JP2002038183A - スフィンゴ糖脂質含有物の製造方法 - Google Patents
スフィンゴ糖脂質含有物の製造方法Info
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Abstract
めているスフィンゴ糖脂質の製造法に関して、動物組織
からの抽出による方法で指摘の多かった、製品安全性に
何ら問題がなく、かつ、植物素材でありながら、現在ま
でのところ、食品としての価値を有することのなかった
原料を用いる方法を提供する。 【解決手段】 トビ粉などの芋類または綿実油粕などの
油粕に、極性を有する有機溶剤を添加し、スフィンゴ糖
脂質含有物を、抽出により得るための製造方法。
Description
に含まれるスフィンゴ糖脂質の製造方法に関するもので
あり、詳しくは、原料としてトビ粉や、さつまいもなど
の芋類、または綿実油粕などの油粕を使用し、スフィン
ゴ糖脂質を効率よく製造する方法に関するものである。
も、糖脂質に、顕著な生理活性を有するものがあること
が明らかにされてきた。例えば、脂肪酸とスフィンゴシ
ンから成るセラミド、糖と脂肪酸とスフィンゴシンから
成る、スフィンゴ糖脂質の一種であるセレブロシドは、
人の皮膚の角質層に多く存在し、体内から水分の蒸発を
防ぐ働きをしていることが明らかとなっている。この高
い保湿性を生かした美容分野への利用、さらにはエラス
ターゼ抑止効果や遊離基抑止効果を生かした製薬分野へ
の応用も開発が進んでいる。
たセラミド関連物質は、ウシの脳などから抽出され、供
給されていた。しかし、1986年に狂牛病が発生して
からは、ヒトへの感染の可能性から、供給量が激減し、
安全な植物起源のセラミド関連物質へ回帰現象が生じて
いる。植物由来のスフィンゴ糖脂質、特にその中でも、
グルコシルセラミドとしては、コメ(Agric.Bi
ol.Chem.,49,2753(1985))およ
び米糠(特開平11−279586号公報)や小麦(A
gric.Biol.Chem.,49,3609(1
985))、大豆(Chem.Pharm.Bul
l.,38(11),2933(1990)、特開平0
4−282317号公報)などの穀物由来のものが知ら
れており、すでに化粧品素材や、食品添加剤としても開
発が進められている。
フィンゴ糖脂質を得るための植物原料として、利用され
ているものは、現在までのところ、穀類、豆類に限られ
ている。これらのスフィンゴ糖脂質含有量は、さほど多
くなく、いずれも、0.01%程度であると推測され
る。しかも、これら植物原料は、すべて人類が食用とし
ているものばかりであり、スフィンゴ糖脂質抽出後の残
さは、食品としての価値も喪失してしまう。このよう
に、ごくわずかのスフィンゴ糖脂質成分を抽出するため
に、非常に多くの食品原料を、食品としての価値を喪失
させてしまうのが、植物原料の問題点であった。一方、
食品加工業界を見渡せば、トビ粉は、こんにゃく芋を原
料とするこんにゃく製造時の副産物として、年間300
0〜4000トン生じるにもかかわらず、特有のえぐ味
と刺激臭を有するため、一部、肥料、コンクリート等の
増粘剤として利用されているものの、食品としては全く
利用されていない資源である。また、綿実油粕は、綿実
を搾り、綿実油を取得する際に生じる副産物であり、1
0年ほど前までは植物性蛋白質飼料として利用されてい
たが、近年は牛乳の脂肪率向上のための高エネルギー飼
料として、綿実をそのまま給与する農家が増え、利用価
値の向上が望まれているものである。
して注目を集めているスフィンゴ糖脂質の製造法に関
し、従来知られていた、動物組織からの抽出による方法
で指摘の多かった、製品安全性に何ら問題がなく、か
つ、植物素材でありながら、現在までのところ、食品と
しての価値を有することのなかった原料を用いる方法を
提供することを目的とするものである。
れていた穀類、豆類といった、植物性原料以上に、高濃
度でスフィンゴ糖脂質を含有する植物性原料を探索した
結果、上記のような食品としては利用されていない、ト
ビ粉(芋類)や、綿実油粕(油粕)といった植物由来天
然資源中に、スフィンゴ糖脂質が、穀類、豆類に匹敵あ
るいは凌駕する濃度で含まれていることを突き止め、本
発明を完成させるに至った。さらに具体的には、こんに
ゃく製造時に大量に発生し、食用としては、利用価値の
低いトビ粉をはじめとし、さつま芋、じゃが芋なども含
む芋類、また使用用途が限定されつつある綿実油粕など
の油粕に、スフィンゴ糖脂質それも、セレブロシド類が
豊富に含まれていること、および、適度な極性を有する
有機溶剤を用いることにより、これら天然物から当該成
分を、効率的に抽出できることを見いだし、本発明を完
成させるに至った。
極性を有する有機溶剤を添加し、スフィンゴ糖脂質を抽
出することを特徴とするスフィンゴ糖脂質含有物の製造
