JP2002069695A - 表面処理アルミニウム材及びその製造方法 - Google Patents
表面処理アルミニウム材及びその製造方法Info
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Abstract
アルミニウム材の表面に、最外層として、単に塗膜硬度
が高いというだけでなく優れた塗膜密着性及び耐衝撃性
をも有する塗膜層を有し、これによって加工性、耐食
性、塗膜硬度、塗膜密着性及び耐衝撃性において優れた
性能を発揮する表面処理アルミニウム材及びその製造方
法を提供する。 【解決手段】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
なるアルミニウム材の表面に形成された粗面化表面と、
この粗面化表面を含むアルミニウム材の表面全面に陽極
酸化処理により形成された陽極酸化皮膜層と、最外層を
形成する塗膜層とを有する表面処理アルミニウム材であ
り、粗面化表面はその表面粗さRzが3〜70μmであ
って、陽極酸化皮膜層は表面処理アルミニウム材の素地
の硬度に応じた膜厚を有しており、また、塗膜層はその
鉛筆硬度が6H以上である表面処理アルミニウム材であ
る。また、このような表面処理アルミニウム材を製造す
るための製造方法である。
Description
はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に、
粗面化表面、陽極酸化皮膜層、及び最外層として塗膜層
を有する表面処理アルミニウム材及びその製造方法に係
り、特に最外層として形成された塗膜層が鉛筆硬度6H
以上の優れた塗膜硬度を有すると共に、優れた塗膜密着
性及び耐衝撃性をも有する表面処理アルミニウム材及び
その製造方法に関する。
ることから、押出形材や板材等として鉄道車両内装、建
物の窓や玄関建具等の建物の内外装、ビル外壁や内装等
の各種建築部材、道路資材、各種キャビネット、冷凍車
コンテナ内外装、冷凍ショーケース、各種日用品等極め
て多岐に亘って利用されている。
材は、一般に、その表面に陽極酸化処理を施して陽極酸
化皮膜層を形成したり、更にその上にアクリル電着塗装
を施して複合皮膜層を形成したり、また、表面に化成処
理を施して化成皮膜層を形成し、その後に通常の塗装を
施して塗膜層を形成した表面処理アルミニウム材として
使用されている。
塗膜層が形成されたアルミニウム材は、長期に亘って美
観と優れた耐食性を発揮するが、アルミニウム材が他の
金属に比べて柔らかく、このアルミニウム材を表面処理
して形成された陽極酸化皮膜層や塗膜層、特に最外層を
形成する塗膜層は、その塗膜硬度や耐衝撃性等の物性に
おいて不足する場合があり、そのため、摺動部や人の出
入りの激しい部位では、アルミニウム材表面の塗膜層が
傷付き易く、また、塗膜割れし易く、長期間に亘って美
観を維持し続けるのが困難であるという問題がある。
れたアルミニウム材が得られたとしても、一般に塗膜層
はその塗膜硬度が高くなるにつれて塗膜密着性や耐衝撃
性が低下する傾向にあり、高い塗膜硬度と優れた塗膜密
着性及び耐衝撃性の相反する性能を同時に満足する塗膜
層を得るのは困難であり、用途等に応じてそのいずれか
の性能をある程度犠牲にせざるを得ないという問題があ
る。
塗膜層が形成されたアルミニウム材は、優れた耐食性、
耐候性及び加工性を有するため、前述したように広範な
用途で使用されているが、最近では、最終ユーザの嗜好
の変化から、薄っぺらである、安っぽい、冷たい等の感
じがすることを指摘するものも出始めている。このた
め、公共施設や鉄道施設のように不特定多数の人々が使
用する環境で用いられる材料については、これまでのア
ルミニウム材に代わって樹脂部材が用いられ始めている
のが現状である。
樹脂製品については、廃棄後のリサイクル方法が確立さ
れていないため、廃棄物処理に大きな費用がかかるばか
