JP2002051755A - おから飲料及び該飲料の製造方法 - Google Patents

おから飲料及び該飲料の製造方法

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JP2002051755A
JP2002051755A JP2001162332A JP2001162332A JP2002051755A JP 2002051755 A JP2002051755 A JP 2002051755A JP 2001162332 A JP2001162332 A JP 2001162332A JP 2001162332 A JP2001162332 A JP 2001162332A JP 2002051755 A JP2002051755 A JP 2002051755A
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Masaki Sakakibara
正樹 榊原
Akira Kojima
昭 小島
Masakazu Hisatomi
正教 久富
Kichinosuke Cho
吉之助 長
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 おからの有する栄養成分、食物
繊維を損なうことなく、おから特有のざらつき感などの
食感、及びエグ味等の食味を改善した飲料を提供するこ
と。また飲料中で原料となるおからを分散安定化し、見
た目にも美しいおから飲料を提供すること。さらに、そ
れらに加え保存時の食味及び色調の劣化を抑制したおか
ら飲料を提供すること。 【解決手段】 機械的に切断されたおから繊維、
該おから繊維からなるマトリックス中の繊維間物質の水
可溶性多糖類、増粘剤及び水を含有するおから飲料が、
おから独特のエグ味等の食味を改善し、優れた分散安定
性を示しおから特有のざらつき感等の食感を改善するだ
けでなく、更に沈殿物を抑えて見た目にも美しい飲料を
提供することができる。さらに、おから飲料に食味劣化
防止剤を添加することにより、エグ味の増加を伴う食味
の劣化を抑え、保存に適したおから飲料を提供すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、おからを利用した
飲料及び乾燥粉末飲料及び分散安定性に優れるおから飲
料の製造方法に関する。
【0001】
【従来の技術】おからは、豆腐、豆乳等の大豆加工食品
を生産する時に副産物として残るが、総菜等の食品に一
部利用されるのみで、飼料として利用されるのに留ま
り、それ以外の大部分は産業廃棄物として処理されてい
る。
【0002】おからは、固形分量当たり蛋白質25%、
脂質15%、食物繊維50%を含有し、栄養性の面で優
れているばかりでなく、体調調節機能のある食物繊維、
特に水不溶性食物繊維を豊富に含有しているのが特徴で
ある。
【0003】食物繊維は、水に対する溶解性によって、
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維とに大別され、両者
は、消化管に対する作用等の生理作用が顕著に異なり、
例えば水溶性食物繊維が腸内細菌叢改善作用を有するの
に対し、不溶性食物繊維は便の保水性向上等の作用を有
することが知られており、両者をバランス良く摂取する
ことが必要であると言われている(日本の健康機能性食
品 トクホ「特定保健用食品」、ブックマン社、98〜
113ページ)。
【0004】食物繊維の飲料への応用は、水溶性食物繊
維が主に難消化性デキストリン、ポリデキストロースに
よって提供されている。しかしながら、水不溶性食物繊
維は水中では沈殿物となるため、見た目が悪くなるばか
りでなく、試飲すると食感が悪くなる為、飲料への応用
は難しかった。
【0005】近年日本では欧米型の肉食中心の食生活が
進み、それ伴い大腸ガンが増加する傾向にあるが、水不
溶性食物繊維は消化管内腔を通過する際に発ガン物質を
吸着すると考えられており、このため、該食物繊維を摂
取することが大切であり、該食物繊維を多く含む従来日
本型の食生活が見直されている。
【0006】水不溶性食物繊維を豊富に含む食物として
おからが挙げられるが、おからは80重量部と高い含水
率にもかかわらず、該食物繊維が速やかに沈殿しざらつ
き感等の食感を呈するのみならず、独特の大豆臭さやエ
グ味等の食味を呈する為、飲料への利用は限られてい
た。
【0007】これらを改善するため、種々の方法により
おからを処理し、飲料への応用が試みられてきた。
【0008】例えば、おからを多糖類分解酵素で処理し
た後、ホモゲナイザー処理するおから飲料の製造法が提
案されている(特開昭63−169973号公報)。し
かしこの方法は、多糖類分解酵素処理を行ってセルロー
スを切断し、さらにホモゲナイザー処理を行って食物繊
維を細かく切断しており、食物繊維量及び水可溶性多糖
類が減少するだけでなく、45〜55℃といった高温下
で数時間酵素処理するため、おから自体のエグ味が増加
し飲料の食味の改善が不十分となる。
【0009】また、おからからの乳酸飲料の製造法とし
て、おからに水を加えて攪拌した後、ろ過または遠心分
離して得られる抽出液を利用する方法(特公平3−37
904号公報)があるが、この方法は固形分を除去し上
澄液を利用しており水不溶性食物繊維が失われる。
【0010】更にまた、乾燥おからの粉末を主成分と
し、おからを水に溶けやすくする物質としてグルファイ
ナルの粉末を利用した粉末飲料及び錠剤飲料(特開平9
