JP3217538B2 - 1,6−ヘキサンジオールの製造方法 - Google Patents

1,6−ヘキサンジオールの製造方法

Info

Publication number
JP3217538B2
JP3217538B2 JP11956693A JP11956693A JP3217538B2 JP 3217538 B2 JP3217538 B2 JP 3217538B2 JP 11956693 A JP11956693 A JP 11956693A JP 11956693 A JP11956693 A JP 11956693A JP 3217538 B2 JP3217538 B2 JP 3217538B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction
catalyst
hexanediol
hydrogen
acrylate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP11956693A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06329567A (ja
Inventor
哲郎 林
利生 林
▲隆▼一 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP11956693A priority Critical patent/JP3217538B2/ja
Publication of JPH06329567A publication Critical patent/JPH06329567A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3217538B2 publication Critical patent/JP3217538B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、可塑剤、ポリエステ
ル、ポリウレタン等の原料として有用な1,6−ヘキサン
ジオールの製造方法に関するものであって、さらに詳し
くは、アクリル酸エステルを直鎖二量化して得た化合物
を還元触媒の存在下にて水素化する工程を含む1,6−ヘ
キサンジオールの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、1,6−ヘキサンジオールを製造
する方法として、アジピン酸エステル類や、オキシカプ
ロン酸エステル類等を原料として使用する方法が広く知
られている。
【0003】従来、これら原料は、シクロヘキサンの分
子状酸素含有ガスによる液相酸化反応液から抽出し、エ
ステル化することによって得られている。例えばドイツ
国特許第1,206,417号明細書には、シクロヘキサン
液相酸化反応液を水で抽出して得られた抽出物をアルコ
ールでエステル化し、ついでこのエステル化物を触媒の
存在下、水素添加して1,6−ヘキサンジオールを製造す
る方法が記載されている。
【0004】また、特公昭53−18482号公報、特
公昭53−33567号公報、特開昭50−16021
1号公報には、シクロヘキサン液相酸化反応液を芒硝水
溶液で抽出した後、さらに有機溶剤で抽出して得られた
抽出物をアルコールでエステル化し、ついでこのエステ
ル化物を触媒の存在下、水素添加して1,6−ヘキサンジ
オールを製造する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シクロ
ヘキサンの分子状酸素含有ガスによる液相酸化反応液中
には、未反応シクロヘキサン等の非酸性物質、アジピン
酸等の二塩基酸類、カプロン酸等の一塩基酸類、オキシ
カプロン酸などのオキシ酸類、前記酸類のエステル、ア
ルデヒド類、アルコール類、及びその他種々の未知物質
が含有されている。したがって、前記ドイツ国特許第1,
206,417号明細書に記載されている方法でシクロヘ
キサン液相酸化反応液を抽出した場合には、水層中に後
続の水素添加反応において悪影響を及ぼす何らかの有害
成分が混入してくるために、水素添加反応速度が極めて
遅くなり、多量の触媒を使用しなければ目的生成物であ
る1,6−ヘキサンジオールを充分な収率で得ることがで
きず、また、触媒活性の低下が著しくなるなどの問題が
あった。
【0006】このような問題は、シクロヘキサン液相酸
化反応液の水抽出物をエステル化して得られるエステル
化物を水素添加する際に生じる特有の現象であり、前記
