JP2002076083A - 構造評価方法,半導体装置の製造方法及び記録媒体 - Google Patents

構造評価方法,半導体装置の製造方法及び記録媒体

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JP2002076083A JP2001180492A JP2001180492A JP2002076083A JP 2002076083 A JP2002076083 A JP 2002076083A JP 2001180492 A JP2001180492 A JP 2001180492A JP 2001180492 A JP2001180492 A JP 2001180492A JP 2002076083 A JP2002076083 A JP 2002076083A
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Minoru Kubo
実 久保
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学的評価方法を用いた評価精度の高い構造
評価方法,半導体装置の製造方法及び記録媒体を提供す
る。 【解決手段】 プロセス条件の初期推定値を設定し、プ
ロセスシミュレータによる半導体デバイスの要素の構造
の推定を行なった後、物理量測定値の予想値を計算す
る。そして、光学的評価方法による半導体デバイスの要
素の物理量の実測値と理論計算値とを互いに比較して、
例えば急速降下法などを利用して、測定された半導体デ
バイスの要素の確からしい構造を求める。この結果を利
用して、他の半導体デバイスの要素に対するプロセスに
おけるプロセス条件を補正することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体デバイスの
要素の製造プロセスの管理に用いる構造評価方法,半導
体装置の製造方法及び記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、酸化膜、窒化膜,ポリシリコン膜
等の薄膜を基板上に形成するプロセスは、半導体デバイ
スの製造において頻繁に用いられている。これらの薄膜
を要素として利用したデバイスを作成し、所望の特性を
得るためには、薄膜の膜厚および物性が所定の範囲内に
収まっている必要がある。一般に、薄膜の物性や膜厚
は、その薄膜を形成するプロセス(以下、薄膜プロセ
ス)の条件とプロセスを行う時間により変化するため、
薄膜プロセスを行った後、形成された薄膜が所定の膜厚
や物性を持っているか評価する。そして、デバイスの量
産工程においては、その評価結果から、形成された薄膜
が所望の膜厚や物性を持っていないことがわかれば、プ
ロセス条件を変更する必要がある。
【0003】ここで、従来の薄膜プロセスの場合、一回
のプロセスで形成される薄膜は、基本的に深さ方向で組
成やその他の物性が大きく変化しないほぼ均質な膜であ
る。一方、Si−MOSトランジスタのゲート部分のよ
うに、ゲート絶縁膜となるシリコン酸化膜上に、ゲート
電極となるポリシリコン膜を積層する例も少なくない
が、これらの場合でも、各層内では組成がほぼ均一で、
各層間の界面が明瞭である場合がほとんどである。
【0004】また、基板上の単層膜および多層膜の各層
の膜厚および組成の評価技術として光学的評価方法があ
り、光学的評価方法の例として、分光エリプソメトリ法
および分光反射率測定法が広く用いられている。
【0005】分光反射率測定法とは、サンプルに光を照
射し、サンプルに照射した光の強度とサンプルから反射
される光の強度との比(反射率)を分光された各波長域
において求める評価方法である。
【0006】分光エリプソメトリ法は、サンプルに直線
偏光した光を照射し、反射光の偏光状態の変化からサン
プルに関する情報を得る評価技術である。直線偏光した
光のうち、電場ベクトルが入射面に平行となっているも
のをp偏光成分、垂直となっているものをs偏光成分と
し、それぞれの複素反射率をRp, Rsとした場合、ρ
≡Rp/Rsはやはり複素数となる。従って、ρは二つ
の実数Ψ,Δを用いてρ≡tan ΨeiΔと表現することが
できる。このΨ,Δの二物理量を各波長の光について測
定してスペクトルを得るのが分光エリプソメトリ法であ
る。
【0007】これらの光学評価法の共通の特徴として、
光が通過する物質の光学定数(屈折率n,消光係数k)
の組み合わせにより光の位相や反射率が変化するため、
測定結果に物質の光学定数の情報が含まれることがあげ
られる。また、被測定対象から取り出される光情報に
は、光の干渉効果が顕著に現れているため、薄膜の膜厚
等により測定結果が大きく変化することが多く、上記の
いずれの評価方法によっても、薄膜の膜厚等の情報を得
ることもできる。
【0008】しかしながら、反射率測定法又は分光エリ
プソメトリ法において、測定された物理量(反射率測定
法の場合は反射率、分光エリプソメトリ法の場合はΨ,
Δ)には、光が通過した経路上のすべての物質の影響が
含まれており、それらの影響を個別に分離された情報と
して直接取り出すことはできない。
【0009】従って、分光反射率測定法もしくは分光エ
リプソメトリ法を用いてサンプルを測定し、薄膜の膜厚
や特性の評価を行う場合には、以下のような実測値と測
定値の予想値の比較という手順を踏む必要がある。
【0010】図10は、従来のサンプル評価及び薄膜の
製造プロセスにおける管理の手順を示すフローチャート
である。
【0011】まず、ステップST201で、あるプロセ
スPにより作成されたサンプルAを、評価方法Mにより
測定し、物理量の実測値(例えばΔ,Ψ)を得る。
【0012】一方、ステップST202で、サンプル構
造の幾何学的モデルを設定し、ステップST203で、
サンプル構造を規定する初期推定値を設定した後、ステ
ップST204で、物理量測定値の理論予想値を計算す
る。つまり、光学的評価を用いる場合には、測定サンプ
ルの構造(n,kプロファイル)を仮定し、このn,k
プロファイルを評価方法Mで評価した際に得られるであ
ろう物理量測定値の理論予想値を計算する。
【0013】そして、ステップST205で、物理量の
実測値と理論予想値とを互いに比較する。このときに、
実測値と理論予想値との差の程度を評価するための評価
値を定義する。
【0014】次に、ステップST206で、評価値が極
小値か否かを判別し、評価値が極小でなければ、ステッ
プST207で新しい推定値の設定を行なってから、ス
テップST204の処理に戻って、ステップST204
〜ST206の処理を繰り返す。
【0015】そして、ステップST206の判別におい
て評価値が極小であると判別されると、ステップST2
08に進んでサンプル構造の推定値を決定した後、ステ
ップST209で、サンプル構造が適正範囲か否かを判
別する。この判別の結果、サンプル構造が適正範囲内に
あれば、ステップST210に進んで、設定したプロセ
ス条件のままで、次の処理を行なう。
【0016】一方、ステップST209における判別の
結果、サンプル構造が適正範囲内にない場合には、ステ
ップST211に移行して、サンプル構造の幾何学モデ
ルが適切であるか否かを判別する。そして、サンプル構
想の幾何学的モデルが適切であれば、ステップST21
2に進んで、構造が異常となった原因を推定し、例えば
温度,時間,ガス流量などを変更するなどの対策を講ず
る。
【0017】また、ステップST211における判別の
結果、サンプル構造の幾何学モデルが適切でないと判断
したときは、ステップST213に移行して、新しい幾
何学モデルを設定してから、ステップST203に戻
り、ステップST203以下の処理を再び行なう。
【0018】ここで、ステップST205で用いられる
評価値としては、通常、正の実数で、実測値と理論予想
値との差が小さいほど小さくなり、両者が完全に一致し
たときに0となるような関数が用いられる。一般的に
は、評価値として、下記式(1)で表される,各波長に
おける実測値と理論予想値の差の二乗を全波長にわたり
加算した分散値σ σ=Σ{aj(Sj −Smodj)2 } (1) を用いることが多い。ただし、Sj は物理量の実測値
