JP2002045697A - 排ガス浄化用触媒および排ガス浄化方法 - Google Patents

排ガス浄化用触媒および排ガス浄化方法

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JP2002045697A JP2000233922A JP2000233922A JP2002045697A JP 2002045697 A JP2002045697 A JP 2002045697A JP 2000233922 A JP2000233922 A JP 2000233922A JP 2000233922 A JP2000233922 A JP 2000233922A JP 2002045697 A JP2002045697 A JP 2002045697A
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exhaust gas
rhodium
methane
zirconia
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Hirofumi Otsuka
浩文 大塚
Takatoshi Nakahira
貴年 中平
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Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】メタンを還元剤として窒素酸化物を浄化できる
触媒であって、水蒸気などの活性阻害物質の存在下にお
いても、長期にわたり安定して活性を維持できる触媒を
提供する。 【解決手段】硫酸根ジルコニアにロジウムを担持した触
媒、および同触媒を用いて酸素過剰雰囲気下においてメ
タンの存在下に窒素酸化物を分解する排ガス浄化方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排ガス中に含ま
れ、環境に有害な窒素酸化物(NOx)を酸素過剰の雰囲気
下でメタンを用いて分解する触媒および該触媒を用いた
窒素酸化物の浄化方法に関する。
【0002】本発明における「酸素過剰雰囲気」とは、本
発明による触媒に接触させる被処理ガスが、そこに含ま
れる炭化水素、一酸化炭素などの還元性成分を完全酸化
するに必要な量以上の酸素、窒素酸化物などの酸化性成
分を含むガスであることを意味する。
【0003】
【従来の技術】炭化水素を還元剤として酸素過剰の雰囲
気下に窒素酸化物を還元する触媒は、特開昭63-100919
号公報、特開平1-135541号公報などに開示されている。
【0004】しかしながら、これらの公知文献は、炭化
水素としてメタンの使用を開示していない。メタンは、
種々の燃料を燃焼させる際に発生する燃焼排ガス中に存
在する。さらに、メタンは、本邦において家庭、工場な
どに広く供給されている天然ガス系都市ガスの主成分で
あるので、これを用いて窒素酸化物の還元を行うことが
可能となれば、酸化雰囲気下において炭化水素を還元剤
として窒素酸化物を還元するうえで利便性を著しく高め
ることになる。
【0005】リーおよびアーモーは、特開平5-192582号
公報において、メタンの存在下にコバルト、ロジウムな
どとイオン交換したゼオライト触媒を燃焼排ガスに接触
させる燃焼排ガス中の窒素酸化物の破壊法を開示してい
る。しかし、この触媒の活性は、十分なものではないう
え、実際の燃焼排ガスには必ず含まれる水蒸気の共存下
における触媒活性については一切触れられていない。即
ち、水蒸気は、炭化水素を還元剤として酸化雰囲気下に
窒素酸化物を還元する反応において、触媒活性の低下を
もたらすことがよく知られているが、上記公報には、共
存する水蒸気による触媒活性の低下とそれに対する対応
策は示されていない。
【0006】御園生は、特開平6-254352号公報におい
て、パラジウムをイオン交換したZSM-5型ゼオライト触
媒が、メタンを還元剤とする窒素酸化物の還元除去に活
性を示すことを開示している。しかし、この公報におい
