JP2017143241A - 気相成長速度測定装置、気相成長装置および成長速度検出方法 - Google Patents

気相成長速度測定装置、気相成長装置および成長速度検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基板上薄膜の成長速度を簡易かつ精度よく検出可能な気相成長装置及び成長速度検出方法を提供する。
【解決手段】気相成長装置1は、ウエハWに成膜を行うチャンバ2と、このチャンバ2内のウエハWに原料ガスを供給するガス供給部3と、チャンバ2の上部に位置する原料放出部4と、チャンバ2内でウエハを支持するサセプタ5と、このサセプタを保持して回転する回転部6と、ウエハを加熱するヒータ7と、チャンバ内のガスを排出するガス排出部8と、このガス排出部からガスを排気する排気機構9と、ウエハの温度を測定する放射温度計10と、各部を制御する制御部11とを備える。原料放出部の上面に設けられている放射温度計は、光源からの光をウエハに照射し、その反射光を受光して、ウエハの反射光強度を測定し、ウエハの膜成長面Waからの、熱輻射光強度を測定する。熱輻射光強度と反射率から、ウエハの温度を求める。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、気相成長速度測定装置、気相成長装置および成長速度検出方法に関する。
基板上に薄膜を形成する際に、形成されている薄膜の光学定数や薄膜が形成される速さをその場で測定することは、膜形成プロセスの制御を行う上で有用である。つまり、形成されている薄膜の光学定数から、目的とする材料の薄膜が形成されているのか、あるいは薄膜の形成される速さから、目的の膜厚の薄膜が形成されているのか、などが膜の形成中にその場で判定できるからである。ここで、薄膜が形成される速さは、形成されている薄膜の厚みを薄膜の形成時間で割ったものであり、ナノメータ/分、ミクロン/時間など厚みを時間で割った単位で表される。以下、この薄膜が形成される速さのことを、成長速度と呼ぶ。
薄膜を再現性良く、広い面積にわたり均一に形成する手法としては有機金属化学気相成長法(MOCVD)、分子線エピタクシー法(MBE)、スパッタリング法など、気相中で製膜する方法(気相成長法)がよく知られており、これらは工業的な薄膜形成方法として重要である。これらの気相成長法で形成される薄膜の光学定数や成長速度をその場で観察する手法として、光の反射率の経時変化をモニターする方法が知られている。この方法では、薄膜の形成装置の壁面に設けた光学窓を通して薄膜が形成されている測定対象に光を照射し、ある特定の波長の光の反射率を成膜プロセス中に計測する。薄膜を形成する基板の表面が鏡面である場合、この薄膜に照射される光は、形成される薄膜の表面での反射光と、基板と薄膜との界面での反射光との干渉効果によって、観測される反射率が薄膜の膜厚に対して周期的に変化する。膜厚に対する反射率の変化の周期、反射率の最小値、最大値などの値から、形成される薄膜の光学定数や膜厚を計算することができ、また薄膜の成膜時間から成長速度を計算することができる。
以下、反射率の膜厚依存性から、形成する膜の光学定数および成長速度を計算する方法を説明する。
光が基板に対して垂直に入射する場合、空気(屈折率=1)と基板上に成膜される薄膜(屈折率=n、吸収係数=0)との界面での電界の反射率をrとすると、rは、以下の(1)式で表される。なお、以下本実施形態において、「空気」を「真空」、「気体」と読み替えてもよい。
=(1−n)/(1+n) …(1)
薄膜と基板の界面での反射率rは、基板の吸収係数kと、基板の屈折率nを用いると、以下の(2)式で表される。
=(n−ik−n)/(n+ik+n) …(2)
なお、式(2)中、iは虚数単位である。
実際の薄膜からの反射光は、空気と薄膜との界面での反射光と、空気と薄膜との界面を透過した後、薄膜の基板側の界面と空気側の界面の間をp回(pは1以上の整数)往復した後、薄膜と空気との界面を透過して空気側へ戻る光のすべてを足し合わせたものになる。また、光が薄膜の内部を通過する際に、位相が変化するため、この位相の変化も考慮に入れると、反射光の電界Erは、以下の(3)式で表される。
r=E00+E0(1−r0 2)r1・exp(i2φ){1−r10・exp(i2φ)
+(−r10)2exp(i4φ)+…}
=E00+E0(1−r0 2)r1・exp(i2φ)/{1+r10・exp(i2φ)}
=E0{r0+r1・exp(i2φ)}/{1+r10・exp(i2φ)} …(3)
(3)式におけるE0は、薄膜に照射される光の電界である。よって、薄膜の電界反射率rは、以下の(4)式で表される。
r=Er/E0={r0+r1・exp(i2φ)}/{1+r10・exp(i2φ)} …(4)
ここで、薄膜の内部を光が1往復する際に生じる位相差(以下、位相という)φは、薄膜の屈折率n、薄膜の膜厚d、光の波長λを用いると、以下の(5)式で表される。
φ=2πnd/λ …(5)
(5)式に示すように、位相φは、膜厚dに比例し、膜厚dが増えるにつれて線形に増加する。観測される光の反射率(エネルギー反射率)は電場の反射率の振幅の2乗に比例する。つまり、電場の反射率およびエネルギー反射率は膜厚の周期関数になる。逆に、薄膜の膜厚が成長時間に比例すると仮定すると、反射率の時間変化から(1)、(2)式を通して(4)式に使われるn、n、k、成長速度(d/時間)を求めることができる。
上記の例は基板上に単一の膜を形成する場合であるが、基板上に1層以上の薄膜を形成した後、さらに薄膜を形成する場合にも同様の方法を用いることができる。つまり、基板上に2層以上の薄膜を形成した場合、反射率の最表面の層の膜厚依存性だけでは、最表面の層より基板側にある層の屈折率や膜厚を決定することはできない。しかし、最表面の層を除く基板を含めた複数の層を仮想的に屈折率ns‘と吸収係数ks’を持つ基板とみなし、反射率の最表面の層の膜厚依存性から、最表面の層の屈折率と成長速度を決定することができる。
特許5050044号公報
上述の反射率を計測して形成される薄膜の光学定数や成長速度を求めるためには、膜厚に対する反射率の周期が推定できる程度の膜厚が必要である。膜厚が非常に薄い場合、反射率の膜厚に対する変化は、周期変化のごく一部分のみになるので、反射率が周期的に変化する膜厚を求めることができない。正確に周期的に反射率が変化する膜厚を推定するためには、少なくとも反射率が1周期の1/4程度変化する膜厚が必要である。この膜厚は、反射率の測定に用いる光の波長と、形成される薄膜の屈折率にもよるが、上記の波長、屈折率をそれぞれ、700nm、2とすると、おおよそ50nm程度と見積もられる。