で、Smodjは物理量の理論予想値である。また、ajは重
み付け係数であり、重み付け係数ajがすべて1の時には
各波長の情報がすべて同等に評価に用いられるが、サン
プルの構造の特徴の現れやすい波長の寄与が大きくなる
ように、重み付け係数ajの値を1としない場合もある。
【0019】そして、最小自乗法では、この評価値が最
小となる仮定したサンプル構造を測定値とする。つま
り、実測と同じΨ,Δを与えるサンプルの構造(n,k
の深さ方向プロファイル)を探しだし、最も近いΨ,Δ
を与えたサンプルの構造を測定値として用いるのであ
る。しかしながら、分光エリプソメトリ法の場合、サン
プルの微妙な変化、たとえば表面の原子層レベルの光学
定数変化でもΨΔの測定結果が変化するため、ありとあ
らゆるサンプル構造での理論予想値を計算し、実測値と
比較することはできない。
【0020】従って、実際の評価においては、サンプル
の構造を少数のパラメータで表現し、評価値が極小とな
るパラメータ値の組み合わせを、想定した値の範囲内で
求めるという作業を行う。また、評価値はこれらのパラ
メータの関数となるのであるが、一般にこの関数は複雑
なものとなるので、最小値を求めることは実際上極めて
困難である。そこで、最小値の代わりに極小値を利用す
る。極小値であれば、最速降下法等のアルゴリズムで求
めることができる。これらのアルゴリズムでは、パラメ
ーターに対し適当な初期値を与え、評価値が小さくなる
方向にパラメーター値に微小変化を与え、どのような微
小変化でも評価値が増大するような点、すなわち極小点
を求める。ただし、この極小点を用いる方法の場合、求
まった極小点が最小値を与える点であるとは限らない。
【0021】従来の薄膜プロセスで形成される,界面が
明瞭な単一組成の膜同士の積層構造であれば、上記の方
法でも比較的再現性よく薄膜の評価を行うことができ
る。これは、プロセス上できうる構造が単純であるた
め、薄膜の構造を比較的少ないパラメーター数で表現で
きること、実際の薄膜の構造に最も近い薄膜のモデル構
造を与えるパラメーター値の組み合わせ以外に評価値の
極小点が発生しにくいことがその理由である。
【0022】次に、上記従来の光学的評価方法を複数の
元素を含む結晶膜の膜厚や特性の評価に利用することに
ついて考察する。
【0023】近年、結晶層のエピタキシャル成長技術と
いう従来の薄膜プロセスとは異なる性質を持つ技術がH
BT(ヘテロバイポーラトランジスタ)等の作成を中心
に利用され始めている。エピタキシャル成長技術とは、
基板等の下地となる結晶の上に、下地の結晶を構成する
原子の構造に倣った構造を有する新たな結晶を成長させ
る技術である。この技術の場合、膜厚を非常に高い精度
(一般には、1nm程度、特殊な条件下では一原子層ま
で)で制御が可能である。また、成長させる結晶が、広
い組成率の範囲で混晶を形成するSiGe等の材料によ
り構成されている場合、組成率を制御することが可能で
ある。したがって、これらの特性を利用すれば、任意の
プロファイルで深さ方向に近似的に連続的に組成が変化
した状態を作り込むことができる。この特性を利用する
デバイスの一例が傾斜組成SiGe−HBTである。傾
斜組成SiGe−HBTの場合、Ge組成をエミッタ領
域で0とし、ベース領域内でGe組成を徐々に増大させ
るのである。このとき、Ge組成率が高まるとバンドギ
ャップが狭くなることから、内部のキャリアを加速する
方向に電界が発生する。その結果、キャリアのベース走
行時間が短縮され、トランジスタの高速動作が可能とな
る。
【0024】このようなSiGe傾斜組成HBTの場
合、ベース領域内で組成を変えつづけ、三角形のプロフ
ァイルを持たせる場合もあるが、一般には、Ge組成率
が均一なバッファ層を付加した台形プロファイルを採用
する場合が多い。
【0025】図11(a)は、均一組成のSiGeバッ
ファ層の上にSiGe傾斜組成層と、Siキャップ層と
を堆積して構成される積層構造の深さ方向におけるGe
組成率のプロファイルを示す図である。
【0026】このように、エピタキシャル成長技術を利
用し、近似的に連続的に組成が変化するような構造を作
成することが行われだしたため、近似的に連続的に変化
するプロファイルを評価するとともに、そのプロファイ
ルが所定の範囲から逸脱していた場合、補正を行う方法
が必要とされるようになった。
【0027】そこで、このように深さ方向に近似的に連
続的に組成が変化するようなサンプルも、分光エリプソ
メトリ法で評価する試みがなされている。分光エリプソ
メトリ法による評価過程において、任意の組成プロファ
イルをもつサンプルでもΨ,Δの測定は可能である。ま
た、近似的に連続的に変化する組成のプロファイルを、
十分薄い薄膜の積層として近似すれば、Ψ, Δの理論
予想値の計算も可能である。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、SiG
e膜等の複数の元素を含む混晶のエピタキシャル成長に
おいては、以下のような不具合があった。
【0029】均一組成を有する薄膜とは異なり、Ge組
成率を深さ方向に向かって原子層レベルで変化させるこ
とができるSiGeエピタキシャル成長膜では、とり得
るサンプル構造が極端に多くなるものの、設定したプロ
セス条件が正確に実現していれば、できあがった薄膜の
構造は意図した薄膜の構造にほぼ一致するはずである。
【0030】しかし、たとえば図11(a)に示すよう
な台形の傾斜組成プロファイルを有する薄膜の作成を意
図して結晶成長をしたところ、設定した温度とは異なる
温度で結晶が成長されたとすると、できあがった薄膜の
組成のプロファイルは正確な台形のプロファイルとなら
ないことがわかった。
【0031】その理由は、結晶成長速度が基板温度に依
存し、かつ、その依存の仕方がGe組成率により変化す
ることによると考えられる。SiGe膜の成長段階で、
成長中のSiGe結晶のGe組成率が増大すると、結晶
成長における活性化エネルギーが小さくなるため、基板
温度の変化に対する成長速度の変化がSiに比べ小さく
なる。その結果、基準温度でGe組成率が台形プロファ
イルとなる条件で結晶成長を行なった場合、基準温度よ
りも高い温度で成長された傾斜組成SiGe結晶のGe
組成率は下に凸のプロファイルをもち、基準温度よりも
低い温度で成長された傾斜組成SiGe結晶のGe組成
率は上に凸のプロファイルをもつ。
【0032】図11(b)は、基準温度よりも高い温度
で成長された傾斜組成SiGe膜を有する積層構造の深
さ方向におけるGe組成率のプロファイルを示す図であ
る。
【0033】図11(c)は、図11(b)に示すGe
組成率のプロファイルを有する積層膜であるにも拘わら
ず、台形近似を行なったときのGe組成率のプロファイ
ルを示す図である。すなわち、図11(b)に示すGe
組成率のプロファイルを有する積層膜の構造を、分光エ
リプソメトリ法を用い、パラメータとして各層の膜厚と
Ge組成率とを採用した台形モデルでフィットさせた場
合、実際のプロファイルの曲線部分を表現することがで
きないため、トータル膜厚は実際のプロファイルとほぼ
同一となるが、傾斜部分の形状が実際とは異なるプロフ
ァイルを有する構造が、推定値として得られることにな
る。その結果、SiキャップとSiGeバッファ層との
厚みを実際よりも薄いと判断し、SiGe傾斜組成層の
厚みを実際よりも非常に厚いと判断して、成長時間を実
際より長いと評価してしまう。
【0034】ここで、図11(b)に示すようなGe組
成率のプロファイルを簡便に記述する幾何学モデルはな
いので、従来のプロセス条件の補正方法では、積層膜の
各層の成長時間を単純に補正する方法が用いられること
になる。
【0035】図11(d)は、台形近似した結果をもと
に、積層膜の各層の厚みを成長時間を短縮することによ
り補正して形成される積層膜の深さ方向におけるGe組
成率のプロファイルを示す図である。同図に示すよう
に、図11(c)に示す台形近似により得られた積層膜
のプロファイルを推定値として、プロセス条件を補正す
ると、SiGe傾斜組成層を実際よりも厚いと評価し、
これを補正することから、設計値よりも薄いSiGe傾
