JP4051514B2 - 燃焼排ガス浄化方法および燃焼排ガス浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素を過剰に含む燃焼排ガス中に含まれ、環境に悪影響を及ぼす窒素酸化物(NOx)を分解する方法およびそのための装置に関する。
【0002】
なお、本発明において、「酸素を過剰に含む燃焼排ガス」とは、本発明により処理される燃焼排ガスが、そこに含まれる炭化水素、一酸化炭素などの還元性成分を完全酸化するに必要な量以上の酸素、窒素酸化物などの酸化性成分を含むガスであることを意味する。
【0003】
【従来の技術】
燃焼排ガス中に含まれる窒素酸化物は、人体に対し有害であり、また自然環境を悪化させる酸性雨の原因物質の一つでもある。従って、その低減は、緊急の技術的課題である。現在、自動車排ガス中の窒素酸化物処理には、いわゆる三元触媒が使用されており、また発電施設などから排ガス中の窒素酸化物処理には、アンモニア選択還元法が広く採用されている。しかしながら、前者は、排ガス中に過剰の酸素が残存しない理論空燃比の排ガス処理にしか適用できず、また、後者は、有毒で臭気の強いアンモニアが大気中に排出される危険性がある。
【0004】
この様な状況を考慮して、炭化水素を還元剤として、過剰酸素の存在下に窒素酸化物を還元する触媒が提案されている(特開昭63-100919号公報、特開平1-135541号公報など参照)。さらに、過剰な酸素が存在する酸化雰囲気中炭化水素の存在下において、特定の触媒と窒素酸化物を含む排ガスとを接触させた後、この排ガスをさらに酸化触媒に接触させる排ガス処理方法も、提案されている(特開平4-90826号公報参照)。しかしながら、これらの公知文献は、還元剤としてメタンを使用することを示していない。
【0005】
メタンは、種々の燃料を燃焼する際に発生する排ガス中に存在する。さらに、メタンは、本邦において家庭、工場などに広く供給されている天然ガス系都市ガスの主成分であるので、これを用いて窒素酸化物の還元を行うことが可能となれば、酸化雰囲気下に窒素酸化物を還元するための極めて有効な手段となる。
【0006】
しかしながら、メタンを還元剤として、水蒸気、硫黄酸化物などの反応阻害物質を含む排ガス中の窒素酸化物を還元することは困難であると考えられてきた。例えば、星らは、モルデナイトにパラジウムをイオン交換した触媒の水蒸気存在下での耐久性試験において、反応開始時に50%程度であった窒素酸化物の除去率が急速に低下し、40時間後には30%に、70時間後には15%にそれぞれ低下するので、安定して窒素酸化物除去を行うことはできないことを明らかにしている(平成9年度触媒研究発表会講演予稿集;平成9年8月25日発行)。
【0007】
また、窒素酸化物の還元剤としてメタンを使用する場合の大きな問題として、メタンが化学的に安定した炭化水素であるため、その酸化除去が困難であることが挙げられる。メタンは、アンモニアと異なって、実質的に毒性がなく、また光化学反応性にも乏しいので、地球大気環境を著しく悪化させることはないものと考えられている。しかしながら、今後の地球環境保全という観点からは、その排出量をできるだけ抑制することが望ましい。
【0008】
炭化水素の酸化分解においては、白金族金属を担持した触媒が高い活性を発揮することが知られている。しかるに、燃焼排ガスは、水蒸気、硫黄酸化物などの反応阻害物質を含んでいるので、触媒活性が経時的に低下することは避け難い。例えば、ランパート(Lampert)らは、パラジウム触媒を用いてメタンの酸化を行った場合、メタン中にわずか0.1ppmの二酸化硫黄が存在するだけで、数時間内にその触媒活性が失われることを報告している(Applied Catalysis B:Environmental, Vol.14, pp211-223(1997))。
【0009】
