JP2002047340A - ポリエステル樹脂の製造方法及びそれにより得られるポリエステル樹脂 - Google Patents
ポリエステル樹脂の製造方法及びそれにより得られるポリエステル樹脂Info
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Abstract
の副生を抑制しつつ、末端カルボキシル基量を低減化さ
せることができ、もって、熱安定性に優れると共に、色
調に優れ、オリゴマーや環状三量体等の副生成物を低減
化させ得るポリエステル樹脂を得る。 【解決手段】 ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘
導体と、エチレングリコールを主原料とし、前者成分に
対する後者成分のモル比を1.0〜2.0の割合で混合
する。次いで、その原料を常圧〜加圧下、加熱下でエス
テル化反応又はエステル交換反応させる。得られた反応
生成物を、常圧から漸次減圧としての減圧下、加熱下で
溶融重縮合反応させ、エステル化率が75%以上で、数
平均重合度が3.0〜10.0の低分子量体の反応生成
物に対して、ポリエステル樹脂の理論収量の4〜40重
量%となる量のエチレングリコールを追加添加する。
Description
ポリエステル樹脂の製造方法、及びそれにより得られる
ポリエステル樹脂に関し、更に詳しくは、ジエチレング
リコール等のエーテル系化合物の副生を抑制しつつ、末
端カルボキシル基量を低減化させることができ、もっ
て、熱安定性に優れると共に、色調に優れ、又、固相重
縮合によりオリゴマーや環状三量体等の副生成物を低減
化させ得るポリエステル樹脂を得ることができるポリエ
ステル樹脂の製造方法、及びそれにより得られるポリエ
ステル樹脂に関する。
レートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹
脂は、機械的強度、化学的安定性、ガスバリア性、衛生
性等に優れ、又、比較的安価で軽量であるために、ボト
ルやフィルム等としての各種包装資材、或いは繊維等に
広く用いられている。
カルボン酸成分としての例えばテレフタル酸又はそのア
ルキルエステルと、ジオール成分としての例えばエチレ
ングリコールを主原料とし、それら原料を混合する原料
混合工程、次いで、その原料を常圧〜加圧下、加熱下で
エステル化反応又はエステル交換反応させるエステル化
工程又はエステル交換工程、引き続いて、得られた反応
生成物を、常圧から漸次減圧としての減圧下、加熱下で
溶融重縮合反応させる溶融重縮合工程を経て、通常、更
に固相重縮合反応させる固相重縮合工程を経て製造され
ており、得られるポリエステル樹脂の分子鎖の末端は、
主としてカルボキシル基とヒドロキシル基により構成さ
れるが、このうち末端カルボキシル基は、例えば加熱溶
融による成形時に分子鎖の切断やそれに伴うアセトアル
デヒドの生成、着色等の様々な副反応を引き起こして熱
安定性を悪化させる原因となり、又、固相重縮合反応時
のオリゴマーの低減化速度に悪影響を及ぼし、その結
果、成形時に金型を汚染してボトル等の成形品の透明性
を低下させる等の原因ともなっている。
減化させるべく、重縮合温度を低くするとか、原料中の
ジオール成分としてのエチレングリコールの割合を多く
する等の方法が知られているが、前者方法では生産性の
低下を招き、又、後者方法では、ジエチレングリコール
等のエーテル系化合物が副生し、それらが得られる樹脂
の軟化点を下げると共に熱安定性を悪化させることとな
って、いずれも、末端カルボキシル基量を低減化するこ
とはできても、同時に新たな問題が発生し、前述の問題
を基本的に解決し得るものではなかった。
脂の製造において、ジカルボン酸成分としてのテレフタ
ル酸とジオール成分としてのエチレングリコールとのエ
ステル化反応以降の段階で、エチレングリコールを追加
添加する方法も知られており、例えば、特開昭51−4
1794号公報には、エステル化を2段に分け、第1段
でのエステル化反応生成物に第2段で特定量のエチレン
グリコールを追加添加して反応生成物中の遊離のカルボ
キシル基を更にエステル化させた後、重縮合させること
によって、色調の優れた高軟化点を有するポリエチレン
テレフタレート樹脂を製造する方法が記載されている。
しかしながら、本発明者等の検討によると、そこに開示
される方法では、エステル化率が低い段階でエチレング
リコールを追加添加しているため系内に多量に存在する
テレフタル酸由来の末端カルボキシル基の酸触媒作用に
よりエチレングリコールが脱水縮合してジエチレングリ
コールが生成してしまうためと考えられるが、ジエチレ
ングリコール等の副生は十分に抑制されず、又、色調も
良好とは言えず、前述の問題の解決には到り得ないこと
が判明した。
も、エステル化反応生成物に特定量のエチレングリコー
ルを追加添加して反応生成物中の末端カルボキシル基を
特定の割合とした後、重縮合させることによって、末端
カルボキシル基量を低減化させたポリエチレンテレフタ
レート樹脂の製造する方法が記載されている。しかしな
がら、本発明者等の検討によると、そこに開示される方
法では、末端カルボキシル基量を低減させるためにはエ
ステル化時の圧力を高くし、滞留時間を長くする必要が
あり、それに伴い、ジエチレングリコールの生成量が増
加し、又、エステル化反応生成物の数平均重合度が上昇
して全末端数が減少し、全末端数に占めるカルボキシル
基の割合が増加することとなって、末端カルボキシル基
の低減化には繋がらず、更に、得られる樹脂の色調も悪
化し、やはり、前述の問題の解決には到り得ないことが
判明した。
は、重縮合を複数段に分け、第1段の重縮合時にエチレ
ングリコールを追加添加して重縮合後の樹脂の末端カル
ボキシル基量を特定範囲に制御することによって、末端
カルボキシル基量を低減化させたポリエチレンテレフタ
レート樹脂を製造する方法が記載されている。しかしな
がら、本発明者等の検討によると、そこに開示される方
法では、末端カルボキシル基量を低減させるためには第
1段重縮合時の温度を高くする必要があり、それに伴
い、重縮合槽に移送されたエステル化反応生成物の重縮
合触媒等による熱分解が起こり、得られる樹脂の色調が
悪化する等の問題が生じ、更に、第1段重縮合槽は高温
減圧下であるためオリゴマーの揮散が促進されて溜出系
の閉塞等のトラブルの原因となり、やはり、前述の問題
の解決には到り得ないことが判明した。
技術に鑑みてなされたもので、ジエチレングリコール等
のエーテル系化合物の副生を抑制しつつ、末端カルボキ
シル基量を低減化させることができ、もって、熱安定性
に優れると共に、色調に優れ、又、固相重縮合によりオ
リゴマーや環状三量体等の副生成物を低減化させ得るポ
リエステル樹脂を得ることができるポリエステル樹脂の
製造方法、及びそれにより得られるポリエステル樹脂を
提供することを目的とする。
成すべくなされたものであって、即ち、本発明は、ジカ
ルボン酸成分としてのジカルボン酸又はそのエステル形
成性誘導体と、ジオール成分としてのエチレングリコー
ルを主原料とし、前者成分に対する後者成分のモル比を
1.0〜2.0の割合で混合する原料混合工程、次い
で、その原料を常圧〜加圧下、加熱下でエステル化反応
又はエステル交換反応させるエステル化工程又はエステ
ル交換工程、引き続いて、得られた反応生成物を、常圧
から漸次減圧としての減圧下、加熱下で溶融重縮合反応
させる溶融重縮合工程を経てポリエステル樹脂を製造す
るにおいて、エステル化工程又はエステル交換工程から
溶融重縮合工程までの間であって、エステル化率が75
%以上で、数平均重合度が3.0〜10.0の低分子量
