要な酸素がない強く結合した安定し
た酸化膜が形成されることになる。
【0101】この最適なイオンの加速エネルギの範囲は
概ね50〜150eVであり、80〜120eVの範囲
にあることが特に望ましい。そのときの金属のエッチン
グレートは1−10Å/minである。
【0102】これよりも加速エネルギが大きいと、今度
は金属のエッチングレートのほうが酸素の供給よりも追
いつかなくなりそもそも酸化膜が形成されなくなるばか
りか、母材金属薄膜表面へのダメージも大きくなるため
好ましくない。
【0103】また、アルゴンイオン照射時間は5秒〜5
分程度とすることが望ましい。これよりも短いとイオン
照射の効果がなく、これよりも長いとイオン照射による
下部層へのダメージが無視できなくなってくるからであ
る。この理由のため、イオン照射時間は、5秒〜3分以
内とすることが望ましく、10秒〜1分以内とすること
がさらに望ましい。
【0104】本実施例においては、加速エネルギ100
eV、プラズマRFパワー50W、ポジティブ加速グリ
ッド電流15mA、イオン照射時間20秒で行った。こ
のプロセスによって母材のFeCo膜は酸化され、NO
Lとなる。本発明によって得られるNOLの特徴につい
ては、後の実施例に関して詳述する。
【0105】ここで、酸素供給量の積算値は、非常に低
酸素量とした。アルゴンガスが酸化室108に既に導入
されている状態なため、正確なラングミュアー換算(1
L=1×10 torr・sec)はできないが、ア
ルゴンガスが導入されていない高真空状態で測定した酸
素量として、トータル約400Lの酸素を用いた。本実
施例のような構成の膜においては、これよりも低ラング
ミュア−だとNOLを介した上下のピン層の磁気結合は
良好だが、スペキュラリティーが十分ではなく、これよ
りの多くの酸素を導入すると、NOLを介した上下ピン
層の磁気結合がferro結合ではなくなるため、よく
ない。
【0106】ここで、この最適酸素量は、NOLになる
母材金属材料に依存するだけでなく、NOLの下地の膜
構成によっても変動するので、一律ではない。しかし、
ひとつの基準として、本発明のような高エネルギプロセ
スで薄膜のNOLによる磁気結合をさせる場合には10
00L以下であることが望ましい。このような低レベル
の酸素量は、自然酸化する場合には酸化室108のサイ
ズが小さく、酸素フロー法にある程度の工夫があれば制
御可能な範囲だが、従来のIBOの手法では、プラズマ
を準備するだけのタイミングでサンプルが既に暴露され
てしまう可能性のあるレベルの酸素量である。
【0107】これに対して、本発明によれば、従来は困
難であった低レベルの酸素量と高エネルギプロセスとを
両立させることができる。なお、本発明のプロセスシー
ケンスは低酸素量のときに特に大きな効果を発揮する
が、低酸素量のみに限定されるものではなく、比較的高
レベルの酸素量の場合にも、同様に適用可能である。特
に、安定した酸化物を形成するのが難しい母材材料を用
いるような場合に、エネルギを付与できない自然酸化層
よりもはるかに膜質の優れたNOLを本発明により形成
することができる。
【0108】以上、図3のステップS4に関して詳述し
た。
【0109】このようにして所定の時間、酸素フローと
イオン照射を実施したら、ステップS5においてシャッ
ター108Cを閉じ、酸素ガスの供給を停止する。この
とき、酸素ガスの供給の停止のほうが後になることは好
ましくない。エネルギが与えられないままの浮遊酸素と
なる可能性の酸素が表面に残ってしまうからである。酸
素ガスの供給は、シャッターを閉じてから少なくとも3
0秒以内に停止することが望ましく、15秒以内に停止
することがさらに望ましい。
【0110】これとは逆に、シャッターを閉じる前に酸
素ガスの供給を停止することは望ましい場合がある。こ
れは不要な酸素を脱離させ、同時に、低エネルギでのイ
オン照射によって、表面の平坦化も可能となる場合もあ
るからである。この場合にはイオン加速電圧を変えない
場合には1分以内のイオン照射、加速電圧を変えた場合
でも5分以内のイオン照射に留めておくことが望まし
い。しかしながら、不必要なミリングの影響をなくすた
めには、15秒以内のイオン照射にしておくことが望ま
しい。
【0111】このようにして酸化プロセスが終了した
ら、次に、ステップS6において、アルゴンガスの供給
もストップし、プラズマパワー等もすべて停止して、酸
化室108をプロセスガスがない状態の真空度と同じ程
度の圧力まで排気ポンプ108Aにより排気する。
【0112】その後、ステップS7において、ウェーハ
は、PVDまたはIBD方式のメタルデポジション室1
10または112に搬送され、ステップS8において、
CoFe/Cu/CoFeNi/Cuの上層側の金属層
が成膜される。ここで、下層のCoFe(ピン層)が
NOLを介してPtMnに接したCoFeピン層(ピン
層)と磁気的にカップリングされる。本構成ではNO
Lを介した上下のピン層はferro的に結合するが、
材料、NOL厚を変えることによって、反強磁性的に結
合させることも可能である。
【0113】強磁性的に結合した場合にはピン層の磁化
量が多くなってしまうため、バイアスポイントのコント
ロールという観点からはこのままではヘッドに適用する
ことはできず、シンセティックアンチフェリ構造をとら
なければならない。つまりPtMn/CoFe↓/Ru
/CoFe↑/NOL/CoFe↑/...(↑は磁化
方向を示す)のような構造にして、ピン層トータルでの
実質的な磁化量を減らさなければならない。
【0114】一方、NOLを介して反強磁性的に結合し
た場合には、Ruを用いたシンセティック構造にする必
要はない。NOL上に成膜されるCoFe(ピン層)
には添加元素を加える場合もある。Cr、B、C、S
i、Al、等を添加しても構わない。膜厚は1nm〜3
nm程度が望ましい。その上のスペーサCu層(非磁性
