JP4301705B2 - 住宅の構造設計方法及び構造設計装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅の構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応させた構造を持つ住宅を合理的に設計することが出来る設計方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建物の構造設計を行なう場合、建物に作用する地震や風等の水平力及び、又は積雪に起因する垂直力を想定すると共に屋根や床等の構造要素の重量や重心点を計算し、この計算結果に基づいて各方向の壁に耐力壁を最適数配置することが行なわれている。この計算は煩雑であり、コンピュータを利用して部分的な演算を実行し得るものの、耐力壁の配置等は設計者が適宜割り付けている。
【0003】
建物に作用する水平力や垂直力は、建築基準法に於いて設定された係数を建物の重量に乗じて計算される。例えば水平力は、大地震時の倒壊防止,中地震時の損傷防止,暴風に於ける倒壊防止及び損傷防止等の条件に対応させて夫々設定された係数を選択し、この係数を建物の重量に乗じて計算される。
【0004】
従って、建物に作用する力は目的の建物,設計条件に応じて一定となる。そして建物の安全性の確認は、前記力が作用したとき、建物の各部位に発生する力が許容応力以下であること、建物の必要保有水平耐力が建物の保有水平耐力以下であること、等を検定することで行なわれる。
【0005】
最近では、コンピュータを用いて耐力壁の割り付けを含めた構造設計の支援を行なうことが提案されている。例えば、特開平9-302765号公報に開示された技術は、コンピュータの画面上で住宅の外壁ラインと屋根の仕様に関するデータを入力することにより、コンピュータに横,縦方向の耐力壁の目安数と重心の位置を算出させてこの結果を画面上に表示させ、この表示を参照しながら外壁ラインに沿って耐力壁を入力した後、入力した耐力壁によって必要強度を付与できるか否かを判定させて結果を画面に表示させ、判定により必要強度を付与できないと判明したときは、耐力壁の配置の修正を行なって再度強度判定を行なうものである。この技術では、目的の住宅に於ける外壁に耐力壁を配置して強度の判定を行なうことが出来るため、構造計画の支援方法として有利である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記技術では、耐力壁の入力位置(配置位置)が住宅の外壁に限定されているため、必然的に耐力壁を外壁に集中せざるを得ず、外壁に於ける開口部の位置や大きさに制約が生じる場合がある。また住宅全体としての耐力壁の不足や配置の偏りが生じて構造計画上の必要強度が得られず、目的の平面計画を断念せざるを得ない場合も生じ得るという問題がある。
【0007】
一方、最近では建物に作用する水平力や垂直力に対する性能を等級で評価し、この評価の結果を表示する方向にある。即ち、設計された建物が、建築基準法に定められた大地震時の地震力や中地震時の地震力或いは風の力に比較してどの程度大きい力に耐えられるか、を評価して等級で表示するものである。例えば、耐震等級(構造躯体の倒壊防止)の場合、建築基準法に定める極めて大きい地震力(数百年に一度程度発生する地震力により生じる力)の1.5 倍の地震力に対して倒壊しない程度が等級3、極めて大きい地震力の1.25倍の地震力に対して倒壊しない程度が等級2、極めて大きい地震力に対して倒壊しない程度が等級1、として設定され、他の条件に対しても同様の等級が設定されている。
【0008】
上記技術によって等級を判別しようとした場合、設計された結果がどの等級に相当するかを計算することになる。即ち、上記従来の技術によって設計した建物について、各部位の許容応力や保有水平耐力等を検定し、この検定値から安全性を保証し得る荷重の荷重比(建築基準法に定める荷重に対する比)を逆算することが必要となる。このことは、検定する部位や部材、及び建物の階層が増えるほど複雑な処理作業となるという問題がある。
【0009】
更に、設計者が目標等級を想定して構造の検討を行なう場合でも、目標とする等級に対する検定値が出せないため、必要性能を満足していない場合に不満足度をよみとることが出来ない。即ち、設計結果から等級を判別することが出来るが、予め等級を想定して検討結果を判定することは出来ないという問題がある。また多雪地域のように、地震荷重と積雪荷重を同時に検討するという各等級に関する項目を同時に検討することは不可能であるという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応させて住宅の構造を合理的に設計する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る住宅の構造設計方法は、住宅の構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応させて住宅の構造を設計する方法であって、建物の形状を入力する形状入力工程と、建物の架構を入力する架構入力工程と、上記構造の安定に関する評価方法基準の等級を入力する等級入力工程と、前記形状入力工程で入力された形状に基づき前記等級入力工程で入力された構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応した荷重を生成する荷重生成工程と、前記架構入力工程で入力された架構と前記荷重生成工程で生成された荷重に基づいて応力解析する解析工程と、前記解析工程で解析された結果に対して検定計算する検定計算工程とを含むものである。
