JP2002037834A - 頭−尾定序性ポリウレタンの製造法 - Google Patents

頭−尾定序性ポリウレタンの製造法

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JP2002037834A JP2000230631A JP2000230631A JP2002037834A JP 2002037834 A JP2002037834 A JP 2002037834A JP 2000230631 A JP2000230631 A JP 2000230631A JP 2000230631 A JP2000230631 A JP 2000230631A JP 2002037834 A JP2002037834 A JP 2002037834A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モノマー構造単位の配列が規制された定序性
ポリウレタンを得る。 【解決手段】 ジスタノキサン触媒の存在下に下式: 【化1】 で表されるジイソシアナート化合物と、ジオール化合物
とを重縮合するにあたり、ジイソシアナート化合物に対
して略1/2倍モルを越えるジオール化合物を実質的に
一時に反応させる工程を含んでなる下式: 【化2】 【化3】 で表される頭−尾構造単位を有し、x/(x+y)が0.
8〜1である定序性ポリウレタンの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】本発明はモノマー構造単位の配列が規制
された定序性ポリウレタンの製造法に関する。
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、ジスタノキサン触媒を
用いた頭−尾構造を有する定序性ポリウレタンの製造法
に関する。定序性重合体は、配列異性重合体であり、光
学材料や電気材料等の機能材料などに用いられる。
【0003】
【発明の背景】モノマーの配列を規制して得られる高分
子(以下、定序性高分子という)は熱的、力学的性質はも
ちろん、非線型光学、液晶等などの物性においても特異
的性質を有するものと期待されている。しかしながら、
工業的に製造され広く利用されているポリウレタン、ポ
リアミド、ポリウレア、ポリイミド等の重縮合系高分子
については、これに適したモノマーの設計の困難さか
ら、モノマー配列の制御された高分子はこれまで実用例
がなく、製造法の確立が望まれている。
【0004】定序性高分子を得るためのモノマー分子設
計としては、季刊化学総説18巻85−95(1993)
に記載されているように、用いるモノマーの分子構造に
方向性があることはもちろん、重合点となる官能基部位
の反応性に十分な違いを有することが必要である。非対
称モノマーと対称モノマーから得られる定序性高分子の
うち、特に頭−尾定序性高分子得るためには、反応性の
等価な対称モノマーを見かけ上、反応性を非等価にする
必要がある。従って、定序性ポリマーを合成するために
は、多段階の合成操作が必要であり、一段階で合成する
のは非常に困難であった。
【0005】多官能イソシアナート化合物は、その高反
応性を利用して、ポリウレタン、ポリアミド等の原料と
してひろく工業的に利用されており、イソシアナート化
合物をモノマーとした定序性高分子は工業的に非常に有
用であると考えられる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこのような
事情に鑑みて鋭意検討を行なった。その結果、1分子内
に反応性の異なる2つのイソシアナート基、すなわち芳
香族イソシアナート基と脂肪族イソシアナート基とを有
する非対称なジイソシアナート化合物と、ジオール化合
物との反応において、触媒として有機スズ化合物である
ジスタノキサン化合物を使用するとその特異的な触媒作
用により頭−尾構造を有する定序性ポリマーが選択的に
得られるとの知見を得て本発明に至った。
【0007】すなわち、本発明は、ジスタノキサン触媒
の存在下に下式:
【0008】
【化5】 (式中、R及びRは各々別個に水素又は低級アルキ
ル基、nは1〜10の整数を意味する。)で表されるジ
イソシアナート化合物と、下式: HO−R−OH (式中、Rは二価のアルコール残基を意味する。)で表
