JP2004207366A - Cpp磁気抵抗効果素子及びその製造方法、cpp磁気抵抗効果素子を備えた磁気記憶装置 - Google Patents

Cpp磁気抵抗効果素子及びその製造方法、cpp磁気抵抗効果素子を備えた磁気記憶装置 Download PDF

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恵一 長坂
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Yutaka Shimizu
豊 清水
Atsushi Tanaka
厚志 田中
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Abstract

【課題】抵抗変化率が高く高感度な、高密度記録に適したCPP磁気抵抗効果素子及びその製造方法、並びにCPP磁気抵抗効果素子を備えた磁気記憶装置を提供する。
【解決手段】CPP(Current Perpendicular to Plane)磁気抵抗効果素子において、固定磁化層28と自由磁化層33との間に、下側非磁性中間層29及び上側非磁性中間層32を介して、磁性中間層30及び酸化絶縁層31を設けた構造とする。酸化絶縁層31の電流狭窄効果と磁性中間層30/下側非磁性中間層29との磁性/非磁性界面BD1での界面散乱効果により抵抗変化率を向上させることができる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気センサ、例えば磁気記憶装置において情報を再生するための磁気抵抗効果素子に関し、特にいわゆるスピンバルブ膜を用いて、スピンバルブ膜の積層方向にセンス電流を流すCPP(Current Perpendicular to Plane)構造を有する磁気抵抗効果素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
インターネット、デジタルTV放送等の急速な普及に伴い、大容量の記憶装置にニーズが急速に高まっている。大容量の記憶装置、例えばハードディスク装置においては記録密度の向上が著しく、特に1990年台半ばより年率60〜100%の伸びを記録している。この間のキーとなる技術的進歩としては、磁気ディスクの高保磁力化および低媒体ノイズ化、磁気ヘッドには再生用磁気ヘッドとしてスピンバルブGMRヘッドの開発が挙げられる。
【0003】
これまでのスピンバルブGMRヘッドは、CIP(Current In−Plane)構造、すなわちスピンバルブ膜の膜面内方向にセンス電流を流し、スピンバルブ膜を構成する固定磁化層と自由磁化層の相対的な磁化の角度に対応して、電子が散乱され、スピンバルブ膜の抵抗値が変化する。現在のところ抵抗変化率が0.5%、記録密度が約50Gbit/in2が達成されている。
【0004】
次世代の100Gbit/in2台の記録密度達成のため、TMR(トンネル磁気抵抗効果型)ヘッド、CPP(Current Perpendicular to Plane)−GMRヘッドの検討が進められている。TMRヘッドは抵抗変化率が大きいものの、抵抗値RAが数Ωμm2で大きいという欠点がある。一方、CPP−GMRヘッドは、抵抗値RAが1Ωμm2以下で適度な抵抗値RAを有し、素子寸法が小さくなるにつれて、抵抗変化率が増加し、素子出力が増加する特長を有しており、高密度記録装置において高感度な再生ヘッドとして期待されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−157711号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、CPP−GMRヘッドにおいて、次世代の100Gbit/in2台の記録密度を達成するには、抵抗変化率が低く、磁気抵抗効果素子の感度が不十分であるという問題がある。
【0007】
例えば、感度を向上するために素子寸法を微小化するというアプローチがある。しかし、フォトリソグラフィー技術を用いても、素子寸法は100nm×100nm程度が限界であり、これ以上の著しい微細化は望めないため、磁気抵抗効果素子の感度向上を図ることができない。
【0008】
そこで、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、抵抗変化率が高く高感度な、高密度記録に適したCPP磁気抵抗効果素子及びその製造方法、並びにCPP磁気抵抗効果素子を備えた磁気記憶装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によれば、自由磁化層と、固定磁化層と、前記自由磁化層と固定磁化層との間に形成された複数の導電性の非磁性中間層とを有し、前記複数の非磁性中間層のうちいずれか2つの非磁性中間層間に、絶縁層及び磁性原子を含む磁性層を有するCPP磁気抵抗効果素子が提供される。
【0010】
本発明によれば、自由磁化層と固定磁化層との間に、複数の導電性の非磁性中間層が形成され、その導電性の非磁性中間層に挟まれて絶縁層及び磁性原子を含む磁性層が形成されている。絶縁層において、センス電流としてCPP磁気抵抗効果素子を流れる電子が、例えば絶縁層の膜質等の極めて微細な不均一性により電子が流れ易い部分に局所的に集中し、電子が流れる経路が狭窄される。狭窄された電子が自由磁化層または固定磁化層に到達するので、これらの層の磁化との相互作用を生じる確率が向上し、その結果、抵抗変化率が向上する。また、磁性層と非磁性中間層と間に磁性/非磁性界面での界面散乱が生じていると考えられ、抵抗変化率が更に増加する。特に、電子の狭窄効果及び界面散乱効果の相乗的効果が生じていると考えられ、抵抗変化率が一層向上し、磁界検出感度を向上することができる。