一方、形成する薄膜の厚みが小さいものの具体例としては、青色発光ダイオードの活性層に用いられる多重量子井戸構造(MQW、Multiple Quantum Well)が挙げられる。これはInGaN層(量子井戸層、以下、井戸層とも呼ぶ)とGaN層(以下、バリア層とも呼ぶ)の薄膜の積層構造で、InGaN層、GaN層とも厚みが数nm程度のものを複数回繰返し積層したものである。これらのInGaN層やGaN層の単独の層の厚みは上述の、反射率の変化から膜厚が推定できる膜厚である50nmよりはるかに小さく、InGaN層あるいはGaN層の単独の層について、膜厚や光学定数を求めることはできない。さらに、InGaN層とGaN層の薄膜形成温度は数十℃程度の差を設けることが一般に行われている。基板の上に薄膜を形成したものの反射率は温度にも依存するため、上記の多重量子井戸などの構造での、反射率を基にした解析がさらに困難になる。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、基板上の薄膜の成長速度を簡易かつ精度よく検出可能な気相成長速度測定装置、気相成長装置および成長速度検出方法を提供するものである。具体的には、反射率を計算するためのパラメータのうちいくつかについて温度に依存するとし、これらのパラメータを温度変化に伴う反射率の変化のフィッティングパラメータとして取り込むことで、温度変化を伴うMQW層のような薄膜積層膜の成長においても、成長速度や屈折率を求めることができることを見出した。
一実施形態によれば、基板の複素屈折率と、前記基板上に形成される各薄膜の屈折率と、各薄膜の成長速度と、少なくとも一つの温度依存性を有するパラメータと、を含むフィッティングパラメータのそれぞれについて初期値を設定する初期パラメータ設定部と、
前記各薄膜の成長時間と、設定された前記各薄膜の前記成長速度と、に基づいて、前記各薄膜の膜厚を算出する膜厚算出部と、
前記温度依存性を有するパラメータとして、成長温度に応じた値を選択するパラメータ選択部と、
前記各薄膜が形成された基板の反射率を測定する反射率計と、
前記フィッティングパラメータの値を用いて前記各薄膜が形成された基板の反射率を算出する反射率算出部と、
前記各薄膜の成膜開始後の複数の時刻において、前記反射率算出部で算出された反射率と、対応する薄膜の前記反射率計で測定された反射率の実測値と、の誤差を算出する誤差算出部と、
前記誤差が所定値以上の場合は、前記フィッティングパラメータの少なくとも一部の値を変更するパラメータ変更部と、
前記誤差が前記所定値未満のときの前記フィッティングパラメータの値に基づく各薄膜の成長速度を出力する成長速度出力部と、
を備える気相成長速度測定装置が提供される。
前記温度依存性を有するパラメータは、前記基板上の最表面の薄膜の成長温度に応じて変化する前記基板の複素屈折率であってもよい。
前記温度依存性を有するパラメータは、前記基板の温度依存性のない複素屈折率に乗じる係数であってもよい。
前記温度依存性を有するパラメータは、前記基板と、前記基板上の最下段の薄膜との間に配置された仮想的な中間層の膜厚および屈折率の少なくともいずれかであってもよい。
前記温度依存性を有するパラメータは、前記基板上の最表面の薄膜の位相オフセットであってもよい。
前記膜厚算出部、前記パラメータ選択部、前記反射率算出部、前記誤差算出部および前記パラメータ変更部の各処理は、前記誤差が所定値未満になるまで繰り返し行われてもよい。
本発明の他の一態様によれば、基板に気相成長反応により薄膜を形成する反応室と、
前記反応室にガスを供給するガス供給部と、
前記基板を加熱する加熱手段と、
前記薄膜が形成された基板の反射率を測定する反射率計と、
前記基板の複素屈折率と、前記基板上に形成される各薄膜の屈折率と、各薄膜の成長速度と、少なくとも一つの温度依存性を有するパラメータと、を含むフィッティングパラメータについて、それぞれ初期値を設定する初期パラメータ設定部と、
前記各薄膜の成長時間と、前記各薄膜の成長速度と、に基づいて、前記各薄膜の膜厚を算出する膜厚算出部と、
前記温度依存性を有するパラメータについて、成長温度に応じた値を選択するパラメータ選択部と、
前記フィッティングパラメータの値を用いて前記各薄膜が形成された基板の反射率を算出する反射率算出部と、
前記各薄膜の成膜開始後の複数の時刻において、前記反射率算出部で算出された反射率と、対応する薄膜が形成された基板の前記反射率計で測定された反射率の実測値と、の誤差を算出する誤差算出部と、
前記誤差が所定値以上の場合は、前記フィッティングパラメータの少なくとも一部の値を変更するパラメータ変更部と、
前記誤差が前記所定値未満のときの前記フィッティングパラメータの値に基づく各薄膜の成長速度を出力する成長速度出力部と、を備える気相成長装置が提供される。
本発明の他の一態様によれば、基板の複素屈折率と、前記基板上に形成される各薄膜の屈折率と、各薄膜の成長速度と、少なくとも一つの温度依存性を有するパラメータと、を含むフィッティングパラメータについて、それぞれ初期値を設定し、
成長時間を測定し、前記成長時間と前記各薄膜の成長速度の設定値とから、前記各薄膜の膜厚を算出し、
前記温度依存性を有するパラメータについて、成長温度に応じた値を選択し、
前記フィッティングパラメータの値を用いて前記各薄膜が形成された基板の反射率を算出し、
前記各薄膜の成膜開始後の複数の時刻において、算出された前記反射率と、対応する薄膜が形成された基板の反射率の実測値と、の誤差を算出し、
前記誤差が所定値以上の場合は、前記フィッティングパラメータの少なくとも一部の値を変更して、再度前記各薄膜が形成された基板の反射率を算出し、前記実測値との誤差を算出し、
前記誤差が所定値未満となったときの前記フィッティングパラメータの値に基づく前記各薄膜の成長速度を出力する、
気相成長速度測定方法が提供される。
前記誤差が前記所定値未満になるまで繰り返し前記温度依存性を有するパラメータの少なくとも一部を変更してもよい。
前記薄膜が形成された基板の反射率は、転送行列法又は前記薄膜の反射率を用いて次に積層される前記薄膜の反射率を逐次計算することにより求められてもよい。
一実施形態による気相成長装置の概略構成を示す図。 放射温度計の内部構成を示す図。 反射率Rmesの時間変化を示すグラフ。 仮想界面法を説明する図。 GaN層とMQW層を成長する際に観測された反射率Rmesの時間変化を示すグラフ。 MQW層を成長する際に障壁層の成長時に井戸層成長時に比べて下地層の膜厚がわずかに増大すると仮定した反射率の時間変化のモデル計算の結果を示すグラフ。 MQW層を成長する際に障壁層と井戸層の成長時に下地層の膜厚が変化しないと仮定した反射率の時間変化のモデル計算の結果を示すグラフ。 図6に示すモデル計算に用いた積層構造のモデルを示す図。 第1の方法に用いるモデル構造とパラメータを説明する図。 第2の方法に用いるモデル構造とパラメータを説明する図。 第3の方法に用いるモデル構造とパラメータを説明する図。 第4の方法に用いるモデル構造とパラメータを説明する図。 第1〜第4の方法に用いるパラメータについてまとめた図。 積層構造と反射率の時間変化とともに記録されるデータの関係を示した図。 第1〜第4の方法のいずれかを行う気相成長速度測定装置の概略構成を示すブロック図。 時刻twにおける反射率をモデル計算するための参考図。 第1の方法に基づいて反射率をモデル計算する手順を示すフローチャート。 第2の方法に基づいて反射率をモデル計算する手順を示すフローチャート。 第3の方法に基づいて反射率をモデル計算する手順を示すフローチャート。 温度変化を伴う場合の成長時間と位相φの関係を示す図。 第4の方法に基づいて反射率をモデル計算する手順を示すフローチャート。 図3の反射率の時間変化と初期パラメータでのモデル計算結果を示した図。 図4に示した反射率の時間変化とフィッティング後のパラメータでのモデル計算結果を示した図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図1は一実施形態による気相成長装置1の概略構成を示す図である。本実施形態では、成膜処理を行う基板としてシリコン基板、具体的にはシリコンウエハ(以下、単にウエハと呼ぶ)Wを用い、このウエハW上に単一の膜を、あるいは複数の薄膜を積層して、成膜する例を説明する。以下では、気相成長方法としてMOCVDを例にとり具体的に説明する。
