JP2002038582A - 住宅の構造設計方法及び構造設計装置 - Google Patents

住宅の構造設計方法及び構造設計装置

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JP2002038582A
JP2002038582A JP2000220475A JP2000220475A JP2002038582A JP 2002038582 A JP2002038582 A JP 2002038582A JP 2000220475 A JP2000220475 A JP 2000220475A JP 2000220475 A JP2000220475 A JP 2000220475A JP 2002038582 A JP2002038582 A JP 2002038582A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応
させて住宅の構造を合理的に設計する。 【解決手段】住宅の構造の安定に関する評価方法基準の
等級に対応させて住宅の構造を設計する方法であって、
建物の形状を入力する形状入力工程(ステップS1)
と、上記構造の安定に関する評価方法基準の等級を入力
する等級入力工程(ステップS2)と、形状入力工程で
入力された形状に基づき等級入力工程で入力された構造
の安定に関する評価方法基準の等級に対応した荷重を生
成する荷重生成工程(ステップS3)と、荷重生成工程
で生成された荷重に基づいて架構を生成する架構生成工
程(ステップS4)と、架構生成工程で生成された架構
に対して応力解析する解析工程(ステップS5)と、解
析工程で解析された結果に対して検定計算する検定計算
工程(ステップS6)とを含む

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅の構造の安定
に関する評価方法基準の等級に対応させた構造を持つ住
宅を合理的に設計することが出来る設計方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】建物の構造設計を行なう場合、建物に作
用する地震や風等の水平力及び、又は積雪に起因する垂
直力を想定すると共に屋根や床等の構造要素の重量や重
心点を計算し、この計算結果に基づいて各方向の壁に耐
力壁を最適数配置することが行なわれている。この計算
は煩雑であり、コンピュータを利用して部分的な演算を
実行し得るものの、耐力壁の配置等は設計者が適宜割り
付けている。
【0003】建物に作用する水平力や垂直力は、建築基
準法に於いて設定された係数を建物の重量に乗じて計算
される。例えば水平力は、大地震時の倒壊防止,中地震
時の損傷防止,暴風に於ける倒壊防止及び損傷防止等の
条件に対応させて夫々設定された係数を選択し、この係
数を建物の重量に乗じて計算される。
【0004】従って、建物に作用する力は目的の建物,
設計条件に応じて一定となる。そして建物の安全性の確
認は、前記力が作用したとき、建物の各部位に発生する
力が許容応力以下であること、建物の必要保有水平耐力
が建物の保有水平耐力以下であること、等を検定するこ
とで行なわれる。
【0005】最近では、コンピュータを用いて耐力壁の
割り付けを含めた構造設計の支援を行なうことが提案さ
れている。例えば、特開平9-302765号公報に開示された
技術は、コンピュータの画面上で住宅の外壁ラインと屋
根の仕様に関するデータを入力することにより、コンピ
ュータに横,縦方向の耐力壁の目安数と重心の位置を算
出させてこの結果を画面上に表示させ、この表示を参照
しながら外壁ラインに沿って耐力壁を入力した後、入力
した耐力壁によって必要強度を付与できるか否かを判定
させて結果を画面に表示させ、判定により必要強度を付
与できないと判明したときは、耐力壁の配置の修正を行
なって再度強度判定を行なうものである。この技術で
は、目的の住宅に於ける外壁に耐力壁を配置して強度の
判定を行なうことが出来るため、構造計画の支援方法と
して有利である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記技術では、耐力壁
の入力位置(配置位置)が住宅の外壁に限定されている
ため、必然的に耐力壁を外壁に集中せざるを得ず、外壁
に於ける開口部の位置や大きさに制約が生じる場合があ
る。また住宅全体としての耐力壁の不足や配置の偏りが
生じて構造計画上の必要強度が得られず、目的の平面計
画を断念せざるを得ない場合も生じ得るという問題があ
る。
【0007】一方、最近では建物に作用する水平力や垂
直力に対する性能を等級で評価し、この評価の結果を表
示する方向にある。即ち、設計された建物が、建築基準
法に定められた大地震時の地震力や中地震時の地震力或
いは風の力に比較してどの程度大きい力に耐えられる
か、を評価して等級で表示するものである。例えば、耐
震等級(構造躯体の倒壊防止)の場合、建築基準法に定
める極めて大きい地震力(数百年に一度程度発生する地
震力により生じる力)の1.5 倍の地震力に対して倒壊し
ない程度が等級3、極めて大きい地震力の1.25倍の地震
力に対して倒壊しない程度が等級2、極めて大きい地震
力に対して倒壊しない程度が等級1、として設定され、
他の条件に対しても同様の等級が設定されている。
【0008】上記技術によって等級を判別しようとした
場合、設計された結果がどの等級に相当するかを計算す
ることになる。即ち、上記従来の技術によって設計した
建物について、各部位の許容応力や保有水平耐力等を検
定し、この検定値から安全性を保証し得る荷重の荷重比
(建築基準法に定める荷重に対する比)を逆算すること
が必要となる。このことは、検定する部位や部材、及び