されるジオール化合物とを重縮合するにあたり、ジイソ
シアナート化合物に対して略1/2倍モルを越えるジオ
ール化合物を実質的に一時に反応させる工程を含んでな
る下式:
【0009】
【化6】
【0010】
【化7】 (式中、R、R、R及びnは前記に同じ。)で表さ
れる頭−尾構造単位を有し、x/(x+y)が0.8〜1
である定序性ポリウレタンの製造法を提供するものであ
る。
【0011】
【発明の詳細な開示】(ジスタノキサン化合物)本願発明
の頭−尾定序性ポリウレタンの製造に使用されるジスタ
ノキサン化合物は下式:
【0012】
【化8】 (式中、Rは有機基、Xはハロゲン又はイソチオシ
アナート基を意味し、X はハロゲン、イソチオシアナ
ート基又はOR基を意味し、Rは水素または有機基
を意味する。)であるのが好ましい。
【0013】なお、前記式(1)のジスタノキサンは下式
(1)´のように記載される場合もある。
【0014】
【化9】
【0015】なお、従来、対称ジイソシアネートに対し
て、ジスタノキサン触媒を用いた例はあるが、非対称ジ
イソシアネートに対して、ジスタノキサン触媒を用いる
ことについては、知られておらず、かかる触媒により1
段階で効率的に定序性ポリウレタンが得られたとの報告
はない。
【0016】このジスタノキサン化合物は、中心酸素お
よび1,3位にあるハロゲンあるいは水酸基等が、もう
一分子のスズに配位することにより、はしご状の二量体
構造を形成している。
【0017】前記式(1)において、置換基Rは有機基
であり、例えば、アルキル基、脂環基、芳香環などが挙
げられる。ここでアルキル基としては、エチル基、n−
ブチル基、n−ヘキシル基などが挙げられ、特にn−ブ
チル基が好ましい。芳香環基としては、フェニル基、ト
ルイル基、ビフェニル基などが挙げられ、特にフェニル
基が好ましい。
【0018】また、Xは、ハロゲン原子、例えば塩
素、臭素;またはイソチオシアナート基である。X
は、ハロゲン原子、例えば塩素、臭素;イソチオシア
ナート基;アルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキ
シ基;アリールオキシ基、例えばフェノキシ基;または
水酸基などが挙げられる。
【0019】したがって、好ましいジスタノキサン触媒
の具体例としては、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テ
トラエチルジスタノキサン、1,3−ジクロロ−1,1,
3,3−テトラn−ブチルジスタノキサン、1,3−ジイ
ソチオシアナト−1,1,3,3−テトラn−ブチルジス
タノキサン、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラフ
ェニルジスタノキサン、1−クロロ−3−ヒドロキシ−
1,1,3,3−テトラn−ブチルジスタノキサン、1−
イソチオシナト−3−ヒドロキシ−1,1,3,3−テト
ラn−ブチルジスタノキサン、1−イソチオシナト−3
−メトキシ−1,1,3,3−テトラn−ブチルジスタノ
キサンなどが挙げられる。これらのうち、触媒活性の高
さから1,3−ジイソチオシアナト−1,1,3,3−テト
ラn−ブチルジスタノキサンや1,3−ジクロロ−1,
1,3,3−テトラフェニルジスタノキサンが好ましい。
これらジスタノキサン触媒の使用量は、通常、使用する
ジオール1モルに対し、0.01〜30モル%好ましく
は0.1〜10モル%である。
【0020】(ジイソシアナート化合物)本発明で用いら
れるジイソシアネートは下式:
【0021】
【化10】 (式中、R及びRは各々別個に水素又は低級アルキ
ル基、nは1〜10の整数を意味する。)で表される。
このジイソシアナートモノマーの特徴は、分子内に2つ
のイソシアナート基を有しており、一方のイソシアナー
ト基が芳香環に直接結合し、他方のイソシアナート基は
炭素原子を介して芳香族環に結合している。このため、
2つのイソシアネート基は反応性に大きな差を有する。
【0022】それぞれの芳香環上のイソシアナート基
は、オルト、メタ、パラ位のいずれの位置で結合してい
てもよい。また、式(1)で、nは1以上であり、好まし
くは1〜10である。R及びRは、水素原子又はア
ルキル基である。アルキル基としては、例えばメチル