図1の気相成長装置1は、ウエハWに成膜を行うチャンバ2と、このチャンバ2内のウエハWに原料ガスを供給するガス供給部3と、チャンバ2の上部に位置する原料放出部4と、チャンバ2内でウエハWを支持するサセプタ5と、このサセプタ5を保持して回転する回転部6と、ウエハWを加熱するヒータ7と、チャンバ2内のガスを排出するガス排出部8と、このガス排出部8からガスを排気する排気機構9と、ウエハWの温度を測定する放射温度計10と、各部を制御する制御部11とを備えている。
チャンバ2は、成膜対象のウエハWを収納可能な形状(例えば、円筒形状)であり、チャンバ2の内部に、サセプタ5、ヒータ7、回転部6の一部などが収容されている。
ガス供給部3は、複数のガスを個別に貯留する複数のガス貯留部3aと、これらガス貯留部3aと原料放出部4とを接続する複数のガス管3bと、これらガス管3bを流れるガスの流量を調整する複数のガスバルブ3cとを有する。各ガスバルブ3cは、対応するガス管3bに接続されている。複数のガスバルブ3cは、制御部11により制御される。実際の配管は、複数のガス管を結合したり、1本のガス管を複数のガス管に分岐したり、ガス管の分岐や結合を組み合わせるなどの複数の構成を取りうる。
ガス供給部3から供給される原料ガスは、原料放出部4を通って、チャンバ2内に放出される。チャンバ2内に放出された原料ガス(プロセスガス)は、ウエハW上に供給され、これにより、ウエハW上に所望の膜が形成されることになる。なお、使用する原料ガスの種類は、特に限定されない。
原料放出部4の底面側には、シャワープレート4aが設けられている。このシャワープレート4aは、ステンレス鋼やアルミニウム合金等の金属材料を用いて構成することができる。複数のガス管3bからのガスは、原料放出部4内で混合されて、シャワープレート4aのガス噴出口4bを通ってチャンバ2内に供給される。なお、シャワープレート4aにガス流路を複数設け、複数種類のガスを分離したままチャンバ2内のウエハWに供給してもよい。
原料放出部4の構造は、成膜された膜の均一性、原料効率、再現性、製作コストなどを勘案して選定されるべきであるが、これらの要求を満たすものであれば特に限定されるものではなく、公知の構造のものを適宜用いることもできる。
サセプタ5は、回転部6の上部に設けられており、サセプタ5の内周側に設けられた座ぐり内にウエハWを載置して支持する構造になっている。なお、図1の例では、サセプタ5は、その中央に開口部を有する環状形状であるが、開口部のない略平板形状でもよい。
ヒータ7は、サセプタ5および/またはウエハWを加熱する加熱部である。加熱対象を所望の温度および温度分布に加熱する能力、耐久性などの要求を満たすものであれば、特に限定されない。具体的には、抵抗加熱、ランプ加熱、誘導加熱などが挙げられる。
排気機構9は、ガス排出部8を介してチャンバ2の内部から反応後の原料ガスを排気し、排気バルブ9bと真空ポンプ9cの作用により、チャンバ2内を所望の圧力に制御する。
放射温度計10は、原料放出部4の上面に設けられている。放射温度計10は、光源からの光をウエハWに照射し、ウエハWからの反射光を受光して、ウエハWの反射光強度を測定する。このように、放射温度計10は、膜成長面の反射率を測定する反射率計として機能する。また、放射温度計10は、ウエハWの膜成長面Waからの熱輻射光を受光して、熱輻射光強度を測定する。放射温度計10は、その内部にデータ演算部を有する。このデータ演算部は、熱輻射光強度と反射率から、ウエハWの温度を求める。データ演算部は、例えば、汎用のコンピュータにより構成可能である。
原料放出部4の上面には、光透過窓2aが設けられており、放射温度計10の光源からの光と、ウエハWからの反射光および熱輻射光は、この光透過窓2aを通過する。光透過窓2aは、スリット形状や矩形状、円形状などの任意の形状を取り得る。窓には、放射温度計で計測する光の波長範囲で透明な部材を用いる。室温から1500℃程度の温度を測定する場合には、可視領域から近赤外領域の光の波長を計測するのが好ましく、その場合には窓の部材としては石英ガラスなどが好適に用いられる。
制御部11は、気相成長装置1内の各部を集中的に制御するコンピュータと、成膜処理に関する成膜処理情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部とを備えている。制御部11は、成膜処理情報や各種プログラムに基づいて、ガス供給部3や回転部6の回転機構、排気機構9などを制御し、ヒータ7によるウエハWの加熱などを制御する。
図2は放射温度計10の内部構成を示す図である。放射温度計10は、光源10aと、ハーフミラー10bと、焦点調整用レンズ10cと、波長選択フィルタ10dと、絞り10eと、受光部10fと、温度計制御部10gとを有する。
光源10aは、ウエハWに照射するための照明光L1を発光する。ハーフミラー10bは、照明光L1を反射させてウエハWに向けるとともに、ウエハWからの光を透過させる。焦点調整用レンズ10cは、ハーフミラー10bを透過した照明光L1をウエハW上に結像させる。また、焦点調整用レンズ10cは、ウエハWからの反射光L1aと熱輻射光L2を受光部10fの受光面M1上に結像させる。波長選択フィルタ10dは、ハーフミラー10bを透過した光のうち、所定の波長範囲の反射光L1aと熱輻射光L2を透過させる。絞り10eは、ウエハW上の測定に必要な部分からの光のみを透過させる。受光部10fは、絞り10eを透過した反射光L1aと熱輻射光L2を受光する。温度計制御部10gは、受光部10fで受光された反射光L1aの強度(反射光強度)と熱輻射光L2の強度(熱輻射光強度)とに基づいて、ウエハWの温度を求める。
前述の放射温度計の例は、比較的広い波長範囲の光を測定対象に照射して、反射された光のうち特定の波長のものを波長選択フィルタにより観測するものである。これは熱輻射光強度も特定の波長範囲で測定する必要があるためである。一方、反射率のみを求める場合には、あらかじめ特定の波長の光を測定対象に照射してその反射光強度を測定する方法を用いることもできる。上記の特定の波長の光は、比較的広い波長範囲の光をあらかじめ特定の波長の光のみを透過する波長選択フィルタを通すことで得ることができる。あるいはレーザ光線のような単色性の良い光源からの光を用いてもよい。
