JP2002067883A - ワイパーアームヘッド - Google Patents

ワイパーアームヘッド

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Seiji Naito
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アームヘッド3のヒンジ軸7を補強するため
成形樹脂材料中へガラス繊維等の補強用フィラー8を充
填しこれをヒンジ軸7の周辺へ配向すると、ヒンジ軸7
の内部の一部に偏倚して配向したり、ヒンジ軸7の内部
にボイド9を発生する。その結果、樹脂本来の持つ強度
が確保されず、アームヘッド内部へ強度に対する不均一
性を発生し、均一な応力分布特性を欠き、強度を著しく
阻害することにもなっている。 【解決手段】 ワイパ−ア−ムの駆動軸を受け入れる軸
受け部11と、該軸受け部11の両側から伸びている一
対の側壁部12と、該一対の側壁部12間にあって両側
壁を架橋しておりかつワイパーアームの端部を受け入れ
ているヒンジ軸13、20と、を一体的に成型し、該ヒ
ンジ軸13、20の内部に一方の側壁部12から他方の
側壁部12へ向かって穴を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本件発明は車両用ワイパ−に
関し、特に、車両用ワイパ−ア−ムとワイパ−ア−ムの
駆動軸とを連結するためのア−ムヘッドに関する。より
詳細には、ワイパーアームが接続しているアームヘッド
のヒンジ軸部へ補強用フィラ−を配合し、当該ヒンジ軸
部を強化した樹脂製ア−ムヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】図7に示すように、車両のガラス面(図
示なし)を払拭しそこを浄化するためのワイパ−ブレー
ド1は、ワイパーアーム2によって揺動駆動されてい
る。ワイパーアーム2は、一端部がワイパーブレード1
へ連結され、他端部が通常樹脂材料によって成形されて
いるアームヘッド3を介してワイパ−ア−ムの駆動軸
(図示なし)へ連結されている。この駆動軸が往復回転
運動することによりアームヘッド3が往復揺動運動を
し、前記ワイパーアーム2を介してワイパーブレード1
がガラス面上を揺動し、これにより該ワイパーブレード
へ装着されている図示していない払拭ゴムがガラス面の
払拭作用を行っている。このため、アームヘッド3は、
図8に示すように、ワイパ−ア−ムの駆動軸を受け入れ
る軸受け部5と、該軸受け部5の両側から伸びている一
対の側壁部6と、該側壁部6の間にあって両側壁を架橋
しておりかつワイパーアーム2を受け入れるヒンジ軸7
と、を一体的に有している。
【0003】しかして、このヒンジ軸7は、ワイパーア
ーム2の端部を受け入れこれを保持する受け入れ保持機
能と同時に、該ワイパーアーム2に揺動運動を付与する
揺動運動付与機能という二つの機能を提供しなければな
らない。また、ヒンジ軸7は、風雪、豪雨等の自然条件
による抵抗力、ガラス洗浄時又はワイパーブレード交換
時等における人的外力をも受ける。その結果、該ヒンジ
軸7へは、押圧力、引張力、曲げ力、捩り力、更にはそ
れらの複合力が複雑に作用している。
【0004】このように、ヒンジ軸7には様々な外力が
同時に作用するため、しばしばヒンジ軸7は容易に破損
し、アームヘッド3からの運動がワイパーアーム2へ適
切に伝達せず、またそのためワイパーアーム2からのガ
ラス面押圧力がワイパーブレード1へ適切に伝わらず、
ワイパーブレード1がガラス面上の水を払拭しなくなっ
たり、拭き残しを発生したりするようになる。また、あ
るときには破損したヒンジ軸7の破片又はそこから遊離
したワイパーアーム等が飛散して車両を傷付けたり、歩
行者へ損傷を与えることもある。
【0005】そのため、このヒンジ軸7はこれらの複雑
な力に十分対抗することが出来るような強度を有するこ
とが要求される。従来は、このヒンジ軸7の強度を増強
する手段として、ヒンジ軸の軸径を大きくすること、使
用する樹脂材料を強度の高い材料に変更すること、成形
圧力を上昇する等の成形条件を変更すること、ガラス繊
維その他の補強用フィラー8(図9参照)を溶融樹脂内
へ充填しヒンジ軸7の周辺に該フィラーを配向するこ
と、等の種々の手段が試みられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アーム
ヘッド3のヒンジ軸7の軸径を大きくすると、使用する