【0012】
上記住宅の構造設計方法では、住宅の構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応させて最適な強度を有する住宅を合理的に構造設計することが出来る。
【0013】
即ち、形状入力工程に於いて目的の建物の形状(平面形状)を入力し、これにより各階毎の柱や梁の位置及び外壁や間仕切壁の位置が設定され、これらの外壁,間仕切壁が耐力壁を配置し得る部位として認識される。耐力壁を配置し得る部位を認識した後、架構入力工程に於いて各方向の外壁,間仕切壁毎に耐力壁を配置することで、躯体のフレーム及び耐力壁を含む建物の架構が認識される。
【0014】
上記の如く、建物の架構は、耐力壁と、柱,梁を中心とする躯体のフレームを含む構成部材によって構成される。このため、躯体のフレームの持つ荷重に対する変形特性等を予め実験等によって認識しておき、この認識を見込んだうえで、該躯体に対し既に構造上の特性が知られている耐力壁を配置して架構を設計することが好ましい。
【0015】
等級入力工程に於いて構造の安定に関する評価方法基準の等級(以下単に「等級」という)を入力することによって、目的の建物が地震力に代表される水平力や積雪による垂直力に対して保有すべき強度の係数が認識される。例えば、大地震に対し等級3を入力することで、建築基準法に於いて設定された大地震時の地震力に対し、係数1.5が認識される。そして荷重生成工程では、上記等級入力工程で入力された等級と、目的の建物の重量と、建築基準法に設定された各設計条件毎の係数とによって、水平方向の荷重及び垂直方向の荷重が夫々生成される。
【0016】
上記の如く、等級入力工程に於ける等級の入力と、荷重生成工程に於ける荷重の生成は連動したものであるが、架構入力工程は必ずしも等級入力工程に先立って実施する必要はない。即ち、荷重の生成工程と架構の入力工程の前後関係は限定するものではない。
【0017】
その後、目的の建物の形状,架構と生成した荷重に基づいて解析工程で応力解析し、この解析結果に対し検定計算工程で検定計算することで、目的の建物に対し構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応させた構造設計を行なうことが出来る。
【0018】
また他の構造設計方法は、住宅の構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応させて住宅の構造を設計する方法であって、建物の形状を入力する形状入力工程と、上記構造の安定に関する評価方法基準の等級を入力する等級入力工程と、前記形状入力工程で入力された形状に基づき前記等級入力工程で入力された構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応した荷重を生成する荷重生成工程と、前記荷重生成工程で生成された荷重に基づいて架構を生成する架構生成工程と、前記架構生成工程で生成された架構に対して応力解析する解析工程と、前記解析工程で解析された結果に対して検定計算する検定計算工程とを含むものである。
【0019】
上記構造設計方法では、建物の形状を入力し、この建物に対する等級を入力することで荷重を生成する。そして、生成された荷重に基づいて架構を生成して生成された架構に対して応力解析し、この解析結果に対して検定計算することで、構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応させた構造設計を行なうことが出来る。
【0020】
また本発明に係る構造設計装置は、住宅の構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応させて住宅の構造を設計する装置であって、建物の形状を入力する形状入力手段と、建物の架構を入力する架構入力手段と、上記構造の安定に関する評価方法基準の等級を入力する等級入力手段と、前記形状入力手段で入力された形状に基づき前記等級入力手段で入力された構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応した荷重を生成する荷重生成手段と、前記架構入力手段で入力された架構と前記荷重生成手段で生成された荷重に基づいて応力解析する解析手段と、前記解析手段で解析された結果に対して検定計算する検定計算手段とを有して構成されるものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、上記構造設計方法の好ましい実施形態について図を用いて説明する。図1は本発明に係る構造設計方法の手順を説明するフローチャートである。図2は第1実施例に係る構造設計の手順を説明するフローチャートである。図3は1階の平面形状を示すと共に外壁線,間仕切壁線,グリッドを示す図である。図4は2階の平面形状を示すと共に外壁線,間仕切壁線,グリッドを示す図である。図5は屋根伏図である。図6は1階に必要な耐力壁をY方向(南北方向、図に於ける上下方向)に配置した配置パターンの例を示す図である。図7は予め1階に耐力壁線を設定すると共に各耐力壁線に耐力壁を割り付けた状態を示す図である。図8は柱隣接度を説明する図である。図9は平面的分散度を説明する図である。図10は立体的分散度を説明する図である。図11は目的の建物の1階及び2階の平面形状を示す図である。図12は第2実施例に係る構造設計方法の手順を説明するフローチャートである。
