JP2002040391A - コレステリック液晶表示装置 - Google Patents

コレステリック液晶表示装置

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JP2002040391A
JP2002040391A JP2000230612A JP2000230612A JP2002040391A JP 2002040391 A JP2002040391 A JP 2002040391A JP 2000230612 A JP2000230612 A JP 2000230612A JP 2000230612 A JP2000230612 A JP 2000230612A JP 2002040391 A JP2002040391 A JP 2002040391A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速に書き換え可能なコレステリック液晶表
示装置を提供する。 【解決手段】 コレステリック液晶表示装置は、走査電
極群23とデータ電極群24との交差部で画素を形成す
るコレステリック液晶表示素子10を備えており、走査
電極群23の走査電極中のL本(Lは2以上の整数)の
走査電極ごとにそれぞれブロックを形成し、1つの選択
期間Tsで1つのブロックを順次選択し、選択されたブ
ロックのL本の走査電極にそれぞれ対応する符号化され
た駆動電圧を同時に印加するとともに、データ電極群の
データ電極にそれぞれ対応する符号化されたデータ電圧
を前記駆動電圧に同期して印加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子機器の表示パ
ネルや画像の記録・表示媒体として用いられるコレステ
リック液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コレステリック液晶表示装置は、外光の
反射を利用して明るい表示ができること、電圧を切って
も表示内容が維持できるメモリー性を有すること、メモ
リー性を利用して単純マトリクス駆動で大容量表示がで
きること、駆動にアクティブマトリクスを必要としない
ため樹脂などのフレキシブル基板を利用可能なことなど
の特徴を有することから、近年、電子新聞や電子書籍な
どの電子ペーパー用の表示装置として期待を集めてい
る。
【0003】コレステリック液晶は螺旋状に配向した棒
状分子からなり、螺旋ピッチに対応した波長の光を反射
する選択反射現象を示す。この現象を利用したものがコ
レステリック液晶表示素子である。この素子は、図18
にその断面構造の一例を示すように、2枚の基板11、
12の間にそれぞれ透明電極21、22を介してコレス
テリック液晶30を挟持したセルよりなり、セルの観察
側と反対面に選択反射波長を吸収する光吸収層41を設
けたものである。以下、光吸収層41は黒色であるもの
として説明する。
【0004】コレステリック液晶の配向状態は、図17
(a)〜(c)に示すように、それぞれプレーナ(P)
配向、フォーカルコニック(F)配向、ホメオトロピッ
ク(H)配向の3種類を取りうる。P配向は螺旋軸が基
板面にほぼ垂直に配向した状態であり、選択反射波長に
より呈色する。F配向は螺旋軸が基板面にほぼ平行に配
向した状態であり、これは無色であるため光吸収層41
の黒色が観測される。H配向は螺旋構造が解けて分子が
基板面と垂直に配向した状態であり、これも無色である
ため光吸収層41の黒色が観測される。
【0005】透明電極21、22間に電圧を印加した場
合、印加電圧がVT1以下ではP配向とF配向はともに
安定に存在し双安定性を示す。これより電圧を上げてい
くとF配向には変化はないが、P配向は徐々にF配向に
遷移し、電圧VT2以上では完全にF配向に遷移する。
さらに高い電圧VT3以上を印加すると、H配向に遷移
しはじめ、電圧VT4以上では完全にH配向に遷移す
る。F配向状態から電圧を急激に除去してもF配向が維
持されるが、H配向状態から電圧を急激に除去するとP
配向に遷移する。
【0006】以上の遷移特性の結果として、図20に示
すように時間Tの間だけ電圧を印加して一定時間経過後
に反射率を測定すると、図21のような電圧−反射率特
性が得られる。すなわち、初期配向がP配向の場合、電
圧VT1以下では高反射率を示し、VT1以上VT2
下では徐々に反射率が低下し、VT2以上VT3以下で
は低反射率を示し、VT3以上VT4以下では反射率が
上昇し、VT4以上では初期配向と同じ高反射率を示
す。一方、初期配向がF配向の場合、電圧VT3以下で
は低反射率を示し、VT3以上VT4以下では反射率が
上昇し、VT4以上では高反射率を示す。
【0007】上記の電圧−反射率特性は電圧印加時間T
に依存して変化する。初期配向がP配向の場合、図23
に示すように、時間Tが短くなるにしたがって電圧−反
射率特性全体が高電圧側へシフトするとともに、VT2
以上VT3以下の電圧範囲での反射率が上昇する。これ
は時間Tが短くなることでF配向への遷移が不完全にな
りF配向とP配向が微視的に混合した状態となるためで
ある。また、初期配向がF配向の場合、図22に示すよ
うに、時間Tが短くなるにしたがってVT4が高電圧側
へシフトして、VT3以上VT4以下の電圧範囲が拡大
する。
【0008】上記の電圧−反射率特性を利用して、コレ
ステリック液晶表示装置は、走査電極とデータ電極の交
差部を画素とする単純マトリクス電極を用いて画像を書
き込むことができる。例として、図19に16×16画
素の単純マトリクスパネルの平面構成図を示す。図示の
ように、本パネルは、R〜R16からなる走査電極群
23とC〜C16からなるデータ電極群24とを備え
る。
【0009】コレステリック液晶表示素子の駆動方法と
して、例えば、特開平11−326871号公報には、
FCR(FocalConic Reset)法と名付
けられた書き込み方法が開示されている。この方法で
は、F配向に遷移させるためのリセット期間とP配向を
書き込むための選択期間とからなる駆動電圧によって書
き込みを行い、リセット期間では全走査電極に同時にF
配向に遷移させるための駆動電圧を印加し、つづいて一
走査電極ずつ順次選択電圧を与える。
【0010】例として、走査電極数が16本の場合の、
走査電極群23に与える駆動電圧のタイミング図を図9
に示す。図のように、リセット期間TrではVT4以上
の電圧Vrhを与えてH配向に遷移させた後に、一旦電
圧をゼロにして、つづいてV T2以上VT3以下の電圧
Vrfを与え、再び電圧をゼロにすることでF配向を得
る。この間データ電極群24の電圧はゼロとする。選択