のようなシクロヘキサンの液相酸化反応液中に含まれる
非酸性物質、二塩基酸類、一塩基酸類、オキシ酸類、及
び前記各酸類のエステル、アルデヒド類、アルコール類
などの既知物質によっては起こらないものであることが
確認されている。したがって、このような悪影響は、こ
れら以外の何らかの有害成分によるものと推定される。
【0007】これに対し、前記した日本国の各公報に記
載されている方法は、その抽出工程を改良したものであ
る。すなわち、シクロヘキサン液相酸化反応液を芒硝水
溶液で抽出した後、さらに有機溶剤で抽出することによ
り、後続の水素添加反応において悪影響を及ぼす有害成
分の混入を回避した方法である。
【0008】しかしながら、このシクロヘキサン液相酸
化反応液を芒硝水溶液で抽出した後、さらに有機溶剤で
抽出して得られた抽出物をアルコールでエステル化し、
ついで、このエステル化物を水素添加する方法において
も、複雑な抽出工程を経なければならない上に、有機物
を含む芒硝水溶液の処理が必要であり、さらに大量の廃
棄物が生成するという問題がある。
【0009】また、上記各公報の実施例に記載されてい
る1,6−ヘキサンジオールの収率は、酸化反応液中に含
まれる1,6−ヘキサンジオールに変換し得る成分に対し
て50%以下(特公昭53−18482号、特公昭53
−33567号)、また酸化反応液を抽出し、さらにエ
ステル化した反応液中の1,6−ヘキサンジオールに変換
し得る成分に対して85%以下(特開昭50−1602
11号)であり、工業的に満足のいくものではない。
【0010】一方、シクロヘキサノンを硝酸酸化して得
られるアジピン酸をエステル化した後、水素添加して1,
6−ヘキサンジオールを製造する方法も提案されている
が、このプロセスは、硝酸酸化工程で大量の亜酸化窒素
が生成するという問題があり、環境上好ましくない。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
工程が簡略で、かつ、廃棄物の少ない1,6−ヘキサンジ
オールの製造方法について鋭意検討した結果、本発明を
完成するに至った。すなわち、本発明は、アクリル酸エ
ステルを直鎖二量化する工程と、得られたアクリル酸エ
ステルの直鎖二量体を還元触媒の存在下にて水素化する
工程とを有することを特徴とする1,6−ヘキサンジオー
ルの製造方法を提供するものである。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明を実施するにあたり、原料として使
用されるアクリル酸エステルとしては、特には限定され
ないが、アクリル酸エステルのエステル部分が、炭素数
1〜8のアルキル基であることが、取扱いが容易な点で
好ましく、具体的に例示すると、メチル基、エチル基、
プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−
ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル
基、2−エチルヘキシル基等を挙げることができる。
【0014】また、原料として使用されるアクリル酸エ
ステルを直鎖二量化する方法としては、公知の方法、例
えばパラジウム、ルテニウム、ニッケル等を含む有機錯
体触媒を用いる方法等を用いても良いが、本願出願人が
先に提案したように、(a)パラジウム化合物(b)ハ
ロゲン原子を含む鉄化合物あるいはハロゲン原子を含む
バナジウム化合物および (c)硝酸、硝酸塩、あるいは二酸化窒素を含む触媒系
を使用する方法(特願平4−256029号参照)を適
用すると、上記した公知の方法を適用した場合と比較し
て、 アクリル酸エステルの直鎖二量体の選択率が極めて高
い 触媒系が安定で寿命が長い 触媒と生成物との分離が容易である 等の点で有利である。
【0015】上記アクリル酸エステルを直鎖二量化して
得られる化合物は、次の一般式(1)あるいは(2)で
示される。
【0016】 R1 OOCCH=CHCH2 CH2 COOR2 (1) R3 OOCCH2 CH=CHCH2 COOR4 (2) ただし、式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 は、同一であっ
ても異なっていても良く、特に炭素数1〜8のアルキル
基であることが、取扱いが容易な点で好ましく、具体的
に例示すると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソ
プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ter
t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘ
キシル基等を挙げることができる。
【0017】また、本発明の水素化工程において用いら
れる還元触媒は、公知のものでよく、例示すると、鉄、
ニッケル、コバルト、銅、銅クロム酸化物、白金、ルテ
ニウム等を主成分とする触媒を挙げることができる。中
でも、銅クロム酸化物を主体とする触媒の使用が好まし
い。触媒の形態としては、粉末状またはタブレット状等
の何れのものでもよく、それを使用する反応形態に併せ
て任意に選択することができる。
【0018】水素化反応は液相、気相のいずれで実施し
てもよく、反応形式は回分式、連続式のいずれでもよ
い。この水素化反応を液相、回分式で実施する場合、反
応温度は150〜350℃であり、好ましくは180〜
300℃である。反応温度を350℃以上にすると、副
反応生成物量が増大し、また150℃以下では反応速度
が遅くなるので実用的でない。一般に、反応は、水素分
圧が高いほど容易に進行するが、実用的には少なくとも
70Kg/cm2 以上の水素分圧が適当であり、特に8
0〜200Kg/cm2 の水素分圧が好ましい。
【0019】上記還元触媒の濃度は、一般的に高いほど
反応が容易に進行するが、実用的には、使用されるアク
リル酸エステルの直鎖二量体に対して1〜40wt%、
好ましくは5〜30wt%の濃度である。また、本反応
は、溶媒を用いても、あるいは無溶媒下でも行われる。
尚、溶媒を使用する場合は、原料のエステル化物に対応
する1価アルコールを使用するのが、製造プロセスを簡
略化する上で好ましい。
【0020】一方、上記水素化反応を気相、連続式で実
施する場合、還元触媒は、通常水素処理により活性化さ
れた後、反応に供せられる。この際の反応条件は、15
0〜300℃、好ましくは180〜280℃の温度範
囲、10〜70Kg/cm2 、好ましくは25〜60K
g/cm2 の圧力範囲であり、反応系を気相に保って水
素化を行う。
【0021】反応温度を300℃以上にすると、副反応
が急増して、原料の利用効率が低下し、また逆に150
℃未満の反応温度では、反応速度が著しく低下するので
実用的ではない。
【0022】反応圧力が70Kg/cm2 以上では、反
応系を気相に保つために必要な水素量(必要水素量)が
増大すること、さらに反応装置面において高度の耐圧性
が要求されるので好ましくない。一方、10Kg/cm
2 未満においては、必要水素量は減少するが、反応速度
が低下し、副反応が増加するので実用的ではない。
【0023】この気相水素化反応を有利に進めるために
は、上記一般式(1)あるいは(2)で示される原料エ
ステル体の中でも、比較的蒸気圧の高い、R1 ,R2
3,R4 がそれぞれ独立してメチル基、エチル基であ
るエステル体を用いるのが好ましく、かつ、これら原料
エステルと生成1,6−ヘキサンジオールを気相に保つの
が好ましい。
【0024】この場合、上記温度範囲における1,6−ヘ
キサンジオールの分圧は、これら原料エステルより低い
ので、反応系を気相に保つ条件は、1,6−ヘキサンジオ
ールの気化条件に近いものになる。したがって、必要水
素量は、温度、圧力によって異なるが、その概略値は、
大まかには次式によって近似される。
【0025】〔必要水素量〕/〔式(1)あるいは式(2)
の原料エステル供給量〕〔モル比〕≒〔反応系の全圧
(Kg/cm2 )〕/〔P(Kg/cm2 )〕 ここで、Pは設定温度における1,6−ヘキサンジオール
の蒸気圧である。
【0026】反応系に供給される水素量は、上記必要水
素量の1〜数100倍であり、好ましくは1〜20倍で
ある。供給水素量が必要水素量に対して余りに多い場合
は、水素の供給操作および生成物の冷却操作などが煩雑
となり好ましくない。また、供給量が多いと、原料と触
媒との接触時間が短くなりすぎて、反応収率が低下する
虞れがある。
【0027】また、アクリル酸エステルを二量化して得
られた直鎖二量体の液体空間速度(原料供給容量速度を
触媒容量で割った値:LHSV)は0.1〜10.0h
-1、好ましくは0.2〜3.0hr-1である。上記二量体
の転化率を極限まで上げるために、LHSVを0.1hr
-1以下で反応を行うと、1,6−ヘキサンジオールの選択
率が低下し、結果的に収率を低下させることになるた
め、避けた方が良い。一方、LHSVを大きく上げる