建物の階層が増えるほど複雑な処理作業となるという問
題がある。
【0009】更に、設計者が目標等級を想定して構造の
検討を行なう場合でも、目標とする等級に対する検定値
が出せないため、必要性能を満足していない場合に不満
足度をよみとることが出来ない。即ち、設計結果から等
級を判別することが出来るが、予め等級を想定して検討
結果を判定することは出来ないという問題がある。また
多雪地域のように、地震荷重と積雪荷重を同時に検討す
るという各等級に関する項目を同時に検討することは不
可能であるという問題がある。
【0010】本発明の目的は、構造の安定に関する評価
方法基準の等級に対応させて住宅の構造を合理的に設計
する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明に係る住宅の構造設計方法は、住宅の構造の安
定に関する評価方法基準の等級に対応させて住宅の構造
を設計する方法であって、建物の形状を入力する形状入
力工程と、建物の架構を入力する架構入力工程と、上記
構造の安定に関する評価方法基準の等級を入力する等級
入力工程と、前記形状入力工程で入力された形状に基づ
き前記等級入力工程で入力された構造の安定に関する評
価方法基準の等級に対応した荷重を生成する荷重生成工
程と、前記架構入力工程で入力された架構と前記荷重生
成工程で生成された荷重に基づいて応力解析する解析工
程と、前記解析工程で解析された結果に対して検定計算
する検定計算工程とを含むものである。
【0012】上記住宅の構造設計方法では、住宅の構造
の安定に関する評価方法基準の等級に対応させて最適な
強度を有する住宅を合理的に構造設計することが出来
る。
【0013】即ち、形状入力工程に於いて目的の建物の
形状(平面形状)を入力し、これにより各階毎の柱や梁
の位置及び外壁や間仕切壁の位置が設定され、これらの
外壁,間仕切壁が耐力壁を配置し得る部位として認識さ
れる。耐力壁を配置し得る部位を認識した後、架構入力
工程に於いて各方向の外壁,間仕切壁毎に耐力壁を配置
することで、躯体のフレーム及び耐力壁を含む建物の架
構が認識される。
【0014】上記の如く、建物の架構は、耐力壁と、
柱,梁を中心とする躯体のフレームを含む構成部材によ
って構成される。このため、躯体のフレームの持つ荷重
に対する変形特性等を予め実験等によって認識してお
き、この認識を見込んだうえで、該躯体に対し既に構造
上の特性が知られている耐力壁を配置して架構を設計す
ることが好ましい。
【0015】等級入力工程に於いて構造の安定に関する
評価方法基準の等級(以下単に「等級」という)を入力
することによって、目的の建物が地震力に代表される水
平力や積雪による垂直力に対して保有すべき強度の係数
が認識される。例えば、大地震に対し等級3を入力する
ことで、建築基準法に於いて設定された大地震時の地震
力に対し、係数1.5が認識される。そして荷重生成工程
では、上記等級入力工程で入力された等級と、目的の建
物の重量と、建築基準法に設定された各設計条件毎の係
数とによって、水平方向の荷重及び垂直方向の荷重が夫
々生成される。
【0016】上記の如く、等級入力工程に於ける等級の
入力と、荷重生成工程に於ける荷重の生成は連動したも
のであるが、架構入力工程は必ずしも等級入力工程に先
立って実施する必要はない。即ち、荷重の生成工程と架
構の入力工程の前後関係は限定するものではない。
【0017】その後、目的の建物の形状,架構と生成し
た荷重に基づいて解析工程で応力解析し、この解析結果
に対し検定計算工程で検定計算することで、目的の建物
に対し構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応さ
せた構造設計を行なうことが出来る。
【0018】また他の構造設計方法は、住宅の構造の安
定に関する評価方法基準の等級に対応させて住宅の構造
を設計する方法であって、建物の形状を入力する形状入
力工程と、上記構造の安定に関する評価方法基準の等級
を入力する等級入力工程と、前記形状入力工程で入力さ
れた形状に基づき前記等級入力工程で入力された構造の
安定に関する評価方法基準の等級に対応した荷重を生成
する荷重生成工程と、前記荷重生成工程で生成された荷
重に基づいて架構を生成する架構生成工程と、前記架構
生成工程で生成された架構に対して応力解析する解析工
程と、前記解析工程で解析された結果に対して検定計算
する検定計算工程とを含むものである。
【0019】上記構造設計方法では、建物の形状を入力
し、この建物に対する等級を入力することで荷重を生成
する。そして、生成された荷重に基づいて架構を生成し
て生成された架構に対して応力解析し、この解析結果に
対して検定計算することで、構造の安定に関する評価方
法基準の等級に対応させた構造設計を行なうことが出来
る。
【0020】また本発明に係る構造設計装置は、住宅の
構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応させて住
宅の構造を設計する装置であって、建物の形状を入力す
る形状入力手段と、建物の架構を入力する架構入力手段
と、上記構造の安定に関する評価方法基準の等級を入力
する等級入力手段と、前記形状入力手段で入力された形
状に基づき前記等級入力手段で入力された構造の安定に
関する評価方法基準の等級に対応した荷重を生成する荷
重生成手段と、前記架構入力手段で入力された架構と前
記荷重生成手段で生成された荷重に基づいて応力解析す
る解析手段と、前記解析手段で解析された結果に対して
検定計算する検定計算手段とを有して構成されるもので
ある。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、上記構造設計方法の好まし