【0011】
前記絶縁層と前記磁性層とが互いに接していてもよく、さらにその絶縁層が磁性層を形成する材料の酸化物よりなっていてもよい。磁性層の表面を酸化処理等することにより、磁性層を形成する材料を酸化させ容易に絶縁層を形成することができる。特に、絶縁層と磁性層とが近接して形成されるので、上記電流狭窄効果と界面散乱効果とが相乗的に高まっていると考えられ、抵抗変化率を一層向上することができる。
【0012】
前記磁性層は複数の層からなり、前記絶縁層は磁性層に挟まれていてもよい。少ない層数で磁性/非磁性界面をより多く形成することができ、少ない層数で更に抵抗変化率を向上することができる。
【0013】
前記自由磁化層および固定磁化層のうち少なくともいずれかは積層フェリ構造を有してもよい。
【0014】
前記磁性層は強磁性層であってもよく、前記磁性原子はFe、CoおよびNiのうち少なくとも1つを含んでいてもよい。磁性/非磁性界面での界面散乱の効果をより大きくすることができ、更に抵抗変化率を向上することができる。
【0015】
本発明の他の観点によれば、上記いずれかのCPP磁気抵抗効果素子を備えた磁気記憶装置が提供される。
【0016】
本発明によれば、抵抗変化率が高く、高感度なCPP磁気抵抗効果素子を備えているので、高密度記録が可能となる。
【0017】
本発明のその他の観点によれば、自由磁化層と、固定磁化層と、前記自由磁化層及び固定磁化層に挟まれた複数の導電性の非磁性中間層と、前記複数の非磁性中間層に挟まれた、絶縁層及び磁性原子を含む磁性層とを有するCPP磁気抵抗効果素子の製造方法であって、前記磁性層を酸化処理して前記絶縁層を形成する絶縁層形成工程を備えるCPP磁気抵抗効果素子の製造方法が提供される。
【0018】
本発明によれば、磁性層を酸化処理することにより容易に絶縁層を形成することができ、絶縁層による電流狭窄効果と、磁性層と非磁性中間層との界面散乱効果により、抵抗変化率を向上することができる。特に、絶縁層と磁性層とが近接して形成されるので、上記電流狭窄効果と界面散乱効果が近接して生じるため、相乗的に効果が高まっていると考えられ、更に抵抗変化率を向上することができる。
【0019】
本願発明者は、自由磁化層と固定磁化層との間に、導電性の非磁性中間層を介して、絶縁層及び磁性原子を含む磁性層を挟むことにより、CPP磁気抵抗効果素子において従来にない高い抵抗変化率が得られることを見出した。
【0020】
図1は、本発明のGMR膜を流れる電子の経路を概略的に示す想像図である。センス電流(電子)はGMR膜の積層方向に流れる。ここでは自由磁化層101から固定磁化層102へと電子が流れるとして説明する。まず、自由磁化層101を通過した電子は、自由磁化層101の磁化との相互作用により、自由磁化層101の磁化の向きの情報を得て、下方の上側非磁性中間層103であるCu層を流れ、絶縁層104に達する。絶縁層104では、電子が通り易い部分104−1(例えば微視的に酸素原子が欠損して導電性が比較的良好な部分)に集中され、電子の空間密度が高まる部分が形成される。さらに、磁性層105及び下側非磁性層106の界面BDにおいて、界面散乱が生じる。そして、電子の空間密度が高い状態で固定磁化層102に達し、固定磁化層の磁化の方向に応じて電子が散乱され、GMR膜100を通過する電子量が規定される。本発明では、自由磁化層と固定磁化層との間において、電流狭窄効果が生じ、更に磁性/非磁性界面での界面散乱が生じるため、これらの相乗効果により抵抗変化率が高まっていると考えられる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
(第1の実施の形態)
図2は、複合型磁気ヘッドの書き込み及び読み出し行う素子の媒体対向面の構造を示す図である。図2中、媒体の回転方向は矢印Xで示す方向である。
【0023】
図2を参照するに、複合型磁気ヘッド10は、媒体の回転方向の下流側に位置する書き込みを行う誘導型書き込み素子11と、上流側に位置するCPP型構造を有する磁気抵抗効果素子12により構成されている。複合型磁気ヘッド10は、誘導型書き込み素子が上部磁極13と下部磁極14との間より漏洩する磁場により対向する磁気記録媒体(図示せず)に情報が記録される。また、磁気抵抗効果素子12が磁気記録媒体に記録された情報に基づいて漏洩する磁場を、抵抗変化として検知する。
【0024】
誘導型書き込み素子11及び磁気抵抗効果素子12は、ヘッドスライダの基体となるAl23−TiC(アルチック)よりなる平坦なセラミック基板15上に積層されて形成され、アルミナ等の絶縁体により覆われている。
【0025】
誘導型書き込み素子11は、媒体対向面に磁気記録媒体のトラック幅に相当する幅を有する上部磁極13と、書き込みギャップ層を挟んで対向する下部磁極14と、上部磁極と下部磁極とを接続するヨーク(図示されず)と、ヨークを巻回するコイル(図示されず)などによりなる。上部磁極13、下部磁極14及びヨークは、軟磁性材料より構成され、記録磁界を確保するために飽和磁束密度の大なる材料、例えば、Ni80Fe20、CoZrNb、FeN、FeSiN、FeCo合金などが好適である。
【0026】