前記の放射温度計で測定された反射率は本実施形態の反射率の実測データとして用いることができる。また本実施形態に用いるための専用の反射率測定装置を気相成長装置に具備させてもよい。その他、基板の反りを観測する装置では、基板にレーザ光のような指向性の強い光を照射するものが一般的で、このような反り測定装置では反りを観測しながら反射光強度が測定できる。このような反り測定装置などによって測定された反射率のデータも、本実施形態の反射率の実測データとして用いることができる。
本実施形態による気相成長装置1は、ウエハW上への種々の膜の成膜に利用できるが、以下では、一例として、シリコンウエハW上にバッファ層とGaN膜を成膜し、さらにその上に、MQW構造を形成する場合を説明する。
MQW層は、バリア層と井戸層の薄膜を交互に成膜したものである。バリア層と井戸層の各薄膜は、膜厚が非常に小さいため、各薄膜の成長速度を精度よく検出するのは容易ではない。
図3は基板W上にバッファ層を成長させたのち、1050℃程度でn型のGaN(n−GaN)層を成長させ、さらに障壁層であるGaNと井戸層であるInGaN層を交互に積層したMQW構造を成長させた場合の実測の反射率Rmesの時間変化である。
本実施形態では、反射率の計測のために、事前に、反射率Rrefが既知の物質の反射光強度Irefを測定しておく。例えば、シリコンウエハWの場合、反射率は約30%である。放射温度計10などで測定された反射光強度Imesを用いると、反射率Rmesは、以下の(7)式で求めることができる。
Rmes=Imes/Iref・Rref …(7)
図3中、n−GaNの成長時間はn−GaNの記号で示している。井戸層は6層あり、図3中では各々の成長時間を成長した順にW−1からW−6までの記号で示している。障壁層は7層あり、図3中では各々の成長時間を成長した順にB−1からB−6までとCapの記号で示している。障壁層は810℃、井戸層は760℃で成長している。各層の成長の間には成長温度を変化させるため、何も成長しない(成長中断)期間を設けてある。図3中、記号が付与されていない期間がこれにあたる。反射率を測定する光の波長は660nmである。このグラフからわかるように、反射率Rmesは、MQW層を構成するバリア層と井戸層が切り替わるたびに、不連続になっている。反射率Rmesが不連続になる理由は、バリア層と井戸層の成膜温度が異なっており、基板および基板上に成長した積層膜の屈折率、厚みや吸収係数などが成膜温度に応じて変化するためであると考えられる。
n−GaNの成長中の反射率の時間変化は明確な周期性を示しており、(4)式で表されるモデル関数をこの反射率の時間変化にフィッティングさせることで、n−GaN層の成長速度、屈折率を求めることができる。一方、単一の障壁層や井戸層の場合、これらの層の膜厚が薄いため、反射率の時間変化はほぼ直線的になり、周期性はほとんど認められない。したがって、周期的な変化を前提とした(4)式によるフィッティングでは、これら単一の井戸層や障壁層の成長速度や屈折率を求めることはできない。
本実施形態では、単一の層だけでは反射率の時間変化が小さい場合でも、多層構造全体での反射率変化でフィッティングを行う。具体的には図3のB−1からCapまでの反射率の時間変化は、1周期の1/4程度に相当し、適切に反射率のモデル関数を表現できればフィッティングにより各層の屈折率や成長速度を求めることが可能である。
以下、MQW構造を成長する場合の反射率の時間変化を表す方法を具体的に説明する。一般に厚みと屈折率が既知の薄膜を積層した多層膜の反射率は転送行列法になどより計算することができる。したがって、多層膜の各層の屈折率と厚み(=成長速度×時間)を仮定し、さらにMQW層とMQW層より基板側の層との界面については仮想界面法を用いて計算を行う。つまり、ここでの仮想界面法は、MQW層より基板側の層を仮想的な基板とみなし、この仮想的な基板の屈折率と吸収係数をフィッティングパラメータとすることを意味する。実際には、各層の成長温度が異なるために、反射率への温度変化の影響を取り込まなければならない。本発明者は反射率の計算に用いるパラメータのうち、いくつかのパラメータについては成長温度ごとに異なる値を用いることで簡便に表すことができることを見出した。
図4は仮想界面法を説明する図である。実際の積層構造が基板上に積層された複数の積層膜の上に最表面層がある場合、基板と複数の積層とを仮想的な基板とみなして、適切な屈折率を設定することで、実際の積層構造と仮想的な積層構造で、積層構造の反射率の最表面の膜厚に対する変化は上記の2つの構造でどちらも同じになる。
図5はMQW構造におけるGaN層とMQW層を成長する際に観測された反射率Rmesの時間変化を示すグラフである。図5中、曲線Y1およびY2はそれぞれ障壁層成長中と井戸層成長中の反射率の包絡線である。これらの包絡線を構成する個々の層の成長中の反射率の時間変化は直線的で、その時間変化から屈折率や成長速度を求めることはできないが、適切に2つの包絡線の差を表現できればこれらの計算が可能になる。実際、本発明者は、Y2は時間軸をずらすことでよくY1に重ねることができることを見出した。
この温度変化に伴う時間のずれの原因は、基板および積層された膜の光学定数や膜厚が温度変化に伴って変化していると考えると理解できる。一方、光学定数や膜厚は温度によりそれほど大きな変化はしない。具体的に、どの程度の膜厚あるいは屈折率の差があると図5に示したような変化が現れるかをモデル計算により見積もってみた。
図6aはMQW構造を成長する場合の反射率の変化のモデル計算の結果である。仮定した構造を図7に示す。成長速度は井戸層、バリア層とも0.1nm/秒と仮定した。井戸層の成長の前後の成長中断時間を10秒とした。モデル計算では、バリア層の成長時のみ下地層の厚みが4.01μmに変化すると仮定している。これは熱膨張により、下地層の厚みが0.25%増すことに相当する。
図6aでは図5の温度変化に伴う特徴がよく再現されている。ただし、図6aでは実際以上に温度に伴う変化が強調されていて、図6aに用いたモデルが正しいのであれば、下地層の熱膨張は0.1%程度かそれ以下と推測される。通常の物質の熱膨張係数はおおむね5×10−6/℃程度であり、これは100℃の温度変化で5×10−4の膨張を起こすことに相当する。これは、モデル計算からの推測とほぼ同程度であり、モデルが妥当であると考えることができる。
図6bは井戸層と障壁層の成長時に下地層の膜厚が変わらないとしたことを除いては図6aと同じモデル計算の結果である。図6aに見られた温度変化に伴う反射率の飛びが見られず、このことからも下地層の温度変化に伴う光学的な変化が反射率の飛びの原因と考えられる。
なお、図6aと同様な結果は、温度により下地層の屈折率がわずかに増加すると仮定しても導き出すことができる。
以下、上述のモデルをもとに反射率の時間変化を計算するいくつかの方法について説明する。いずれの場合も、温度変化に伴う下地層の光学的変化をどう表すかがポイントになる。
以下説明するいずれの方法においても下地層以下を仮想的な基板として扱う。
第1の方法では、図8に示すように、温度の変化の影響は仮想的な基板の光学定数の違いとして表される。成長温度の数だけの仮想的な基板の光学定数(屈折率nsと吸収率ks)の組を用意する。これらは計算値を実測値にフィッティングする際のフィッティングパラメータとなる。
