JP2002047223A - シクロヘキシルメタノール類の製造方法 - Google Patents

シクロヘキシルメタノール類の製造方法

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JP2002047223A
JP2002047223A JP2000230732A JP2000230732A JP2002047223A JP 2002047223 A JP2002047223 A JP 2002047223A JP 2000230732 A JP2000230732 A JP 2000230732A JP 2000230732 A JP2000230732 A JP 2000230732A JP 2002047223 A JP2002047223 A JP 2002047223A
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reaction
compound
hydrogen
dienophile
cyclohexylmethanols
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JP2000230732A
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English (en)
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Yuichi Sato
裕一 佐藤
Toshiya Iida
俊哉 飯田
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 容易に入手することができる製造原料を用い
て製造工程全般にわたり反応条件を比較的穏やかにする
と共に、還元反応に用いる水素の使用料を抑制してシク
ロヘキシルメタノール類を簡便にかつ廉価に製造する方
法を提供する。 【解決手段】 ジエン化合物及びカルボニル基を有する
ジエノフィル化合物からシクロヘキシルメタノール類を
製造する方法であって、該ジエン化合物及び該カルボニ
ル基を有するジエノフィル化合物を用いて環状付加反応
を行う工程(a)の後に、水素還元反応を行う工程
(c)を含むシクロヘキシルメタノール類の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シクロヘキシルメ
タノール類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シクロヘキシルメタノール類は、反応性
や結晶性等に優れ、これにより樹脂等を変性させると、
硬度、可撓性、耐熱性、耐腐食性等に優れた性能を付与
することができることから、飽和又は不飽和ポリエステ
ル等の改質剤や各種の塗料用樹脂、繊維強化プラスチッ
ク(FRP)等の製造原料、反応性希釈剤等に広く用い
られ、各種の合成樹脂や合成繊維等の高分子化合物等の
化学工業製品の製造原料や中間体として有用な化合物で
ある。
【0003】このようなシクロヘキシルメタノール類を
工業的に製造する方法としては、例えば、シクロヘキサ
ンジメタノールを得る場合では、テレフタル酸やそのエ
ステル類を製造原料として用いて水素還元反応を行う方
法が挙げられる。また、置換基を有するか又は置換基を
有しないシクロヘキシルメタノールを得る場合では、置
換基を有するか又は置換基を有しない安息香酸やそのエ
ステル類を製造原料として用いて水素還元を行う方法が
挙げられる。
【0004】しかしながら、これらの方法では、例え
ば、テレフタル酸やそのエステル類を用いる場合には、
化学量論的には、原料1モルに対して7モルの水素が必
要であり、また、安息香酸やそのエステル類を用いる場
合にも多くの水素が必要であり、いずれの方法も原料費
が高い水素を多量に消費することになる。また、テレフ
タル酸やそのエステル類を用いる方法では、カルボニル
基の水素還元反応に加えてベンゼン環の水素還元反応を
行うため、高温高圧の厳しい反応条件で反応を行う必要
があり、特殊な反応設備が要求されることになる。更
に、安息香酸やそのエステル類を用いる方法では、置換
基の種類によってはこのような化合物の合成が工業的に
難しいため、入手が困難である。従って、シクロヘキシ