【0022】
本発明に係る構造設計方法は、目的の建物に対し、建築基準法に設定された、水平方法に作用する地震力或いは風力等の水平力、垂直方向に作用する積雪による力、積雪時に発生する虞のある地震力や風力とによる水平力と垂直力との合成力等の力と、これらの力に構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応する係数を乗じて得た各力に基づいて建物の構造設計を合理的に行なえるようにしたものであり、特に、コンピュータを利用して構造設計を支援し得るようにしたものである。
【0023】
建物の構造設計を行なう場合、躯体のフレームや耐力壁が強度に対する重要な因子となる。この中で、躯体のフレーム、特に梁の配置は建物の間取りに関連するため変更の自由度が低いが、柱の配置位置は梁よりも変更の自由度が高い。更に、耐力壁は外壁や間仕切壁に対し適宜配置し得るものであり、変更の自由度が極めて高い。そして建物の構造設計を行なう場合、前記柱や耐力壁の配置が重要となる。このため、本実施例の構造設計方法では、目的の建物が必要とする耐力壁の数及び配置位置までを設定するものとして説明する。
【0024】
構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応して建物の構造設計を行なうに際し、表示すべき事項として、大地震時に対応させた耐震等級,中地震時に対応させた耐震等級,耐風等級,耐積雪等級等があり、更に、積雪時に発生する地震或いは風に対する事項がある。また力或いは荷重の方向としては、水平方向と垂直方向がある。
【0025】
上記の如く、建物の構造設計を行なうには種々の力或いは荷重に対する検討が行なわれることとなる。このため、全ての事項に対して説明するのでは煩雑となるため、以下、建物に対し地震に代表される水平力が作用する場合の構造設計の手順について説明するものとする。
【0026】
また以下の説明では、図1に示す手順が請求項2に係る発明に対応し、図12に示す手順が請求項1に係る発明に対応する。
【0027】
本発明に係る構造設計方法の説明に先立って、図11により建物の例を説明する。図に於いて、目的の建物は1階Aと2階Bとからなる2階建て住宅として構成されている。各階A,Bには、建物の外部を構成する外壁1、及び建物の内部に設けた間仕切壁2が構成されており、これらの壁1,2によって建物内部の間取りが構成されている。また1階Aには床面を構成する玄関ポーチ3が構成され、2階Bには同様に床面を構成するベランダ4が構成されている。このような平面形状は、目的の建物に居住する家族構成等の条件に対応して設定される。
【0028】
目的の建物を構成する外壁や間仕切壁に耐力壁を配置する場合、該建物に作用する水平力に影響される。このため、建物の平面形状が設定された後、該建物を構成する各階層毎の重量を算出し、算出された重量(垂直荷重)に応じて各階層毎に且つ各方向毎に地震時に作用する水平力が算出される。従って、地震時に作用する水平力は2階Bよりも1階Aの方が大きい。
【0029】
また、例えばコンピュータに耐力壁の許容荷重のデータ及び躯体の構造特性等の他の構造設計に必要なデータを記憶させておき、設計に際し、作用する水平力に対し最適な耐力壁を選択するように構成することが可能である。
【0030】
特に、複数種類の耐力壁には夫々予め許容荷重が設定されているため、建物に作用する水平荷重が設定されたとき、この水平荷重と許容荷重とから、設計者が容易に各方向毎の必要耐力壁数を算出することが可能である。このように、各階層毎及び各方向毎の耐力壁の数はコンピュータを利用して設定することが可能であり、また手計算によって設定することも可能である。
【0031】
次に図1に示すフローチャートに従って本発明に係る構造設計方法を進行する好ましい手順について説明する。
【0032】
先ず、ステップS1の形状入力工程では、目的の建物の形状を入力する。このとき、建物を構成する柱や梁を含む部材の仕様を入力することで、該建物の重量を計算することが可能である。次いで、ステップS2の各等級入力工程では、目的の建物に設定された構造の安定に関する評価方法基準の等級を入力する。
【0033】
ステップS3の荷重生成工程では、ステップS1で入力された建物の形状と、ステップS2で入力された等級に基づいて、目的の建物に作用する荷重を生成する。このとき、単に水平荷重のみが生成されるものではなく、積雪を考慮する場合には垂直荷重、垂直荷重と水平荷重との合成荷重が生成される。
【0034】
次に、ステップS4の架構生成・補正工程では、ステップS1で入力された形状に対し、ステップS3で生成された荷重に対抗し得る耐力壁を配置すると共に躯体のフレームを設定することで、目的の建物に対応する架構が生成される。この架構の生成は後述する第1実施例で具体的に説明するように、コンピュータによって支援するようにしても良く、設計者が画面上で指示するようにしても良い。
【0035】
次いで、ステップS5の応力解析工程では、生成された架構に対し応力解析を行い、ステップS6の検定計算工程で解析された応力の検定を行なう。この結果、架構に略均等な応力が生じていると判断された場合、生成された架構は妥当であるとして構造設計を終了する。
【0036】
また架構に不均等な応力が生じていると判断された場合、ステップS4に戻って架構を補正する。この補正は、耐力壁の配置数の変更や配置位置の変更等によって行なわれる。その後、再度ステップS5で応力解析を行なってステップS6で検定計算を行い、検定計算の結果、架構に略均等な応力が生じていると判断されたとき、生成された架構は妥当であるとして構造設計を終了する。