合成樹脂材料の量が増大し、これに伴なってコストが上
昇し、また拡径されたヒンジ軸を受け入れるためワイパ
ーアームの形状が大型化し、更に空気抵抗が増え、その
うえデザイン性が低下する等の課題がある。
【0007】更に、樹脂材料及び成形条件の変更を図る
ことは、材料コストが上昇し、これまでの生産ラインに
変更をもたらすことになり、結果的に生産コストの上昇
を招くという課題があった。
【0008】また、成形樹脂材料中へガラス繊維等の補
強用フィラーを充填し、フィラーが樹脂の流路に沿って
配向するという性質を利用してヒンジ軸7の周辺へ補強
用フィラー8を配向することは、該補強用フィラー8が
一方の側壁部6からヒンジ軸7を介して他方の側壁部6
まで配向しただけだと、該ヒンジ軸7に未だ十分な強度
が発生せず、更に、現実の成形作業においては、例え
ば、フィラー8がアームヘッド3の外表面に沿ってのみ
配置されるのではなく、図9に示すように、ヒンジ軸7
の内部の一部に偏倚して配向したり、ひどい場合には図
10に示すように、ヒンジ軸7の内部にボイド9を発生
させることもある。その結果、樹脂本来の持つ強度が確
保されず、アームヘッド内部へ強度に対する不均一性を
発生し、均一な応力分布特性を欠き、上述のような複雑
な応力に対抗するための強度を著しく阻害することにも
なっている。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで本発明はかかる課
題を解決するため、一端部がワイパーブレードへ嵌合し
ているワイパーアームの他端部を嵌合保持している樹脂
製のアームヘッドであって、ワイパ−ア−ムの駆動軸を
受け入れる軸受け部11と、該軸受け部11の両側から
伸びている一対の側壁部12と、該一対の側壁部12間
にあって両側壁を架橋しておりかつワイパーアームの端
部を受け入れているヒンジ軸13と、を一体的に成型し
ており、該ヒンジ軸13の内部には一方の側壁部12か
ら他方の側壁部12へ向かって穴が形成されているワイ
パーアームヘッドを提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は本発明にかかるアームヘッ
ド10を示す斜視図である。このアームヘッド10は、
図8に示す公知のアームヘッド3と同様に、ワイパ−ア
−ムの駆動軸(図示なし)を受け入れる軸受け部11
と、該軸受け部11の両側から伸びている一対の側壁部
12と、該一対の側壁部12間にあって両側壁を架橋し
ておりかつワイパーアームの端部を受け入れているヒン
ジ軸13と、を一体的に有している。ワイパーアーム
は、図7に示すように、他方の端部がワイパーブレード
に装着されており、該ワイパーブレードがガラス面を払
拭している。
【0011】本発明において、ヒンジ軸13と一体的に
形成されている一対の側壁部12、12の側面には、断
面が円形を有する穴14、14が形成されている。これ
らの穴14、14は、図2に示すように、一方の側壁部
12からヒンジ軸13の内部へ向かって、他方の側壁部
12まで連通している。左右の穴14、14を連通する
ことにより、金型形成が容易になると同時に金型構造が
強化され、更に樹脂の流路が明確に画定されるので、成
形中に流動樹脂がよどみを発生することを防止出来る。
更に、これらの穴14、14はそれぞれ2つの異なる直
径を有している。即ち、側壁部12の表面に近い部分が
大きい直径Dを有しており、側壁部12の表面から離れ
た部分が小さい直径dの穴となっている。これらの穴1
4を設けるのは、例えばガラス繊維等からなる破線で示
すような補強用のフィラー15がヒンジ軸13の中心部
付近に沿っても配向されるようにするための樹脂の流路
を提供するためである。そこで、ヒンジ軸13内部にこ
れらの穴を形成するために金型内に該穴形状に対応する
突出部を形成し樹脂流路を形成する。こうして当該金型
へフィラーと共に溶融樹脂を流すと、フイラー15は樹
脂の流れに追随しながらも金型の外側面に沿って配向さ
れる。そのため、該フィラー15は、図2において破線
で示すように、側壁部12の外面12a、底面12b及
び内面12cに沿った部分に流れ込むと同時に、ヒンジ
軸13の外周面部分13aと、更には該ヒンジ軸13の
中心部付近であって前記穴14の周辺部分13bに沿っ
て配置される。
【0012】この結果、補強用フィラー15は、当該ヒ
ンジ軸13の全長にわたって、その外周面部分13a及
び中心部付近13bに配向される。このため、該ヒンジ