りでなく、地球環境を汚染するという問題もある。
ミニウム及びアルミニウム合金からなるアルミニウム材
において、優れた加工性及び耐食性だけでなく、高い塗
膜硬度を有し、しかも、優れた塗膜密着性及び耐衝撃性
を有する表面処理アルミニウム材について鋭意研究した
結果、アルミニウム材の表面に所定の表面粗さRzを有
する粗面化表面を設けると共に、この粗面化表面も含め
てアルミニウム材表面に表面処理アルミニウム材の素地
の硬度に応じた膜厚を有する陽極酸化皮膜層を形成し、
最外層として塗膜層を設けることにより、この塗膜層の
塗膜硬度、塗膜密着性及び耐衝撃性がいずれも向上する
ことを見出し、本発明を完成した。
はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に、
最外層として、単に塗膜硬度が高いというだけでなく優
れた塗膜密着性及び耐衝撃性をも有する塗膜層を有し、
これによって加工性、耐食性、塗膜硬度、塗膜密着性及
び耐衝撃性において優れた性能を発揮する表面処理アル
ミニウム材を提供することにある。
材の表面に、単に塗膜硬度が高いというだけでなく優れ
た塗膜密着性及び耐衝撃性をも有する塗膜層を形成する
ことができ、これによって加工性、耐食性、塗膜硬度、
塗膜密着性及び耐衝撃性において優れた性能を発揮する
表面処理アルミニウム材を製造することができる表面処
理アルミニウム材の製造方法を提供することにある。
ルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム
材の表面に形成された粗面化表面と、この粗面化表面を
含むアルミニウム材の表面に陽極酸化処理により形成さ
れた陽極酸化皮膜層と、最外層を形成する塗膜層とを有
する表面処理アルミニウム材であり、粗面化表面はその
表面粗さRz(Rz:JIS B 0601-1994に準拠する十点平
均粗さ)が3〜70μmであって、陽極酸化皮膜層は表
面処理アルミニウム材の素地の硬度に応じた膜厚を有し
ており、また、塗膜層はその鉛筆硬度が6H以上である
ことを特徴とする表面処理アルミニウム材である。
ニウム合金からなるアルミニウム材の表面に表面粗さR
z 3〜70μmの粗面化表面を形成し、次いでこの粗面
化表面を含むアルミニウム材の表面に、陽極酸化処理に
より、予め求められた表面処理アルミニウム材の素地の
硬度に応じて決められた膜厚の陽極酸化皮膜層を形成
し、最外層として塗膜層を設けることを特徴とする、塗
膜層の鉛筆硬度が6H以上である表面処理アルミニウム
材の製造方法である。
は、アルミニウム又はアルミニウム合金の押出形材や、
圧延加工された厚肉又は薄肉の板材、又はこれらを適宜
折り曲げ加工した曲げ加工材等が使用される。また、上
記アルミニウム材の表面は、平坦面に限らず、湾曲面又
は球状面も含まれ、かつ適宜のコーナー線を介して連続
する複数の平坦面及び/又は湾曲(球状)面の組合せも
含まれる。更に、加工されたアルミニウム材について
は、その表となる面が片面である場合と両面である場合
とがあり、従って、アルミニウム材の表面については片
面の場合と両面の場合とが含まれる。
の素地を構成するアルミニウム材についても、必ずしも
1種のアルミニウム材である必要はなく、表面処理アル
ミニウム材の用途等に応じて、例えばプレス成形した板
材と形材を組合わせて作られた窓枠の化粧カバー等のよ
うに、2種以上の複数のアルミニウム材を組合せて構成
されたものでもよい。
て、アルミニウム材の表面に形成される粗面化表面につ
いては、その表面粗さRz が3〜70μmであることが
必要であり、好ましくは、その表面粗さRz が5〜50
μmである。この表面粗さRz が3μm未満であると、
アルミニウム材の表面の最外層に設けられる塗膜層の塗
膜硬度が十分に得られず、また、70μmを超えるとア
ルミニウム材の表面の外観が悪くなるため好ましくな
い。