期間Tsでは走査電極に(VT3+VT4)/2の電圧
Vsを与え、それに同期してデータ電極にデータ電圧と
して(VT3−VT4)/2または(−VT3
T4)/2を与える。これにより画素には走査電圧と
データ電圧との差であるVT4またはVT3が印加され
て、P配向またはF配向に選択的に遷移させることがで
きる。リセット期間Trおよび選択期間Ts以外は走査
電極への印加電圧はゼロとする。
【0011】ある走査電極を選択中に他の走査電極上の
画素にはデータ電圧(VT3−V )/2または(−
T3+VT4)/2が印加される。│(VT3−V
T4)/2│<VT1とすることで、すでに書き込んだ
画素の反射率を変化させることなく全画素に書き込むこ
とができる。走査線数をNとすると、全書き込み時間T
fは、
【0012】
【数1】Tf=Tr+N×Ts
【0013】とあらわされる。別の書き込み方法とし
て、米国特許5,748,277号明細書には、DDS
(Dynamic Drive Scheme)法と名
付けられた方法が開示されている。DDS法における駆
動電圧波形は、図24に示すように、一連のリセット期
間Tr、選択期間Ts、保持期間Thからなる。リセッ
ト期間Trでは、電圧Vrhを印加してH配向に遷移さ
せる。選択期間Tsでは、電圧Vsを印加して、H配向
を維持するかP配向への遷移を開始するか選択する。保
持期間Thでは、電圧Vhを印加して、H配向を維持す
るとともにP配向をF配向に遷移させる。VsがH配向
を維持するように選ばれた場合、保持電圧Vhを除去後
にP配向に遷移して高反射率となる。一方、VsがP配
向への遷移を開始するように選ばれた場合、保持期間中
にF配向に遷移し低反射率となる。Vs=0およびVs
=Vhのときの電圧Vhに対する電圧−反射率特性を図
25に示す。Vs=0の場合、図21における初期配向
がP配向の場合と等しくなる。Vs=Vhの場合、Vs
=0の場合の電圧−反射率特性を低電圧側へシフトした
形状となる。VhはVT5以上VT3以下に選ばれる。
電圧Vsに対する電圧−反射率特性は、図26のように
なり、VT6からVT7の範囲で反射率を制御すること
ができる。
【0014】この書き込み方法は単純マトリクスパネル
に適用できる。例として、走査電極本数が16本の場合
の走査電極に与える駆動電圧のタイミング図を図10に
示す。走査電極にはリセット期間Tr、選択期間Ts、
保持期間Thに対応した駆動電圧Vrh、Vs、Vh
を、それぞれ選択期間の長さTsだけタイミングをずら
して順次走査電極に印加する。選択期間中には走査電極
には電圧(VT6+V )/2が与え、それに同期し
てデータ電極には電圧(VT6−VT7)/2または−
(VT6−VT7)/2を与える。それにより画素には
走査電圧とデータ電圧との差であるVT6またはVT7
が印加されてP配向またはF配向に選択的に遷移させる
ことができる。│(VT6−VT7)/2│<VT1
することで、すでに書き込んだ画素の反射率を変化させ
ることなく全画素に書き込むことができる。全書き込み
時間Tfは、
【0015】
【数2】Tf=Tr+N×Ts+Th
【0016】で与えられる。FCR法、DDS法のいず
れも、コレステリック液晶のメモリー性を利用して、す
でに書き込んだ画素の反射率を変化させることなく次の
走査電極上の画素に書き込むことができる。このため、
走査電極の本数に制限がなく大容量表示が可能となる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】FCR法、DDS法の
いずれも走査電極の本数が増大するにしたがって全書き
込み時間Tfが増加する。この場合、(数1)及び(数
2)の第2項の寄与、すなわち選択期間の項N×Tsが
支配的となる。選択期間Tsの長さは、液晶の物性定
数、セルパラメータ、印加電圧等に依存するため一概に
は言えないが、通常、FCR法で1〜10ms/lin
e、DDS法で0.3〜数ms/lineである。たと
えば、走査線数が1000本の場合、書き換え時間はF
CR法で1〜10秒、DDS法で0.3〜数秒となる。
低温では液晶の粘度上昇に起因してさらに数倍の時間が
かかる。用途によってはこの書き換え時間では必ずしも
十分ではなく、さらなる書き換え時間の短縮が望まれて
いた。
【0018】FCR法の場合、選択期間Tsの長さは液
晶の粘度、配向弾性定数、誘電異方性等に依存するが、
これら物性定数による改善には限度があった。また、図
22に示すように、駆動電圧を上げることで選択時間の
短縮が可能であるが、駆動電圧の上昇は駆動回路のコス
ト高や、電極間の短絡による歩留まり低下、消費電力の
増大などの問題を生ずる。また、駆動電圧を上げて選択
時間を短くすると、データ電極への印加電圧│(VT3
−VT4)/2│がVT1を超えてクロストークを生ず
るという問題も発生する。DDS法の場合、選択期間の
長さは液晶の粘度、配向弾性定数等の物性定数だけで決
まるが、これらによる選択時間の短縮にも限度があっ
た。
【0019】従って本発明の目的は、高速に書き換え可
能なコレステリック液晶表示装置を提供することにあ
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的は、走査電極群
とデータ電極群との交差部で画素を形成するコレステリ
ック液晶表示素子と、前記走査電極群の走査電極を複数
の走査電極よりなるブロックとして順次選択し、選択期
間における前記ブロックの複数の走査電極にそれぞれ対
応する符号化された駆動電圧を同時に印加するととも
に、前記データ電極群のデータ電極にそれぞれ対応する
符号化されたデータ電圧を前記駆動電圧に同期して印加
する駆動回路とを備えたコレステリック液晶表示装置に
より、達成される。
【0021】ここで、前記駆動電圧は、前記選択期間の
50%以上の時間、ホメオトロピック配向への遷移電圧
以上の電圧波高値を有し、直交関数又は実質的な直交関
数を用いて符号化されたものを使用することができる。
直交関数としては、例えば、+1と−1を要素とするも
のを用いることができるが、これに限定されるものでは
ない。また、前記データ電圧は、直交関数又は実質的な
直交関数に画素データ値を乗じて符号化されたものとす
ることができる。
【0022】前記選択期間は、直交関数の直交条件の成
立時間である直交周期を複数含むようにすることができ
る。選択期間内の画素に印加される実効電圧に対する液
晶の応答時間は、前記直交周期以上選択期間以下とされ
る。また、非選択期間内の画素に印加される実効電圧
は、プレーナ配向とフォーカルコニック配向との双安定
状態を維持可能な閾値電圧より小さくされる。