ルメタノール類を工業的に簡便にかつ廉価に製造するた
めの研究の余地があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑みてなされたものであり、容易に入手することができ
る製造原料を用いて製造工程全般にわたり反応条件を比
較的穏やかにすると共に、還元反応に用いる水素の使用
量を抑制してシクロヘキシルメタノール類を簡便にかつ
廉価に製造する方法を提供することを目的とするもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ジエン化合物
及びカルボニル基を有するジエノフィル化合物からシク
ロヘキシルメタノール類を製造する方法であって、上記
ジエン化合物及び上記カルボニル基を有するジエノフィ
ル化合物を用いて環状付加反応を行う工程(a)の後
に、水素還元反応を行う工程(c)を含むシクロヘキシ
ルメタノール類の製造方法である。
【0007】本発明者らは、シクロヘキシルメタノール
類の製造方法についての問題点を綿密に精査したうえで
鋭意研究を行った結果、上述した製造方法が、容易に入
手することができる製造原料を用いて製造工程全般にわ
たり反応条件を比較的穏やかにすることができるため、
特殊な反応設備を必要とせず通常の製造設備で反応を行
うことができ、また、還元反応に用いる水素の使用量を
抑制することができるため、製造設備や製造原料にかか
るコストと、反応を行う際のコストとを抑制してシクロ
ヘキシルメタノール類を簡便にかつ廉価に製造すること
ができるという劇的な効果が生じる事実に遭遇し、本発
明に到達したものである。以下に、本発明を詳述する。
【0008】本発明のシクロヘキシルメタノール類の製
造方法は、ジエン化合物及びカルボニル基を有するジエ
ノフィル化合物からシクロヘキシルメタノール類を製造
する方法である。上記ジエン化合物及びジエノフィル化
合物は、1種又は2種以上用いてもよいが、目的物であ
るシクロヘキシルメタノール類の精製等が容易となる点
から、ジエン化合物及びジエノフィル化合物をそれぞれ
1種ずつ用いることが好ましい。本発明の製造方法が適
用されるシクロヘキシルメタノール類としては、シクロ
ヘキサン環にメタノール基(−CH2 OH)が結合した
構造を有するものであれば特に限定されず、シクロヘキ
サン環にメタノール基以外の置換基が結合していてもよ
い。また、シクロヘキサン環に結合しているメタノール
基の数、メタノール基の位置、メタノール基以外の置換
基の種類、置換基の位置等も特に限定されるものではな
い。このようなシクロヘキシルメタノール類の製造にお
いて、メタノール基を1つ有するシクロヘキシルメタノ
ールやメタノール基を2つ有するシクロヘキサンジメタ
ノールの製造に好適に適用されることとなる。
【0009】上記ジエン化合物としては、2個の二重結
合が単結合によりつながれた構造を有する化合物、いわ
ゆる共役した4パイ電子系化合物であれば特に限定され
ず、例えば、鎖状化合物であっても環状化合物であって
もよいが、鎖状化合物を好適に用いることができる。ま
た、ジエン化合物は、置換基を有する化合物であって
も、置換基を有しない化合物であってもよい。置換基を
有する場合には、本発明の作用効果を奏する限り、共役
した4パイ電子系化合物を構成する4つの炭素原子のう
ちの1つ又は2つ以上に置換基を有することになる。こ
のようなジエン化合物としては特に限定されず、例え
ば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、
シクロペンタジエン、シクロオクタジエン等が原料の入
手のしやすさから好ましい。また、これらの中でも、シ
クロヘキシルメタノールやシクロヘキサンジメタノール
を得る場合では、置換基を有しない化合物である1,3
−ブタジエンを用いることが好適である。このような
1,3−ブタジエンは、入手が容易であり、本発明にと
って好適な製造原料である。
【0010】上記カルボニル基を有するジエノフィル化
合物としては、不飽和結合を形成する炭素原子にカルボ
ニル基が結合している構造を有する化合物であれば特に
限定されず、例えば、鎖状化合物であっても環状化合物
であってもよいが、鎖状化合物を好適に用いることがで
きる。上記不飽和結合としては、二重結合であっても三