体の反応生成物に対して、ポリエステル樹脂の理論収量
の4〜40重量%となる量のエチレングリコールを追加
添加するポリエステル樹脂の製造方法、を要旨とする。
ポリエステル樹脂であって、末端カルボキシル基量が2
5モル/樹脂トン以下、ジエチレングリコール量が全ジ
オール成分に対して1.0〜3.0モル%、固有粘度が
0.10〜0.70dl/g、ハンターの色差式におけ
る色座標b値が3以下、及び、210℃で10時間の固
相重縮合による環状三量体の低減量が0.40重量%以
上であるポリエステル樹脂、を要旨とする。
方法は、ジカルボン酸成分としてのジカルボン酸又はそ
のエステル形成性誘導体と、ジオール成分としてのエチ
レングリコールを主原料とし、前者成分に対する後者成
分のモル比を1.0〜2.0の割合で混合する原料混合
工程、次いで、その原料を常圧〜加圧下、加熱下でエス
テル化反応又はエステル交換反応させるエステル化工程
又はエステル交換工程、引き続いて、得られた反応生成
物を、常圧から漸次減圧としての減圧下、加熱下で溶融
重縮合反応させる溶融重縮合工程を経てポリエステル樹
脂を製造するものであり、これらは連続式、又は回分式
でなされる。
ボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、具体的
には、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル
酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリ
ウム、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’−ジ
フェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテル
ジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン
酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,
4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒ
ドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環
式ジカルボン酸、及び、コハク酸、グルタル酸、アジピ
ン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシ
ン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の
脂肪族ジカルボン酸、並びに、テレフタル酸ジメチル、
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル等の、これら
芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、及び脂肪族
ジカルボン酸の炭素数1〜4程度のアルキルエステル、
及びハロゲン化物等が挙げられる。
ールを必須とするが、エチレングリコール以外のジオー
ルとしては、例えば、トリメチレングリコール、テトラ
メチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキ
サメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デ
カメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−
エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ジエ
チレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテト
ラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール、
1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキ
サンジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,5−ノルボ
ルナンジメタノール等の脂環式ジオール、及び、キシリ
レングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニ
ル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホ
ン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スル
ホン酸等の芳香族ジオール、並びに、2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキ
サイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げ
られる。
キシ安息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等
のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸、及
び、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ステ
アリン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル
安息香酸等の単官能成分、トリカルバリル酸、トリメリ
ット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、没食子酸、ト
リメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセ
ロール、ペンタエリスリトール、テトラキス〔メチレン
−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート〕メタン等の三官能以上の
多官能成分、等の一種又は二種以上が、共重合成分とし
て用いられてもよい。
おけるポリエステル樹脂としては、芳香族ジカルボン酸
又はそのアルキルエステルが好ましく、テレフタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、又はそれらのメチル
エステルが更に好ましく、テレフタル酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸が特に好ましく、テレフタル酸が最
も好ましい。又、それらの使用量は、全ジカルボン酸成
分の90モル%以上とするのが好ましく、95モル%以
上とするのが更に好ましく、98モル%とするのが特に
好ましく、99モル%以上とするのが最も好ましい。
又、ジオール成分としてのエチレングリコールの使用量
は、後述の追加添加するエチレングリコールを除いて、
全ジオール成分の90モル%以上とするのが好ましく、
95モル%以上とするのが更に好ましく、98モル%以
上とするのが特に好ましく、99モル%以上とするのが
最も好ましい。
ボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、前記ジオール
成分としてのエチレングリコールの使用量の割合は、通
常、後者成分を過剰に用い、余剰のエチレングリコール
はエステル化反応又はエステル交換反応の進行と共に系
外に留去するのが好ましい。前者成分に対する後者成分
のモル比は、通常1.0〜2.0とし、1.05〜1.