方法を要旨とするものである。
する。本発明で抽出原料として好ましく用いられるトビ
粉は、日本では、全国蒟蒻原料協同組合から入手可能で
ある。これ以外の芋類に関しては、市販品を乾燥して用
いればよい。また、綿実油粕をはじめとした油粕は、各
々の油の製油メーカーより入手できる。
としては、アルコール類、クロロフォルム、アセトン、
アセトニトリルなどが挙げられる。なかでも親水性のア
ルコールが好ましい。そのようなアルコールとしては、
例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ
プロパノール、ブタノールなどの1価のアルコール、エ
チレングリコール、プロピレングリコールなどの2価以
上のアルコールのいずれも利用可能である。これらの溶
媒は、水分を含んでいても使用することができ、またこ
れらは互いに溶け合う組成の範囲内であれば、2種類以
上を混合して使用することもできる。さらに必要に応じ
て、界面活性剤や、包接化合物などを、本発明の目的を
脱しない範囲で添加し、抽出促進剤として用いることが
出来る。なお、これら抽出促進剤を添加する場合は、必
要に応じて抽出終了後に、カラム法など公知の技術で除
去することが出来る。
料に対し望ましくは、1〜30倍量程度、さらに望まし
くは2〜10倍量程度がよい。溶媒の使用量がこの範囲
以下であれば、原料全体に溶媒が行き渡らず、抽出が不
十分になる恐れがあり、この範囲を超える量の溶媒を添
加してももはや抽出量に影響はなく、後の濃縮行程での
溶媒除去作業の負担が増えるのみである。
が、エタノールを用いた場合では、望ましくは、室温程
度から70℃、さらに望ましくは室温程度から60℃の
範囲がよい。抽出温度がこの範囲以下であれば、抽出効
率が低下し、この範囲以上の温度をかけても抽出効率に
大きな影響はなく、いたずらにエネルギー使用量が増え
るのみである。
〜10時間、さらに望ましくは2〜5時間程度である。
抽出時間がこの範囲より短いと、十分に抽出が行われ
ず、この範囲を超えていたずらに長く時間をかけて抽出
を行っても、もはや、抽出量の増大は見込めない。ま
た、抽出中撹拌をすることで時間を短縮することができ
る。
限定されるものではない。抽出後の残渣に、再度新鮮な
溶媒を添加し、抽出操作を施すこともできるし、抽出溶
媒を、複数回、抽出原料に接触させることも可能であ
る。すなわち、抽出操作としては、回分操作、半連続操
作、向流多段接触操作のいずれの方式も使用可能であ
る。
法は特に限定されず、例えば、フィルタープレス、シリ
ンダープレス、デカンター、遠心分離器などによること
ができる。
程に送られる。濃縮処理は、例えば、エバポレーターの
ような減圧濃縮装置を用いて濃縮乾燥することができ
る。この濃縮処理により、黄色乃至褐色の、オイル状ま
たは蝋状の濃縮物が得られる。
除き、より純度を向上せしめる必要のある場合は、常法
による精製が可能である。すなわち、シリカゲルカラム
などを通す方法、あるいは、単に、クロロフォルムや、
ジクロルメタンといった、ハロゲン系有機溶媒と、水ー
メタノール間での分配などによることが出来る。
内に含まれる両親媒性物質のミセル状組織形成を抑える
ため、用いる水は、中性塩水溶液であることが望まし
い。その場合の塩濃度は、塩の種類にもよるが、塩化カ
リウムの場合では、望ましい濃度は、0.1〜1.5M
さらに望ましくは、0.2〜1.2Mの範囲である。塩
濃度がこの範囲より、小さければ十分な効果が見られ
ず、この範囲を超える場合は、メタノール添加で析出す
る場合があるからである。
が、最も簡便な方法としては、薄層クロマトグラフ法が
あげられる。スフィンゴ糖脂質、なかでも、グルコシル
セラミドの市販標準品が存在するので、これをリファレ
ンスにし、市販のシリカゲル薄層プレートを用い、クロ
ロフォルムーメタノール系などの展開溶媒で展開させ、
濃硫酸や、アンスロン試薬などで、発色させれば、上記
濃縮物中に、高含量で、スフィンゴ糖脂質類が存在する
ことが容易に判定できる。その他、高速液体クロマトグ
ラフ法、各種クロマトグラフーマススペクトロメトリー
法などの常法により、スフィンゴ糖脂質類が豊富に含ま
れることは判定できる。
は、水などに分散させて用いることが出来る。この場
合、分散性を向上させるために、他の両親媒性分子、界
面活性剤、分散安定剤等を必要に応じて、適当な配合比
で配合させることができる。
散安定剤等として、たとえばレシチン、リゾレシチンな
どのリン脂質、糖グリセリド、糖ステロールなどの糖脂
質、サポニン、ポリソルベート類、長鎖脂肪酸、水溶性
両親媒性高分子などがあげられる。
は、そのまま、凍結乾燥法、スプレードライなどの方法
を用いて、固体化、粉末化して用いることが出来る。
たスフィンゴ糖脂質成分は、化粧品などの塗布用基材、
食品添加剤などとして用いることが出来る。