重結合であってもよいが、カルボニル基を有するジエノ
フィル化合物の入手が容易となることから、二重結合で
あることが好ましい。また、上記カルボニル基として
は、還元反応によりメタノール基となるものであれば特
に限定されず、例えば、アルデヒド基(−CHO)、カ
ルボン酸基(─COOH)、カルボン酸エステル基(−
COOR10)等が挙げられる。これらの中でも、アルデ
ヒド基であることが好ましい。このようなカルボニル基
は、ジエノフィル化合物中に1つ以上存在していればよ
い。
【0011】上記カルボニル基を有するジエノフィル化
合物としてはまた、カルボニル基以外の置換基を有する
化合物であっても、カルボニル基以外の置換基を有しな
い化合物であってもよい。カルボニル基以外の置換基を
有する場合には、本発明の作用効果を奏する限り、不飽
和結合を形成する炭素原子のうちの1つ又は2つに置換
基を有することになる。このようなジエノフィル化合物
としては特に限定されず、例えば、2−プロペナール
(アクロレイン)、メタクロレイン、アクリル酸(エス
テル)、メタクリル酸(エステル)等が原料の入手のし
やすさから好ましい。また、アクリル酸エステル、メタ
クリル酸エステルとしては特に限定されず、例えば、ア
クリル酸、メタクリル酸のメチルエステル、エチルエス
テル、プロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエ
ステル、オクチルエステル等が挙げられる。これらの中
でも、シクロヘキシルメタノールやシクロヘキサンジメ
タノールを得る場合では、カルボニル基以外の置換基を
有しない化合物である2−プロペナール(アクロレイ
ン)を用いることが好適である。このようなアクロレイ
ンは、入手が容易であり、本発明にとって好適な製造原
料である。上記ジエン化合物及び上記カルボニル基を有
するジエノフィル化合物の組み合わせは、目的とするシ
クロヘキシルメタノール類の構造に応じて適宜選択すれ
ばよく、特に限定されるものではない。
【0012】上記工程(a)においては、上記ジエン化
合物及び上記カルボニル基を有するジエノフィル化合物
を用いて環状付加反応を行う。このような環状付加反応
は、ディールズ−アルダー反応(Diels−Alde
r反応)と呼ばれる。上記工程(a)において生成する
化合物は、ジエノフィル化合物に由来するカルボニル基
を有する不飽和環状化合物であり、ジエン化合物及びジ
エノフィル化合物により異なる化合物となる。例えば、
ジエノフィル化合物が二重結合を有する化合物である場
合には、シクロヘキセン化合物が生成し、三重結合を有
する場合には、シクロヘキサジエン化合物が生成するこ
とになる。また、ジエン化合物及び/又はジエノフィル
化合物が置換基を有するものである場合には、置換基を
有する不飽和環状化合物が生成することになる。
【0013】上記工程(a)におけるジエン化合物及び
カルボニル基を有するジエノフィル化合物の比率として
は特に限定されず、例えば、ジエン化合物1モルに対し
て、カルボニル基を有するジエノフィル化合物を0.1
〜10.0モル用いることが好ましい。より好ましく
は、0.3〜3.0モルである。更に好ましくは、両者
を等モル用いることである。
【0014】上記環状付加反応を行う反応条件として
は、ジエン化合物及びジエノフィル化合物の組み合わせ
等に応じて反応温度、反応圧力等を適宜設定すればよ
い。例えば、反応温度は、反応基質により適宜設定すれ
ばよく特に限定されないが、通常は−78〜200℃で
あり、好ましくは、0〜50℃である。−78℃未満で
あると、反応速度が遅くなりすぎ、反応を効率的に行う
ことが困難となるおそれがあり、200℃を超えると、
副反応が起こり易くなるので、収率が低下したり、生成
物が分解したりするおそれがある。上記反応圧力として
は特に限定されず、例えば、通常は常圧〜4.9MPa
であり、好ましくは、常圧〜9.8×105 Paであ
る。また、反応が激しい場合には、反応に関与しない溶
媒を用いることができる。
【0015】上記環状付加反応においては、反応が進行
しにくい場合、触媒を用いることができる。上記触媒と
しては、ルイス酸触媒が好ましい。上記ルイス酸触媒と
しては特に限定されず、例えば、塩化アルミニウム、三
弗化ホウ素、四塩化チタン等が挙げられる。これらは単