第2の方法として、仮想的な基板を1つだけ用意して、上記の異なる仮想的な基板の光学定数との比をパラメータとしてもよい。より具体的には、第2の方法では、図9に示すように、基本となる成長温度での仮想的な基板の光学定数を1つ用意し、その他の成長温度においては、基本となる温度での仮想的な基板の光学定数に温度に依存する定数を乗じて、仮想的な基板の光学定数の温度変化を表す。この温度に依存する定数は、一般に複素数となる。ここで述べた2つの方法は具体的な操作は違っているが、計算上では同等な方法である。
第3の方法は、図10に示すように、仮想的基板上に仮想的な薄膜(中間層)が存在すると仮定するものである。図7を例にすると、温度による基板の厚みの差(図7では0.01μmの薄膜の有無)に相当する薄膜を仮定する。この場合、上記の仮想的な薄膜の温度により変化する厚みと屈折率がフィッティングパラメータとなる。この仮想的な薄膜の厚みは、実際の薄膜の場合とは異なり、0以上だけでなく負の値も取り得る。
第4の方法は、図11に示すように、見かけ上、成長温度により、反射率の周期の位相がシフトしていることを利用するものである。具体的には図5でY1とY2で時間軸をずらすことによってこの2つの時間変化を重ねることができる。そこで、最表面の層の反射率の位相部分に温度に依存した位相を加えると、この時間変化を表すことができる。
以上説明してきた4つの方法について、用いるパラメータの種類と数を図12にまとめた。図12に示すように、第1の方法では、各積層膜の屈折率n(m)および成長速度G(m)と、仮想的な基板の屈折率nsub(h)および吸収係数ksub(h)とをパラメータにする。各積層膜の屈折率n(m)および成長速度G(m)は、積層膜の種類の数分設けられる。仮想的な基板の屈折率nsub(h)および吸収係数ksub(h)は、成長温度条件に依存するため、成長温度条件の数分設けられる。
第2の方法では、各積層膜の屈折率n(m)および成長速度G(m)と、仮想的な基板の(複素)屈折率nsubおよび吸収係数ksubと、仮想的な基板の温度依存性のない屈折率に乗じる係数Z(h)とをパラメータにする。各積層膜の屈折率n(m)および成長速度G(m)は、積層膜の種類の数分設けられる。仮想的な基板の屈折率nsubおよび吸収係数ksubは1種類だけ設けられる。係数Z(h)は、成長温度条件の数から1を減じた数分設けられる。
第3の方法では、各積層膜の屈折率n(m)および成長速度G(m)と、仮想的な中間層の屈折率no(h)および膜厚do(h)と、仮想的な基板の屈折率nsubおよび吸収係数ksubとをパラメータとする。各積層膜の屈折率n(m)および成長速度G(m)は、積層膜の種類の数分設けられる。中間層の屈折率no(h)および膜厚do(h)は、成長温度条件の数から1を減じた数分設けられる。仮想的な基板の屈折率nsubおよび吸収係数ksubは1種類だけ設けられる。
第4の方法では、基板上の最表面の薄膜に加える位相シフトΔ(h)と、積層膜の屈折率n(m)および成長速度G(m)と、仮想的な基板の屈折率nsubおよび吸収係数ksubとをパラメータとする。位相シフトΔ(h)は、成長温度条件の数から1を減じた数分設けられる。積層膜の屈折率n(m)および成長速度G(m)は、積層膜の種類の数分設けられる。仮想的な基板の屈折率nsubおよび吸収係数ksubは1種類だけ設けられる。
まず反射率の時間変化のデータ取得について、図13により説明する。
薄膜の成膜開始時刻をt0とし、t0以降、図1に示した制御部11から定期的に時刻tnにおけるプロセスの情報を記録する。図13の破線がプロセスの情報を記録する時刻である。プロセスの情報に含まれるものは、時刻と、成膜中あるいは成長中断中かの情報と、成膜中であれば、成膜されている膜の種類および温度の情報と、反射率とである。膜の種類は例えばすでに例示したMQW層の場合、GaN層であるか、InGaN層であるかである。成長温度の種類とは、成長中にとりうる成長温度のうち、どの温度かの情報である。前述のMQW層の場合、GaNの成長温度とInGaNの成長温度の2種類の成長温度があり、これらをT1およびT2とすると、T1あるいはT2のどちらの温度で成膜しているかの情報である。
反射率の測定の時間間隔は反射率の時間変化が十分な精度で表される程度に短く取る必要がある。一方、あまり短い時間間隔で反射率を測定しても、解析精度の向上には限界があり、計算時間が必要以上に増大してしまう場合がある。好適な反射率の測定時間の間隔は、一つの層の成長の間に少なくとも5点程度の測定ができるようにする。また、このような条件での測定において、反射率が1周期の変化をする間に50点程度以上の測定点があれば十分に解析を行うことができる。反射率の測定時間の間隔が短く、大量の反射率のデータが測定される場合、計算機の処理能力にもよるが、上記のような条件を満たすように、適当に反射率データを間引いてもよい。
時間間隔あるいは測定時刻は正確に記録される必要はあるが、測定の時間間隔は測定中で一定である必要はなく、複数の時刻で測定されていればよい。
図14は上述した第1〜第4の方法のいずれかを行う気相成長速度測定装置20の概略構成を示すブロック図である。図14のブロック図内の各部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよいし、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせて構成してもよい。
図14の気相成長速度測定装置20は、初期パラメータ設定部21と、膜厚算出部22と、パラメータ選択部23と、反射率算出部24と、誤差算出部25と、パラメータ変更部26と、成長速度出力部27とを備えている。
初期パラメータ設定部21は、基板の複素屈折率と、基板上に形成される各薄膜の屈折率と、各薄膜の成長速度と、少なくとも一つの温度依存性を有するパラメータと、を含むフィッティングパラメータのそれぞれについて初期値を設定する。膜厚算出部22は、各薄膜の成長時間と、初期パラメータ設定部21で設定された各薄膜の成長速度と、に基づいて、各薄膜の膜厚を算出する。パラメータ選択部23は、温度依存性を有するパラメータとして、成長温度に応じた値を選択する。反射率算出部24は、フィッティングパラメータの値を用いて各薄膜の反射率を算出する。誤差算出部25は、前記各薄膜の成膜開始後の複数の時刻において、反射率算出部24で算出された反射率と、反射率計として機能する放射温度計10にて測定された、対応する薄膜の反射率の実測値と、の誤差を算出する。パラメータ変更部26は、誤差が所定値以上の場合は、フィッティングパラメータの少なくとも一部を変更する。成長速度出力部27は、誤差が所定値未満のときのパラメータに基づく各薄膜の成長速度を出力する。
第1の方法では、パラメータ選択部23は、基板上の最表面の薄膜の成長温度に応じて変化する基板の複素屈折率を、パラメータの一つとして選択する。第2の方法では、パラメータ選択部23は、基板の温度依存性のない屈折率に乗じる係数をパラメータの一つとして選択し、この係数を基板上の最表面の薄膜の成長温度に応じて変化させる。第3の方法では、パラメータ選択部23は、基板と、基板上の最下段の薄膜との間に配置され、成長温度に応じた膜厚を持つ中間層をパラメータの一つとして選択する。第4の方法では、パラメータ選択部23は、基板上の最表面の薄膜の位相オフセットをパラメータの一つとして選択し、位相オフセットを最表面の薄膜の成長温度に応じて変化させる。