の表面の一部又は全部に形成されていればよいが、本発
明の目的を達成する上で、好ましくは、アルミニウム材
の全表面積に対して粗面化表面が占める割合が70%以
上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%で
あるのがよい。更に、上記粗面化表面がアルミニウム材
の片面(表となる面)のみに形成される場合にも、粗面
化表面はアルミニウム材の表面(片面)の一部又は全部
に形成されていればよく、また、本発明の目的を達成す
る上で、好ましくは、アルミニウム材の表面(片面)及
び全表面積に対して粗面化表面が占める割合が70%以
上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%で
あるのがよい。
粗面化表面も含めてアルミニウム材の表面全体に、陽極
酸化処理で形成され、膜厚が表面処理アルミニウム材の
素地の硬度に応じて制御された皮膜層を有し、更に、最
外層として上記皮膜層の上に塗膜層を有するものであ
る。
アルミニウム材の素地の硬度に応じて制御されていると
は、表面処理前の素材の硬さがプレス成形や研磨、ショ
ットブラスト等による加工、更には陽極酸化処理後の乾
燥処理や塗装焼付の加熱処理による熱履歴によって変化
する場合があるが、完成品となった塗装後の正確な素材
の硬さを知る必要があるので、先ず本発明の表面処理ア
ルミニウム材の製作手順に従って粗面化表面、適当な膜
厚の陽極酸化皮膜層、及び塗膜層を有する表面処理アル
ミニウム材の試作品(又は試験片)を作製するか、ある
いは、アルミニウム材の表面に粗面化表面、及び適当な
膜厚の陽極酸化皮膜層を作り、塗料を塗布することなく
塗装の際の焼付処理と同じ加熱条件で加熱処理して試作
品(又は試験片)を作製し、次いでこの試作品(又は試
験片)の素地の硬度を測定し、求められた素地の硬度に
応じて陽極酸化皮膜層の膜厚を設計し、この設計された
膜厚を達成する陽極酸化処理の処理条件を設定し、設定
された処理条件に従って陽極酸化処理を行うことにより
粗面化表面を含むアルミニウム材の表面に陽極酸化皮膜
層が形成されているということである。
片)は、アルミニウム材の種類、粗面化表面、陽極酸化
皮膜層、及び塗膜層並びに必要に応じて付与されるその
他の表面処理と製作手順及びその際の製作条件とにおい
て、製作予定の表面処理アルミニウム材と全く同じある
のが理想ではあるが、少なくとも適当な皮膜厚を有する
陽極酸化皮膜層を形成し、実際に表面処理アルミニウム
材を製造するときの塗膜の焼付条件と同じ条件で加熱処
理を行って素材の硬さを測定すれば、必ずしも製作予定
の表面処理アルミニウム材の表面処理と製作手順及びそ
の際の製作条件と完全に一致している必要はない。
設計するのに用いられる表面処理アルミニウム材の素地
の硬度については、素地(すなわち、最終的に塗膜焼付
け処理を施して最外層の塗膜層を形成せしめた表面処理
後のアルミニウム材)の硬さを正確に反映するものであ
れば、例えばビッカース硬さ(JIS Z2244-1998)、ブリ
ネル硬さ(JIS Z2243-1998)等どのような測定値でもよ
いが、再現性の観点から、好ましくはビッカース硬さで
ある。
られる表面処理アルミニウム材の素地の硬度がビッカー
ス硬さの場合、陽極酸化皮膜層の膜厚は、素地のビッカ
ース硬さが40HV未満のとき陽極酸化皮膜層の膜厚が
10μm以上40μm以下、好ましくは10μm以上3
0μm以下であり、表面処理アルミニウム材の素地硬度
が40HV以上50HV未満のとき陽極酸化皮膜層の膜
厚が3μm以上30μm以下、好ましくは3μm以上2
0μm以下であり、また、表面処理アルミニウム材の素
地硬度が50HV以上のとき陽極酸化皮膜層の膜厚が
0.1μm以上20μm以下、好ましくは0.1μm以
上12μm以下である。素地のビッカース硬さと陽極酸
化皮膜層の膜厚の関係が上記条件を外れると、単に塗膜