5とするのが好ましく、1.1〜1.3とするのが更に
好ましい。同モル比が前記範囲未満では重縮合反応性が
低下することとなり、一方、前記範囲超過ではジエチレ
ングリコールの生成量が増加することとなる。
酸又はそのエステル形成性誘導体と、前記ジオール成分
としてのエチレングリコールは、必要に応じて用いられ
る共重合成分、及び触媒や助剤等と共に、原料混合工程
において、スラリー槽に投入して攪拌下に混合し、原料
スラリーとして調製する。
は複数のエステル化反応槽を備えたエステル化工程又は
エステル交換工程に移送し、通常、240〜280℃の
温度、常圧〜大気圧に対する相対圧力3×105 Paの
加圧下で、攪拌下に1〜10時間でエステル化反応さ
せ、又は、エステル交換触媒の存在下にエステル交換反
応させ、ポリエステル低分子量体とする。尚、ここで、
エステル交換反応の場合はエステル交換触媒を用いる必
要があること等から、一般に得られるポリエステル樹脂
の色調や熱安定性が劣る傾向にあるため、本発明におい
てはエステル化反応を経ることが好ましい。
テル交換反応生成物としてのポリエステル低分子量体の
エステル化率(原料ジカルボン酸成分の全カルボキシル
基又はカルボン酸誘導体基のうちジオール成分と反応し
てエステル化又はエステル交換したものの割合)は、9
5%以上であるのが好ましい。又、ポリエステル低分子
量体の数平均重合度は3.0〜10.0であり、連続式
の重合方式においては、4.0〜8.0であるのが更に
好ましく、5.0〜7.0であるのが特に好ましく、回
分式の重合方式においては、5.0〜9.0であるのが
更に好ましく、6.0〜8.0であるのが特に好まし
い。エステル化率と数平均重合度がこの範囲であること
により、比較的低温度低圧力の条件下で、後述するエチ
レングリコールを追加添加することができ、カルボン酸
末端基とジエチレングリコール副生量の両方を低減化さ
せることができる。
エステル交換反応生成物を、単数又は複数の重縮合反応
槽を備えた溶融重縮合工程に移送し、重縮合触媒等の存
在下に、通常、250〜290℃の温度、常圧から漸次
減圧として最終的に絶対圧力1333〜13.3Paの
減圧下で、攪拌下に1〜20時間で溶融重縮合反応さ
せ、ポリエステル樹脂を製造する。
前記エステル化工程又はエステル交換工程から前記溶融
重縮合工程までの間であって、エステル化率が75%以
上で、数平均重合度が3.0〜10.0の低分子量体の
反応生成物に対して、エチレングリコールを追加添加す
ることを必須とする。
るときの反応生成物のエステル化率は90%以上である
のが好ましく、95%以上であるのが更に好ましく、9
7%以上であるのが特に好ましい。エステル化率が前記
範囲未満では、追加添加したエチレングリコールによる
エステル化反応又はエステル交換反応に時間がかかっ
て、末端カルボキシル基の酸触媒作用によりエチレング
リコールが脱水縮合してジエチレングリコールが生成し
てしまうこととなる。
きの反応生成物の数平均重合度は、、連続式の重合方式
においては、4.0〜8.0であるのが好ましく、5.
0〜7.0であるのが更に好ましく、回分式の重合方式
においては、5.0〜9.0であるのが好ましく、6.
0〜8.0であるのが更に好ましい。数平均重合度が前
記範囲未満では、溶融重縮合工程に移送して減圧下にお
かれる反応生成物が昇華、揮散し易く、溜出系の閉塞等
のトラブルの原因となる外、重縮合に時間がかかって色
調の悪化や生産性の低下を生じることとなり、一方、前
記範囲超過では、全末端数が減少し、全末端数に占める
カルボキシル基の割合が増加することとなって、エチレ
ングリコールの追加添加が末端カルボキシル基の低減化
には繋がらないこととなる。
ルの追加添加は、温度が250℃以上265℃未満で、
圧力が常圧〜大気圧に対する相対圧力1.0×105 P
aの加圧下の反応生成物に対してなすのが好ましく、温
度は255℃以上265℃未満であるのが更に好まし
く、圧力は、常圧〜大気圧に対する相対圧力0.5×1
05 Paの加圧下であるのが更に好ましく、常圧〜大気
圧に対する相対圧力0.3×105 Paの加圧下である
のが特に好ましく、常圧であるのが最も好ましい。
ールの追加添加により系内が冷却されて反応生成物が固
化する惧れがあり、一方、前記範囲超過では、追加添加
するエチレングリコールの蒸発、揮散が激しく、又、末
端カルボキシル基の酸触媒作用によりエチレングリコー
ルが脱水縮合してジエチレングリコールが生成し易い傾
向となる。又、圧力が前記範囲未満では、追加添加する
エチレングリコールの蒸発、揮散が激しく、一方、前記
範囲超過では、末端カルボキシル基の酸触媒作用により
エチレングリコールが脱水縮合してジエチレングリコー
ルが生成し易い傾向となる。
いて、エチレングリコールの追加添加は、前記エステル
化工程又はエステル交換工程から前記溶融重縮合工程ま
での間であって、反応生成物が前記エステル化率又はエ
ステル交換率、前記数平均重合度、及び、前記温度、前
記圧力の範囲下にあるいずれかの1ケ所又は複数ケ所で
実施するが、エステル化工程又はエステル交換工程か
ら、溶融重縮合工程で減圧を開始する前までのいずれか
における反応生成物に対してなすのが好ましく、エステ
ル化工程又はエステル交換工程を経た後、溶融重縮合工
程で減圧を開始する前の常圧下の反応生成物に対してな
すのが特に好ましい。
後、重縮合反応のために減圧を開始するまでの時間は、
エチレングリコールの追加添加をエステル化工程又はエ
ステル交換工程でなす場合には、1〜150分とするの
が好ましく、5〜100分とするのがより好ましく、5
〜60分とするのが更に好ましく、5〜30分とするの
が特に好ましく、5〜20分とするのが最も好ましい。
又、エチレングリコールの追加添加を重縮合工程で減圧
を開始する前になす場合には、1〜60分とするのが好
ましく、2〜30分とするのが更に好ましく、5〜20
分とするのが特に好ましい。いずれの場合も、減圧開始
までの時間が前記範囲未満では、末端カルボキシル基の
低減化が不十分となる傾向となり、一方、前記範囲超過
では、ジエチレングリコールの生成し易い傾向となる。
レングリコールの量は、ポリエステル樹脂の理論収量の
4〜40重量%とすることが必須であり、エチレングリ
コールの追加添加をエステル化工程又はエステル交換工
程でなす場合には、4〜20重量%とするのが好まし
く、4〜15重量%とするのが特に好ましい。又、エチ
レングリコールの追加添加を重縮合工程で減圧を開始す
る前になす場合には、7〜25重量%とするのが好まし
く、15〜30重量%とするのが特に好ましい。いずれ
の場合も、追加添加量が前記範囲未満では、末端カルボ
キシル基の低減化が不十分となり、一方、前記範囲超過
では、系内の冷却固化や解重合による重合度の低下が生
じることとなる。
ングリコールの添加形態としては、純粋のエチレングリ
