JP2002059029A - 集塵用電源装置 - Google Patents
集塵用電源装置Info
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Abstract
比を小さくしてその小型化を図り、その分布容量を小さ
くし、また広範囲の共振動作を可能にすることなど。 【解決手段】 インバータ回路と前記高電圧トランスの
1次巻線との間にインダクタンス手段を直列接続し、こ
のインダクタンス手段のインダクタンスと前記高電圧ト
ランスの漏れインダクタンスとで共振インダクタンスを
形成し、前記高電圧トランスの浮遊容量を含む共振キャ
パシタンスと前記共振インダクタンスとにより共振周波
数Frで共振を行い、前記インバータ回路の駆動周波数
をfとしたとき、共振周波数Frが1.1fないし1.
8fの範囲(1.1f≦Fr≦1.8f)内にあるよう
に動作させる集塵用電源装置。
Description
備えた共振型の集塵用電源装置に関する。
電源に接続される高電圧トランスの1次側にサイリスタ
を逆並列に接続し、それらの位相制御により集塵電圧を
制御している。頻繁に発生する集塵部で発生する火花放
電による大きなスパーク電流が流れても、サイリスタの
位相制御では電源周波数の50〜60Hzでの応答速度
が限界であり、高速で過電流を制限して火花放電を消弧
することはできない。火花放電の発生は、電気集塵装置
の集塵効率を低下させるので、速やかに消孤して再復帰
することが望ましい。このため、近年、インバータ回路
を用いて高速制御できる集塵用電源が提案されている
が、インバータ回路による高周波化には次のような問題
があり、難しかった。
ット型であること。一般に集塵用電源の高電圧整流回路
は、ブリッジ整流回路が一般的であり、この整流回路の
出力は数mHのサージブロック用の高周波インダクタを
通して集塵部に接続される。この高周波インダクタは集
塵部からのサージ電圧で高電圧整流ダイオードが破壊さ
れないように保護する作用を行うものである。また、集
塵部の静電容量は普通0.01〜0.2μF程度であ
り、このように大きい静電容量との組み合わせでは、こ
の高周波インダクタはほとんどフィルタのインダクタン
スとして作用しないので、実質的にコンデンサインプッ
ト整流回路になる。高電圧整流回路にフィルタ用として
機能する大きなインダクタンスを実現することは、耐圧
と巻数が大きくなると共に、大きな浮遊静電容量が発生
するなどの観点から困難である。
遊容量が1次側から見て大きくなること。例えば、電気
集塵装置の集塵電圧は通常50kV以上であり、流れる
電流も数百mAであるので電力は大きい。このため、高
電圧トランスの巻線も巻数が大きく、また構造も大型化
して浮遊静電容量が大きくならざるを得ない。その上、
高電圧トランスの1次巻線N1と2次巻線N2の巻数比
n(N2/N1)が大きくなるため、2次側に形成され
る巻線浮遊容量が数百pFであっても、1次側からみる
と数μFと大きな値となる。高電圧トランスの1次巻線
にかかる電圧は電源電圧の90%程度であり、3相AC
400V入力では、約400Vが高電圧トランスの1次
巻線N1にかかる。このため、60kVの高電圧トラン
スは巻数比n(N2/N1)が150になる。2次巻線
にわずか100pFの浮遊容量Cs2が生じた場合で
も、1次側からみた浮遊容量Cs1は前記巻数比nの2
乗倍に比例するので2.25μFとなる。
コンデンサインプット整流回路を負荷とする集塵用イン
バータ回路として、電流型インバータ回路を採用した方
式(特許2641164号)と直列共振型インバータ回
路を採用した方式(特開平8−71452)が提案され
ているが、電流型インバータ回路を採用した前者の方式
はインバータ回路のDC入力側にチョッパ回路などのD
C電圧調整回路を置く必要がある。このため、装置が大