斜組成層を有する積層膜が形成されることになる。
【0036】つまり、従来用いられている補正方法で
は、幾何学モデルによりGeプロファイルを適切に表現
できないために、正しく評価することができず、誤った
補正を行ってしまう結果となる。
【0037】以上のように、Ge組成率のプロファイル
の構造を、図11(a)に示すように、Siキャップ
層,傾斜組成層,SiGeバッファ層の各層の厚みと、
各層におけるGe組成率との4つで定まる台形で表現し
うるのは、基準温度で成長された膜のみである。したが
って、成長されたSiGe膜等の厚みの実測値をもと
に、成長条件の補正を行なっても、Ge組成率のプロフ
ァイルが常に台形であることを前提としている限り、正
確な補正を行なうことは困難である。
【0038】そこで、膜のGe組成率のプロファイルを
規定するパラメータ数を増やし、台形よりも頂点の多い
多角形でGe組成率のプロファイルを表現すれば、任意
の温度におけるGe組成率のプロファイルを表現するこ
とができる。しかしながら、Ge組成率をプロファイル
を規定するパラメータ数を増やしてしまうと、上述の分
散値xの極小値を与えるパラメータの組み合わせが極め
て多くなるので、現実的な計算量で正しい推定値を得る
ことが困難になる。理論的には、Ge組成率のプロファ
イルのような幾何学モデルの構造を規定するパラメータ
の数を増やせば当然ながら、より実際に近いサンプル構
造を表現し得るはずである。しかしながら、パラメータ
数を増やすと、評価値の極小値を与えるパラメータ値の
組み合わせが、一つに限らなくなってしまう。その結
果、サンプル構造はほとんど同じなのに、分光エリプソ
メトリ法による測定時のノイズなどによるΨ,Δ測定の
微妙なばらつきや、構造モデルに含まれていない構造,
たとえば界面の組成ゆらぎなどの微妙なサンプル構造の
違いにより、測定結果が大きく変化してしまうという不
具合が発生する。
【0039】本発明の目的は、サンプルの測定値からサ
ンプル構造を介してプロセス条件を把握し、その結果を
利用してプロセス条件の補正を行なうことにより、ほぼ
設計通りの構造を得るための構造評価方法,半導体装置
の製造方法及び記録媒体の提供を図ることにある。
【0040】
【課題を解決するための手段】本発明の構造評価方法
は、光学的評価方法により、半導体デバイスの要素の物
理量の複数の実測値を得るステップ(a)と、上記要素
を形成するためのプロセス条件を仮定し、この仮定され
たプロセス条件を用いたプロセスを経て形成される上記
要素の構造を計算により求めるステップ(b)と、上記
ステップ(b)で求められた上記要素の構造を上記光学
的評価方法により評価したときに得られる物理量の複数
の測定値の予想値を計算するステップ(c)と、上記要
素の物理量の上記複数の実測値と上記複数の測定値の予
想値とに基づいて、上記要素の構造を推定するステップ
(d)とを含んでいる。
【0041】この方法により、ステップ(d)では、ス
テップ(b)で得られた現実に採りうる要素の構造に基
づく要素の物理量の測定値の予想値と、物理量の実測値
とに基づいて、要素のもっとも確からしい構造が推定さ
れる。つまり、従来のような一律の構造を前提とした構
造評価とは異なり、プロセス条件の変化に応じて変化す
る物理量の構造を反映した正確な構造評価を行なうこと
ができる。
【0042】上記ステップ(d)では、上記複数の物理
量の実測値と上記複数の測定値の予想値との差を評価す
る数値を計算し、その値がしきい値以下となるまで、上
記ステップ(b),(c)を経て上記要素の構造を推定
することにより、例えば最小自乗法を利用した急速降下
法などのアルゴリズムを利用して、構造評価が容易にな
る。
【0043】上記ステップ(b)では、プロセスシミュ
レータを用いて上記計算を行なうことにより、簡便かつ
迅速に構造評価を行なうことができる。
【0044】予め複数のプロセス条件を用いたプロセス
により要素を形成して、上記光学的評価方法により、こ
の要素の構造を求めておき、上記複数のプロセス条件と
このプロセス条件により形成された要素の構造との相関
関係をデータベース化しておいて、上記ステップ(b)
では、上記相関関係に基づいて上記要素の構造を計算に
より求めることにより、構造評価をより簡便かつ迅速に
行なうことが可能になる。
【0045】上記プロセスが結晶膜のエピタキシャル成
長プロセスである場合、特に、上記結晶膜が複数の元素
を含む結晶膜である場合に、本発明の構造評価方法を適
用することにより、著効を発揮することができる。
【0046】上記結晶膜は、Si及びGeを含みバンド
ギャップが傾斜して変化する構造を含む結晶膜である場
合に、Ge組成率のプロファイルの制御に供しうる構造
評価を行うことができる。すなわち、Ge組成率に応じ
て結晶成長速度が変化することから、Ge組成率のプロ
ファイルが設計通りの傾斜構造にならない場合にも、実
際に起こりうるGe組成率のプロファイルが物理量の測
定値の予想値として演算されるので、この物理量の測定
値の予想値を利用して、実測値が得られた結晶膜におけ
る正確なGe組成率のプロファイルが得られることにな
る。
【0047】上記光学的評価方法は、分光エリプソメト
リ法及び分光反射率測定法のうちいずれか一方であるこ
とが好ましい。
【0048】本発明の半導体装置の製造方法は、半導体
デバイスの要素を含む複数のウェハのうち1つの評価用
ウェハについて、光学的評価方法により、上記要素の物
理量の複数の実測値を得るステップ(a)と、上記評価
用ウェハの上記要素を形成するためのプロセス条件を仮
定し、この仮定されたプロセス条件を用いたプロセスを
経て形成される上記要素の構造を計算により求めるステ
ップ(b)と、上記ステップ(b)で求められた上記要
素の構造を上記光学的評価方法により評価したときに得
られる物理量の複数の測定値の予想値を計算するステッ
プ(c)と、上記評価用ウェハの上記要素の物理量の上
記複数の実測値と上記複数の測定値の予想値とに基づい
て、上記要素の構造を推定するステップ(d)と、上記
評価用ウェハの上記要素の推定された構造と上記複数の
ウェハの設計構造との相違に基づいて、上記複数のウェ
ハのうち少なくとも上記評価用ウェハ以外のウェハにつ
いて、上記プロセスのプロセス条件を修正するか否かを
決定するステップ(e)とを含んでいる。
【0049】この方法により、上述の構造評価法を用い
て、評価用ウェハの要素の構造を正確に把握した上で、
他のウェハについてのプロセス条件の変更・設定が可能
になるので、半導体デバイスの特性の向上及び特性バラ
ツキの低減を図ることができる。
【0050】上記プロセスは、結晶膜のエピタキシャル
成長プロセスである場合、特に、複数の元素を含む結晶
膜である場合に、本発明の半導体装置の製造方法を適用
することにより、著効を発揮することができる。
【0051】上記結晶膜は、Si及びGeを含みバンド
ギャップが傾斜して変化する構造を含む結晶膜である場
合に、Ge組成率のプロファイルの制御を正確に行なう
ことができる。すなわち、Ge組成率に応じて結晶成長
速度が変化することから、Ge組成率のプロファイルが
設計通りの傾斜構造にならない場合にも、実際に起こり
うるGe組成率のプロファイルが物理量の測定値の予想
値として演算されるので、この物理量の測定値の予想値
を利用して、実測値が得られた結晶膜における正確なG
e組成率のプロファイルが得られることになる。
【0052】本発明の記録媒体は、光学的評価法により
半導体デバイスの要素の特性評価を行なうために使用さ
れるコンピュータに組み込み可能な記録媒体であって、
上記半導体デバイスの要素の物理量の複数の実測値を取
り込む手順(a)と、上記要素を形成するためのプロセ
ス条件を仮定し、この仮定されたプロセス条件を用いた
プロセスを経て形成される上記要素の構造を計算により
求める手順(b)と、上記手順(b)で求められた上記
要素の構造を上記光学的評価方法により評価したときに
得られる物理量の複数の測定値の予想値を計算する手順
(c)と、上記要素の物理量の上記複数の実測値と上記
複数の測定値の予想値とに基づいて、上記要素の構造を
推定する手順(d)とをコンピュータに実行させるプロ
グラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
である。
【0053】これにより、上述の構造評価をコンピュー
タを用いて自動的に行なうことが可能になる。
【0054】上記手順(d)では、上記複数の物理量の
実測値と上記複数の測定値の予想値との差を評価する数
値を計算し、その値がしきい値以下となるまで、上記手
順(b),(c)を経て上記要素の構造を推定すること
が好ましい。
【0055】
【発明の実施の形態】−本発明の構造評価方法の基本的
な考え方−本実施形態では、プロセス条件から実際に作
り込まれるGe組成率のプロファイルを計算するプロセ
スシミュレータを利用するので、プロセス条件と成長速
度と、SiGe層中のGe組成率との関係を明らかにし
ておく必要がある。ここでは、UHV−CVD法(超高
真空気相化学堆積法)による結晶のエピタキシャル成長
プロセスの場合を例にとり説明する。
【0056】エピタキシャル成長技術とは、既存の結晶
体の面上に新たな結晶を成長させていく技術である。特
に、本実施形態で用いるUHV−CVD法は、エピタキ
シャル成長プロセスの一種で、結晶成長装置内の真空度
を10-6Pa〜10-7Pa程度まで向上させた後、結晶
成長装置内に原料ガスを導入し、加熱した基板表面と原
料ガスとの化学反応で結晶を成長させる技術である。
【0057】この結晶成長時に、シリコンを含むシラン
(SiH4 )やジシラン(Si2 6 )などのガスを原
料ガスとして用いるとシリコンを成長させることができ
る。また、このシリコンを含むガスと共に、ゲルマニウ
ムを含むゲルマン(GeH4)などのガスを結晶成長装
置内に導入すると、シリコンとゲルマニウムとの混晶で
あるSiGe結晶を成長させることができる。さらに、
シリコンを含むガスとゲルマニウムを含むガスとに加え
て、SiH3 CH3 などの炭素を含むガスを結晶成長装
置内に導入すると、SiGeC結晶を成長させることが
できる。
【0058】SiGe結晶の場合、原理的には混晶に含
まれる各元素の割合(組成率)は任意の値をとることが
できる。このSiGe結晶の各元素の組成率は、結晶を
成長させたときのプロセス条件によって定まる。UHV
−CVD法の場合には、組成率は基板温度や結晶成長装
置内の圧力(全圧)にほとんど依存せず、結晶成長装置
内のシリコンのソースガスの分圧と、ゲルマニウムのソ
ースガスの分圧比だけによって定まる。
【0059】通常、一度成長させた結晶部分は、その後
に高温熱処理等の結晶成長以外のプロセスを行なうまで
は変化しない。例えば、最初結晶成長装置内にジシラン
とゲルマンとを同時に導入してSiGe層を成長させた
後、ジシランのみを導入してSi層を成長させれば、基
板表面上にSiGe層とSi層との二重構造を有する膜
を形成することができる。ジシランとゲルマンとの流量
比を時間的に近似的に連続的に変化させれば、深さ方向
にGe組成率が近似的に連続的に変化するSiGe層を
作り込むことができる。つまり、エピタキシャル成長プ
ロセスにより成長された膜のGe組成率のプロファイル
は、あたかも年輪のように、各層を成長させたときのプ
ロセス条件の履歴により定まる。したがって、希望する
組成率のプロファイルを得るためには、結晶成長の開始
から終了までの成長条件を近似的に連続的に変化させる
必要がある。
【0060】エピタキシャル成長させた膜のある深さ位
置における組成率は、その膜のその深さ位置の部分が成
長しているときのソースガス分圧比で定まるが、どの時
刻のガス流量比がその膜のその深さ位置の部分に対応す
るかは、その深さ位置の部分を成長させるまでにどれだ
けの厚みの膜を成長させたかがわからないと把握するこ
とができない。
【0061】つまり、SiGe膜においては、元の基板
表面を原点にとり、膜の原点から距離dにある部分のG
e組成比x(d)は、当該部分の結晶を成長させたとき
の時刻をt(d)とすると、下記式(2) x(d)= Cm{PSi(t(d)),PGe(t(d)),T(d))} (2) によって表される。ただし、Cmは、ジシラン分圧
Si,ゲルマン分圧PGe及び基板温度Tと、組成比との
関係を表す関数である。
【0062】また、式(2)における変数t(d)は、
結晶成長の開始時刻tを0として、下記式(3) d(t)= ∫(τ=0〜t)gr{PSi(τ),PGe(τ),T(τ)}dτ (3) により求めることができる。ただし、grは、ガス分圧
及び基板温度と成長速度との関係を表す関数である。
【0063】したがって、関数Cm及びgrが既知で、
結晶成長の開始から終了までの任意の時刻のジシラン及
びゲルマンの分圧及び基板温度がわかれば、Ge組成比
(組成率)の深さ方向のプロファイルを規定する値x
(d)を求めることができる。つまり、プロセス条件か
らサンプル構造を推定することができる。なお、具体的
に、これらの関係式(2),(3)は、成長条件を変え
てサンプルを作成することによって求めることができ
る。
【0064】また、関係式(2),(3)は、成長機構
等の情報の蓄積によって、より高精度のものに置き換え
ることができる。また、構造に関しても、対象となる要
素の構造すべてではなく、例えばGe組成率のプロファ
イルなどの特定の構造の評価に必要な程度の精度さえ得
られればよいので、式(2),(3)よりも簡単化され
た近似式を用いることもできる。
【0065】なお、上記式(2),(3)を用いて連立
方程式を解いて、解析的にPSi(τ),PGe(τ),T
(τ)からx(d)を求めてもよいが、式(2),
(3)自体が複雑なために、解が求められない場合もあ
り得る。
【0066】そこで、関係式(2),(3)から各変数
の値を求めて行く数値計算的取り扱いを行なうことも可
能であり、この数値計算的取り扱いを行なった方が簡便
ではある。つまり、解析的取り扱いをすれば、任意の深
さにおける膜の組成比(組成率)を計算することができ
るが、実用上は、組成の深さ方向におけるプロファイル
から分光エリプソメトリ法を用いて得られるΔ,Ψのス
ペクトルの理論予想値を計算する過程において、信頼し
うる予想値を得るために必要な程度の精度で、組成の深
さ方向におけるプロファイルが求まればよい。
【0067】そこで、計算を簡略化するために、結晶成
長プロセスの開始から完了までを、ステップ内では成長
条件が変化しないとみなせる基本ステップの連続とみな
し、各ステップにおけるガス圧力と基板温度と各ステッ
プの時間長さとを与えれば、関数Cm及びgrの関係式
から各ステップで成長された膜の組成と厚み(この場合
は、ステップを行なう時間と成長速度との単純な積にな
る)とが求まり、組成のプロファイルを求めることがで
きる。
【0068】実際、SiGe傾斜組成層を有するHBT
構造のように、近似的に連続的に組成が変化するプロフ
ァイルを有する膜をエピタキシャル成長させる場合に
も、現実にソースガスの分圧を近似的に連続的に変化さ
せるのは困難であるために、短いステップごとにガス分
圧を変化させる方法を採用することがほとんどである。
その場合、各ステップ内では、プロセス条件は通常一定
とみなすことができるので、各ステップごとの組成と成
長速度・膜厚を計算する方法の方が実用的である。
【0069】上述のように、結晶層の成長開始から成長
終了までのプロセス条件(ガス分圧,基板温度)がわか
れば、サンプル構造を推定することができる。このよう
に、プロセス条件からサンプル構造を推定するプログラ
ムは、一般にはプロセスシミュレータと呼ばれている。
したがって、本明細書においても、プロセスシミュレー
タをこのプログラムの意味で用いることにする。
【0070】−製造プロセスの基本手順−図1は、本発
明の実施形態におけるサンプル評価及び薄膜の製造プロ
セスにおける管理の手順を示すフローチャートである。
【0071】まず、ステップST101で、1ロット5
0枚のウェハの製造プロセス(プロセスP)を行なうこ
とを想定した場合に、最初の1枚のウェハ(評価用ウェ
ハ)を、評価方法M(例えば分光エリプソメトリ法)に
より測定し、物理量の実測値(例えばΔ,Ψスペクト
ル)を得る。
【0072】一方、ステップST102で、プロセス条
件の初期推定値を設定し、ステップST103で、プロ