磁気抵抗効果素子12は、セラミック基板15表面に形成されたアルミナ膜17上に、下部電極16、下部副電極18、GMR膜20、上部電極21、磁区制御膜22などが形成された構成となっている。抵抗変化を検知するセンス電流は、下部電極16または上部電極21より流され、下部電極16に接続された下部副電極18またはGMR膜20に接続されている上部電極21の端子部21−1によりGMR膜20の中央付近にセンス電流が集中され、GMR膜20の積層方向にセンス電流が流される。センス電流がGMR膜20の中央付近に集中されているので抵抗変化率を向上することができる。GMR膜20の両側には、磁区制御膜22が配置される。GMR膜20を構成する軟磁性層である固定磁化層、自由磁化層(図3に示す)の単磁区化を図り、バルクハウゼンノイズの発生を防止する。なお、下部電極16、下部副電極18、及び上部電極21はセンス電流の流路としての機能に加え磁気シールドとしての機能も兼ねるため、軟磁性合金、例えばNiFe(パーマロイ)、CoFe等により構成される。
【0027】
図3は、本発明の実施の形態に係るGMR膜を示す図である。図3を参照するに、本実施の形態に係るGMR膜20は、シングルスピンバルブ構造を有し、下地層25、反強磁性層26、固定磁化層28、下側非磁性中間層29、磁性中間層30、酸化絶縁層31、上側非磁性中間層32、自由磁化層33、保護層34が順次積層された構造となっている。
【0028】
下地層25は、図2に示す下部副電極18上にスパッタ法等により形成され、例えば厚さ5nmのTa層及び厚さ2nmのNiFe層により構成される。下地層25は、この表面に形成される反強磁性層26の結晶成長を促進し規則合金化し易くする。
【0029】
反強磁性層26は、下地層25の表面にスパッタ法等により形成され、例えば厚さ13nmのPdPtMn層により構成される。具体的には、反強磁性層26は厚さが5nm〜30nmのRe、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cr、Fe、Ni、Cu、Ag及びAuよりなる群のうち少なくとも1種の元素とMnとを含む反強磁性材料により構成される。このうちMnの含有量は45原子%〜95原子%であることが好ましい。この反強磁性膜26は、所定の磁場中で加熱処理を行うことにより規則合金化され反強磁性が出現する。反強磁性層26は、この上に形成される固定磁化層28との界面において一軸異方性により固定磁化層28の磁化を固定する。
【0030】
固定磁化層28は、積層フェリ構造を有し、下側強磁性層35/非磁性層36/上側強磁性層38を順次積層した構成となっている。具体的には、これらの下側及び上側強磁性層35、38の磁性材料の組成を同様とし、厚さ1〜30nmのCo、Fe、Ni及びこれらの元素を含む軟磁性強磁性材料、例えば、Ni80Fe20、Co75Fe25などの材料を用いることができる。または、これらの積層体により構成されてもよい。非磁性層36は、例えば厚さ0.4nm〜2nmから選択され、下側及び上側強磁性膜35、38が反強磁性的に結合する膜厚が選択される。非磁性層36は、例えばRu、Cr、Ru合金、Cr合金により構成される。このような構成により、下側強磁性膜35は、下側に設けられている反強磁性層26の一軸異方性により磁化の方向が固定され、下側強磁性膜35が上側強磁性膜38と反強磁性的に結合するので、上側強磁性膜38の磁化が、下側強磁性膜35の磁化と反平行に固定される。この固定磁化層28は、例えばCo75Fe25(20nm)/Ru(0.8nm)/Co75Fe25(12nm)とすることができる。
【0031】
下側及び上側非磁性中間層29、32は、下記磁性中間層30及び酸化絶縁層31を挟み一対のCu層により構成されている。具体的には、スパッタ法により形成されたそれぞれ厚さ2nmのCu層により構成されている。
【0032】
磁性中間層30は、前記非磁性中間層29上にスパッタ法等により形成され、厚さ1nmのCoFeBにより構成されている。下側非磁性中間層29と磁性/非磁性界面BD1を形成し、抵抗変化率が向上されると考えられ、磁性中間層30の表面に形成された酸化絶縁層31が電流狭窄の機能を有するため、さらに抵抗変化率を向上することができる(詳細は後述する。)。
【0033】
酸化絶縁層31は、前記磁性中間層30の表面を後述する酸化処理により酸化した厚さ約1nmの絶縁性物質により構成されている。上述したように、酸化絶縁層31は電流狭窄の機能を有するためにさらに抵抗変化率を向上することができる。
【0034】
自由磁化層33は、酸化絶縁層31の表面にスパッタ法等により形成され、厚さ20nmのCoFeB層等により構成されている。具体的には、例えば、厚さが1nm〜30nmのCo、Fe、Ni及びこれらの元素を含む軟磁性強磁性材料、例えば、Ni80Fe20、Co75Fe25、Co78Fe202など、または、これらの膜の積層体により構成される。自由磁化層33の磁化は、膜の面内にあり、磁気記録媒体より漏洩する磁場の方向に応じて磁化の向きが変わる。その結果、自由磁化層33の磁化と固定磁化層28の磁化とのなす角に対応してGMR膜20の抵抗値が変化する。
【0035】