掛かりとなり易く、コスト高になるという欠点がある。
また、直列共振型インバータ回路を採用した後者の方式
は、インダクタLとコンデンサCの直列共振を利用して
いるので、電流波形がLCで決まり、コンデンサインプ
ット整流回路に対応できる。しかし、直列共振型インバ
ータ回路を用いた場合、高電圧トランスの浮遊容量が直
列共振動作に影響を与え、帰還電流が増加してIGBT
のような電力制御用のスイッチング半導体素子を流れる
電流のピーク値が増大し、大容量のスイッチング半導体
素子を必要とする。すなわち、伝達電力の大きさの割に
は、インバータ回路の電流が大きくなり、スイッチング
半導体素子が大容量となって、経済性が低下する。
に説明する。図5は直列共振型インバータ回路を用いた
従来の集塵用電源の例である。1は整流器であり、3相
交流400Vなどの交流電源電圧を整流する。2は平滑
用インダクタ、3は平滑用コンデンサであり、これらは
フィルタ回路を構成し、整流された脈流を平滑化する。
4は4個の電力を制御するためのスイッチング半導体素
子としてのIGBT5A〜5Dとそれらに逆並列接続さ
れた帰還用ダイオード6A〜6Dからなるブリッジイン
バータで回路ある。直流電圧Vdcはブリッジインバー
タ回路4で高周波交流電圧に変換される。インバータ回
路4の交流出力は共振インダクタ7と共振コンデンサ8
を通して高電圧トランス9の1次巻線N1に接続され
る。高電圧トランス9の2次巻線N2には高電圧全波整
流回路10が接続され、整流出力が集塵部11に印加さ
れる。13は高電圧トランス9の2次巻線N2の浮遊容
量Cs2を示す。インバータ回路の駆動周波数は、直列
共振インダクタ7と直列共振コンデンサ8とによる共振
周波数より低い周波数で動作する。また、電圧制御は前
記駆動周波数の制御で行われる。
zのインバータ回路を用いた60kV−200mA(負
荷抵抗300kΩ)の集塵用電源をシミュレーションし
た波形であり、図6は高電圧トランス9の浮遊容量Cs
2が0pFの場合の交流入力電流(A)と直流出力電流
(B)を示す。図7は高電圧トランス9の浮遊容量Cs
2が100pFの場合の交流入力電流(A)と直流出力
電流(B)である。斜線部分は帰還用ダイオード6A〜
6Dの電流である。回路定数は、共振インダクタ7のイ
ンダクタンスが12μH、共振コンデンサ8の容量が4
μFであって、図6、図7共に共通であり、高電圧トラ
ンスの巻数比nは、図6の場合で138、図7の場合に
は150である。両方の波形を比較すると、インバータ
回路の電流は、高電圧トランス9の浮遊容量が無ければ
約100Aのピーク値であるの対して、分布容量が10
0pFあるために、230Aのピーク値まで増加してい
る。原因は、帰還電流が増加して力率が低下したためで
ある。
容量Cs2が100pFの条件で、駆動周波数15kH
zのまま集塵部で火花放電が発生した場合の交流入力電
流(A)と直流出力電流(B)であり、集塵部11に流
れる直流出力電流は1.7Aまで増加し、インバータ回
路の電流は350Aまで増大している。図9は制御回路
が過電流に応答して駆動周波数を4.5kHzまで下げ
た場合の交流入力電流(A)と直流出力電流(B)であ
る。この場合には、インバータ回路のピーク電流は30
0Aまで下がり、集塵部11を流れる電流はほぼ定格電
流の2倍の400mAになることを示している。しか
し、火花放電発生時の出力電流は制御が遅れると、定格
電流の8倍以上に増加し、放電極の損傷などが起きやす
い。なお、直列共振型インバータ回路を用いた集塵用電
源では軽負荷時の電圧制御が困難である。具体的には、
無負荷時に駆動周波数を下げても、集塵用電圧が上昇し
て定格電圧にできないことがある。
るように、従来のインバータ回路を用いた集塵用電源に
あっては、インバータ回路の入力側にDC電圧調整回路
を設けねばならないもの、あるいはインバータ回路を流