セスシミュレータによるサンプル構造の推定を行なった
後、ステップST104で、物理量測定値の理論予想値
を計算する。
【0073】そして、ステップST105で、物理量の
実測値と理論計算値とを互いに比較する。このときに、
実測値と理論予想値との差の程度を評価するための評価
値を計算する。
【0074】次に、ステップST106で、評価値が極
小値か否かを判別し、評価値が極小でなければステップ
ST107で新しい推定値の設定を行なってからステッ
プST103の処理に戻って、ステップST104〜S
T106の処理を繰り返す。
【0075】そして、ステップST106の判別におい
て評価値が極小であると判別されると、ステップST1
08に進んでサンプル構造の推定値を決定した後、ステ
ップST109で、サンプル構造が適正範囲か否かを判
別する。この判別の結果、サンプル構造が適正範囲内に
あれば、ステップST110に進んで、設定したプロセ
ス条件のままで、次の処理を行なう。
【0076】一方、ステップST109における判別の
結果、サンプル構造が適正範囲内にない場合には、ステ
ップST111に移行して、ステップST108で推定
したプロセス条件のうち,適正範囲からはずれているも
のを補正して、評価用ウェハ以外の他のウェハのプロセ
スを行なう。ただし、評価用ウェハについても再度プロ
セスを行なってもよい。
【0077】−フローチャートの各ステップの説明− 以下、以上の処理の具体的な内容を、傾斜組成SiGe
−HBT構造の評価を行う場合を例にとって説明する。
【0078】ステップST101の物理量の実測値は、
光学的評価方法を用いるものとし、本実施形態において
は、分光エリプソメトリ法を用いる。本発明は、例えば
分光反射率測定法などの他の光学的評価方法を用いても
実施が可能である。特に、物理量としては、光の波長を
変数としたときに変数が複数の実数を採りうるものであ
ることが好ましい。複数の実測値が得られないと、最小
自乗法などを用いた実測値と推定値とのフィッティング
処理を高い精度で行なうことができないからである。
【0079】本実施形態においては、エピタキシャル成
長されたSiGe膜を有するサンプルを、分光エリプソ
メータ法により測定し、複数の波長でのΨ,Δのスペク
トルを得ておく。SiGe膜の光学的定数のGe組成率
依存性は、短波長領域で顕著であるが、波長の短い光は
Siに吸収されやすいので、Ge組成率のプロファイル
評価を行うには紫外から可視光領域にわたって測定を行
っておくことが好ましい。
【0080】図2は、分光エリプソメトリ法による測定
の結果、得られるΔ,Ψスペクトルの例を示す図であ
る。上述のように、スペクトルのサンプルに直線偏光し
た光を照射して、得られた反射光において、電場ベクト
ルが入射面に平行となっているものをp偏光成分、垂直
となっているものをs偏光成分とし、それぞれの複素反
射率をRp, Rsとした場合、ρ≡Rp/Rsはやはり
複素数となる。従って、ρは二つの実数Ψ,Δを用いて
ρ≡tan ΨeiΔと表現することができる。図2は、この
Ψ,Δの二物理量を各波長の光について測定して得られ
たスペクトルである。
【0081】次に、ステップST102では、プロセス
条件の初期値を推定する。ここで、プロセス条件の設定
時には、基板温度と、ジシランおよびゲルマンの流量の
3つの値を指定すれば、成長速度とGe組成率が求まる
ので、傾斜組成を有するSiGe膜を有する積層膜のよ
うな希望するGe組成率の台形プロファイルが得られる
ように、基板温度およびガスの流し方が決定されてい
る。したがって、まず、所望のGe組成率のプロファイ
ル構造を設定し、このプロファイル構造が得られるプロ
セス条件を定めておく必要がある。
【0082】図3(a)〜(d)は、それそれ順に、傾
斜組成SiGe−HBTの積層膜における設計されたG
e組成率のプロファイル,条件がはずれた場合のプロフ
ァイル,プロセスシミュレータを用いた条件の推定用プ
ロファイル,補正後のサンプル構造のプロファイルを示
す図である。
【0083】図3(a)に示すように、傾斜組成SiG
e−HBTの場合、すでに説明したように、ベース層に
キャリアを加速するための内部電界を発生させるため
に、台形のGe組成率のプロファイルを設計する。本実
施形態では、SiGeバッファ層の厚みを40nmと
し、SiGe傾斜組成層の厚みを40nmとし、Siキ
ャップ層の厚みを50nmとして、合計130nmの積
層膜をSi基板上にエピタキシャル成長させるものとす
る。そして、SiGeバッファ層のGe組成率を均一な
15%とする。SiGe傾斜組成層のGe組成率を、S
iGeバッファ層に隣接する部分では15%とし、Si
キャップ層に隣接する部分では0%として、SiGe傾
斜組成層中では、Ge組成率を近似的に直線的(正確に
は段階的)に変化させる。
【0084】図4は、図3(a)に示す台形プロファイ
ル構造を得るためのプロセス条件を示す図である。通
常、制御を容易にするために、成長中は基板温度Tを一
定とし、ジシラン(Si26 )の流量を一定とし、ゲ
ルマン(GeH4 )の流量のみ変調をかけることによ
り、流量比を制御している。つまり、ゲルマンの流量を
段階的に減少させることにより、SiGe膜のGe組成
率を段階的に変化させるのである。この時、ゲルマン流
量を減らしていけばGe組成率を下げることができる
が、同時に成長速度が低下してくるので、求めるプロフ
ァイルとなるようにゲルマンの流量変調をおこなう。
【0085】図5は、ステップST103におけるプロ
セスシミュレータによるサンプル構造の推定手順を示す
フローチャートである。
【0086】まず、ステップST150で、エピタキシ
ャル成長プロセスの開始から終了までを、各ステップ内
ではプロセス条件が一定とみなせる基本ステップの流れ
として表し、ステップST151で、各ステップにおけ
るガス圧力(もしくは流量),基板温度及びステップの
時間長さを与える。具体的には、図4に示すようなプロ
セス条件の流れに沿って、プロセス条件を構成するパラ
メータ(この例では、ゲルマンの流量だけ)が変化する
時刻t0,t1,t2,t3,…を境界として、複数の
基本ステップを定める。
【0087】次に、ステップST152で、原料ガスの
圧力比(又は流量比)から、そのステップで成長する結
晶層の組成(Ge組成率)を計算する。組成が基板温度
依存性を持つ場合には、それも考慮して計算する。つま
り、上述の式(2)に基づいて各ステップにおけるGe
組成率d(t)を求めることに対応する。
【0088】そして、ステップST152で、原料ガス
の圧力及び基板温度から、そのステップで成長する結晶
層の厚み(成長速度と時間の積)を計算し、ステップS
T154で、すべてのステップにおける層の組成,厚み
の計算結果から最終的にできあがる構造を計算する。
【0089】図6は、プロセスシミュレータによって推
定されたGe組成率のエピタキシャル層厚み方向におけ
るプロファイルを示す図である。同図に示すプロファイ
ルは、輪郭をみるとやや上に凸の形状を有していること
がわかる。
【0090】図7は、SiGe層におけるGe組成率の
ゲルマン流量比依存性を示す図である。Ge流量比と
は、ジシラン(Si26 )とゲルマン(GeH4 )と
の合計流量に対するゲルマンの流量比である。ただし、
SiGe層の成長速度は、基板温度およびガス流量に依
存する。UHV−CVD法の場合、基板温度が比較的低
温であるために、ある一定量以上の原料ガスを流して
も、基板表面での反応が追いつかず成長速度がガス流量
に依存しなくなる反応律速領域に容易に突入する。通常
のプロセスはこの反応律速領域でのみ行っている。
【0091】反応律速領域では、成長速度の温度依存性
はいわゆる熱励起過程型となり、成長速度をg、基板温
度をT,活性化エネルギーをEaとした場合、反応速度
gと温度Tとの間には下記 g∝ exp(−Ea/T*k) の関係がある。ただし、kはボルツマン定数である。
【0092】ここで、SiGe層のエピタキシャル成長
においては、活性化エネルギーEaがGe組成率依存性
をもつという特徴があり、Ge組成率が高くなるほど活
性化エネルギーEaの値が小さくなる。その結果、同一