硬度が高いというだけでなく優れた塗膜密着性及び耐衝
撃性をも有する塗膜層を形成することが難しくなる。な
お、素地が単一のアルミニウム材で構成されている場合
には、陽極酸化皮膜層の膜厚は、上記条件の最小値とす
るのがコスト的に有利である。
2種以上のアルミニウム材で構成されている場合には、
この素地を構成する全ての素地構成材がビッカース硬さ
40HV未満のとき陽極酸化皮膜層の膜厚は10μm以
上40μm以下、好ましくは10μm以上30μm以下
であり、この素地がビッカース硬さ40HV未満の素地
構成材とビッカース硬さ40HV以上50HV未満の素
地構成材とで構成されているとき陽極酸化皮膜層の膜厚
は10μm以上30μm以下、好ましくは10μm以上
20μm以下であり、この素地を構成する全ての素地構
成材がビッカース硬さ40HV以上50HV未満のとき
陽極酸化皮膜層の膜厚が3μm以上30μm以下であ
り、好ましくは3μm以上20μm以下であり、この素
地がビッカース硬さ40HV未満の素地構成材とビッカ
ース硬さ50HV以上の素地構成材とで構成されている
とき陽極酸化皮膜層の膜厚は10μm以上20μm以
下、好ましくは10μm以上15μm以下であり、この
素地がビッカース硬さ40HV以上50HV未満の素地
構成材とビッカース硬さ50HV以上の素地構成材とで
構成されているとき陽極酸化皮膜層の膜厚は3μm以上
20μm以下、好ましくは3μm以上15μm以下であ
り、この素地を構成する全ての素地構成材がビッカース
硬さ50HV以上のとき陽極酸化皮膜層の膜厚は0.1
μm以上20μm以下、好ましくは0.1μm以上15
μm以下であり、また、この素地がビッカース硬さ40
HV未満の素地構成材と、40HV以上50HV未満の
素地構成材と、50HV以上の素地構成材とで構成され
ているとき陽極酸化皮膜層の膜厚が10μm以上20μ
m以下であり、好ましくは10μm以上15μm以下で
あるのがよい。素地のビッカース硬さと陽極酸化皮膜層
の膜厚の関係が上記条件を外れると、1つの製品におい
て素地の異なる部分で、塗膜硬度が低くなったり、塗膜
密着性が悪くなったり、耐衝撃性が低下した部分が発生
し、全体が均一な性能を発現しなくなり、単に塗膜硬度
が高いというだけでなく優れた塗膜密着性及び耐衝撃性
をも有する塗膜層を形成することが難しくなる。
は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の塗
料を用いて形成することができ、例えば、有機塗料とし
ては、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料、ふっ素樹
脂塗料、ポリエステル、ビニールオルガノゾル等の塗料
を挙げることができ、また、無機系塗料としては、アル
キルシリケート系塗料、光触媒酸化チタン含有無機塗
料、シリカゾル系塗料、アルカリ金属塩素系塗料、金属
アルコキシド系塗料等の塗料を挙げることができ、更
に、有機及び無機の複合塗料としては、例えばアルコキ
シシラン、オルガノアルコキシシラン、シリコン樹脂等
を反応させたシロキサン結合を主体とするシリコンポリ
マー系塗料や、アルコキシシラン、アルコキシチタン等
をゾル−ゲル法で反応させた金属アルコキシド系塗料、
シリカ系セラミックス塗料等のセラミックス系塗料、光
触媒酸化チタン含有の有機・無機複合塗料等の塗料を挙
げることができる。また、これら塗膜層を形成する塗料
については、顔料を含む有色塗料又はクリア塗料が使用
される。
以上80μm以下であり、好ましくは5μm以上60μ
m以下であるのがよい。塗膜層の膜厚が5μm未満であ
ると粗面化処理によって得られるアルミニウム材の凹凸
を解消できず、最外層として形成された塗膜層に凹凸が
生じ、好ましくない外観となる場合がある。また、塗膜
層の厚さが80μmを超えると、効果が飽和するばかり
でなく、かえって使用される塗料そのものの塗膜硬度が