軸13は、その外表面部分と中心部付近とが二重にフィ
ラー15によって補強されることになる。更に、ヒンジ
軸13の中心部には穴14が形成されているため、図9
に示すようなヒンジ軸の中心部にフィラーが停滞すると
いうことも無い。しかもこの実施例においては、中心部
付近13bに配向されているフィラー15はほぼ一定の
直径を有する位置に配置されている。このため、その中
心部付近に配向されている補強用フィラー15はヒンジ
軸13のどの部分においてもほぼ同様の強度を提供する
ことが出来るので、捩れ力等に対する応力が更に強化さ
れている。従って、本発明によるアームヘッド10にお
いては、ヒンジ軸13の強度がこれまでのアームヘッド
3のヒンジ軸よりも格段に強くなり、アームヘッド10
のヒンジ軸13が破損するという事故はほぼ完全に防止
出来ることが判明したのである。更に、穴14を設ける
ことにより、使用されるアームヘッドの成形に使用され
る樹脂の量が減少し、コストがその分、安くなるのであ
る。
【0013】ここで、穴14の直径を、側壁部12側に
おいて大きくし、ヒンジ軸内方にて小さくしているの
は、樹脂流路が側壁部12とヒンジ軸内方との間におい
て詰まり等を生じることなく確実に形成されることを保
証するためである。これによりフィラーが確実にヒンジ
軸13の幅方向中央部まで配向するようにしている。
【0014】なお、図2の例においては、ヒンジ軸13
の内部を貫通している穴14は、1個であるが、側壁部
12、12を連結する方向へ伸びるこのような穴の数は
1個に限定されるものでは無く、図3に示すように2個
又はそれ以上の個数であっても良い。この方向の穴が多
くなれば、フィラー配向層は多重的に増え、ヒンジ軸の
強度が一層強くなる。また、この時、両側壁部12、1
2からヒンジ軸13の内方へ向かって伸びている穴が、
例えば図4に示すようにそれぞれ該ヒンジ軸の中間付近
で終わっている穴14a、14aと、該ヒンジ軸を貫通
している穴14bと、を組み合わせて構成されている穴
構造を有することも出来る。
【0015】また、上記実施例についての説明において
は、穴14の断面形状は円形として記載したが、これに
限定されることはなく、例えば、円形以外にも、楕円
形、三角形、正四角形や長方形等の矩形、多角形等とす
ることも可能である。また、これらの穴は、同一直径
(寸法)である必要は無く、例えば、両側壁部12、1
2からヒンジ軸13の中心部に進むにつれその寸法を増
大し又は減少することも出来る。更に、図示の例におい
ては、ヒンジ軸13の長手方向に沿って伸長する穴14
がヒンジ軸13の内部に形成されているが、同様の効果
は、ヒンジ軸の内部へ当該ヒンジ軸13の長手方向に沿
って伸長する穴を形成する代わりに、図5及び図6に示
すように側壁部を連結しているヒンジ軸13の外表面に
沿って長手方向に伸長する方向へ伸びる単一又は複数の
溝16を形成しても良い。この場合、当該溝16の幅寸
法は、ワイパーアーム2の円滑な回転運動を阻止しない
程度とすることは当然である。この場合も、当該溝の周
辺に沿ってフィラー15が適切に配向するので、上述と
同様の補強効果が提供されるのである。なお、本件発明
は、アームヘッド10のヒンジ軸13にのみ限定される
ものでは無く、ワイパーブレードとワイパーアームの結
合部あるいはワイパーブレードを構成するレバー同士の
連結部のような、軸構造があるものにも、適用されうる
のである。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、補強用フィラー15
が、ヒンジ軸13の全長にわたって、その外周面部分1
3a及び中心部付近13bに配向される。このため、該
ヒンジ軸13は、その外表面部分と中心部付近とが二重
にフィラー15によって補強されることになる。更に、
ヒンジ軸13の中心部には穴14が形成されているた
め、図6に示すようなヒンジ軸の中心部にフィラーが停
滞するということも無い。従って、本発明によるアーム
ヘッド10においては、ヒンジ軸13の強度がこれまで
のアームヘッド3のヒンジ軸よりも格段に強くなり、ア
ームヘッド10のヒンジ軸13が破損するという事故は
ほぼ完全に防止出来ることが判明したのである。更に、
穴14を設けることにより、使用されるアームヘッドの
成形に使用される樹脂の量が減少し、コストがその分、
安くなるのである。
【0017】更に、ヒンジ軸へ側壁部を連結する方向に
伸びる複数の穴を形成したり、ヒンジ軸の表面に同様に