【0023】また、前記選択期間に先立って初期配向に
遷移させるためのリセット期間を設けることができる。
このリセット期間は、前記ブロックの全部に同時に与え
られ、又は前記ブロックごとにずらしたタイミングで順
次与えられる。また、前記選択期間に続いて最終的な配
向状態への遷移を補助するための保持期間を設けること
ができる。前記ブロックは、隣接した複数の走査電極で
はなく、空間的に離散した複数の走査電極より構成する
ことができる。
【0024】本発明に係る画像書き込み装置は、走査電
極群とデータ電極群との交差部で画素を形成するコレス
テリック液晶表示素子に画像を書き込む装置であって、
直交関数を発生する直交関数発生回路と、前記直交関数
をレベルシフトして前記走査電極群の複数の走査電極ご
とに順次印加する走査電圧を生成する走査電圧合成回路
と、前記直交関数に画素データ値を乗じた値をレベルシ
フトして前記データ電極群のデータ電極に印加するデー
タ電圧を生成するデータ電圧合成回路とを備える。本装
置には、前記走査電圧を前記走査電極群の空間的に離散
した複数の走査電極ごとに印加可能な走査電極ドライバ
を備えることができる。また、前記走査電圧の印加に先
だってリセット波形を前記走査電圧合成回路及びデータ
電圧合成回路を介して印加するリセット波形発生回路を
備えることができる。さらに、前記画素データ値として
任意の位相ずれを有する波形を印加することにより、階
調表示が可能となる。
【0025】本発明に係る画像書き込み方法は、走査電
極群とデータ電極群との交差部で画素を形成するコレス
テリック液晶表示素子に画像を書き込む方法であって、
前記走査電極群の走査電極を複数の走査電極よりなるブ
ロックとして順次選択し、前記選択したブロックにおけ
る複数の走査電極にそれぞれ対応する符号化された駆動
電圧を同時に印加するとともに、前記データ電極群のデ
ータ電極にそれぞれ対応する符号化されたデータ電圧を
前記駆動電圧に同期して印加するものである。ここで、
前記駆動電圧は、+1と−1を要素とする直交関数をレ
ベルシフトして得ることができる。
【0026】このように構成することにより、本発明で
は、L本(Lは2以上の整数)の走査電極に同時に画像
を書き込むことができ、これにより選択期間の長さを実
質的に最大で1/Lに短縮することができる。したがっ
て、全体として書き換え時間が短縮され、高速に書き換
え可能なコレステリック液晶表示装置を得ることができ
る。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るコレステリッ
ク液晶表示装置の実施形態を走査電極数が16本の場合
を例にとって説明する。
【0028】<実施形態1>図1は、本発明に係るコレ
ステリック液晶表示装置の一実施形態における各走査電
極に与える電圧のタイミング図である。本実施形態で
は、走査電極R〜R 16を、L=4本の走査電極を1
ブロックとする4つのブロックに分割する。各ブロック
には順次選択期間Tsにおいて駆動電圧が印加される。
1つの選択期間Tsで1つのブロックを選択し、選択さ
れたブロックでは4本の走査電極に同時に駆動電圧Vs
(又は−Vs)を印加する。選択されていないブロック
の走査電極には電圧ゼロを与える。従って、この場合、
全書き換え時間Tfは、Tf=4×選択期間Tsとな
る。
【0029】ブロック内の走査電極間のクロストークを
防止するために、+1および−1を要素とする直交関数
Ii(t)よりなる符号化された(時系列パターンを有
する)駆動電圧を印加する。ここで、iは、1ブロック
を形成するL本の走査電極中i番目の走査電極を意味す
る。Ii(t)は直交関数なので下記の関係が成立す
る。
【0030】
【数3】 ∫Ii(t)・Ij(t)dt=0 (i≠j)
【0031】L=2、4、8、16の直交関数を図11
(a)〜(d)に例示する。図11はアダマール行列で
あり、行方向が時間で列方向が走査電極を表す。また、
図11はL行L列の正方行列であるが、(数3)の直交
関係が成立すれば正方行列でなくても構わない。図11
の行列は、任意の2列の入れ替え、あるいは任意の行の
極性反転に対して上記直交関係が維持されるので、Ii
(t)としてこのような操作を行った後の関数を用いて
もよい。また、Lとして2のべき乗を例示したが、たと
えば、L=8の直交関数の中から任意の6つ、または7
つの直交関数を選ぶことによって、L=6やL=7とい
った2のべき乗以外の直交関数を作ることもできる。時
間軸方向のL個の要素は、時間Ts/Lを単位時間とし
て順次電圧印加して時間Ts内にすべての要素を印加す
る。互いに極性反転したものであれば正弦波、三角波、
のこぎり波など任意の波形を対応させることができる。
ただし、実効電圧値を最大とするために、ここに例示し
た波形が好ましい。
【0032】直交関数の要素+1および−1に対応する
実際の印加波形としては、図12(a)のような極性反
転した直流矩形波や、図12(b)に示すような極性反
転した対称矩形波を用いることができる。あるいは極性
反転した対称矩形波よりなるバースト波形を用いてもよ
い。コレステリック液晶30への長時間の直流電圧の印
加は閾値電圧の変動や液晶の劣化を招くため、選択電圧
波形の選択時間内での時間平均値はゼロとすることが望
ましい。したがって、図12(a)の直流矩形波を用い
る場合には、∫(t=0〜Ts)Ii(t)dt=0と
なる直交関数Ii(t)の使用が好ましい。また、図1
2(b)の対称矩形波を用いる場合には、この条件は自
動的に満たされるので、∫(t=0〜Ts)Ii(t)
dt≠0となる直交関数を用いてもよい。
【0033】同時選択されたL本の走査電極のうち、i
番目の走査電極に印加する駆動電圧Ri(t)を、直交
関数Ii(t)にVsを乗じた値として与える。一方、
同期して与えるデータ電圧C(t)は、直交関数Ii
(t)に画素データ値Uiを乗じた値のi=1〜Lの総
和として与える。
【0034】
【数4】Ri(t)=Vs・Ii(t) C(t)=Σ(i=1〜L)Ui・Ii(t)
【0035】i番目の走査電極上の画素には選択期間中
に{Ri(t)−C(t)}の電圧が加わる。したがっ
て選択期間中に画素に加わる実効電圧Viは、 Vi={1/Ts・∫(Ri(t)−C(t))
t}1/2 となる。積分範囲は[0、Ts]である。ここで、
【0036】
【数5】∫(Ri(t)−C(t))dt =∫Ri(t)dt+∫C(t)dt−2∫Ri
(t)・C(t)dt 第1項=Vs∫Ii(t)dt=Vs・Ts 第2項=∫{ΣUi・Ii(t)}dt=Ts・ΣU
第3項=−2Vs・∫Ii(t)・ΣUj・Ij(t)
