JP2002053330A - 合成石英ガラスの成形方法及び合成石英ガラス - Google Patents

合成石英ガラスの成形方法及び合成石英ガラス

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JP2002053330A JP2000242639A JP2000242639A JP2002053330A JP 2002053330 A JP2002053330 A JP 2002053330A JP 2000242639 A JP2000242639 A JP 2000242639A JP 2000242639 A JP2000242639 A JP 2000242639A JP 2002053330 A JP2002053330 A JP 2002053330A
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graphite
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Masashi Fujiwara
誠志 藤原
Norio Komine
典男 小峯
Hiroki Jinbo
宏樹 神保
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透過率の均一性、結晶化の抑制、濃度むらの
抑制を図る合成石英ガラスの成形方法及び合成石英ガラ
スを提供する。 【解決手段】 グラファイト製成形容器10内に合成石
英バルク50を収容し、高温条件のもとで、押圧部材と
しての重石40により、前記合成石英バルク50を押圧
して、前記成形容器10と前記重石40で形成される空
間形状に適合した形状の合成石英ガラスを成形する方法
において、合成石英バルク50に面しているグラファイ
ト製成形容器10の内面及び重石40の合成石英バルク
50に相対している面に、応力を緩和しかつ合成石英バ
ルク50の変質を抑えるためのカーボン繊維からなる板
状のフェルト材30A,30B,30Cを配置し、グラ
ファイト製成形容器10及びフェルト材30A,30
B,30Cには、純化処理したものを用いた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、合成石英バルク
を加熱・押圧することにより所望の形状の合成石英ガラ
スに成形する方法及び、この方法により成形された合成
石英ガラスに関するものである。
【0002】特に、この発明は四塩化ケイ素、シラン、
有機ケイ素等のケイ素化合物を原料として製造される合
成石英バルクや、更にGe,Ti,B,F,Al等の屈
折率を変化させる成分を添加した合成石英バルクを押圧
成形して、例えばレチクル(フォトマスク)基板や結像
光学系等の光学部材に適する合成石英ガラスを所望の形
状に成形する方法及び合成石英ガラスに関するものであ
る。
【0003】
【従来の技術】従来からIC,LSI等の集積回路パタ
ーン転写には、主に縮小投影露光装置(又は光リソグラ
フィ装置)が用いられている。この装置に用いられる投
影光学系には、集積回路の高集積化に伴って広い露光領
域と、その露光領域全体に渡るより高い解像力が要求さ
れている。この投影光学系の解像力の向上については、
露光波長をより短くするか、あるいは投影光学系の開口
数(NA)を大きくすることが考えられる。
【0004】露光波長については、g線(436nm)
からi線(365nm)、更には、KrF(248n
m)エキシマレーザやArF(193nm)エキシマレ
ーザへと短波長化が進められている。また、更に集積回
路の高集積化を進めるに当たって、現在、F(157
nm)エキシマレーザ、X線、電子線を光源に用いる方
法が検討されている。この中で、これまでの設計思想を
生かして作製することが可能なFエキシマレーザを用
いた縮小投影露光装置が、にわかに脚光を浴びてきてい
る。
【0005】一般に、i線より長波長の光源を用いた縮
小投影露光装置の照明光学系あるいは投影光学系の光学
部材として用いられる光学ガラスは、i線よりも短い波
長領域では光透過率が急激に低下し、特に250nm以
下の波長領域ではほとんどの光学ガラスで透過しなくな
ってしまう。
【0006】そのため、エキシマレーザを光源とした縮
小投影露光装置の光学系を構成するレンズの材料には、
合成石英ガラス、又は、フッ化カルシウム若しくはフッ
化バリウム等のフッ化物単結晶が使用可能である。これ
らの材料はエキシマレーザの結像光学系で色収差補正を
行う上で不可欠な材料である。
【0007】縮小投影露光装置では、ウェハー上に回路
を焼き付けるためのもう一つの重要な要素としてレチク
ルが挙げられる。このレチクルに用いられる材料として
は、エキシマレーザ耐久性等の透過特性はもとより、基
板の発熱による熱膨張が大きな問題になるため、耐久性
が良好で、尚かつ熱膨張係数の小さい、直接法で合成さ
れた石英ガラスが用いられている。
【0008】この直接法と呼ばれる合成石英ガラスの製
造方法は、合成石英ガラス製バーナにて支燃性ガス(一
般に酸素ガス)及び可燃性ガス(水素ガス或いは天然ガ
ス)を混合・燃焼させ、前記バーナの中心部から原料ガ
スとして高純度の四塩化ケイ素ガスをキャリアガス(通
常酸素ガス)で希釈して噴出させ、原料ガスを周囲の酸
素ガス及び水素ガスの燃焼により生成する水と反応(加
水分解反応)させて合成石英ガラス微粒子を発生させ、
その合成石英ガラス微粒子をバーナ下方にあり、回転、