ても、水蒸気の共存下での触媒性能については、言及さ
れていない。
【0007】ルキュイエおよびファクシュは、特表平8-
500772号公報において、パラジウムを0.3〜2重量%とな
るようにイオン交換したMFI型ゼオライト触媒が、メタ
ンを還元剤とする窒素酸化物の還元に対して、水蒸気の
存在下においても高い触媒活性を示すことを開示してい
る。
【0008】また、里川らは、平成8年度触媒研究発表
会講演予稿集(平成8年9月13日発行)において、モル
デナイトにパラジウムをイオン交換した触媒が、水蒸気
の存在下においても高い窒素酸化物の還元活性を示すこ
とを開示している。
【0009】しかし、これらの触媒は、水蒸気の存在下
では、活性が急速に低下するという問題点がある。
【0010】星らは、平成9年度触媒研究発表会講演予
稿集(平成9年8月25日発行)において、モルデナイ
トにパラジウムをイオン交換した触媒について、水蒸気
存在下での耐久性を開示している。これによれば、反応
開始時に50%程度あった窒素酸化物の除去率は、急速に
低下し、40時間後には30%に、70時間後には15%となって
しまう。
【0011】また、ゼオライト以外の担体に関しては、
レサスコ(Resasco)らが、アプライド キャタリシス
ビー:エンバイロンメンタル(Applied Catalysis B:
Environmental) 第7巻113頁(1995年)において、硫酸根
ジルコニアにパラジウムを担持した触媒を用いてメタン
を還元剤とする窒素酸化物の還元の結果を開示してい
る。
【0012】しかし、上記文献に記されている活性の経
時変化のグラフによれば、この触媒の活性は、水蒸気非
共存下であっても100分程度の短時間内に、明らかに劣
化の傾向を示している。
【0013】このように、従来の窒素酸化物分解用触媒
は、水蒸気によって著しい劣化を来すという問題点を有
しているので、水蒸気が不可避的に存在する燃焼排ガス
中の窒素酸化物の浄化に際しては、長期間にわたり高い
脱硝率を維持することができない。
【0014】さらに、燃焼排ガス中には、燃料中の微量
の有機硫黄分などに由来する微量の硫黄酸化物が存在す
る。これらは、わずか0.2 ppm程度という極微量であっ
ても、蓄積的に触媒に影響を及ぼし、その活性を低下さ
せることも知られている(例えば、西坂ら、平成9年度
触媒研究発表会講演予稿集、平成9年8月25日発
行)。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる状況
に鑑みて行われたものであって、その目的とするところ
は、メタンを還元剤として窒素酸化物を浄化できる触媒
であって、かつ水蒸気などの活性阻害物質の存在下にお
いても、長期にわたって安定して活性を維持できる触媒
を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】発明者らは、先に硫酸根
ジルコニアに白金およびパラジウムを担持してなる触媒
が、メタンの存在下に窒素酸化物を還元除去する反応に
おいて、高い耐久性を有することを見出した(特願平11-
152231号:特開2000-61308号公報)。
【0017】発明者は、さらに鋭意検討を重ねた結果、
硫酸根ジルコニアにロジウムを担持してなる触媒が、メ
タンを還元剤とする窒素酸化物の除去において、高い温
度でも有効な脱硝率を有するとともに高い耐久性を有す
ることを見出した。
【0018】さらに、ロジウムを担持した硫酸根ジルコ
ニアと白金および/またはルテニウムを担持した無機耐
熱性担体とを混合することによって、触媒活性が向上す
ることも見出した。
【0019】本発明は、かかる知見に基づきなされたも
のであり、下記の排ガス浄化用触媒および排ガス浄化方
法を提供する。 1.酸素過剰雰囲気下においてメタンの存在下に窒素酸
化物を分解する排ガス浄化用触媒であって、硫酸根ジル
コニアにロジウムを担持してなる触媒。 2.酸素過剰雰囲気下においてメタンの存在下に窒素酸
化物を分解する排ガス浄化用触媒であって、ロジウムを