dt =−2Vs・Ui・Ts
【0037】である。したがって、 Vi={Vs+ΣUi−2Vs・Ui}1/2 で与えられる。Uiは絶対値が表示画像情報にかかわら
ず一定値Vdとなるように選ぶ。すなわち、Uiとして
+Vdまたは−Vdを与えるとすると、第2項はL・V
となる。したがって選択期間中にVsとVdを一定
に維持すれば、ViはUiを与えることで一意的に決定
することができ、原理的に同時選択する走査電極間のク
ロストークを除去できる。Viの最大値をVon、最小
値をVoffとすると、 Von={Vs+L・Vd+2Vs・Vd}1/2
(Ui=−Vd) Voff={Vs+L・Vd−2Vs・Vd}
1/2 (Ui=Vd) となる。これは近似的に、 Von={(Vs+√L・Vd)+2(1−√L)・
Vs・Vd}1/2 〜(Vs+√L・Vd)+(1−√
L)・Vs・Vd/(Vs+√L・Vd) Voff={(Vs+√L・Vd)−2(1+√L)
・Vs・Vd}1/2 〜(Vs+√L・Vd)−(1+
√L)・Vs・Vd/(Vs+√L・Vd) と書ける。したがって、Uiとして+Vdまたは−Vd
を与えることで、
【0038】
【数6】Von−Voff=2Vs・Vd/(Vs+√
L・Vd)
【0039】の実効電圧差を画素に与えることができ
る。Vs>>√L・Vdと近似できる場合には、(Vo
n−Voff)〜2Vdで与えられる。ある閾電圧V
TLからV THの間で反射率変化が生ずる場合、Vof
f<VTL、VTH<Vonとなるように設定すること
で画像の書き込みが可能となる。(Von−Voff)
はLの増加に伴い小さくなるので、(Von−Vof
f)>(VTH−VTL)となるように設定することで
Lの上限が制約される。以上、ある1つのデータ電極上
の画素について説明したが、他のデータ電極上の画素に
ついても同様である。
【0040】図14は、1ブロックの選択期間中の走査
電極およびデータ電極に印加する印加波形の一例を示す
図である。本例では、あるデータ電極とi=1、2、
3、4番目の走査電極との交差部よりなる画素に暗、
明、暗、明の画像をそれぞれ書き込む場合の走査電極お
よびデータ電極に印加する波形のタイミング図を示して
いる。ただし、画像情報に対応してU=Vd、U
−Vd、U=Vd、U=−Vdと設定するものとす
る。直交関数としては、L=4として図11(b)の行
列を用い、直交関数要素+1と−1には図12(b)に
示した対称矩形波を対応させた。(数4)にしたがって
C(t)として0→4Vd→0→0と時間変化する波形
が得られる。これをデータ電極に印加することで上記の
表示パターンを得ることができる。
【0041】直交関数が+1と−1を要素とすること
は、選択期間中に走査電極に印加される駆動電圧の実効
値を最大にできること、回路を簡略化できることから好
ましいが、直交関係が成立していればこれ以外の要素を
含んでいても、複数の走査線上の画素に同時に書き込む
ことは可能である。しかし、+1と−1以外を要素に含
むと実効電圧が低下するので、これを補償するために選
択期間を長くする必要が生ずる。このようなデメリット
を生じさせないためには、選択期間中に走査電極に印加
される駆動電圧は、少なくとも選択期間の50%以上の
時間、十分長い時間電圧印加したときのホメオトロピッ
ク配向への遷移電圧以上の電圧波高値を有する必要があ
る。
【0042】直交関係に関しても、 ∫(t=0〜Ts)Ii(t)・Ij(t)dt<0.
2(i≠j) であれば、実質的に直交関数を満たすと言える。同時選
択されるi番目とj番目の走査電極に出力される駆動電
圧をVsi(t)、Vsj(t)として、より一般的に
書くと、 ∫(t=0〜Ts)Vsi(t)・Vsj(t)dt/
√{∫(t=0〜Ts)Vsi(t)・∫(t=0〜
Ts)Vsj(t)dt}<0.2(i≠j) であればよい。
【0043】さて、直交関数よりなる駆動電圧波形を複
数の走査線を同時に印加する駆動方法(以下、複数走査
線同時駆動と呼ぶ)は、たとえば特開平7−49668
号公報に開示されているように、STN LCDでは公
知である。しかるに、STNLCDと本発明とでは下記
の2点で異なる。
【0044】1つは選択期間の長さと応答速度との関係
である。STN LCDでは選択期間内の配向変化はフ
レーム応答によるコントラスト低下を招くため、液晶の
応答速度が選択時間より大きくなるように選ぶのに対し
て、本発明の場合は、1回の選択期間内に最終的な配向
状態を得るために必要な配向変化を完了するように、選
択期間の長さおよび印加電圧を液晶の応答速度が選択時
間と同等かそれより小さくなるように選ぶ。ここで「必
要な配向変化を完了する」とは、選択期間内に反射率の
変化が完了するという意味ではない。たとえば、F配向
している画素をP配向に書き換える場合、選択期間内に
F配向からH配向への変化が完了すれば、選択期間終了
後にH配向からのP配向へ自発的に遷移するため、所望
とするP配向が得られる。このような前駆的な配向変化
を意味する。また、後述するリセット期間を設ける場合
のように、VonまたはVoffのいずれかが電圧印加
された場合のみに実質的に配向変化を生ずる場合、応答
時間としては配向変化が生ずる方のみを考慮すればよ
い。
【0045】ただし、液晶の応答時間は前記直交関係が
成立する周期(以下、直交周期と呼ぶ)より大きい必要
がある。たとえば、直交周期が4単位時間の場合に、前
半の2単位時間でF配向からH配向へ遷移が完了するほ
ど応答速度が小さいと、ヒステリシスの影響でその後の
2単位時間での印加電圧の高低に関わらずH配向が維持
されるため、選択期間内の実効電圧値に対して一意的に
配向状態が決定できなくなり、同時選択する走査電極間
のクロストークが発生する。他の配向間の応答に関して
も同様である。したがって、
【0046】
【数7】直交周期≦応答時間≦選択期間
【0047】となるように設定することが好ましい。図
1の場合、直交周期=選択時間であるので、応答時間=
直交周期=選択時間に設定する必要がある。この設定マ
ージンを広げる手段として、選択時間内に複数の直交周
期を含むように直交関数を定めるとよい。例として、選
択時間Ts内に直交周期Txを2回含む場合のタイミン
グ図を図2に示す。
【0048】一般に液晶の応答時間は印加電圧の関数で
ある。(数7)の応答時間は選択期間中の実効電圧に対
する応答時間であるが、本発明では選択期間中に電圧波
高値が時間変化するので、それに対しても応答してしま
わないように注意が必要である。たとえば、画素への印
加電圧は、波高値が最大で(Vs+L・Vd)、最小で
(Vs−L・Vd)であり、時間Ts/Lの期間印加さ
