JP2002061064A - 溶融液晶性ポリエステル不織布及びその製造方法 - Google Patents
溶融液晶性ポリエステル不織布及びその製造方法Info
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Abstract
面及び異物混入の課題を解決することを目的とする。 【解決手段】 繊維径が0.6〜20μm、タテ方向の
裂断長が2.5Km以上、ヨコ方向の裂断長が1.5K
m以上、300℃1時間での面積収縮率が3%以下から
なる溶融液晶性ポリエステル繊維からなる不織布。
Description
リエステル繊維からなり、防護材、土質改良材、振動
材、研磨材、電気絶縁材料等に有効な不織布に関する。
ては、湿式不織布及び乾式不織布が主流であるが、湿式
不織布は、そのままでは強度がないため、フィブリル化
した繊維や、バインダー繊維を混繊した後、絡合させ、
熱処理や水流絡合処理等を施さなければならず、工程が
複雑化し製造コストが上るばかりでなく例えば電気絶縁
材料等に問題視される異物(金属・異種繊維)の混入の
可能性が増大する。また乾式不織布は、地合が悪く精度
を要求されるプリント配線基板用の基材には不向きとな
る。一方、溶融液晶ポリエステルを使用して、紡糸直結
で不織布を作成するスパンボンド法等が特開平6―12
8857号公報で提案されており、溶融液晶ポリエステ
ルのスパンボンド不織布を用い、カレンダー処理及び熱
処理する方法が記載されている。しかしながら、スパン
ボンド法では紡糸後フィラメントを開繊するため繊維同
士が交絡点で融着されず、バインダー成分が必要となる
のである。溶融液晶ポリエステル単独であればカレンダ
ー処理及び熱処理しても繊維交絡点のみ融着させること
は不可能で、不織布自体が融着を起こしフィルム化して
しまう。ポリマー融点前後の温度でカレンダー掛けして
巻き取るとロール線圧により、ポリマーが軟化し不織布
はズルズルと伸びてしまう。反対に引張しなければ収縮
を起こし安定した形態に成らないのである。そのため融
点以下の温度で熱処理することにより、フィラメント自
体の結晶化が増し、不織布のタテ方向は強くなるがヨコ
方向は繊維交絡点の融着がないために非常に弱いもので
ある。一方向は強いが反対方向は非常に弱くなるといっ
たバランスの悪いものとなり、利用範囲が少ないのであ
る。
な溶融液晶ポリエステルからなる不織布の強度面及び異
物混入の課題を解決することを目的とするものである。
均繊維径が0.6〜20μmである溶融液晶性ポリエス
テル繊維から構成され、タテ方向の裂断長が2.5Km
以上、ヨコ方向の裂断長が1.5Km以上、300℃1
時間での面積収縮率が3%以下であることを特徴とする
不織布であり、また、本発明は、溶融液晶性ポリエステ
ルを溶融紡出すると同時に、紡出物を高温高速流体で吹
き飛ばし、捕集面上に集積してウエブを形成し、該ウエ
ブにカレンダー加工及び加熱処理を施して不織布を製造
するに際し、不織布の表面温度が90℃以上で溶融液晶
性ポリエステルの融点温度以下、線圧50kg/cm以上2
00kg/cm以下でカレンダー加工を行ない、(溶融液晶
性ポリエステルの融点温度−40℃)以上、(融点温度+
20℃)以下の温度で3時間以上加熱処理を行なうこと
を特徴とする溶融液晶性ポリエステル繊維からなる不織
布の製造方法である。
テルとは、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香
族ヒドロキシカルボン酸等より重合されて得られるポリ
マーであり、溶融相で光学的異方性(液晶性)を示すも
のからなる繊維である。このような特性はホットステー
ジ上の試料を窒素雰囲気下で昇温し、その透過光を観察
することにより容易に認定することができる。
ルは、例えば、下記化1及び化2に示す反復構成単位の
組合せからなるものである。
(B)の反復構成単位からなる部分が65モル%以上で
ある芳香族ポリエステルであり、特に(B)の成分が4