中間層)は、1.8〜2.5nm程度が望ましい。
【0115】また、フリー層としてCoFeNiを用い
たのは、CoFe/NiFe積層フリー層よりも高MR
変化率が得られるからである。CoFeにNiを微量添
加することによって、純粋なCoFeよりも低磁歪と低
Hcが実現できる。フリー層上のCuはバイアスポイン
ト上必要な高導電層であって、フリー層に印加される電
流磁界を低減させることができる。膜厚は1nm〜3n
m程度が好ましい。
【0116】Cu(高導電層)上のTaOは、フリー層
側のスペキュラー反射層である。すなわち、電子を反射
する効果を有する。これは、母材となるTa膜をメタル
デポジション室(PVD室またはIBD室)で成膜した
のち、ピン層NOLと同様に酸化室108を用いて酸化
することにより形成する。酸化プロセスのシーケンスも
ピン層NOLの場合と同様とすることができる。ただ
し、Taの場合には表面からの処理で膜厚の奥方向まで
酸化することが困難な場合もあるため、金属層成膜とI
AOによる酸化を複数回繰り返しても良い。IAOの最
適条件範囲も概略、表1の条件と一致する。フリー層側
のNOLに関しては、必ずしもIAOを用いなくても、
TaO層をIBDで直接酸化物として成膜したり、反応
性スパッタにより成膜してもよい。また、TaOではな
く、アルミニウム酸化物、Fe酸化物等を用いても構わ
ない。
【0117】フリー層側NOLとなるTaO層を形成し
た後は、メタルデポジション室(PVD室またはIBD
室)でTa層(保護キャップ層)を成膜する。この層は
あるほうが望ましいが、プロセス上問題なければ、成膜
しなくても構わない。
【0118】前述のように、実際のヘッドとして応用す
るときには、Sy−AF構造を採用することが望まし
い。その具体的な構成としては、例えば以下の積層構造
を挙げることができる。ここで、各層に付した数字は層
厚 (nm)を表す。
【0119】基板/Ta3/NiFeCr3/PtMn
10/CoFe1.5/Ru0.9/CoFe0.5/
NOL−pin1.5/CoFe2/Cu2/CoFe
Ni1.5/Cu1/NOL−free1.5/Ta1 ここで、NOL−pinは例えばFeCo酸化物であ
り、NOL−freeはTa酸化物である。フリー層
は、CoFe1/NiFe1の積層フリー層でも構わな
い。その他の層の材料についてもこれまで述べてきたよ
うな他の材料でも構わない。また、RuとNOLの間の
CoFe0.5nmは、実際には酸化されてほとんど層
の区別がつかないこともある。Sy−AF構造を採用し
た場合にも前述したように各層の機能は変わらないの
で、これまで述べてきたことは本質的には変わらない。
【0120】また、上述した構成は、反強磁性膜がフリ
ー層よりも下側にある、いわゆる「ボトムタイプ」のス
ピンバルブ膜であるが、これとは逆の「トップタイプ」
のスピンバルブ膜であってもよい。その場合にも、単層
ピン構造でも、Sy−AF構造でも基本的には本実施例
と同じである。
【0121】具体的には、単層ピン構造の場合には、以
下の積層構造を挙げることができる。
【0122】基板/Ta3/NiFeCr3/NOL−
free1.5/Cu1/CoFeNi2/Cu2/C
oFe2/NOL−pin1.5/CoFe1/PtM
n10/Ta3 また、Sy−AF構造の場合には、以下の積層構造を挙
げることができる。
【0123】基板/Ta3/NiFeCr3/NOL−
free1.5/Cu1/CoFeNi2/Cu2/C
oFe2/NOL−pin1.5/CoFe0.5/R
u0.9/CoFe1.5/PtMn10/Ta3 上述の各構成においても各層の数字は層厚(nm)を表
す。各層の材料については、基本的にボトムタイプの場
合と同様である。
【0124】(第2の実施例)次に、本発明の第2の実
施例について説明する。本実施例は、酸化室においてイ
オン源に酸素を導入する場合のプロセスシーケンスに関
するものである。
【0125】図6は、本実施例において用いることがで
きる酸化室の構成を表す概念図である。
【0126】また、図7は、図6の酸化室を用いて実施
する酸化プロセスのシーケンスを表すフローチャートで
ある。
【0127】図6及び図7については、図2〜図4に関
して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して
詳細な説明は省略する。
【0128】図6に表したように、本実施例における酸
化室108は、イオン源108Dに酸素導入系108E
が接続され、酸素を含むイオンを生成することができ
る。
【0129】このような酸化室108を用いて従来のI
BO法を実施する場合、酸素プラズマを照射することを
第1の目的としているため、酸素プラズマが安定化する
のを待ってから、酸素イオンを基板に照射する。このた
めに、プラズマが安定するまでの間に流す酸素ガスが酸
化室内に漏れて浮遊酸素として作用することになる。
【0130】これに対して、本実施例においては、シャ
ッタ108Cを開けるタイミングとイオン源にガスを供
給するタイミングとを調節することにより、浮遊酸素の
発生を抑制しつつIAOを実施することができる。
【0131】具体的には、図7に例示したようなIAO
のシーケンスを用いればよい。IAOプロセスにおいて
は、酸素をプラズマとしてイオン照射することが目的で
はなく、エネルギ源はあくまでも希ガスイオンである。
従って、ガスは酸化室導入時には酸素分子でも構わな
い。つまり、ステップS3で希ガスイオンプラズマを生
成した後、ステップS4Bにおいて希ガスイオンを照射
するのとほぼ同時に、酸素ガスをイオン源108Dに導
入すればよい。
【0132】本発明において最も重要なことは、エネル
ギアシストがない状態で、浮遊酸素が酸化室内に導入さ
れないようにすることである。ステップS4Bにおける
イオン照射と酸素導入とは、ほぼ同時に行うことになる
が、そのタイミングは、第1実施例のステップS4にお