現出し、本発明の目的の1つである高い塗膜硬度を発現
せしめることが難しくなる。
の塗膜層は、その鉛筆硬度が6H以上であることが必要
であり、好ましくは7H以上であるのがよい。この塗膜
層の鉛筆硬度が6Hより低いと、塗膜に傷がつき易くな
るという問題がある。
は、先ず、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる
アルミニウム材の表面に、ショットブラスト処理、エッ
チング処理、エンボスロール圧延処理等の粗面化処理を
施して表面粗さRz 3〜70μmの粗面化表面を形成
し、次いで、アルミニウム材の表面全体に陽極酸化処理
を施して陽極酸化皮膜層を形成し、更に、この陽極酸化
皮膜層の上に塗料を塗布して塗膜層を設けることにより
製造される。
ト処理としては、例えば、アルミニウム材の表面に対し
て、最大粒径が1mm以下であって、かつ、平均粒径が
20μm以上のアルミナ粒子を用いてショットブラスト
を施すことが望ましい。このショットブラスト処理にお
いて、アルミナ粒子を用いることが望ましいとしたの
は、アルミニウム材の表面に硬質で微細な凹凸を容易に
形成することができ、かつ、アルミナ粒子がアルミニウ
ム材の表面に残留した場合においても、後工程の陽極酸
化処理時に悪影響を及ぼさないためである。従って、シ
ョットブラスト処理には、アルミナ粒子と同様の作用効
果を発揮し得る他のセラミック、砂、又は金属等からな
る粒子を用いることも可能である。
チング処理は、例えば、酸やアルカリのエッチング液を
使用した化学エッチングでアルミニウム材の表面の粗面
化を行う方法である。更に、上記粗面化処理として行わ
れるエンボスロール圧延処理は、例えば、一対の圧延ロ
ールのうちの少なくとも一方の圧延ロールとしてロール
表面が粗面化された圧延ロールを用い、これら一対の圧
延ロール間にアルミニウム板材を挿入し、加圧下に通過
させ、粗面化された圧延ロールの凹凸をアルミニウム材
の表面に転写させることにより行なうものである。
面化する手段については、例えば、レーザーダル加工、
ショットダル加工等を用いることができ、その際、圧延
ロールの粗面化は、この圧延ロールのロール間を通過し
たアルミニウム材の表面に、表面粗さRz 3〜70μm
の凹凸が形成されるように行われる。
ルギー密度のビーム、例えばレーザービームをブライト
ロール表面に照射して規則的な凹凸パターンを施して、
アルミニウム材に与えようとする凹凸パターンを形成す
る技術である。また、ショットダル加工は、ショットブ
ラストによりブライトロール表面に不均一な凹凸パター
ンを施して、アルミニウム材に与えようとする凹凸パタ
ーンを形成する技術である。
れたアルミニウム材の表面にはその全面に陽極酸化処理
により陽極酸化皮膜層が設けられる。この陽極酸化処理
としては、酸性浴の建浴に硫酸、シュウ酸、クロム酸、
ほう酸等を用いる公知の方法が適用可能であり、また、
低温で高い電解電圧を付与して皮膜の溶解を抑えた硬質
アルマイト処理も適用することができる。
化表面、陽極酸化皮膜層、及び塗膜層を有する表面処理
アルミニウム材のモデルを形成して予め求められた表面
処理アルミニウム材の素地の硬度に応じて最適な陽極酸
化皮膜層の膜厚を決定し、この陽極酸化皮膜層の膜厚を
達成し得るように陽極酸化処理の処理条件、具体的には
電流密度、電解時間等の処理条件を設定し、この設定さ
れた処理条件に従って陽極酸化処理を行い、粗面化表面
が形成されたアルミニウム材の表面に所定の膜厚の陽極
酸化皮膜層を形成する。
面に形成される陽極酸化皮膜層は、厚さ方向に沿って細
径の通電孔が多数内包された多孔性であるため、陽極酸
化皮膜層が形成された後に直ちに、公知の方法で封孔処
理を行なって通電孔を封孔してもよい。この封孔処理を
行うことにより、表面処理アルミニウム材の耐食性を更
に向上せしめることができる。