れる電流のピーク値が非常に大きくなるために、インバ
ータ回路のスイッチング半導体素子として電流容量の十
分に大きなものを用いねばならず、装置のコストアップ
になると同時に、大型になり、また電流制限用の高周波
インダクタの電圧降下により、高電圧トランスの1次巻
線と2次巻線の巻数比を大きくしなければならないこと
に起因する大きな問題などがあった。
決することを課題とし、高電圧トランスの漏れインダク
タンスを含むインダクタンス手段の共振インダクタンス
Lと、前記電圧降下補償用コンデンサの容量と前記高電
圧トランスの浮遊容量との和に等しい共振キャパシタン
スCoとで共振を行い、その共振動作によりインダクタ
ンス手段による電圧降下を補償して電力損失を低減する
ことにより、高電圧トランスの1次巻線間の電圧を等価
的に電源電圧の1.5倍ないし2.1倍の範囲内の値に
して高電圧トランスの1次巻線と2次巻線の巻数比を小
さくし、あるいは集塵部の火花放電発生時の電流をイン
ダクタンス手段により定格電流の1.5倍ないし2倍の
範囲内に制限することを課題とする。
前記課題を解決するため、交流電源電圧を整流して直流
電圧に変換し、この直流電圧をインバータ回路により高
周波交流電圧に変換し、この高周波交流電圧を高電圧ト
ランスで昇圧し、高電圧整流回路で整流した直流高電圧
を集塵部に供給する集塵用電源装置において、前記イン
バータ回路と前記高電圧トランスの1次巻線との間にイ
ンダクタンス手段を直列接続し、このインダクタンス手
段のインダクタンスと前記高電圧トランスの漏れインダ
クタンスとで共振インダクタンスを形成し、前記高電圧
トランスの浮遊容量とその2次巻線間に並列接続された
電圧降下補償用コンデンサの容量とで共振キャパシタン
スを形成し、前記共振インダクタンスと前記共振キャパ
シタンスとの共振周波数Frを前記インバータ回路の駆
動周波数fと関連付けて設定することにより、集塵部の
火花放電時に流れるスパーク電流の制限と電圧降下補償
を行うことを特徴とする集塵用電源装置を提供する。
るため、請求項1において、共振周波数Frが1.1f
ないし1.8fの範囲(1.1f≦Fr≦1.8f)内
にあるように、共振動作させることを特徴とする集塵用
電源装置を提供する。
るため、請求項1において、前記共振動作により前記高
電圧トランスの1次巻線の電圧は、等価的に電源電圧の
1.1倍ないし1.8倍の範囲内の値になることを特徴
とする集塵用電源装置を提供する。
るため、請求項1において、前記インダクタンス手段
は、集塵部の火花放電発生時のスパーク電流を定格電流
の1.5倍ないし2.5倍の範囲内に制限できるインダ
クタンスを有することを特徴とする集塵用電源装置を提
供する。
るため、請求項4において、前記電圧降下補償用コンデ
ンサは、前記インダクタンス手段との共振作用により前
記高電圧トランスの1次巻線の電圧を等価的に電源電圧
の1.1倍ないし1.8倍の範囲内に入るようにするキ
ャパシタンスを有する集塵用電源装置を提供する。
るため、請求項1ないし請求項5のいずれかにおいて、
前記高電圧トランスの2次巻線の一端は接地されるとと
もに、他端は倍電圧用コンデンサを通して接続された整
流器と整流器との接続点に接続され、前記倍電圧用コン
デンサと前記整流器は負荷である集塵部の静電容量とと
もに倍電圧整流回路を構成する集塵用電源装置を提供す
る。
者の出願に係る特公平5−78273号(特許第185
8935号)の技術思想の基づき更に種々の実験を行
い、集塵装置の電源として用いる共振型インバータ回路
の最適範囲を集約し、この結果を使用した共振型インバ
ータ回路を集塵用電源に使用することにより、電気集塵
装置が望ましい特性を得ることができるという知見に基
づいてなされたものである。前記特許を要約すれば、逆
並列接続された帰還用ダイオードを有した電力制御用半