い実施形態について図を用いて説明する。図1は本発明
に係る構造設計方法の手順を説明するフローチャートで
ある。図2は第1実施例に係る構造設計の手順を説明す
るフローチャートである。図3は1階の平面形状を示す
と共に外壁線,間仕切壁線,グリッドを示す図である。
図4は2階の平面形状を示すと共に外壁線,間仕切壁
線,グリッドを示す図である。図5は屋根伏図である。
図6は1階に必要な耐力壁をY方向(南北方向、図に於
ける上下方向)に配置した配置パターンの例を示す図で
ある。図7は予め1階に耐力壁線を設定すると共に各耐
力壁線に耐力壁を割り付けた状態を示す図である。図8
は柱隣接度を説明する図である。図9は平面的分散度を
説明する図である。図10は立体的分散度を説明する図で
ある。図11は目的の建物の1階及び2階の平面形状を示
す図である。図12は第2実施例に係る構造設計方法の手
順を説明するフローチャートである。
【0022】本発明に係る構造設計方法は、目的の建物
に対し、建築基準法に設定された、水平方法に作用する
地震力或いは風力等の水平力、垂直方向に作用する積雪
による力、積雪時に発生する虞のある地震力や風力とに
よる水平力と垂直力との合成力等の力と、これらの力に
構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応する係数
を乗じて得た各力に基づいて建物の構造設計を合理的に
行なえるようにしたものであり、特に、コンピュータを
利用して構造設計を支援し得るようにしたものである。
【0023】建物の構造設計を行なう場合、躯体のフレ
ームや耐力壁が強度に対する重要な因子となる。この中
で、躯体のフレーム、特に梁の配置は建物の間取りに関
連するため変更の自由度が低いが、柱の配置位置は梁よ
りも変更の自由度が高い。更に、耐力壁は外壁や間仕切
壁に対し適宜配置し得るものであり、変更の自由度が極
めて高い。そして建物の構造設計を行なう場合、前記柱
や耐力壁の配置が重要となる。このため、本実施例の構
造設計方法では、目的の建物が必要とする耐力壁の数及
び配置位置までを設定するものとして説明する。
【0024】構造の安定に関する評価方法基準の等級に
対応して建物の構造設計を行なうに際し、表示すべき事
項として、大地震時に対応させた耐震等級,中地震時に
対応させた耐震等級,耐風等級,耐積雪等級等があり、
更に、積雪時に発生する地震或いは風に対する事項があ
る。また力或いは荷重の方向としては、水平方向と垂直
方向がある。
【0025】上記の如く、建物の構造設計を行なうには
種々の力或いは荷重に対する検討が行なわれることとな
る。このため、全ての事項に対して説明するのでは煩雑
となるため、以下、建物に対し地震に代表される水平力
が作用する場合の構造設計の手順について説明するもの
とする。
【0026】また以下の説明では、図1に示す手順が請
求項2に係る発明に対応し、図12に示す手順が請求項1
に係る発明に対応する。
【0027】本発明に係る構造設計方法の説明に先立っ
て、図11により建物の例を説明する。図に於いて、目的
の建物は1階Aと2階Bとからなる2階建て住宅として
構成されている。各階A,Bには、建物の外部を構成す
る外壁1、及び建物の内部に設けた間仕切壁2が構成さ
れており、これらの壁1,2によって建物内部の間取り
が構成されている。また1階Aには床面を構成する玄関
ポーチ3が構成され、2階Bには同様に床面を構成する
ベランダ4が構成されている。このような平面形状は、
目的の建物に居住する家族構成等の条件に対応して設定
される。
【0028】目的の建物を構成する外壁や間仕切壁に耐
力壁を配置する場合、該建物に作用する水平力に影響さ
れる。このため、建物の平面形状が設定された後、該建
物を構成する各階層毎の重量を算出し、算出された重量
(垂直荷重)に応じて各階層毎に且つ各方向毎に地震時
に作用する水平力が算出される。従って、地震時に作用
する水平力は2階Bよりも1階Aの方が大きい。
【0029】また、例えばコンピュータに耐力壁の許容
荷重のデータ及び躯体の構造特性等の他の構造設計に必
要なデータを記憶させておき、設計に際し、作用する水
平力に対し最適な耐力壁を選択するように構成すること
が可能である。
【0030】特に、複数種類の耐力壁には夫々予め許容
荷重が設定されているため、建物に作用する水平荷重が
設定されたとき、この水平荷重と許容荷重とから、設計
者が容易に各方向毎の必要耐力壁数を算出することが可
能である。このように、各階層毎及び各方向毎の耐力壁
の数はコンピュータを利用して設定することが可能であ
り、また手計算によって設定することも可能である。
【0031】次に図1に示すフローチャートに従って本
発明に係る構造設計方法を進行する好ましい手順につい
て説明する。
【0032】先ず、ステップS1の形状入力工程では、
目的の建物の形状を入力する。このとき、建物を構成す
る柱や梁を含む部材の仕様を入力することで、該建物の
重量を計算することが可能である。次いで、ステップS
2の各等級入力工程では、目的の建物に設定された構造
の安定に関する評価方法基準の等級を入力する。
【0033】ステップS3の荷重生成工程では、ステッ
プS1で入力された建物の形状と、ステップS2で入力
された等級に基づいて、目的の建物に作用する荷重を生
成する。このとき、単に水平荷重のみが生成されるもの
ではなく、積雪を考慮する場合には垂直荷重、垂直荷重
と水平荷重との合成荷重が生成される。
【0034】次に、ステップS4の架構生成・補正工程
では、ステップS1で入力された形状に対し、ステップ
S3で生成された荷重に対抗し得る耐力壁を配置すると
共に躯体のフレームを設定することで、目的の建物に対
応する架構が生成される。この架構の生成は後述する第