揺動及び引き下げ運動を行っている不透明合成石英ガラ
ス板等からなるターゲット上に推積させ、同時に酸素ガ
ス及び水素ガスの燃焼熱により溶融・ガラス化して合成
石英ガラスインゴットを得る方法である。この方法によ
ると、比較的大きな径の合成石英ガラスインゴットを得
易いため、そのインゴットから切り出したブロックの成
形により所望の形状、大きさのレチクル材を得ていた。
【0009】あるいは、光ファイバーの製造法に用いら
れる技術として、多孔質石英ガラス母材を雰囲気加熱処
理にて透明化するVAD(vapor-phase axial depositio
n)法にてロッド状の石英ガラスを得た後、グライファイ
ト製成形容器などで熱成形してレチクル用の素材を得る
方法もある。
【0010】合成石英ガラスの成形方法としては、グラ
ファイト製成形容器内で、絶対圧が0.1Torr以上
大気圧以下のヘリウムガス雰囲気下で、1700℃以上
の温度のもとで加熱押圧成形し、次いで1100〜13
00℃まで急冷する成形方法が特開昭56−12962
1号公報に開示されている。また、グラファイト製成形
容器が2分割以上の縦型構造である成形方法が特開昭5
7−67031号公報に開示されている。更に、合成石
英ガラスと成形容器の熱膨張率差に起因する応力を緩和
する構造を有するグラファイト製成形容器を用いて16
00〜1700℃で成形する方法が特公平4−5462
6号公報に開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、 合
成石英ガラスをグラファイト製成形容器にて、加熱押圧
成形処理を行った場合、得られた合成石英ガラスの光学
的特性、特に面内の透過率の均一性が損なわれることが
しばしばあった。このような面内の透過率の均一性が損
なわれた合成石英ガラスを露光装置用の部材として組み
込んだ場合、露光装置の結像性能が極端に低下してしま
うため望ましくない。
【0012】また、 合成石英ガラスの高温での成形
では、その温度条件(1400〜1600℃程度)によ
っては結晶化が起こる。そのため、処理後の合成石英ガ
ラスの表面は、処理温度によっては表面に凹凸が生じた
り、失透が起こったりして、そこから亀裂が生じること
もあった。
【0013】さらには、 処理中の合成石英ガラス内
の温度が必ずしも一定になっておらず、特に屈折率を変
化させる成分を導入した合成石英ガラスの場合、濃度む
らを起こして光学的特性を著しく低下させる場合もあっ
た。
【0014】そこで、この発明は、四塩化ケイ素、シラ
ン、有機ケイ素等のケイ素化合物を原料として製造され
る合成石英ガラス、又は、Ge,Ti,B,F,Al等
の屈折率を変化させる成分を添加した合成石英ガラスを
加熱押圧成形して、レチクル(フォトマスク)基板や結
像光学系のレンズ材料等に適する合成石英ガラスを、透
過率の均一性、結晶化の抑制、濃度むらの抑制を図る合
成石英ガラスの成形方法及び合成石英ガラスを提供する
ことを課題としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】かかる課題を達成するた
めに、本発明者らは鋭意研究を行った結果、処理を行う
際に用いるグラファイト製成形容器、カーボン繊維から
成る板状のフェルト材の材質及び純度を考慮することに
より、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完
成させるに至った。
【0016】すなわち、請求項1に記載の発明は、グラ
ファイト製成形容器内に合成石英バルクを収容し、高温
条件のもとで、押圧部材により前記合成石英バルクを押
圧して、前記グラファイト製成形容器と前記押圧部材と
で形成される空間形状に適合した形状の合成石英ガラス
を成形する方法において、前記合成石英バルクに面して
いる前記グラファイト製成形容器の内面及び前記押圧部
材の前記合成石英バルクに相対している面に、応力を緩
和しかつ前記合成石英バルクの変質を抑えるためのカー
ボン繊維からなる板状のフェルト材を用い、前記グラフ
ァイト製成形容器及び前記フェルト材には、純化処理し
たものを用いた合成石英ガラスの成形方法としたことを
特徴とする。
【0017】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
合成石英ガラスの成形方法において、前記グラファイト
製成形容器及び前記フェルト材には、灰分が10ppm
以下のものを用いたことを特徴とする。
【0018】請求項3に記載の発明は、請求項1又は2
に記載の合成石英ガラスの成形方法において、前記グラ
ファイト製成形容器の表面にβ−SiCをコーティング
することを特徴とする。
【0019】請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3
の何れか一つに記載の合成石英ガラスの成形方法におい
て、前記グラファイト製成形容器の開孔率が10%以下
であることを特徴とする。
【0020】請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4
の何れか一つに記載の合成石英ガラスの成形方法におい
て、成形時の雰囲気が大気圧以上の不活性ガス雰囲気中
であることを特徴とする。
【0021】請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5
の何れか一つに記載の合成石英ガラスの成形法におい