保護層34は、自由磁化層の表面にスパッタ法等により形成され、厚さ4nmのCu層と厚さ5nmのRu層が順次積層された構成となっている。具体的には、保護層34は、Cu層が厚さ1nm〜5nmである。Cu層はGMR膜20の熱処理時に自由磁化層33の酸化を防止すると共に、前記自由磁化層33と磁性/非磁性界面を形成して抵抗変化率を向上させる作用も有する。また、Ru層は、厚さが5nm〜30nmであり、非磁性金属、例えばAu、Al、W等であっても良い。反強磁性層の熱処理の際にGMR膜20が酸化されることを防止できる。以上によりGMR膜20が構成される。
【0036】
以下、磁性中間層30及び酸化絶縁層31について詳しく説明する。磁性中間層30には、軟磁性材料、硬質磁性材料、フェリ磁性材料及び反強磁性材料の何れでも用いることができ、磁性中間層30には4d磁性元素、希土類磁性元素が含まれている材料が用いられる。特にFe、Coを含む強磁性材料が更に好ましく、CoFeB、CoFe、NiFe、FeSiAl等の軟磁性材料が特に好ましい。CoFeの場合は、Co1-xFexと表す一般式においてX=10〜50原子%の範囲の材料が特に好ましい。
【0037】
また、磁性中間層30の厚さは0.1nm〜20nmが好ましい。ただし、厚さが0.1nm以下であっても接する酸化絶縁層31があれば、図8において示す抵抗変化率の評価結果より抵抗変化率の増加が認められ、その増加量は0.7%程度である。厚さが20nm以上になると、GMR膜20全体の厚さが過度に大となり、下部電極16と上部電極21とにより規定される読み取りギャップ長が大きくなってしまう。
【0038】
酸化絶縁層31は、磁性中間層30の表面をラジカル酸化法、プラズマ酸化法、自然酸化法等を用いて形成される。例えば、プラズマ酸化法は、処理室内に酸素を導入しプラズマを励起することにより酸素がイオンあるいは原子状態(ラジカル)になり、酸素イオン及び原子状酸素O*が磁性中間層表面から侵入・反応して磁性中間層の酸化膜に変換する。酸素イオンは、加速されて磁性中間層30表面に衝突するので、より反応性に富み、酸化処理時間を短縮することができる点で好ましい。ただし、過度の加速エネルギーを酸素イオンに与えると磁性中間層30に損傷を与え、磁性中間層30表面の表面性や結晶性の劣化を招き、さらにはピンホールなどを形成してしまうおそれもある。
【0039】
他方、ラジカル窒化法は、原子状酸素O*のみにより、かつ加速されずに磁性中間層30と反応するので、原子状窒素O*が磁性中間層30に接触する際に損傷を与えることがない。したがって結晶性を損なうことなく酸化絶縁層31に変換できる点で好ましい。ただし、酸化速度が大であるので、処理時間の制御性に劣る。
【0040】
自然酸化法が、処理時間の制御性、形成される酸化絶縁層の均一性の点でより好ましい。例えば、磁性中間層30をスパッタ法により形成後、高真空の状態で成膜チャンバーから酸化処理チャンバーに搬送し、酸素ガスを導入して圧力1Pa〜100kPaに設定して、処理時間50秒〜1000秒で処理を行う。この酸化処理により、磁性中間層30の表面が酸化され、非磁性の酸化絶縁層31が形成される。酸化絶縁層31はGMR膜20を流れる電子を狭窄する効果がある。すなわち、酸化絶縁層31には局所的に電子の流れ易い部分と流れ難い部分とがあり、電子は流れやすい部分に集中する。電子の流れが集中すると、例えば自由磁化層33から流れてきた電子が酸化絶縁層31により局所的に狭窄され固定磁化層28に達しても、広がらずに局所的に空間電子密度が高い状態にあると考えられる。このような状態では固定磁化層28の磁化(スピン)と相互作用を及ぼし合う確率が増加すると考えられ、その結果MR率は増加すると考えられる。
【0041】
さらに、本実施の形態によれば、酸化絶縁層31の近傍に磁性中間層30と下側非磁性中間層29との磁性/非磁性界面BD1が形成されることにより、電子の界面散乱効果がより効果的に生じると考えられ、抵抗変化率を更に向上することができる。
【0042】
次に本実施の形態に係るCCP磁気抵抗効果素子の製造方法について説明する。
【0043】
図4〜図6の(A)〜(G)は、本実施の形態に係るCCP磁気抵抗効果素子の製造工程を示す図である。CCP磁気抵抗効果素子は半導体集積装置の前工程とほぼ同様の手法により製造される。
【0044】
図4(A)の工程では、アルチックのセラミック基板15上にスパッタ法等によりアルミナ膜17、スパッタ法やメッキ法などによりNi75Fe25よりなる下部電極16を順次形成する。
【0045】
図4(A)の工程ではさらに、下部電極16上にレジスト39によりパターニングして、下部副電極18のパターンを形成する。次いでメッキ法等によりNi75Fe25よりなる下部副電極18を形成する。
【0046】
次に図4(B)の工程では、レジストを除去して、図4(A)の構造体を覆うようにアルミナ膜40を例えばCVD法により堆積させる。次いでCMP(化学的機械研磨)法により下部電極18が露出するまで研磨し、平坦面を得る。
【0047】
次に図4(C)の工程では、図4(B)の構造体全体を覆うように、GMR膜20の下地層25から磁性中間層30までを形成する。具体的には、ベースプレッシャーが1×10-8Paより高真空にすることが可能な超高真空の成膜チャンバー内で、上述した材料よりなる下地層25から磁性中間層30までをスパッタ法により形成する。次いで外気に解放せずに基板を酸化処理チャンバーに搬送する。磁性中間層30の表面にパーティクルや有機物の付着を防止し、抵抗値の素子間あるいはロット間のばらつきを抑制するとともに、磁気抵抗効果素子12の長期動作信頼性を確保することができる。
【0048】