1実施例で具体的に説明するように、コンピュータによ
って支援するようにしても良く、設計者が画面上で指示
するようにしても良い。
【0035】次いで、ステップS5の応力解析工程で
は、生成された架構に対し応力解析を行い、ステップS
6の検定計算工程で解析された応力の検定を行なう。こ
の結果、架構に略均等な応力が生じていると判断された
場合、生成された架構は妥当であるとして構造設計を終
了する。
【0036】また架構に不均等な応力が生じていると判
断された場合、ステップS4に戻って架構を補正する。
この補正は、耐力壁の配置数の変更や配置位置の変更等
によって行なわれる。その後、再度ステップS5で応力
解析を行なってステップS6で検定計算を行い、検定計
算の結果、架構に略均等な応力が生じていると判断され
たとき、生成された架構は妥当であるとして構造設計を
終了する。
【0037】上記各工程ステップS1〜ステップS6を
経ることで、構造の安定に関する評価方法基準の等級に
合理的に対応した建物の構造設計を行なうことが可能で
ある。
【0038】次に、本発明の第1実施例について図2〜
図10により具体的に説明する。尚、前述したように、耐
力壁は、各階層毎に且つ各方向毎に設定される。このた
め、本実施例に係る構造設計方法も建物の例えば南北方
向(Y方向)及び東西方向に実行され、各階層毎に且つ
各方向に対する耐力壁の配置が終了して完成することに
なる。しかし、耐力壁の配置手順は各方向共に同一であ
り、説明が煩雑になる虞があるため、以下、本実施例で
は、建物の1階Aに於ける南北方向(Y方向)に対する
耐力壁の配置手順について説明し、東西方向、及び2階
Bに対する配置手順の説明を省略するものとする。
【0039】また本発明に係る構造設計方法は設計者或
いは営業技術者が手作業で進行させることが可能であ
る。しかし、本実施例では必要な情報をコンピュータに
入力して所定のプログラムに従って演算し、これによ
り、各階層毎に且つ各方向毎に形成された外壁1,間仕
切壁2に合理的に耐力壁5を配置し得るように構成して
いる。
【0040】耐力壁を配置する場合、建物の平面形状の
設定が必須となる。このため、ステップS1では、建物
の形状を入力する。即ち、図3に示す1階Aの外壁1
(外壁線1),間仕切壁2を入力し、同様に図4に示す
2階Bの外壁線1,間仕切壁2を入力する。このとき、
外壁1,間仕切壁2に形成される窓や扉等の開口部、及
び浴槽やシンク,押し入れ等の建具の位置も入力する。
そして本実施例では、入力した外壁1,間仕切壁2に於
ける開口部を除く全ての部位を耐力壁を配置し得る部位
(設置可能部)とし、この設置可能部に耐力壁を配置す
ることとしている。
【0041】また各階A,Bに、各頂点に柱が配置され
た長方形或いは矩形のグリッドAg1〜Ag6,Bg1
〜Bg6を設定して夫々の頂点の位置を入力する。前記
頂点の位置は、各階層毎に左下の位置を原点Oとした座
標値で設定される。
【0042】耐力壁5は外壁1及び間仕切壁2に配置さ
れるため、上記の如く各階層A,Bの平面形状を構成す
る外壁1と間仕切壁2の位置が設定されれば良く、更に
後述する点数付け工程で利用する各グリッドの頂点の位
置が設定されていれば良い。尚、各階層毎に設定するグ
リッドAg1〜Ag6,Bg1〜Bg6は点数付け工程
に於いて柱隣接度の点数付けを行う際に利用されるもの
であるが、この点数付け工程では必ずしもグリッドAg
1〜Ag6,Bg1〜Bg6を必要とせず、従って、本
発明に於いて前記各グリッドを設定することが必須では
ない。
【0043】しかし、建物の構造計算を実行する場合、
建物の重量を算出することが必要であるため、ステップ
S1では、1階Aの平面形状を構成する躯体の輪郭線
6,玄関ポーチ3を含む床面外周線7を入力し、同様に
2階Bの平面形状を構成する躯体の輪郭線6,ベランダ
4を含む床面外周線7を入力し、更に、図5に示す屋根
Cの形状を入力する。また建物の重量を計算する上で必
要となる床の仕様(例えば目的の建物が個建住宅である
場合の一般床か集合住宅である場合の重量床か、更に床
を構成する材料や厚さ等),屋根の仕様(例えば屋根材
が瓦か石綿セメント板か、等),耐火被覆の有無、及び
他の条件を入力する。
【0044】上記各条件を入力することによって、コン
ピュータでは、1階A,2階B,屋根Cの各階層の重量
を演算し、且つ建物の躯体を構成する梁や柱の仕様等を
演算することが可能である。
【0045】次いで、ステップS2では構造の安定に関
する評価方法基準の等級を入力する。この入力は、目的
の建物が保持すべき等級に応じて行なわれる。即ち、シ
ステム住宅に対応する建物を設計する場合、予め開発段
階で該建物に対する性能が設定され、この性能に対応す
る等級が設定される。また戸建て住宅では、顧客の要求
により目的の建物に対する性能が設定され、この性能に
対応する等級が設定される。従って、ステップS2で
は、設計すべき建物の性能に応じた等級が入力される。
【0046】入力する等級について簡単に説明すると、
この等級は、構造の安定に関する評価方法基準の等級で
あって、例えば、大地震に対する耐震等級3は建築基準
法に於いて設定された大地震時の地震力に対し、1.5倍
の地震力でも倒壊しない程度の性能が要求される。また
耐震等級2では、建築基準法に於いて設定された大地震
時の地震力に対し、1.25倍の地震力でも倒壊しない程度
の性能が要求され、耐震等級1では建築基準法に於いて
設定された大地震時の地震力に対して倒壊しない程度の
性能が要求される。
【0047】従って、ステップS2で予め設定された等
級を入力したとき、入力された等級に対応する係数が設
定される。
【0048】次いで、ステップS3では荷重生成が行な