て、成形時の処理温度が1750℃〜1850℃で、処
理時間が10分〜60分であることを特徴とする。
【0022】請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6
の何れか一つに記載の合成石英ガラスの成形方法により
得られた合成石英ガラスであって、250nm以下の波
長領域でその部材中の光を透過させる軸と垂直方向の透
過率の変動幅が部材の厚さ1cm当たり±1%以内で、
紫外光〜真空紫外光露光装置用であることを特徴とす
る。
【0023】請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7
の何れか一つに記載の合成石英ガラスの成形方法により
得られた合成石英ガラスであって、157.6nmの波
長でその部材中の光を透過させる軸と垂直方向の透過率
の変動幅が部材の厚さ1/4インチ当たり±0.5%以
内で、真空紫外光露光装置用であることを特徴とする。
【0024】請求項9に記載の発明は、請求項8に記載
の合成石英ガラスにおいて、その部材中にフッ素が含有
され、かつOH基が1ppm以下で、真空紫外光露光装
置用であることを特徴とする。
【0025】請求項10に記載の発明は、請求項7乃至
9の何れか一つに記載の合成石英ガラスにおいて、その
部材中に含有される金属不純物量が総量で50ppb以
下で、紫外光〜真空紫外光露光装置用であることを特徴
とする。
【0026】請求項11に記載の発明は、請求項8乃至
10の何れか一つに記載の合成石英ガラスにおいて、そ
の部材中に含有されるフッ素濃度のふれ幅が0.5w
t.%以下で、紫外光〜真空紫外光露光装置用であるこ
とを特徴とする。
【0027】請求項12に記載の発明は、請求項7乃至
11の何れか一つに記載の合成石英ガラスが、露光装置
用レンズ部材あるいはフォトマスク部材で、紫外光〜真
空紫外光露光装置用であることを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態に基
づいて、本発明の合成石英ガラスの成形方法について説
明する。
【0029】図1及び図2は、この発明の実施の形態を
示す図である。
【0030】まず構成を説明すると、この発明の実施の
形態の合成石英ガラス成形装置は、主としてグラファイ
ト製成形容器10と、「押圧部材」としての重石40
と、フェルト材30A、30B、30Cと、電気炉20
とを有している。
【0031】グラファイト製成形容器10は、グラファ
イト製の筒体11の上面と下面に天板12及び底板14
がはめ込まれた中空構造に形成され、この内部に合成石
英バルク50を収納してこれを押圧成型するためのもの
である。グラファイト製成形容器10の形状は、押圧成
形後の合成石英バルク50(合成石英ガラス)の形状に
応じて選択される。例えば、円形であってもよく、矩形
であってもよい。
【0032】このグラファイト製成形容器10は、純化
処理されることにより灰分が10ppm以下のものが用
いられていると共に、表面にβーSiCがコーティング
されている。純化処理の方法としては、例えば、 真
空状態で2000℃程度まで加熱して圧力差により処理
し、これを繰り返す方法、又、 高温にして塩化水素
雰囲気内で処理する方法等がある。また、このグラファ
イト製成形容器10の開孔率が10%以下に設定されて
いる。
【0033】一方、その底板14上には、フェルト材3
0Bが敷設され、このフェルト材30B上には、合成石
英バルク50が載置されるようになっている。
【0034】そして、この合成石英バルク50の上側に
は、通気性を有するフェルト材30Aを介して重石40
が配設されると共に、筒体11の下部側に内面には、通
気性を有するフェルト材30Cが配置されている。
【0035】そのフェルト材30A及び30Bの形状及
び大きさは、グラファイト製成形容器10の形状に応じ
て適宜選択される。また、フェルト材30Cは、リング
形状の断面を有する連続環状体であり、そのリング形状
は、グラファイト製成形容器10の筒体11の内側面の
断面形状に応じて適宜選択される。また、フェルト材3
0Cの内側面の断面形状は、押圧成形後の合成石英バル
ク50(合成石英ガラス)の形状に応じて選択される。
更に、フェルト材30Cの幅(図1のW30C参照)
は、成形後の合成石英バルク50(合成石英ガラス)の
厚み(図2のT50参照)以下に予め設定されている。
【0036】そして、それらフェルト材30A、30
B、30Cの構成材料は、高温でも十分な弾性と気孔率
(通気性)を有し、押圧成形の際に合成石英バルク50
とグラファイト製成形容器10との間に生じる収縮の差
による圧縮応力及び引張応力を十分に吸収できる媒体と
して機能する材料(応力を緩和しかつ合成石英バルク5
0の変質を抑えるための材料)であるカーボン繊維から
板状に形成されている。このカーボン繊維から成る板状
のフェルト材30A、30B、30Cは耐熱性の点で最
適である。
【0037】また、フェルト材30A、30B、30C
は、かさ密度が0.05〜0.5g/cm の範囲内
であり、それぞれの厚みが1〜30mmの範囲内のもの
が使用される。更に、厚さ調整の為、2枚以上のフェル
ト材を重ねて使用することも可能である。
【0038】さらに、それらフェルト材30A、30
B、30Cには、灰分が10ppm以下のものが用いら
れている。
【0039】さらにまた、前記重石40は、例えば、カ
ーボングラファイト、セラミックス等を構成材料として