導体素子でブリッジ回路を構成し、交流端子間に共振用
インダクタとコンデンサを直列接続し、このコンデンサ
の両端電圧を整流して直流出力を出力するコンバータに
おいて、前記インダクタとコンデンサの値を、共振コン
デンサの端子電圧が電源電圧の1.5倍ないし2.1倍
の範囲内になるようにそれぞれ選定したものである。し
かしながら、集塵装置の電源としての前記最適範囲を集
約した結果によると、インバータ回路のスイッチング半
導体素子の許容される最大オンデューティなどから共振
コンデンサの端子電圧、即ち高電圧トランスの1次巻線
電圧が電源電圧の1.1〜1.8倍の範囲、望ましくは
1.5倍程度であり、さらに共振インダクタンスと共振
キャパシタンスとの共振周波数はインバータ回路の駆動
周波数の1.1〜1.8倍の範囲、望ましくは1.4倍
ないしその前後の範囲に選定することが最適であること
が分かった。
想を集塵用電源に採用する。火花放電発生時に制御が遅
れても放電極を損傷しないために、インバータ回路の交
流側に電流制限用共振インダクタを直列接続してインバ
ータ回路自身の特性に短絡電流制限特性を持たせること
が行われているが、このようにインバータ回路の交流側
に前記インダクタを直列接続した場合には、そのインダ
クタが交流電流に対してかなり大きな電圧降下を生ずる
が、本発明では高電圧トランスの2次巻線の浮遊容量と
その漏れインダクタンスを含むインダクタンス手段との
共振作用で前記電圧降下を補償して、高電圧トランスの
1次巻線の両端の電圧が等価的に電源電圧よりも高くな
るようにするところに大きな特徴がある。高電圧トラン
スの2次巻線の浮遊容量が不足する場合は好ましい共振
動作が行えず、前記電圧降下を適切に補償できないの
で、前記2次巻線と並列に電圧降下補償用コンデンサを
並列接続して不足分の容量を与える。この共振作用によ
る電圧降下補償は、高電圧トランスの1次巻線の両端の
電圧が等価的に電源電圧以上、好ましくはその1.1倍
〜1.8倍の範囲に入るように補償し、これにより高電
圧トランスの巻数比を下げることが可能となる。トラン
スの巻数比を少なくすることにより、1次側から見た浮
遊容量が小さくなるため、個別部品としてのコンデンサ
の追加が必要になる。1次側から見た高電圧トランスの
2次巻線の浮遊容量が必要値より大き過ぎた場合には、
調整不能になるから1次側から見た浮遊容量は小さめに
し、不足分は個別のコンデンサを接続して共振動作に適
した容量に調整した方が実際上は好ましい。この発明で
は、高電圧トランスの2次巻線の浮遊容量は共振キャパ
シタンスの一部又は全部となり、動作に組み入られる。
について説明する。図1において、1は整流器であり、
3相交流400Vなどの交流電源電圧を整流する。2は
平滑用インダクタ、3は平滑用コンデンサであり、2と
3はフィルタ回路を構成し、脈流電圧を平滑化する。4
は電力制御用半導体素子として用いられる4個のIGB
T5A〜5Dとこれらのそれぞれに逆並列接続された帰
還用ダイオード6A〜6Dからなるブリッジ型のインバ
ータ回路である。直流電圧Vdcはインバータ回路4に
より高周波交流電圧に変換される。12は高電圧トラン
ス9の漏れインダクタンスを含むインダクタンスを与え
るインダクタンス手段であり、インバータ回路4の交流
出力と高電圧トランス9の1 次巻線N1間に接続され、
スパーク発生時の電流制限作用を行う。高電圧トランス
9の2次巻線N2には、その浮遊容量13(Cs2)が
並列の形で接続され、また前記インダクタンス手段12
と通常の共振動作を行うのに不足する容量(C2)を与
える電圧降下補償用コンデンサ14と高電圧全波整流回
路10が接続される。高電圧全波整流回路10の直流出
力は集塵電極板と放電極(図示せず)などからなる集塵
部11に印加される。つまりこの実施例では、インダク
タンス手段12の共振インダクタンスLと、高電圧トラ