われる。この荷重生成工程ステップS3では、ステップ
S2の等級入力工程で入力された等級に応じた係数を建
築基準法で設定された大地震時の地震力に乗じて得た数
値と、目的の建物の重量とによって、該建物を設計する
際の水平力が生成される。
【0049】ステップS41〜ステップS45は、前述した
図1の説明に於ける架構生成・補正工程ステップS4に
対応するものである。即ち、ステップS41〜ステップS
44に於いて架構生成の重要な部分を占める耐力壁5の配
置を含む一連の作業が行なわれ、ステップS45では補正
に相当する再配置が行なわれる。
【0050】従って、ステップS41の必要耐力壁数N入
力工程では、各階層A,B毎に、及び各方向毎に、必要
な耐力壁5の数Nが演算される。目的の建物に必要な耐
力壁5の数は、コンピュータに記憶させたプログラムに
従ってステップS3で生成された荷重に応じた演算の結
果として算出される。また架構の生成は、算出された数
の耐力壁5を外壁1,間仕切壁2に配置することで、躯
体のフレームを構成する梁や柱を含む構成部材の配置と
共に行なわれる。
【0051】前述したように、予め標準的な耐力壁5の
許容荷重が判明している場合、建物の重量,建築基準法
に定められた地震力,性能等級による係数との積によっ
て建物に作用する水平力の値が判明するため、この水平
力を耐力壁5の許容荷重で割ることで必要耐力壁数を計
算することが可能である。このような計算をコンピュー
タが行うか、或いは技術者が行うかについては何ら限定
するものではない。
【0052】本実施例では1階Aを構成するY方向に必
要な耐力壁5の数として6が入力されたとし、この6個
の耐力壁をY方向の複数の外壁1,間仕切壁2に配置す
ることで架構を生成する。
【0053】次いで、ステップS42の配置パターン候補
の作成工程では、算出された必要耐力壁数を外壁1,間
仕切壁2に配置して複数の配置パターンを作成する配置
パターンの作成を行なう。この工程では、ステップS1
で入力された平面形状、及び算出された必要耐力壁数に
基づいて耐力壁5を外壁1,間仕切壁2に配置する場
合、外壁1,間仕切壁2に於ける耐力壁を設置し得る部
位(設置可能部)が入力された必要耐力壁数よりも多い
場合、個々の設置可能部に対し任意に耐力壁を配置した
複数の配置パターンが作成される。
【0054】即ち、図6(a)〜(d)は1階Aに於け
るY方向の耐力壁5の配置パターンのいくつかの例を示
している。例えば、同図(a)は、耐力壁5を原点O側
の外壁1,間仕切壁2に集中的に配置したものであり、
グリッドAg1に4個の耐力壁5が配置されるものの、
グリッドAg3には全く配置されていないという配置パ
ターンである。
【0055】また同図(b)は、耐力壁5を比較的各グ
リッドAg1〜Ag6に分散して配置したものであり、
3個の耐力壁5を外壁1に配置し、同様に3個の耐力壁
5を間仕切壁2に配置した配置パターンである。また同
図(c)は5個の耐力壁5を外壁1に配置し、1個の耐
力壁5を間仕切壁2に配置した配置パターンである。更
に、同図(d)は全ての耐力壁5を原点Oから最も離隔
した部位に集中して配置した配置パターンである。
【0056】上記各配置パターンは何れもステップS42
の配置パターン候補の作成工程で作成されたものであ
り、上記例以外に、外壁1,間仕切壁2に於ける耐力壁
5の設置可能部の数と必要耐力壁数とに対応した数の配
置パターンが作成される。従って、耐力壁の設置可能部
の数が多くなると非常に多くの配置パターンが作成され
ることになる。このため、後述する点数付け作業に於い
て、作成された個々の配置パターンに対して点数付けを
行う際の作業量が増加することとなる。
【0057】コンピュータの処理能力が無制限に大きけ
れば、配置パターンの数が如何に多くなっても大きな問
題ではない。しかし、実際上処理能力が無限のコンピュ
ータは存在しないため、配置パターンを作成するに際
し、設計技術者や営業技術者或いは他の技術者等(技術
者)が介在してやることで、配置パターンの数を削減す
ることが好ましい。この場合、耐力壁5を配置するため
の耐力壁線Y1〜Y4のみを指定する介在の仕方と、耐
力壁線Y1〜Y4及び夫々の耐力壁線Y1〜Y4に配置
すべき耐力壁の数を指定する介在の仕方がある。
【0058】以下、技術者が1階Aを構成するY方向の
外壁1,間仕切壁2の中から耐力壁5を配置すべき複数
の耐力壁線Y1〜Y4を指定(図7参照)した場合につ
いて説明する。
【0059】前述したように、ステップS1で入力され
た建物の形状、ステップS3で算出されたY方向に作用
する水平力と、予め記憶されている標準的な耐力壁5の
許容荷重とに基づいて、ステップS41でY方向に必要な
耐力壁5の目安枚数(Ny)を算出する。このとき、耐
力壁5の目安枚数は必ずしも整数ではなく、小数点以下
の数値が算出されることがある。
【0060】次に、指定された耐力壁線Y1〜Y4毎に
耐力壁5の目安数を算出する。このとき、例えば、指定
された各耐力壁線Y1〜Y4の負担面積及び上階の耐力
壁線との位置関係、床面に作用する剪断力等の条件を考
慮する。この結果、各耐力壁線Y1〜Y4に配置すべき
耐力壁5の目安数が設定される。この数値に基づいて技
術者が例えば小数点以下の数値を繰り上げたり、切り捨
てるような調整を行うことで各耐力壁線Y1〜Y4に耐
力壁5を分配することが可能である。
【0061】この場合、単に各耐力壁線Y1〜Y4に配
置すべき耐力壁5の数が決定されたということであっ
て、各耐力線Y1〜Y4に於ける何れの位置に配置する
かが決定されるものではない。しかし、配置パターンの
数を大幅に削減することが可能である。
【0062】次に、技術者が図7に示すように、1階A
を構成するY方向の外壁1,間仕切壁2の中から耐力壁