上記明らかにした通り、従来の窒素酸化物分解に際しては、メタンを還元剤として利用することが実際上不可能であり、またメタン自身を分解除去することも困難であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、メタンを還元剤として長期にわたり安定して窒素酸化物を浄化し得るとともに、メタンの排出を抑制し得る新たな排ガス浄化技術を提供することを主な目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の様な技術の現状に留意しつつ鋭意研究を重ねた結果、メタンを還元剤として第一の触媒の存在下に窒素酸化物の分解処理を行った後、第二の触媒の存在下にメタンの分解処理を行う場合には、上記の目的を達成し得ることを見出した。
【0012】
本発明は、この様な新しい知見に基づいて完成されたものであり、下記の燃焼排ガスの浄化方法および排ガス浄化装置を提供する。
1.過剰量の酸素を含む燃焼排ガスの浄化方法において、メタンの存在下に窒素酸化物を分解する第一の触媒とメタンを酸化する第二の触媒とを用いることを特徴とする燃焼排ガスの浄化方法。
2.燃焼排ガスが、天然ガスの燃焼排ガスである上記項1に記載の燃焼排ガスの浄化方法。
3.燃焼排ガスを第一の触媒と接触させるに先立ち、燃焼排ガスにメタンを添加する上記項1または2に記載の燃焼排ガスの浄化方法。
4.第一の触媒が、硫酸根ジルコニア担体にパラジウムと白金とを担持させた触媒である上記項1〜3のいずれかに記載の燃焼排ガスの浄化方法。
5.第二の触媒が、ジルコニア担体にパラジウムを担持させた触媒である上記項1〜4のいずれかに記載の燃焼排ガスの浄化方法。
6.第二の触媒が、ジルコニア担体にパラジウムと白金とを担持させた触媒である上記項1〜4のいずれかに記載の燃焼排ガスの浄化方法。
7.浄化処理を400〜500℃の温度域で行う上記項1〜6のいずれかに記載の燃焼排ガスの浄化方法。
8.過剰量の酸素を含む燃焼排ガスの浄化装置において、燃焼排ガス流の上流側にメタンの存在下に窒素酸化物を分解する第一の触媒を配置し、下流側にメタンを酸化する第二の触媒を配置することを特徴とする燃焼排ガスの浄化装置。
9.第一の触媒の上流側にメタン含有ガスの注入装置を配置した上記項8に記載の燃焼排ガスの浄化装置。
10.第一の触媒が硫酸根ジルコニア担体にパラジウムと白金とを担持させた触媒であり、第二の触媒がジルコニア担体にパラジウムを担持させた触媒である上記項8または9に記載の燃焼排ガスの浄化装置。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する窒素酸化物還元用触媒(第一の触媒)においては、硫酸根ジルコニアを担体(以下「第一の担体」ということがある)として使用する。硫酸根ジルコニアは、例えば水酸化ジルコニウムを硫酸に浸漬し、水洗した後、或いは水酸化ジルコニウムを硫酸アンモニウムの水溶液に含浸した後、空気中450〜700℃程度、より好ましくは500〜600℃程度で焼成することにより、得られる。焼成温度が高すぎる場合には、硫酸根が大量に揮発消失するおそれがあるの対し、低すぎる場合には、焼成による効果が不十分となり、担体中に多量の水酸化ジルコニウムが残存したり、アモルファス様となって、安定した硫酸根ジルコニアが形成されない。焼成操作時には、硫酸根の一部が揮発することは避けられないので、上記の処理乃至浸漬時に最終的に得られる担体に対し揮発分に相当する過剰量の硫酸根を付与しておくことが好ましい。
【0014】
焼成後の第一の担体中の硫酸根(SO4 2-)の量は、ジルコニア重量を基準として、通常0.5〜20%程度であり、より好ましくは1〜10%程度である。硫酸根の量が少な過ぎる場合には、硫酸根使用による効果が十分発揮されないのに対し、過剰量となる場合には、安定した硫酸根ジルコニア担体が得られない。
【0015】