〜45モル%である芳香族ポリエステルが好ましい。
質的に低下しない範囲で他のポリマー或いは添加剤等を
含んでもよい。
維からなる不織布とは、メルトブローン不織布のことで
あり、ノズルから溶融液晶性ポリエステルを溶融紡出す
ると同時に、高温高圧のガスにより、溶融液晶性ポリエ
ステルを細かい繊維状に吹き飛ばしサクションしている
捕集面(例えば、金網)上に捕集して製造される不織布
である。
ルを用いたメルトブローン不織布は高融点ポリマーで、
固化が早く、高粘度のためビス落ちし中間体としてしか
使えず満足な不織布製品とすることが困難であり、好ま
しくは、融点が280℃以上、溶融粘度が25Pa・s
以下、特に好ましくは20Pa・s(温度320℃・せ
ん断速度1000sec-1下)の溶融液晶性ポリエステル
を用いことが好ましい。このようなポリエステルを用い
てメルトブローンされた不織布は、地合良好で耐熱性・
寸法安定性・低吸水性・樹脂含浸性を備えるものであ
る。
れる繊維の平均径はノズル径、吐出量、エアー速度より
決まるが、本発明の場合、平均繊維径が0.6〜20μ
mであり、好ましくは1μm〜15μm、特に1〜10
μmの繊維が60%以上含まれ、強度と柔軟性や通気性
を備えているものである。なお、本発明において平均繊
維径は、不織布を走査型電子顕微鏡で拡大撮影し、任意
の100本の繊維の径を測定した値の平均値を指すもの
である。
付斑ができやすく、タテ方向よりもヨコ方向に出やす
い。この目付斑を表すのにCV(%)値で表し、CV
(%)値が3%以上になると薄いところが強度不足とな
り、工程通過性や製品物性に悪影響を及ぼし満足な製品
にならない、好ましくは2%以下である。
フライン又はオンラインのコンベアー上で不織布表面が
ポリマーのガラス転移点を超える90℃以上になるよう
にロール温度を設定し、溶融液晶性ポリエステルの融点
温度以下、線圧50kg/cm以上200kg/cm以下でカレン
ダー処理することが望ましい。カレンダー処理は、オン
ラインでもオフライン方式でも良いがオンラインの方が
好ましい。一般的に不織布を温度が90℃未満でカレン
ダー処理した場合には、その温度が不織布を形成してい
る溶融液晶性ポリエステルのガラス転移点に達しないの
で繊維が変形固着や埋め込みが無く強度が上がらない。
そのため目的の厚みになったものが次第に元の厚さに復
帰して要求される製品の厚さにはならない。
ポリエステルの融点を超えるとロールへ不織布が溶融接
着して、ロール捲き付きが発生する。
めには、カレンダーロール間に間隙(コッター)を設
け、製品予定厚み前後の間隙にしてカレンダー処理する
ことが好ましい。
m未満であると、ロールの押えが少なく、繊維交絡点の
変形固着や埋め込みが無く不織布は暫くしてもとの厚さ
に戻ってしまい目的の厚みの不織布を形成することがで
きない。また、次の熱処理するためには嵩高のままでは
大きな熱処理機が必要となりコスト高になる。
大きくなった場合には、絡みは多くなるが座屈を起こし
たり、繊維交絡点が押しつぶされてしまい、不織布の形
態が悪く工程通過性が悪くなる。従って、不織布表面温
度が90℃以上溶融液晶性ポリエステルの融点温度以
下、線圧50kg/cm以上200kg/cm以下でカレンダー
処理することが望ましい。
織布を高温気体中で(溶融液晶性ポリエステルの融点温
度―40℃)以上、(融点温度+20℃)以下の温度で3
時間以上熱処理する。好ましくは3時間以上72時間以
下熱処理し、点融着されている繊維交絡点および繊維自
体の配向を進めて不織布のタテ・ヨコ方向の強度を増大
する。
0℃)未満の温度で熱処理した場合には、熱処理により
生ずる溶融液晶性ポリエステルの固相重合が進まず、熱
処理に時間を掛けるだけで、不織布強度を向上させるこ
はできない。反対に(溶融液晶性ポリエステルの融点温
度―40℃)を超えて熱処理温度を高くすると、繊維交
絡点及び繊維自体の配向が進み、不織布の強度が増す。
熱処理温度は(溶融液晶性ポリエステルの融点温度―3
0℃)以上で、さらに好ましくは(溶融液晶性ポリエス