ンスの2次巻線の浮遊容量Cs2と電圧降下補償用コン
デンサ14の容量C2との和である共振キャパシタンス
Coとで共振を行う。
5の駆動信号発生回路15Aからのそれぞれの駆動信号
によりインバータ回路4のIGBT5A〜5Dを通常の
パルス幅制御(PWM)することにより行う。駆動周波
数は基本的には一定であるが、小電流出力時に周波数を
下げてインバータ回路の出力電流を下げ、スイッチング
半導体素子、高電圧トランスの損失を下げることも可能
である。制御回路15は駆動信号発生回路15Aの他
に、電流調整用回路15Bと電圧制限用回路15Cとを
備える。電流調整用回路15Bは整流器10の接地側に
直列に接続された電流検出抵抗R1、第1の基準信号源
S1、電流検出抵抗R1の検出信号と基準信号源S1の
基準電圧とを比較する第1の比較回路CP1、及び第1
のORダイオードD1とからなり、定格運転時には回路
を流れる直流出力電流が所定の値になるよう制御する。
電圧制限用回路15Cは出力電圧を検出する電圧検出抵
抗R2、R3、第2の基準信号源S2、検出電圧と基準
信号源S2の基準電圧とを比較して検出電圧が基準電圧
を越えないよう、に出力電圧制限信号を第2のORダイ
オードD2を通して制御回路15Aに与える第2の比較
回路CP2からなる。ORダイオードD1とD2の接続
点は抵抗R4を通して制御電源+Vccに接続されてい
る。この接続点の電圧Vorが低下するとき、インバー
タ回路4のIGBT5A〜5Dはオンパルス幅が狭くな
るよう制御される。即ち、集塵部11は通常、最大電圧
以下の電圧で定電流運転するので、ORダイオードD2
はカットオフし、ORダイオードD1が導通して電圧V
orを制御する。無負荷などで集塵電圧が第2の基準信
号源S2の基準電圧よりも上昇しようとすると、ORダ
イオードD2が導通し、負荷電圧を制限するように働
く。
ンス手段12によりスパーク電流を制限し、コロナ放電
発生時である定格運転状態ではそのインダクタンス手段
12による電圧降下を前記共振キャパシタンスCoとイ
ンダクタンス手段12の共振インダクタンスLとによる
共振で補償する。ここでは、高電圧トランスの1次巻線
間の電圧を電源電圧のほぼ1.5倍に上昇させるように
設定する。このように設定することと、短絡電流を2倍
程度に制限する条件とにより、インダクタンス手段12
の値が決定される。1例として、電源電圧Eを460
V、高電圧出力電圧Voを60kV、定格出力電流20
0mAとして、15kHzのインバータ回路で定数を算
出する。
トランスの1次巻線間の電圧上昇を電源電圧の約1.5
倍になるよう設定すると、その1次巻線には電源電圧の
1.5倍が加わり、巻数比n(2次巻線N2の巻数/1
次巻線N1の巻数)は、n=Vo/1.5E=60kV/
(1.5×460V)=87となり、従来の場合の1/
1.5の巻数比となる。火花放電時には電圧補償用コン
デンサ14の両端が短絡されるので、インバータ回路の
電流はインダクタンス手段12の値Lだけで決まり、後
で説明する図3のような波形となる。ピーク電流Isp
は、駆動周波数をfとすると、Isp=E/4L・fと
なる。この電流を2次側に換算し、整流した電流が短絡
電流Isoとなる。短絡電流Isoは、Iso=Isp
/2n=E/8L・f・nとなり、短絡電流Isoを定
格電流Ioの約2倍に制限すると、E/8L・f・n=
2Ioとなる。この式から必要な共振インダクタンスL
は、L=E/16f・Io・n=460/(16×15
000×0.2×87)=110μHとなる。
電圧降下補償用コンデンサ14の双方の和である共振キ
ャパシタンスCoの電圧、つまり高電圧トランス9の1
次巻線間の電圧は、インバータ回路4のスイッチング半
導体素子の駆動周波数をf、共振周波数をFrとすると
き、1.1f≦Fr≦1.8fの範囲内で共振させる