【0037】
上記各工程ステップS1〜ステップS6を経ることで、構造の安定に関する評価方法基準の等級に合理的に対応した建物の構造設計を行なうことが可能である。
【0038】
次に、本発明の第1実施例について図2〜図10により具体的に説明する。尚、前述したように、耐力壁は、各階層毎に且つ各方向毎に設定される。このため、本実施例に係る構造設計方法も建物の例えば南北方向(Y方向)及び東西方向に実行され、各階層毎に且つ各方向に対する耐力壁の配置が終了して完成することになる。しかし、耐力壁の配置手順は各方向共に同一であり、説明が煩雑になる虞があるため、以下、本実施例では、建物の1階Aに於ける南北方向(Y方向)に対する耐力壁の配置手順について説明し、東西方向、及び2階Bに対する配置手順の説明を省略するものとする。
【0039】
また本発明に係る構造設計方法は設計者或いは営業技術者が手作業で進行させることが可能である。しかし、本実施例では必要な情報をコンピュータに入力して所定のプログラムに従って演算し、これにより、各階層毎に且つ各方向毎に形成された外壁1,間仕切壁2に合理的に耐力壁5を配置し得るように構成している。
【0040】
耐力壁を配置する場合、建物の平面形状の設定が必須となる。このため、ステップS1では、建物の形状を入力する。即ち、図3に示す1階Aの外壁1(外壁線1),間仕切壁2を入力し、同様に図4に示す2階Bの外壁線1,間仕切壁2を入力する。このとき、外壁1,間仕切壁2に形成される窓や扉等の開口部、及び浴槽やシンク,押し入れ等の建具の位置も入力する。そして本実施例では、入力した外壁1,間仕切壁2に於ける開口部を除く全ての部位を耐力壁を配置し得る部位(設置可能部)とし、この設置可能部に耐力壁を配置することとしている。
【0041】
また各階A,Bに、各頂点に柱が配置された長方形或いは矩形のグリッドAg1〜Ag6,Bg1〜Bg6を設定して夫々の頂点の位置を入力する。前記頂点の位置は、各階層毎に左下の位置を原点Oとした座標値で設定される。
【0042】
耐力壁5は外壁1及び間仕切壁2に配置されるため、上記の如く各階層A,Bの平面形状を構成する外壁1と間仕切壁2の位置が設定されれば良く、更に後述する点数付け工程で利用する各グリッドの頂点の位置が設定されていれば良い。尚、各階層毎に設定するグリッドAg1〜Ag6,Bg1〜Bg6は点数付け工程に於いて柱隣接度の点数付けを行う際に利用されるものであるが、この点数付け工程では必ずしもグリッドAg1〜Ag6,Bg1〜Bg6を必要とせず、従って、本発明に於いて前記各グリッドを設定することが必須ではない。
【0043】
しかし、建物の構造計算を実行する場合、建物の重量を算出することが必要であるため、ステップS1では、1階Aの平面形状を構成する躯体の輪郭線6,玄関ポーチ3を含む床面外周線7を入力し、同様に2階Bの平面形状を構成する躯体の輪郭線6,ベランダ4を含む床面外周線7を入力し、更に、図5に示す屋根Cの形状を入力する。また建物の重量を計算する上で必要となる床の仕様(例えば目的の建物が個建住宅である場合の一般床か集合住宅である場合の重量床か、更に床を構成する材料や厚さ等),屋根の仕様(例えば屋根材が瓦か石綿セメント板か、等),耐火被覆の有無、及び他の条件を入力する。
【0044】
上記各条件を入力することによって、コンピュータでは、1階A,2階B,屋根Cの各階層の重量を演算し、且つ建物の躯体を構成する梁や柱の仕様等を演算することが可能である。
【0045】
次いで、ステップS2では構造の安定に関する評価方法基準の等級を入力する。この入力は、目的の建物が保持すべき等級に応じて行なわれる。即ち、システム住宅に対応する建物を設計する場合、予め開発段階で該建物に対する性能が設定され、この性能に対応する等級が設定される。また戸建て住宅では、顧客の要求により目的の建物に対する性能が設定され、この性能に対応する等級が設定される。従って、ステップS2では、設計すべき建物の性能に応じた等級が入力される。
【0046】
入力する等級について簡単に説明すると、この等級は、構造の安定に関する評価方法基準の等級であって、例えば、大地震に対する耐震等級3は建築基準法に於いて設定された大地震時の地震力に対し、1.5倍の地震力でも倒壊しない程度の性能が要求される。また耐震等級2では、建築基準法に於いて設定された大地震時の地震力に対し、1.25倍の地震力でも倒壊しない程度の性能が要求され、耐震等級1では建築基準法に於いて設定された大地震時の地震力に対して倒壊しない程度の性能が要求される。
【0047】
従って、ステップS2で予め設定された等級を入力したとき、入力された等級に対応する係数が設定される。
【0048】
次いで、ステップS3では荷重生成が行なわれる。この荷重生成工程ステップS3では、ステップS2の等級入力工程で入力された等級に応じた係数を建築基準法で設定された大地震時の地震力に乗じて得た数値と、目的の建物の重量とによって、該建物を設計する際の水平力が生成される。
【0049】
ステップS41〜ステップS45は、前述した図1の説明に於ける架構生成・補正工程ステップS4に対応するものである。即ち、ステップS41〜ステップS44に於いて架構生成の重要な部分を占める耐力壁5の配置を含む一連の作業が行なわれ、ステップS45では補正に相当する再配置が行なわれる。
【0050】