するが、本発明はこれに限定されるものではない。ま
ず、以下の実施例に用いた測定装置・測定方法について
説明する。 (1)測定装置 ・シリカゲル薄層クロマトグラフィープレート:メルク
社製 Sillicagel 60 F254タイ
プ 層厚 0.5mm ・シリカゲル分取薄層クロマトグラフィープレート:メ
ルク社製 Sillica ge l 60 F25
4タイプ 層厚2mm ・デンシトメーター:島津製作所製 CSー9300P
C
に、抽出物のエタノール溶液をシリカゲルの薄層クロマ
トグラフィープレートにアプライし、クロロフォルムー
メタノール混合溶媒(9:1)で、展開した。硫酸噴霧
加熱により、標準品と同じRf値(=スポットの移動距
離/溶媒先端移動距離)を与えるスポットをスフィンゴ
糖脂質のスポットとした。また、セレブロシド成分の定
量は、市販標準品のエタノール溶液の濃度を5点程度と
り、(たとえば、0.25、0.5、1、2、5mg/
ml、あるいは、アプライ量を変える、など)これらの
薄層クロマトグラフの発色強度を、デンシトメーターに
より、検量線を作成し、当該サンプルの発色強度を測定
の後、検量線から、グルコシルセラミド(スフィンゴ糖
脂質)量を計算により求めた。
を加え、常温で5時間撹拌した。その後、濾過により抽
出液と残渣を分離した。抽出液をエバポレーターにより
濃縮し、茶褐色の蝋状濃縮物13.3gを得た。これ
を、上記測定法(a)に基づき、スフィンゴ糖脂質類の
存在確認と定量を行った。結果を表1に示す。
Lを加え、常温で5時間撹拌した。その後、濾過により
抽出液と残渣を分離した。抽出液をエバポレーターによ
り濃縮し、茶褐色の蝋状濃縮物8.44gを得た。これ
を、上記測定法(a)に基づき、スフィンゴ糖脂質類の
存在確認と定量を行った。結果を表1に示す。
を加え、常温で5時間撹拌した。その後、濾過により抽
出液と残渣を分離した。抽出液をエバポレーターにより
濃縮し、濃黄褐色の蝋状濃縮物9.71gを得た。これ
を、上記測定法(a)に基づき、スフィンゴ糖脂質類の
存在確認と定量を行った。結果を表1に示す。
を用いて得られる抽出物は、総重量の1.33%と多
く、さらに、スフィンゴ糖脂質成分は抽出物に対して、
10.1重量%、抽出原料に対して0.134重量%と
ともに高い。すなやち、トビ粉抽出物中にスフィンゴ糖
脂質成分はきわめて高濃度、高純度で存在することがわ
かった。また、綿実油粕抽出物中にも従来抽出原料とし
て使われていた小麦粉と比較しても、充分高い濃度、純
度でスフィンゴ糖脂質成分が含まれていることがわか
る。このように、食品加工業界からの天然廃棄物から、
きわめて高濃度で、スフィンゴ糖脂質類を取り出すこと
に成功した。
1.5Lを加え、常温で2時間撹拌し、濾過により抽出
液と残渣を分離した。抽出液をエバポレーターにより濃
縮し、茶褐色の蝋状濃縮物6.4gを得た。この濃縮物
を、クロロフォルムーメタノール混液(1:1)1Lに
溶かし、デカンターにて、さらに、精製水400mLを
加え、分配を行った。この後クロロフォルム層をとりだ
し、エバポレーターにて濃縮し、濃縮物3.9gを得
た。これを、上記測定法(a)に基づき、スフィンゴ糖
脂質類の存在確認と定量を行った。結果を表2に示す。
そこにエタノール1.5Lを加え、常温で2時間撹拌し
た。その後、濾過により抽出液と残渣を分離した。抽出
液をエバポレーターにより濃縮し、茶褐色の蝋状濃縮物
6.3gを得た。この濃縮物を、クロロフォルムーメタ
ノール混液(1:1)1Lに溶かし、デカンターにて、
さらに、400mLの、0.4M塩化カリウム水溶液を
加えて、分配を行った。この後クロロフォルム層をとり
だし、エバポレーターにて濃縮し、濃縮物3.3gを得
た。これを、上記測定法(a)に基づき、スフィンゴ糖
脂質類の存在確認と定量を行った。結果を表2に示す。
ンゴ糖脂質の純度を、単なる溶媒間の分配によるのみの
簡便な方法で、大幅に向上できることがわかった。この
さい、用いる水を、中性塩水溶液にすることにより、分
配効率がさらに向上することが示された。
ったトビ粉などの芋類、また綿実油粕などの油粕から、
安全性が高く、しかも素材としてイメージのよい植物起
源のスフィンゴ糖脂質を得ることができる。
Claims (1)
- 【請求項1】 芋類または油粕に、極性を有する有機溶
剤を添加し、スフィンゴ糖脂質を抽出することを特徴と
するスフィンゴ糖脂質含有物の製造方法。
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-
2000
- 2000-07-19 JP JP2000219087A patent/JP3992425B2/ja not_active Expired - Lifetime
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