と、等価的に電源電圧の1.1倍以上で上昇し、例えば
駆動周波数fの1.5倍前後の共振周波数Frで共振さ
せると、等価的に電源電圧の1.5倍程度に上昇する。
この条件が得られる共振キャパシタンスCoの値は、C
o=1/(2π×1.5f)100L=0.455μFと
なる。これを2次側で換算すると、高電圧トランス9の
2次巻線N2の巻数比(例えば、87)の2乗に等しい
値で除して約60pFになる。したがって、高電圧トラ
ンス9の浮遊容量13が60pFよりも小さければ、合
計で60pFの容量になるような容量をもつ電圧降下補
償用コンデンサ14を追加する。
周波数Frが1.1fよりも小さい場合には、高電圧ト
ランス9の1次巻線間の電圧が1.1倍前後に上昇する
だけであり、所期の効果が小さい割りには、集塵部に火
花放電が発生したときの短絡電流のピーク値が定格電流
に比べてかなり大きく、また2次側の電流の平均値もか
なり大きくなるので、半導体スイッチング素子として電
力容量の大きなIGBT5A〜5Dなどを用いねばなら
ず、総合的にみて効果がほとんど生じなくなる。また、
共振周波数Frが1.8fよりも大きい場合には、高電
圧トランス9の1次巻線間の電圧が十分に高くなり、こ
の点では好ましいが、火花放電発生時に流れる短絡電流
のピーク値が定格電流に比べて大幅に大きくなり、また
2次側の電流の平均値も大幅に大きくなるので、前述同
様に総合的にみて効果がほとんど生じなくなる。
0mAの、定格駆動周波数fが15kHzのインバータ
回路を用いた集塵用電源をシミュレーションした波形で
ある。図2はコロナ放電状態である定格運転時のインバ
ータ回路の電流であり、約80Aのピーク電流である。
斜線部は図1の帰還用ダイオード6A〜6Dを流れる電
流であるが、直列共振インバータ回路の場合に比較して
非常に小さく、力率がよい。IGBT5A〜5Dのオン
パルス幅は56.6μs(デユーテイサイクル=0.8
5)である。このときの高電圧トランス9の1次巻線N
1の電圧は、図示されていないが、共振キャパシタンス
Coと共振インダクタンスLとの共振作用によりほぼ電
源電圧の1.5倍となる。
パルス幅(デユーテイサイクル=0.85)のまま集塵
部11で火花放電が発生した場合であり、出力短絡電流
は共振インダクタンスLにより設計通り定格電流の2倍
の400mAに制限される。インバータ回路の電流は約
100Aまで増加するが、定格時の120%以下の小さ
な増加で済む。すなわち、制御回路が応答しなくても、
IGBTのピーク電流は定格電流の120%に、出力電
流は定格のほぼ2倍に制限できる。このように、火花放
電発生時の出力電流は制御が遅れても、放電極の損傷な
どが起きにくい値に制限され、集塵用電源として好まし
い特性を持つ。したがって、この実施例では集塵部11
に火花放電が発生していないコロナ放電状態では、共振
作用により高電圧トランス9の1次巻線N1の電圧はほ
ぼ電源電圧の1.5倍となるので、その分だけ巻線比n
を小さくでき、このことは高電圧トランス9の見かけ上
の浮遊容量を低減させることができる。そして火花放電
が発生し、出力が短絡状態になった場合には、前述のよ
うにインダクタンス手段12が出力短絡電流を400m
Aに制限し、またインバータ回路の電流を定格時の12
0%以下の小さな増加に制限する。したがって、インダ
クタンス手段12は共振用インダクタとして働くと共
に、電流制限用インダクタとしても作用する。
路を用いても、前記実施例においてさらに高周波化を進
めた場合、2次巻線N2の浮遊容量13が大きくなり過
ぎて、過電流制限と高電圧トランス9の1次巻線N1間
電圧の補償を現実の部品で実現できない場合が生ずる。
即ち、図1の実施例で、更に高周波化することにより高
電圧トランス9の浮遊容量13が必要な共振キャパシタ
ンスCoを大きく超える場合は、望ましい特性にするこ