ム材はその表面に着色が施されたものであってもよく、
この着色が施された表面処理アルミニウム材としては、
例えば、陽極酸化皮膜層が電解着色された表面処理アル
ミニウム材や、表面に形成された粗面化表面の凹部内に
顔料が充填された表面処理アルミニウム材等が挙げられ
る。
が設けられたアルミニウム材は、その表面に、電着塗
装、スプレー塗装、静電塗装又は浸漬塗装等の塗装処理
が施され、陽極酸化皮膜層の上に塗膜層が形成される。
上記電着塗装、スプレー塗装、及び浸漬塗装等はそれぞ
れ公知の方法によって行うことができる。本発明方法に
より製造された表面処理アルミニウム材の最外層を形成
する塗膜層は、少なくともその鉛筆硬度が6H以上の値
を示し、同時に、優れた塗膜密着性及び耐衝撃性を発揮
する。
適な形態を図面と共に説明する。本発明は以下の実施形
態や実施例に限定されるものではない。
の押出形材又は板材(以下、アルミニム材と称する)1
を公知の方法により用意する。次に、このアルミニウム
材1の表面にアルミナ粒子を用いてショットブラスト処
理を施す。このアルミナ粒子は最大粒径が1mm以下
で、かつ、粒径20μm以上である。また、このショッ
トブラスト処理の際のアルミニウム材1の送り速度は約
1m/分程度とし、かつ、ショット圧力は1〜5kg/
cm2の範囲で適宜選択される。このショットブラスト
処理により、図1に示すように、アルミニウム材1の表
面には表面粗さRz 3〜70μmの粗面化表面2が形成
される。
面2を含めて、アルミニウム材1の表面全面に陽極酸化
処理が施され、粗面化表面2に沿って全体に略均一な膜
厚の陽極酸化皮膜層3が形成される。
塗膜焼付け処理を施して得られる表面処理アルミニウム
材の素地の硬度、好ましくはビッカース硬さに応じて決
定され、具体的には、表面処理に用いるアルミニウム材
に粗面化処理を施し、適当な皮膜厚の陽極酸化皮膜層を
形成し、乾燥処理後に塗膜の焼付条件と同じ加熱処理を
施して決定する。
ッカース硬さである場合、このビッカース硬さが40H
V未満の場合には陽極酸化皮膜層3の膜厚を10〜40
μmの範囲に、また、40HV以上50HV未満の場合には
膜厚を3〜30μmの範囲に、更に、50HV以上の場合
には0.1〜20μmの範囲になるように、陽極酸化処
理の処理条件を設定し、この設定された処理条件で陽極
酸化処理を行い、所定の膜厚のアルミナ層からなる陽極
酸化皮膜層3を形成する。
3は、その厚さ方向に沿って細径の孔(図示せず)を多
数内包するので、この細径孔を直ちに公知の方法により
封孔処理してもよい。
皮膜層3については、必要により着色処理を施すことも
できる。この着色処理には、例えば金属塩浴を用いて金
属成分又は金属酸化物を陽極酸化皮膜層の層中の細孔内
に充填させる公知の電解着色処理により行われる。この
電解着色処理は、Ni、Sn、Co、Cu等の金属塩中
に浸漬したアルミニウム材1に対し、交流、直流、矩形
波電流、又はパルス電流を供給して電解することによ
り、Ni、Sn、Co、Cu等の金属成分又は金属酸化
物を陽極酸化皮膜層3の細孔中に充填させるものであ
る。
3の上には、引き続き塗装処理を施して塗膜層4が設け
られる。この塗装処理としては、電着塗装、スプレー塗
装、静電塗装、又は浸漬塗装等の公知の方法が用いられ
る。
をより具体的に説明する。
ミニウム材からなり、同じ形状及びサイズの板材又は形
材に形成された試験片を用意し、実施例1〜17及び比
較例1〜14とした。各試験片の表面には、粒径50〜
500μmのアルミナ粒子(組成;Al2O3:96.6
wt%、TiO2:2.4wt%、SiO2:0.6wt%、及
びその他)を用い、ショット圧力を3段階に変化させて
ショットブラスト処理を施し、各試験片の表面に表1に
示す表面粗さRzを持つ粗面化表面を形成した。
1〜14の試験片について、硫酸法により陽極酸化処理
を施し、各試験片の表面全面に陽極酸化皮膜層を設け