れる。したがって、これらの印加電圧に対する応答時間
がTs/Lより大きくなるようにL、Vd、Vsを設定
しなければならない。この観点からVsがL・Vdより
十分に大きくなるように設定する方が好ましい。
【0049】STNでは1フレーム時間内の平均実効電
圧値を与えることで反射率を制御する。それに対して、
本発明では選択期間内の実効電圧値を与えることで反射
率を制御する。そもそもコレステリック液晶はメモリー
性を有しているため、STNLCDのように電圧実効値
に対して一意的に反射率を決定できないが、上記のよう
に、直交周期と応答時間と選択時間との関係を規定し、
実効電圧値をとるべき期間を選択期間に限定することに
より、実効電圧と反射率との対応付けを可能としたもの
であり、この点が本発明の特異な点である。
【0050】本発明がSTN LCDにおける複数走査
線同時駆動と異なる2点目は、コレステリック液晶のメ
モリー性を利用するために、ある画素に書き込む際にす
でに書き込んだ画素を書き換えないように電圧設定する
点である。非選択ブロック上の画素には実効電圧 {∫C(t)dt/Ts}1/2=√L・Vd が印加される。この電圧が最も長く印加されるのは第1
ブロック上の画素であり、印加時間はTf−Tsであ
る。したがって、すでに書き込んだ画素の反射率を変化
させないためには、 √L・Vd<VT1(T=Tf−Ts) となるようにVdおよびLを設定する必要がある。ここ
でVT1(T=Tf−Ts)は電圧印加時間T=Tf−
TsにおけるVT1である。
【0051】このような電圧を走査電極群23およびデ
ータ電極群24に印加するための駆動回路(画像書き込
み装置)の一例を図15に示す。同図において、フレー
ムメモリ1は1画面分の表示データを格納し、直交関数
発生回路5は直交関数Ii(t)を発生する。Uiは+
Vdまたは−Vdをとるので、(Ui/Vd)は+1ま
たは−1となる。(Ui/Vd)・Ii(t)は(Ui
/Vd)=−1かつIi(t)=−1か、または(Ui
/Vd)=1かつIi(t)=1の場合に1となり、
(Ui/Vd)=−1かつIi(t)=1か、または
(Ui/Vd)=1かつIi(t)=−1の場合に−1
となる。これは(Ui/Vd)とIi(t)の符号が一
致する場合に1、一致しない場合に−1を与える排他論
理和演算を行うことを意味する。
【0052】排他論理和演算回路2はフレームメモリ1
から1ブロック分の表示データを取得し、直交関数との
排他論理和を演算する。計数回路3では、上記排他論理
和演算の結果得られた(Ui/Vd)とIi(t)の符
号の一致数と不一致数との差からC(t)/Vd=Σ
(Ui/Vd)・Ii(t)を算出する。これがデータ
電圧合成回路6でVd倍にレベルシフトされ、データ電
極ドライバ7を介してコレステリック液晶表示素子10
のデータ電極群24に印加される。一方、直交関数発生
回路5で発生した直交関数は、走査電圧合成回路8でV
s倍にレベルシフトされ、走査電極ドライバ9を介して
コレステリック液晶表示素子10の走査電極群23に印
加される。後述する実施形態で述べるように、選択期間
に先だってリセット期間を設ける場合には、リセット波
形発生回路4で発生したリセット波形を、データ電圧合
成回路6および走査電圧合成回路8を介してコレステリ
ック液晶表示素子10の走査電極群23およびデータ電
極群24に印加する。
【0053】本発明に用いられるコレステリック液晶表
示素子10は、走査電極群23とデータ電極群24をそ
れぞれ設けた2枚の基板11、12の間にコレステリッ
ク液晶30を挟持してなり、観察側と反対面に選択波長
を吸収する光吸収層41を設けたものである。基板1
1、12としてはガラスや、ポリカーボネート、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエーテルスルフォンなどの
樹脂など透光性誘電体が使用できる。走査電極群23と
データ電極群24としては、ITO(Indium T
in Oxide)、SnO、ZnO:Al等の導電
性酸化物や、ポリピロールやポリアニリン等の導電性樹
脂など透光性導電部材を用いる。これらは蒸着法、スパ
ッタリング法、イオンプレーティング法、ゾルゲル法、
コーティング法、印刷法、電着法などで成膜できる。透
光性導電部材は印刷法などで成膜時にパターニングする
が、成膜後、リソグラフィ法などを用いて所望の形状に
加工して用いる。
【0054】コレステリック液晶30は、シアノビフェ
ニル系、フェニルシクロヘキシル系、フェニルベンゾエ
ート系、シクロヘキシルベンゾエート系、アゾメチン
系、アゾベンゼン系、ピリミジン系、ジオキサン系、シ
クロヘキシルシクロヘキサン系、トラン系などのネマチ
ック液晶組成物に、コレステロール誘導体や2−メチル
ブチル基などの光学活性基を有する化合物からなるカイ
ラル化合物を添加したものや液晶性カイラル化合物を利
用できる。コレステリック液晶30には色素、微粒子な
どの添加剤を加えてもよい。コレステリック液晶30は
高分子マトリクス中に分散したものや、高分子ゲル化し
たものや、カプセル化したものでもよい。また、高分子
液晶、中分子液晶、低分子液晶のいずれでもよく、また
これらの混合物でもよい。コレステリック液晶30の選
択反射波長は400〜800nmの間の可視波長域にあ
るものだけでなく、近赤外波長域にある散乱−透過型の
コレステリック液晶表示装置に対しても本発明は適用で
きる。セルギャップは通常2〜20μmの範囲とする。
セルギャップdとコレステリック液晶30の螺旋ピッチ
Pとの比は、d/P=2〜30とする。
【0055】コレステリック液晶30と走査電極群23
及びデータ電極群24との間にはポリイミドなどの樹
脂、SiOなどの無機蒸着膜、シラン系やアンモニア系
表面改質剤を配向膜として設けてもよい。光吸収層41
は選択反射波長帯を吸収するものを用いるが、その色調
は表示効果に鑑みて適宜選択できる。材料としては染料
や顔料を含む塗料や、金属や金属酸化膜などの蒸着膜を
用いることができる。選択反射波長を近赤外波長域とす
る場合には、光吸収層41として黒色材料を用いるか、
省略するか、光吸収層の代わりに光反射層を設けてもよ
い。
【0056】また、本発明に用いられるコレステリック
液晶表示素子は、各画素にカラーフィルタを設けること
ができ、また選択反射波長が異なる複数のコレステリッ
ク液晶表示素子を積層してなるカラーコレステリック液
晶表示素子であってもよい。なお、Von=VT4、V
off=VT3となるようにVsとVdを設定すること
で、メモリーされている配向状態にかかわりなく、P配
向またはF配向に選択的に遷移させることができる。本