コールの外、共重合成分の溶液、触媒の溶液、その他の
添加剤等の溶液としてであってもよい。但し、触媒によ
るジエチレングリコールの副生を抑制するため、触媒溶
液としてではなく、触媒添加前に添加するのが好まし
い。
ける重縮合反応は、本発明の効果が顕著に発現すること
から、チタン化合物の存在下になすのが好ましく、その
チタン化合物としては、具体的には、例えば、テトラ−
n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネ
ート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブ
チルチタネートテトラマー、テトラ−t−ブチルチタネ
ート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニ
ルチタネート、テトラベンジルチタネート、酢酸チタ
ン、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム、蓚酸チタンナト
リウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタ
ン酸−水酸化アルミニウム混合物、塩化チタン、塩化チ
タン−塩化アルミニウム混合物、臭化チタン、フッ化チ
タン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸コ
バルト、六フッ化チタン酸マンガン、六フッ化チタン酸
アンモニウム、チタンアセチルアセトナート等が挙げら
れ、中で、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−
i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネー
ト、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウムが好ましい。
状三量体やアセトアルデヒド等の副生成物の低減化、並
びに得られる樹脂の透明性、色調等の面から、燐化合
物、並びに、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化
合物、及びマンガン化合物からなる群より選択された少
なくとも1種の金属化合物の共存下になすのが好まし
い。
は、例えば、正燐酸、ポリ燐酸、及び、トリメチルホス
フェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチル
ホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニ
ルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス
(トリエチレングリコール)ホスフェート、エチルジエ
チルホスホノアセテート、メチルアシッドホスフェー
ト、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッ
ドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、モノブ
チルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチル
ホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフ
ェート等の5価の燐化合物、亜燐酸、次亜燐酸、及び、
ジエチルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、
トリスノニルデシルホスファイト、トリフェニルホスフ
ァイト等の3価の燐化合物等が挙げられ、中で、正燐
酸、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート、
エチルジエチルホスホノアセテート、エチルアシッドホ
スフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェ
ート、亜燐酸が好ましく、トリス(トリエチレングリコ
ール)ホスフェート、エチルジエチルホスホノアセテー
ト、エチルアシッドホスフェート、トリエチレングリコ
ールアシッドホスフェートが特に好ましい。
類金属化合物、及びマンガン化合物としては、エチレン
グリコール等のジオールや水に可溶の化合物であって、
例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウ
ム、カルシウム等の、酸化物、水酸化物、アルコキシ
ド、酢酸塩、炭酸塩、蓚酸塩、及びハロゲン化物等、具
体的には、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢
酸カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、
マグネシウムアルコキシド、酢酸マグネシウム、炭酸マ
グネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸
カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マンガン、水酸化マ
ンガン、酢酸マンガン等が挙げられる。中で、マグネシ
ウム化合物、マンガン化合物が好ましく、マグネシウム
化合物が特に好ましい。
燐化合物、並びに、前記アルカリ金属化合物、アルカリ
土類金属化合物、及びマンガン化合物からなる群より選
択された少なくとも1種の金属化合物の重縮合時の各使
用量は、ポリエステル樹脂の理論収量1トン当たり、チ
タン原子(Ti)として0.002〜1モルであるのが
好ましく、0.002〜0.5モルであるのが更に好ま
しく、0.002〜0.2モルであるのが特に好まし
い。又、燐原子(P)として0.02〜4モルであるの
が好ましく、0.02〜2モルであるのが更に好まし
く、又、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、及
びマンガン原子の合計(M)として0.04〜5モルで
あるのが好ましく、0.04〜3モルであるのが更に好
ましい。
ン化合物の存在下、或いは更に、前記燐化合物、並び
に、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及
びマンガン化合物からなる群より選択された少なくとも
1種の金属化合物の共存下であって、更に、ゲルマニウ
ム化合物の共存下になしたものであってもよい。尚、本
発明の効果を有効に発現させるためには、その使用量
は、ポリエステル樹脂の理論収量1トン当たり、ゲルマ
ニウム原子(Ge)として0.4モル以下であるのが好
ましく、0.3モル以下であるのが更に好ましく、0.