た。この陽極酸化処理は、硫酸160g/リットルで2
3℃の電解液を用い、電流密度1.5A/dm2の条件
で電解することにより行い、形成される陽極酸化皮膜層
の膜厚の制御は表1に示すように電解時間を制御するこ
とにより行った。
の塗装処理を行なった。即ち、実施例1〜10、14、1
6、17及び比較例1〜7、11〜14の各試験片につ
いては、表1に示す膜厚のシロキサン結合を有する有機
・無機複合系塗料を用いた塗装を施した。この塗装はス
プレー塗装により行い、190℃×20分の焼き付け処
理を行なった。また、実施例11〜13、15及び比較
例8〜10の各試験片については、スプレー塗布により
熱硬化型アクリル系塗料を塗布し、次いで170℃×2
0分の焼き付け処理を行なった。
種のアルミニウム材からなる試験片について、陽極酸化
処理の際の電解時間を20分とし、また、塗料を用いた
塗装処理を行わずに焼き付け処理の際の加熱条件、すな
わち190℃×20分又は170℃×20分の加熱処理
のみを行った以外は、上記各実施例と同じ条件で粗面化
表面、及び陽極酸化皮膜層を形成し、得られた表面処理
後の各試験片について、定法に従って樹脂に埋め込み、
研磨した後、試験荷重0.2452N(HV0.02
5)、保持時間15秒の条件で測定した。
の各試験片について、表面の塗膜層の塗膜硬度を鉛筆硬
度法(JIS K5400-1990に準拠)により測定すると共に、
塗膜層の密着性(付着性)を碁盤目法(JIS K5400-1990
に準拠)により測定し、◎:はがれによる欠損部が無
い、○:欠損部の面積が全正方形面積の5%以下であ
る、△:欠損部の面積が全正方形面積の5〜15%であ
る、×:欠損部の面積が全正方形面積の15%を超えて
いる、の4段階基準で評価した。
4の各試験片について、塗膜の耐衝撃性をデュポン衝撃
試験法(JIS K5400-1990に準拠)により測定した。この
際の衝撃荷重は500g(撃ち型及び受け台半径6.3
5±0.03mm)であり、落下高さは50cmであ
る。耐衝撃性の判定基準は、衝撃による変形で、◎:割
れ・剥がれを認めない、○:周辺部に目視観察で微かな
ひび割れを生じた、×:割れ・剥がれが生じた、の3段
階で評価した。
ム材の総合評価を行い、鉛筆硬度が6H以上であって、
塗膜密着性が◎又は○と評価され、かつ、耐衝撃性が◎
又は○と評価されたものを◎:良好と評価し、1項目で
も上記の基準を満たさないものを×:不良と判定した。
結果を表1に示す。
処理アルミニウム材の素地のビッカース硬さに応じた膜
厚の陽極酸化皮膜層を有する実施例1〜17の試験片
は、そのいずれも塗膜硬度(鉛筆硬度)、塗膜の密着性
及び耐衝撃性において優れているのに対し、陽極酸化皮
膜層の膜厚が素地のビッカース硬さに応じていない比較
例1〜14の各試験片については、その塗膜硬度(鉛筆
硬度)、塗膜の密着性及び耐衝撃性がそのいずれかにお
いて不足している。
ルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム
材の表面に、最外層として、単に塗膜硬度が高いという
だけでなく、優れた塗膜密着性及び耐衝撃性をも有する
塗膜層を有し、これによって加工性、耐食性、塗膜硬
度、塗膜密着性及び耐衝撃性において優れた性能を発揮
する。
製造方法によれば、アルミニウム材の表面に、単に塗膜
硬度が高いというだけでなく優れた塗膜密着性及び耐衝
撃性をも有する塗膜層を形成することができ、これによ
って加工性、耐食性、塗膜硬度、塗膜密着性及び耐衝撃
性において優れた性能を発揮する表面処理アルミニウム
材を製造することができる。
示す模式的断面図である。
膜層、4…塗膜層。
Claims (9)
- 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
なるアルミニウム材の表面に形成された粗面化表面と、
この粗面化表面を含むアルミニウム材の表面に陽極酸化