いて酸素ガスを酸化室に直接導入する場合と同様であ
る。酸素ガスの代わりに窒素ガスなどを用いる場合も同
様である。
【0133】本実施例においても、微少量の酸素ガスを
高い制御性で導入することができ、希ガスイオンの「ア
シスト効果」を得ることもでき、且つ浮遊酸素による自
然酸化膜の生成も確実に抑制することができる。
【0134】本発明による初期自然酸化膜を形成しない
工程は、ラディカル酸化(あるいは窒化)の場合につい
ても適用できる。
【0135】ラディカル酸化の場合にも、酸素イオンビ
ーム照射の場合と同様に、ラディカルを照射するために
初期にプラズマを生成する必要があるが、従来手法によ
るラディカル酸化では、この初期のプラズマを生成する
段階から酸素(窒化の場合は窒素)をラディカルプラズ
マ源に導入していため、プラズマが安定するまでの間に
ラディカルプラズマ源に導入された酸素ガスが、チャン
バーへ漏洩して膜表面に達し、ダーティーな自然酸化層
を形成してしまう。本発明による製造シーケンスを用い
れば、このダーティーな自然酸化膜の影響をなくすこと
ができる。
【0136】具体的には、ラディカル源において初期に
プラズマを生成する段階では、酸素ガスはラディカル源
に供給せず、アルゴンなどの希ガスのみを供給する。そ
の工程の後に、プラズマを生成したラディカルプラズマ
源に酸素及び窒素ガスのいずれかを導入することによっ
て、酸素ガスが膜表面に達するときは、初期の段階から
高反応性を有するラディカル状態で供給することが可能
となり、ダーティーな自然酸化膜(あるいは自然窒化
膜)の影響をなくすことができる。
【0137】このとき好ましくは、希ガスプラズマの生
成が十分に安定したことを確認した後に、酸素および窒
素のいずれかのガスを導入することが望ましい。本工程
によって、良質な酸化膜(窒化膜)を形成することが可
能となる。
【0138】(第3の実施例)次に、本発明の第3の実
施例について説明する。本実施例は、独立したイオン源
を持たない酸化室において酸素を導入する場合のプロセ
スシーケンスに関するものである。
【0139】図8は、本実施例において用いることがで
きる酸化室の構成を表す概念図である。
【0140】また、図9は、図8の酸化室を用いて実施
する酸化プロセスのシーケンスを表すフローチャートで
ある。
【0141】図8及び図9については、図2〜図7に関
して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して
詳細な説明は省略する。
【0142】図8に表したように、本実施例における酸
化室108は、独立したイオン源を有しない。その代わ
りに、プラズマ生成電源108Lに接続されたプラズマ
生成電極108Mによって酸化室内部でプラズマが生成
される。酸化室108に酸素導入系108Eと希ガス導
入系108Gが接続され、希ガス含むプラズマを生成す
ることができる。
【0143】このような酸化室108を用いて従来のプ
ラズマ酸化法を実施する場合、酸素プラズマを照射する
ことを第1の目的としているため、酸化室108に酸素
を導入してからプラズマの生成を開始していた。このた
めに、プラズマが安定するまでの間に流す酸素ガスが酸
化室内に漏れて浮遊酸素として作用することになる。
【0144】これに対して、本実施例においては、酸素
を導入するタイミングを調節することにより、浮遊酸素
の発生を抑制しつつIAOを実施することができる。
【0145】具体的には、図9に例示したようなIAO
のシーケンスを用いればよい。IAOプロセスにおいて
は、酸素をプラズマとしてイオン照射することが目的で
はなく、エネルギ源はあくまでも希ガスイオンである。
従って、まず、ステップS3Cにおいて、導入系108
Gから希ガスを導入してプラズマを生成する。この際
に、酸素はまだ導入しない。そして、希ガスプラズマが
生成されたら、ステップS4Cにおいて、酸素ガスを酸
化室108に導入する。
【0146】この場合に、実際には酸素ガスを酸化室に
導入した瞬間には酸素プラズマが安定しないこともあり
得る。しかし、本発明のIAO法においては、酸素をプ
ラズマイオンとして供給することが本質的ではないので
これでも構わない。最も重要なことは、エネルギアシス
トがない状態で、浮遊酸素が酸化室内に導入されないよ
うにすることである。
【0147】すなわち、本実施例においては、非常に弱
いパワーで希ガスをプラズマ化し、その状態で酸素ガス
を基板に導入することによって、酸化する。酸素導入時
に、酸素がプラズマ化していても、プラズマ化していな
くても構わない。そのため、酸素プラズマを生成する目
的で大量の酸素を酸化室に導入する必要がない。
【0148】一般に、プラズマを着火する時には、瞬間
的に大量のガスを導入して圧力を上げる必要がある。し
かし、本実施例においては、プラズマを生成するために
瞬間的に導入されるのはあくまでも希ガスであって、酸
素ガスは希ガスプラズマが着火されるのとほぼ同時に導
入すればよい。希ガスプラズマの着火と酸素ガスの導入
は、ほぼ同時となるタイミングで行うことが望ましく、
このタイミングは、第1及び第2実施例と同様である。
【0149】また、酸素ガスの代わりに窒素ガスなどを
流して窒化膜などを形成する場合も同様に実施すること
ができる。
【0150】(第4の実施例)次に、本発明の第4の実
施例について説明する。本実施例は、酸素ガスを酸化室
に均一に導入することができる導入方法に関するもので
あり、前述した第1あるいは第3実施例に適用可能なも
のである。
【0151】図10〜図12は、本実施例の酸素導入系
の構成例を表す概念図である。
【0152】本発明においては、低酸素量でNOLを形
成することがひとつのポイントである。このような低酸
素量においては、酸素フローの方法についても工夫する
必要がある。まず、酸化室108のサイズは可能な限り
小さくし、酸素を導入した瞬間から酸化室の全体に拡散