25モル以下であるのが特に好ましい。
は、具体的には、例えば、二酸化ゲルマニウム、四酸化
ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウ
ム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテト
ラ−n−ブトキシド等が挙げられ、中で、二酸化ゲルマ
ニウムが好ましい。
マニウム化合物に代えて、コバルト化合物の共存下にな
したものであってもよい。尚、その使用量は、ポリエス
テル樹脂の理論収量1トン当たり、コバルト原子(C
o)として1モル以下であるのが好ましく、0.5モル
以下であるのが更に好ましい。
体的には、例えば、蟻酸コバルト、酢酸コバルト、ステ
アリン酸コバルト、蓚酸コバルト、炭酸コバルト、臭化
コバルト、コバルトアセチルアセトナート等が挙げら
れ、中で、蟻酸コバルト、酢酸コバルトが好ましい。
明の効果を損なわない範囲で、前記各化合物以外の金属
化合物を存在させてもよく、その場合の金属化合物とし
ては、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、モリブデ
ン、タングステン、鉄、ニッケル、金、銀、銅、亜鉛、
アルミニウム、錫、アンチモン、ランタン、セリウム等
の酸化物、水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、燐酸塩、
カルボン酸塩、ハロゲン化物等の化合物が挙げられる。
物、前記燐化合物、並びに、前記アルカリ金属化合物、
アルカリ土類金属化合物、及びマンガン化合物からなる
群より選択された少なくとも1種の金属化合物、或いは
前記ゲルマニウム化合物又はコバルト化合物の反応系へ
の添加は、原料のジカルボン酸又はそのエステル形成性
誘導体とエチレングリコール、並びに必要に応じて用い
られる他のジオール成分等との原料混合工程、エステル
化工程又はエステル交換工程の任意の段階、又は、溶融
重縮合工程の初期の段階のいずれであってもよいが、そ
れらの添加順序としては、前記燐化合物、次いで、前記
アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及びマ
ンガン化合物からなる群より選択された少なくとも1種
の金属化合物、或いは前記ゲルマニウム化合物又はコバ
ルト化合物、次いで、前記チタン化合物の順序でなすの
が好ましい。
工程又はエステル交換工程、及び溶融重縮合工程を経て
得られるポリエステル樹脂は、末端カルボキシル基量が
25モル/樹脂トン以下、ジエチレングリコール量が全
ジオール成分に対して1.0〜3.0モル%、固有粘度
が0.10〜0.70dl/g、ハンターの色差式にお
ける色座標b値が3以下、及び、210℃で10時間の
固相重縮合による環状三量体の低減量が0.40重量%
以上であるものである。
ル/樹脂トン以下であるのが好ましく、10モル/樹脂
トン以下であるのが更に好ましい。末端カルボキシル基
量が前記範囲超過では、熱安定性が劣ると共に、固相重
縮合によりオリゴマーや環状三量体等の副生成物を低減
化させることが困難となる。
ル成分に対して1.5〜2.5モル%であるのが好まし
く、2.0〜2.5モル%であるのが更に好ましい。ジ
エチレングリコール量が前記範囲未満では成形品とした
ときの透明性が劣ることとなり、一方、前記範囲超過で
は熱安定性が低下する。
/gであるのが好ましく、0.50〜0.60dl/g
であるのが更に好ましい。固有粘度が前記範囲未満では
機械的強度が劣ることとなり、一方、前記範囲超過では
溶融成形性が低下する。
は、2以下であるのが好ましく、0以下であるのが更に
好ましい。色座標b値が前記範囲超過では、黄色味を帯
びていて、ボトル等の成形品の美観を損ねることとな
る。
る環状三量体の低減量は、0.45重量%以上であるの
が好ましく、0.50重量%以上であるのが更に好まし
く、0.55重量%以上であるのが特に好ましい。環状
三量体の低減量が前記範囲未満では、成形時に金型汚染
等が生じることとなる。尚、ここで、環状三量体の低減
量とは、固相重縮合前の環状三量体含有量(重量%)
と、210℃で10時間の固相重縮合に供し、環状三量
体量を低減化させた後の環状三量体含有量(重量%)と
の差を言う。
を経たポリエステル樹脂は、通常、重縮合槽の底部に設
けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水
冷しながら若しくは水冷後、カッターで切断してペレッ
ト状、チップ状等の粒状体として得られるが、更に、こ
の溶融重縮合後の粒状体を、通常、窒素、二酸化炭素、
アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、又は水蒸気雰囲気
下、或いは水蒸気含有不活性ガス雰囲気下で、60〜1
80℃の温度で加熱して樹脂粒状体表面を結晶化させた
後、不活性ガス雰囲気下、又は/及び、絶対圧力133
33〜13.3Paの減圧下で、樹脂の粘着温度直下〜
80℃低い温度で、粒状体同士が膠着しないように流動
等させながら、100時間以下の時間で加熱処理して固
相重縮合させることが好ましく、この固相重縮合によ
り、更に高重合度化させ得ると共に、反応副生成物の環
状三量体やアセトアルデヒド等を低減化することもでき
る。
重縮合により得られた樹脂は、熱安定性の改良、成形時
の環状三量体やアセトアルデヒド等の副生成物の低減化
等の目的で、通常、40℃以上の温水に10分以上浸漬
させる水処理、或いは、60℃以上の水蒸気又は水蒸気
含有ガスに30分以上接触させる水蒸気処理等の処理を
施してもよい。
ル樹脂は、固有粘度が、好ましくは0.65〜1.50
dl/g、更に好ましくは0.65〜0.85dl/
g、特に好ましくは0.70〜0.80dl/gであ
り、ハンターの色差式における色座標b値が、好ましく
は3以下、更に好ましくは2以下、特に好ましくは0以
下であり、環状三量体量が、好ましくは0.40重量%
以下、更に好ましくは0.35重量%以下、特に好まし
くは0.30重量%以下のものとなる。
ステル樹脂は、例えば、射出成形によってプリフォーム
に成形された後、延伸ブロー成形することによって、或
いは、押出成形によって成形されたパリソンをブロー成
形することによって、ボトル等に成形され、又、押出成
形によってシートに成形された後、熱成形することによ
ってトレイや容器等に成形され、或いは、該シートを二
軸延伸してフィルム等とされ、特に飲食品包装分野にお
いて有用なものとなる。中で、射出成形によって得られ
たプリフォームを二軸延伸するブロー成形法よってボト
ルを成形するのに好適であり、例えば、炭酸飲料、アル
コール飲料、醤油、ソース、みりん、ドレッシング等の
液体調味料等の容器として、更には、ヒートセットを施
して、果汁飲料、茶やミネラルウォーター等の飲料等の
耐熱性を要求される容器として、好適に用いられる。
するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例
に限定されるものではない。
応槽1段からなる回分式製造装置を用い、テレフタル酸
26重量部とエチレングリコール12重量部(モル比
1:1.2)をスラリー槽で窒素ガス下に攪拌して調製
したスラリーを、予めテレフタル酸26重量部とエチレ
ングリコール12重量部のエステル化反応物が仕込ま
れ、温度260℃、圧力が大気圧に対する相対圧力1.