図4(C)の工程ではさらに、自然酸化法により磁性中間層30の酸化処理を行う。具体的には、基板を室温に保持し、酸化処理チャンバーに酸素ガスを導入し、圧力を1Pa〜100kPaに設定する。処理時間50秒〜1000秒間、磁性中間層30を酸素ガスに曝し、図5(D)に示すように、磁性中間層30の表面に、磁性中間層30が酸化された酸化絶縁層31が形成される。
【0049】
次に図5(E)の工程では、酸化処理チャンバーの酸素ガスを排気後、外気に解放せずに再び成膜チャンバーに搬送する。成膜チャンバー内でスパッタ法によりCuよりなる非磁性中間層32から保護層34までを形成する。
【0050】
図5(E)の工程ではさらに、反強磁性層26を規則合金化し反強磁性を出現させるための熱処理を行う。具体的には、所定の方向に磁場を1.6MA/m(20kOe)印可して300℃程度で180分加熱処理する。
【0051】
次に図6(F)の工程では、図5(E)までに形成されたGMR膜20をエッチングして、所望の幅(読み取りトラック幅に相当する)に研削する。具体的には、レジストをパターニングして、ドライエッチングによりアルミナ膜40に達するまで研削する。
【0052】
図6(F)の工程ではさらに、GMR膜20の両側に磁区制御膜22が形成される。具体的には、レジストをパターニングして磁区制御膜22が形成される部分に開口を設けスパッタ法等により成膜する。この際、磁区制御膜22がGMR膜20に接するように形成してもよく、また、磁区制御膜22とGMR膜20との界面にアルミナ膜などの絶縁層を設けてもよい。
【0053】
図6(F)の工程ではさらに、レジスト41をパターニングして、GMR膜20の直上部分に、上部電極21の端子部21−1となる部分のみレジスト41を残す。次いで構造体全体を覆う絶縁膜42を形成する。具体的には、スパッタ法、CVD法などによりシリコン酸化膜またはアルミナ膜を形成する。次いで、CMP法により絶縁膜の表面を平坦化する。
【0054】
次に図6(G)の工程では、レジスト41を除去後、スパッタ法などによりNi75Fe25よりなる上部電極21を形成する。以上よりCCP磁気抵抗効果素子が形成される。なお、誘導型書き込み素子11は図6(G)の構造体の上に公知の方法により形成される。
【0055】
次に本実施の形態に係るGMR膜20の評価に先立って、自然酸化法により酸化形成される酸化絶縁層の厚さの評価を行った。
【0056】
酸化絶縁層を評価する試料は、上述した高真空チャンバー内で、ガラス基板上に、厚さ10nmのCo88Fe102層を形成し、次いで酸化処理チャンバー内で自然酸化法により、基板温度を20℃に設定して、酸素雰囲気の圧力及び酸素雰囲気に曝す時間を変えてCo88Fe102層の表面を酸化させた。次いで高真空チャンバー内で酸化防止用のTaからなる保護層を形成した。なお、この際、同時に酸化処理を行わない試料を作製した。試料はVSM(振動試料型磁力計)により最大磁場632kA/m(8kOe)を印可して飽和磁化の測定を行った。
【0057】
図7は、規格化飽和磁化及び酸化絶縁層の厚さと、酸素ガスの圧力と酸素ガスに曝露した時間との積との関係を示す図である。図7中、横軸は酸素ガスの圧力と曝露した時間の積(圧力時間積と呼ぶ。)である。圧力時間積は、Co88Fe102層表面に衝突する酸素分子の単位面積当たりの衝突回数に相当し、一般にこの衝突回数が多い程、酸化絶縁層の厚さは増加すると考えられる。縦軸は、酸化処理をしない試料の飽和磁化を用いて規格化した規格化飽和磁化(=酸化処理をした試料の飽和磁化/酸化処理をしない試料の飽和磁化)であり、酸化膜厚は規格化飽和磁化の減少割合、すなわち酸化膜厚=酸化処理前のCo88Fe102層の膜厚×(1−規格化飽和磁化)により求めたものである。
【0058】
図7を参照するに、圧力時間積が増加すると、規格化飽和磁化が減少し、すなわち酸化膜厚が増加する。約0.7kPa・秒で飽和磁化が初期値より10%減少したところで飽和を示し、それ以上圧力時間積を増加させても一定となった。すなわち、酸化絶縁層がCo88Fe102層の全膜厚10nmの10%、つまり1.0nmだけ形成されていることとなる。また、圧力を変えて酸化処理しても図7に示す関係と同様となった。すなわち、基板温度を20℃とした場合、酸化処理されて形成される酸化絶縁層は1.0nmである。なお、基板温度を高くすると酸化絶縁層の厚さは増加し、また、磁性中間層の組成をFe元素比を増加させると酸化絶縁層の厚さは増加すると考えられる。
【0059】
次に、本実施の形態のGMR膜の抵抗変化率を評価するために、ウェハ上に、それぞれ厚さ10nm、40nmのTa層/Au層(下部電極)、それぞれ厚さ5nm、2nmのTa層/NiFe層(下地層)、厚さ13nmのPdPtMn層(反強磁性層)、厚さ3nmのCo88Fe102層/厚さ0.8nmのRu層/厚さ4nmのCo88Fe102層(固定磁化層)、厚さ2nmのCu層(下側非磁性中間層)、Co88Fe102層(磁性中間層)、CoFeBOx層(酸化絶縁層)、厚さ2nmのCu層(上側非磁性中間層)、厚さ3nmのCo88Fe102層(自由磁化層)、厚さ4nmのCu層/厚さ5nmのRu層(保護層)、それぞれ厚さ300nm、10nmのAu層/Ta層(上部電極)、が順次積層された構成とし、磁性中間層の厚さを0.3nm〜2nmの範囲で異ならせたGMR膜を形成し、その磁性中間層の表面を自然酸化法による酸化処理で、圧力3.5Paの酸素雰囲気中に100秒間曝露して酸化絶縁層を形成した。
【0060】