テルの融点温度―20℃)以上で行うのが好ましい。
テルの融点温度+20℃)を超えると溶融液晶性ポリエ
ステルが軟化してきて繊維の溶融が始まり、繊維と繊維
が接着してフイルム化する。そのため通気性や柔軟性が
無くなったり、例えば後工程で樹脂含浸を行う場合に、
その含浸性が悪くなり、含浸率が低くなるといった不都
合が生じる。
素、アルゴン、炭酸ガス等混合気体及び空気等が用いら
れる。用いる気体は露点が−20℃以下であることが好
ましい。熱処理は目的により緊張下、無緊張下どちらで
もよい。このようにして、カレンダー処理後、不織布を
加熱気体中で(溶融液晶性ポリエステルの融点温度―4
0℃)以上、(溶融液晶性ポリエステルの融点温度+2
0℃)以下の温度で熱処理して、メルトブローン後すで
に繊維交点で点融着されているところの繊維交絡点及び
繊維自体の配向を進めて不織布のタテ方向、ヨコ方向と
も高強力にさせるのである。
後での面積収縮率3%以下、好ましくは2%以下の面積
収縮率を示し、優れた寸法安定性と、融点325℃以上
の高耐熱性と、タテ裂断長2.5Km以上、ヨコ裂断長
1.5Km以上の優れた物性を持ったものである。これ
よりも劣る品質では後工程の通過性が不良となったり、
精度を要求される産業資材には使用できない。
必須であるパルプ化、カット、抄紙等の工程を必要とし
ないため、工程での不織布への異物(金属)の混入の懸
念が少なくなり、例えば、電気絶縁材料等に使用するこ
とが可能である。またスパンボンド法では太デニールと
なったり、バインダー接着または他のバインダー不織布
の積層が必要になり、薄厚で精密を要する材料には不適
であったが本発明により初めて溶融液晶ポリエステル1
00%で持ってバインダーを使用しなくとも可能となっ
たのである。
るが本発明これらの記載事項に限定されるものではな
い。本実施例、比較例において記載されている測定数値
は次の方法で行った。
D方向のDRYの強力を測定し裂断長をもとめた。
取り重量を測定し目付斑としてCVであらわす。ここに
CV(%)=σn/平均値×100
社製TA3000)装置にサンプルを10mgとり、アルミ
製パンへ封入後、窒素を50cc/min流し、昇温速度2
0℃/minで測定、吸熱ピーク温度の頂点を測定する。1
stランで明確なピーク温度が現れないときは50℃/mi
nの昇温で、予想される融点よりも50℃高い温度で3分
間程度完全に溶融した後80℃/min50度まで冷却
し、しかる後20℃/minの昇温速度で測定する。
ラフ1B型を用いて、温度320℃、せん断速度 r=
1000sec-1条件下で測定した。
ヨコ方向、20cm角の300℃×1時間後の面積での
収縮率を表す。
6−カルボン酸との共重合体からなる溶融液晶性ポリエ
ステル[ポリプラスチックス社製 L−950、融点30
0℃、溶融粘度21Pa・s(温度320℃・せん断速
度1000sec- 1下)]を用い、紡糸温度310℃、一次
エアー温度310℃でメルトブローン紡糸し、目付7
3.2g/m2、タテ裂断長0.07Km、厚さ0.559
mm、密度0.13g/cm3、平均繊維径6.3μmの物
性を持つ不織布を得た。ついで該不織布にロール温度1
30℃、線圧100kg/cmでカレンダー処理を行
い、厚さ0.13mm、密度0.674g/cm3、タテ裂
断長1.00Kmの中間物性を得た。その後、窒素雰囲
気中で250℃×5hr+275℃×20hrで熱処理
を行った。不織布のタテ裂断長4.0Km、ヨコ裂断長
2.2Km、面積収縮率0.1%で満足できるものであ
った。
ン条件を変更して平均繊維径は8.8μm、目付66g/
m2、厚さ0.467mm、密度0.141g/cm 3のメル
トブローン不織布を得、次にカレンダー処理として温度
180℃、線圧150kg/cmを施し、厚さ0.11
4mm、密度0.579g/cm3の中間物性を得た。次に
実施例1と同じ条件で熱処理を行った。得られた不織布
はタテ裂断長5.2Km、ヨコ裂断長4.3Km、収縮