従って、ステップS41の必要耐力壁数N入力工程では、各階層A,B毎に、及び各方向毎に、必要な耐力壁5の数Nが演算される。目的の建物に必要な耐力壁5の数は、コンピュータに記憶させたプログラムに従ってステップS3で生成された荷重に応じた演算の結果として算出される。また架構の生成は、算出された数の耐力壁5を外壁1,間仕切壁2に配置することで、躯体のフレームを構成する梁や柱を含む構成部材の配置と共に行なわれる。
【0051】
前述したように、予め標準的な耐力壁5の許容荷重が判明している場合、建物の重量,建築基準法に定められた地震力,性能等級による係数との積によって建物に作用する水平力の値が判明するため、この水平力を耐力壁5の許容荷重で割ることで必要耐力壁数を計算することが可能である。このような計算をコンピュータが行うか、或いは技術者が行うかについては何ら限定するものではない。
【0052】
本実施例では1階Aを構成するY方向に必要な耐力壁5の数として6が入力されたとし、この6個の耐力壁をY方向の複数の外壁1,間仕切壁2に配置することで架構を生成する。
【0053】
次いで、ステップS42の配置パターン候補の作成工程では、算出された必要耐力壁数を外壁1,間仕切壁2に配置して複数の配置パターンを作成する配置パターンの作成を行なう。この工程では、ステップS1で入力された平面形状、及び算出された必要耐力壁数に基づいて耐力壁5を外壁1,間仕切壁2に配置する場合、外壁1,間仕切壁2に於ける耐力壁を設置し得る部位(設置可能部)が入力された必要耐力壁数よりも多い場合、個々の設置可能部に対し任意に耐力壁を配置した複数の配置パターンが作成される。
【0054】
即ち、図6(a)〜(d)は1階Aに於けるY方向の耐力壁5の配置パターンのいくつかの例を示している。例えば、同図(a)は、耐力壁5を原点O側の外壁1,間仕切壁2に集中的に配置したものであり、グリッドAg1に4個の耐力壁5が配置されるものの、グリッドAg3には全く配置されていないという配置パターンである。
【0055】
また同図(b)は、耐力壁5を比較的各グリッドAg1〜Ag6に分散して配置したものであり、3個の耐力壁5を外壁1に配置し、同様に3個の耐力壁5を間仕切壁2に配置した配置パターンである。また同図(c)は5個の耐力壁5を外壁1に配置し、1個の耐力壁5を間仕切壁2に配置した配置パターンである。更に、同図(d)は全ての耐力壁5を原点Oから最も離隔した部位に集中して配置した配置パターンである。
【0056】
上記各配置パターンは何れもステップS42の配置パターン候補の作成工程で作成されたものであり、上記例以外に、外壁1,間仕切壁2に於ける耐力壁5の設置可能部の数と必要耐力壁数とに対応した数の配置パターンが作成される。従って、耐力壁の設置可能部の数が多くなると非常に多くの配置パターンが作成されることになる。このため、後述する点数付け作業に於いて、作成された個々の配置パターンに対して点数付けを行う際の作業量が増加することとなる。
【0057】
コンピュータの処理能力が無制限に大きければ、配置パターンの数が如何に多くなっても大きな問題ではない。しかし、実際上処理能力が無限のコンピュータは存在しないため、配置パターンを作成するに際し、設計技術者や営業技術者或いは他の技術者等(技術者)が介在してやることで、配置パターンの数を削減することが好ましい。この場合、耐力壁5を配置するための耐力壁線Y1〜Y4のみを指定する介在の仕方と、耐力壁線Y1〜Y4及び夫々の耐力壁線Y1〜Y4に配置すべき耐力壁の数を指定する介在の仕方がある。
【0058】
以下、技術者が1階Aを構成するY方向の外壁1,間仕切壁2の中から耐力壁5を配置すべき複数の耐力壁線Y1〜Y4を指定(図7参照)した場合について説明する。
【0059】
前述したように、ステップS1で入力された建物の形状、ステップS3で算出されたY方向に作用する水平力と、予め記憶されている標準的な耐力壁5の許容荷重とに基づいて、ステップS41でY方向に必要な耐力壁5の目安枚数(Ny)を算出する。このとき、耐力壁5の目安枚数は必ずしも整数ではなく、小数点以下の数値が算出されることがある。
【0060】
次に、指定された耐力壁線Y1〜Y4毎に耐力壁5の目安数を算出する。このとき、例えば、指定された各耐力壁線Y1〜Y4の負担面積及び上階の耐力壁線との位置関係、床面に作用する剪断力等の条件を考慮する。この結果、各耐力壁線Y1〜Y4に配置すべき耐力壁5の目安数が設定される。この数値に基づいて技術者が例えば小数点以下の数値を繰り上げたり、切り捨てるような調整を行うことで各耐力壁線Y1〜Y4に耐力壁5を分配することが可能である。
【0061】
この場合、単に各耐力壁線Y1〜Y4に配置すべき耐力壁5の数が決定されたということであって、各耐力線Y1〜Y4に於ける何れの位置に配置するかが決定されるものではない。しかし、配置パターンの数を大幅に削減することが可能である。
【0062】
次に、技術者が図7に示すように、1階Aを構成するY方向の外壁1,間仕切壁2の中から耐力壁5を配置すべき複数の耐力壁線Y1〜Y4を指定すると共に、各耐力壁線Y1〜Y4に配置すべき耐力壁5の数を指定した場合について説明する。この場合であっても、配置パターンの数を大幅に削減することが可能である。
【0063】