独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】本発明の製造方法は、工程(a)の後に、
水素還元反応を行う工程(c)を含む。上記工程(a)
により生成するカルボニル基を有する不飽和環状化合物
は、工程(c)において水素還元反応を行うことによ
り、不飽和結合及びカルボニル基が還元されてシクロヘ
キシルメタノール類が生成する。
【0017】上記水素還元反応を行う方法としては特に
限定されず、例えば、以下の(1)〜(5)に記載する
還元触媒等を用いて水素〔H2 〕と反応させる方法等を
用いることが好ましい。 (1)パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、イリ
ジウム等の貴金属(白金族)を、活性炭、アルミナ、珪
藻土等の担体に担持してなる貴金属担持型触媒。 (2)酸化パラジウム、酸化白金、酸化ルテニウム、酸
化ロジウム、酸化イリジウム等の貴金属酸化物。 (3)パラジウムブラック、白金ブラック、ルテニウム
ブラック、ロジウムブラック等の貴金属単体。 (4)ラネーニッケル、ラネーコバルト、ラネールテニ
ウム等のラネー系触媒。 (5)卑金属を担体に担持してなる卑金属担持型触媒。 上記還元触媒の使用量としては、還元触媒の組成、反応
条件、水素の供給方法等に応じて適宜設定すればよく、
特に限定されるものではない。。
【0018】上記水素還元反応における水素の使用量と
しては、カルボニル基を有する不飽和環状化合物の構造
等に応じて適宜設定すればよい。また、水素の供給方法
としては特に限定されるものではない。
【0019】上記水素還元反応における反応条件として
は、還元触媒の組成及び使用量、水素の供給方法等に応
じて反応温度や反応圧力等を適宜設定すればよい。例え
ば、反応温度としては、常温〜250℃とすることが好
ましい。常温未満であると、反応速度が著しく遅くなる
おそれがある。より好ましくは、50〜200℃であ
る。反応圧力としては、加圧したものであることが好ま
しい。また、水素還元反応では、特に溶媒を用いなくて
もよいが、必要に応じて、反応に対して不活性な溶媒を
用いることもできる。反応終了後には、還元触媒を濾別
等して生成物から分離することが好ましい。
【0020】上記製造方法においては、工程(a)及び
工程(c)以外に、本発明の作用効果を奏することにな
る限り、他の工程を含んでいてもよい。例えば、工程
(a)で生成した不飽和環状化合物を用いてオキソ反応
を行う工程(b)等を含むことが好ましい。この場合、
上記製造方法は、ジエン化合物及びカルボニル基を有す
るジエノフィル化合物を用いて環状付加反応を行う工程
(a)、オキソ反応を行う工程(b)及び水素還元反応
を行う工程(c)を含み、上記工程(a)、工程(b)
及び工程(c)がこの順で行われることになる。
【0021】上記オキソ反応は、ヒドロホルミル化反応
とも呼ばれ、これにより二重結合に一酸化炭素と水素と
が付加されて、アルデヒド基を有するシクロヘキサン化
合物が生成する。このようなアルデヒド基は、還元され
ることによりメタノール基となるので、本発明の製造方
法において、ジエノフィル由来のメタノール基以外のメ
タノール基をシクロヘキサンに導入することができる。
これにより、容易に入手することができるジエン化合物
及びカルボニル基を有するジエノフィル化合物から、
1,3位や1,4位等にメタノール基を有するシクロヘ
キシルメタノール類を比較的穏やかな反応条件で、還元
に用いる水素の使用量を抑制して製造することができる
ことになる。上記1,3位にメタノール基を有するシク
ロヘキシルメタノール類とは、1,3−シクロヘキサン
ジメタノール等であり、上記1,4位にメタノール基を
有するシクロヘキシルメタノール類とは、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール等である。
【0022】上記オキソ反応を行う方法としては特に限
定されず、一般的なオキソ反応を行う際に用いられる方
法等を採用すればよい。例えば、コバルト、ロジウム等
を含む触媒を用いて、二重結合に一酸化炭素素と水素と
を反応させる方法等が好ましい。
【0023】上記オキソ反応における反応条件として
は、触媒の組成及び使用量、一酸化炭素及び水素の供給