実施形態では、F配向からH配向への応答時間、および
P配向からF配向へ応答時間より直交周期を小さく、選
択期間の長さを大きくする必要がある。この応答時間は
液晶の弾性定数、粘度、印加電圧によって異なるが、通
常数十msである。
【0057】<実施形態2>図3は、本発明に係るコレ
ステリック液晶表示装置の他の実施形態における各走査
電極に与える電圧のタイミング図である。本実施形態で
は、i番目、(i+4)番目、(i+8)番目、(i+
12)番目の走査電極、すなわち、i番目、i+L番
目、i+2L番目、・・・i+nL番目(iはL未満の
整数、nは整数)の走査電極を1つのブロックとする。
このように走査電極ブロックは空間的に離散した走査電
極を選んでもよい。
【0058】本実施形態によれば、駆動回路として市販
のSTN用コモンドライバICが利用できる。図16
は、本実施形態に係る走査回路のブロック図を示すもの
である。図のように、一般にSTN用コモンドライバI
C9a、9b、9c、9dはシフトレジスタとレベルシ
フタとからなり、レベルシフタは出力の電圧極性を反転
するための極性反転端子を備える。本実施形態では、各
ブロックに1つのSTN用コモンドライバIC9a、9
b、9c、9dを接続し、走査電圧合成回路8から各ド
ライバICのシフトレジスタのデータ入力に1ビットの
選択信号を入力し、全ブロック並列に選択時間Tsごと
に1ビットずつシフトさせる。各ドライバICの出力極
性は直交関数発生回路5の出力にしたがって時間Ts/
Lごとに変化させる。このような手順で図3に示したタ
イミング図を実現できる。本実施形態によれば、市販の
STN用コモンドライバICを利用できるので、低コス
トにコレステリック液晶表示装置を構成できる。
【0059】<実施形態3>図4は、本発明に係るコレ
ステリック液晶表示装置の他の実施形態における各走査
電極に与える電圧のタイミング図である。本実施形態で
は選択期間に先立ってP配向に遷移するためのリセット
期間を設ける。リセット期間Trは、VT4以上の電圧
Vrhを印加する期間と電圧ゼロを印加する期間とから
なり、これによって一旦H配向へ遷移してからP配向へ
遷移する。リセット期間Trにおいては、全走査電極R
〜R16に同時に駆動電圧を印加する一方、データ電
極への印加電圧はゼロにする。選択期間Tsでは、Vo
n=VT2、Voff=VT1と設定して1ブロックご
とに順次F配向を書き込む。
【0060】本実施形態ではP配向からF配向への応答
時間より直交周期を小さく、選択期間の長さを大きくす
る必要がある。この応答時間は液晶の弾性定数、粘度、
印加電圧によって異なるが、通常数十msである。H配
向からP配向への遷移はトランジェント・プレーナ(T
P)配向と呼ばれる長ピッチのプレーナ配向状態を経由
して進行することが知られているが、前記電圧ゼロとす
る期間はH配向からTP配向へ遷移するまでの時間をと
ればよく、通常1ms程度以上とれば十分である。H配
向からP配向への遷移完了には通常数百msかかるが、
その完了まで待つ必要はない。この期間を設けない場
合、第1ブロックはH配向から直接F配向へ遷移するの
に対して、第2ブロック以降はH配向からTP配向を経
由した後にF配向へ遷移する。図25に示すように、こ
の2つの場合は電圧−反射率特性が異なるので、第1ブ
ロックと他のブロック間との間で表示むらが発生する。
上記のように、リセット期間の最後に電圧ゼロとする期
間を設けることによってこの表示むらを防止できる。
【0061】図21に示すように、VT3以上VT4
下の電圧では初期配向がP配向かF配向かに依存して反
射率が若干異なる。このため実施形態1のようにリセッ
ト期間を設けない書き込み方法の場合、以前に書き込ん
だ画像が残像として残ることがある。本実施形態によれ
ば、一旦全画素をP配向にリセットするため、確実に残
像がない画像を得ることができる。
【0062】<実施形態4>図5は、本発明に係るコレ
ステリック液晶表示装置の他の実施形態における各走査
電極に与える電圧のタイミング図である。本実施形態で
は、選択期間Tsに先立ってF配向に遷移させるための
リセット期間Trを設ける。このリセット期間Trはさ
らに下記の期間からなる。 1)VT4以上の電圧Vrhを与えて全画素をH配向と
する期間 2)電圧をゼロにしてP配向への遷移を開始させる期間 3)VT2以上VT3以下の電圧Vrfを与えてF配向
に遷移させる期間 4)電圧をゼロにする期間 このリセット期間Trにおけるデータ電極への印加電圧
はゼロにする。F配向へリセットした後、Von=V
T4、Voff=VT3と設定して1ブロックごとに順
次P配向を書き込む。
【0063】本実施形態では、F配向からH配向への応
答時間より直交周期を小さく、選択期間の長さを大きく
する必要がある。この応答時間は液晶の弾性定数、粘
度、印加電圧によって異なるが、通常数〜数十msであ
る。図22及び図23に示すように、F配向の反射率は
電圧印加時間が比較的長くなければ十分に低反射率にで
きないが、P配向の反射率は電圧印加時間が短くても印
加電圧が十分に高ければ高反射率を得られる。それゆ
え、実施形態3のようにP配向にリセットした後F配向
を順次書き込むより、本実施形態のようにF配向にリセ
ットした後P配向を順次書き込むほうが、選択期間Ts
の長さを短く、かつコントラストを高くすることができ
る。
【0064】<実施形態5>図6は、本発明に係るコレ
ステリック液晶表示装置の他の実施形態における各走査
電極に与える電圧のタイミング図である。本実施形態
は、実施形態4と同様に、選択期間Tsに先立ってF配
向に遷移させるためのリセット期間Trを設けるが、一
連の駆動電圧を選択期間Tsだけずらしたタイミングで
ブロックごとに順次印加することが実施形態4と異なる
点である。実施形態4では、一旦全画面が消去された後
に画面端から徐々に新しい画像が現れるが、本実施形態
では、前の画像を残したまま、画面端から新しい画像が
現れる。このように異なる表示効果を与えることができ
る。
【0065】<実施形態6>図7は、本発明に係るコレ
ステリック液晶表示装置の他の実施形態における各走査
電極に与える電圧のタイミング図である。本実施形態で
は、選択期間Tsに先立ってH配向に遷移させるための
リセット期間Trを設け、一連の駆動電圧を選択期間T
sだけずらしたタイミングでブロックごとに順次印加す
る。リセット期間Trでは、VT4以上の電圧Vrhを
与えて全画素をH配向に遷移させる。これに連続して選
択期間Tsでは、Von=VT8、Voff=VT1
して駆動電圧を印加する。
【0066】本実施形態ではH配向からF配向への応答