5を配置すべき複数の耐力壁線Y1〜Y4を指定すると
共に、各耐力壁線Y1〜Y4に配置すべき耐力壁5の数
を指定した場合について説明する。この場合であって
も、配置パターンの数を大幅に削減することが可能であ
る。
【0063】例えば、Y方向に沿った3本の外壁1に夫
々耐力壁線Y1,Y2,Y4を指定すると共に間仕切壁
2に耐力壁線Y3を指定し、耐力壁線Y1,Y4には2
個の耐力壁5を指定すると共にY2,Y3に1個の耐力
壁5を指定した場合、耐力壁線Y1上には2個の設置可
能部が形成されるのみであって全く自由度がないことに
なり、耐力壁線Y1に対する耐力壁5の配置は一義的に
決まり、耐力壁線Y2には1個の設置可能部が形成され
るため、該耐力壁線Y2に対する耐力壁5の配置も一義
的に決まり、耐力壁線Y3は2個の設置可能部を有する
ため、2個の配置パターンが形成され、耐力壁線Y4に
は5個の設置可能部が形成されるため、10個の配置パ
ターンが形成される。従って、全体では20個の配置パ
ターンが形成されることとなり、耐力壁5を任意の状態
で外壁1,間仕切壁2に形成された全ての設置可能部に
配置して得た配置パターンの数を大幅に削減することが
可能である。
【0064】上記の如く、予め耐力壁線Y1〜Y4を指
定し、或いは耐力壁線Y1〜Y4を指定すると共に各耐
力壁線Y1〜Y4に配置すべき耐力壁の数を指定して配
置パターンを作成した場合であっても、得られた配置パ
ターンは、前述した外壁1,間仕切壁2に於ける耐力壁
の設置可能部に対し入力された必要数の耐力壁を任意に
配置して作成した配置パターンに含まれるのであって、
両者は何ら異なるものではない。
【0065】次いで、ステップS43の配置パターンの点
数付け工程では、ステップS42で得た全ての配置パター
ンに対し、表1の項目に基づいて点数付けを行い、付与
された点数を合計して個々の配置パターン毎の総点数と
する。
【0066】
【表1】
【0067】
【0068】柱隣接度は、配置された耐力壁5が各グリ
ッドの頂点に配置された柱に接しているか否かによる点
数であり、図8に示すように、耐力壁線Y4に2個の耐
力壁5a,5bを配置したとき、個々の耐力壁5a,5
bは各グリッドAg3,Ag6の頂点に配置された柱10
に接している場合40点が付与され、また頂点の柱10に
接していない場合であっても構造上必要な柱(図示しな
いキャンティ持ち出し梁下の柱、或いは図3のポーチ3
の部分に示す外壁の出隅部の柱11)に接する場合30点
が付与され、前記以外は0点が付与される。従って、図
8の場合、耐力壁5aはグリッドAg3の頂点の柱10に
接しているため40点が付与されるが、耐力壁5bはグ
リッドAg6の頂点の柱10とも、他の構造上必要な柱10
とも接していないため0点が付与される。そして図8の
合計点は40点となる。
【0069】平面的分散度は、耐力壁の平面的な分散に
伴う平面形状に於ける偏心の少なさ、捩じり剛性の高さ
を評価するものである。同一の耐力壁線Y4に複数の耐
力壁5a,5bが配置される場合、例えば図9(a)〜
(c)に示すように耐力壁線Y4に2個の耐力壁5a,
5bが配置された場合、耐力壁5a,5bの距離の絶対
値(HP)の10%が点数として付与される。同図
(a)に示すように、2個の耐力壁5a,5bが隣接し
て配置されている場合、耐力壁5の幅寸法が座標値の絶
対値(HP)となる。また同図(b)は耐力壁5aの位
置が変化せずに耐力壁5bがグリッドAg3のY方向の
寸法まで離隔している。このため、付与される点数は同
図(a)の場合よりも大きい値となる。更に、同図
(c)は耐力壁5bが耐力壁線Y4に於ける端部まで離
隔している。このため、三者のなかでは最も大きい点数
が付与される。
【0070】ここで、HPの値は予め設定した基準値と
して設定されるものであり、この値が如何なる数値であ
るかは限定するものではない。例えば本実施例では、61
0mmを1HPとして設定している。従って、例えば図9
(c)に示すように、耐力壁5bが耐力壁線Y4に於け
る端部まで離隔しており、耐力壁5a,5bの距離が54
00mm離隔していたとすると、絶対値(HP)は5400÷61
0=8.8となり、この絶対値(HP)の10%(0.88)が
点数として付与される。
【0071】また耐力壁線に1個の耐力壁5cのみが配
置された場合、例えば図9(d)に示す耐力壁線Y3に
配置された耐力壁5cの平面的分散度は、隣接する耐力
壁線に配置された耐力壁5の平均座標値の絶対値(H
P)の10%が点数として付与される。この場合、隣接
する耐力壁線とは目的の耐力壁線Y3よりも原点O側の
耐力壁線Y2であり、該耐力壁線Y2に配置された耐力
壁5eの座標値(線12で示す)からの離隔距離の10%
が点数として付与されることとなる。
【0072】立面的分散度は耐力壁に取りつく柱や梁或
いは基礎の応力を小さくすることを評価するものであ
る。この立面的分散度は上階の点数付けを行う際に利用
するものであり、図10に示すように、上階に配置された
耐力壁5fが下階に配置された耐力壁5gからの離隔距
離に応じて点数が付与される。従って、1階Aの点数付
けでは利用されることがない。
【0073】同図(a)に示すように、上階(2階B)
に配置された耐力壁5fが下階(1階A)に配置された
耐力壁5gから離隔している場合、即ち、耐力壁5fと
5gが一致した位置にない場合100点が付与され、同
図(b),(c)に示すように、上階に配置された耐力
壁5fの始点又は終点が下階の耐力壁5gの始点又は終
点と一致する場合20点が付与され、更に、上階の耐力
壁5fと下階の耐力壁5gとが全く一致した場合0点が
付与される。
【0074】上記の如くして各項目毎に点数付けを行
い、付与された全ての点数を加算することで個々の配置