担持した硫酸根ジルコニアと白金および/またはルテニ
ウムを担持した無機担体とを混合してなる触媒。 3.1)硫酸根ジルコニアにロジウムを担持してなる触
媒並びに/或いは 2) ロジウムを担持した硫酸根ジルコニアと白金および
/またはルテニウムを担持した無機担体とを混合してな
る触媒を用いて、酸素過剰雰囲気下においてメタンの存
在下に窒素酸化物を分解する排ガス浄化方法。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明は、酸素過剰雰囲気下にお
いてメタンの存在下に窒素酸化物を分解する排ガス浄化
用触媒であって、硫酸根ジルコニアにロジウムを担持し
てなる触媒 (以下、「第一触媒」ということがある)に係
る。また、本発明は、酸素過剰雰囲気下においてメタン
の存在下に窒素酸化物を分解する排ガス浄化用触媒であ
って、ロジウムを担持した硫酸根ジルコニアと白金およ
び/またはルテニウムを担持した無機担体とを混合して
なる触媒 (以下、「第二触媒」ということがある)に係
る。以下、第一触媒および第二触媒を併せて、「本発明
の触媒」ということがある。
【0021】本発明の第一触媒は、硫酸根ジルコニアに
ロジウムを担持する方法などによって得られる。硫酸根
ジルコニア自体は、公知の物質である(例えば、日野誠
および荒田一志、"表面"、28巻7号481頁(1990年);"表
面"、34巻2号51頁(1996年)など参照)。本発明の触媒
の調製には、これら公知の調製法に依って調製した硫酸
根ジルコニアを用いることができる。硫酸根ジルコニア
の調製例として、水酸化ジルコニウムを硫酸アンモニウ
ム水溶液、希硫酸などに含浸し、空気などの酸化雰囲気
下において焼成する方法が例示できる。用いる水酸化ジ
ルコニウムは、市販品を用いてもよく、或いは公知の方
法に従って調製してもよい。
【0022】硫酸根ジルコニア調製における焼成温度
は、高すぎると硫酸根が揮発してしまうおそれがあり、
一方低すぎると焼成の効果が奏されずに安定な結晶が形
成され難い。焼成温度は、450℃〜650℃程度とするのが
良く、500℃〜600℃程度がより好ましい。焼成時間は、
焼成温度などに応じて適宜設定することができるが、通
常1〜20時間程度、好ましくは3〜10時間程度である。
【0023】硫酸根の担持量が少なすぎる場合には、硫
酸根担持の効果が十分得られない。一方、硫酸根の担持
量が多すぎる場合には、安定した硫酸根ジルコニア担体
が得られがたい。第一触媒における硫酸根の担持量は、
硫酸根(SO4 2-)としてジルコニア(ZrO2)に対する重量比
で1〜20%程度とするのが良く、より好ましくは3〜10%程
度である。
【0024】本発明の第一触媒の比表面積は、得られる
触媒が安定に使用でき、担持金属の分散を保持できる限
り特に制限されないが、BET法による測定値として、通
常80〜200m2/g程度、好ましくは120〜160m2/g程度であ
る。
【0025】第一触媒におけるロジウムの担持方法は、
活性金属であるロジウムが、担体である硫酸根ジルコニ
ア中に高分散に担持される限り特に制限はない。例え
ば、硫酸根ジルコニアの調製時に同時にロジウムを担持
する方法、予め調製した硫酸根ジルコニアにロジウムを
担持する方法などが例示できる。好ましい担持方法とし
て、予め調製した硫酸根ジルコニアにロジウムを担持す
る方法が挙げられる。より具体的には、硝酸ロジウム、
ロジウムのアンミン錯体などロジウム化合物の水溶液を
用いて、予め調製した硫酸根ジルコニアにロジウムを含
浸担持させ、乾燥し、空気などの酸化雰囲気中において
焼成する。焼成温度は、低すぎると焼成の効果が不十分
となり安定した触媒活性が得られ難い。一方、焼成温度
が高すぎると、ロジウムの凝集が促進される恐れがあ
る。焼成温度は、300℃から600℃程度がよく、より好ま
しくは450℃から550℃程度である。焼成時間は、焼成温
度などに応じて適宜設定することができるが、通常1〜2
0時間程度、好ましくは3〜10時間程度である。
【0026】第一触媒におけるロジウムの担持量は、少