0×105 Pa(約1kgf/cm2 )の加圧下に保持
されたエステル化反応槽に供給し、エステル化反応を行
った。このエステル化反応生成物につき、以下に示す方
法で、エステル化率、及び数平均重合度を測定し、結果
を表1に示した。
パノール(重量比7/3)の混合溶媒に濃度3重量%で
溶解させた溶液について、核磁気共鳴装置(日本電子社
製「JNM−EX270型」)にて、 1H−NMRを測
定して各ピークを帰属し、末端カルボキシル基量(Aモ
ル/試料トン)をピークの積分値から計算し、以下の式
により、テレフタル酸単位の全カルボキシル基のうちエ
ステル化されているものの割合としてのエステル化率
(E%)を算出した。エステル化率(E)=〔1−A/
{(1000000/192.2)×2}〕×100
パノール(重量比7/3)の混合溶媒に濃度2重量%で
溶解させ、ピリジン−d5を20μl加えた溶液につい
て、核磁気共鳴装置(日本電子社製「JNM−GSX−
400型」)にて、 1H−NMRを測定して各ピークを
帰属し、テレフタルユニットのベンゼン環プロトンの積
分値に対する各ピークの積分値の比率から、末端水酸基
数〔OH〕(モル/試料トン)、末端カルボキシル基数
〔COOH〕(モル/試料トン)、及び末端ジエチレン
グリコール基数〔DEG〕(モル/試料トン)を算出
し、これら末端基数の総和を全末端基数として、以下の
式により、数平均重合度(n)を求めた。 数平均重合度(n)=1000000/{(〔OH〕+
〔COOH〕+〔DEG〕)/2}/192.2
応生成物156重量部を窒素ガス下、温度260℃、常
圧に保持された重縮合反応槽に移送し、攪拌しながら、
エチレングリコール29.2重量部を追加添加し、次い
で、エチルアシッドホスフェートの0.28重量%エチ
レングリコール溶液0.5重量部、次いで、テトラ−n
−ブトキシチタネートの1重量%エチレングリコール溶
液0.3重量部を、順次5分間隔で添加した。追加添加
したエチレングリコールの総量は30重量部であり、ポ
リエステル樹脂の理論収量(150重量部)の20重量
%であった。添加終了から5分経過後、系内を1時間で
常圧から絶対圧力133Pa(約1mmHg)に減圧し
て同圧を保持しつつ、同時に1時間20分かけて260
℃から280℃まで昇温して同温度を保持し、2時間3
0分溶融重縮合反応させた後、復圧し、攪拌を停止し
て、重縮合反応槽の底部に設けられた抜き出し口からス
トランド状に抜き出して、水冷後、カッターでチップ状
とすることにより、チップ状のポリエチレンテレフタレ
ート樹脂を得た。
について、以下に示す方法で、末端カルボキシル基量、
ジエチレングリコール量、固有粘度、ハンターの色差式
における色座標b値、及び、固相重縮合による環状三量
体の低減量を測定し、結果を表1に示した。
間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料か
ら、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアル
コール3mlを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら
195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5
mlを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェ
ノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹
き込みながら攪拌下に、0.1Nの苛性ソーダのベンジ
ルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点
で終了とした。又、ブランクとして、ポリエステル樹脂
試料抜きで同様の操作を実施し、以下の式によって酸価
を算出した。
ベンジルアルコール溶液の量(μl)、Bは、ブランク
での滴定に要した0.1Nの苛性ソーダのベンジルアル
コール溶液の量(μl)、Wは、ポリエステル樹脂試料
の量(g)、fは、0.1Nの苛性ソーダのベンジルア
ルコール溶液の力価である。〕
コール溶液の力価(f)は、試験管にメタノール5ml
を採取し、フェノールレッドのエタノール溶液を指示薬
として1〜2滴加え、0.1Nの苛性ソーダのベンジル
アルコール溶液0.4mlで変色点まで滴定し、次い
で、力価既知の0.1Nの塩酸水溶液を標準液として
0.2ml採取して加え、再度、0.1Nの苛性ソーダ
のベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定した。(以
上の操作は、乾燥窒素ガス吹き込み下で行った。)以下
の式によって力価(f)を算出した。 力価(f)=0.1Nの塩酸水溶液の力価×0.1Nの
塩酸水溶液の採取量(μl)/0.1Nの苛性ソーダの
ベンジルアルコール溶液の滴定量(μl)
パノール(重量比7/3)の混合溶媒に濃度3重量%で
溶解させた溶液について、核磁気共鳴装置(日本電子社
製「JNM−EX270型」にて、 1H−NMRを測定
して各ピークを帰属し、ピークの積分値から全ジオール
成分に対するジエチレングリコールのモル%を計算し
た。
ラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒に、濃度
(c)を1.0g/dlとして、110℃で20分間で
溶解させた後、ウベローデ型毛細粘度管を用いて、30
℃で、原液との相対粘度(ηrel )を測定し、この相対
粘度(ηrel )−1から求めた比粘度(η sp)と濃度
(c)との比(ηsp/c)を求め、同じく濃度(c)を
0.5g/dl、0.2g/dl、0.1g/dlとし
たときについてもそれぞれの比(ηsp/c)を求め、こ
れらの値より、濃度(c)を0に外挿したときの比(η
sp/c)を固有粘度(dl/g)として求めた。
体測色用セルにすりきりに充填し、測色色差計(日本電
色工業社製「ND−300A」)を用いて、JIS Z
8730の参考1に規定されるハンターの色差式におけ
る色座標bを、反射法で、セルを90度ずつ回転させて
4箇所測定した値の単純平均値として求めた。
「IPHH−201型」)中で、50l/分の窒素ガス
気流下160℃で2時間乾燥させた後、4.0mgを精
秤し、クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール
(容量比3/2)の混合溶媒2mlに溶解させた後、更
にクロロホルム20mlを加えて希釈し、これにメタノ
ール10mlを加えて析出させ、引き続いて濾過して得
た濾液を蒸発乾固後、ジメチルホルムアミド25mlに
溶解し、その溶液中の環状三量体(シクロトリエチレン
テレフタレート)量を、液体クロマトグラフィー(島津
製作所製「LC−10A」)で定量した。一方、乾燥後
の樹脂試料を、同じイナートオーブン中で、50l/分
の窒素ガス気流下210℃で10時間加熱処理して固相
重縮合させた後、その固相重縮合樹脂試料についても、
同様の方法で環状三量体量を定量し、前者の固相重縮合
前の環状三量体量(CTo )(重量%)と後者の固相重
縮合後の環状三量体量(CTs )(重量%)との差(C
To −CTs)を、低減量(重量%)とした。
リエチレンテレフタレート樹脂チップを、イナートオー
ブン(ESPEC社製「IPHH−201型」)中で、
50l/分の窒素ガス気流下160℃で2時間乾燥させ
た後、215℃で20時間加熱処理して固相重縮合さ
せ、その固相重縮合ポリエステル樹脂についても、前記
と同様の方法で、固有粘度、ハンターの色差式における
色座標b値、及び、環状三量体量を測定し、結果を表1
に示した。
レフタレート樹脂チップを、真空乾燥機にて130℃で
10時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業社製
「FE−80S」)にて、シリンダー温度280℃、背
圧5×105 Pa、射出率45cc/秒、保圧力30×
105 Pa、金型温度20℃、成形サイクル約40秒
で、外径29.0mm、高さ165mm、平均肉厚3.