例えば、Y方向に沿った3本の外壁1に夫々耐力壁線Y1,Y2,Y4を指定すると共に間仕切壁2に耐力壁線Y3を指定し、耐力壁線Y1,Y4には2個の耐力壁5を指定すると共にY2,Y3に1個の耐力壁5を指定した場合、耐力壁線Y1上には2個の設置可能部が形成されるのみであって全く自由度がないことになり、耐力壁線Y1に対する耐力壁5の配置は一義的に決まり、耐力壁線Y2には1個の設置可能部が形成されるため、該耐力壁線Y2に対する耐力壁5の配置も一義的に決まり、耐力壁線Y3は2個の設置可能部を有するため、2個の配置パターンが形成され、耐力壁線Y4には5個の設置可能部が形成されるため、10個の配置パターンが形成される。従って、全体では20個の配置パターンが形成されることとなり、耐力壁5を任意の状態で外壁1,間仕切壁2に形成された全ての設置可能部に配置して得た配置パターンの数を大幅に削減することが可能である。
【0064】
上記の如く、予め耐力壁線Y1〜Y4を指定し、或いは耐力壁線Y1〜Y4を指定すると共に各耐力壁線Y1〜Y4に配置すべき耐力壁の数を指定して配置パターンを作成した場合であっても、得られた配置パターンは、前述した外壁1,間仕切壁2に於ける耐力壁の設置可能部に対し入力された必要数の耐力壁を任意に配置して作成した配置パターンに含まれるのであって、両者は何ら異なるものではない。
【0065】
次いで、ステップS43の配置パターンの点数付け工程では、ステップS42で得た全ての配置パターンに対し、表1の項目に基づいて点数付けを行い、付与された点数を合計して個々の配置パターン毎の総点数とする。
【0066】
【表1】
【0067】
【0068】
柱隣接度は、配置された耐力壁5が各グリッドの頂点に配置された柱に接しているか否かによる点数であり、図8に示すように、耐力壁線Y4に2個の耐力壁5a,5bを配置したとき、個々の耐力壁5a,5bは各グリッドAg3,Ag6の頂点に配置された柱10に接している場合40点が付与され、また頂点の柱10に接していない場合であっても構造上必要な柱(図示しないキャンティ持ち出し梁下の柱、或いは図3のポーチ3の部分に示す外壁の出隅部の柱11)に接する場合30点が付与され、前記以外は0点が付与される。従って、図8の場合、耐力壁5aはグリッドAg3の頂点の柱10に接しているため40点が付与されるが、耐力壁5bはグリッドAg6の頂点の柱10とも、他の構造上必要な柱10とも接していないため0点が付与される。そして図8の合計点は40点となる。
【0069】
平面的分散度は、耐力壁の平面的な分散に伴う平面形状に於ける偏心の少なさ、捩じり剛性の高さを評価するものである。同一の耐力壁線Y4に複数の耐力壁5a,5bが配置される場合、例えば図9(a)〜(c)に示すように耐力壁線Y4に2個の耐力壁5a,5bが配置された場合、耐力壁5a,5bの距離の絶対値(HP)の10%が点数として付与される。同図(a)に示すように、2個の耐力壁5a,5bが隣接して配置されている場合、耐力壁5の幅寸法が座標値の絶対値(HP)となる。また同図(b)は耐力壁5aの位置が変化せずに耐力壁5bがグリッドAg3のY方向の寸法まで離隔している。このため、付与される点数は同図(a)の場合よりも大きい値となる。更に、同図(c)は耐力壁5bが耐力壁線Y4に於ける端部まで離隔している。このため、三者のなかでは最も大きい点数が付与される。
【0070】
ここで、HPの値は予め設定した基準値として設定されるものであり、この値が如何なる数値であるかは限定するものではない。例えば本実施例では、610mmを1HPとして設定している。従って、例えば図9(c)に示すように、耐力壁5bが耐力壁線Y4に於ける端部まで離隔しており、耐力壁5a,5bの距離が5400mm離隔していたとすると、絶対値(HP)は5400÷610=8.8となり、この絶対値(HP)の10%(0.88)が点数として付与される。
【0071】
また耐力壁線に1個の耐力壁5cのみが配置された場合、例えば図9(d)に示す耐力壁線Y3に配置された耐力壁5cの平面的分散度は、隣接する耐力壁線に配置された耐力壁5の平均座標値の絶対値(HP)の10%が点数として付与される。この場合、隣接する耐力壁線とは目的の耐力壁線Y3よりも原点O側の耐力壁線Y2であり、該耐力壁線Y2に配置された耐力壁5eの座標値(線12で示す)からの離隔距離の10%が点数として付与されることとなる。
【0072】
立面的分散度は耐力壁に取りつく柱や梁或いは基礎の応力を小さくすることを評価するものである。この立面的分散度は上階の点数付けを行う際に利用するものであり、図10に示すように、上階に配置された耐力壁5fが下階に配置された耐力壁5gからの離隔距離に応じて点数が付与される。従って、1階Aの点数付けでは利用されることがない。
【0073】
同図(a)に示すように、上階(2階B)に配置された耐力壁5fが下階(1階A)に配置された耐力壁5gから離隔している場合、即ち、耐力壁5fと5gが一致した位置にない場合100点が付与され、同図(b),(c)に示すように、上階に配置された耐力壁5fの始点又は終点が下階の耐力壁5gの始点又は終点と一致する場合20点が付与され、更に、上階の耐力壁5fと下階の耐力壁5gとが全く一致した場合0点が付与される。
【0074】
上記の如くして各項目毎に点数付けを行い、付与された全ての点数を加算することで個々の配置パターンの最終得点を計算し、これにより、全ての配置パターン毎に点数付けを行うことが可能である。
【0075】
次いで、ステップS44の配置パターン決定・配置工程では、ステップS43に於いて点数付けされた配置パターンの中から、最高点が付与された配置パターン(例えば図6(c))を選択し、該配置パターンに基づいて外壁1及び間仕切壁2に対する耐力壁5の配置を決定する。
【0076】