率0%で良好な物性となった。
として、温度70℃、線圧30kg/cmを施し、次に
窒素雰囲気中、250℃×5hr+275℃×20hr
で熱処理を行った。できた不織布はタテ裂断長2.5K
m、ヨコ裂断長1.2Km、収縮率3%で粗雑で後の工
程に耐える物性ではなかった。
線圧250kg/cmでカレンダー処理する途中、不織
布が溶融を起こしロールに捲きついて中止した。実施例
および比較例の平均繊維径、カレンダー条件、不織布物
性を表1に示す。
エステルであってロットナンバーの異なるポリマー[ポ
リプラスチックス社製 L−950、融点302℃、溶
融粘度11Pa・s(温度320℃・せん断速度100
0sec- 1下)]を用い、実施例1と同様にしてメルトブロ
ーン紡糸を行ない、ショットの無い地合良好なメルトブ
ローン不織布を得た。不織布の平均繊維径7.7μm、
目付73g/m2、厚さ0.56mm、密度0.13g/cm3、
タテ裂断長 0.07Km、巾方向の目付斑(CV)
2.1%であった。次いでこの不織布を温度150℃、
線圧130kg/cmでカレンダーがけし、その後、熱
処理釜で250℃×5hr+285℃×20hr熱処理
した。得られた不織布はタテ裂断長5.2Km、ヨコ裂
断長3.1Km、面積収縮率0.2%の強力と寸法安定
性を備えていた。
に変更すること以外は実施例3と全く同じにした。得ら
れた不織布はタテ裂断長6.5Km、ヨコ裂断長4.9
Km、面積収縮率0%の高水準のものであった。
更すること以外は実施例3と全く同じにした。得られた
不織布はタテ裂断長3.3Km、ヨコ裂断長1.7K
m、面積収縮率0.3%で物性を満足していた。
例3と全く同じにした。しかし得られた不織布はタテ裂
断長2.4Km、ヨコ裂断長0.6Km、面積収縮率2
%の弱い不織布となり後の工程に耐えるものではなかっ
た。
例3と全く同じにした。しかし熱処理後不織布は積層し
た接触部分が融着を起こし解除不能となり作業を中止し
た。実施例および比較例のカレンダー条件、熱処理条
件、不織布物性を表2に示す。
ヨコの強力と熱収縮率を充分満足するするものでもので
あったが、比較例では、不織布どうしの接着を起した
り、工程通過性に耐えるタテ・ヨコの強力及び熱収縮率
全てを満足するものでは無かった。
らなる不織布は、バインダー成分を含んでおらず、タテ
及びヨコ強力のバランスが良く、耐熱性・低吸湿性にも
優れており、薄厚で精密を要する材料(例えば電気絶縁
材料としてのプリント配線基板)に好適である。また、
例えば、耐切創性を生かした防護衣料、振動減衰性を生
かしたスポーツ用品、衝撃吸収性を生かしたショックア
ブソーバーや各種産業資材不織布として多様な利用が可
能である。
Claims (2)
- 【請求項1】 平均繊維径が0.6〜20μmである溶
融液晶性ポリエステル繊維から構成され、タテ方向の裂
断長が2.5Km以上、ヨコ方向の裂断長が1.5Km
以上、300℃1時間での面積収縮率が3%以下である
ことを特徴とする不織布。 - 【請求項2】 溶融液晶性ポリエステルを溶融紡出する
と同時に、紡出物を高温高速流体で吹き飛ばし、捕集面
上に集積してウエブを形成し、該ウエブにカレンダー加
工及び加熱処理を施して不織布を製造するに際し、不織
布の表面温度が90℃以上で溶融液晶性ポリエステルの
融点温度以下、線圧50kg/cm以上200kg/cm以下で
カレンダー加工を行ない、(溶融液晶性ポリエステルの
融点温度−40℃)以上、(融点温度+20℃)以下の温
度で3時間以上加熱処理を行なうことを特徴とする溶融
液晶性ポリエステル繊維からなる不織布の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2000248551A JP4429501B2 (ja) | 2000-08-18 | 2000-08-18 | 溶融液晶性ポリエステル不織布及びその製造方法 |
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