抵抗変化率の測定は以下の方法を用いた。抵抗値Rを、固定磁化層の正味の磁化と自由磁化層の磁化とが平行の状態でGMR膜の下部電極と上部電極間の電圧が50mVになる電流値を印加し、下部電極と上部電極間の電圧を検知して、外部磁界の大きさを−39.5kA/m(−500Oe)〜39.5kA/m(500Oe)に設定し、また、抵抗変化率は、抵抗値Rの最小値をRmin、最大値をRmaxとして、抵抗変化率(%)=(Rmax−Rmin)/(Rmax−Rmin)×100とし、RA値をRminとGMR膜の面積Aとの積とした。面積Aは0.1〜1μm2とした。
【0061】
図8は、本実施の形態のGMR膜の抵抗変化率と磁性中間層の膜厚(酸化処理前)との関係を示す図である。図8を参照するに、抵抗変化率は0.6μm以上では抵抗変化率が膜厚に対して増加し、1.5μm付近でほぼ飽和することが分かる。
【0062】
上述した自然酸化法による酸化絶縁層の膜厚の評価より、磁性中間層のCo88Fe102層の厚さが1.0nm以下は総て酸化され、Co88Fe102の酸化物に変換されている。また、磁性中間層のCo88Fe102層の厚さが1.0nm以上では、Co88Fe102層とCo88Fe102の酸化物層の積層膜となっていることが分かる。
【0063】
したがって、膜厚が0.6μm〜1.0μmでの抵抗変化率の増加は、酸化絶縁層によるセンス電流の局所的集中による効果、すなわち電流狭窄効果によるものと考えられる。一方、磁性中間層のCo88Fe102層の厚さが1nm以上では約2.95%まで増加している。この抵抗変化率の顕著な増加は、1nm以下の抵抗変化率が最大1.35%であること比較して極めて大幅に増加している。これは、磁性中間層と下側のCu層との界面、すなわち磁性/非磁性界面での散乱効果によるものと考えられる。
【0064】
本実施の形態によれば、固定磁化層と自由磁化層との間に酸化絶縁層及び磁性中間層を設けているので、センス電流の電流狭窄効果及び磁性/非磁性界面の散乱効果により抵抗変化率が顕著に増加する。したがって高感度なCPP磁気抵抗効果素子を実現することができる。
【0065】
次に第1の実施の形態の変形例について説明する。本変形例は、酸化絶縁層上に更に1層の磁性中間層を形成した以外は第1実施の形態と同様である。
【0066】
図9は、本変形例のGMR膜の構造を示す図である。図9中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0067】
図9を参照するに、本変形例のGMR膜50は、シングルスピンバルブ構造を有し、下地層25、反強磁性層26、固定磁化層28、下側非磁性中間層29、第1磁性中間層51、酸化絶縁層52、第2磁性中間層53、上側非磁性中間層32、自由磁化層33、保護層34が順次積層された構造となっている。
【0068】
第1磁性中間層51及び酸化絶縁層52は、第1の実施の形態の磁性中間層30及び酸化絶縁層31と同様の材料および方法により形成されている。
【0069】
第2磁性中間層53は、酸化絶縁層52上にスパッタ法等により形成され、厚さ1nm〜30nmの第1磁性中間層と同様の材料により形成されている。第2磁性中間層53を設けることにより、第1の磁性/非磁性界面BD1に加え、第2磁性中間層53とその上に形成されている上側非磁性中間層32により第2の磁性/非磁性界面BD2が形成され、第2の界面の散乱効果により、さらに抵抗変化率を向上することができる。
【0070】
次に本変形例のGMR膜50の抵抗変化率を評価するために、第1磁性中間層、酸化絶縁層及び第2磁性中間層53以外は上述した第1の実施の形態のGMR膜10の検証に用いたGMR膜と同様のGMR膜を用いた。そして、第1磁性中間層は、厚さ1.2nmのCo88Fe102層を形成し、第1の実施の形態と同様の条件で酸化処理により酸化絶縁層52を形成し、さらに第2磁性中間層53としてのCo88Fe102層を0.3nm〜1.0nmの範囲で厚さの異なるものを形成した。
【0071】
図10は、本変形例の一実施例の抵抗変化率と第2磁性中間層の膜厚との関係を示す図である。図10を参照するに、第2磁性中間層を設けない場合(膜厚が0nm)に比べ、第2磁性中間層を設けた場合の方が抵抗変化率が増加していることが分かる。さらに第2磁性中間層の膜厚が0.3nmから増加するとともに抵抗変化率が次第に増加していることが分かる。
【0072】
ここで、膜厚が0.3nmから1.0nmの抵抗変化率から膜厚0.0nmに外挿すると、抵抗変化率は約3.2%となり、第2磁性中間層を設けない場合の2.5%より0.7%高い。したがって、第2磁性中間層を設けたことにより、第2の磁性/非磁性の界面が形成され、第2の界面の散乱効果により抵抗変化率が増加したと考えられる。
【0073】
したがって、本変形例によれば、第2磁性中間層を設けることにより抵抗変化率を更に向上させることができる。
【0074】
なお、膜厚が0.3nmから1.0nmの抵抗変化率の増加は第2磁性中間層でのバルク散乱による効果と考えられる。すなわち第2磁性中間層の膜厚を増加させることにより更に抵抗変化率を向上させることができる。
【0075】
(第2の実施の形態)
本発明による第2の実施の形態は、磁性中間層が酸化された酸化絶縁層の替わりに、絶縁性材料からなる層を設けた以外は第1実施の形態と同様である。
【0076】
図11は、本実施の形態のGMR膜の構造を示す図である。図11中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0077】