方法等に応じて反応温度や反応圧力等を適宜設定すれば
よい。例えば、反応温度としては、通常は50〜200
℃であり、好ましくは、80〜150℃である。50℃
未満であると、反応速度が著しく遅くなるおそれがあ
る。200℃を超えると、副反応が起こり易くなるの
で、副反応が起こり易くなるので、収率が低下したり、
生成物が分解したりするおそれがある。反応圧力として
は、加圧することが好ましく、通常は0.5〜15MP
aであり、好ましくは、0.5〜10MPaである。ま
た、特に溶媒を用いなくてもよいが、反応が激しすぎる
ような場合には、反応に関与しない溶媒を用いて希釈す
ることができる。このような溶媒としては特に限定され
ず、例えば、ヘキサン、トルエン等が挙げられる。ま
た、反応終了後には、触媒を濾別等して生成物から分離
することが好ましい。
【0024】上記Diels−Alder反応、水素還
元反応及びオキソ反応において、生成物等を精製する方
法としては特に限定されず、例えば、一般的な蒸留、結
晶化等の方法を用いることができる。また、未使用の原
料は、リサイクルして再度反応に供することができる。
【0025】上記Diels−Alder反応、水素還
元反応及びオキソ反応における反応形式としては特に限
定されず、例えば、回分式、半回分式、連続式等が挙げ
られ、反応条件や触媒等により適宜選択すればよい。ま
た、これらの反応における触媒の使用形態としては特に
限定されず、例えば、固定床、流動床等の不均一系で使
用してもよく、均一系で使用してもよい。
【0026】本発明はまた、シクロヘキセン化合物から
シクロヘキシルメタノール類を製造する方法であって、
上記シクロヘキセン化合物を用いてオキソ反応を行う工
程(b)の後に、水素還元反応を行う工程(c)を含む
シクロヘキシルメタノール類の製造方法である。このよ
うな製造方法によっても、容易に入手することができる
製造原料を用いて製造工程全般にわたり反応条件を比較
的穏やかにすると共に、還元反応に用いる水素の使用量
を抑制してシクロヘキシルメタノール類を簡便にかつ廉
価に製造することができる。
【0027】上記製造方法が適用されるシクロヘキシル
メタノール類としては、上述したのと同様に、シクロヘ
キサン環にメタノール基(−CH2 OH)が結合した構
造を有するものであれば特に限定されるものではない。
このようなシクロヘキシルメタノール類の製造におい
て、シクロヘキシルメタノールやシクロヘキサンジメタ
ノールの製造に好適に適用されることとなる。上記シク
ロヘキセン化合物としては、シクロヘキセン構造を有す
るものであれば特に限定されず、置換基を有する化合物
であっても、置換基を有しない化合物であってもよい。
置換基を有する場合には、本発明の作用効果を奏する限
り、シクロヘキセン環を構成する6つの炭素原子のうち
の1つ又は2つ以上に置換基を有することになり、最大
で9個の置換基を有することとなる。尚、本明細書中に
おいては、シクロヘキセン化合物の中には、シクロヘキ
サジエン化合物も含まれる。
【0028】上記シクロヘキセン化合物は、目的物であ
るシクロヘキシルメタノール類の構造に応じて適宜選択
されることになる。シクロヘキシルメタノールを得る場
合では、シクロヘキセンを用いることが好適であり、シ
クロヘキサンジメタノールを得る場合では、3−シクロ
ヘキセンカルボアルデヒドを用いることが好適である。
【0029】上記工程(b)におけるオキソ反応によ
り、シクロヘキセン化合物の二重結合に一酸化炭素と水
素とが付加されて、アルデヒド基を有するシクロヘキサ
ン化合物が生成する。上記オキソ反応を行う方法として
は、例えば、上述したのと同様のオキソ反応を行う際の
反応条件、触媒等を用いることができる。
【0030】上記製造方法は、工程(b)の後に、水素
還元反応を行う工程(c)を含む。上記水素還元反応を
行う方法としては、例えば、上述したのと同様の水素還
元反応を行う際の反応条件、触媒等を用いることができ
る。
【0031】上記製造方法においては、工程(b)及び
工程(c)以外に、本発明の作用効果を奏することにな
る限り、他の工程を含んでいてもよい。例えば、ジエン
化合物及びジエノフィル化合物を用いて環状付加反応を
行いシクロヘキセン化合物を生成する工程(a’)等を
含むことが好ましい。この場合、上記製造方法は、ジエ