短円柱形状に形成され、合成石英バルク50を高温のも
とで押圧することにより、この合成石英バルク50をグ
ライファイト製成型容器10及び重石40により形成さ
れる空間形状に適合した形状に成形するようになってい
る。
【0040】一方、電気炉20は、ヒータ22と、この
ヒータ22の出力を制御する温度制御部24とを備えて
いると共に、内部に不活性ガスを押圧して導入できる構
造になっている。更に、電気炉20は、回転可能な設置
台(図示せず)を備えており、この設置台の上に設置さ
れるグラファイト製成形容器10を回転させることがで
きるように構成されている。
【0041】ここで、成形時の合成石英バルク50に対
して設置台の回転が及ぼす影響を良好にするために、設
置台上にグラファイト製成形容器10を設置する時に設
置台の回転軸AXが合成石英バルク50の重心を通過す
るようにすることが望ましい。
【0042】また、温度制御部24は、合成石英バルク
50の押圧成形を行う際に、電気炉20内を所望の温度
範囲に保つためのものであり、電気炉20内の温度をモ
ニタしてヒータ22の出力を制御するようになってい
る。また、温度制御部24は、押圧成形を行う時間を所
望の時間範囲に制御するプログラムを自由に設定できる
機能を備えている。
【0043】以下に、図1及び図2等に基づいて本発明
の合成石英ガラスの成形方法の一例を説明する。
【0044】先ず、直接法或いはVAD法により合成石
英ガラスインゴットを製造し、更に、これを切り出して
所定の大きさと形状とを有する合成石英バルク50とす
る。次に、図1に示すように、その合成石英バルク50
を底板14をはめ込んだグラファイト製成形容器10内
に設置する。ここで、グラファイト製成形容器10内に
合成石英バルク50を配置する際には、通気性を有する
フェルト材30B、30Cが図1に示すように配置され
る。
【0045】グラファイト製成形容器10内に収納され
た合成石英バルク50の上にフェルト材30Aを介して
重石40を乗せる。そして、天板12をはめ込み、次
に、図1に示すようにグラファイト製成形容器10を電
気炉20内に設置する。
【0046】次いで、電気炉20内に大気圧以上に加圧
した不活性ガスを導入して、この電気炉20内を押圧し
た不活性ガスで置換する。これにより、合成石英バルク
50とグラファイト製成形容器10とが反応して炭化ケ
イ素が形成される不具合をより効果的に防止できる。こ
こで、使用される不活性ガスは特に限定されるものでは
なく、押圧成形の温度条件において合成石英バルク5
0、グラファイト製成形容器10、及び通気性を有する
フェルト材30A、30B、30Cと反応しないガスが
適宜選択される。例えば、N2、Ar、He、H2が使
用される。また、不活性ガスの電気炉20内における分
圧は0.05〜1.0MPaであることが好ましい。不
活性ガスの電気炉20内における分圧が、0.05MP
a未満であると、合成石英ガラスが揮発し易くなり合成
石英バルク50内に気泡が発生する不具合を招く傾向が
大きくなり、一方、不活性ガスの電気炉20内における
分圧が、1.0MPaを超えると、合成石英バルク50
やグラファイト製成形容器10等が破損する不具合を招
く傾向が大きくなる。
【0047】次に、電気炉20を作動させ、合成石英バ
ルブ50の成形を行う。ここで、成形の昇温、保温、降
温の工程は予め電気炉20の制御部24に設定した所定
のプログラムのもとに行う。ここでは、成形時の処理温
度が1750℃〜1850℃で、処理時間が10分〜6
0分とする。このようにすることにより合成石英バルク
50とグラファイト製成形容器10の構成材料が反応し
てしまう不具合の発生をより効果的に防止できる。ま
た、合成石英バルクの結晶化をより効果的に抑制するこ
ともできる。そして、成形後の合成石英ガラスに生じる
表面の凹凸及び亀裂の発生を防止することができる。更
に、このような温度とその保持時間の範囲内で加圧成形
を行うことにより、合成石英バルク50内部で発生する
気泡の量を十分に抑制することもできる。
【0048】また、成形を行う際の昇温時、保温時、降
温時のいずれの工程においてもグラファイト製成形容器
10の回転を行う。
【0049】合成石英バルク50は、電気炉20内にお
いて自重及び重石40の重量により熱変形を起こし、グ
ラファイト製成形容器10内のフェルト材30A、30
B、30Cによって決められる形状に応じて成形される
(図2参照)。
【0050】かかる押圧成形の際に合成石英バルク50
の内部に発生する気泡は、合成石英バルク50とグラフ
ァイト製成形容器10の間に挿入されている通気性を有
するフェルト材30A〜30Cにより、合成石英バルク
50の外部に速やかに逸散させられる。そのため、成形
後の合成石英バルク50(合成石英ガラス)の内部に残
存する気泡の量は十分に抑制される。また、通気性を有
するフェルト材30A〜30Cは、合成石英バルク50
とグラファルト製成形容器10との間に生じる圧縮応力
及び引張応力の吸収媒体として機能するので、押圧成形
後の冷却過程で両者間に生じる応力の発生を十分に抑制
する。そのため、成形後の合成石英バルク50(合成石
英ガラス)とグラファイト製成形容器10にはひび割れ
や破損が生じない。
【0051】さらに、特に真空紫外領域での透過率に悪
影響を及ぼす要因としては、金属不純物の中でもアルカ
リ金属が挙げられるが、上述のように、グラファイト製
成形容器10及びフェルト材30A,30B,30C
に、灰分10ppm以下になるまで純化処理を行ったも