の温度ではGe組成率が高くなるほどSiGe層の成長
速度が増大し、成長速度の基板温度依存性が小さくな
る。
【0093】図8は、SiGe層の成長速度(nm/m
in)のゲルマン流量比依存性を示す図である。図8に
おいては、基板温度587℃の時の成長速度とゲルマン
の流量比との関係が示されている。同図に示されるよう
に、ゲルマン(GeH4 )の流量比が高くなるほど成長
速度が大きくなっている。なお、600℃近傍において
は、基板温度が1℃(1degree)変化すると、Si層
(Ge流量比が0の点)の場合には3%程度の成長速度
の変化が起こるのに対し、Ge組成率15%のSiGe
層では成長速度変化は約2%程度にとどまることがわか
っている。
【0094】以上のように、プロセス条件として、基板
温度、ジシラン流量、ゲルマン流量の3つを設定し、こ
れらの3つの量の成膜プロセス中の任意の時間における
値を指定すればできあがる構造を計算することができ
る。ただし、実際のプロセスにおいて、プロセス条件が
設定条件からずれているとき、ガス流量が設定値からず
れていることはまれで、ほとんどの場合、基板温度が設
定値からずれている。また、基板温度は時間とともに変
化することはほとんどないので、構造推定のパラメータ
としては、基板温度を一定の値の変数とする1つの変数
を設定するだけで十分なことが多い。 もちろん、状況
によっては、ガス流量がずれる場合や、基板温度が時間
とともに変化するような場合もあるので、かかる場合に
は、それらの値もフィッティングパラメータとすること
ができる。このように、プロセス条件から構造を推定す
る方法を用いれば、実際に作成され得る構造をすべてパ
ラメータで表現することが可能になる。
【0095】なお、プロセス条件から構造を推定する方
法としては、先に述べたような一定の成長温度と、一定
のガス流量比と、成長速度と、Ge組成率との関係を明
らかにしておき、任意の成長条件における構造を計算す
る方法をとることができるが、この方法とは別に、あら
かじめプロセス条件を幾通りかに分けてサンプルを作成
しておき、その時にできあがる構造とプロセス条件値の
関係を求めておいて、サンプルを作成した以外の条件に
おけるサンプル構造を補間により求める方法をとること
もできる。プロセスパラメータの数が少ない場合にはこ
の方法が簡便である。
【0096】次に、ステップST104では、図8に示
すGe組成率のプロファイル構造に基づいて、分光エリ
プソメトリ法により、このような構造を有する積層膜の
光学的評価を行うと得られるであろうΔ,Ψのスペクト
ル(物理量の理論予想値)を計算する。つまり、Ge組
成率のプロファイルに応じて光学定数の深さ方向におけ
るプロファイルが計算でき、その光学定数のプロファイ
ルに応じて、この積層膜の分光エリプソメトリ法又は分
光反射率測定法による測定値の理論予想値を計算するこ
とができる。
【0097】この理論予想値の具体的な計算方法につい
ては、Azzam et. al. による“Ellipsometry and Polar
ized Light (Elsevier Science Ltd Published 1987
)”に詳述されている。その計算原理は、サンプル
を、層内では光学定数が一定である多数の層からなる積
層膜であるとして、各層における光の伝播及び各界面で
の反射率及び透過率を各層の光学定数から求めることに
ある。つまり、各層の組成と光学定数(屈折率n,消光
係数k)との関係が既知であれば、プロセスシミュレー
タで推定した積層膜の構造を光学的に評価したときの物
理量の測定値を予想することができる。
【0098】SiGe又はSiGeCの組成と光学定数
との関係は、例えば論文“R.T.Carline et.al. Appl.Ph
ys.Lett. 64 No.9 p.1114-1116,1994 ”に記載されてお
り、任意の組成から光学定数を計算するアルゴリズムに
ついては、例えば論文“Snyder et.al. Appl.Phys. 68
No.11 p.5925-5926,1990 ”に記載されている。
【0099】したがって、プロセスシミュレータにプロ
セス条件値を入力すれば、サンプル構造を計算すること
ができ、そのサンプル構造から得られる分光エリプソメ
トリ法による測定値の理論予想値を計算することができ
る。
【0100】図9は、本発明者達が図6に示すGe組成
率のプロファイルを有する積層膜からシミュレーション
を行なったΔ,Ψのスペクトル(理論予想値)である。
なお、図9に示すスペクトルのシミュレーションにおい
ては、用いたエリプソメトリ分光装置固有の装置定数を
考慮に入れている。したがって、同じ構造の積層膜につ
いて、他のエリプソメトリ分光装置を用いて測定するこ
とを前提とする場合には、図9に示すと同じスペクトル
が得られるとは限らない。
【0101】次に、ステップST105では、図2に示
す実際の測定値と図9に示す理論予想値とを比較する。
そして、例えば式(1)に示す分散値σを評価値として
求め、ステップST106で評価値が極小か否かを判別
して、評価値が極小になるまではステップST107か
らステップST103に戻る処理を繰り返す。このと
き、ステップST107の処理では、新しい推定値とし
て、基板温度Tのみを図4に示す600℃から例えば1
℃だけ変化させたプロセス条件を設定し、このプロセス
条件に基づいてステップST103におけるサンプル構
造の推定を行なう。
【0102】プロセス条件としては、基板温度,ジシラ
ン流量,ゲルマン流量の3つを設定しているので、ステ
ップST107においても、これらの3つの量の成膜プ
ロセス中の任意の時間における値を新たに設定すること
もできる。ただし、上述のように、実際のプロセスにお
いて、プロセス条件のうち設定からずれるのはほとんど
の場合基板温度Tであるので、この例では、構造推定の
パラメータとして、基板温度Tの1変数だけを用いる。
【0103】そして、急速降下法を用いる場合には、ス
テップST107の処理で、基板温度Tを変化させたと
きの評価値の微分係数に基づいて、評価値が極小に達す
る確率がもっとも大きいであろうと思われる方向に、基
板温度Tの値が補正され、評価値が極小に収束すること
になる。
【0104】次に、ステップST108では、ステップ
ST101で求められた物理量(図2に示すΔ,Ψのス
ペクトル)に基づいて、もっとも確からしいプロセス条
件の推定値が求められる。そして、ステップST109
の判別で、プロセス条件が適正範囲(例えば600℃±
0.5℃)からはずれている場合には、ステップST1
11で、その条件を補正する。つまり、ステップST1
09からST110又はST111に進む処理により、
プロセス条件を修正するか否かを決定することになる。
【0105】例えば、図2に示される物理量の実測値
が、基板温度Tが600℃よりも2℃低い条件でエピタ
キシャル成長された積層膜から得られたものであると推
定された場合、基板温度Tを規定するパラメータを基板
温度Tが2℃高くなるように変更して、以後のウェハに
ついてプロセスを行なう。これにより、異常原因に対し
適切な対処が行えるために、次回からは求めるプロファ
イルを持った構造を形成することができる。
【0106】−実施形態の効果− 実際のトランジスタを作成するための結晶成長プロセス
の場合、結晶成長までにすでに基板内には絶縁膜やポリ
シリコン層などが形成されている。このようにパターン
がすでに形成された基板の場合、熱輻射率などの違いか
ら、パターンが形成されていないSi基板と同じ加熱の
仕方を行っても同じ温度にはならない。また、同じ種類
のパターンを有する基板でも、絶縁膜層の厚みの工程ば
らつきにより成長温度は変化する。従って、実際に評価
しなければならないサンプルは、温度がずれた状態で成
膜された,Ge組成率のプロファイルに曲線部分をもつ
ものとなっていることが多い。また、基板温度を面内で
均一とすることは非常に困難であり、基板面内で温度が
それぞれ違った状態で成膜された部分が形成されること
になる。その場合、従来の方法では、図11(c)に示
すような,実際には積層膜が有しないであろうと考えら
れる構造を前提として、分光エリプソメトリ法などによ