時間より直交周期を小さく、選択期間の長さを大きくす
る必要がある。この応答時間は液晶の弾性定数、粘度、
印加電圧によって異なるが、通常数十msである。図2
5に電圧−反射率特性を示すように、H配向へリセット
後にF配向を書き込む方が、実施形態4のようにP配向
リセット後にF配向を書き込む場合より電圧−反射率特
性の急峻性が高く、(Von−Voff)は小さくてよ
い。それゆえ本実施形態によれば、同時選択できる走査
電極本数Lを大きくとることができ、書き込み時間を短
縮することができる。
【0067】<実施形態7>図8は、本発明に係るコレ
ステリック液晶表示装置の他の実施形態における各走査
電極に与える電圧のタイミング図である。本実施形態で
は、選択期間Tsに先立ってH配向に遷移させるための
リセット期間Trを設けるとともに、選択期間Tsにつ
づいて最終的な配向状態への遷移を補助するための保持
期間Thを設け、ブロックごとに一連のリセット期間T
r、選択期間Ts、保持期間Thからなる駆動電圧を印
加するとともに、これら一連の駆動電圧を該選択期間だ
けずらしたタイミングでブロックごとに順次印加する。
【0068】リセット期間Trでは、印加電圧Vrhを
時間Tr印加してH配向に遷移させる。このときデータ
電極への印加電圧はゼロとする。選択期間Tsでは、電
圧VsがVon=VT7、Voff=VT6となるよう
に設定する。保持期間Thでは、電圧Vhを時間Th印
加して、H配向を維持するとともにTP配向をF配向に
遷移させる。Vonが印加された画素は選択期間中にH
配向が維持され、保持期間後にP配向に遷移して高反射
率となる。一方、Voffが印加された画素は選択期間
中にTP配向を経由してP配向への遷移を開始し、保持
期間中にF配向に遷移し低反射率となる。
【0069】本実施形態では、H配向からTP配向への
応答時間より直交周期を小さく、選択期間の長さを大き
くする必要がある。この応答時間は液晶の弾性定数、粘
度、印加電圧によって異なるが、通常サブmsである。
本実施形態はDDS法においてL本の走査電極を同時選
択するようにしたものとみなすことができる。従来のD
DS法の走査速度は0.3〜数ms/lineであり、
従来の駆動方法の中では高速であるが、本実施形態よれ
ばこれをさらにL倍に高速化することができる。
【0070】<実施形態8>実施形態1〜7において、
画素データ値Uiとして、図13(a)、(b)に示す
ような、任意の位相ずれφを有する波形を印加すること
で階調表示が可能となる。ただし、直交関数要素+1、
−1に対応して図12(a)の直流矩形波を選んだ場合
は図13(a)の波形を、図12(b)の対称矩形波を
選んだ場合は図13(b)の波形を用いるものとする。
画素データ値Uiが+Vdおよび−Vdの場合は、それ
ぞれφ=1および0に相当する。φとして0〜1の間の
任意の値を選ぶことによってVonとVoffの中間の
実効電圧値を画素に加えることができる。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、高速に書き換え可能な
コレステリック液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコレステリック液晶表示装置の一
実施形態における各走査電極に与える電圧のタイミング
図である。
【図2】本発明に係るコレステリック液晶表示装置の他
の実施形態における各走査電極に与える電圧のタイミン
グ図である。
【図3】本発明に係るコレステリック液晶表示装置の他
の実施形態における各走査電極に与える電圧のタイミン
グ図である。
【図4】本発明に係るコレステリック液晶表示装置の他
の実施形態における各走査電極に与える電圧のタイミン
グ図である。
【図5】本発明に係るコレステリック液晶表示装置の他
の実施形態における各走査電極に与える電圧のタイミン
グ図である。
【図6】本発明に係るコレステリック液晶表示装置の他
の実施形態における各走査電極に与える電圧のタイミン
グ図である。
【図7】本発明に係るコレステリック液晶表示装置の他
の実施形態における各走査電極に与える電圧のタイミン
グ図である。
【図8】本発明に係るコレステリック液晶表示装置の他
の実施形態における各走査電極に与える電圧のタイミン
グ図である。
【図9】従来のFCR法における各走査電極に与える電
圧のタイミング図である。
【図10】従来のDDS法における各走査電極に与える
電圧のタイミング図である。
【図11】(a)〜(d)はそれぞれ本発明で用いられ
る直交関数の例を示す図である。
【図12】(a)、(b)はそれぞれ本発明における直
交関数要素と電圧波形との関係を説明する図である。
【図13】(a)、(b)はそれぞれ本発明における階
調表示時の電圧波形を示す図である。
【図14】1ブロックの選択期間中の走査電極およびデ
ータ電極に印加する印加波形の一例を示す図である。
【図15】本発明に係るコレステリック液晶表示装置の
画像書き込み装置の一例を示すブロック図である。
【図16】本発明に係るコレステリック液晶表示装置の
走査回路の一例を示すブロック図である。
【図17】(a)〜(c)はそれぞれコレステリック液
晶の配向状態を説明するための断面図である。
【図18】コレステリック液晶表示素子の一例を示す断
面構造図である。
【図19】単純マトリクスパネルの一例を示す平面構成
図である。
【図20】電圧−反射率特性の測定用の印加波形と測定
タイミングを説明するための図である。
【図21】コレステリック液晶の電圧−反射率特性を示
す図である。
【図22】初期配向がF配向時における電圧−反射率特
性の電圧印加時間による変化を説明するための図であ
る。
【図23】初期配向がP配向時における電圧−反射率特
性の電圧印加時間による変化を説明するための図であ
る。
【図24】DDS法における駆動電圧の時系列パターン
を示す図である。
【図25】初期配向がH配向およびP配向時における電
圧−反射率特性を示す図である。
【図26】DDS法における選択電圧−反射率特性を示
す図である。
【符号の説明】