とができなくなる。このような場合に対応可能な実施例
を図4により説明する。
して知られている集塵部11の静電容量を取り込んだ倍
電圧回路を採用し、高電圧トランス9の1次側から見た
2次巻線の浮遊容量を更に減少させた本発明の第2の実
施例を示す。図中、図1と同一の符号は図1に相当する
部材を示すものとする。倍電圧回路は、1個の倍電圧コ
ンデンサ15と、高電圧ダイオード16、17と、集塵
部11の静電容量で構成されているので、通常の倍電圧
回路のように、個別部品として出力平滑用コンデンサを
備えなくとも、2倍圧整流できる。集塵部11に印加さ
れる電圧は高電圧トランス9の2次巻線電圧の2倍の電
圧が印加されるから、高電圧トランス9の巻数比nは図
1の1/2で良くなり、n=43.5になる。つまり、
2次巻線N2の巻数が減少することにより2次巻線N2
の浮遊容量が減少すると共に、巻数比nも小さくなっ
て、1次側から見た浮遊容量は更に小さくなる。前記実
施例を参照して述べると、高電圧トランス9の浮遊容量
13が仮に60pFの1/2の30pFになったとすれ
ば、1次側から見た容量は巻数比nの2乗を乗じて0.
057μFとなり、約12%減少する。したがって、前
記実施例1の場合よりも駆動周波数fをより高周波化す
ることが可能となる。
タンスと1次側換算コンデンサの値は、巻数比が1/2
になったことと、倍電圧整流で2倍の電圧になることで
相殺され、下記のように図1と同値である。共振インダ
クタンスLは110μH、共振キャパシタンスCoは
0.455μFとなる。しかし、共振キャパシタンスC
oを2次側で換算すると、巻数比n(43.5)の2乗
で除した値である240pFになる。このことは、図1
では60pFで制限された浮遊容量が4倍の240pF
まで増加しても望ましい特性に制御可能なことを示し、
設計の範囲を大幅に拡大できる。この結果、インバータ
回路の高周波化を更に進めても、浮遊容量による制限が
少なくなる。この実施例においては浮遊容量が240p
F以下であれば、個別部品として補償用コンデンサ14
を追加して、所望の特性の共振動作を可能にすることが
できる。ここで、2倍電圧以上の整流回路も構成可能で
あるが、その場合にはコンデンサ、ダイオードの使用個
数が更に増加し、また集塵部11が必要とする大電力出
力のためには、コンデンサが大きくなること、集塵部1
1の静電容量を回路内に取り込むことができないなどの
問題があり、2倍電圧が好ましい。なお、集塵部11に
流れる電流の検出はダイオード17のカソードと抵抗R
1との接続点から検出できる。21は、インバータ制御
回路15の電流検出入力、22は電圧検出入力である。
ンス9の1次巻線と2次巻線の巻数比nの数値、インダ
クタンス手段12の共振インダクタンスL、共振キャパ
シタンスCoの数値、高電圧トランス9の浮遊容量の数
値、電圧降下補償用コンデンサの容量などは飽くまで1
例であり、本発明の技術思想を達成し得る限り他の数値
であってももちろん良い。
と下記のようになる。 (1)火花放電発生時には電流制限を行い得るインダク
タンス手段が接続されているので、制御回路の応答が遅
くてもインバータ回路の電流、出力電流ともに過電流と
ならない。すなわち、過電流に瞬時応答できるにもかか
わらず、そのインダクタンスや高電圧トランスの浮遊容
量などによる共振動作で前記インダクタンス手段の電圧
降下を補償することができる。 (2)インバータ回路の電流の帰還電流部分が少なく、
力率がよい。このため、インバータ回路の電流のピーク
値が必要以上に増加せず、IGBTなどのスイッチング
半導体素子として経済的なものを選定できる。 (3)集塵部で火花放電が発生したときでもインバータ
回路の電流の増加は定格時に比較して数十%しか大きく
ならない。このため、実質的にスイッチング半導体素子
の電流容量に余裕を見る必要がない。 (4)高電圧、大電力の高圧トランスでは、トランス2