次いで、上記の様にして得られた硫酸根ジルコニア担体に対して、パラジウムおよび白金を担持させる。担持方法は、両成分が第一の担体に高分散状態で担持される限り特に制限されないが、好ましくは、第一の担体を硝酸塩、アンミン錯体などの水溶液に含浸することにより、行われる。パラジウムおよび白金の担持量(PdおよびPtとして)は、硫酸根担持ジルコニア重量を基準として、それぞれ0.05〜2%程度、より好ましくは0.1〜1%程度とする。これらの担持量が少な過ぎる場合には、活性が低くなり、一方高過ぎる場合には、これらの成分が擬集して高分散状態が失われ、所望の効果が得られない。
【0016】
第一の担体に担持されるパラジウムと白金との割合は、重量比で通常Pd:Pt=1:10〜10:1程度であり、より好ましくは4:1〜1:4程度である。
【0017】
次いで、パラジウム成分および白金成分を担持した硫酸根担持ジルコニアを乾燥した後、空気中で焼成する。焼成温度は、通常300〜600℃程度の範囲にあり、より好ましくは450〜550℃程度である。焼成温度が低すぎる場合には、焼成の効果が不十分となるのに対し、高すぎる場合には、パラジウムおよび白金の凝集を生じて、比表面積が低下することがある。
【0018】
本発明で使用する第一の触媒は、常法に従って、ペレット状などの任意の形状に成型してもよく、或いは耐火性ハニカム担体上にウォシュコートして用いてもよい。
【0019】
本発明で使用するメタン酸化用触媒(第二の触媒)においては、ジルコニア、硫酸根ジルコニア、タングステンジルコニアのいずれかを担体(以下「第二の担体」ということがある)として使用する。
【0020】
硫酸根ジルコニアからなる第二の担体は、上記第一の担体と同様にして製造すればよい。
【0021】
タングステンジルコニアは、無定型酸化ジルコニウムあるいは水酸化ジルコニウムをタングステン酸とともに湿式混練した後、混練物を乾燥し、650〜850℃程度の温度で焼成することにより、調製することができる。この場合の焼成温度の上限および下限は、上述の硝酸根ジルコニアの場合と同様の理由により定められる。第二の担体中のタングステンの量は、ジルコニア重量を基準として、通常2〜20%程度であり、より好ましくは5〜15%程度である。タングステンの含有量が少なすぎる場合には、使用による効果が十分発揮されないのに対し、過剰量となる場合には、安定したタングステンジルコニア担体が得られない。
【0022】
なお、硫酸根ジルコニアおよびタングステンジルコニアの生成は、ハメット試薬などを使用する化学的方法、X線回折による結晶学的方法などの公知の方法により確認することができる。例えば、硫酸根あるいはタングステンを含まないジルコニアは主として単斜晶からなっているのに対し、硫酸根ジルコニアおよびタングステンジルコニアは主として正方晶からなっているので、硫酸根あるいはタングステン含有の有無は、結晶学的に容易に確認できる。硫酸根ジルコニアおよびタングステンジルコニアは、公知の材料であり(例えば、“表面”、28巻7号481頁(1990);“表面”、34巻2号51頁(1996)などを参照)、それぞれの組成に応じてSO4/ZrO2、WO3/ZrO2などと表記されることがある。
【0023】
本発明において使用する第二の触媒は、第二の担体に対して、触媒活性成分としてのパラジウムあるいはパラジウムと白金とを担持させ、乾燥した後、焼成することにより、製造できる。 担持方法は、触媒活性成分が第二の担体に高分散状態で担持される限り特に制限されないが、好ましくは、第二の担体をパラジウムイオンを含む溶液あるいはパラジウムイオンと白金イオンとを含む溶液(例えば、硝酸塩、アンミン錯体などを水あるいは水とアセトン、エタノールなどとの混合物に溶解させたものなど)に浸漬し、乾燥すれば良い。
【0024】
次いで、上記の乾燥物を空気中450〜700℃程度、より好ましくは500〜650℃程度で焼成する。焼成温度が高すぎる場合には、担持金属の粒子成長による粗大粒子が形成されるのに対し、低すぎる場合には、触媒の使用中に粒子成長が進行するので、触媒活性が不安定となる。