処理により形成された陽極酸化皮膜層と、最外層を形成
する塗膜層とを有する表面処理アルミニウム材であり、
粗面化表面はその表面粗さRzが3〜70μmであっ
て、陽極酸化皮膜層は表面処理アルミニウム材の素地の
硬度に応じた膜厚を有しており、また、塗膜層はその鉛
筆硬度が6H以上であることを特徴とする表面処理アル
ミニウム材。 - 【請求項2】 表面処理アルミニウム材の素地の硬度が
ビッカース硬さである請求項1に記載の表面処理アルミ
ニウム材。 - 【請求項3】 表面処理アルミニウム材の素地のビッカ
ース硬さが40HV未満のとき陽極酸化皮膜層の膜厚が
10〜40μmであり、表面処理アルミニウム材の素地
硬度が40HV以上50HV未満のとき陽極酸化皮膜層
の膜厚が3〜30μmであり、また、表面処理アルミニ
ウム材の素地硬度が50HV以上のとき陽極酸化皮膜層
の膜厚が0.1〜20μmである請求項2に記載の表面
処理アルミニウム材。 - 【請求項4】 表面処理アルミニウム材はその素地が2
種以上のアルミニウム材で構成されており、この素地を
構成する全ての素地構成材がビッカース硬さ40HV未
満のとき陽極酸化皮膜層の膜厚が10〜40μmであ
り、この素地がビッカース硬さ40HV未満の素地構成
材とビッカース硬さ40HV以上50HV未満の素地構
成材とで構成されているとき陽極酸化皮膜層の膜厚が1
0〜30μmであり、この素地を構成する全ての素地構
成材がビッカース硬さ40HV以上50HV未満のとき
陽極酸化皮膜層の膜厚が3〜30μmであり、この素地
がビッカース硬さ40HV未満の素地構成材とビッカー
ス硬さ50HV以上の素地構成材とで構成されていると
き陽極酸化皮膜層の膜厚が10〜20μmであり、この
素地がビッカース硬さ40HV以上50HV未満の素地
構成材とビッカース硬さ50HV以上の素地構成材とで
構成されているとき陽極酸化皮膜層の膜厚が3〜20μ
mであり、この素地を構成する全ての素地構成材がビッ
カース硬さ50HV以上のとき陽極酸化皮膜層の膜厚が
0.1〜20μmであり、また、この素地がビッカース
硬さ40HV未満の素地構成材と、40HV以上50H
V未満の素地構成材と、50HV以上の素地構成材とで
構成されているとき陽極酸化皮膜層の膜厚が10〜20
μmである請求項2に記載の表面処理アルミニウム材。 - 【請求項5】 陽極酸化皮膜層が電解着色されている請
求項1〜4のいずれかに記載の表面処理アルミニウム
材。 - 【請求項6】 表面処理アルミニウム材の素地の硬度
は、粗面化表面、陽極酸化皮膜層、及び塗膜層を有する
表面処理アルミニウム材のモデルを形成して測定された
値である請求項1〜5のいずれかに記載の表面処理アル
ミニウム材。 - 【請求項7】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
なるアルミニウム材の表面に表面粗さRz 3〜70μm
の粗面化表面を形成し、次いでこの粗面化表面を含むア
ルミニウム材の表面に、陽極酸化処理により、予め求め
られた表面処理アルミニウム材の素地の硬度に応じて決
められた膜厚の陽極酸化皮膜層を形成し、最外層として
塗膜層を設けることを特徴とする、塗膜層の鉛筆硬度が
6H以上である表面処理アルミニウム材の製造方法。 - 【請求項8】 表面処理アルミニウム材の素地の硬度
は、粗面化表面、陽極酸化皮膜層、及び塗膜層を有する
表面処理アルミニウム材のモデルを形成して測定される
請求項7に記載の表面処理アルミニウム材の製造方法。 - 【請求項9】 素地の硬度がビッカース硬さである請求
項7又は8に記載の表面処理アルミニウム材の製造方
法。
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-
2000
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