次いで、ステップS5では、ステップS44で決定された配置パターン(生成された架構)に対し、耐力壁5の位置に基づいて応力の解析を行なう。この応力解析は、躯体のフレームや耐力壁5に対して作用する水平力と許容荷重との関係を検証することで行われる。
【0077】
躯体のフレームに対する応力解析を行なう場合、例えば各耐力壁線Y1〜Y4に配置された耐力壁5に水平力が作用したとき、各耐力壁線Y1〜Y4を構成する個々の梁に作用する応力を判定する。
【0078】
更に、ステップS6では、応力解析の結果から、躯体のフレームを構成する柱や梁等の部材に対する断面の検定計算や、個々の耐力壁5毎に水平力と許容荷重の関係に基づく検定計算が行なわれる。
【0079】
そして躯体のフレームを構成する部材或いは耐力壁5であって、過度の水平力が作用し、或いは作用する水平力が極端に少ないような部材,耐力壁5が存在する場合、現在の躯体のフレームを構成する部材の配置或いは耐力壁5の配置が否定される。
【0080】
このように、フレームを構成する部材や耐力壁5の配置に支障がある場合、ステップS45の再配置工程に進んで、部材の再配置及び個々の耐力壁5が略均等な水平力を負担し得るように追加し或いは移動させることで再配置を行う。そして、耐力壁5の再配置を含む架構の補正を行なった後、再度、ステップS5に進行し、該ステップS5に於いて再配置されたフレームを構成する部材及び耐力壁5の位置に基づいて再度応力解析を行う。
【0081】
上記再配置は、ステップS6に於いて構造計算を満足するまで繰り返し、ステップS6に於ける応力解析の結果が検定計算を満足し得る値となったとき、躯体のフレームを構成する部材の形状や配置及び耐力壁5の配置が合理的に行なわれたとして一連の手順を終了し、構造設計方法が終了する。
【0082】
尚、上記した手順では、建物の1階Aで且つ南北方向に沿った方向(Y方向)の外壁1,間仕切壁2に複数の耐力壁5を配置する場合のみについて説明したが、前記方向と交差する方向(東西方向)に対して耐力壁5を配置する方法も、2階Bの各方向に耐力壁5を配置する方法も何ら変わることはなく、全く同一の手順を経ることで、合理的に配置することが可能である。
【0083】
次に、第2実施例に係る構造設計方法について図12により説明する。本実施例は基本的なフローは前述の図1と略同様であるが、この図1の例では、ステップS4の架構生成工程を有しており、設計者は基本的にステップS1で建物の形状(平面プラン)を入力する作業を行なうのみで良い。しかし、本実施例では、設計者は架構も入力する必要がある点で異なる。
【0084】
即ち、ステップS11に於いて、設計者は目的の建物の形状を入力する。この作業は第1実施例に於けるステップS1と同一である。
【0085】
次いで、ステップS12では、目的の建物に於ける外壁1,間仕切壁2に対し、耐力壁5を含む架構を入力する。このとき入力する耐力壁5の数及び位置に対する限定はなく、設計者の経験や感に基づいて適宜入力しても良い。
【0086】
次いで、ステップS13では構造の安定に関する評価方法基準の等級を入力し、ステップS14に於いて荷重を生成する。これらの工程に於ける作業内容は、第1実施例に於けるステップS2の各等級入力工程、ステップS3に於ける荷重生成工程と同一である。またステップS12とステップS13,14との順序は限定する必要はなく、ステップS12を荷重生成工程であるステップS14の次に繰り下げても何ら問題は生じない。
【0087】
ステップS14まで経ることで、外壁1,間仕切壁2に耐力壁5を配置した架構と、この架構に作用する力が認識される。このため、ステップS15では、前記架構と該架構に作用する力から応力解析を行なう。この応力解析の作業は第1実施例に於けるステップS5の応力解析と変わることはない。
【0088】
そしてステップS16に於いて検定計算を行い、躯体のフレームを構成する部材や耐力壁5であって、過度の水平力が作用し、或いは作用する水平力が極端に少ないような部材,耐力壁5が存在する場合、ステップS12で入力した躯体のフレームを構成する部材の配置或いは耐力壁5の配置が否定される。
【0089】
この場合、再度ステップS12に戻って、部材及び耐力壁5を追加し或いは移動させた新たな架構を入力し、再度、ステップS15に進行して応力解析を行う。この作業を繰り返し、応力解析の結果が検定計算を満足し得る値となったとき、躯体のフレームを構成する部材の形状や配置及び耐力壁5の配置が合理的に行なわれたとして一連の手順を終了し、構造設計方法が終了する。
【0090】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明に係る構造設計方法では、形状入力工程に於いて目的の建物の形状を入力することで、各階毎の柱や梁の位置及び外壁や間仕切壁の位置が設定され、これにより、躯体のフレーム及び耐力壁を配置し得る部位を認識することが出来、架構入力工程に於いて各方向の外壁,間仕切壁毎に耐力壁を配置することで、躯体のフレーム及び耐力壁を含む建物の架構を認識することが出来る。また等級入力工程に於いて等級を入力することによって、目的の建物が地震力に代表される水平力や積雪による垂直力に対して保有すべき強度の係数を認識し、荷重生成工程では、入力された等級と、目的の建物の重量と、建築基準法に設定された各設計条件毎の係数とによって、水平方向の荷重及び垂直方向の荷重を夫々生成することが出来る。更に、目的の建物の形状,架構と生成した荷重に基づいて解析工程で応力解析し、この解析結果に対し検定計算工程で検定計算することで、目的の建物に対し構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応させた構造設計を行なうことが出来る。