するまでの時間を短くすることが望ましい。
【0153】さらに、酸素を導入する手法にも工夫が必
要な場合もある。低酸素量の場合には、酸化室全体に酸
素が拡散するまでの時間が酸素フローしている全体の時
間に占める割合が大きい。そのため、酸素が導入されて
から拡散するまでの時間においてもウェーハ内で酸素量
の分布が生じないように工夫する必要がある。
【0154】これに対して、図10に表した具体例にお
いては、2本の酸素導入系108Eが設けられている。
このように、酸素を2本以上の導入系108Eから導入
することによって、酸素が酸化室内に拡散する過渡的状
態でのウェーハ内での酸素量分布をできるだけ小さくす
ることができる。なお、ここで酸素導入系108Eのそ
れぞれが独立した流量制御手段108Hを有する必要は
なく、共通の流量制御手段から分岐した複数の導入系が
酸化室108に接続されていてもよい。
【0155】図11に表した具体例の場合には、3本の
酸素導入系が設けられている。このようにすれば、酸素
を酸化室内にさらに均一に拡散させることが可能とな
る。もちろん、図示した具体例の他にも、4本、5本、
6本あるいはそれ以上の複数管から酸素を導入できるよ
うにしてもよい。
【0156】一方、図12は、酸素導入系108Eの先
端にディフューザ108Pを設けた具体例を表す概念図
である。ディフューザ108Pは、酸化室108の内部
に拡がり、複数の酸素噴出口108Qを有する。本具体
例によれば、酸化室108への導入は単管でも、ディフ
ューザ108Pを設けることにより酸素を均一に拡散さ
せることができる。このようなディフューザを図10あ
るいは図11に表した複数の導入系のそれぞれの先端に
設けても良い。
【0157】また、図12に示したように酸化室の内部
に半周程度広がるディフィーザの他にも、酸化室をほぼ
全周囲を囲うようなディフィーザとしても良い。
【0158】(第5の実施例)次に、本発明の第5の実
施例として、本発明の製造方法によって得られたNOL
の特徴について説明する。すなわち、本実施例では、前
述した第1実施例の製造法によって得られたNOL−S
PSV膜の特徴について詳述する。まず、シート膜Rs
としてのパフォーマンスであるが、シートコンダクタン
ス変化ΔGs=7.6mΩ 、MR変化率15.6
%、シート抵抗Rs=15.6Ω、Hua flat=5
00Oeと、本発明によって著しく特性が向上した。具
体的には、GMR効果のポテンシャルを意味するΔGs
の大幅な向上と、NOLを介した上下ピン層の良好な磁
気的な結合を両立することに初めて成功した。以下に詳
細を記述する。
【0159】図13(a)は、酸化室へ導入する酸素量
と得られたNOL−SPSVのΔGsとの関係を表すグ
ラフ図である。すなわち、同図の横軸は、酸素導入量を
ラングミュア(L)で表し、縦軸は、得られたNOL−
SPSV膜のシートコンダクタンス変化ΔGsを表す。
ここで、シートコンダクタンス変化ΔGs=Gsma
−Gsmin と定義され、ここで、Gsmaxは、ピ
ン層のフリー層の磁化が平行な場合のシートコンダクタ
ンスであり、Gsminはピン層とフリー層の磁化方向
が反平行な場合のシートコンダクタンスである。シート
コンダクタンス変化ΔGsが大きいほど、MR変化が大
きくなる。
【0160】また、図13(a)において「IAO」と
記したものは本発明の方法により形成したものを表し、
「O−flow」と記したものは従来の単純酸素フロ
ー法により自然酸化させて形成したものを表す。さら
に、これらそれぞれについて、270℃における熱処理
を1時間(1H)、10時間(10H)あるいは30時
間(30H)施した。
【0161】図13(a)からわかるように、単純酸素
フローのものでは、導入酸素量を多くしても高ΔGsが
得られない。つまり低スペキュラリティーのNOLしか
形成できない。また、ΔGsが熱処理により減少し、熱
的に不安定である。これは、NOLの酸素が不安定で、
SPSV膜中に拡散することが原因であることがSIM
S(secondary ion mass spectroscopy:2次イオン質
量分析)によるデプスプロファイルによって確認され
た。さらに、導入する酸素量が低い条件において、ΔG
sは酸素を導入しないものよりもかえって低下する傾向
がでている。これは、極めて低い酸素量においては、膜
質の良好な酸化NOLが形成されず、膜質の劣悪なダー
ティーな酸化層が形成されるためであると考えられる。
【0162】これに対して、本発明によるIAOプロセ
スを用いた場合には、酸素量を増やすにしたがって、Δ
Gsが一旦劣化することもなく連続的に増加しており、
極めて低い酸素量においても、安定した良質な酸化層が
形成されていることを示している。これは、イオンビー
ムのエネルギによるアシスト効果によるものであると考
えられる。従来のIBO法で形成した場合には、エネル
ギアシスト効果は生ずるものの、酸素が最初に酸化室に
導入されているときには、イオンアシストのない状態の
まま酸素プラズマが生ずるまでにグリッドからもれた浮
遊酸素に基板表面が晒されるため、NOLの初期層に関
してはエネルギアシストのないダーティーな酸化層とな
ってしまうのでよくない。
【0163】また、図13から分かるように、本発明の
IAOプロセスを用いた場合にはΔGsの耐熱性は極め
て良く、270℃において30時間の熱処理を施した後
でもΔGsの劣化は認められない。これは、単純酸素フ
ローのものとは対照的な結果であり、本発明によるNO
Lが熱的に極めて安定であることを示している。
【0164】図13(b)は、IAOによる低酸素量の
条件で形成したスピンバルブ素子において、正規磁界方
向に磁界を印加して得られるシート抵抗(Rs)−磁界
(H)特性を表す。
【0165】また、図13(c)は、IAOによる高酸
素量の条件で形成した素子において、正規磁界方向に磁