次巻線の浮遊容量が大きくなりやすいが、その浮遊容量
を共振キャパシタンスに組み込み、共振動作に利用して
いるので動作に悪影響を与えない。 (5)軽負荷時にも駆動周波数を下げる必要はなく、し
たがって集塵部に印加される直流高電圧のリプル電圧が
増大しないので、火花放電が頻発せず、集塵効率を向上
させることができる。 (6)高電圧整流に倍電圧整流回路を使用した場合、ブ
リッジ整流回路の場合の4倍の浮遊容量まで対応でき、
設計の範囲を大幅に拡大できる。倍電圧コンデンサが必
要となるが、集塵部の静電容量を倍電圧整流回路に取り
込み、高価な高電圧ダイオードの使用個数がブリッジ整
流回路に比較して1/2となり、経済的である。
施例を示す。
波形を示す。
ョン波形を示す。
施例を示す。
を示す。
波形を示す。
ーション波形を示す。
ョン波形を示す。
ュレーション波形を示す。
ンダクタ 3・・平滑コンデンサ 4・・インバ
ータ回路 5A〜5D・・スイッチング半導体素子(IGBTな
ど) 6A〜6D・・帰還用ダイオード 10・・高電圧
整流器 11・・集塵部 12・・イン
ダクタンス手段 13・・電圧降下補償用コンデンサ 14・・電圧
降下補償用コンデンサ 15・・制御回路 15A・・駆
動信号発生回路 15B・・電流調整用回路 15C・・電
圧制限用回路
4)
Claims (6)
- 【請求項1】 交流電源電圧を整流して直流電圧に変換
し、この直流電圧をインバータ回路により高周波交流電
圧に変換し、この高周波交流電圧を高電圧トランスで昇
圧し、高電圧整流回路で整流した直流高電圧を集塵部に
供給する集塵用電源装置において、 前記インバータ回路と前記高電圧トランスの1次巻線と
の間にインダクタンス手段を直列接続し、 該インダクタンス手段のインダクタンスと前記高電圧ト
ランスの漏れインダクタンスとで共振インダクタンスを
形成し、 前記高電圧トランスの浮遊容量とその2次巻線間に並列
接続された電圧降下補償用コンデンサの容量とで共振キ
ャパシタンスを形成し、 前記共振インダクタンスと前記共振キャパシタンスとの
共振周波数Frを前記インバータ回路の駆動周波数fと
関連付けて設定することにより、集塵部の火花放電時に
流れるスパーク電流の制限と電圧降下補償を行うことを
特徴とする集塵用電源装置。 - 【請求項2】 請求項1において、 共振周波数Frが1.1fないし1.8fの範囲(1.
1f≦Fr≦1.8f)内にあるように、共振動作させ
ることを特徴とする集塵用電源装置。 - 【請求項3】 請求項1において、 前記共振動作により前記高電圧トランスの1次巻線の電
圧は、等価的に電源電圧の1.1倍ないし1.8倍の範
囲内の値になることを特徴とする集塵用電源装置。 - 【請求項4】 請求項1において、 前記インダクタンス手段は、集塵部の火花放電発生時の
スパーク電流を定格電流の1.5倍ないし2.5倍の範
囲内に制限できるインダクタンスを有することを特徴と
する集塵用電源装置。 - 【請求項5】 請求項4において、 前記電圧降下補償用コンデンサは、前記インダクタンス
手段との共振作用により前記高電圧トランスの1次巻線
の電圧が等価的に電源電圧の1.1倍ないし1.8倍の
範囲内に入るようにする容量を有することを特徴とする
集塵用電源装置。 - 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれかにお
いて、 前記高電圧トランスの2次巻線の一端は接地されるとと
もに、他端は倍電圧用コンデンサを通して接続された整
流器と整流器との接続点に接続され、前記倍電圧用コン
デンサと前記整流器は負荷である集塵部の静電容量とと
もに倍電圧整流回路を構成することを特徴とする集塵用
電源装置。
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