のを使用することで、合成石英ガラス内部への金属不純
物の拡散を抑えることができる。
【0052】さらにまた、グラファイト製成形容器10
の表面にβーSiC皮膜をコーティングすることは、グ
ラファイト製成形容器10からの不純物の拡散をより抑
えることが可能になり、面内透過率の均一性が損なわれ
るのを抑制できる。ここで、グライファイト製成形容器
10の表面にコーティングする皮膜はαーSiCではな
くβーSiCであることが望ましい。αーSiC皮膜で
あると、結晶の粒度が細かく粒界が多くなるため、不純
物に対する効果は非常に小さくなってしまう。
【0053】また、グラファイトよりも熱伝導率の高い
βーSiCをグラファイト製成形容器10の表面にコー
ティングすることにより、より効果的に熱伝導がなさ
れ、被成形物品(合成石英ガラス)の温度均一性がとり
易くなり、結晶化が起こり難く、処理後の合成石英ガラ
スの表面への凹凸の発生、失透の発生、亀裂の発生等を
抑制できる。
【0054】しかも、βーSiCをコーティングする
と、例えば合成石英ガラス内部から放出されたフッ素が
グラファイト製成形容器10の微少な孔から拡散してし
まうのを抑えることができ、その結果、合成石英ガラス
内部での濃度分布が付きづらくなり、光学的特性も悪化
しないという利点もある。
【0055】このようにして成形された合成石英ガラス
は、250nm以下の波長領域でその部材中の光を透過
させる軸と垂直方向の透過率の変動幅が部材の厚さ1c
m当たり±1%以内とされることにより、紫外光〜真空
紫外光露光装置用とされる。
【0056】あるいは、合成石英ガラスが、157.6
nmの波長でその部材中の光を透過させる軸と垂直方向
の透過率の変動幅が部材の厚さ1/4インチ当たり±
0.5%以内とされると共に、その部材中にフッ素が含
有され、かつOH基が1ppm以下とされることによ
り、真空紫外光露光装置用とされている。
【0057】また、そのようにして成形された合成石英
ガラスは、その部材中に含有される金属不純物量が総量
で50ppb以下とされることにより、紫外光〜真空紫
外光露光装置用とされている。
【0058】さらに、合成石英ガラスは、その部材中に
含有されるフッ素濃度のふれ幅が0.5wt.%以下と
されることにより、紫外光〜真空紫外光露光装置用とさ
れている。
【0059】そして、それら合成石英ガラスが、紫外光
〜真空紫外露光装置用のレンズ部材あるいはフォトマス
ク部材とされている。
【0060】以下、表1に示す、実施例等を用いて本発
明の合成石英ガラスの成形方法について詳細に説明す
る。なお、便宜上、以下の説明においては、図1に示し
た構成要素と同一又は相当する部分については同一の符
号を付すことにする。
【表1】
【0061】[実施例1]この実施例1は、グラファイ
ト製成形容器10の坩堝形状がφ220mmの円筒形状
を呈すると共に、このグラファイト製成形容器10は灰
分10ppm以下のものを使用した。また、このグラフ
ァイト製成形容器10には、表面にβーSiCがコーテ
ィングされ、開孔率が10%以下の5%とされている。
【0062】また、そのグラファイト製成形容器10内
には、カーボン繊維のフェルト材(日本カーボン株式会
社製、商品名「カーボロンフェルト」、「カーボロン」
は登録商標)30A、30B、30Cが図1と同様にそ
れぞれ配置されている。このフェルト材30A、30
B、30Cは灰分10ppmより小さいものを使用し
た。
【0063】そして、図1と同様の状態で円筒型の合成
石英バルク50をグラファイト製成形容器10内に収納
した。その後、カーボン繊維製のフェルト材30Aとグ
ラファイト製の重石40を載置し、更にグラファイト製
成形容器10に天板12をはめ込んだ。次に、円筒形の
合成石英バルク50を収納したグラファイト製成形容器
10を、図1と同様の状態で電気炉20内の回転可能な
設置台に設置した。
【0064】次に、電気炉20内に不活性ガスとしてN
(0.6MPa)を導入して電気炉20内の空気をN
で置換した。その後、電気炉20内の設置台を回転速
度を1rpmに保持して回転させながら、昇温速度を1
0℃/minとして温度が1800℃に到達するまで電
気炉20内を加熱した。電気炉20内が1800℃に到
達した後、この温度で30分保持し、グラファイト製成
形容器10内の合成石英バルク50を処理圧力が0.6
Mpaで押圧成形を行った。30分経過後、降温速度を
4℃/minとして室温にまで冷却した。冷却後、グラ
ファイト製成形容器10内より押圧成形を施した円柱状
の合成石英ガラスを取り出した。
【0065】この合成石英バルク50の処理前の形状は
直径が70mm、高さが200mmであり、処理後の合
成石英ガラスの形状は直径が220mm、高さが20m
mであった。
【0066】このようにして成形された合成石英ガラス
は、250nm以下の波長領域でその部材中の光を透過
させる軸と垂直方向の透過率の変動幅が部材の厚さ1c
m当たり±1%以内であった。また、157.6nmの
波長でその部材中の光を透過させる軸と垂直方向の透過
率の変動幅が部材の厚さ1/4インチ当たり±0.5%
以内であった。
【0067】さらに、その合成石英ガラスは、その部材
中に2.5wt.%のフッ素が含有され、かつOH基の
濃度が1ppm未満であると共に、その部材中に含有さ
れる金属不純物量が総量で50ppb未満である。
【0068】さらにまた、その合成石英ガラスは、その
部材中に含有されるフッ素濃度のふれ幅が0.5wt.