と、単位触媒容積・時間当たりの1,6−ヘキサンジオー
ルの生産性を上昇させることができるが、上記二量体の
転化率が低下して結果的に未反応エステルや、反応中間
体を大量に循環再使用することになるため、効率的な方
法とは言えなくなる場合もある。
【0028】上記水素化反応を液相、連続式で実施する
場合、反応温度は150〜350℃であり、好ましくは
180〜300℃である。反応温度を350℃以上にす
ると、副反応生成物量が増大する。さらに、反応系を液
相に保つために反応圧力を上げる必要があり、好ましく
ない。また、150℃以下では、反応速度が遅くなるの
で、実用的でない。
【0029】反応圧力は実用的には少なくとも70Kg
/cm2 以上、好ましくは80〜250Kg/cm2
ある。250Kg/cm2 以上になると、反応装置にお
いて高度の耐圧性が要求されるので好ましくない。一
方、70Kg/cm2 以下では反応速度が遅くなるため
実用的でない。LHSVは、気相、連続式と同様で0.1
〜10hr-1、好ましくは0.2〜3.0hr-1である。
【0030】また、水素化反応に用いられる水素ガス
は、必ずしも高純度である必要はなく、水素化反応に悪
影響を与えないN2 、CH4 等の不活性成分を含んでい
てもよい。
【0031】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0032】〔実施例1〕まず、アクリル酸メチルの直
鎖二量体(以下、MADと略す)を、本願出願人が先に
提案した特願平4−256029号における実施例1に
記載の方法で合成した。つまり、温度計および撹拌器を
備えた100mlガラス製フラスコに、PdCl2 0.3
4g(2mmol)、FeCl3 8.1g(50mmo
l)、アクリル酸メチル86g(1mmol)、及びF
e(NO3)3 ・9H2 O2.0g(5mmol)を加え、
内温65℃で15時間撹拌し、アクリル酸メチルの二量
化反応を行った。これにより生成したMADを、蒸留に
より分離した。この反応によるMADの選択率は、95
モル%であった。
【0033】次に、上記の方法で得られたMAD5g、
溶媒としてのメタノール25g、還元触媒としての銅ク
ロム酸化物触媒(日輝株式会社製:N203SD)1g
をオートクレーブ(100ml)に入れ、室温(25
℃)で100Kg/cm2 の水素ガスを前記オートクレ
ーブ内へ供給し、反応温度250℃で4時間反応させる
ことにより、MADの水素化反応を行った。
【0034】その結果、この反応によって生成した1,6
−ヘキサンジオール(以下、1,6−HDと略す)の収率
は97モル%であり、MADの転化率は100モル%で
あった。またアクリル酸メチルを基準とする通算の1,6
−HDの選択率は92モル%であった。
【0035】〔実施例2〕MADを実施例1と同様の方
法で合成し、次に、このMADを16.7ml/hr、水
素を240リットル/hrの速度でそれぞれ予熱器に供
給して気化せしめ、さらに、反応温度235℃で上記M
AD及び水素を、予め水素により充分に活性化された銅
クロム酸化物触媒(日輝株式会社製:N201,16−
42メッシュに粉砕)15mlを充填した反応管に供給
し、30Kg/cm2 の条件下で、MADを水素化する
気相連続反応を行った。このときのLHSVは、1.11
hr-1である。
【0036】また、上記銅クロム酸化物触媒の活性化処
理は、以下の示すような方法で行った。つまり、触媒を
充填した反応管に水素濃度1〜5%の窒素を流しながら
温度を徐々に上昇させる。温度が130〜140℃にな
ると水素の吸収が始まり、発熱反応により触媒の温度が
上昇する。このとき、触媒の温度が200℃、できれば
170〜180℃を越えないようにガス流量及び水素濃
度を調節する。発熱反応が終了したら水素濃度を順次上
げ、最終的に100%として200℃で5〜50時間処
理することにより、銅クロム酸化物触媒の活性化処理が
終了する。
【0037】また、上記のようなMADの水素化反応に
よって生成した1,6−HDの収率は、96モル%であ
り、MADの転化率は100モル%であった。また、ア
クリル酸メチルを基準とする通算の1,6−HDの選択率
は91モル%であった。
【0038】〔実施例3〕アクリル酸ブチルの直鎖二量
体(以下、BADと略す)を、前記特願平4−2560
29号における実施例11記載の方法で合成した。つま
り、温度計、撹拌器を備えた100mlガラス製フラス
コにPdCl2 0.34g(2mmol)、FeCl3 8.