【0025】
パラジウムを担持する第二の触媒におけるパラジウム担持量は、通常担体重量に対し、1〜25%程度、より好ましくは2〜20%程度である。パラジウム担持量が少なすぎる場合には、触媒活性が十分に発揮されないのに対し、多すぎる場合には、パラジウムの粒径が大きくなってその比表面積が減少し、パラジウムが有効に利用されなくなる。
【0026】
パラジウムと白金とを担持する第二の触媒におけるパラジウム担持量は、上記と同様であり、また、白金担持量は、通常パラジウム重量に対し、5〜100%程度、より好ましくは10〜50%程度である。白金の担持量が少なすぎる場合には、白金の併用による効果の改善が十分に達成されないのに対し、多すぎる場合には、触媒活性成分としてのパラジウムの効果を阻害することがある。
【0027】
本発明による第一および第二の触媒は、それぞれ使用状態などに応じ、常法に従って所望の形状に成型することが出来る。たとえば、触媒に公知のバインダー(ジルコニアゾルなど)を加えてペレット状に成型したり、あるいは耐火性ハニカム基体表面にウオッシュコートすることが出来る。耐火性ハニカム基体表面にウオッシュコートする場合には、上記の様にして製造した触媒をスラリー状として基体表面にウオッシュコートしても良く、あるいは担体を予め耐火性ハニカム基体表面にウオッシュコートした後、上述の手法により所定の触媒活性成分を担持させても良い。
【0028】
本発明による排ガス浄化において使用する装置は、図1に示す様に、上記で得られた第一の触媒を使用して、メタンの存在下に窒素酸化物の分解を行う第一の反応装置1と第二の触媒を使用して、メタンの酸化を行う第二の反応装置2とを備えている。第一の反応装置で処理する排ガス中のメタン量が少なすぎる場合には、排ガスにメタンあるいはメタン含有ガスを予め添加する注入装置を設ける。
【0029】
窒素酸化物の分解工程(第一の工程)において使用する第一の触媒の量が少な過ぎる場合には、十分な窒素酸化物除去が達成されないのに対し、多すぎる場合には、使用量に見合った性能向上が得られないので、経済的に不利である。従って、第一の触媒は、ガス時間当たり空間速度(GHSV)が15000h-1以下で、より好ましくは1000〜60000h-1となる範囲内で使用することが望ましい。
【0030】
第一の工程における処理温度は、第一の触媒の高い活性を有効に利用するために、通常350〜550℃程度、より好ましくは400〜500℃程度とする。第一の工程における処理温度が低すぎる場合には、触媒活性が十分に発揮されないので、窒素酸化物除去効果が十分に達成されない。これに対し、処理温度が高過ぎる場合には、触媒の耐久性が損なわれる。
【0031】
第一の工程において処理された排ガスは、次いで、メタン酸化工程(第二の工程)に送られる。ここで使用する第二の触媒の量が少な過ぎる場合には、メタン酸化による除去が良好に行われないのに対し、多すぎる場合には、メタン転化率は向上するが、使用量に見合った性能向上が得られないので、経済的に不利となり、また、触媒層での圧力損失が大きくなるという問題点が生じる。従って、第二の触媒は、ガス時間当たり空間速度(GHSV)が500000h-1以下で、より好ましくは2000〜300000h-1となる範囲内で使用することが望ましい。
【0032】
第二の工程における処理温度は、第二の触媒の良好な活性を有効に利用するために、通常300〜700℃程度、より好ましくは400〜600℃程度とする。第二の工程における処理温度が低すぎる場合には、メタン酸化が十分に行われないのに対し、処理温度が高過ぎる場合には、触媒の耐久性が低下する。
【0033】
なお、本発明においては、第一の触媒と第二の触媒の使用温度が重なる領域があるので、排ガスの温度などに応じて、単一の触媒容器の上流側に第一の触媒を充填し、下流側に第二の触媒を充填して、同一温度で排ガス処理を行うことができる。
【0034】