ン化合物及びジエノフィル化合物を用いて環状付加反応
を行いシクロヘキセン化合物を生成する工程(a’)、
該シクロヘキセン化合物を用いてオキソ反応を行う工程
(b)、及び、水素還元反応を行う工程(c)を含み、
上記工程(a’)、工程(b)及び工程(c)がこの順
で行われることになる。これにより、容易に入手するこ
とができるジエン化合物及びジエノフィル化合物から、
1,3位や1,4位等にメタノール基を有するシクロヘ
キシルメタノール類を比較的穏やかな反応条件で、還元
に用いる水素の使用量を抑制して製造することができる
ことになる。また、シクロヘキセン環へ置換基を導入す
る場合も容易に行うことができることになる。
【0032】上記ジエン化合物及びジエノフィル化合物
の種類やその組み合わせとしては特に限定されず、シク
ロヘキセン化合物の構造により適宜選択されることにな
る。例えば、シクロヘキシルメタノールを得る場合で
は、1,3−ブタジエンとエチレンとの組み合わせを用
いることが好適であり、シクロヘキサンジメタノールを
得る場合では、ジエノフィル化合物として、カルボニル
基を有するジエノフィル化合物を用いることが好まし
く、1,3−ブタジエンとアクロレインとの組み合わせ
を用いることが好適である。
【0033】本発明の製造方法が適用されるシクロヘキ
シルメタノール類の製造方法の一例として、以下に反応
スキームを示す。
【0034】
【化1】
【0035】上記反応スキーム中、R1 〜R9 は、同一
若しくは異なって、水素原子又は置換基を表し、水素原
子、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
工程(a)及び工程(c)のみを行う場合には、Xは、
カルボニル基を表す。工程(b)及び工程(c)のみを
行う場合と、工程(a)、工程(b)及び工程(c)を
行う場合には、Xは、カルボニル基を表す。
【0036】本発明の製造方法により、工業的に有用な
シクロヘキシルメタノール類を、容易に入手することが
できる製造原料を用いて製造工程全般にわたり反応条件
を比較的穏やかにすると共に、還元反応に用いる水素の
使用量を抑制して製造することができる。このようなシ
クロヘキシルメタノール類は、各種の合成樹脂や合成繊
維等の高分子化合物等の化学工業製品の製造原料や中間
体として有用なものであり、本発明により簡便にかつ廉
価に製造されるため、様々な化学工業分野に広く用いる
ことができることになる。
【0037】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるも
のではない。
【0038】実施例1環状付加反応によるシクロヘキセン化合物の合成 原料と反応条件 1,3−ブタジエン:30g アクロレイン:34g ベンゼン(溶媒):100ml 三弗化ホウ素ジエチルエーテル錯体(触媒):0.9g ハイドロキノン(重合禁止剤):0.04g 反応温度:常温(反応初期)〜100℃ 反応収率:71%(アクロレイン基準) 300mlフラスコに窒素中でアクロレイン、ベンゼ
ン、ハイドロキノンを仕込んだ後、容器内を窒素でさら
に置換し、撹拌しながら触媒の三弗化ホウ素ジエチルエ
ーテル錯体を滴下し、5時間撹拌した。その後、フラス
コを冷却しながら、20℃でジエンをゆっくり液中へバ
ブリングした。12時間撹拌した後、反応液を水250
mlに注ぎ、ベンゼン層を分取し無水硫酸マグネシウム
で乾燥した。濾過で乾燥剤を除き、溶媒を減圧で除去し
た後、蒸留により3−シクロヘキセンカルボアルデヒド
を得た。 収率:アクロレインの71%が反応した。
【0039】オキソ反応によるアルデヒド基の導入 原料と反応条件 3−シクロヘキセンカルボアルデヒド:10g トルエン(溶媒):20g トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムクロライド
(触媒):0.01g gas雰囲気:CO/H2 =1/1 反応仕込み圧力:7.4MPa 反応温度:100℃ 反応収率:95% オートクレーブに、得られた3−シクロヘキセンカルボ
アルデヒド10gと、触媒としてロジウム触媒0.01
gとを仕込んで密封した。次いで、オートクレーブ内を
窒素ガス置換した後、一酸化炭素ガスと水素ガスとを充
填して内部の圧力を7.4MPaに加圧した。そして、