1g(50mmol)、アクリル酸ブチル128g(1
mmol)、及びMn(NO3)3 ・6H2 O1.7g(6
mmol)を加え、内温65℃で15時間撹拌すること
により、アクリル酸ブチルの二量化反応を行った。これ
により、生成したBADを、蒸留により分離した。この
反応によるBADの選択率は、95モル%であった。
【0039】次に実施例2と同様の方法で活性化処理し
た銅クロム酸化物触媒(日輝株式会社製:N201,1
6−42メッシュに粉砕)を32.5g(25ml)充填
した反応管に、反応温度200℃、反応圧力200Kg
/cm2 、水素供給量を反応管の出口で5リットル/h
rとして、上記BADを23.2g/hrの速度で水素と
共に供給し、液相連続反応を行った。このときのLHS
Vは、1.0hr-1である。
【0040】その結果、この反応によって生成した1,6
−HDの収率は、97モル%であり、BADの転化率は
100モル%であった。また、アクリル酸ブチルを基準
とする通算の1,6−HDの選択率は92モル%であっ
た。
【0041】〔実施例4〕アクリル酸オクチルの直鎖二
量体(以下、OADと略す)を上記特願平4−2560
29号における実施例12記載の方法で合成した。つま
り、温度計および撹拌器を備えた100mlガラス製フ
ラスコに、PdCl2 0.34g(2mmol)、FeC
3 8.1g(50mmol)、アクリル酸オクチル18
4g(1mmol)、及びMn(NO3)3 ・6H2 O1.
7g(6mmol)を加え、内温65℃で15時間撹拌
し、アクリル酸オクチルの二量化反応を行った。これに
より生成したOADを蒸留により分離した。この反応よ
るOADの選択率は、95モル%であった。
【0042】次に、上記の反応により得られたOAD5
g、溶媒としてのオクタノール25gを用いた以外は、
前記実施例1と同様の条件および触媒を用いて、OAD
の水素化反応を行い、1,6−HDを合成した。
【0043】その結果、この反応によって生成した1,6
−HDの収率は、95モル%であり、BADの転化率は
100モル%であった。また、アクリル酸ブチルを基準
とする通算の1,6−HDの選択率は90モル%であっ
た。
【0044】〔実施例5〕まず、MADを米国特許第
4,451,665号明細書における実施例6に記載されている
方法で合成した。つまり、温度計及び撹拌器を供えた1
00mlのガラス製フラスコに、Pd(CH3 CN)4
(PF6)2 1.68g(3mmol)、LiBF4 9.0g
(96mmol)、ウンデカン1ml、及びアクリル酸
メチル50mlを加え、内温40℃で17時間撹拌し、
アクリル酸メチルの二量化反応を行った。これにより生
成したMADを蒸留により分離した。この反応によるM
ADの選択率は90モル%であった。次に、上記の方法
で得られたMAD5gを用いた以外は、上記実施例1と
同様の条件および触媒で、MADの水素化反応を行い、
1,6−HDを合成した。その結果、この反応によって生
成した1,6−HDの収率は97モル%であり、MAD転
化率は100%であった。また、アクリル酸メチルを基
準とする通算の1,6−HDの選択率は、87モル%であ
った。
【0045】上記実施例1〜5の結果を表1にまとめて
示す。
【0046】
【表1】
【0047】〔比較例1〕MADの代わりに市販のアジ
ピン酸ジメチル(東京化成品株式会社製)5gを用いた
以外は、前記実施例1と同様の条件および触媒で、MA
Dの水素化反応を行い、1,6−HDを合成した。その結
果、この反応によって生成した1,6−HDの収率は94
モル%であり、アジピン酸ジメチルの転化率は100%
であった。
【0048】上記表1から明らかなように、アクリル酸
メチル、アクリル酸ブチル、あるいはアクリル酸オクチ
ル等のアクリル酸エステルを直鎖二量化し、さらに、得
られたアクリル酸エステルの二量体を水素化することに
より、高収率で1,6−HDを製造することが可能にな
る。
【0049】さらに、本発明の方法では、前記した従来
の技術で述べたように、シクロヘキサンの液相酸化を経
る方法のような複雑な抽出工程を必要とせず、多量の廃
棄物を生ずることもない。また、アジピン酸エステルを
得る前段として、シクロヘキサノンを硝酸酸化してアジ
ピン酸を得る反応時に多量発生する亜酸化窒素による環
境汚染等の問題も生じない。
【0050】また、本発明において、アクリル酸エステ
ルの直鎖二量化反応により、前記一般式(1)あるいは
(2)で示される化合物を合成し、さらにこの化合物を
水素化反応させる1,6−HDの製造は、反応中間体とし
て内部オレフィンが水素化されたアジピン酸エステルを
経由して反応が進行すると考えられるが、実施例1と比
較例1との比較より明らかなように、水素化工程におけ
る1,6−HDの収率は、理由は不明であるが、本発明の
方法による方が、予期せず高い結果が得られることが明
らかになった。
【0051】以上のことより、1,6−HDを製造する方
法として、本発明の方法が従来の方法よりも、プロセス
の簡略化、廃棄物の低減、収率の向上等の点で優れてい
ることがわかる。
【0052】
【発明の効果】本発明の方法によれば、前記した従来の
製造方法と比較して、アクリル酸エステルを直鎖二量化
し、さらに水素化することにより、複雑な抽出工程を要
することなく、容易に1,6−ヘキサンジオールを得るこ
とができるので、製造工程が簡略化されると共に、反応
に伴って生じる廃棄物を減少させることが可能になると
いう効果を奏する。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−186377(JP,A) 特開 平6−100496(JP,A) 特開 昭50−160210(JP,A) 特開 昭50−160211(JP,A) 特開 昭50−160212(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 31/20 C07C 29/149 C07C 29/44