界を印加して得られるRs−H特性を表し、図13
(d)は、同素子において正規磁界方向に対して垂直な
方向に磁界を印加して得られるRs−H特性を表す。
【0166】これらの評価結果から分かるように、IA
Oによる低酸素量の条件では、NOLを介した上下のピ
ン層はferro的にピン結合しているのに対し、60
0Lよりも高酸素量の条件ではferro的でもなくa
ntiferro的でもない90°方向近傍に傾いた結
合をしている。このような結合では、高ΔGsがたとえ
得られたとしても、実際のヘッドデバイスとしては使い
ようがない。
【0167】図14及び図15は、上記のような良好な
パフォーマンスが得られるためのNOLの特徴を表す概
念図である。まず、400Lのように低酸素量の場合に
は、NOLの膜厚をTEM(transmission electron mi
crocscopy:透過型電子顕微鏡)分析により膜厚を算出
すると、約1.5nmであった。
【0168】本発明によれば、アルゴンイオン照射によ
るエネルギ効果を利用しているため、NOLには、スパ
ッタ法により成膜された上下のピン層P1、P2中に含
まれるアルゴン量よりも大量のアルゴンが含まれてい
る。具体的には、NOLに含まれるアルゴンの原子組成
は、上下のピン層P1、P2に含まれるアルゴンの原子
組成の2倍よりも大きい。例えば、ピン層に含まれるア
ルゴンの含有量が1原子%とすると、NOLには2原子
%以上のアルゴンが含有されている。
【0169】本発明者の試作評価の結果によれば、NO
Lに含まれるアルゴンの含有量は、原子%にして数原子
%以上にもおよぶ場合が認められた。つまり、スパッタ
法などにより形成されるピン層と比較すると、極めて多
量のアルゴンが含まれていた。これは本発明によるプロ
セスを用いていれば、酸素量の多い少ないに関わらず共
通の特徴であった。これは、断面TEMのEDX(ener
gy dispersive x-rayspectroscopy)分析等によって、
希ガスの量の分布を測定することができる。
【0170】また、低酸素量における独特の特徴とし
て、酸素と結合していない金属元素が多いということが
挙げられる。特に、Co、Fe、Niが酸素と結合して
いない状態で存在する。これは、EXAFS(Extended
X-ray Absorption Fine Sructure)による分析によっ
て確認された。特に、Feは酸化状態であるのに対し、
NOL用に成膜したFe50Co50においてCoの半
分以上が金属状態になって存在している。これはFeの
ほうが酸化されやすく、Coが酸化されづらい材料であ
ることに起因している。
【0171】本発明によるIAOプロセスでは、そもそ
も酸素イオンをぶつけているのではなく希ガスイオンを
照射しているので、酸素供給時にエネルギを与えた酸化
を行っていると同時に、熱処理時などに悪影響を及ぼす
余分な浮遊酸素を脱離して飛ばしているだけでなく、還
元的な反応も生じさせている。つまり、酸化しにくいC
oの場合には、一旦酸化しても希ガスイオンの照射によ
って、還元作用を起こし、金属状態で存在する確率が増
えることになる。これが本質的にピン層の磁気結合に重
要な一つの役割を与えている。磁気抵抗効果向上層(例
えばNOL)中に酸素と結合していない磁性金属元素が
存在することで、磁気抵抗効果向上層を介した上下のピ
ン層P1、P2の磁気的に結合が安定化する。
【0172】また、NOLの層厚が薄い場合に限ってf
erro結合しているのは、詳細なメカニズムは不明だ
が、NOL中に存在する金属Co原子は完全な結晶状態
で存在しているわけではなく、また結晶粒になっていた
としても非常に微細なため、いずれにしてもNOL単体
で強磁性を示すことは困難であり、せいぜいスーパーパ
ラマグネティックな状態だからである。そして、NOL
の膜厚が2nm程度と薄い場合には上下の強磁性ピン層
P1、P2からの界面誘起効果が働き、NOL中に存在
するCo磁性元素も強磁性的性質となって、上下のピン
層が強磁性的結合を生じることも考えられる。このよう
な効果が得られるためには、NOL厚は1nm〜3nm
が望ましく、1〜2nmであることがさらに望ましい。
尚、ここでのNOL厚は断面TEM分析のコントラスト
で金属部分と明らかに異なり、結晶の格子間隔も異なっ
て観察される領域の膜厚である。
【0173】一方、本発明によれば、浮遊酸素がない高
エネルギプロセスによって、Feの安定した酸化物が膜
厚方向に急峻性よく生成されているため、スペキュラリ
ティー、すなわち電子の反射性が向上している。従来の
単純な酸素フローによる自然酸化では、浮遊酸素は熱処
理によって拡散し不安定なばかりか、材料選択をよほど
厳重に行わない限り、NOL界面での組成急峻性にも問
題を抱えるので、スペキュラリティーはどうしてもIA
Oプロセスよりも小さくなってしまう。
【0174】本発明の製造方法によって、希ガスが磁気
抵抗効果向上層中に混入することと、磁性金属元素が存
在することの2つが重要であることが判明した。
【0175】また、本実施例のようなNOL厚が1nm
〜3nm程度の場合に限らず、NOL厚が2nmから5
nmの場合でも本発明によるIAOプロセスは有効であ
る。この場合には、NOLを介した上下のピン層の磁気
結合は反強磁性的結合となる場合もあり得る。この場合
には、Sy−AF構造で通常用いているRuは必要なく
なり、これまでの実施例で述べてきた単層ピン構造と実
質的な膜構成は同じでも、Sy−AF構造と同様にピン
層からの漏洩磁界を低減させることができ、そのままヘ
ッドに採用な構成となる。シャント層になる部分も減ら
すことができるので、MR変化率の観点からも有利であ
る。この場合にもNOL材料はFe、もしくはFeCo
を母材としたNOLであることが望ましい。
【0176】(第6の実施例)次に、本発明の第6の実
施例として、本発明の磁気再生装置について説明する。
図1乃至図15に関して説明した本発明の磁気抵抗効果