なすぎると十分な触媒活性が得られ難く、高すぎても凝
集して触媒活性が失われるおそれがあるので、硫酸根ジ
ルコニアに対する重量比として、通常0.05〜1.5%程度、
より好ましくは0.1〜1%程度である。
【0027】本発明の第一触媒には、活性金属として、
さらに、微量の白金および/またはパラジウムを担持し
てもよい。白金とパラジウムの担持量の合計は、いずれ
も微量、すなわち硫酸根ジルコニアに対する重量比とし
て約0.2%以下であって、かつロジウムに対する重量比
として5〜40%程度である。所定量の白金および/または
パラジウムをさらに添加することによって、特に低温域
における触媒活性が向上する。
【0028】白金および/またはパラジウムの担持方法
は、白金および/またはパラジウムが高分散に担持され
る限り特に制限はない。例えば、硫酸根ジルコニアの調
製時にロジウムと一緒に白金および/またはパラジウム
を担持する方法、予め調製した硫酸根ジルコニアにロジ
ウムと一緒に白金および/またはパラジウムを担持する
方法、予め調製したロジウム担持硫酸根ジルコニアに更
に白金および/またはパラジウムを担持する方法などが
例示できる。好ましい担持方法として、予め調製した硫
酸根ジルコニアにロジウムと一緒に白金および/または
パラジウムを担持する方法が挙げられる。より具体的に
は、ロジウム化合物(例えば、硝酸ロジウム、ロジウム
のアンミン錯体など)および白金化合物(例えば、白金の
アンミン錯体など)および/またはパラジウム化合物(例
えば、硝酸パラジウム、パラジウムアンミン錯体など)
を溶解させた水溶液に、予め調製した硫酸根ジルコニア
を含浸担持させ、乾燥し、空気などの酸化雰囲気中にお
いて焼成する。焼成温度は、300℃から600℃程度がよ
く、より好ましくは450℃から550℃程度である。焼成時
間は、焼成温度などに応じて適宜設定することができる
が、通常1〜20時間程度、好ましくは3〜10時間程度であ
る。
【0029】本発明の第二触媒は、ロジウムを担持した
硫酸根ジルコニアと白金および/またはルテニウムを担
持した無機担体とを混合してなる触媒である。第二触媒
におけるロジウムを担持した硫酸根ジルコニアとして、
本発明の第一触媒を用いることができる。
【0030】無機担体は、触媒の使用温度において安定
な耐熱性無機担体であれば特に制限されず、例えば、硫
酸根ジルコニア、ジルコニア、チタニア、シリカなどが
例示できる。これらの中では、硫酸根ジルコニアが特に
好ましい。
【0031】無機担体への白金および/またはルテニウ
ムの担持方法は、常法に従って行うことができ、例え
ば、白金化合物(例えば、白金のアンミン錯体など)およ
び/またはルテニウム化合物(例えば、硝酸ルテニウム、
ルテニウムアンミン錯体など)を含有する水溶液に無機
担体を含浸して担持し、焼成する方法などを例示でき
る。焼成温度は、300〜600℃程度がよく、より好ましく
は450〜550℃程度である。焼成時間は、焼成温度などに
応じて適宜設定することができるが、通常1〜20時間程
度、好ましくは3〜10時間程度である。
【0032】ロジウムを担持した硫酸根ジルコニアと白
金および/またはルテニウムを担持した無機担体とを混
合する方法は、二成分が均一に混合される限り特に制限
されず、常法を用いることができる。混合工程は、焼成
工程の前後のいずれにおいて行ってもよい。
【0033】白金および/またはルテニウムの無機担体
への担持量(白金および/またはルテニウムの合計量)
は、無機担体に対する重量比として0.2〜5%程度とする
のが好適であり、0.3〜2%程度とするのが特に好適であ
る。
【0034】ロジウムを担持した硫酸根ジルコニア触媒
と白金および/またはルテニウムを担持した無機担体と
の混合比は、特に制限されないが、通常重量比で10:1
〜1:1程度、好ましくは5:1〜2:1程度である。なお、
混合触媒中に含まれるロジウムと(白金+ルテニウム)
との重量比が、10:1〜1:1程度、特に5:1〜2:1程度
となる混合比がより好ましい。
【0035】本発明の第二触媒の比表面積(二成分の平