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アクリル酸エステルを直鎖二量化する工程
    と、得られたアクリル酸エステルの直鎖二量体を還元触
    媒の存在下にて水素化する工程とを有することを特徴と
    する1,6−ヘキサンジオールの製造方法。
JP11956693A 1993-05-21 1993-05-21 1,6−ヘキサンジオールの製造方法 Expired - Fee Related JP3217538B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11956693A JP3217538B2 (ja) 1993-05-21 1993-05-21 1,6−ヘキサンジオールの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11956693A JP3217538B2 (ja) 1993-05-21 1993-05-21 1,6−ヘキサンジオールの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06329567A JPH06329567A (ja) 1994-11-29
JP3217538B2 true JP3217538B2 (ja) 2001-10-09

Family

ID=14764511

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11956693A Expired - Fee Related JP3217538B2 (ja) 1993-05-21 1993-05-21 1,6−ヘキサンジオールの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3217538B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001316312A (ja) * 2000-03-03 2001-11-13 Asahi Kasei Corp 高純度1,6−ヘキサンジオール
DE10258316A1 (de) 2002-12-13 2004-06-24 Basf Ag Verfahren zur Herstellung von1,6-Hexandiol
DE102009047196A1 (de) * 2009-11-26 2011-06-01 Basf Se Verfahren zur Herstellung von 1,6-Hexandiol

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06329567A (ja) 1994-11-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US3772380A (en) Production of carboxylic acids and esters
JP2916277B2 (ja) tert−ブチルヒドロペルオキシドからtert−ブチルアルコールの触媒的製造法
KR20050088313A (ko) 1,6-헥산디올의 제조 방법
US4256909A (en) Preparation of dimethyl butanedicarboxylates
JP3217538B2 (ja) 1,6−ヘキサンジオールの製造方法
JPS58246A (ja) アルコ−ルのカルボニル化用触媒
US4121039A (en) Process for producing an unsaturated glycol diester using a catalyst comprising palladium containing thorium as a promotor
JP2585721B2 (ja) アジピン酸の製造方法
US3213145A (en) Catalytic hydrogenation of esters of aromatic monocarboxylic acids to aryl-substituted methanols
JP2624999B2 (ja) ω−ホルミルアルカンカルボン酸エステルの製造
JPH1180068A (ja) トリシクロデカンジアルデヒドの製造方法
US4354037A (en) Process for preparing benzenecarboxylic acids
JPS5984840A (ja) カルボン酸の製造方法
US5003102A (en) Preparation of 5-formylvaleric esters
JPS595570B2 (ja) 桂皮酸エステル類の製造方法
JPH07100679B2 (ja) α−(3−ベンゾイルフエニル)プロピオン酸またはそのエステルの製造方法
JP4237500B2 (ja) トルエン誘導体の一段階調製方法
US4935549A (en) Process for producing acetic acid
JPH0147451B2 (ja)
JP2548590B2 (ja) 共役ジエンの選択的酸化カルボニル化方法
US4827023A (en) Process for the selective formation of dialkyl succinates
JPS6324501B2 (ja)
JP3235980B2 (ja) 不飽和カルボン酸エステルを製造する際の重合防止方法
JPS5872539A (ja) ジカルボン酸エステルの製造方法
JP3178000B2 (ja) 芳香族多価アルコールの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees