JP2002069478A

JP2002069478A - 香質改善剤および香料組成物

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Publication number: JP2002069478A
Application number: JP2000255299A
Authority: JP
Inventors: Hitomi Kataoka; 仁美片岡; Hideki Nakamoto; 英喜中本; Taro Kitaura; 太郎北浦; Masakazu Ishihara; 正和石原
Original assignee: Shiono Koryo Kaisha Ltd
Current assignee: Shiono Koryo Kaisha Ltd
Priority date: 2000-08-25
Filing date: 2000-08-25
Publication date: 2002-03-08

Abstract

(57)【要約】【目的】香粧品香料組成物に添加することにより、華
やかさ、フレッシュ感、フルーティ感、天然感を付与増
強させることができるような香粧品香料用香質改善剤を
提供すること。また食品香料組成物に添加することによ
り、フルーティ感、果汁感、天然感を付与増強させるこ
とができる食品香料用香質改善剤を提供すること。【構成】８，９−デヒドロテアスピロンからなる香粧
品香料用香質改善剤または食品香料用香質改善剤。ま
た、８，９−デヒドロテアスピロンが添加されているこ
とを特徴とする香粧品香料組成物または食品香料組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、香粧品香料用香質
改善剤、香粧品香料組成物、香粧品、並びに、食品香料
用香質改善剤、食品香料組成物、食品に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
消費者の嗜好性が多様化し、それに伴って各種各様の香
気、香味を有する香粧品、食品の出現が要望されてい
る。これに対して、公知の香料化合物だけでは応じきれ
ず、従来にない新しいタイプの香料素材、とくに香粧品
香料組成物に添加することによって、華やかさ、フレッ
シュ感、フルーティ感、天然感を付与増強させるような
香質改善剤および食品香料組成物に添加することによっ
て、フルーティ感、果汁感、天然感を付与増強させるよ
うな香質改善剤が強く求められている。

【０００３】本発明者らは、鋭意研究を行った結果、
８，９−デヒドロテアスピロンが前記香質改善効果を有
することを見出した。

【０００４】８，９−デヒドロテアスピロンについて
は、タバコ刻みやタバコ製造用の巻紙、のりに添加して
タバコの香喫味を改良するとの記載（特開昭５７−１８
８５８３号公報）があるが、香粧品香料組成物や食品香
料組成物に添加することによって前記顕著な香質改善効
果を有することの記載や示唆は全く見られない。

【０００５】本発明の目的は、香粧品香料組成物に添加
することにより、華やかさ、フレッシュ感、フルーティ
感、天然感を付与増強させると共に、その香気のバラン
スを調整してまとめることができ、さらにそれらの効果
を持続させることができるような香粧品香料用香質改善
剤並びに前記効果が付与された香粧品香料組成物、さら
には前記効果が付与された香粧品を提供することであ
る。

【０００６】また本発明の目的は、食品香料組成物に添
加することにより、フルーティ感、果汁感、天然感を付
与増強させると共に、その香気香味のバランスを調整し
てまとめることができ、さらにそれらの効果を持続させ
ることができる食品香料用香質改善剤並びに前記効果が
付与された食品香料組成物、さらには前記効果が付与さ
れた食品を提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、８，９−デヒ
ドロテアスピロンからなる香粧品香料用または食品香料
用香質改善剤、並びに８，９−デヒドロテアスピロンが
添加されていることを特徴とする香粧品香料組成物また
は食品香料組成物である。さらに本発明は、前記香粧品
香料組成物または食品香料組成物が添加されていること
を特徴とする、香粧品または食品である。

【０００８】本発明の８，９−デヒドロテアスピロン
は、下記式で表される化合物である。

【０００９】

【化１】本化合物は天然物から抽出して得ることもできるし、ま
た生化学的合成法および化学的合成法により得ることも
できる。その中でも、純度よく多量に取得できることな
どから化学的合成法を用いることが好ましい。化学的合
成法としては特開昭５７−１９７２７３号公報に記載の
方法が好ましく挙げられる。

【００１０】本発明の８，９−デヒドロテアスピロンか
らなる香質改善剤は、各種の合成香料、天然香料等とよ
く調和する。本発明の香粧品香料用香質改善剤は、香粧
品香料組成物に添加すると、華やかさ、フレッシュ感、
フルーティ感および天然感を付与増強させると共に、そ
の香気のバランスを調整してまとめることができ、さら
にそれらの効果を持続させることができる。とくに前記
香粧品香料組成物の中でもフルーティ、フローラル、シ
トラス系香料組成物において、前記効果が顕著に生じる
ので好ましい。

【００１１】また本発明の食品香料用香質改善剤を食品
香料組成物に添加することにより、フルーティ感、果汁
感、天然感を付与増強させると共に、その香気香味のバ
ランスを調整してまとめることができ、さらにそれらの
効果を持続させることができる。とくに前記食品香料組
成物の中でも、柑橘系、果実系（とくに核・芯系）香料
組成物において、前記効果が顕著に生じるので好まし
い。尚、食品香料組成物における香質とは香気香味の質
のことをいう。

【００１２】前記香料組成物において、８，９−デヒド
ロテアスピロンと混合させる成分としては公知の合成香
料、天然香料等がある。例えば、アルコール類（イソア
ミルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、シス−
３−ヘキセノール、１−オクテン−３−オール、リナロ
ール、ゲラニオール、シトロネロール、メントール、ベ
ンジルアルコール、ターピネオール、ペリラアルコー
ル、フェニルエチルアルコール、シンナミルアルコー
ル、ネロリドール、ファルネソール、フルフリルアルコ
ール）、フェノール類（フェノール、ジメチルフェノー
ル、グアヤコール、チモール）、アルデヒド類（オクタ
ナール、デカナール、ヘキサナール、２−トランス−ヘ
キセナール、２，６−ノナジエナール、２，４−デカジ
エナール、シトラール、シトロネラール、ペリラアルデ
ヒド、ヒドロキシシトロネラール、ベンズアルデヒド、
フェニルアセトアルデヒド、シンナミックアルデヒド、
バニリン、５−メチルフルフラール）、ケトン類（２−
ヘプタノン、２−ノナノン、メチルヘプテノン、カルボ
ン、メントン、イオノン、アセトフェノン、マルトー
ル）、カルボン酸類（酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ
吉草酸、ゲラン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、フェニ
ル酢酸）、エステル類（エチルヘキサノエート、ヘキ
シルアセテート、シス−３−ヘキセニルアセテー
ト、メチルシンナメート、メチルジャスモネート、メ
チルジヒドロジャスモネート、リナリルアセテー
ト、ゲラニルアセテート、ターピニルアセテート、
メンチルアセテート、シンナミルアセテート、フェ
ニルエチルアセテート）、ラクトン類（γ−ヘキサラ
クトン、γ−オクタラクトン、γ−デカラクトン、δ−
デカラクトン、シス−ジャスミンラクトン）、エ−テル
類（リナロールオキシド、ローズオキシド）、Ｓ，N化
合物類（ピラジン、メチルピラジン、アセチルピラジ
ン、ピペリジン、ピリジン、２−アセチルピリジン、メ
タンチオール、フランチオール、２−メチル−３−フラ
ンチオール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィ
ド）、天然香料（オレンジ油、マンダリン油、イランイ
ラン油、ラベンダー油）等が挙げられる。とくに、公知
のグリ−ン系単品香料または調合香料組成物と組み合わ
せると食品および香粧品香料組成物において、フルーテ
ィ感、天然感を付与増強する効果が顕著に生じるので好
ましい。

【００１３】前記８，９−デヒドロテアスピロンの香料
組成物への添加量（配合量）は、その目的あるいは香料
組成物の種類によっても異なるが、例えば、香粧品香料
組成物の場合には、全体量に対して０．００５〜３０重
量％（以下、％という）、中でも０．０２〜１０％、特
には０．０５〜１％の範囲が好ましく挙げられる。ま
た、食品香料組成物では、全体量に対して０．００１〜
１０％、中でも０．００５〜１％、特には０．０１〜
０．１％の範囲が好ましく挙げられる。尚、添加の方
法、時期等は、とくに限定されず、例えば調製された各
種タイプの香料組成物に添加しても良いし、また香料組
成物の調製時に添加しても良い。

【００１４】本発明の香質改善剤を使用した香料組成物
は、香粧品類、飲食品類、保健衛生材料、医薬品などに
用いることができる。例えば、シャンプー類、ヘアクリ
ーム類、ヘアカラ−類、ポマード類、その他の毛髪用化
粧品類；香水、コロン、クリーム、乳液、化粧水、ファ
ンデーション、口紅、その他の香粧品類などに華やか
さ、フレッシュ感、フルーティ感、天然感に優れた香気
を付与増強させると共に、それらの効果を持続させるこ
とができる。また、例えば、果汁飲料類、炭酸飲料類、
果実酒、乳飲料類のごとき飲料類；アイスクリーム類、
シャーベット類、アイスキャンディー類のごとき冷菓
類；和洋菓子類、チューインガム類、ジャム類、パン
類、コーヒー、ココア、紅茶、お茶のごとき嗜好品類；
和風スープ類、洋風スープ類のごときスープ類；風味調
味料、各種インスタント食品類、各種スナック食品類な
どに、フルーティ感、果汁感、天然感に優れた香質を付
与増強させると共に、それらの効果を持続させることが
できる。また、歯磨き、口腔洗浄剤、洗濯用洗剤類、消
毒用洗剤類、室内芳香剤その他各種の保険衛生材料類；
医薬品の服用を容易にするための矯味、賦香剤などの医
薬品などに、それぞれ前記のユニークな効果を付与でき
る。

【００１５】香粧品香料組成物の香粧品への添加量は、
香粧品の種類によっても異なるが、例えば８，９−デヒ
ドロテアスピロンの量に換算して、香粧品全体量に対し
て０．００００００１〜１％、中でも０．００００００
４〜０．３％、特には０．０００００１〜０．０３％の
範囲が好ましく挙げられる。また食品香料組成物の食品
への添加量は、食品の種類によっても異なるが、例えば
８，９−デヒドロテアスピロンの量に換算して、食品全
体量に対して０．０００００１〜０．１％、中でも０．
００００５〜０．０１％、とくには０．００００１〜
０．００１％の範囲が好ましく挙げられる。

【００１６】尚、本発明にいう香粧品香料用香質改善
剤、香粧品香料組成物および香粧品における香粧品と
は、通常の香粧品以外に洗濯用洗剤類、消毒用洗剤類、
室内芳香剤のごとき口の中に入れない香り商品のことを
含み、タバコは含まれない。また本発明にいう食品香料
用香質改善剤、食品香料組成物および食品における食品
とは通常の食品以外に歯磨き、口腔洗浄剤、医薬品の服
用を容易にするための矯味、賦香剤等の商品を含み、タ
バコは含まれない。

【００１７】

【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれにより制限されるものではな
い。

【００１８】実施例１、比較例１表1に示す処方のオレンジ香料組成物を調製した。尚、
数字は部を示す（以下も同じ）。

【表１】

【００１９】食品香料用香質改善剤である８，９−デヒ
ドロテアスピロンを添加した実施例１の香料組成物と、
無添加の比較例１の香料組成物とを専門パネラー６人で
比較した。尚、評価は香料組成物を、果糖ブドウ糖液糖
（固形分７５％）５．３％、クエン酸０．１％およびク
エン酸ナトリウム０．０３％を含有するモデル飲料にそ
れぞれ０．１％の割合で添加して得た飲料を官能評価し
た。その結果、６人全員が実施例１の香料組成物は比較
例１の香料組成物に比べて、バランスが良くなり天然
感、果汁感、およびフルーティ感が明らかに高められた
と評価した。また、それらの効果が持続することを確認
した。

【００２０】実施例２、比較例２表２に示す処方のピーチ香料組成物を調製した。

【表２】

【００２１】食品香料用香質改善剤である８，９−デヒ
ドロテアスピロンを添加した実施例２の香料組成物と、
無添加の比較例２の香料組成物とを専門パネラー６人で
比較した。尚、評価は香料組成物を、果糖ブドウ糖液糖
（固形分７５％）５．３％、クエン酸０．０５％および
クエン酸ナトリウム０．０３％を含有するモデル飲料に
それぞれ０．１％の割合で添加して得た飲料を官能評価
した。その結果、６人全員が実施例２の香料組成物は比
較例２の香料組成物に比べて、バランスが良くなり天然
感、果汁感、およびフルーティ感が明らかに高められ、
ピーチ的甘さも強められたと評価した。また、それらの
効果が持続することを確認した。

【００２２】実施例３、比較例３表３に示す処方の製菓用ピーチオイル香料組成物を調製
した。

【表３】

【００２３】得られたピーチオイル香料組成物をガムに
１％ずつ賦香し、８，９−デヒドロテアスピロンを添加
した実施例３の香料組成物で賦香したガムと、無添加の
比較例３の香料組成物で賦香したガムとを専門パネラー
６人で比較した。尚、ガムは、ガムベース２５％、粉糖
（４０メッシュ）７１％および水あめ４％を含有するモ
デルガムを用いた。その結果、６人全員が実施例３の香
料組成物を賦香したガムは、比較例３の香料組成物を賦
香したものに比べて、ナチュラルなピーチの赤い果肉感
が増して、かみつづけたときに口の中でピーチの匂いが
持続し、果汁感、フルーティ感、およびバランス感も格
段に優れて、それらが持続することを認めた。

【００２４】実施例４、比較例４表４に示す処方の製菓用オレンジオイル香料組成物を調
製した。

【表４】

【００２５】得られたオレンジオイル香料組成物を実施
例３、比較例３で用いたと同じガムに１％ずつ賦香し、
８，９−デヒドロテアスピロンを添加した実施例４の香
料組成物で賦香したガムと、無添加の比較例４の香料組
成物で賦香したガムとを専門パネラー６人で比較した。
その結果、６人全員が実施例４の香料組成物を賦香した
ガムは、比較例４の香料組成物を賦香したものに比べ
て、フレーバーが濃厚でみずみずしさが増して、かみつ
づけたときにナチュラルで果汁感、フルーティ感、およ
びバランス感が格段に優れて、それらが持続することを
認めた。

【００２６】実施例５、比較例５表５に示す処方のピーチ香粧品香料組成物を調製した。

【表５】

【００２７】香粧品香料用香質改善剤である８，９−デ
ヒドロテアスピロンを添加した実施例５の香料組成物
と、無添加の比較例５の香料組成物とを専門パネラー６
人で比較した。その結果６人全員が実施例５の香料組成
物は比較例５の香料組成物に比べて、匂い立ちが華やか
でバランスも良くなり、フレッシュでナチュラルなピー
チの香りが強調されると評価した。また、それらの効果
が持続することを確認した。

【００２８】

【発明の効果】本発明の香粧品香料用香質改善剤は、香
粧品香料組成物に添加することにより、華やかさ、フレ
ッシュ感、フルーティ感、天然感を付与増強させると共
に、その香気のバランスを調整してまとめることがで
き、さらにそれらの効果を持続させることができる。ま
た、本発明の食品香料用香質改善剤は、食品香料組成物
に添加することにより、フルーティ感、果汁感、天然感
を付与増強させると共に、その香気香味のバランスを調
整してまとめることができ、さらにそれらの効果を持続
させることができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考）Ａ６１Ｋ 7/46 ４１１Ａ６１Ｋ 7/46 ４１１ // Ａ２３Ｌ 2/00 Ａ２３Ｌ 2/00 Ｂ (72)発明者石原正和大阪府大阪市淀川区新高５丁目17番75号塩野香料株式会社大阪工場内Ｆターム(参考） 4B017 LC02 LK06 LL01 4B047 LB08 LF07 LF08 LF09 LG20 4H059 BA23 BB13 BB15 BB16 BB19 BB22 BB44 BB45 EA32

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】８，９−デヒドロテアスピロンからなる香
粧品香料用香質改善剤。
【請求項２】８，９−デヒドロテアスピロンからなる食
品香料用香質改善剤。
【請求項３】８，９−デヒドロテアスピロンが添加され
ていることを特徴とする香粧品香料組成物または食品香
料組成物。