基、エチル基などが挙げられる。したがって、前記のジ
イソシアネートの具体例としては、イソシアナトベンジ
ルイソシアナート、イソシアナトフェネチルイソシアナ
ート、α−(イソシアナトフェニル)−エチルイソシアナ
ート等のジイソシアナートなどが挙げられる。
【0023】(ジオール化合物)本発明の製造法で用いら
れる下式のジオール化合物:HO−R−OHにおいて
は二価のアルコール残基である。したがって、ジオ
ール化合物の具体例としては、ジメチレン基、ペンタン
メチレン基などの直鎖脂肪族炭化水素類;2−メチル−
トリメチレン基などの枝分かれ脂肪族炭化水素類、3−
オキソ−ペンタンメチレン基などの含ヘテロ原子炭化水
素類、シクロヘキシニレン基やステロイド骨格などの環
式脂肪族炭化水素類、フェニレン、ビフェニレンなどの
芳香族炭化水素類、さらには2,2’−ジフェニレンプ
ロパン類などの脂肪族と芳香族からなる炭化水素類、
1,1,3,3,3,−ヘキサフルオロ−2,2’−ジフェニ
レンプロパンなど下式:
【0024】
【化11】 で表される脂肪族、芳香族およびヘテロ原子からなる炭
化水素類などが挙げられ、後述のモノマーとして用いる
二官能性アルコール類に由来する骨格がいずれも好まし
い。
【0025】したがって、二価のアルコール類として
は、例えば、エチレングリコール、2−メチル−1,3
−プロパンジオール、ジエチレングリコール、1,5−
ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、ジヒド
ロキシシクロヘキサン、イソマンニド、イソソルビドな
どの脂肪族アルコール類、また、ヒドロキノン類、ビス
フェノールA、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリ
デン)ジフェノール、4,4’−(ヘキサフルオロイソプ
ロピリデン)−ビス(2,6−メチルフェノール)、4,
4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−(1,3−ア
ダマンテンジイル)ジフェノールなどの2価の芳香族ア
ルコール類、あるいはデオキシコール酸、ケノデオキシ
コール酸、ウルソデオキシコール酸などの胆汁酸類、
1,5−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフ
タレン等の非等価水酸基を有する化合物など、イソシア
ナートと反応する2価の水酸基を有する化合物であれば
よい。用いることのできる二価アルコール類の分子量
は、通常62〜500、好ましくは62〜300であ
る。
【0026】(頭−尾構造を有する定序性ポリウレタン
の製造法)つぎに、定序性ポリウレタンの製法について
詳細を説明する。
【0027】ジオールモノマー量は、分子量を十分に伸
長させるうえから、ジイソシアナートモノマーのイソシ
アナート官能基数とジオールモノマーの水酸基数がほぼ
等しく(等モル量)なるように用いることが好ましいが、
これに限定されるものではない。ここで略等モル量と
は、ジイソシアナート1モルあたり、ジオールを0.8
〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.1モル、より好ま
しくは0.99〜1.01モル用いる。
【0028】頭−尾構造単位を主体とするポリウレタン
を製造するには、前記イソシアナート化合物とジオール
化合物とを重縮合するにあたり、ジイソシアナート化合
物に対し、略1/2倍モル〜等モル量のポリオール化合
物を実質的に一時に反応させる。具体的には、例えば、
所定量のジオールモノマーを一括して仕込むなどし、ジ
オールモノマーの片方の水酸基とジイソシアナートモノ
マーの芳香族イソシアナート基が反応したジオールモノ
マーとジイソシアナートモノマーの(1:1)付加物が生
成する反応条件を選択する。
【0029】これに対して、ジイソシアナートモノマー
をエチレングリコールに滴下するなどすると、所望の構
造単位の含有量は低下する。ジオール化合物を「実質的
に一時に反応させて」とは、反応の開始から完了に至る
反応時間の実質上のすべてにわたり全部のジイソシアナ
ートと全部のジオールとが反応系に存在することを意味
する。すなわち、一方のジイソシアナートに対して反応
すべきジオールを分割して段階的に反応系に加えるよう