100℃に加熱し、オキソ反応を行った。これにより、
反応収率95%で1,4−シクロヘキサンジカルボアル
デヒドを得た。
【0040】水素還元反応 原料と反応条件 1,4−シクロヘキサンジカルボアルデヒド:5g メタノール(溶媒):15g 5wt%ルテニウム炭素(触媒):0.1g 反応温度:100℃ 反応圧力(水素):4.9MPa 反応収率:96% オートクレーブに、1,4−シクロヘキサンジカルボア
ルデヒド5g、及び、メタノール15gを仕込むと共
に、還元触媒である5wt%ルテニウム炭素0.1gを
添加して密封した。次いで、オートクレーブ内を窒素ガ
ス置換した後、水素ガスを充填して内部を4.9MPa
に加圧した。そして、100℃に加熱し、撹拌しながら
水素ガスが吸収されなくなるまで(内圧が低下しなくな
るまで)反応させた。これにより、1,4−シクロヘキ
サンジメタノールを得た。この反応の収率は、96%で
あった。
【0041】実施例2水素還元反応 原料と反応条件 3−シクロヘキセンカルボアルデヒド(実施例1と同様
に合成したもの):5g メタノール(溶媒):15g 5wt%ルテニウム炭素(触媒):0.1g 反応温度:100℃ 反応圧力(水素):4.9MPa 反応収率:94% オートクレーブに、3−シクロヘキセンカルボアルデヒ
ド、及び、メタノール15gを仕込むと共に、還元触媒
である5wt%ルテニウム炭素0.1gを添加して密封
した。次いで、オートクレーブ内を窒素ガス置換した
後、水素ガスを充填して内部を4.9MPaに加圧し
た。そして、100℃に加熱し、撹拌しながら水素ガス
が吸収されなくなるまで(内圧が低下しなくなるまで)
反応させた。これにより、シクロヘキシルメタノールを
得た。この反応の収率は、94%であった。
【0042】
【発明の効果】本発明のシクロヘキシルメタノール類の
製造方法は、上述のような構成からなるので、容易に入
手することができる製造原料を用いて製造工程全般にわ
たり反応条件を比較的穏やかにすると共に、還元反応に
用いる水素の使用量を抑制して、各種の合成樹脂や合成
繊維等の高分子化合物等の化学工業製品の製造原料や中
間体として有用なシクロヘキシルメタノール類を簡便に
かつ廉価に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA02 AC11 AC28 AC42 AC45 BA09 BA10 BA20 BA22 BA23 BA24 BA25 BA26 BA30 BA37 BA53 BA55 BA67 BA70 BB11 BC10 BC11 BC31 BE20 FC22 FE11 4H039 CA40 CA62 CB20 CL45

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジエン化合物及びカルボニル基を有する
    ジエノフィル化合物からシクロヘキシルメタノール類を
    製造する方法であって、該ジエン化合物及び該カルボニ
    ル基を有するジエノフィル化合物を用いて環状付加反応
    を行う工程(a)の後に、水素還元反応を行う工程
    (c)を含むことを特徴とするシクロヘキシルメタノー
    ル類の製造方法。
  2. 【請求項2】 シクロヘキセン化合物からシクロヘキシ
    ルメタノール類を製造する方法であって、該シクロヘキ
    セン化合物を用いてオキソ反応を行う工程(b)の後
    に、水素還元反応を行う工程(c)を含むことを特徴と
    するシクロヘキシルメタノール類の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010538075A (ja) * 2007-09-07 2010-12-09 ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド 脂肪族ジアルデヒドの脂肪族ジオールへの水素化
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CN114181077A (zh) * 2021-12-20 2022-03-15 风火轮(上海)生物科技有限公司 一种合成氨甲环酸的方法

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