%以下である。
【0069】[実施例2]この実施例2は、グラファイ
ト製成形容器10の開孔率を8%、処理温度を1775
℃、保持時間を60分とした以外は実施例1と同様にし
て押圧成形を施して合成石英ガラスを得た。
【0070】得られた合成石英ガラスは、処理後の形
状、透過率の変動幅(%)、フッ素濃度(wt.%)、
OH基濃度(ppm)、金属不純物量(ppb)、フッ
素濃度のふれ幅(wt.%)が実施例1と同様の値であ
った。
【0071】[実施例3]この実施例3は、グラファイ
ト製成形容器10の坩堝形状をロ160mm、グラファ
イト製成形容器10の開孔率を7%とした以外は実施例
1と同様にして押圧成形を施して合成石英ガラスを得
た。
【0072】得られた合成石英ガラスは、処理後の形状
が正方形の一辺が160mm、高さが25mmの直方
体、フッ素濃度が1.5wt.%であった。それ以外
の、透過率の変動幅(%)、OH基濃度(ppm)、金
属不純物量(ppb)、フッ素濃度のふれ幅(wt.
%)は実施例1と同様の値であった。
【0073】[実施例4]この実施例4は、グラファイ
ト製成形容器10の坩堝形状をロ160mm、グラファ
イト製成形容器10の開孔率を3%、保持温度を177
5℃、保持時間を60分とした以外は実施例1と同様に
して押圧成形を施して合成石英ガラスを得た。
【0074】得られた合成石英ガラスは、処理後の形状
が正方形の一辺が160mm、高さが25mmの直方体
であり、それ以外のフッ素濃度(wt.%)、透過率の
変動幅(%)、OH基濃度(ppm)、金属不純物量
(ppb)、フッ素濃度のふれ幅(wt.%)は実施例
1と同様の値であった。
【0075】[実施例5]この実施例5は、グライファ
イト製成形容器10の表面にβーSiCをコーティング
せず、グラファイト製成形容器10の開孔率を15%、
処理温度を1820℃とした以外は実施例1と同様にし
て押圧成形を施して合成石英ガラスを得た。
【0076】得られた合成石英ガラスは、処理後の形
状、透過率の変動幅(%)、フッ素濃度(wt.%)、
OH基濃度(ppm)、金属不純物量(ppb)、フッ
素濃度のふれ幅(wt.%)が実施例1と同様の値であ
った。
【0077】[実施例6]この実施例6は、グラファイ
ト製成形容器10の開孔率を15%、処理温度を175
0℃、保持時間を60分とした以外は実施例1と同様に
して押圧成形を施して合成石英ガラスを得た。
【0078】得られた合成石英ガラスは、処理後の形
状、透過率の変動幅(%)、フッ素濃度(wt.%)、
OH基濃度(ppm)、金属不純物量(ppb)、フッ
素濃度のふれ幅(wt.%)が実施例1と同様の値であ
った。
【0079】[実施例7]この実施例7は、グラファイ
ト製成形容器10の坩堝形状をロ160mm、グライフ
ァイト製成形容器10の表面にβーSiCをコーティン
グせず、グラファイト製成形容器10の開孔率を7%、
処理温度を1775℃、保持時間を60分とした以外は
実施例1と同様にして押圧成形を施して合成石英ガラス
を得た。
【0080】得られた合成石英ガラスは、処理後の形状
が正方形の一辺が160mm、高さが25mmの直方
体、フッ素濃度が2.0wt.%であった。それ以外
の、透過率の変動幅(%)、OH基濃度(ppm)、金
属不純物量(ppb)、フッ素濃度のふれ幅(wt.
%)は実施例1と同様の値であった。
【0081】[実施例8]この実施例8は、グラファイ
ト製成形容器10の坩堝形状をロ160mm、グラファ
イト製成形容器10の開孔率を3%とした以外は実施例
1と同様にして押圧成形を施して合成石英ガラスを得
た。
【0082】得られた合成石英ガラスは、処理後の形状
が正方形の一辺が160mm、高さが25mmの直方
体、フッ素濃度が2.0wt.%であった。それ以外
の、透過率の変動幅(%)、OH基濃度(ppm)、金
属不純物量(ppb)、フッ素濃度のふれ幅(wt.
%)は実施例1と同様の値であった。
【0083】[実施例9]この実施例9は、処理温度を
1750℃、保持時間を60分とした以外は実施例1と
同様にして押圧成形を施して合成石英ガラスを得た。
【0084】この合成石英バルク50の処理前の形状は
直径が70mm、高さが200mmの円柱形状であり、
処理後の合成石英ガラスの形状は直径が220mm、高
さが20mmの円柱形状であった。
【0085】このようにして成形された合成石英ガラス
は、250nm以下の波長領域でその部材中の光を透過
させる軸と垂直方向の透過率の変動幅が部材の厚さ1c
m当たり±1%以内であった。
【0086】また、その合成石英ガラスは、OH基の濃
度が900ppmであると共に、その部材中に含有され
る金属不純物量が総量で50ppb未満である。
【0087】[実施例10]この実施例10は、グラフ
ァイト製成形容器10の坩堝形状をロ160mm、グラ
ファイト製成形容器10の開孔率を7%、処理温度を1
755℃、保持時間を60分とした以外は実施例1と同
様にして押圧成形を施して合成石英ガラスを得た。
【0088】この合成石英バルク50の処理前の形状は
直径が70mm、高さが200mmの円柱形状であり、
処理後の合成石英ガラスの形状は正方形の一辺が160
mm、高さが25mmの直方体であった。
【0089】このようにして成形された合成石英ガラス
は、250nm以下の波長領域でその部材中の光を透過
させる軸と垂直方向の透過率の変動幅が部材の厚さ1c
m当たり±1%以内であった。
【0090】また、その合成石英ガラスは、OH基の濃
度が1200ppmであると共に、その部材中に含有さ
れる金属不純物量が総量で50ppb未満である。
【0091】[比較例1]これは、本発明のように灰分
を10ppm以下とせず、15ppmとし、グラファイ
ト製成形容器10の表面にβーSiCをコーティングせ
ず、又、グラファイト製成形容器10の開孔率を3%と
し、処理温度を1825℃とした。それ以外は、実施例
1と同様に押圧成形を施して合成石英ガラスを得た。
【0092】このようにして成形された合成石英ガラス
は、250nm以下の波長領域でその部材中の光を透過
させる軸と垂直方向の透過率の変動幅が部材の厚さ1c
m当たり±1.5%以内であった。また、157.6n
mの波長でその部材中の光を透過させる軸と垂直方向の
透過率の変動幅が部材の厚さ1/4インチ当たり±2.