図11を参照するに、本実施の形態のGMR膜60は、シングルスピンバルブ構造を有し、下地層25、反強磁性層26、固定磁化層28、下側非磁性中間層29、絶縁中間層61、磁性中間層62、上側非磁性中間層32、自由磁化層33、保護層34が順次積層された構造となっている。
【0078】
絶縁中間層61は、下側非磁性中間層29上にスパッタ法等により形成され、厚さ0.8nmの絶縁性の材料により構成されている。具体的には、絶縁中間層61は、例えば、CoFeB、CoFe、NiFe、FeSiAl等の軟磁性材料の酸化物あるいは窒化物などを用いることができる。これらの材料を酸素或いは窒素雰囲気中で反応させて成膜しても良い。絶縁中間層61の厚さは、0.3μm〜2.0nmの範囲に設定される。0.3μmより薄いと電流狭窄の効果が現れず、2.0nmより厚いとGMR膜の抵抗値が過度に高くなり好ましくない。
【0079】
磁性中間層62は、絶縁中間層61上にスパッタ法等により形成される。磁性中間層62の材料は、第1の実施の形態での磁性中間層30と同様の材料を用いることができ、厚さが1nm〜20nmの範囲から選択される。
【0080】
本実施の形態によれば、絶縁中間層61において電子が狭窄されて抵抗変化率が向上すると共に、磁性中間層62と上側非磁性中間層32との界面において磁性/非磁性界面BD1が形成され、界面の散乱効果により抵抗変化率を向上させることができる。
【0081】
なお、本実施の形態では、絶縁中間層61上に磁性中間層62を積層した例について説明したが、磁性中間層62上に絶縁中間層61を形成してもよい。また、いずれの実施の形態においても、磁性中間層62と絶縁中間層61との間に非磁性導電層を設けてもよく、磁性中間層62をそれぞれ材料が異なる膜を積層して構成してもよい。
【0082】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態に係る磁気記憶装置を示す図12及び図13と共に説明する。図12は、磁気記憶装置の要部を示す断面図である。図13は、図12に示す磁気記憶装置の要部を示す平面図である。
【0083】
図12及び図13参照するに、磁気記憶装置120は大略ハウジング123からなる。ハウジング123内には、モータ124、ハブ125、複数の磁気記録媒体126、複数の複合型磁気ヘッド127、複数のサスペンション128、複数のアーム129及びアクチュエータユニット121が設けられている。磁気記録媒体126は、モータ124より回転されるハブ125に取り付けられている。複合型磁気ヘッド127は、誘導型書き込み素子127Aと磁気抵抗効果素子127B(微少なため図示されず)とより構成される。各複合型磁気ヘッド127は対応するアーム129の先端にサスペンション128を介して取り付けられている。アーム129はアクチュエータユニット121により駆動される。この磁気記憶装置の基本構成自体は周知であり、その詳細な説明は本明細書では省略する。
【0084】
磁気記憶装置120の本実施の形態は、磁気抵抗効果素子127Bに特徴がある。磁気抵抗効果素子127Bは第1の実施の形態、その変形例、第2の実施の形態のGMR膜が用いられている。上述したように、かかるGMR膜は抵抗変化率が高く、すなわち磁場の検出感度が高い。したがって、読み取り能力が高く、情報の1ビットに対応する1磁気反転の磁気反転領域から漏洩する磁場が微小となっても、読み取り可能であり、高密度記録に好適である。
【0085】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0086】
例えば、上記実施の形態では積層フェリ構造を固定磁化層に設ける例について説明したが、自由磁化層に積層フェリ構造を設けてもよく、さらに固定磁化層及び自由磁化層の両方に設けてもよい。また、2つの固定磁化層を設けてダブルスピン構造としてもよい。
【0087】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1) 自由磁化層と、固定磁化層と、前記自由磁化層と固定磁化層との間に形成された複数の導電性の非磁性中間層とを有し、
前記複数の非磁性中間層のうちいずれか2つの非磁性中間層間に、絶縁層及び磁性原子を含む磁性層を有することを特徴とするCPP磁気抵抗効果素子。
(付記2) 前記絶縁層と前記磁性層とが互いに接していることを特徴とする付記1記載のCPP磁気抵抗効果素子。
(付記3) 前記絶縁層は、磁性層を形成する材料の酸化物よりなることを特徴とする付記2記載のCPP磁気抵抗効果素子。
(付記4) 前記絶縁層及び磁性層の膜厚の総和が少なくとも1nm以上20nm以下であることを特徴とする付記3記載のCPP磁気抵抗効果素子。
(付記5) 前記磁性層は複数の層からなり、前記絶縁層は磁性層に挟まれていることを特徴とする付記1〜4のうち、いずれか一項記載のCPP磁気抵抗効果素子。
(付記6) 前記自由磁化層および固定磁化層のうち少なくともいずれかは積層フェリ構造を有することを特徴とする付記1〜5のうち、いずれか一項記載のCPP磁気抵抗効果素子。
(付記7) 前記磁性層は強磁性層であることを特徴とする付記1〜6のうち、いずれか一項記載のCPP磁気抵抗効果素子。
(付記8) 前記磁性原子はFe、CoおよびNiのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする付記1〜7のうち、いずれか一項記載のCPP磁気抵抗効果素子。