7mm、重量60gの試験管状の予備成形体(プリフォ
ーム)を射出成形した。この予備成形体を、石英ヒータ
ーを備えた近赤外線照射炉内で70秒間加熱し、25秒
間室温で放置した後、160℃に設定したブロー金型内
に装入し、延伸ロッドで高さ方向に延伸しながら、ブロ
ー圧力7×105 Paで1秒間、更に30×105 Pa
で40秒間ブロー成形、ヒートセットし、空冷すること
により、外径約95mm、高さ約305mm、胴部平均
肉厚約0.37mm、重量約60g、内容積約1.5リ
ットルのボトルを500本成形し、得られた490〜5
00本目のボトルについて表面外観を目視観察して以下
の基準で平均的な金型汚染性を評価し、結果を表1に示
した。
る。
加添加しなかった外は、実施例1と同様にして、溶融重
縮合ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造し、末端カ
ルボキシル基量、ジエチレングリコール量、固有粘度、
ハンターの色差式における色座標b値、及び、固相重縮
合による環状三量体の低減量を測定し、引き続いて、固
相重縮合ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造し、固
有粘度、ハンターの色差式における色座標b値、及び、
環状三量体量を測定し、更に、金型汚染性を評価し、そ
れぞれの結果を表1に示した。
縮合反応槽に、エチレングリコールを27.3重量部追
加添加し、次いで、エチルアシッドホスフェートの2.
8重量%エチレングリコール溶液を0.3重量部、酢酸
マグネシウムの6.3重量%エチレングリコール溶液を
0.3重量部、酸化ゲルマニウムの0.5重量%エチレ
ングリコール溶液を2.0重量部、テトラ−n−ブトキ
シチタネートの1重量%エチレングリコール溶液を0.
1重量部、順次5分間隔で添加したこと、の外は、実施
例1と同様にして、溶融重縮合ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂を製造し、末端カルボキシル基量、ジエチレン
グリコール量、固有粘度、ハンターの色差式における色
座標b値、及び、固相重縮合による環状三量体の低減量
を測定し、引き続いて、固相重縮合ポリエチレンテレフ
タレート樹脂を製造し、固有粘度、ハンターの色差式に
おける色座標b値、及び、環状三量体量を測定し、更
に、金型汚染性を評価し、それぞれの結果を表1に示し
た。
加添加しなかった外は、実施例2と同様にして、溶融重
縮合ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造し、末端カ
ルボキシル基量、ジエチレングリコール量、固有粘度、
ハンターの色差式における色座標b値、及び、固相重縮
合による環状三量体の低減量を測定し、引き続いて、固
相重縮合ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造し、固
有粘度、ハンターの色差式における色座標b値、及び、
環状三量体量を測定し、更に、金型汚染性を評価し、そ
れぞれの結果を表1に示した。
追加添加し、次いで、正燐酸の3.6重量%エチレング
リコール溶液を0.4重量部、酸化ゲルマニウムの0.
5重量%エチレングリコール溶液を3.8重量部、順次
5分間隔で添加した外は、実施例1と同様にして、溶融
重縮合ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造し、末端
カルボキシル基量、ジエチレングリコール量、固有粘
度、ハンターの色差式における色座標b値、及び、固相
重縮合による環状三量体の低減量を測定し、引き続い
て、固相重縮合ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造
し、固有粘度、ハンターの色差式における色座標b値、
及び、環状三量体量を測定し、更に、金型汚染性を評価
し、それぞれの結果を表1に示した。
加添加しなかった外は、実施例3と同様にして、溶融重
縮合ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造し、末端カ
ルボキシル基量、ジエチレングリコール量、固有粘度、
ハンターの色差式における色座標b値、及び、固相重縮
合による環状三量体の低減量を測定し、引き続いて、固
相重縮合ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造し、固
有粘度、ハンターの色差式における色座標b値、及び、
環状三量体量を測定し、更に、金型汚染性を評価し、そ
れぞれの結果を表1に示した。
加添加し、次いで、正燐酸の3.6重量%エチレングリ
コール溶液を0.4重量部、酸化ゲルマニウムの0.5
重量%エチレングリコール溶液を3.8重量部、順次5
分間隔で添加し、追加添加したエチレングリコールの総
量を7.5重量部とし、ポリエステル樹脂の理論収量
(150重量部)の5重量%とした外は、実施例1と同
様にして、溶融重縮合ポリエチレンテレフタレート樹脂
を製造し、末端カルボキシル基量、ジエチレングリコー
ル量、固有粘度、ハンターの色差式における色座標b
値、及び、固相重縮合による環状三量体の低減量を測定
し、引き続いて、固相重縮合ポリエチレンテレフタレー
ト樹脂を製造し、固有粘度、ハンターの色差式における
色座標b値、及び、環状三量体量を測定し、更に、金型
汚染性を評価し、それぞれの結果を表1に示した。
応槽3段からなる連続式製造装置を用い、スラリー槽
に、テレフタル酸を26重量部/時、エチレングリコー
ルを12重量部/時、及び正燐酸の3.6重量%エチレ
ングリコール溶液を0.4重量部/時の供給量でそれぞ
れ連続的に供給し混合、調製したスラリーを、温度26
0℃、圧力が大気圧に対する相対圧力6.5×104 P
a(約0.65kgf/cm2 )の加圧下に保持される
と共に、平均滞留時間が4時間となるように制御された
第1段エステル化反応槽に連続的に供給して第1段のエ
ステル化反応を行い、そのエステル化反応生成物を、温
度260℃、圧力が大気圧に対する相対圧力5×103
Pa(約0.05kgf/cm2 )の加圧下に保持され
ると共に、平均滞留時間が1.5時間となるように制御
され、上部配管を通じて、酸化ゲルマニウムの0.5重
量%エチレングリコール溶液が5.0重量部/時の供給
量で連続的に供給されると共に、エチレングリコールが
10重量部/時の供給量で連続的に供給される第2段エ
ステル化反応槽に連続的に移送し、第2段のエステル化
反応を行った。第2段エステル化反応槽でのエステル化
率、及び数平均重合度を測定し、結果を表1に示した。
応生成物を、温度272℃、絶対圧力3330Pa(約
25mmHg)の減圧下に保持されると共に、平均滞留
時間が1.2時間となるように制御された第1段重縮合
反応槽、温度275℃、絶対圧力800Pa(約6mm
Hg)の減圧下に保持されると共に、平均滞留時間が
1.2時間となるように制御された第2段重縮合反応
槽、温度277℃、絶対圧力270Pa(約2mmH
g)の減圧下に保持されると共に、平均滞留時間が1.
2時間となるように制御された第3段重縮合反応槽に順
次、連続的に供給して、重縮合反応させることにより、
チップ状のポリエチレンテレフタレート樹脂を製造し
た。
について、実施例1と同様にして、末端カルボキシル基
量、ジエチレングリコール量、固有粘度、ハンターの色
差式における色座標b値、及び、固相重縮合による環状
三量体の低減量を測定し、引き続いて、固相重縮合ポリ
エチレンテレフタレート樹脂を製造し、固有粘度、ハン
ターの色差式における色座標b値、及び、環状三量体量
を測定し、更に、金型汚染性を評価し、それぞれの結果
を表1に示した。
なかった外は、実施例5と同様にして、溶融重縮合ポリ
エチレンテレフタレート樹脂を製造し、末端カルボキシ
ル基量、ジエチレングリコール量、固有粘度、ハンター
の色差式における色座標b値、及び、固相重縮合による
環状三量体の低減量を測定し、引き続いて、固相重縮合
ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造し、固有粘度、
ハンターの色差式における色座標b値、及び、環状三量
体量を測定し、更に、金型汚染性を評価し、それぞれの
結果を表1に示した。
グリコール溶液、及びエチレングリコールを供給しなか
ったこと、第1段重縮合反応槽を温度265℃、絶対圧
力3330Pa(約25mmHg)の減圧下に保持する
と共に、平均滞留時間が1.2時間となるように制御
し、上部配管を通じて、三酸化アンチモンの1.85重
量%エチレングリコール溶液を2.1重量部/時の供給
量で連続的に供給すると共に、エチレングリコールを
5.4重量部/時の供給量で連続的に供給したこと、の
外は、実施例5と同様にして、溶融重縮合ポリエチレン
テレフタレート樹脂を製造し、末端カルボキシル基量、
ジエチレングリコール量、固有粘度、ハンターの色差式
における色座標b値、及び、固相重縮合による環状三量
体の低減量を測定し、引き続いて、固相重縮合ポリエチ
レンテレフタレート樹脂を製造し、固有粘度、ハンター
の色差式における色座標b値、及び、環状三量体量を測
定し、更に、金型汚染性を評価し、それぞれの結果を表
1に示した。
等のエーテル系化合物の副生を抑制しつつ、末端カルボ
キシル基量を低減化させることができ、もって、熱安定
性に優れると共に、色調に優れ、又、固相重縮合により
オリゴマーや環状三量体等の副生成物を低減化させ得る
ポリエステル樹脂を得ることができるポリエステル樹脂
の製造方法、及びそれにより得られるポリエステル樹脂
を提供することができる。
Claims (7)
- 【請求項1】 ジカルボン酸成分としてのジカルボン酸
又はそのエステル形成性誘導体と、ジオール成分として
のエチレングリコールを主原料とし、前者成分に対する
後者成分のモル比を1.0〜2.0の割合で混合する原
料混合工程、次いで、その原料を常圧〜加圧下、加熱下
でエステル化反応又はエステル交換反応させるエステル
化工程又はエステル交換工程、引き続いて、得られた反
応生成物を、常圧から漸次減圧としての減圧下、加熱下
で溶融重縮合反応させる溶融重縮合工程を経てポリエス
テル樹脂を製造するにおいて、エステル化工程又はエス
テル交換工程から溶融重縮合工程までの間であって、エ
ステル化率が75%以上で、数平均重合度が3.0〜1
0.0の低分子量体の反応生成物に対して、ポリエステ
ル樹脂の理論収量の4〜40重量%となる量のエチレン
グリコールを追加添加することを特徴とするポリエステ
ル樹脂の製造方法。 - 【請求項2】 エチレングリコールの追加添加を、温度
が250℃以上265℃未満で、圧力が常圧〜大気圧に
対する相対圧力1.0×105 Paの加圧下の反応生成
物に対してなす請求項1に記載のポリエステル樹脂の製
造方法。 - 【請求項3】 エチレングリコールの追加添加を、エス
テル化工程又はエステル交換工程から、溶融重縮合工程
で減圧を開始する前までのいずれかにおける反応生成物
に対してなす請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂
の製造方法。 - 【請求項4】 エチレングリコールの追加添加を、エス
テル化工程又はエステル交換工程を経た後、溶融重縮合
工程で減圧を開始する前の常圧下の反応生成物に対して
なす請求項3に記載のポリエステル樹脂の製造方法。 - 【請求項5】 ジカルボン酸成分としてのジカルボン酸
又はそのエステル形成性誘導体がテレフタル酸である請
求項1乃至4のいずれかに記載のポリエステル樹脂の製
造方法。 - 【請求項6】 溶融重縮合反応をチタン化合物の触媒の
存在下になす請求項1乃至5のいずれかに記載のポリエ
ステル樹脂の製造方法。 - 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載の製造
方法により得られるポリエステル樹脂であって、末端カ
ルボキシル基量が25モル/樹脂トン以下、ジエチレン
グリコール量が全ジオール成分に対して1.0〜3.0
モル%、固有粘度が0.10〜0.70dl/g、ハン
ターの色差式における色座標b値が3以下、及び、21
0℃で10時間の固相重縮合による環状三量体の低減量
が0.40重量%以上であることを特徴とするポリエス
テル樹脂。
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