パターンの最終得点を計算し、これにより、全ての配置
パターン毎に点数付けを行うことが可能である。
【0075】次いで、ステップS44の配置パターン決定
・配置工程では、ステップS43に於いて点数付けされた
配置パターンの中から、最高点が付与された配置パター
ン(例えば図6(c))を選択し、該配置パターンに基
づいて外壁1及び間仕切壁2に対する耐力壁5の配置を
決定する。
【0076】次いで、ステップS5では、ステップS44
で決定された配置パターン(生成された架構)に対し、
耐力壁5の位置に基づいて応力の解析を行なう。この応
力解析は、躯体のフレームや耐力壁5に対して作用する
水平力と許容荷重との関係を検証することで行われる。
【0077】躯体のフレームに対する応力解析を行なう
場合、例えば各耐力壁線Y1〜Y4に配置された耐力壁
5に水平力が作用したとき、各耐力壁線Y1〜Y4を構
成する個々の梁に作用する応力を判定する。
【0078】更に、ステップS6では、応力解析の結果
から、躯体のフレームを構成する柱や梁等の部材に対す
る断面の検定計算や、個々の耐力壁5毎に水平力と許容
荷重の関係に基づく検定計算が行なわれる。
【0079】そして躯体のフレームを構成する部材或い
は耐力壁5であって、過度の水平力が作用し、或いは作
用する水平力が極端に少ないような部材,耐力壁5が存
在する場合、現在の躯体のフレームを構成する部材の配
置或いは耐力壁5の配置が否定される。
【0080】このように、フレームを構成する部材や耐
力壁5の配置に支障がある場合、ステップS45の再配置
工程に進んで、部材の再配置及び個々の耐力壁5が略均
等な水平力を負担し得るように追加し或いは移動させる
ことで再配置を行う。そして、耐力壁5の再配置を含む
架構の補正を行なった後、再度、ステップS5に進行
し、該ステップS5に於いて再配置されたフレームを構
成する部材及び耐力壁5の位置に基づいて再度応力解析
を行う。
【0081】上記再配置は、ステップS6に於いて構造
計算を満足するまで繰り返し、ステップS6に於ける応
力解析の結果が検定計算を満足し得る値となったとき、
躯体のフレームを構成する部材の形状や配置及び耐力壁
5の配置が合理的に行なわれたとして一連の手順を終了
し、構造設計方法が終了する。
【0082】尚、上記した手順では、建物の1階Aで且
つ南北方向に沿った方向(Y方向)の外壁1,間仕切壁
2に複数の耐力壁5を配置する場合のみについて説明し
たが、前記方向と交差する方向(東西方向)に対して耐
力壁5を配置する方法も、2階Bの各方向に耐力壁5を
配置する方法も何ら変わることはなく、全く同一の手順
を経ることで、合理的に配置することが可能である。
【0083】次に、第2実施例に係る構造設計方法につ
いて図12により説明する。本実施例は基本的なフローは
前述の図1と略同様であるが、この図1の例では、ステ
ップS4の架構生成工程を有しており、設計者は基本的
にステップS1で建物の形状(平面プラン)を入力する
作業を行なうのみで良い。しかし、本実施例では、設計
者は架構も入力する必要がある点で異なる。
【0084】即ち、ステップS11に於いて、設計者は目
的の建物の形状を入力する。この作業は第1実施例に於
けるステップS1と同一である。
【0085】次いで、ステップS12では、目的の建物に
於ける外壁1,間仕切壁2に対し、耐力壁5を含む架構
を入力する。このとき入力する耐力壁5の数及び位置に
対する限定はなく、設計者の経験や感に基づいて適宜入
力しても良い。
【0086】次いで、ステップS13では構造の安定に関
する評価方法基準の等級を入力し、ステップS14に於い
て荷重を生成する。これらの工程に於ける作業内容は、
第1実施例に於けるステップS2の各等級入力工程、ス
テップS3に於ける荷重生成工程と同一である。またス
テップS12とステップS13,14との順序は限定する必要
はなく、ステップS12を荷重生成工程であるステップS
14の次に繰り下げても何ら問題は生じない。
【0087】ステップS14まで経ることで、外壁1,間
仕切壁2に耐力壁5を配置した架構と、この架構に作用
する力が認識される。このため、ステップS15では、前
記架構と該架構に作用する力から応力解析を行なう。こ
の応力解析の作業は第1実施例に於けるステップS5の
応力解析と変わることはない。
【0088】そしてステップS16に於いて検定計算を行
い、躯体のフレームを構成する部材や耐力壁5であっ
て、過度の水平力が作用し、或いは作用する水平力が極
端に少ないような部材,耐力壁5が存在する場合、ステ
ップS12で入力した躯体のフレームを構成する部材の配
置或いは耐力壁5の配置が否定される。
【0089】この場合、再度ステップS12に戻って、部
材及び耐力壁5を追加し或いは移動させた新たな架構を
入力し、再度、ステップS15に進行して応力解析を行
う。この作業を繰り返し、応力解析の結果が検定計算を
満足し得る値となったとき、躯体のフレームを構成する
部材の形状や配置及び耐力壁5の配置が合理的に行なわ
れたとして一連の手順を終了し、構造設計方法が終了す
る。
【0090】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明に係る
構造設計方法では、形状入力工程に於いて目的の建物の
形状を入力することで、各階毎の柱や梁の位置及び外壁
や間仕切壁の位置が設定され、これにより、躯体のフレ
ーム及び耐力壁を配置し得る部位を認識することが出
来、架構入力工程に於いて各方向の外壁,間仕切壁毎に
耐力壁を配置することで、躯体のフレーム及び耐力壁を
含む建物の架構を認識することが出来る。また等級入力
工程に於いて等級を入力することによって、目的の建物
が地震力に代表される水平力や積雪による垂直力に対し