な手段を排除する主旨である。従ってつぎのような操作
を含む反応系に両モノマー全部を一時に加える等モ
ルずつのモノマーを同時に加える一方のモノマーの存
在下、他方を速やかに加える。
【0030】また、触媒はジイソシアナートとジオール
を加え終わってから加えるようにするのが好ましい。例
えば触媒存在下にモノマーを加えると、モノマー添加完
了の前から反応が開始し、短時間でのモノマー添加を行
ってもジイソシアナートとジオールが等モル存在する反
応系での反応開始という条件が得られない。触媒の不存
在下であると、ジイソシアナートとジオールとの自発的
反応は極めて遅く、ジイソシアナートとジオールとの等
モル存在下での反応開始という理想的な反応条件に近づ
けることが可能となる。
【0031】またかかる重縮合反応の反応温度は、反応
選択性の向上を図るために反応温度をできるだけ低くす
るのが好ましい。また、低温での反応によりウレタン結
合生成時に競合するイソシアナートの三量化反応などの
副反応も抑制できる。従って、反応温度は、−80〜4
0℃、好ましくは−50〜30℃であり、より好ましく
は−50〜0℃であり特に−40℃付近で反応させるの
が好ましい。また、反応温度は、反応開始から終了まで
一定の温度で行なってもよく、初期に低温で行ないその
後、温度上げてもよい。
【0032】また、重合時間は、重合の進行を考慮に入
れて、5〜48時間で行ない、好ましくは、10〜24
時間で行なうのがよい。触媒の使用量は、操作性などを
考慮し、モノマー基質に対して0.01〜50mol%
になるように用いるのが好ましい。
【0033】反応に用いられる溶媒は、得られるポリマ
ーが高極性であるため、重合を効率的よく進行させるた
めには高極性溶媒を用いる必要がある。例えば、DMF
(N,N−ジメチルホルムアミド)、DMAc(N,N−ジ
メチルアセトアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシ
ド)、NMP(N−メチルピロリドン)等の高極性非プロ
トン溶媒を選択することが好ましいが、反応基質及び目
的物が良好に溶解しさすればシクロヘキサン、ペンタ
ン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエ
ン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、THF(テ
トラヒドロフラン)、ジエチルエーテル、エチレングリ
コールジエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メ
チルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン等のケ
トン類、プロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル
等のエステル類などの溶媒であってもよく、これらを混
合して用いてもよい。これら溶媒の使用量は、反応の選
択性を高めるためモノマー基質をできる限り希釈するこ
とが好ましいが、反応を効率よく進行させること、反応
操作を考慮に入れるとモノマー基質が0.1〜2mol
/Lになるように調製するのがよい。
【0034】以上のように、頭−尾構造を優先させる場
合には、モノマーの各イソシアナート基に反応性の違い
が必要であるほか、ジオールモノマーの一方の水酸基の
みが、ジイソシアナートモノマー中の芳香族イソシアナ
ートに優先的に反応し、もう一方の水酸基が脂肪族イソ
シアナート基と優先的に反応する必要がある。従って、
特開平11−171965号に示されているごとく頭−
頭−尾−尾構造を優先的に生成するような逐次的な反応
条件は好ましくない。即ち、一方の水酸基が芳香族イソ
シアナートと反応し、ウレタン結合を形成した中間体
(以下、中間体という)の水酸基がジイソシアナートモノ
マーの脂肪族イソシアナート基と優先的に反応するこ
と、即ち中間体の水酸基がもとのジオールモノマーの水
酸基に比べ反応性が低下することが好ましいと考えられ
る。
【0035】ジスタノキサン化合物によるウレタン結合
の生成は、ジオール化合物の水酸基及びイソシアナート
基がスズに配位して生じることが知られている(J.OteR