均値)は、得られる触媒が安定に使用でき、担持金属の
分散を保持できる限り特に制限されないが、BET法によ
る測定値として、通常50〜300m2/g程度、好ましくは100
〜200m2/g程度である。
【0036】本発明の触媒の形状は、特に制限されず、
例えば、ペレット状に成型して用いてもよく、耐火性ハ
ニカム担体上にウォシュコートして用いてもよい。いず
れの場合においても、必要に応じてバインダーを添加し
ても良い。
【0037】本発明の排ガス浄化方法は、1)硫酸根ジ
ルコニアにロジウムを担持してなる触媒並びに/或いは 2) ロジウムを担持した硫酸根ジルコニアと白金および
/またはルテニウムを担持した無機担体とを混合してな
る触媒を用いることを特徴とする。
【0038】触媒量は、少なすぎれば有効な浄化率が得
られず、多すぎても触媒量に見合った性能が得られない
ので、ガス時間当たり空間速度(GHSV)として、2,000h-1
から200,000 h-1程度が好ましく、5,000 h-1から60,000
h-1程度がより好ましい。
【0039】本発明の触媒は、高い触媒活性を有する
が、それでも排ガスの温度が低すぎる場合には有効な触
媒活性が得られないおそれがある。逆に、排ガスの温度
が高すぎる場合場合には、触媒の耐久性に問題が生じる
おそれがある。本発明の触媒は、好ましくは400℃から5
50℃程度、より好ましくは450℃から525℃程度で使用す
るのが望ましい。
【0040】本発明の方法における浄化対象である排ガ
ス中の窒素酸化物濃度は、特に制限されないが、通常10
〜5000 ppm程度である。
【0041】排ガス中のメタン濃度は、必要な脱硝率、
その他の反応条件などによって変わりうるが、高い脱硝
率を得るためには、通常、排ガス中の窒素酸化物濃度の
約1倍以上、より好ましくは約5倍以上である。このと
き、排ガス中に含まれるメタンが、窒素酸化物の還元に
必要な量よりも少ない場合には、メタン、天然ガス系都
市ガスなどのメタン含有ガスを適当量添加してもよい。
ただし、大量に添加しても費用に見合った脱硝率の向上
が得られないおそれがあり、また、添加した後のガスは
酸素過剰である必要があるので、添加できるメタン含有
ガスの量の上限は、被処理ガスの組成などに応じて定ま
る。
【0042】排ガス中の酸素濃度は、酸素を過剰に含む
限り特に制限はないが、極端に酸素濃度が低いときには
十分な反応活性が得られないおそれがある。例えば、体
積基準で1%以下のように排ガス中の酸素濃度が低すぎる
場合、排ガスの温度が高く、触媒の温度が前記の好まし
い温度範囲を超えるおそれがある場合などには、温度が
所定の範囲を下回らない程度において、適当量の空気を
排ガスに混合してから触媒に接触させてもよい。
【0043】
【発明の効果】本発明の触媒を用いれば、メタンを還元
剤とするNOx除去において、特に高い温度域でも高い脱
硝率が得られるとともに、長期にわたって安定した活性
が得られる。
【0044】さらに、従来の触媒では、活性が著しく低
下する水蒸気や硫黄酸化物の共存下においても、本発明
の触媒は、安定して高い触媒活性を維持することができ
る。
【0045】
【実施例】以下、実施例および比較例を示し、本発明の
特徴とするところをより詳細に説明するが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。
【0046】実施例1(触媒1の調製) 水酸化ジルコニウム(三津和化学薬品(株)製;ZrO2
して79重量%含有)180 gを、硫酸アンモニウム27 gを
溶解した水溶液210 mlに15時間浸漬した。これを蒸発乾
固した後、550℃で6時間焼成して、硫酸根ジルコニア
を得た。この硫酸根ジルコニア25 gを、ロジウムとして
0.125 gを含有するペンタアンミンアクアロジウム硝酸
塩水溶液20 gに15時間浸漬した。これを蒸発乾固した
後、500℃で9時間焼成して、硫酸根ジルコニアにロジ
ウムを0.5%担持した触媒1を得た。
【0047】実施例2(触媒2の調製) ペンタアンミンアクアロジウム硝酸塩とテトラアンミン