側壁部を連結する方向に伸びる複数の溝を形成すること
により、ヒンジ軸を形成する樹脂内部のフィラーのほと
んどが側壁部を連結する方向に配向するようになるの
で、該フィラーによる補強効果は一層大きくなることが
期待出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるアームヘッドの斜視図である。
【図2】図1の線A−Aに沿って見た本発明の第1の実
施例を示す断面図である。
【図3】図1の線A−Aに沿って見た本発明の第2の実
施例を示す断面図である。
【図4】図1の線A−Aに沿って見た本発明の第3の実
施例を示す断面図である。
【図5】図1の線A−Aに沿って見た本発明の第4の実
施例を示す断面図である。
【図6】図5の線6−6に沿って見た断面図である。
【図7】ワイパーブレードと、ワイパーアームと、アー
ムヘッドと、の関係を示す図である。
【図8】公知のアームヘッドの斜視図である。
【図9】図8の線B−Bに沿って見た公知のアームヘッ
ドの断面図である。
【図10】図8の線B−Bに沿って見た別の公知のアー
ムヘッドの断面図である。
【符号の説明】
10:アームヘッド 11:軸受け部 12:側壁部 13:ヒンジ軸 14:穴 15:フィラー 16:溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村松 昌美 静岡県湖西市梅田390番地 アスモ株式会 社内 (72)発明者 植村 教介 栃木県宇都宮市清原工業団地19番地2 デ ュポン株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 小川 周作 栃木県宇都宮市清原工業団地19番地2 デ ュポン株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 内藤 誠司 栃木県宇都宮市清原工業団地19番地2 デ ュポン株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 横尾 和人 埼玉県加須市下高柳311番地 日本ワイパ ブレード株式会社内 Fターム(参考) 3D025 AA01 AB01 AC01 AD01 AD09 AE04 AE12 AE22

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端部がワイパーブレードへ嵌合してい
    るワイパーアームの他端部を嵌合保持している樹脂製の
    アームヘッドであって、ワイパ−ア−ムの駆動軸を受け
    入れる軸受け部11と、該軸受け部11の両側から伸び
    ている一対の側壁部12と、該一対の側壁部12間にあ
    って両側壁を架橋しておりかつワイパーアームの端部を
    受け入れているヒンジ軸13と、を一体的に成型してお
    り、 該ヒンジ軸13の内部には一方の側壁部12から他方の
    側壁部12へ向かって穴が形成されていることを特徴と
    するワイパーアームヘッド。
  2. 【請求項2】 両側壁部からヒンジ軸の内方へ向かって
    伸びている穴が、該ヒンジ軸を貫通していることを特徴
    とする請求項1に記載のワイパーアームヘッド。
  3. 【請求項3】 両側壁部からヒンジ軸の内方へ向かって
    伸びている穴が、複数個設けてあることを特徴とする請
    求項1に記載のワイパーアームヘッド。
  4. 【請求項4】 両側壁部からヒンジ軸の内方へ向かって
    伸びている穴が、それぞれ該ヒンジ軸の中間付近で終わ
    っている穴と、該ヒンジ軸を貫通している穴と、を組み
    合わせて構成されていることを特徴とする請求項1に記
    載のワイパーアームヘッド。
  5. 【請求項5】 前記ヒンジ軸の表面に該ヒンジ軸の長手
    方向に沿って伸びる少なくとも1つの溝を有しているこ
    とを特徴とする請求項1−4のいずれか1に記載のワイ
    パーアームヘッド。
  6. 【請求項6】 前記ヒンジ軸の長手方向に設けた穴に沿
    って該ヒンジ軸の長手方向に補強材が配列されているこ
    とを特徴とする請求項1−5のいずれか1に記載のワイ
    パーアームヘッド。
  7. 【請求項7】 補強材がガラス繊維からなることを特徴
    とする請求項6に記載のワイパーアームヘッド。
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