あるいは、両触媒をそれぞれ別個の触媒容器に充填し、両容器をガス流通管により接続し、流通管からの放熱を適宜調整することにより、第二の工程における処理温度を制御することもできる。
【0035】
本発明方法を実施するに際し、排ガス中のメタン量が、窒素酸化物の還元に必要な量よりも少ない場合には、上記のメタン注入装置からメタン或いは天然ガス系都市ガスなどのメタン含有ガスを適当量添加することができる。
【0036】
また、排ガス中の酸素濃度が低すぎる場合には、第二の工程における排ガス温度が上記の処理温度以下とならない様に留意しつつ、適当量の空気を排ガスに混合し、これを触媒に接触させることができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明により、メタンを還元剤として窒素酸化物含有排ガスを処理する場合には、水蒸気、硫黄酸化物などの活性阻害要因が存在する条件下においても、長期にわたって安定した触媒活性が維持されるとともに、メタンの高い転化率をも維持されるので、処理済ガス中の残存メタン濃度を低く保つことができる。
【0038】
また、燃焼排ガス中には、通常5〜15%程度の水蒸気が含まれているが、本発明方法によれば、この様な水蒸気含有排ガスをも処理することができる。
【0039】
さらに、燃焼排ガスは、触媒活性を著しく低下させることが知られている硫黄酸化物を通常含んでいるが、本発明方法で使用する2種の触媒は、硫黄酸化物による活性低下に対し、高い抵抗性を示すので、高度の排ガス処理効果が達成される。
【0040】
さらに、燃焼排ガス中に一酸化炭素、アルデヒド類などの未燃焼成分が含まれている場合には、これらをメタンとともに酸化分解することができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例および比較例を示し、本発明の特徴とするところをより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
水酸化ジルコニウム(三津和化学(株)製)125gを硫酸アンモニウム25gを溶解する150mlの水溶液に10時間含浸した。含浸体を乾燥した後、550℃で6時間焼成して、硫酸根ジルコニア担体を得た。
【0042】
Pdとして0.125gを含有する硝酸パラジウム水溶液1.25gとPtとして6.3重量%を含有するテトラアンミン白金硝酸塩水溶液2gとを混合攪拌し、さらに純水で20mlに希釈した溶液を予め調製し、これに上記で得られた硫酸根ジルコニア担体25gを15時間含浸した後、乾燥した。次いで、乾燥後の生成物を500℃で9時間焼成して、Pd-Pt/硫酸根ジルコニア触媒(第一の触媒)を得た。
【0043】
一方、Pdとして0.25gを含有する硝酸パラジウム水溶液とジニトロジアンミン白金0.083gを69%硝酸1mlに加熱溶解させた液と混合し、純水を加えて20mlとした溶液に、ジルコニア(東ソー(株)製、“TZ-O”)5gを0℃で15時間含浸した。次いで、生成物を乾燥し、550℃で2時間空気中で焼成して、Pd-Pt/ジルコニア触媒(第二の触媒)を得た。
【0044】
反応管内の上流側に第一の触媒4mlを充填し、下流側に第二の触媒1mlを充填して、触媒層を形成し、触媒層内温度を450℃に保持しつつ、一酸化窒素150ppm、メタン2000ppm、酸素10%、水蒸気9%および二酸化硫黄3ppmを含む燃焼排ガスを毎分1リットル(標準状態)の流量で流通させた。所定時間経過後の窒素酸化物(NOx)およびメタンの転化率は、表1に示す通りであった。
【表1】
【0045】
ここでNOxおよびメタンの転化率(%)は、以下の式によって計算される値を意味する。
【0046】
NOx転化率(%)={1−(NOxout/NOxin)}×100
CH4転化率(%)=CO2out/(CH4out+CO2out)×100