る物理量の測定値の理論予想値を推定している。よっ
て、図11(d)に示すように、設計からずれた物理的
構造(例えば、Ge組成率のプロファイル構造)しか得
られないことになる。
【0107】それに対し、本実施形態によると、以下の
ように、実際に起こりうる構造を予想して、温度が標準
条件からずれていることを把握し、それに基づく条件補
正が可能になる。
【0108】たとえば、図3(a)に示す台形プロファ
イル構造を設計値としてプロセス条件を設定したとこ
ろ、図3(b)に示すプロファイル構造が得られている
場合に、ステップST107からステップST103に
戻ってステップST103〜ST106の処理を繰り返
す段階で、現実に積層膜が有しているであろうもっとも
確からしいプロファイル構造が得られる。
【0109】つまり、図3(c)に示すように、基板温
度Tが設定値よりも高いときに発生する,上に凸の形状
か、基板温度Tが設定値よりも低いときに発生する,下
に凸の形状かという情報を含め、積層膜中の各層(Si
Geバッファ層,SiGe傾斜組成層及びSiキャップ
層)の組成及び膜厚に関する情報が得られる。そして、
その情報に基づいてプロセス条件を補正するので、以後
のプロセスにおいては、図3(d)に示すようなほぼ設
計通りの台形プロファイルを有する積層膜を形成するこ
とができる。
【0110】言い換えると、本実施形態では、実際に積
層膜が有していると推定されるプロファイル構造を前提
として、分光エリプソメトリ法などによる物理量の測定
値の理論予想値を推定する。その結果、設計通りの構造
(ここでは、Ge組成率の台形プロファイル構造)を得
ることができる。
【0111】すなわち、半導体デバイスの特性の向上及
び特性のバラツキの低減を図ることができる。
【0112】(その他の実施形態)なお、評価値の計算
のアルゴリズムとしては、基本的に従来の方法のアルゴ
リズムを用いることができ、た式(1)に示す分散値以
外の評価値を用いることもできる。また、極小値の判定
アルゴリズムとして、急速降下法に代えて、他の既存の
極小値判定のためのアルゴリズムを用いることができ
る。
【0113】また、ステップST109の判別処理は、
デバイス構造(Ge組成率のプロファイル構造)の推定
値が許容範囲内にあるかどうかの判断に代えてもかまわ
ない。
【0114】さらに、評価装置と成膜処理を行なう製造
装置間に通信機能をもたせ、評価結果に基づいて、自動
的に次のプロセスを補正するようにしてもよい。これ
は、評価装置を製造装置と共通の筐体内に収納するよう
な構成をとった場合に、特に有効である。
【0115】このようなプロセスシミュレーションによ
る構造推定と、物理量の理論予想値と実測値の比較をお
こなうフィッティング手順は、物理量の実測値を測定す
る装置と別の装置でおこなうことも可能ではあるが、測
定器内にこのフィッティング手順をおこなうアルゴリズ
ムを格納したハードディスクを内蔵したコンピュータを
配備しておくと、物理量の測定から最終サンプル構造の
推定まで一貫しておこなえるので好ましい。
【0116】また、図1に示すフローチャートに示す処
理は、その手順を記録媒体に記録しておくことにより自
動的に行なうことができる。例えば、ステップST10
2〜ステップST107の手順をコンピュータで読みと
り可能な記録媒体にプログラムとして記録しておくこと
により、制御対象の構造が形成されたプロセス条件を自
動的に推定することができる。記録媒体としては、例え
ば、CD−ROM,磁性体を利用した磁気テープ,FD
などの他、EEPROMなどの不揮発性メモリ、DVD
などがあり、いずれを用いてもよい。
【0117】なお、本発明の実施に際し、サンプル構造
のすべての部分をプロセスシミュレータで行う必要は無
い。例えば傾斜組成HBT構造の場合、SiGeバッフ
ァ層部分や、Siキャップ層のように均一組成の膜とな
るような部分は、従来のように膜厚や組成率を直接パラ
メータとして用い、SiGe傾斜組成層のみプロセスシ
ミュレータを用いたほうが簡便となる場合がある。この
場合でも、従来の方法に比べ、SiGe傾斜組成層のプ
ロファイルを適切に表現できるようになるために、評価
精度は従来の方法に比べ格段に向上する。
【0118】上記実施形態では、UHV−CVD法によ
るSiGe傾斜組成HBT構造を作成し、分光エリプソ
メトリ法で評価する場合を示したが、本発明はこの組み
合わせに限定されるものではない。たとえば分光反射率
測定法と分光エリプソメトリ法とは共通点が多いので、
図1のフローチャートに示す手順のうち、実測し理論予
想値を計算する物理量を、Ψ,Δから反射率に置き換え
るだけでほとんど同じように実施することができる。そ
れ以外の評価方法でも、サンプル構造を推定し、物理量
の理論予想値の計算さえできれば本発明の実施は可能で
ある。
【0119】また、UHV−CVD法でなくても、プロ
セス条件とそのプロセス条件を用いると形成されるであ
ろう構造との関係が明らかになっており、プロセスシミ
ュレータが開発できるようなプロセスであれば、本発明
の実施が可能である。例えば、LP−CVD法、MBE
法によるエピタキシャル成長などでは容易に実施可能で
ある。また、不純物拡散や活性化、シリサイド形成のた
めのRTA処理ではプロセス条件が、温度と時間といっ
た非常に少数のパラメータで制御されるのに対し、形成
される構造は非常に複雑なプロファイルをもつので、本
発明の実施に適している。
【0120】また、酸化膜や窒化膜といった単純な構造
をもつ膜でも、本発明の方法によって補正すべきプロセ
ス条件値が容易に求まるので、本発明を適用することに
より、プロセスの改善効果を得ることができる。
【0121】ただし、本発明は、特に複数の元素によっ
て構成され、しかもその組成が変化する構造を有するも
のに適用することに、特に意義がある。このような構造
の場合には、組成が変化すると成長状態(例えば成長速
度)もそれに応じて変化することが多いので、従来の方
法では正確な構造を把握したり、正確な条件補正を行な
うことが困難である。それに対し、本発明のごとく、プ
ロセス条件を変化させたときに実際に起こりうる物理量
(構造)を把握してから、これに基づいて物理量の測定
値を予測することにより、複雑に変化する膜などの構造
をほぼ設計通りに制御することが可能になる。かかる複
数の元素によって構成される膜の例としては、SiGe
結晶膜の他、SiGeC結晶膜,AlGaAs結晶膜,
Siy 1-y 膜,InP膜などの化合物半導体膜があ
り、いずれの半導体膜に対しても本発明を適用すること
ができる。
【0122】
【発明の効果】本発明によると、半導体デバイスの要素
の構造を現実に起こりうる構造を媒介として光学的評価
法による実測値を予想し、この予想値を実測値と比較し
て半導体デバイスの要素の構造を評価するので、実際に
起こりうる構造を反映した正確な構造評価,これを利用
した半導体デバイス及びこれを自動的に行なうための記
録媒体の提供を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態におけるサンプル評価及び薄
膜の製造プロセスにおける管理の手順を示すフローチャ
ートである。
【図2】分光エリプソメトリ法による測定の結果得られ
るΔ,Ψスペクトルの例を示す図である。
【図3】(a)〜(d)は、それそれ順に、傾斜組成S
iGe−HBTの積層膜における設計されたGe組成率
のプロファイル,条件がはずれた場合のプロファイル,
プロセスシミュレータを用いた条件の推定用プロファイ
ル,補正後のサンプル構造のプロファイルを示す図であ
る。
【図4】図3(a)に示す台形プロファイル構造を得る
ためのプロセス条件を示す図である。
【図5】プロセスシミュレータによるサンプル構造の推
定手順を示すフローチャートである。
【図6】プロセスシミュレータによって推定されたGe
組成率のエピタキシャル層厚み方向におけるプロファイ
ルを示す図である。
【図7】SiGe層におけるGe組成率のゲルマン流量
比依存性を示す図である。
【図8】SiGe層の成長速度のゲルマン流量比依存性
を示す図である。
【図9】図6に示すGe組成率のプロファイルを有する
積層膜からシミュレーションを行なったΔ,Ψのスペク