(付記9) 前記磁性層はCoFe合金であることを特徴とする付記7記載のCPP磁気抵抗効果素子。
(付記10) 付記1〜9のうち、いずれか一項記載のCPP磁気抵抗効果素子を備えた磁気記憶装置。
(付記11) 自由磁化層と、固定磁化層と、前記自由磁化層及び固定磁化層に挟まれた複数の導電性の非磁性中間層と前記複数の非磁性中間層に挟まれた、絶縁層及び磁性原子を含む磁性層とを有するCPP磁気抵抗効果素子の製造方法であって、
前記磁性層を酸化処理して前記絶縁層を形成する絶縁層形成工程を備えることを特徴とするCPP磁気抵抗効果素子の製造方法。
(付記12) 前記絶縁層形成工程は、前記磁性層の一部を酸化処理することを特徴とする付記10記載のCPP磁気抵抗効果素子の製造方法。
(付記13) 前記絶縁層形成工程は、前記磁性層を酸素ガスに曝して、磁性層表面を酸化させることを特徴とする付記11または12記載のCPP磁気抵抗効果素子の製造方法。
【0088】
【発明の効果】
以上詳述したところから明らかなように、本発明によれば、抵抗変化率が高く高感度な高密度記録に適したCPP磁気抵抗効果素子及びその製造方法、並びにCPP磁気抵抗効果素子を備えた磁気記憶装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のGMR膜を流れる電子の経路を概略的に示す想像図である。
【図2】複合型磁気ヘッドの媒体対向面の構造を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るGMR膜の構成を示す図である。
【図4】(A)〜(C)は第1の実施の形態に係るCCP磁気抵抗効果素子の製造工程(その1)を示す図である。
【図5】(D)及び(E)は第1の実施の形態に係るCCP磁気抵抗効果素子の製造工程(その2)を示す図である。
【図6】(F)及び(G)は第1の実施の形態に係るCCP磁気抵抗効果素子の製造工程(その3)を示す図である。
【図7】飽和磁化及び酸化絶縁層の厚さと圧力時間積との関係を示す図である。
【図8】第1の実施の形態のGMR膜の抵抗変化率と磁性中間層の膜厚(酸化処理前)との関係を示す図である。
【図9】第1の実施の形態の変形例に係るGMR膜の構成を示す図である。
【図10】第1の実施の形態の変形例に係るGMR膜の一実施例の抵抗変化率と第2磁性中間層の膜厚との関係を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るGMR膜の構成を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る磁気記憶装置の要部を示す断面図である
【図13】図12に示す磁気記憶装置の要部を示す平面図である。
【符号の説明】
10 複合型磁気ヘッド
11 誘導型書き込み素子
12 磁気抵抗効果素子
20、50、60、100 GMR膜
26 反強磁性層
28 固定磁化層
29 下側非磁性中間層
30、62 磁性中間層
31、52 酸化絶縁層
32 上側非磁性中間層
33 自由磁化層
34 保護層
51 第1磁性中間層
52
53 第2磁性中間層
61 絶縁中間層
120 磁気記憶装置
BD、BD1、BD2 磁性/非磁性界面

Claims (10)

  1. 自由磁化層と、固定磁化層と、前記自由磁化層と固定磁化層との間に形成された複数の導電性の非磁性中間層とを有し、
    前記複数の非磁性中間層のうちいずれか2つの非磁性中間層間に、絶縁層及び磁性原子を含む磁性層を有することを特徴とするCPP磁気抵抗効果素子。
  2. 前記絶縁層と前記磁性層とが互いに接していることを特徴とする請求項1記載のCPP磁気抵抗効果素子。
  3. 前記絶縁層は、磁性層を形成する材料の酸化物よりなることを特徴とする請求項2記載のCPP磁気抵抗効果素子。
  4. 前記磁性層は複数の層からなり、前記絶縁層は磁性層に挟まれていることを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか一項記載のCPP磁気抵抗効果素子。
  5. 前記自由磁化層および固定磁化層のうち少なくともいずれかは積層フェリ構造を有することを特徴とする請求項1〜4のうち、いずれか一項記載のCPP磁気抵抗効果素子。
  6. 前記磁性層は強磁性層であることを特徴とする請求項1〜5のうち、いずれか一項記載のCPP磁気抵抗効果素子。
  7. 前記磁性原子はFe、CoおよびNiのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜6のうち、いずれか一項記載のCPP磁気抵抗効果素子。
  8. 請求項1〜7のうち、いずれか一項記載のCPP磁気抵抗効果素子を備えた磁気記憶装置。
  9. 自由磁化層と、固定磁化層と、前記自由磁化層及び固定磁化層に挟まれた複数の導電性の非磁性中間層と、前記複数の非磁性中間層に挟まれた、絶縁層及び磁性原子を含む磁性層とを有するCPP磁気抵抗効果素子の製造方法であって、
    前記磁性層を酸化処理して前記絶縁層を形成する絶縁層形成工程を備えることを特徴とするCPP磁気抵抗効果素子の製造方法。
  10. 前記絶縁層形成工程は、前記磁性層の一部を酸化処理することを特徴とする請求項9記載のCPP磁気抵抗効果素子の製造方法。
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