−51776号公報)があるが、おからの食物繊維の安
定性が充分ではなく沈殿物が生じ、ぼそつき感やざらつ
き感等の食感を呈する。さらに、香料などを使用するこ
とによりおから独特の大豆の臭いやエグ味などの食味を
改善する方法も挙げられているが、原料であるおから自
身の食味を改善するものではない。
【0011】一方、おからの優れた栄養面と豊富な食物
繊維を残しつつ、ざらついた食感、エグ味等の食味を改
善するため、おからに水を加え、機械的におからを切断
し、繊維間物質の放出を伴う解粒処理をすることにより
水可溶性多糖類を水和させることを特徴とする、切断さ
れたおから食物繊維及びおから食物繊維から放出された
該水可溶性多糖類とを含む高粘性液体、いわゆる、おか
らペーストと呼ばれる食感、食味の改善されたおから加
工品が報告されている(特公平8−4471号公報)。
【0012】しかし、このおからペーストを更に水と撹
拌混合した場合、その直後は均一に分散、安定し、食感
及び食味が改善されるものの、持続的な分散性、安定性
の維持が困難なため、速やかにおからペーストが沈殿し
食感のみならず見た目にも悪かった。このため、飲料中
のおからペーストの分散安定化状態の持続的な維持が望
まれていた。
【0013】一般的に、分散性、安定性を向上させる為
には、分散剤及び/又は安定化剤が使用される。例え
ば、沈殿性の食品素材、例えば果肉いり飲料等の食感改
善、分散性、安定性向上にカラギーナン、アルギン酸、
寒天、ペクチン、グアガム、ローカストビーンガム、タ
マリンドガム、サイリウムシードガム、アラビアガム、
キサンタンガム、ジュランガム、ゼラチン、グルコマン
ナン、カードラン、プルラン、結晶セルロース、大豆多
糖類等の増粘剤が用いられる(「食品と開発」、31
巻、7号、32〜35頁)。
【0014】しかしながら、おからに、例えばペクチン
を使用した(特開昭63−169973号公報)として
も持続的な分散性、安定性を向上させることはできず、
一般的に用いられる分散剤及び/又は安定化剤、増粘剤
だからといって必ずしも全て使用可能ではなかった。
【0015】さらに、缶飲料やカート缶飲料等に製缶し
長期保存に耐えうる飲料とするには、賞味期間中は時間
経過に伴う食味の劣化を抑える必要がある。しかし、お
からは通常製造後すみやかに腐敗し酸味を伴った腐敗臭
を呈することが知られており、おからを原料とした飲料
について長期保存の際の食味の劣化を抑制又は防止する
方法はこれまで全く知られていなかった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、おからの有する栄養成分、食物繊維を損な
うことなく、おから特有のざらつき感などの食感、及び
エグ味等の食味を改善した飲料を提供することにある。
また飲料中で原料となるおからを分散安定化し、見た目
にも美しいおから飲料を提供することにある。さらに、
それらに加え保存時の食味の劣化を抑制したおから飲料
を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
関し鋭意研究した結果、原料におからペーストといわれ
る、機械的に切断されたおから繊維及び該おから繊維か
らなるマトリックス中の繊維間物質の水可溶性多糖類と
を含む高粘性液体を用い、さらに特定の増粘剤を添加、
均一に撹拌混合することによって、機械的に切断された
おから繊維、該おから繊維からなるマトリックス中の繊
維間物質の水可溶性多糖類を飲料中で分散安定化させ、
おから特有のざらつき感等の食感を改善し、おから独特
のエグ味等の食味を改善し、さらに見た目にも好ましい
飲料を見いだし本発明を完成するに至った。
【0018】即ち、本発明は、機械的に切断されたおか
ら繊維、該おから繊維からなるマトリックス中の繊維間
物質の水可溶性多糖類、及び、寒天、キサンタンガム、
ジェランガム、グルコマンナン、アルギン酸、グアガ
ム、タラガム、カラギーナンκ、カラギーナンλ、大豆
多糖類及びカードランからなる群から選ばれる1種以上
の増粘剤を含有するおから飲料が、おから独特のエグ味
等の食味を改善し、優れた分散安定性を示し、おから特
有のざらつき感等の食感を改善し、見た目にも美しい飲
料を提供するものである。
【0019】また、本発明のおから飲料は、保存時に腐
敗していないにもかかわらず、飲料のエグ味が増し食味
を損ね、また茶褐色に変色し色調を損ねるといった、食
味及び色調劣化が起こり試飲が困難な場合があった。し
かし、既に述べたようにおからは製造した後すみやかに
腐敗して酸味を伴った腐敗臭を呈するため長期間保存さ
れることがなく、なぜ時間経過とともにおから飲料のエ
グ味が増し、かつ茶褐色に変色するのかこれまで全く知
られていなかった。また、色調の劣化はさほど気にはな
らないものの、特に食味の劣化は非常に敏感に感じられ
るため、僅かなエグ味の増加でも違和感や不快感を与え
るので、保存に適したおから飲料を製造する為には飲料
の呈味の劣化防止が特に重要な問題であることを明らか
にした。
【0020】そこで本発明者らは鋭意研究した結果、お
から飲料に食味劣化を防止する剤を加えることにより、
おから独特のエグ味の増加を抑え食味の劣化を防止し、
さらに色調劣化も防止する、保存に適したおから飲料を
見出し本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は
(1)機械的に切断されたおから繊維と、(2)おから繊維か
らなるマトリックス中の繊維間物質の水可溶性多糖類
と、(3)寒天、キサンタンガム、ジェランガム、グルコ