トルである。
【図10】従来のサンプル評価及び薄膜の製造プロセス
における管理の手順を示すフローチャートである。
【図11】(a)〜(d)は、それそれ順に、傾斜組成
SiGe−HBTの積層膜における設計されたGe組成
率のプロファイル,条件がはずれた場合のプロファイ
ル,一律構造を仮定した従来の推定プロファイル,補正
後のサンプル構造のプロファイルを示す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // G01J 3/28 G01J 3/28 4/04 4/04 (72)発明者 久保 実 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 神澤 好彦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2G020 AA04 BA04 BA18 CA03 CA15 CB43 CD04 CD12 CD22 2G059 AA03 BB10 EE02 EE12 HH02 4M106 AA01 BA10 BA20 CA48 CB21 DH03 DH12 DH31 DJ17 DJ18 DJ20 DJ21 5F045 AA07 AB02 AB05 AC01 BB16 CA02 DA58 DA63 GB13 GB17

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的評価方法により、半導体デバイス
    の要素の物理量の複数の実測値を得るステップ(a)
    と、 上記要素を形成するためのプロセス条件を仮定し、この
    仮定されたプロセス条件を用いたプロセスを経て形成さ
    れる上記要素の構造を計算により求めるステップ(b)
    と、 上記ステップ(b)で求められた上記要素の構造を上記
    光学的評価方法により評価したときに得られる物理量の
    複数の測定値の予想値を計算するステップ(c)と、 上記要素の物理量の上記複数の実測値と上記複数の測定
    値の予想値とに基づいて、上記要素の構造を推定するス
    テップ(d)とを含む構造評価方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の構造評価方法におい
    て、 上記ステップ(d)では、上記複数の物理量の実測値と
    上記複数の測定値の予想値との差を評価する数値を計算
    し、その値がしきい値以下となるまで、上記ステップ
    (b),(c)を経て上記要素の構造を推定することを
    特徴とする構造評価方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の構造評価方法に
    おいて、 上記ステップ(b)では、プロセスシミュレータを用い
    て上記計算を行なうことを特徴とする構造評価方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のうちいずれか1つに記載
    の構造評価方法において、 予め複数のプロセス条件を用いたプロセスにより要素を
    形成して、上記光学的評価方法により、この要素の構造
    を求めておき、上記複数のプロセス条件とこのプロセス
    条件により形成された要素の構造との相関関係をデータ
    ベース化しておいて、 上記ステップ(b)では、上記相関関係に基づいて上記
    要素の構造を計算により求めることを特徴とする構造評
    価方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のうちいずれか1つに記載
    の構造評価方法において、上記プロセスは、結晶膜のエ
    ピタキシャル成長プロセスであることを特徴とす る構造評価方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の構造評価方法におい
    て、 上記結晶膜は、複数の元素を含む結晶膜であることを特
    徴とする構造評価方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の構造評価方法におい
    て、 上記結晶膜は、Si及びGeを含みバンドギャップが傾
    斜して変化する構造を含む結晶膜であることを特徴とす
    る構造評価方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のうちいずれか1つに記載
    の構造評価方法において、 上記光学的評価方法は、分光エリプソメトリ法及び分光
    反射率測定法のうちいずれか一方であることを特徴とす
    る構造評価方法。
  9. 【請求項9】 半導体デバイスの要素を含む複数のウェ
    ハのうち1つの評価用ウェハについて、光学的評価方法
    により、上記要素の物理量の複数の実測値を得るステッ
    プ(a)と、 上記評価用ウェハの上記要素を形成するためのプロセス
    条件を仮定し、この仮定されたプロセス条件を用いたプ
    ロセスを経て形成される上記要素の構造を計算により求
    めるステップ(b)と、 上記ステップ(b)で求められた上記要素の構造を上記
    光学的評価方法により評価したときに得られる物理量の
    複数の測定値の予想値を計算するステップ(c)と、 上記評価用ウェハの上記要素の物理量の上記複数の実測
    値と上記複数の測定値の予想値とに基づいて、上記要素
    の構造を推定するステップ(d)と、 上記評価用ウェハの上記要素の推定された構造と上記複
    数のウェハの設計構造との相違が許容範囲外である場合
    には、上記複数のウェハのうち少なくとも上記評価用ウ
    ェハ以外のウェハについて、上記プロセスのプロセス条
    件を補正するステップ(e)とを含む半導体装置の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の半導体装置の製造方
    法において、 上記プロセスは、結晶膜のエピタキシャル成長プロセス
    であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の半導体装置の製造
    方法において、 上記結晶膜は、複数の元素を含む結晶膜であることを特
    徴とする半導体装置の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の半導体装置の製造
    方法において、 上記結晶膜は、Si及びGeを含みバンドギャップが傾
    斜して変化する構造を含む結晶膜であることを特徴とす
    る半導体装置の製造方法。
  13. 【請求項13】 光学的評価法により半導体デバイスの
    要素の特性評価を行なうために使用されるコンピュータ
    に組み込み可能な記録媒体であって、 上記半導体デバイスの要素の物理量の複数の実測値を取
    り込む手順(a)と、 上記要素を形成するためのプロセス条件を仮定し、この
    仮定されたプロセス条件を用いたプロセスを経て形成さ
    れる上記要素の構造を計算により求める手順(b)と、 上記手順(b)で求められた上記要素の構造を上記光学
    的評価方法により評価したときに得られる物理量の複数
    の測定値の予想値を計算する手順(c)と、 上記要素の物理量の上記複数の実測値と上記複数の測定
    値の予想値とに基づいて、上記要素の構造を推定する手
    順(d)とをコンピュータに実行させるプログラムを記
    録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載の記録媒体におい
    て、 上記手順(d)では、上記複数の物理量の実測値と上記
    複数の測定値の予想値との差を評価する数値を計算し、
    その値がしきい値以下となるまで、上記手順(b),
    (c)を経て上記要素の構造を推定することを特徴とす
    る記録媒体。
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