【0091】
上記等級は、住宅の品質確保等促進法(「品確法」平成12年度)に於ける等級そのものとすることが可能であるため、この品確法に適用することで、住宅の品質の確保に対し顕著な効果を発揮することが出来る。
【0092】
従って、目的の建物に想定された性能に応じて最も合理的な躯体のフレーム及び耐力壁の配置を行なって、構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応させた構造設計を行なうことが出来、且つ性能を保証すると共に性能に見合った経済性を発揮することが出来る。
【0093】
また他の構造設計方法では、建物の形状を入力し、この建物に対する等級を入力することで荷重を生成し、生成された荷重に基づいて架構を生成して生成された架構に対して応力解析し、この解析結果に対して検定計算することで、構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応させた構造設計を行なうことが出来る。
【0094】
特に、住宅に対する等級にあった荷重生成から架構の耐震壁の数、及び配置を決定することが出来る。また予め耐震壁を配置し得る領域を決めておくことによって、将来発生する可能性のある間取りの変更に容易に対応することが出来る。
【0095】
また本発明に係る構造設計装置を用いることによって、設計者以外の者であっても、おおよその構造設計を容易に行なうことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る構造設計方法の手順を説明するフローチャートである。
【図2】第1実施例に係る構造設計の手順を説明するフローチャートである。
【図3】1階の平面形状を示すと共に外壁線,間仕切壁線,グリッドを示す図である。
【図4】2階の平面形状を示すと共に外壁線,間仕切壁線,グリッドを示す図である。
【図5】屋根伏図である。
【図6】1階に必要な耐力壁をY方向(南北方向、図に於ける上下方向)に配置した配置パターンの例を示す図である。
【図7】予め1階に耐力壁線を設定すると共に各耐力壁線に耐力壁を割り付けた状態を示す図である。
【図8】柱隣接度を説明する図である。
【図9】平面的分散度を説明する図である。
【図10】立体的分散度を説明する図である。
【図11】目的の建物の1階及び2階の平面形状を示す図である。
【図12】第2実施例に係る構造設計方法の手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
A 1階
B 2階
C 屋根
Ag1〜Ag,Bg1〜Bg6
グリッド
Y1〜Y4 耐力壁線
1 外壁
2 間仕切壁
3 玄関ポーチ
4 ベランダ
5 耐力壁
6 躯体の輪郭線
7 床面外周線
10,11 柱
Claims (3)
- 住宅の構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応させて住宅の構造を設計する方法であって、
建物の形状を入力する形状入力工程と、
建物の架構を入力する架構入力工程と、
上記構造の安定に関する評価方法基準の等級を入力する等級入力工程と、
前記形状入力工程で入力された形状に基づき前記等級入力工程で入力された構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応した荷重を生成する荷重生成工程と、
前記架構入力工程で入力された架構と前記荷重生成工程で生成された荷重に基づいて応力解析する解析工程と、
前記解析工程で解析された結果に対して検定計算する検定計算工程と、
を含む住宅の構造設計方法。 - 住宅の構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応させて住宅の構造を設計する方法であって、
建物の形状を入力する形状入力工程と、
上記構造の安定に関する評価方法基準の等級を入力する等級入力工程と、
前記形状入力工程で入力された形状に基づき前記等級入力工程で入力された構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応した荷重を生成する荷重生成工程と、
前記荷重生成工程で生成された荷重に基づいて架構を生成する架構生成工程と、
前記架構生成工程で生成された架構に対して応力解析する解析工程と、
前記解析工程で解析された結果に対して検定計算する検定計算工程と、
を含む住宅の構造設計方法。 - 住宅の構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応させて住宅の構造を設計する装置であって、建物の形状を入力する形状入力手段と、建物の架構を入力する架構入力手段と、上記構造の安定に関する評価方法基準の等級を入力する等級入力手段と、前記形状入力手段で入力された形状に基づき前記等級入力手段で入力された構造の安定に関する評価方法基準の等級に対応した荷重を生成する荷重生成手段と、前記架構入力手段で入力された架構と前記荷重生成手段で生成された荷重に基づいて応力解析する解析手段と、前記解析手段で解析された結果に対して検定計算する検定計算手段と、を有することを特徴とする住宅の構造設計装置。
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