マンナン、アルギン酸、グアガム、タラガム、カラギー
ナンκ、カラギーナンλ、大豆多糖類及びカードランか
らなる群から選ばれる1種以上の増粘剤と、(4)水と、
(5)味劣化防止剤を含有するおから飲料を提供するもの
である。ただし、本発明において、「味劣化防止剤」と
は、本発明のおから飲料に添加することにより、保存時
のおから飲料の食味を損ねていたエグ味の増加による食
味劣化を防止する作用を有する剤を意味する。
【0021】さらに本発明は、(1)おからに水を加え
て加水処理し、繊維間物質の放出を伴う解粒処理をする
ことにより、水可溶性多糖類を水和させ、さらに加水せ
ず又は加水処理し、寒天、キサンタンガム、ジェランガ
ム、グルコマンナン、アルギン酸、グアガム、タラガ
ム、カラギーナンκ、カラギーナンλ、大豆多糖類及び
カードランからなる群から選ばれる1種以上の増粘剤を
添加して均一に撹拌混合することを特徴とする、分散安
定性に優れるおから飲料の製造方法と、
【0022】(2) おからに、加水せずにまたは水を
加えて加水処理して、繊維間物質の放出を伴う解粒処理
を行い、しかる後、水を加えて加水処理後撹拌し、さら
に加水せず又は加水処理し、寒天、キサンタンガム、ジ
ェランガム、グルコマンナン、アルギン酸、グアガム、
タラガム、カラギーナンκ、カラギーナンλ、大豆多糖
類及びカードランからなる群から選ばれる1種以上の増
粘剤を添加して均一に撹拌混合することを特徴とする分
散安定性に優れるおから飲料の製造方法を提供するもの
である。
【0023】
【発明の実施の形態】機械的に切断されたおから繊維な
らびに該おから繊維からなるマトリックス中の繊維間物
質の水可溶性多糖類及び増粘剤を含有するおから飲料に
ついて説明する。
【0024】本発明に用いられる、機械的に切断された
おから繊維および該おから繊維からなるマトリックス中
の繊維間物質である水可溶性多糖類とは、特公平8−4
471号公報に記載された、切断されたおから繊維と、
該おから繊維からなるマトリックス中の繊維間物質であ
り、該おから繊維から放出された水可溶性多糖類とを含
む高粘性液体からなるおから加工品(以下、「本発明の
おから加工品」ということがある)に由来するものであ
る。
【0025】本発明のおから加工品は、おから粒子に含
まれる繊維間物質の放出を目的として、粒子を磨砕、切
断、破砕等の単独あるいは複合された手段により、おか
ら粒子の形状を残存させないように解粒させ、マトリッ
クス状を成していた繊維をときほぐし、マトリックス中
の繊維間物質の水可溶性多糖類を水中に放出させて、こ
れをおから中の自由水と結合させ水和させて得られる高
粘性液体であり、なめらかな食感を呈する。
【0026】該おから加工品は加工前に比して含水率が
大きくなっており、この水和処理を図った結果粘性が向
上し、またその性状は流動性を有する。従って、当該お
から加工品は粒子を解きほぐすことによりその目的が達
成され、必ずしも粒子を小さく(約100ミクロン以
下)する必要はない。解粒処理後の繊維長は特に限定さ
れるものではないが100〜500ミクロンの繊維性物
質が残存していることが好ましい。本発明の原料として
用いられる該おから加工品の粘度は通常、7〜150×
103mPa・s(25℃)程度である。
【0027】本発明において分散安定化とは、飲料中に
おいて機械的に切断されたおから繊維、該おから繊維か
らなるマトリックス中の繊維間物質の水可溶性多糖類が
沈殿せず安定して均一に分散している状態を意味する。
【0028】本発明のおから飲料は、通常の飲料と異な
り、果肉入り飲料等と同様に試飲前に振ってから試飲す
る場合がある。この場合、飲料容器を振った後は分散安
定化している必要がある。しかし、一般的に沈殿物を生
ずる様な果肉入り飲料等は、容器を振り内容物を均一に
分散させた後、1時間以内に試飲させる場合がほとんど
であることから、本発明において分散安定化状態は少な
くとも1時間持続させる必要がある。また、殺菌、充填
等の生産工程中に沈殿を生じることは好ましくなく、上
述の分散安定化状態の持続時間は、好ましくは1日以上
であり、製造から販売までの期間を考慮すると、さらに
好ましくは10日以上必要である。
【0029】飲料中でおからペーストを分散安定化でき
る分散剤又は安定化剤としては、増粘効果、乳化安定効
果、ゲル形成能を有する水溶性高分子の増粘剤であり、
さらに具体的には、寒天、キサンタンガム、ジェランガ
ム、グルコマンナン、アルギン酸、グアガム、タラガ
ム、カラギーナンκ、大豆多糖類、カラギーナンλ及び
カードランからなる群から選ばれる1種以上のから増粘
剤が挙げられる。
【0030】さらに食味、食感の改善程度から寒天、キ
サンタンガム、ジェランガム、グルコマンナン、アルギ
ン酸、グアガムまたは大豆多糖類を用いることが望まし
く、さらに寒天が好ましく挙げられる。これらの増粘剤
は、単独でも使用できるが数種の増粘剤を組み合わせて
も利用可能である。
【0031】本発明のおから飲料は、上述の増粘剤を用
いることにより飲料中の、機械的に切断されたおから繊
維、および該おから繊維からなるマトリックス中の繊維
間物質の水可溶性多糖類を、1時間以上、好ましくは1
日以上、更に好ましくは10日以上分散安定化させるこ
とができる。
【0032】増粘剤の添加量は、粉末状又は水溶液状で
0.01〜1.5重量部、好ましくは0.02〜1.0
重量部である。増粘剤の最適な濃度は、その種類によっ
て異なるが、おからの分散性、及び安定性を付与する濃
度であればよい。例えば寒天の場合は、0.01〜1.