以下、第1の方法について、具体的な計算手順を説明する。
上記のMQW層の成長の例では、障壁層と井戸層の2つの成長温度がある。具体的には井戸層の成長温度とバリア層の成長温度である。そこで、この場合には仮想的な基板の複素屈折率を2つ用意する。一般的に成長温度条件がh個ある場合には、h個の仮想的な基板の複素屈折率を用意する。
図15は時刻twにおける反射率をモデル計算するための参考図である。仮想的な基板の複素屈折率を第k層の温度条件で決める。仮想的な基板上の積層構造については、各層の成長速度に成長時間を乗じて算出する。最表面の第k層の膜厚は第k層の成長が終了するまでは、時刻とともに増加していく。さらに各層の屈折率を用いることで、時刻twにおける反射率のモデル計算が可能である。
図16は上記の第1の方法に基づいて反射率をモデル計算する手順を示すフローチャートである。まず、反射率のモデル計算に用いる各種パラメータの初期値を設定する(ステップS1、初期パラメータ設定部21)。次に計算に用いる積層された各層の膜厚を成長速度に成長時間を乗じて求める(ステップS2、膜厚算出部22)。ここで各層の成長速度はフィッティングパラメータであり、後述の最適化の手順に従って、各層の屈折率と仮想的な基板の複素屈折率とともに最適化されていく。
次に、成長温度条件に従って、仮想的な基板の複素屈折率を選択する(ステップS3)。次に仮想的な基板の複素屈折率および各積層膜の膜厚と屈折率を用いて反射率のモデル計算を行う(ステップS4)。
ステップS2〜S4の処理は、成長中断中を除くすべての観測時刻において繰り返し行われる。これにより、成長開始から現時刻までの反射率の時間変化がモデル計算される。
次に、観測された反射率とモデル計算された反射率の時間変化の誤差を計算する(ステップS5、誤差算出部25)。誤差は、反射率の各観測時刻での、実測された反射率(Rmes)とモデル計算された反射率(Rmodel)の差を2乗し、その各観測時刻の総和(ζ)として計算される。このζは計算に用いる各パラメータ(P)の関数であるのでζ(P)と記す。
次に、各パラメータのうち、一部また全部について、現状の値(P)からわずか(δP)に変化させる。例えばnsの初期値が2である場合、nsを2.01などとする。この変化量をδnsなどと表す。ここで、パラメータとは、例えば、ns、ks、薄膜の各層の屈折率、成長速度、などであり、フィッティングパラメータとも呼ばれる。さらに再びS2〜S4のステップを繰り返し、誤差ζ(P+δP)を計算する(ステップS6)。
必要に応じて、いくつかの異なるδPqを用いてζ(P+δPq)を計算してもよい。このステップでζのδPの依存性が近似的に求まる。ここで互いに成長速度が異なる層同士では異なる屈折率を準備する。これは成長速度以外には同じ成膜条件であっても成膜された薄膜の屈折率が異なる場合があるからである。ただし、あらかじめ、成長速度が異なっても屈折率が同じであることがわかっている場合には、これらの層同士で同じ屈折率を用いてもよい。また、基板および薄膜の屈折率は一般には複素数であるが、透明な材料の場合、屈折率は実数となる。以下、仮想的な基板の屈折率は複素数とし、成膜する薄膜の屈折率は実数とするが、成膜する薄膜の屈折率が複素数でも、パラメータ(複素屈折率の虚数部=吸収係数)が増えるだけで手順は基本的に同じである。具体的には、各計算式に現れる実数の屈折率(n)を吸収係数kを用いて複素数の屈折率(n+ik)に置き換えればよい。
次にS6ステップで得られたζのδPの依存性から、ζを最小にするδP(δPo)を推定する(ステップS7)。次にS7から求められたP+δPoを用いてζ(P+δPo)を計算する(S8)。
次にζ(P+δPo)が十分小さいかどうかを判定する(ステップS9)。この値が所定の設定値に比べて小さければ、計算に用いた各パラメータの値は真の値に近いと考えられる。一方、この値が所定の設定値に比べて小さくない場合には、計算に用いたパラメータが大きな誤差を持っていると考えられる。この場合には、再びS2戻って、P+δPoを新たな初期値として計算を繰り返す(ステップS10)。一般に、このような手順に従い、誤差ζは次第に小さくなり、最終的に各パラメータを決定することができる。
実際に薄膜を形成しながら上記の計算を行う場合、誤差ζが十分小さくなる前に次の反射率が観測されることがある。この場合には、その時点でのパラメータの最適解を用いて、新たな観測データを追加して、最適化を進めてもよい。
図17は第2の方法に基づいて反射率をモデル計算する手順を示すフローチャートである。図17のステップS11〜S20は、ステップS13の処理がステップS3と異なる他は、図16と共通する。図17のステップS13では、仮想的な基板の温度依存性のない複素屈折率に乗じる係数を温度に依存するフィッティングパラメータの一つとして選択し、この係数を仮想的な基板上の最表面の薄膜の成長温度に応じて変化させる。仮想的な基板の複素屈折率に係数を乗じることで、図16のステップS3と同様の複素屈折率を選択できる。よって、ステップS14以降は、ステップS4以降と同様の処理を行えばよい。
図18は第3の方法に基づいて反射率をモデル計算する手順を示すフローチャートである。図18のステップS21〜S30は、ステップS23の処理がステップS3と異なる他は、図16と共通する。図18のステップS23では、基板と、基板上の最下段の薄膜との間に配置され、成長温度に応じた膜厚および/または屈折率を持つ仮想的な中間層をパラメータの一つとして選択する。ステップS24では、ステップS23で選択した中間層を考慮に入れて、仮想的基板とその上の積層構造について反射率を計算する。ステップS25以降の処理は、図16のステップS5以降と共通する。
次に、第4の方法の場合について説明する。図19は温度変化を伴う場合の成長時間と位相φの関係を示したものである。(5)式からφは膜厚に比例するため、成長速度が一定なら時間とともに直線的に変化する。一方、図5に見られるように、位相は温度変化に対して一定の値だけ変化する。つまり、温度変化があると、位相φは直線的に変化しながらある値のオフセットを足したものとなる。なお、図19ではφが時間とともに増加し、温度変化による位相のオフセットは高い温度で負であるように表示されているが、これは便宜的に示したもので、場合によって異なることがある。第4の方法では、最表面の層での位相φの変化に温度に依存するオフセットΔを加えて、反射率の温度変化を取り込む。
図20は第4の方法についての具体的な手順を示すフローチャートである。まず、仮想的な基板の複素屈折率と、成膜する薄膜の種類の数の屈折率および成長速度と、温度に依存するフィッティングパラメータとして成膜温度条件の数より1だけ少ない数の位相のオフセットとを設定する(ステップS31、初期パラメータ設定部)。次に、所定の時刻tnごとに、成長速度の設定値と成長時間から、各層の膜厚を計算する(ステップS32、膜厚算出部)。次に、時刻tnごとに、最表面の層の位相に、成膜温度条件に応じた位相オフセットを加える(ステップS33、位相オフセット部)。次に、仮想的な基板の複素屈折率と、多層膜の各層の膜厚および屈折率と、に基づいて、仮想的な基板とその上の薄膜の多層膜との反射率Rmodelを計算する(ステップS34、反射率算出部)。
次に、図6に示す手順で計算された反射率(Rmodel)と実際の反射率(Rmes)との誤差ζを、各時刻tnでの差の平方の和として計算する(ステップS35、誤差算出部)。
ζ=Σ(Rmodel−Rmes) …(7)
(7)式での和は成長中断中を除く計測された各時刻について行う。
次に計算に用いたパラメータのうち一部、あるいは全部を若干変化させる。これらのわずかに変化させたパラメータを用いてζを計算しなおす(ステップS36)。
このようにして、ζをδPの関数ζ(δP)として表すことができる。ζ(δP)が求まると、ζを最小にする、つまり誤差が最小になるδPoが推測される(ステップS37)。次に、実際にP+δPoを用いて誤差ζを計算する(ステップS38)。次に、誤差ζが十分小さいか否かを判定する(ステップS39)。以降の手順(ステップS40)は第1の方法と同様である。
上記のMQW層の成長の例では、障壁層と井戸層の2つの成長温度がある。そこで、位相φには、屈折率と膜厚で計算される値にさらに、井戸層あるいは障壁層の成長温度に応じて特定の位相オフセットを加える。仮想界面法では位相φの初期値は仮想的な基板の屈折率と吸収係数で表されているので、多層膜の最初の層の成長温度については温度に応じて上記の特定の位相オフセットを加える必要はない。多層膜の成長温度が3つ以上ある場合でも、位相オフセットの数は成長温度の数より1つ少ない数となる。具体的には、多層膜の最初の層については位相のオフセットは0とし、それ以降の成長の異なる温度ごとに異なる位相オフセットを加える。実際にはこの位相オフセットもフィッティングパラメータして取り扱うため、厳密に正確な値を前もって決めておく必要はない。
パラメータの最適化の手法についてはいくつもの方法が知られており、計算のスピードと精度を勘案して好適なものを用いることができる。
本実施形態が有効に用いることができることを実証するために、まず図6aに示したモデル計算の結果を第1の方法で解析した。その結果、井戸層、障壁層それぞれの屈折率と成長速度は、それぞれ2.98と0.106nm/秒、2.51と0.101nm/秒と、計算誤差の範囲内でモデル計算に用いた値と一致しすることを確認した。次に図3に示した反射率の時間変化を上記の方法にてフィッティングできることを以下のようにして確認した。
図21は図3の反射率の時間変化と、反射率の時間変化を計算に用いるパラメータの初期値を用いて計算した結果を示す図である。図21の曲線Y4は反射率の実測曲線、曲線Y5はモデル計算により得た反射率の時間変化である。図22は計算に用いるパラメータを最適化した結果である。Y4が実測の変化、Y6が最適化したパラメータを用いた計算結果である。図22に示すように、薄膜の成長温度条件ごとに仮想的な基板の複素屈折率の調整を行うことで、反射率関数を反射率の実測曲線に忠実にフィッティングさせることができる。図22のY6に示されるパラメータの最適化の結果から、GaN層の屈折率および成長速度はそれぞれ2.46と0.036nm/秒、InGaN層についてはそれぞれ3.15と0.039nm/秒と求めることができた。
同様にして第4の方法を用いて図21の曲線Y4の反射率の時間変化を解析したところその結果は、計算誤差の範囲内で第1の方法を用いて解析した結果と一致した。
図8、9の結果は成長終了後に測定した反射率の結果を用いて計算を行ったものであるが、成長中に時々刻々と測定される反射率の時間変化を基にして同様の計算も可能である。この場合、まさに成長している層の成長速度と屈折率を計算することができる。
このように、本実施形態では、基板上に複数種類の薄膜を順繰りに成膜する際に、成膜温度が変化するたびに、温度に依存するパラメータの調整を行った上で、反射率関数を反射率の実測曲線にフィッティングさせるため、フィッティングの精度を向上させることができる。よって、各薄膜の成長速度を精度よく求めることができる。
上述した実施形態では、二種類の薄膜を交互に基板上に成膜する例を示したが、本実施形態は、三種類以上の薄膜を順に繰り返し基板上に成膜する場合にも、同様に適用可能である。この場合、薄膜の成長温度条件の一つを基準として、残りの成長温度条件の位相のオフセットを設定して、成膜温度条件が変化するたびに、対応するオフセットを用いて、反射率関数を反射率の実測曲線にフィッティングさせればよい。
これまでの説明では、温度変化中は成長を中断することを仮定していた。温度変化しながら成長を行う場合は、温度の変化も膜厚の変化も反射率を変えるため、その影響を分離することができず、これまでに説明してきた方法では解析ができない。しかし、ある程度、温度や膜厚の反射率への影響が推測できる場合には、この推測に基づいて温度と膜厚の両方が変化している場合の解析が可能になる場合がある。
その一つの方法は、成長速度が推定できる場合である。具体的には、温度変化中も成長を行う場合に、その成長速度が温度にあまり依存しない場合である。この場合、温度変化中にもその間に成長する薄膜の膜厚が増大するが、その膜厚を成長時間と推定される成長速度から計算する。反射率の計算にはこうして計算される膜厚を用いる。ただし、温度の反射率への影響が推定できないため、温度変化中は反射率を計算しない。つまり、温度の変化中は実測の反射率との比較は行わない。
例えば、原料を供給しながら温度変化させる場合、原料の供給量が、温度変化終了後の原料供給量に比べて2分の1であるとすると、温度変化終了後に成長する薄膜の膜厚は、温度変化終了後に成長する層に設定される成長速度の2分の1と温度変化の時間を掛け合わせた膜厚を加えたものとする。パラメータのフィッティングは温度が一定の時刻だけについて行う。
また別の方法としては、温度変化中に成長する層の膜厚は上記のように計算し、温度に依存するパラメータ(第1の方法であれば、仮想的な基板の複素屈折率)を2つの温度の間で補間し、温度変化中も反射率を計算する。温度に依存するパラメータの温度変化中の補間方法としては、時間で案分する、実測の温度で案分するなどの方法で行うことができる。
本実施形態における反射率は基板の表面が光学的な鏡面であり、成長する薄膜も鏡面の場合である。しかし、成長する薄膜は場合によっては若干の凹凸を伴う場合がある。この凹凸の度合いにより反射率が、薄膜が鏡面の場合に比べて変化することがある。一般的には、成長する薄膜表面に凹凸が発生すると、反射率が次第に低下する。このような鏡面でない層からの反射率をもとに本実施形態の方法を用いると誤差が大きくなる。このような場合には、適切に反射率を補正してもよい。具体的には、次第に減少する反射率の振幅の最大値と最小値を初期の振幅と同じになるように補正するなどである。
以上の説明では成膜過程について説明したが、負の成長速度を用いることで、膜のエッチング過程にも応用することができる。
多層膜が形成された基板の反射率の計算方法としては転送行列法を例示したが、その他の方法で反射率を計算してもよい。また、温度に依存するパラメータの取り扱いについていくつかの実施形態を例示したが、これらと数学的に同等な方法を用いてもよい。
例えば、転送行列法は、薄膜の積層構造を構成する各単一の層について、各層の厚みと屈折率で定義される転送行列と呼ばれる行列を計算し、基板の複素屈折率から計算されるベクトルに上記積層構造を構成するすべての層について行列を掛け合わせ、光学応答を計算するものである。一方、反射率を計算する別の方法の例としては、(4)式を求めたような単一の層の反射率を求める方法を、多層膜を構成する各単一の層について、逐次計算する方法が挙げられる。具体的には、1つの層の反射率が計算されると、この反射率を用いてその次の層の反射率を計算することができる。このような計算を多層膜を構成するすべての層について行うことで、多層膜全体としての反射率が計算できる。
これらの例によれば、例えば第1の実施形態における、仮想的な基板の複素屈折率の温度による変化は、上記の反射率を逐次的に計算する方法においては仮想的な基板とこれに積層される層の反射率の変化などと表しても計算することができる。なお、反射率の計算方法としては、これらに限定されるものではなく、これらと数学的に同等な他の方法を用いることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 気相成長装置、2 チャンバ、3 ガス供給部、3aガス貯留部、3b ガス管、3c ガスバルブ、4 原料放出部、4a シャワープレート、5 サセプタ、6 回転部、7 ヒータ、8 ガス排出部、9 排気機構、10 放射温度計、10a 光源、10b ハーフミラー、10c 焦点調整用レンズ、10d 波長選択フィルタ、10e 絞り、10f 受光部、10g 温度計制御部

Claims (10)

  1. 基板の複素屈折率と、前記基板上に形成される各薄膜の屈折率と、各薄膜の成長速度と、少なくとも一つの温度依存性を有するパラメータと、を含むフィッティングパラメータのそれぞれについて初期値を設定する初期パラメータ設定部と、
    前記各薄膜の成長時間と、設定された前記各薄膜の前記成長速度と、に基づいて、前記各薄膜の膜厚を算出する膜厚算出部と、
    前記温度依存性を有するパラメータとして、成長温度に応じた値を選択するパラメータ選択部と、
    前記各薄膜が形成された基板の反射率を測定する反射率計と、
    前記フィッティングパラメータの値を用いて前記各薄膜が形成された基板の反射率を算出する反射率算出部と、
    前記各薄膜の成膜開始後の複数の時刻において、前記反射率算出部で算出された反射率と、対応する薄膜の前記反射率計で測定された反射率の実測値と、の誤差を算出する誤差算出部と、
    前記誤差が所定値以上の場合は、前記フィッティングパラメータの少なくとも一部の値を変更するパラメータ変更部と、
    前記誤差が前記所定値未満のときの前記フィッティングパラメータの値に基づく各薄膜の成長速度を出力する成長速度出力部と、
    を備える気相成長速度測定装置。
  2. 前記温度依存性を有するパラメータは、前記基板上の最表面の薄膜の成長温度に応じて変化する前記基板の複素屈折率を含む請求項1に記載の気相成長速度測定装置。
  3. 前記温度依存性を有するパラメータは、前記基板の温度依存性のない複素屈折率に乗じる係数を含む請求項1又は請求項2に記載の気相成長速度測定装置。
  4. 前記温度依存性を有するパラメータは、前記基板と、前記基板上の最下段の薄膜との間に配置された仮想的な中間層の膜厚および屈折率の少なくともいずれかを含む請求項1に記載の気相成長速度測定装置。
  5. 前記温度依存性を有するパラメータは、前記基板上の最表面の薄膜の位相オフセットを含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載の気相成長速度測定装置。
  6. 前記膜厚算出部、前記パラメータ選択部、前記反射率算出部、前記誤差算出部および前記パラメータ変更部の各処理は、前記誤差が所定値未満になるまで繰り返し行われる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の気相成長速度測定装置。
  7. 基板に気相成長反応により薄膜を形成する反応室と、
    前記反応室にガスを供給するガス供給部と、
    前記基板を加熱する加熱手段と、
    前記薄膜が形成される基板の反射率を測定する反射率計と、
    前記基板の複素屈折率と、前記基板上に形成される各薄膜の屈折率と、各薄膜の成長速度と、少なくとも一つの温度依存性を有するパラメータと、を含むフィッティングパラメータのそれぞれについて初期値を設定する初期パラメータ設定部と、
    前記各薄膜の成長時間と、前記各薄膜の成長速度と、に基づいて、前記各薄膜の膜厚を算出する膜厚算出部と、
    前記温度依存性を有するパラメータとして、成長温度に応じた値を選択するパラメータ選択部と、
    前記フィッティングパラメータの値を用いて前記各薄膜が形成された基板の反射率を算出する反射率算出部と、
    前記各薄膜の成膜開始後の複数の時刻において、前記反射率算出部で算出された反射率と、対応する薄膜が形成された基板の前記反射率計で測定された反射率の実測値と、の誤差を算出する誤差算出部と、
    前記誤差が所定値以上の場合は、前記フィッティングパラメータの少なくとも一部の値を変更するパラメータ変更部と、
    前記誤差が前記所定値未満のときの前記フィッティングパラメータの値に基づく各薄膜の成長速度を出力する成長速度出力部と、を備える気相成長装置。
  8. 基板の複素屈折率と、前記基板上に形成される各薄膜の屈折率と、各薄膜の成長速度と、少なくとも一つの温度依存性を有するパラメータと、を含むフィッティングパラメータのそれぞれについて初期値を設定し、
    成長時間を測定し、前記成長時間と前記各薄膜の成長速度の設定値とから、前記各薄膜の膜厚を算出し、
    前記温度依存性を有するパラメータとして、成長温度に応じた値を選択し、
    前記フィッティングパラメータの値を用いて前記各薄膜が形成された基板の反射率を算出し、
    前記各薄膜の成膜開始後の複数の時刻において、算出された前記反射率と、対応する薄膜の反射率の実測値と、の誤差を算出し、
    前記誤差が所定値以上の場合は、前記フィッティングパラメータの少なくとも一部の値を変更して、再度前記各薄膜が形成された基板の反射率を算出し、前記実測値との誤差を算出し、
    前記誤差が所定値未満となったときの前記フィッティングパラメータの値に基づく前記各薄膜の成長速度を出力する、
    気相成長速度測定方法。
  9. 前記誤差が前記所定値未満になるまで繰り返し前記温度依存性を有するパラメータの少なくとも一部を変更する請求項8に記載の気相成長速度測定方法。
  10. 前記各薄膜が形成された基板の反射率は、転送行列法又は前記薄膜の反射率を用いて次に積層される前記薄膜の反射率を逐次計算することにより求められる請求項8又は9に記載の気相成長速度測定方法。
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