式中、NOxoutは反応管出口のNOx濃度を示し、NOxinは反応管入口のNOx濃度を示し、CO2outは反応管出口の二酸化炭素濃度を示し、CH4outは触媒層出口のメタン濃度を示す。
【0047】
表1に示す結果から、被処理ガスが水蒸気および硫黄酸化物を含んでいる場合にも、安定した良好な窒素酸化物除去効果とメタン酸化効果とが達成されていることが明らかである。
実施例2
ステンレススチール製の管状排ガス浄化装置(実施例1で得られた第一の触媒4mlと第二の触媒1mlとを排ガス流通方向に順次充填して、触媒層を形成してある)を使用して、触媒層出口温度を450℃に保持しつつ、一酸化窒素150ppm、メタン2000ppm、酸素10%、水蒸気9%および二酸化硫黄3ppmを含む燃焼排ガスを流通させた。ガス時間当たり空間速度(GHSV)は、第一の触媒層において15000h-1であり、第二の触媒層において60000h-1であった。反応開始200時間後の窒素酸化物除去率は、45%であり、触媒層出口でのメタン濃度は、200ppmであった。
実施例3
実施例1と同様のジルコニア担体(東ソー(株)製、“TZ-O”)5gをPdとして0.25gを含有する硝酸パラジウム水溶液20mlに0℃で15時間含浸した後、これを乾燥し、550℃で2時間空気中で焼成して、Pd/ジルコニア触媒(第二の触媒)を得た。
【0048】
次いで、実施例1と同様にして得たPd-Pt/硫酸根ジルコニア触媒4mlを第一の触媒とし、上記で得たPd/ジルコニア触媒1mlを第二の触媒として、実施例1と同様の条件下に燃焼排ガスの処理を行った。所定時間経過後の窒素酸化物(NOx)およびメタンの転化率は、表2に示す通りであった。
【表2】
【0049】
表2に示す結果から、第二の触媒としてPd/ジルコニア触媒を使用する場合にも、安定した良好な窒素酸化物除去効果とメタン酸化効果とが達成されていることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法および本発明方法において使用する装置の概要を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…窒素酸化物の分解装置(第一の工程)
2…メタンの酸化装置(第二の工程)
3…メタンまたはメタン含有ガスの注入装置
Claims (9)
- 過剰量の酸素を含む燃焼排ガスの浄化方法において、メタンを還元剤として窒素酸化物を分解する第一の触媒とメタンを酸化する第二の触媒とを用いる方法であって、第一の触媒が硫酸根ジルコニア担体にパラジウムと白金とを担持させた触媒であることを特徴とする燃焼排ガスの浄化方法。
- 燃焼排ガスが、天然ガスの燃焼排ガスである請求項1に記載の燃焼排ガスの浄化方法。
- 燃焼排ガスを第一の触媒と接触させるに先立ち、燃焼排ガスにメタンを添加する請求項1または2に記載の燃焼排ガスの浄化方法。
- 第二の触媒が、ジルコニア担体にパラジウムを担持させた触媒である請求項1〜3のいずれかに記載の燃焼排ガスの浄化方法。
- 第二の触媒が、ジルコニア担体にパラジウムと白金とを担持させた触媒である請求項1〜3のいずれかに記載の燃焼排ガスの浄化方法。
- 浄化処理を400〜500℃の温度域で行う請求項1〜5のいずれかに記載の燃焼排ガスの浄化方法。
- 過剰量の酸素を含む燃焼排ガスの浄化装置において、燃焼排ガス流の上流側にメタンを還元剤として窒素酸化物を分解する第一の触媒を配置し、下流側にメタンを酸化する第二の触媒を配置する装置であって、第一の触媒が硫酸根ジルコニア担体にパラジウムと白金とを担持させた触媒であることを特徴とする燃焼排ガスの浄化装置。
- 第一の触媒の上流側にメタン含有ガスの注入装置を配置した請求項7に記載の燃焼排ガスの浄化装置。
- 第二の触媒が、ジルコニア担体にパラジウムを担持させた触媒である請求項7または8に記載の燃焼排ガスの浄化装置。
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