A, T.Yano, R.OkAwARA,OrgAnometAllics,5,1167(198
6))。このとき、分子内に水酸基をより多く含む未反応
ジオール化合物は、中間体の水酸基と比べ、配位しやす
くなっていることやジスタノキサン化合物の置換基の立
体効果やジイソシアネート化合物の芳香族イソシアナー
ト基および脂肪族イソシアナート基のカルボニル基に対
するのスズの配位のしやすさの違いにより期待する反応
性差が得られるていると推測される。
【0036】こうして得られた高分子の定序性に関する
定量的検討は、高分子主鎖中の頭−頭構造、尾−尾構
造、頭−尾構造それぞれに対応するモデル化合物3種を
合成し、それら13C−NMRスペクトルと得られた高
分子の13C−NMRスペクトルとを比較することで検
討を行った。
【0037】具体的には重水素化DMF溶媒中67MH
zの13C−NMRを用いたところ、3種のモデル化合
物のエチレングリコール由来のメチレン基のピークが頭
−頭−尾−尾構造の場合64.2ppmから64.3pp
m、頭−尾構造の場合64.1,64.5ppmに現れ、
構造の違いによる区別が可能なことを確認した。
【0038】次に得られた高分子において同様に13
−NMRでのスペクトル分析を行ったところ、エチレン
グリコール由来のメチレン基のピークはジスタノキサン
化合物の種類や重合条件によって変化し、そのピーク位
置はモデル化合物同様であることを確認した。さらにそ
のピークの積分比を求めることで得られた高分子の定序
性についての定量化を行った。
【0039】また、得られた重合体の結晶性について
は、示差走査熱分析(DSC)を用い、窒素気流下室温か
ら250℃まで10℃毎分で加温し、結晶部位の融解に
伴う融点の違いを比較した。
【0040】
【実施例】つぎに、本発明を実施例及び比較例により、
さらに詳細に説明する。 [参考例1] 頭−頭構造に対応したモデル化合物の合
成 1,4−ジオキサン50mLにDBTL0.55g(0.8
7mmol)、エチレングリコール1.28g(20.6m
mol)、フェニルイソシアナート4.96g(41.6m
mol)を加え、60℃で1日撹拌を行った。溶媒留去
後酢酸エチルで再結晶精製することにより、結晶性固体
を得た。ここで得られた生成物の13C−NMR測定を
行った(図1)。その結果154.9ppmにカルボニル
基(b)のピークが観察され、140.8、130.0、1
23.8、119.6ppmに芳香環(A)のピークが観察
され、64.2ppmにメチレン(c)のピークが観察さ
れたことから、期待する頭−頭構造に対応した化合物で
あることを確認した。収量4.76g(収率76)
【0041】[参考例2] 尾−尾構造に対応したモデ
ル化合物の合成 1,4−ジオキサン50mLにDBTL0.55g(0.8
7mmol)、エチレングリコール1.10g(17.7m
mol)、ベンジルイソシアナート4.74g(35.6m
mol)を加え、60℃で1日撹拌を行った。溶媒留去
後酢酸エチルで再結晶精製することにより、結晶性固体
を得た。ここで得られた生成物の13C−NMR測定を
行った(図2)。その結果158.0ppmにカルボニル
基(c)のピークが観察され、141.4、129.6、1
28.6、128.2ppmに芳香環(A)のピークが観察
され、64.3ppmにメチレン(d)のピークが観察さ
れ、45.7ppmにベンジル位メチレン(b)のピーク
が観察されたことから、期待する尾−尾構造に対応した
化合物であることを確認した。収量4.72g(収率81
%)
【0042】[参考例3] 頭−尾構造に対応したモデ
ル化合物の合成 参考例4で合成したN−ベンジル−(2−ヒドロキシ)エ
チルカルバミン酸エステル2.93gにDBTL0.73
g(1.16mmol)とフェニルイソシアナート1.81
(15.2mmol)を加え、1,4−ジオキサン90mL
中60℃で1日撹拌した。溶媒を留去し、n−ヘキサン
/酢酸エチル混合溶媒で再結晶精製することにより結晶
性固体を得た。ここで得られた生成物の13C−NMR
測定を行った(図3)。その結果、158.0ppmにカ
ルボニル基(e)のピークが観察され、155.0ppm
にカルボニル基(b)のピークが観察され、141.0、
130.1、123.8、119.7ppmに芳香環(A)
のピークが観察され、141.4、129.6、128.