て保有すべき強度の係数を認識し、荷重生成工程では、
入力された等級と、目的の建物の重量と、建築基準法に
設定された各設計条件毎の係数とによって、水平方向の
荷重及び垂直方向の荷重を夫々生成することが出来る。
更に、目的の建物の形状,架構と生成した荷重に基づい
て解析工程で応力解析し、この解析結果に対し検定計算
工程で検定計算することで、目的の建物に対し構造の安
定に関する評価方法基準の等級に対応させた構造設計を
行なうことが出来る。
【0091】上記等級は、住宅の品質確保等促進法
(「品確法」平成12年度)に於ける等級そのものとす
ることが可能であるため、この品確法に適用すること
で、住宅の品質の確保に対し顕著な効果を発揮すること
が出来る。
【0092】従って、目的の建物に想定された性能に応
じて最も合理的な躯体のフレーム及び耐力壁の配置を行
なって、構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応
させた構造設計を行なうことが出来、且つ性能を保証す
ると共に性能に見合った経済性を発揮することが出来
る。
【0093】また他の構造設計方法では、建物の形状を
入力し、この建物に対する等級を入力することで荷重を
生成し、生成された荷重に基づいて架構を生成して生成
された架構に対して応力解析し、この解析結果に対して
検定計算することで、構造の安定に関する評価方法基準
の等級に対応させた構造設計を行なうことが出来る。
【0094】特に、住宅に対する等級にあった荷重生成
から架構の耐震壁の数、及び配置を決定することが出来
る。また予め耐震壁を配置し得る領域を決めておくこと
によって、将来発生する可能性のある間取りの変更に容
易に対応することが出来る。
【0095】また本発明に係る構造設計装置を用いるこ
とによって、設計者以外の者であっても、おおよその構
造設計を容易に行なうことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る構造設計方法の手順を説明するフ
ローチャートである。
【図2】第1実施例に係る構造設計の手順を説明するフ
ローチャートである。
【図3】1階の平面形状を示すと共に外壁線,間仕切壁
線,グリッドを示す図である。
【図4】2階の平面形状を示すと共に外壁線,間仕切壁
線,グリッドを示す図である。
【図5】屋根伏図である。
【図6】1階に必要な耐力壁をY方向(南北方向、図に
於ける上下方向)に配置した配置パターンの例を示す図
である。
【図7】予め1階に耐力壁線を設定すると共に各耐力壁
線に耐力壁を割り付けた状態を示す図である。
【図8】柱隣接度を説明する図である。
【図9】平面的分散度を説明する図である。
【図10】立体的分散度を説明する図である。
【図11】目的の建物の1階及び2階の平面形状を示す図
である。
【図12】第2実施例に係る構造設計方法の手順を説明す
るフローチャートである。
【符号の説明】 A 1階 B 2階 C 屋根 Ag1〜Ag,Bg1〜Bg6グリッド Y1〜Y4 耐力壁線 1 外壁 2 間仕切壁 3 玄関ポーチ 4 ベランダ 5 耐力壁 6 躯体の輪郭線 7 床面外周線 10,11 柱

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 住宅の構造の安定に関する評価方法基準
    の等級に対応させて住宅の構造を設計する方法であっ
    て、 建物の形状を入力する形状入力工程と、 建物の架構を入力する架構入力工程と、 上記構造の安定に関する評価方法基準の等級を入力する
    等級入力工程と、 前記形状入力工程で入力された形状に基づき前記等級入
    力工程で入力された構造の安定に関する評価方法基準の
    等級に対応した荷重を生成する荷重生成工程と、 前記架構入力工程で入力された架構と前記荷重生成工程
    で生成された荷重に基づいて応力解析する解析工程と、 前記解析工程で解析された結果に対して検定計算する検
    定計算工程と、を含む住宅の構造設計方法。
  2. 【請求項2】 住宅の構造の安定に関する評価方法基準
    の等級に対応させて住宅の構造を設計する方法であっ
    て、 建物の形状を入力する形状入力工程と、 上記構造の安定に関する評価方法基準の等級を入力する
    等級入力工程と、 前記形状入力工程で入力された形状に基づき前記等級入
    力工程で入力された構造の安定に関する評価方法基準の
    等級に対応した荷重を生成する荷重生成工程と、 前記荷重生成工程で生成された荷重に基づいて架構を生
    成する架構生成工程と、 前記架構生成工程で生成された架構に対して応力解析す
    る解析工程と、 前記解析工程で解析された結果に対して検定計算する検
    定計算工程と、を含む住宅の構造設計方法。
  3. 【請求項3】 住宅の構造の安定に関する評価方法基準
    の等級に対応させて住宅の構造を設計する装置であっ
    て、建物の形状を入力する形状入力手段と、建物の架構
    を入力する架構入力手段と、上記構造の安定に関する評
    価方法基準の等級を入力する等級入力手段と、前記形状
    入力手段で入力された形状に基づき前記等級入力手段で
    入力された構造の安定に関する評価方法基準の等級に対
    応した荷重を生成する荷重生成手段と、前記架構入力手
    段で入力された架構と前記荷重生成手段で生成された荷
    重に基づいて応力解析する解析手段と、前記解析手段で
    解析された結果に対して検定計算する検定計算手段と、
    を有することを特徴とする住宅の構造設計装置。
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