白金硝酸塩とを溶解して、ロジウムとして0.125 gと白
金として0.025 gを含有する水溶液20 gに実施例1と同
様にして得た硫酸根ジルコニア25 gを15時間浸漬した。
これを蒸発乾固した後、500℃で9時間焼成して、硫酸
根ジルコニアにロジウムを0.5%と白金を0.1%担持した触
媒2を得た。
【0048】実施例3(触媒3の調製) 白金として0.125 gを含有するテトラアンミン白金硝酸
塩水溶液20 gに実施例1と同様に調製した硫酸根ジルコ
ニア25 gを15時間浸漬した。これを蒸発乾固した後、50
0℃で9時間焼成して、白金を0.5%担持した硫酸根ジル
コニアを得た。この2.5 gをとり、実施例1と同様に調
製したロジウムを0.5%担持した硫酸根ジルコニア7.5 g
と混合して触媒3を得た。
【0049】実施例4(触媒4の調製) ルテニウムとして0.125 gを含有するヘキサアンミンル
テニウム硝酸塩水溶液20 gに実施例1と同様に調製した
硫酸根ジルコニア25 gを15時間浸漬した。これを蒸発乾
固した後、500℃で9時間焼成して、ルテニウムを0.5%
担持した硫酸根ジルコニアを得た。この2.5 gをとり、
実施例1と同様に調製したロジウムを0.5%担持した硫酸
根ジルコニアの7.5 gと混合して触媒4を得た。
【0050】比較例1(比較触媒1の調製) パラジウムとして0.125 gを含有する硝酸パラジウム水
溶液20 gに実施例1と同様に調製した硫酸根ジルコニア
25 gを15時間浸漬した。これを蒸発乾固した後、500℃
で9時間焼成して、硫酸根ジルコニアにパラジウムを0.
5%担持した比較触媒1を得た。
【0051】比較例2(比較触媒2の調製) H型モルデナイト(東ソー(株)製,シリカ・アルミナ比1
6)60 gをテトラアンミンパラジウム硝酸塩0.83 gと酢酸
アンモニウム6 gとを溶解させた水溶液700 mlに60℃に
おいて18時間浸漬することによってイオン交換を行っ
た。イオン交換したH型モルデナイトを濾取し、洗浄の
後、110℃で5時間乾燥し、さらに500℃で9時間空気中
で焼成して比較触媒2を得た。誘導結合プラズマ−発光
分光分析による組成分析の結果、Pdの担持量は0.42%で
あった。
【0052】実施例5(触媒活性試験1) 実施例1〜4および比較例1の触媒を打錠成形して粉砕
し、粒径1〜2mmに整粒した。それぞれの触媒4mlに模
擬排ガスをガス時間当たり空間速度(GHSV)15,000 h-1
で流通させて、触媒層温度450〜550℃におけるNOxの転
化率を測定した。模擬排ガスとして、一酸化窒素150 pp
m、メタン2000 ppm、酸素10%、水蒸気9%および残部ヘリ
ウムからなるガスを用いた。なお、実際の燃焼排ガスに
は、この他に通常5〜15%の二酸化炭素が含まれるが、こ
れが触媒活性に本質的な影響を及ぼさないことは別途確
認した。触媒層入口および出口のNOx濃度は、化学発光
式NOx分析計により測定した。NOx転化率(%)は、以下の
式によって計算した。
【0053】 (NOx転化率)= 100 × (1- NOx-out / NOx-in) ここで、「NOx-in」は、触媒層入口のNOx濃度、 「NOx-ou
t」は、触媒層出口のNOx濃度をそれぞれ表す。結果を表
1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】実施例の触媒が、パラジウムを担持した比
較例1の触媒に比して、特に高温側において顕著に高い
NOx転化率を示した。また、ロジウムを担持した硫酸根
ジルコニアに白金やルテニウムを無機担体に担持したも
のを混合することにより(実施例3および4)、より活性
が高くなった。
【0056】実施例6(触媒活性試験2) 実施例3および比較例2の触媒(4ml)に模擬排ガスをガ
ス時間当たり空間速度(GHSV)15,000 h-1にて流通し、
触媒層温度を450℃に保って触媒活性試験を行った。模
擬排ガスとして、一酸化窒素150 ppm、メタン2000 pp