素子は、例えば、記録再生一体型の磁気ヘッドアセンブ
リに組み込まれ、磁気再生装置に搭載することができ
る。
【0177】図16は、このような磁気記録装置の概略
構成を例示する要部斜視図である。すなわち、本発明の
磁気記録再生装置150は、ロータリーアクチュエータ
を用いた形式の装置である。同図において、長手記録用
または垂直記録用磁気ディスク200は、スピンドル1
52に装着され、図示しない駆動装置制御部からの制御
信号に応答する図示しないモータにより矢印Aの方向に
回転する。磁気ディスク200は、長手記録用または垂
直記録用の記録層を有する。磁気ディスク200は、磁
気ディスク200に格納する情報の記録再生を行うヘッ
ドスライダ153は、薄膜状のサスペンション154の
先端に取り付けられている。ここで、ヘッドスライダ1
53は、前述したいずれかの実施の形態にかかる磁気抵
抗効果素子を用いた磁気ヘッドをその先端付近に搭載し
ている。
【0178】磁気ディスク200が回転すると、ヘッド
スライダ153の媒体対向面(ABS)は磁気ディスク
200の表面から所定の浮上量をもって保持される。
【0179】サスペンション154は、図示しない駆動
コイルを保持するボビン部などを有するアクチュエータ
アーム155の一端に接続されている。アクチュエータ
アーム155の他端には、リニアモータの一種であるボ
イスコイルモータ156が設けられている。ボイスコイ
ルモータ156は、アクチュエータアーム155のボビ
ン部に巻き上げられた図示しない駆動コイルと、このコ
イルを挟み込むように対向して配置された永久磁石およ
び対向ヨークからなる磁気回路とから構成される。
【0180】アクチュエータアーム155は、固定軸1
57の上下2箇所に設けられた図示しないボールベアリ
ングによって保持され、ボイスコイルモータ156によ
り回転摺動が自在にできるようになっている。
【0181】図17は、アクチュエータアーム155か
ら先の磁気ヘッドアセンブリをディスク側から眺めた拡
大斜視図である。すなわち、磁気ヘッドアッセンブリ1
60は、例えば駆動コイルを保持するボビン部などを有
するアクチュエータアーム151を有し、アクチュエー
タアーム155の一端にはサスペンション154が接続
されている。
【0182】サスペンション154の先端には、図1乃
至図15に関して前述したいずれかの磁気抵抗効果素子
を用いた再生用磁気ヘッドを具備するヘッドスライダ1
53が取り付けられている。記録用ヘッドを組み合わせ
ても良い。サスペンション154は信号の書き込みおよ
び読み取り用のリード線164を有し、このリード線1
64とヘッドスライダ153に組み込まれた磁気ヘッド
の各電極とが電気的に接続されている。図中165は磁
気ヘッドアッセンブリ160の電極パッドである。
【0183】ここで、ヘッドスライダ153の媒体対向
面(ABS)と磁気ディスク200の表面との間には、
所定の浮上量が設定されている。
【0184】図18(a)は、浮上量が所定の正の値の
場合のヘッドスライダ153と磁気ディスク200との
関係を表す概念図である。同図に例示したように、通
常、多くの磁気記録装置においては、磁気ヘッド10を
搭載したスライダ153は、磁気ディスク200の表面
から所定の距離だけ浮上した状態で動作する。本発明に
おいては、このような「浮上走行型」の磁気記録装置に
おいても、従来よりも高分解能で低ノイズの再生を行う
ことができる。すなわち、図1乃至図15に関して前述
したいずれかの磁気抵抗効果素子を採用することによ
り、再生すべきトラックからの微弱な磁化情報を確実に
再生することができる。つまり、高い密度で記録された
微小磁区からの信号を再生できるので、トラックピッチ
を縮小して、記録密度を大幅に向上させることができ
る。
【0185】一方、記録密度がさらに上がると、浮上高
を低下させて、より磁気ディスク200に近いところを
滑空させて情報を読み取る必要が生ずる。例えば、1イ
ンチ平方あたり40G(ギガ)ビット程度の記録密度を
得るためには、もはや、浮上にしていることによるスペ
ーシングロスが大きくなり過ぎ、極低浮上によるヘッド
10と磁気ディスク200とのクラッシュの問題も無視
できなくなる。
【0186】そのため、磁気ヘッド10と磁気ディスク
200とを逆に積極的に接触させて、走行させる方式も
考えられる。
【0187】図18(b)は、このような「接触走行
型」のヘッドスライダ153と磁気ディスク200との
関係を表す概念図である。本発明の磁気ヘッドにおいて
も、媒体との接触面にDLC(Diamond-Like-Carbon)
潤滑膜などを設けることにより「接触走行型」のスライ
ダに搭載することが可能である。従って、図18(b)
に例示したような「接触走行型」の磁気再生装置におい
ても、隣接トラックからのクロストークを大幅に低減
し、従来よりも大幅にトラックピッチを縮小してさらに
高密度化された媒体の記録再生を安定して行うことがで
きるようになる。
【0188】以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施
の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの
具体例に限定されるものではない。
【0189】例えば、磁気抵抗効果素子の基板、バッフ
ァ層、反強磁性層、ピン層、非磁性スペーサ層、フリー
層、高導電層、スペキュラー層、保護層に関しては、前
述した各具体例には限定されず、当業者が選択しうる範
囲の全てを同様に用いて動揺の効果を奏する。
【0190】また、磁気再生装置に関しても、再生のみ
を実施するものでも、記録・再生を実施するものあって
も良く、また、媒体は、ハードディスクには限定され
ず、その他、フレキシブルディスクや磁気カードなどの
あらゆる磁気記録媒体を用いることが可能である。さら
に、磁気記録媒体を装置から取り外し可能した、いわゆ
る「リムーバブル」の形式の装置であっても良い。
【0191】
【発明の効果】本発明によれば、希ガスのイオン等によ
り酸化反応時に膜表面に高いエネルギを付与しつつ、浮
遊酸素による自然酸化も抑制して、極めて低酸素量にお
いて膜質の良好な磁気抵抗効果向上層を形成することが
できる。
【0192】そして、高感度且つ高信頼性を有する磁気
抵抗効果素子を実現することができ、産業上のメリット
は多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例においてNOL−SPSV
膜を形成した成膜システムの構成を表す概略図である。
【図2】IAOプロセスを行う酸化室の構成を例示する
概念図である。
【図3】本発明の酸化プロセス及びその前後のプロセス
のシーケンスを表すフローチャートである。
【図4】本発明の比較例として本発明者が実施した酸化
プロセス及びその前後のプロセスのシーケンスを表すフ
ローチャートである。
【図5】、加速エネルギを変えた場合のNOL形成メカ
ニズムの違いを概念的に表した説明図である。
【図6】本発明の第2実施例において用いることができ
る酸化室の構成を表す概念図である。
【図7】図6の酸化室を用いて実施する酸化プロセスの
シーケンスを表すフローチャートである。
【図8】本発明の第3実施例において用いることができ
る酸化室の構成を表す概念図である。
【図9】図8の酸化室を用いて実施する酸化プロセスの
シーケンスを表すフローチャートである。
【図10】本発明の第4実施例の酸素導入系の構成例を
表す概念図である。
【図11】本発明の第4実施例の酸素導入系の構成例を
表す概念図である。
【図12】本発明の第4実施例の酸素導入系の構成例を
表す概念図である。
【図13】本発明の第5実施例において酸化室へ導入す
る酸素量と得られたNOL−SPSVのΔGsとの関係
を表すグラフ図、及びシート抵抗Rsの評価結果を表す
グラフ図である。
【図14】本発明により良好なパフォーマンスが得られ
るためのNOLの特徴を表す概念図である。
【図15】本発明により良好なパフォーマンスが得られ
るためのNOLの特徴を表す概念図である。
【図16】本発明の磁気記録装置の概略構成を例示する
要部斜視図である。
【図17】アクチュエータアーム155から先の磁気ヘ
ッドアセンブリをディスク側から眺めた拡大斜視図であ
る。
【図18】(a)は、浮上量が所定の正の値の場合のヘ
ッドスライダ153と磁気ディスク200との関係を表
す概念図である。(b)は、このような「接触走行型」
のヘッドスライダ153と磁気ディスク200との関係
を表す概念図である。
【符号の説明】
100 成膜システム 102 トランスファー室 104 ロードロック室 106 プレクリーニング室 108 酸化室 108A 排気ポンプ 108B ホルダ 108C シャッター 108D イオン源 108E 酸素導入系 110、112 メタルデポジション室 150 磁気記録再生装置 152 スピンドル 153 ヘッドスライダ 154 サスペンション 155 アクチュエータアーム 156 ボイスコイルモータ 160 磁気ヘッドアセンブリ 200 媒体(磁気記録ディスク)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 41/18 H01L 43/12 H01L 43/12 H05H 1/42 H05H 1/42 1/46 B 1/46 G01R 33/06 R (72)発明者 福 家 ひろみ 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝研究開発センター内 (72)発明者 富 田 宏 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝研究開発センター内 (72)発明者 岩 崎 仁 志 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝研究開発センター内 (72)発明者 佐 橋 政 司 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝研究開発センター内 Fターム(参考) 2G017 AA01 AD55 AD63 AD65 5D034 BA03 BA04 BA05 BA15 CA08 DA07 5E049 AA01 AA04 AA07 AC00 AC05 BA12 DB04 FC03

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2つの強磁性層と、これらの強磁性層の間
    に設けられた非磁性層と、を有する磁気抵抗効果素子で
    あって、 酸化物または窒化物を主成分とする層をさらに有し、 前記酸化物または窒化物を主成分とする層は、それと接
    する層と比較して、アルゴン、キセノン、ヘリウム、ク
    リプトン、ネオンのうちの少なくともいずれかの希ガス
    を相対的に多く含有することをことを特徴とする磁気抵
    抗効果素子。
  2. 【請求項2】前記酸化物または窒化物を主成分とする層
    に含有される前記希ガスの原子組成は、前記酸化物また
    は窒化物を主成分とする層に接する前記層に含有される
    前記希ガスの原子組成の2倍よりも大きいことを特徴と
    する請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 【請求項3】前記酸化物または窒化物を主成分とする層
    は、酸素とも窒素とも結合していない、Co、Fe、N
    iのいずれかの磁性遷移金属元素を含有することを特徴
    とする請求項1または2に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 【請求項4】前記酸化物または窒化物を主成分とする層
    の膜厚は、1nm以上3nm以下であることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素
    子。
  5. 【請求項5】前記酸化物または窒化物を主成分とする層
    は、Fe,Co,Ni,Mn,Cr,V,Ti,Zr,
    Mo,Hf,Ta,W,Alのいずれかの酸化物または
    窒化物を主成分とすることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 【請求項6】前記2つの強磁性層のいずれか一方は、磁
    化の方向が実質的に一方向に固着された磁化固着層であ
    り、 前記2つの強磁性層のいずれか他方は、磁化の方向が外
    部磁界に応じて変化する磁化フリー層であり、 前記磁気抵抗効果素子の抵抗は、前記磁化固着層の前記
    磁化の方向と前記磁化フリー層の前記磁化の方向との相
    対角度によって変化することを特徴とする請求項1〜5
    のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 【請求項7】2つの強磁性層と、これらの強磁性層の間
    に設けられた非磁性層と、を有する磁気抵抗効果素子の
    製造方法であって、 酸素及び窒素の少なくともいずれかを含有する雰囲気に
    おいて母材の表面に希ガスのイオンまたはプラズマを照
    射することにより、前記母材の表面を酸化または窒化さ
    せて、酸化物または窒化物を主成分とする層を形成する
    工程を備えたことを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造
    方法。
  8. 【請求項8】前記酸化物または窒化物を主成分とする層
    を形成する工程は、 前記希ガスのイオンまたはプラズマを生成する工程と、 前記希ガスのイオンまたはプラズマを前記母材の表面に
    照射し、これとほぼ同時に前記雰囲気に酸素及び窒素の
    少なくともいずれかを導入する工程と、 前記希ガスのイオンまたはプラズマの前記母材への照射
    を停止し、これとほぼ同時に前記雰囲気への前記酸素及
    び窒素の少なくともいずれかの導入を停止する工程と、 を含むことを特徴とする請求項7記載の磁気抵抗効果素
    子の製造方法。
  9. 【請求項9】前記酸化物または窒化物を主成分とする層
    を形成する工程は、 イオン源に前記希ガスを導入して前記希ガスのイオンま
    たはプラズマを生成する工程と、 前記希ガスのイオンまたはプラズマを前記母材の表面に
    照射し、これとほぼ同時に前記イオン源に酸素及び窒素
    の少なくともいずれかを導入する工程と、 前記希ガスのイオンまたはプラズマの前記母材への照射
    を停止し、これとほぼ同時に前記イオン源への前記酸素
    及び窒素の少なくともいずれかの導入を停止する工程
    と、 を含むことを特徴とする請求項7記載の磁気抵抗効果素
    子の製造方法。
  10. 【請求項10】2つの強磁性層と、これらの強磁性層の
    間に設けられた非磁性層と、を有する磁気抵抗効果素子
    の製造方法であって、 母材の表面を酸化または窒化させて、酸化物または窒化
    物を主成分とする層を形成する工程を備え、 前記酸化物または窒化物を主成分とする層を形成する工
    程は、 希ガスのプラズマを生成する工程と、 前記希ガスのプラズマを生成する工程の後に、前記希ガ
    スのプラズマを生成した雰囲気中に酸素及び窒素のいず
    れかを導入する工程と、 を有することを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方
    法。
  11. 【請求項11】前記2つの強磁性層のいずれか一方は、
    磁化の方向が実質的に一方向に固着された磁化固着層で
    あり、 前記2つの強磁性層のいずれか他方は、磁化の方向が外
    部磁界に応じて変化する磁化フリー層であり、 前記磁気抵抗効果素子の抵抗は、前記磁化固着層の前記
    磁化の方向と前記磁化フリー層の前記磁化の方向との相
    対角度によって変化することを特徴とする請求項7〜1
    0のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子の製造方
    法。
  12. 【請求項12】2つの強磁性層と、これらの強磁性層の
    間に設けられた非磁性層と、を有する磁気抵抗効果素子
    の製造装置であって、 酸化室内に載置した母材の表面に希ガスのイオンを照射
    し、これとほぼ同時に前記母材の前記表面を1000ラ
    ングミュア以下の酸素及び窒素の少なくともいずれかに
    晒すことにより、前記母材の表面を酸化または窒化させ
    て、酸化物または窒化物を主成分とする酸化物または窒
    化物を主成分とする層を形成可能としたことを特徴とす
    る磁気抵抗効果素子の製造装置。
  13. 【請求項13】前記2つの強磁性層のいずれか一方は、
    磁化の方向が実質的に一方向に固着された磁化固着層で
    あり、 前記2つの強磁性層のいずれか他方は、磁化の方向が外
    部磁界に応じて変化する磁化フリー層であり、 前記磁気抵抗効果素子の抵抗は、前記磁化固着層の前記
    磁化の方向と前記磁化フリー層の前記磁化の方向との相
    対角度によって変化することを特徴とする請求項12記
    載の磁気抵抗効果素子の製造装置。
  14. 【請求項14】請求項1〜6のいずれか1つに記載の磁
    気抵抗効果素子を備え、磁気記録媒体に記録された磁気
    的情報を再生可能とした磁気再生装置。
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