0%以内であった。
【0093】さらに、その合成石英ガラスは、その部材
中に含有される金属不純物量が多く総量で100ppb
であった。
【0094】さらにまた、その合成石英ガラスは、その
部材中に含有されるフッ素濃度のふれ幅が1.5wt.
%以下であった。
【0095】他の値は実施例1と同様である。
【0096】[比較例2]これは、本発明のように灰分
を10ppm以下とせず、15ppmとし、グラファイ
ト製成形容器10の表面にβーSiCをコーティングせ
ず、又、グラファイト製成形容器10の開孔率を10%
より大きい15%とし、処理温度を1775℃、保持時
間を60分とした。それ以外は、実施例1と同様に押圧
成形を施して合成石英ガラスを得た。
【0097】このようにして成形された合成石英ガラス
は、250nm以下の波長領域でその部材中の光を透過
させる軸と垂直方向の透過率の変動幅が部材の厚さ1c
m当たり±1.5%以内であった。また、157.6n
mの波長でその部材中の光を透過させる軸と垂直方向の
透過率の変動幅が部材の厚さ1/4インチ当たり±2.
0%以内であった。
【0098】さらに、フッ素濃度が2.0wt.%、そ
の部材中に含有される金属不純物量が多く総量で100
ppbであった。
【0099】さらにまた、その合成石英ガラスは、その
部材中に含有されるフッ素濃度のふれ幅が1.0wt.
%以下であった。
【0100】他の値は実施例1と同様である。
【0101】<評価>ここで、実施例1〜10、比較例
1,2を比較する。
【0102】まず、灰分が10ppmより大きく、βー
SiCがコーティングされていない比較例1,2は金属
不純物量が実施例1〜10より多くなっていることが分
かる。従って、実施例1〜10では、灰分10ppm以
下になるまで純化処理を行ったものを使用することで、
合成石英ガラス内部への金属不純物の拡散を抑えること
ができるようになる。
【0103】なお、グラファイト製成形容器10の表面
にβーSiC皮膜をコーティングすることは、グラファ
イト製成形容器10からの不純物の拡散をより抑えるこ
とが可能になるため望ましいが、実施例5,7のように
灰分が10ppm以下であれば必ずしもβーSiCをコ
ーティングしなくても金属不純物量を少なくできること
が分かる。
【0104】また、比較例1,2は、実施例1〜8より
透過率の変動幅及びフッ素濃度の振れ幅が大きいことが
分かる。
【0105】なお、上記実施の形態では、「押圧部材」
として重石40を設けたが、これに限らず、合成石英バ
ルクを押圧して所定の形状に変形させるものであれば、
他のものでも良く、例えば、HIP(高温等方圧プレ
ス)、機械式プレスを用いてもよい。
【0106】
【発明の効果】以上説明してきたように、各請求項に記
載の発明によれば、グラファイト製成形容器及びフェル
ト材には、純化処理して、灰分が低くなったものを用い
ることにより、合成石英ガラス内部への金属不純物の拡
散を抑えることができ、面内透過率の均一性を確保する
ことができると共に、結晶化を抑制でき、処理後の合成
石英ガラスの表面への凹凸の発生、失透の発生及び亀裂
の発生を抑制することができる。
【0107】請求項2に記載の発明によれば、グラファ
イト製成形容器及びフェルト材には、純化処理して灰分
が10ppm以下のものを用いることにより、より効果
的に上記効果を得ることができる。
【0108】請求項3に記載の発明によれば、グラファ
イト製成形容器の表面にβ−SiCをコーティングする
ことにより、グラファイト製成形容器からの不純物の拡
散を抑えることができ、上記効果を得ることができる。
また、グラファイト製成形容器の表面にβ−SiCをコ
ーティングすることにより、例えば合成石英ガラス内部
から放出されたフッ素がグラファイト製成形容器の微少
な孔から拡散してしまうのを抑えることができ、その結
果、合成石英ガラス内部での濃度分布が付きづらくな
り、光学的特性の悪化も抑制できる。
【0109】請求項4に記載の発明によれば、グラファ
イト製成形容器の開孔率を10%以下とすることによ
り、グラファイト製成形容器の微少な孔から拡散するの
を抑えることができる。
【0110】請求項5に記載の発明によれば、成形時の
雰囲気を大気圧以上の不活性ガス雰囲気中とすることに
より、合成石英バルクとグラファイト製成形容器とが反
応して炭化ケイ素が形成される不具合をより効果的に防
止できる。
【0111】請求項6に記載の発明によれば、成形時の
処理温度が1750℃〜1850℃で、処理時間が10
分〜60分とすることにより、合成石英バルクとグラフ
ァイト製成形容器とが反応してしまう不具合の発生をよ
り効果的に防止できる。
【0112】従って、四塩化ケイ素、シラン、有機ケイ
素等のケイ素化合物を原料として製造される合成石英ガ
ラスや、更にはGe、Ti、B、F、Al等の屈折率を
変化させる成分を添加した合成石英ガラスを押圧成形し
て、例えばレチクル基板や結像光学系等の光学部材に適
した光学特性を有する合成石英ガラスを歩留まりよく製
造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示す合成石英ガラス成
形装置の模式断面図である。
【図2】同実施の形態を示す合成石英ガラス成形装置を
使用して合成石英バルクを押圧成形した状態の模式断面
図である。