1 フレームメモリ 2 排他論理和回路 3 計数回路 4 リセット波形発生回路 5 直交関数発生回路 6 データ電圧合成回路 7 データ電極ドライバ 8 走査電圧合成回路 9 走査電極ドライバ 9a、9b、9c、9d STN用コモンドライバIC 10 コレステリック液晶表示素子 11、12 基板 21、22 透明電極 23 走査電極群 24 データ電極群 30 コレステリック液晶 41 光吸収層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G09G 3/36 G02F 1/137 505 (72)発明者 曳地 丈人 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社海老名事業所内 (72)発明者 鈴木 貞一 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社海老名事業所内 Fターム(参考) 2H088 GA03 HA03 HA06 KA24 MA10 2H093 NA11 NA13 NA43 NC11 NC16 ND32 NF28 5C006 AA22 AC02 AC23 AF71 BA19 BC03 BC13 BF03 BF46 FA12 5C080 AA10 BB05 CC03 DD08 FF09 JJ02 JJ04 JJ05 JJ06 KK02

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走査電極群とデータ電極群との交差部で
    画素を形成するコレステリック液晶表示素子と、前記走
    査電極群の走査電極を複数の走査電極よりなるブロック
    として順次選択し、選択期間における前記ブロックの複
    数の走査電極にそれぞれ対応する符号化された駆動電圧
    を同時に印加するとともに、前記データ電極群のデータ
    電極にそれぞれ対応する符号化されたデータ電圧を前記
    駆動電圧に同期して印加する駆動回路とを備えたことを
    特徴とするコレステリック液晶表示装置。
  2. 【請求項2】 前記駆動電圧が、前記選択期間の50%
    以上の時間、ホメオトロピック配向への遷移電圧以上の
    電圧波高値を有し、直交関数又は実質的な直交関数を用
    いて符号化されたものであることを特徴とする請求項1
    記載のコレステリック液晶表示装置。
  3. 【請求項3】 前記直交関数が、+1と−1を要素とす
    ることを特徴とする請求項2記載のコレステリック液晶
    表示装置。
  4. 【請求項4】 前記データ電圧が、直交関数又は実質的
    な直交関数に画素データ値を乗じて符号化されたもので
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    コレステリック液晶表示装置。
  5. 【請求項5】 前記選択期間が、直交関数の直交条件の
    成立時間である直交周期を複数含むことを特徴とする請
    求項2〜4のいずれかに記載のコレステリック液晶表示
    装置。
  6. 【請求項6】 選択期間内の画素に印加される実効電圧
    に対する液晶の応答時間が、前記直交周期以上選択期間
    以下であることを特徴とする請求項5記載のコレステリ
    ック液晶表示装置。
  7. 【請求項7】 非選択期間内の画素に印加される実効電
    圧が、プレーナ配向とフォーカルコニック配向との双安
    定状態を維持可能な閾値電圧より小さいことを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれかに記載のコレステリック液晶
    表示装置。
  8. 【請求項8】 前記選択期間に先立って初期配向に遷移
    させるためのリセット期間を設けたことを特徴とする請
    求項1〜7のいずれかに記載のコレステリック液晶表示
    装置。
  9. 【請求項9】 前記リセット期間が、前記ブロックの全
    部に同時に与えられることを特徴とする請求項8記載の
    コレステリック液晶表示装置。
  10. 【請求項10】 前記リセット期間が、前記ブロックご
    とにずらしたタイミングで順次与えられることを特徴と
    する請求項8記載のコレステリック液晶表示装置。
  11. 【請求項11】 前記選択期間に続いて最終的な配向状
    態への遷移を補助するための保持期間を設けたことを特
    徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のコレステリ
    ック液晶表示装置。
  12. 【請求項12】 前記ブロックが、空間的に離散した複
    数の走査電極よりなることを特徴とする請求項1〜11
    のいずれかに記載のコレステリック液晶表示装置。
  13. 【請求項13】 走査電極群とデータ電極群との交差部
    で画素を形成するコレステリック液晶表示素子に画像を
    書き込む画像書き込み装置であって、直交関数を発生す
    る直交関数発生回路と、前記直交関数をレベルシフトし
    て前記走査電極群の複数の走査電極ごとに順次印加する
    走査電圧を生成する走査電圧合成回路と、前記直交関数
    に画素データ値を乗じた値をレベルシフトして前記デー
    タ電極群のデータ電極に印加するデータ電圧を生成する
    データ電圧合成回路とを備えたことを特徴とする画像書
    き込み装置。
  14. 【請求項14】 前記走査電圧を前記走査電極群の空間
    的に離散した複数の走査電極ごとに印加可能な走査電極
    ドライバを備えたことを特徴とする請求項13記載の画
    像書き込み装置。
  15. 【請求項15】 前記走査電圧の印加に先だってリセッ
    ト波形を前記走査電圧合成回路及びデータ電圧合成回路
    を介して印加するリセット波形発生回路を備えたことを
    特徴とする請求項13又は14記載の画像書き込み装
    置。
  16. 【請求項16】 前記画素データ値として任意の位相ず
    れを有する波形を印加することを特徴とする請求項13
    〜15のいずれかに記載の画像書き込み装置。
  17. 【請求項17】 走査電極群とデータ電極群との交差部
    で画素を形成するコレステリック液晶表示素子に画像を
    書き込む画像書き込み方法であって、前記走査電極群の
    走査電極を複数の走査電極よりなるブロックとして順次
    選択し、前記選択したブロックにおける複数の走査電極
    にそれぞれ対応する符号化された駆動電圧を同時に印加
    するとともに、前記データ電極群のデータ電極にそれぞ
    れ対応する符号化されたデータ電圧を前記駆動電圧に同
    期して印加することを特徴とする画像書き込み方法。
  18. 【請求項18】 前記駆動電圧が、+1と−1を要素と
    する直交関数をレベルシフトして得られたものであるこ
    とを特徴とする請求項17記載の画像書き込み方法。
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