m、酸素10%、水蒸気9%、二酸化硫黄3 ppmおよび残部ヘ
リウムからなるガスを用いた。メタン転化率(%)は、以
下の式によって計算した。 (メタン転化率) = 100×(CO-out + CO2-out) / (CO-ou
t + CO2-out + CH4-out) ここで、「CO-out」は、触媒層出口のCO濃度、 「CO2-out」
は、触媒層出口のCO2濃度、「CH4-out」は、触媒層出口の
CH4濃度をそれぞれ表す。
【0057】図1に実施例2において調製した触媒2を
用いた場合の結果を示し、図2に比較例2において調製
した比較触媒2を用いた場合の結果を示す。
【0058】図1から明らかなように、触媒2の活性
は、極めて安定しており、脱硝率は25%前後で安定して
推移した。これに対して、比較例2のPd/モルデナイト
触媒のNOx転化率は、図2から明らかなように、50時間
足らずで失われ劣化傾向が顕著であった。
【0059】実施例7(触媒活性試験3) 触媒層温度を500℃とした他は、実施例6と同様にし
て、実施例3および比較例2の触媒の活性試験を行っ
た。触媒2においては、反応開始当初50%であった脱硝
率は、10時間後には29%となり劣化が見られたが、46時
間後でも18%程度の脱硝率が保持されていた。
【0060】これに対し、比較例2のPd/モルデナイト
触媒においては、当初42%であったNOx転化率は、15時間
で1%以下となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2における触媒2のNOx転化率の経時変
化を示す図である(実施例6)。
【図2】比較例2における比較触媒2のNOx転化率の経
時変化を示す図である(実施例6)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3G091 AA12 AB05 BA04 BA07 BA14 BA39 CA16 FB07 FB10 GA01 GA06 GB01X GB05W GB06W GB07W GB10X GB16X 4D048 AA06 AB02 AB03 AC02 BA08X BA30X BA32X BA33X BA46X BB01 CC38 4G069 AA03 BB02A BB02B BB10A BB10B BC51A BC51B BC70A BC70B BC71A BC71B BC75A BC75B CA03 CA10 CA13 DA06 EA01Y EB18Y

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸素過剰雰囲気下においてメタンの存在下
    に窒素酸化物を分解する排ガス浄化用触媒であって、硫
    酸根ジルコニアにロジウムを担持してなる触媒。
  2. 【請求項2】酸素過剰雰囲気下においてメタンの存在下
    に窒素酸化物を分解する排ガス浄化用触媒であって、ロ
    ジウムを担持した硫酸根ジルコニアと白金および/また
    はルテニウムを担持した無機担体とを混合してなる触
    媒。
  3. 【請求項3】1)硫酸根ジルコニアにロジウムを担持し
    てなる触媒並びに/或いは 2) ロジウムを担持した硫酸根ジルコニアと白金および
    /またはルテニウムを担持した無機担体とを混合してな
    る触媒を用いて、酸素過剰雰囲気下においてメタンの存
    在下に窒素酸化物を分解する排ガス浄化方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006326433A (ja) * 2005-05-24 2006-12-07 Osaka Gas Co Ltd メタン含有排ガスの浄化方法、メタン含有排ガス浄化用三元触媒の前処理方法及びこれを用いた三元触媒
JP2008023521A (ja) * 2006-06-23 2008-02-07 Osaka Gas Co Ltd 排ガス浄化用触媒および排ガス浄化方法

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