【符号の説明】
10 グラファイト製成形容器 20 電気炉 30A,30B,30C フェルト材 40 重石(押圧部材) 50 合成石英バルク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 1/14 G03F 1/14 B 7/20 502 7/20 502 H01L 21/027 H01L 21/30 502P 515D (72)発明者 神保 宏樹 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内 Fターム(参考) 2H095 BA01 BA07 BC27 2H097 BA10 CA12 CA13 EA01 JA02 4G014 AH08 AH23 5F046 CB12 CB17

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】グラファイト製成形容器内に合成石英バル
    クを収容し、高温条件のもとで、押圧部材により前記合
    成石英バルクを押圧して、前記グラファイト製成形容器
    と前記押圧部材とで形成される空間形状に適合した形状
    の合成石英ガラスを成形する方法において、 前記合成石英バルクに面している前記グラファイト製成
    形容器の内面及び前記押圧部材の前記合成石英バルクに
    相対している面に、応力を緩和しかつ前記合成石英バル
    クの変質を抑えるためのカーボン繊維からなる板状のフ
    ェルト材を配置し、 前記グラファイト製成形容器及び前記フェルト材には、
    純化処理したものを用いたことを特徴とする合成石英ガ
    ラスの成形方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の合成石英ガラスの成形方法
    において、前記グラファイト製成形容器及び前記フェル
    ト材には、灰分が10ppm以下のものを用いたことを
    特徴とする合成石英ガラスの成形方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の合成石英ガラスの
    成形方法において、前記グラファイト製成形容器の表面
    にβ−SiCをコーティングすることを特徴とする合成
    石英ガラス成形方法。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3の何れか一つに記載の合成
    石英ガラスの成形方法において、前記グラファイト製成
    形容器の開孔率が10%以下であることを特徴とする合
    成石英ガラスの成形方法。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4の何れか一つに記載の合成
    石英ガラスの成形方法において、成形時の雰囲気が大気
    圧以上の不活性ガス雰囲気中であることを特徴とする合
    成石英ガラスの成形方法。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5の何れか一つに記載の合成
    石英ガラスの成形法において、成形時の処理温度が17
    50℃〜1850℃で、処理時間が10分〜60分であ
    ることを特徴とする合成石英ガラスの成形方法。
  7. 【請求項7】請求項1乃至6の何れか一つに記載の合成
    石英ガラスの成形方法により得られた合成石英ガラスで
    あって、250nm以下の波長領域でその部材中の光を
    透過させる軸と垂直方向の透過率の変動幅が部材の厚さ
    1cm当たり±1%以内で、紫外光〜真空紫外光露光装
    置用であることを特徴とする合成石英ガラス。
  8. 【請求項8】請求項1乃至7の何れか一つに記載の合成
    石英ガラスの成形方法により得られた合成石英ガラスで
    あって、157.6nmの波長でその部材中の光を透過
    させる軸と垂直方向の透過率の変動幅が部材の厚さ1/
    4インチ当たり±0.5%以内で、真空紫外光露光装置
    用であることを特徴とする合成石英ガラス。
  9. 【請求項9】請求項8に記載の合成石英ガラスにおい
    て、その部材中にフッ素が含有され、かつOH基が1p
    pm以下で、真空紫外光露光装置用であることを特徴と
    する合成石英ガラス。
  10. 【請求項10】請求項7乃至9の何れか一つに記載の合
    成石英ガラスにおいて、その部材中に含有される金属不
    純物量が総量で50ppb以下で、紫外光〜真空紫外光
    露光装置用であることを特徴とする合成石英ガラス。
  11. 【請求項11】請求項8乃至10の何れか一つに記載の
    合成石英ガラスにおいて、その部材中に含有されるフッ
    素濃度のふれ幅が0.5wt.%以下で、紫外光〜真空
    紫外光露光装置用であることを特徴とする合成石英ガラ
    ス。
  12. 【請求項12】請求項7乃至11の何れか一つに記載の
    合成石英ガラスが、露光装置用レンズ部材あるいはフォ
    トマスク部材で、紫外光〜真空紫外光露光装置用である
    ことを特徴とする合成石英ガラス。
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