5重量部、好ましくは0.02〜0.8重量部、さらに
好ましくは0.03〜0.3重量部が望ましい。
【0033】またキサンタンガム、ジェランガム、グル
コマンナン、アルギン酸、グアガムまたは大豆多糖類の
場合は、0.01〜1.5重量部、好ましくは0.05
〜1.0重量部、さらには0.1〜0.8重量部が望ま
しい。
【0034】またタラガム、カラギーナンκ、カラギー
ナンλ、またはカードランの場合は、0.01〜1.5
重量部、好ましくは0.1〜1.0重量部、さらには
0.5〜0.8重量部が望ましい。
【0035】また、本発明のおから飲料は、1.0mP
a・s以上であれば良く、上限は特に限定されないが、
飲料として用いられることから1.0〜1200mPa
・sが好ましく、更に1.2〜800mPa・sが好ま
しい。1.0mPa・sより大きいと分散性及び安定性
の維持が容易になり、また1200mPa・s以下であ
れば試飲が容易となり好ましい。一方、増粘剤の種類に
より、また、その添加濃度によりゲルを形成することが
あるが、本願発明のおから飲料はゲル化していても良
い。
【0036】また、本発明のおから飲料に、味劣化防止
剤を添加することにより、保存時のエグ味の増加を伴う
食味の劣化を防止し、保存に適した飲料とすることがで
きる。例えばおから飲料をビン、缶、紙パック、カート
缶等、密閉性の高い容器に充填し、25℃、10日〜1
年程度保存(貯蔵)した場合、これまでエグ味が増加し
て食味を損ね試飲を困難にしていたが、該剤の添加によ
りエグ味の増加を伴う食味の劣化を防止し試飲可能な期
間をさらに延長することができる。また、該剤は、保存
時におから飲料が茶褐色に変色する色調劣化を防止する
こともできる。
【0037】該味劣化防止剤としては、ビタミンC、ビ
タミンE、茶抽出物、ヒマワリ種子抽出物、又はブドウ
種子抽出物が挙げられ、特にビタミンEが好ましく挙げ
られる。
【0038】ただし、本発明でいう茶抽出物、ヒマワリ
種子抽出物、及びブドウ種子抽出物はそれぞれ、既存添
加物名簿収載品目リスト注解書、日本食品添加物協会
(1999年)に記載された、ツバキ科茶葉を水又は含
水アルコール抽出して得られるカテキン類を主成分とす
る茶(チャ)抽出物(355頁)、キク科ヒマワリ種子
を水又は含水アルコール抽出して得られるクロロゲン酸
を主成分とするヒマワリ種子抽出物(432頁)、及び
ブドウ科ブドウ種子を水又はアルコール抽出して得られ
るプロアントシアニジンを主成分とするブドウ種子抽出
物(452頁)をいう。
【0039】該ビタミンEは脂溶性であるため、本発明
のおから飲料に添加する場合は、水溶性製剤に製剤化さ
れたものを用いることが好ましい。該ビタミンEを含む
水溶性製剤としては、ビタミンEに大豆レシチン、卵黄
レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エ
ステル、ソルビタン脂肪酸エステル、キサンタンガム、
及びアラビアガム等からなる群から選ばれる1種以上の
乳化剤と、シクロデキストリン又はデキストリン等の製
造用剤を添加し、ミキサー等で乳化、均一化させて得ら
れるもの等が挙げられる。
【0040】本発明においては、ビタミンEにグリセリ
ン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル又はアラ
ビアガム等の乳化能を有する増粘剤を用いて乳化され、
さらにデキストリン等で均一分散された水溶性ビタミン
E製剤が好ましく挙げられる。このようなビタミンEの
水溶性製剤としては、イーミックスP−20(商標名、
エーザイ株式会社製)、理研ドライEミックス(理研ビ
タミン株式会社製)、トコフェロール20P(日清製油
社製)等が挙げられる。
【0041】味劣化防止剤の添加量は、食味の変化を低
減する濃度であれば特に制限されないが、好ましくは粉
末状又は水溶液状で飲料100重量部に対して0.00
01〜1.0重量部、より好ましくは0.001〜0.
1重量部である。該剤の種類によって最適な添加量は異
なるが、特に、ビタミンEの場合は、0.0001〜
1.0重量部、好ましくは0.001〜0.5重量部、
さらに好ましくは0.01〜0.1重量部である。
【0042】次に、本発明のおから飲料の製造方法であ
る、
【0043】(1)おからに水を加えて加水処理し、繊
維間物質の放出を伴う解粒処理をすることにより、水可
溶性多糖類を水和させ、さらに加水せず又は加水処理
し、寒天、キサンタンガム、ジェランガム、グルコマン
ナン、アルギン酸、グアガム、タラガム、カラギーナン
κ、カラギーナンλ、大豆多糖類及びカードランからな
る群から選ばれる1種以上の増粘剤を添加して均一に撹
拌混合することを特徴とするおから飲料の製造方法と、
【0044】(2)おからに、加水せずにまたは水を加
えて加水処理して、繊維間物質の放出を伴う解粒処理を
行い、しかる後、水を加えて加水処理後撹拌し、さらに
加水せず又は加水処理し、寒天、キサンタンガム、ジェ
ランガム、グルコマンナン、アルギン酸、グアガム、タ
ラガム、カラギーナンκ、カラギーナンλ、大豆多糖類
及びカードランからなる群から選ばれる1種以上の増粘
剤を添加して均一に撹拌混合することを特徴とするおか
ら飲料の製造方法について説明する。
【0045】さらに詳しくは、原料となる本発明のおか
ら加工品を製造する工程、必要に応じ水に加える工程
と、さらに増粘剤を添加し均一に撹拌混合する工程と、
加熱処理する工程、及び冷却処理する工程、さらに必要
に応じて乾燥する工程からなる。
【0046】初めに原料となる本発明のおから加工品を
製造する工程について説明する。本発明によれば、上記
のおから加工品は下記の方法(A)および(B)によっ
て製造される。
【0047】方法(A);おからを、水を加えて加水処
理し、繊維間物質の放出を伴う解粒処理をすることによ
り、水可溶性多糖類を水和させ、高粘性液体からなるお
から加工品を製造することができる。
【0048】方法(B);おからを、加水せずにまたは
水を加えて加水処理し、繊維間物質の放出を伴う解粒処
理を行い、しかるのちに水を加えて加水後、撹拌して水
可溶性多糖類を水和させ、高粘性液体からなるおから加
工品を製造することができる。
【0049】先ず方法(A)について説明する。
【0050】おからは豆腐製造過程において、豆乳収率
を向上させるために可及的に搾乳率を高くしてあるの
で、おから中の水分含有率は高い(75〜85%)にも
拘らず、おからに付着している自由水は少なく非常にぱ
さついたものとなっている。
【0051】そこで方法(A)においては、おからを、
例えばおから重量の30〜400%の水により加水処理
し自由水を供給して、解粒処理する。この解粒処理は、
まず、おからを微細化処理し、その後解粒処理すること
が望ましい。ここに「微細化処理」とは、おから粒子を
切断(ここに切断とは、狭義の切断以外に破砕などを含
む広義の概念である)などにより形状を小さくすること
を意味する。また次に「解粒処理」とは、おからを摩砕
(ここに摩砕とは、狭義な摩砕以外に擂潰などを含む広
義の概念である)などにより、おから繊維間の水可溶性
多糖類が、水不溶性繊維のマトリックスから放出される
よう形状を破壊することを意味する。すなわち、この解
粒処理によりおから繊維間物質の水可溶性多糖類が放出
され、これが加水された自由水と結合(水和)して、高
粘性液体からなる本発明の高機能おから加工品が得られ
る。次に方法(B)について説明するが、この方法
(B)は、解粒処理後に実質量の水を加えて加水処理し
自由水を供給する点でのみ方法(A)と異なる。すなわ
ち方法(B)は、解粒処理前には、加水せずまたは例え
ばおから重量の30%未満の水を加え、解粒処理後に、
例えばおから重量の30〜400%の水を加えるもので
あるが、方法(B)においても、解粒処理によりおから
繊維から放出された水可溶性多糖類が加水された自由水
と結合し、高粘性液体からなる本発明のおから加工品が
得られる。
【0052】また、本発明の高機能おから加工品を得る
目的で、豆乳の搾乳率を低くした含水率の高いおからを
用い、これを解粒処理し、水可溶性多糖類を水和させる
ことによっても同様の結果が得られる。
【0053】次に本発明のおから加工品を水に加える工
程は、48.50〜99.89重量部好ましくは78.
80〜99.48重量部、更に好ましくは89.20〜
98.97重量部の水に、ペースト状の機械的に切断さ
れたおから繊維および該おから繊維からなるマトリック
ス中の繊維間物質の水可溶性多糖類(固形分量10重量
部)0.1〜50重量部好ましくは0.5〜20重量部
を含むスラリー、更に好ましくは1.0〜10重量部を
含むスラリーに調整する。本発明のおから加工品を製造
する工程で、すでにこの範囲であれば、本工程において
必ずしも加水処理を行う必要はない。
【0054】増粘剤を添加し均一に撹拌混合する工程と
して、増粘剤は、粉末又は溶液状で使用する。水に溶解
しないか、又は水中で玉を作り易い増粘剤は、あらかじ
め高速ホモゲナイザー等を使用して水に分散又は溶解さ
せた方が好ましい。
【0055】増粘剤は粉末状又は水溶液状で0.01〜
1.5重量部、好ましくは0.02〜1.0重量部にな
るように加える。増粘剤の最適な濃度は、その種類によ
って異なり、例えば寒天の場合は、0.01〜1.5重
量部、好ましくは0.02〜0.8重量部、さらに好ま
しくは0.03〜0.3重量部が望ましい。
【0056】またキサンタンガム、ジェランガム、グル
コマンナン、アルギン酸、及びグアガムの場合は、0.
01〜1.5重量部、好ましくは0.05〜1.0重量
部、さらには0.1〜0.8重量部が望ましい。またタ
ラガム、カラギーナンκ、カラギーナンλ、及びカード
ランの場合は、0.01〜1.5重量部、好ましくは
0.1〜1.2重量部、さらには0.5〜0.8重量部
が望ましい。
【0057】増粘剤を添加する際の水のpHは2〜8、
好ましくは3〜5に、例えば乳酸、クエン酸等を使用し
て調整する。またpH4未満で増粘剤を使用する時は、
上記増粘剤に加え、大豆多糖類が好ましく用いられる。
大豆多糖類の場合は、0.01〜1.5重量部、好まし
くは0.05〜1.0重量部、さらには0.1〜0.8
重量部が望ましい。
【0058】原料となる本発明のおから加工品と増粘剤
を水に添加し均一に撹拌混合する装置は、特に制限はな
いが食品に用いるホモゲナイザーであればいずれでもよ
く、例えば混合攪拌機、高速回転ミキサー、カッターミ
キサー、高圧ホモゲナイザー等が挙げられるが、短時間
で混合・均質化を計るためには、高速攪拌の可能な高速
回転ミキサー、カッターミキサー、高圧ホモゲナイザー
が好ましく、特に一定流量で多量かつ連続的に飲料を製
造する際には50〜1000kg/cmといった高圧
で処理することが好ましく、例えば優れた均一撹拌が可
能な高圧ホモゲナイザーが好適に用いられる。
【0059】加熱処理工程は、機械的に切断されたおか
ら繊維および該おから繊維からなるマトリックス中の繊
維間物質の水可溶性多糖類および増粘剤を添加した水を
撹拌及び混合し、該混和物を加熱装置に導入し、80〜
140℃、1秒〜30分の範囲内で加熱処理を行えばよ
い。この工程は、加熱殺菌を行うと共に、増粘剤の溶解
性を向上させ、おからの不溶解分を乳化懸濁させて水中
での分散性を向上させる働きがある。
【0060】加熱処理の方法は、機械的に切断されたお
から繊維および該おから繊維からなるマトリックス中の
水可溶性多糖類のスラリーが少量の場合は、通常の加熱
装置で加熱処理すればよいが、多量に効率的に加熱処理
するには、連続的に行う必要があることから、連続加熱
処理装置が好ましく用いられる。連続加熱装置は、上記
温度範囲で所定時間、連続的に加熱可能であり、熱交換
を均一且つ迅速に行う装置であれば公知慣用の何れでも
よい。このような連続加熱装置としてはプレート式連続
加熱装置、内部攪拌器を有するチューブ式加熱装置等が
挙げられるが、内部攪拌器を有するチューブ式加熱装置
が好ましく挙げられる。
【0061】内部攪拌器は、スタテックミキサーのよう
に邪魔板により混合する方式、又は2重管の内部攪拌チ
ューブを回転させて混合する方式があり、例えばスタテ
ックミキサーを用いたノリタケ株式会社ノリタケクッキ
ングシステム、内部攪拌チューブを用いた株式会社佐久
間製作所のSFC殺菌システム、岩井機械工業株式会社
のサーモシリンダー等がある。
【0062】冷却処理工程は、加熱処理した当該混合物
を冷却装置に導入し、4〜80℃、好ましくは4〜60
℃の範囲で冷却処理を行う。この工程では、飲料の分散
性を維持するために攪拌を十分に行いつつ冷却を行う。
冷却処理は、加熱処理と同様に効率的に行うには、連続
的に行う必要があることから、攪拌機能を備えた連続冷
却処理装置が好ましく用いられる。連続冷却装置は、上
記温度範囲で所定時間、連続的に冷却可能である装置で
あれば公知慣用のいずれでもよい。
【0063】加熱処理又は冷却処理した当該混合物は、
そのまま飲料として提供できるが、さらに必要に応じ乾
燥工程を加えることができ、乾燥粉末である粉末おから
飲料としても提供できる。
【0064】乾燥工程において、加熱乾燥を行う場合
は、加熱処理した溶液をそのまま乾燥機に導入する方が
乾燥効率上好ましいが、非加熱乾燥の場合は、冷却処理
を行った後の方が好ましい。該乾燥は水分量を4〜10
重量部になるように低減するものであり、水分量を低減
できる方法であれば公知慣用な何れの乾燥法でも良い。
特に好ましくは凍結乾燥法、噴霧乾燥法、円筒攪拌乾燥
機、ドラム乾燥法などが挙げられ、経済上、特にさらに
好ましくは加熱による噴霧乾燥法、乾燥円筒攪拌乾燥
法、ドラム乾燥法が挙げられる。
【0065】乾燥工程は、加熱温度が高いと乾燥効率も
向上するが、品質も劣化するため、品温が4〜90℃、
特に好ましくは20〜60℃となる範囲で行う。
【0066】本発明のおから飲料は、目的とする飲料の
種類により、適当な栄養素、例えば、糖類、脂質、タン
パク質、ビタミン類等の粉末や食品添加物、例えば、酸
化防止剤、漢方エキス、香料、調味料、菌類、色素等の
粉末も同時に添加、撹拌混合して用いることができる。
【0067】本発明によれば、原料に機械的に切断され
たおから繊維、該おから繊維からなるマトリックス中の
繊維間物質の水可溶性多糖類からなるペースト状のおか
ら加工品を用い、さらに特定の増粘剤を添加、撹拌混合
することによって、機械的に切断されたおから繊維、該
おから繊維からなるマトリックス中の繊維間物質の水可
溶性多糖類を飲料中で分散安定化させ、これによりおか
ら特有のざらつき感等の食感を改善し、おから独特のエ
グ味等の食味を改善し、さらに見た目にも好ましいおか
ら飲料を得ることができる。
【0068】
【実施例】次に本発明を実施例によって説明するが、本
発明は実施例に限定されるものではない。なお、各実施
例の評価は、原料となるおからの分散性(沈殿生成の有
無)を目視により観察し、下記基準に従って判定した。
【0069】◎:おからの分散性が非常に良好なもの ○:おからの分散性が良好なもの △:ゲル化するがおからの分散性が良好であるもの ×:おからが沈殿し分散性が悪いもの
【0070】更に、これらの飲料のおからに係る食感及
び食味を、10人のパネラーによる官能試験により判定
した(表1)。
【0071】食感又は食味が良い :+3 食感又は食味が少し良い:+2 食感又は食味は普通 :+1 食感又は食味が悪い :0 のスコアを用い、式1に従い数値化した。
【0072】(式1) 評価点=(3×N3+2×N2+1×N1+0×N0)
÷N (N:パネラー数、N3:+3と判定した人数、N2:
+2と判定した人数、N1:+1と判定した人数、N
0:0と判定した人数。)
【0073】(参考例1) ペースト状のおから加工品
の製造 大豆を精選、水洗し、水に浸漬して十分に吸水させた
後、吸水大豆に水を滴加しながら摩砕した。原料大豆1
kgに対して10kgの加水量になるように摩砕大豆に
水を加え、100℃で4分間加熱した。加熱した溶液を
濾布で、豆乳とおからに分離した。このおから(水分7
8重量部)40kgに水40kgを加えて混和した後、
マスコロイダー(増幸株式会社製)にて2回磨砕及び撹
拌混合処理した。平均繊維長230μmの切断繊維を含
有し、粘度が48×103mPa・s(25℃)である
ペースト状のおから加工品(1)(水分89重量部)を
得た。
【0074】(参考例2) おからの製造(2) 大豆を精選、水洗し、水に浸漬して十分に吸水させた
後、吸水大豆に水を滴加しながら摩砕した。原料大豆1
kgに対し10kgの加水量になるように摩砕大豆に水
を加え、100℃で4分間加熱した。加熱した溶液を濾
布で、豆乳とおからに分離した。以下、おから(2)と
称する。おから(2)は、木綿豆腐及び絹ごし豆腐を生
産するときに副産物として生じるおからと同様であっ
た。
【0075】(参考例3) おからの製造(3) 大豆を脱皮、粉砕した後、食品用ヘキサンを用いて還流
法で脱脂し、脱脂大豆を得た。脱脂大豆1kgに水9k
gを加え、室温で攪拌しながら1時間水抽出し、遠心分
離で水溶性物質(豆乳)と残査(おから3)に分離し
た。以下、おから(3)と称する。おから(3)は、大
豆油を生産するときの副産物として生じるおからと同様
であった。
【0076】(参考例4) おからの製造(3) 大豆を精選、水洗し、水に浸漬して十分に吸水させた
後、吸水大豆に水を滴加しながら磨砕する。原料大豆1
kgに対し10kgの加水量になるように摩砕大豆に水
を加え、100℃で4分間加熱した。加熱した溶液を濾
布で、豆乳とおからに分離した。このおからを加温2軸
ドラム圧扁ドライヤーにより140℃、30秒間乾燥
し、カッターミキサーで粉砕し、50〜100μm程度
に微粒子化した。得られたおからは、水分8重量部であ
った。以下、おから(4)と称する。
【0077】(実施例1)参考例1で製造したおからを
原料として各々乾燥重量で1gになるように水に添加、
撹拌混合して100gとし、得られた懸濁液に、増粘剤
として寒天0.1gを各々加え、該懸濁液をよく攪拌
し、90〜95℃、10分間、加熱後、攪拌しながら室
温にもどし、おからを含有する飲料(1)を得た。
【0078】1時間後、1日後、及び10日後の分散性
(沈殿生成の有無)を目視により観察し、上記基準に従
って判定した(表1)。更に、これらの飲料のおからに
係る食感及び食味を、10人のパネラーによる官能試験
により判定した(表1)。
【0079】(比較例1〜3)参考例2から4で製造し
たおからを原料として各々乾燥重量で1gになるように
水に添加、撹拌混合して100gとし、得られた懸濁液
に、増粘剤として寒天0.1gを各々加え、該懸濁液を
よく攪拌し、90〜95℃、10分間、加熱後、攪拌し
ながら室温にもどし、おからを含有する飲料((2)〜
(4))を得た。
【0080】1時間後、1日後、及び10日後の分散性
(沈殿生成の有無)を目視により観察し上記基準に沿っ
て判定した(表1)。更に、これらの飲料のおからに係
る食感及び食味を、10人のパネラーによる官能試験に
より判定した(表1)。
【0081】(比較例4)参考例2で製造したおからを
原料として、おからスラリー(固形分量15重量%)を
乳酸50重量%溶液でpH4.7に調整し、酵素ペクチ
ナーゼG(天野エンザイム株式会社製)をおから固形分
100gあたり0.2g添加し、45℃で2時間、酵素
処理を行った。酵素処理後のおからスラリーを圧力式ホ
モゲナイザー(圧力100kg/cm)で処理した。
ホモゲナイザー処理後のおからスラリーを使用して実施
例1と同様の方法で、おから飲料を作製し、分散性、食
味及び食感を比較した。
【0082】
【表1】
【0083】(実施例2)参考例1で製造されたペース
ト状のおから加工品(水分89重量部)を10g計り取
り、89mlの水に加え、クエン酸を用いてpHを4.
0に調整し、室温に維持した。続いて種々の増粘剤を固
形分量で1.0g(1.0重量%)加えてよく攪拌し、
90〜95℃、10分間加熱した後、室温にもどし、お
から飲料を得た。1時間、1日、及び10日静置した後
に、これらの飲料の食感、食味及び分散性を、実施例1
と同様の方法で判定した(表2)。
【0084】
【表2】
【0085】(比較例5)増粘剤としてアラビアガム、
ペクチンHM、ペクチンLM、結晶セルロース及びゼラチン
を各々1.0g(1.0重量%)加えた他は実施例1と
同様の方法で調製し、おから飲料を得た。実施例1と同
様の方法で判定を行った(表3)。
【0086】
【表3】
【0087】なお、増粘剤としてアラビアガム、ペクチ
ンHM、ペクチンLM、結晶セルロース、ゼラチンを
0.02及び0.1g添加した場合も同様の結果であっ
た。
【0088】(実施例5)増粘剤として寒天を0.0
2,0.04,0.1,1.0g加えた他は実施例1と
同様の方法によりおから飲料を得た。実施例1と同様の
方法で、1時間後、1日後、及び10日後の分散性(沈
殿生成の有無)を目視により観察し、また、食感及び食
味をパネラーによる官能試験で判定した(表4)。
【0089】
【表4】
【0090】(実施例6)増粘剤としてキサンタンガム
を0.02,0.04,0.1,1.0g加えた他は実
施例1と同様の方法によりおから飲料を得た。実施例1
と同様の方法で、1時間後、1日後、及び10日後の分
散性(沈殿生成の有無)を目視により観察し、また、食
感及び食味をパネラーによる官能試験で判定した(表
5)。
【0091】
【表5】
【0092】(実施例7)増粘剤としてタラガムを0.
02,0.04,0.1,1.0g加えた他は実施例1
と同様の方法によりおから飲料を得た。実施例1と同様
の方法で、1時間後、1日後、及び10日後の分散性
(沈殿生成の有無)を目視により観察し、また、食感及
び食味をパネラーによる官能試験で判定した(表6)。
【0093】
【表6】
【0094】(実施例8)増粘剤として寒天、キサンタ
ンガム、タラガムを所定量加えた他は実施例1と同様の
方法によりおから飲料を得た。
【0095】これらを円錐ロータ−平板方式E型粘度計
(東海産業株式会社製 RE80型ロータ1°34′×
R24)を用いて25℃で粘度測定した(表7)。
【0096】
【表7】
【0097】(比較例6)増粘剤としてペクチンHMを
所定量加えた他は実施例1と同様の方法によりおから飲
料を得た。実施例8と同様の方法により粘度測定を行っ
た(表8)。
【0098】
【表8】
【0099】上述の結果より、飲料中における機械的に
切断されたおから繊維、および該おから繊維からなるマ
トリックス中の繊維間物質の水可溶性多糖類の分散性及
び安定性並びに食感及び食味の改善は、単に増粘効果を
有する増粘剤であれば良いというものではなく、増粘剤
の種類及び濃度によるものであることが明らかとなっ
た。
【0100】(実施例9)参考例1で製造されたペース
ト状のおから加工品(水分89重量部)を20g計り取
り、180gの水を添加し均一に撹拌混合して200g
とし、得られた懸濁液に増粘剤としてキサンタンガム
0.2gを加え、さらに味劣化防止剤としてビタミンE
含有量20重量%の水溶性製剤(エーザイ株式会社製)
を、0.005、0.05、0.5、1.0g、それぞ
れ加え、該懸濁液を均一に撹拌混合した後、加熱殺菌
し、200ml容量用の缶に無菌充填し密閉した。この
飲料を、35℃で10日間、60日間、120日間保存
した後、食感及び食味をパネラーによる官能試験で判定
した(表9)。(一般に35℃での保存期間は、常温2
5℃での保存期間の3倍に相当し、35℃、120日間
保存は、常温1年間の保存に相当。)
【0101】
【表9】
【0102】ビタミンEを含む水溶性製剤の添加により
保存時のエグ味の増加に伴う食味劣化を防止することが
できた。さらに該剤の濃度が0.05重量%乃至0.5
重量%の条件が、食味の劣化を最も良く防止した。
【0103】(製造例1)実施例1で製造された、機械
的に切断されたおから繊維、該おから繊維からなるマト
リックス中の繊維間物質の水可溶性多糖類を含むペース
ト状のおから加工品:1kg、寒天粉末:10g、果
汁:8kg、水:0.97kg、クエン酸:5g、アス
コルビン酸:5g、及び香料:10gを含む懸濁液を調
製し、ミキサーを用いて均一に混和した。この混和物を
連続滅菌機を用いて120℃で10秒間処理した後、2
0℃まで冷却しておから飲料を製造した。試飲した結
果、食感、食味に優れ、10日後の分散性、安定性も良
好であった。
【0104】(製造例2)実施例1で製造されたペース
ト状の機械的に切断されたおから繊維、該おから繊維か
らなるマトリックス中の繊維間物質の水可溶性多糖類を
含むおから加工品:10kg、キサンタンガム粉末:
0.2kg、水:68.4kg、調味液:14kg、デ
キストリン:7kg、食塩:0.4kgの懸濁液を調製
し、ミキサーで混和した。この混和物を連続滅菌機を用
いて120℃、10秒間、処理した後、噴霧乾燥機を使
用して入口温度160℃により乾燥を行い、粉末スープ
飲料を得た。粉末スープ飲料20gを熱湯180mlに
添加し撹拌混合したものを、試飲した結果、食感、食味
に優れ、10日後の分散性、安定性も良好であった。
【0105】(製造例3)実施例1で製造されたペース
ト状の機械的に切断されたおから繊維、該おから繊維か
らなるマトリックス中の繊維間物質の水可溶性多糖類を
含むおから加工品:7kg、キサンタンガム粉末:10
0g、野菜汁:60kg、クエン酸:100g、ビタミ
ンE含量20%の水溶性製剤:20g、ビタミンC:3
0g、香料:100g、水:33kgを含む懸濁液を調
整し、高圧ホモゲナイザーを用いて300kg/cm
での圧力下で均一に混和した。この混和物を連続滅菌機
を用いて120℃、30秒間処理した後、30℃まで冷
却して缶に無菌充填しおから飲料を製造した。試飲した
結果、食感、食味に優れ、2ヶ月後も食味の変化は極め
て少なかった。
【0106】
【発明の効果】本発明により、おからの有する栄養成
分、食物繊維を損なうことなく、おから特有のざらつき
感などの食感、及びエグ味等の食味を改善した飲料を提
供することができる。また飲料中で原料となるおからを
分散安定化し沈殿物を抑え、見た目にも美しいおから飲
料を提供することができる。さらに、それらに加え保存
時の食味及び色調の劣化を抑制したおから飲料を提供す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A23L 2/62 A23L 2/00 P Fターム(参考) 4B017 LC03 LE01 LG08 LK13 LK16 LL04 LL05 LL07 4B020 LB18 LC05 LG07 LK05 LK20

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)機械的に切断されたおから繊維、(2)
    おから繊維からなるマトリックス中の繊維間物質の水可
    溶性多糖類、(3)寒天、キサンタンガム、ジェランガ
    ム、グルコマンナン、アルギン酸、グアガム、タラガ
    ム、カラギーナンκ、カラギーナンλ、大豆多糖類及び
    カードランからなる群から選ばれる1種以上の増粘剤、
    及び(4)水を含有するおから飲料。
  2. 【請求項2】 水48.50〜99.89重量部に対
    し、機械的に切断されたおから繊維、おから繊維からな
    るマトリックス中の繊維間物質の水可溶性多糖類が合計
    で0.1〜50重量部、増粘剤が0.01〜1.5重量
    部である請求項1に記載のおから飲料。
  3. 【請求項3】 さらにビタミンC、ビタミンE、茶抽出
    物、ヒマワリ種子抽出物、又はブドウ種子抽出物から選
    ばれる味劣化防止剤をおから飲料100重量部に対し
    0.0001〜1.0重量部の範囲で含有する請求項1
    又は2に記載のおから飲料。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項に記載のお
    から飲料を乾燥し粉末状にした粉末おから飲料。
  5. 【請求項5】 おからに水を加えて加水処理し、繊維間
    物質の放出を伴う解粒処理をすることにより、水可溶性
    多糖類を水和させ、さらに加水せず又は加水処理し、寒
    天、キサンタンガム、ジェランガム、グルコマンナン、
    アルギン酸、グアガム、タラガム、カラギーナンκ、カ
    ラギーナンλ、大豆多糖類、及びカードランからなる群
    から選ばれる1種以上の増粘剤を添加して均一に撹拌混
    合することを特徴とするおから飲料の製造方法。
  6. 【請求項6】 おからに、加水せずにまたは水を加えて
    加水処理して、繊維間物質の放出を伴う解粒処理を行
    い、しかる後、水を加えて加水処理後撹拌し、さらに加
    水せず又は加水処理し、寒天、キサンタンガム、ジェラ
    ンガム、グルコマンナン、アルギン酸、グアガム、タラ
    ガム、カラギーナンκ、カラギーナンλ、大豆多糖類、
    及びカードランからなる群から選ばれる1種以上の増粘
    剤を添加して均一に撹拌混合することを特徴とするおか
    ら飲料の製造方法。
  7. 【請求項7】 水48.50〜99.89重量部に対
    し、機械的に切断されたおから繊維及びおから繊維から
    なるマトリックス中の繊維間物質の水可溶性多糖類が合
    計で0.1〜50重量部、増粘剤が0.01〜1.5重
    量部であることを特徴とする請求項5又は6に記載のお
    から飲料の製造方法。
  8. 【請求項8】 さらにビタミンC、ビタミンE、茶抽出
    物、ヒマワリ種子抽出物、又はブドウ種子抽出物から選
    ばれる味劣化防止剤をおから飲料100重量部に対し
    0.0001〜1.0重量部の範囲で添加して均一に撹
    拌混合する請求項5〜7のいずれか一項に記載のおから
    飲料の製造方法。
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