6、128.2ppmに芳香環(g)のピークが観察さ
れ、64.5ppmにメチレン(d)のピークが観察さ
れ、64.1ppmにメチレン(c)のピークが観察さ
れ、45.8ppmにベンジル位メチレン(f)のピーク
が確認されたことから、期待する頭−尾構造に対応した
化合物であることを確認した。収量2.84g(収率60
%)
【0043】[参考例4] ベンジル基末端構造に対応
したモデル化合物の合成 1,4−ジオキサン30mLにDBTL0.42g(0.6
7mmol)、エチレングリコール27.78g(447.
6mmol)を加え、ここにベンジルイソシアナート5.
22g(39.2mmol)/トルエン40mLを2.5時
間かけて60℃で滴下した。そのまま1日撹拌を行った
後溶媒を留去し、得られた反応生成物に水を加え、これ
をエーテルで抽出した。有機層を回収し硫酸マグネシウ
ムで乾燥し溶媒を留去した。こうして得た反応生成物は
カラムクロマトグラフィー(充填剤:和光純薬社製ワコー
ゲルC300、展開溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1
/3混合溶媒)で精製し、結晶性固体を得た。ここで得
られた生成物の13C−NMR測定を行った(図4)。そ
の結果、158.3ppmにカルボニル基(c)のピーク
が観察され、141.5、129.6、128.5、12
8.1ppmに芳香環(A)のピークが確認され、67.6
ppmにメチレン基(e)のピークが観察され、61.6
ppmにメチレン基(d)のピークが確認され、45.7
ppmにベンジル位メチレン基(b)のピークが観察され
たことからベンジル基末端構造に対応した化合物である
ことを確認した。収量3.60g(収率47%)
【0044】[参考例5] フェニル基末端構造に対応
した化合物の合成 エチレングリコール21.55g(347.1mmol)と
DBTL0.54g(0.855mmol)にフェニルイソ
シアナート5.48g(46.0mmol)を加えた1,4
−ジオキサン43mLを80℃で滴下し、そのまま1日
撹拌を行った。溶媒を留去して得た反応生成物に酢酸エ
チルを加え、水で洗浄した。有機層を回収後硫酸マグネ
シウムで乾燥し、溶媒を留去することで得た反応生成物
カラムクロマトグラフィー(充填剤:和光純薬社製ワコー
ゲルC300、展開溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1
/3混合溶媒)で精製を行い結晶性固体を得た。ここで
得られた生成物の13C−NMR測定を行った(図5)。
その結果、151.2ppmにカルボニル基(b)のピー
クが観察され、140.9、123.0、123.6、1
19.5ppmに芳香環(A)のピークが確認され、67.
6ppmにメチレン基(d)のピークが確認され、11
9.5ppmにメチレン基(c)のピークが観察されたこ
とから、フェニル基末端構造に対応した化合物であるこ
とを確認した。収量5.14g(収率61%)
【0045】[実施例1] 定序性ポリウレタン(1)
(頭−尾構造)の合成 4−イソシアナトベンジルイソシアナート0.8813
(5.06mmol)にエチレングリコール0.3218g
(5.18mmol)と1,3−ジイソチオシアナト−1,
1,3,3−テトラn−ブチルジスタノキサン0.029
9g(0.050mmol)のDMF20mL溶液を一括
で加えて30℃1日撹拌した。溶媒を留去して反応溶液
を濃縮し、これをメタノールで再沈殿精製し、50℃で
真空乾燥を1日行なうことにより化合物を得た。収量
0.8448g(収率71%)
【0046】こうして得られた化合物の13C−NMR
(図6、図7)において64.2〜64.3ppmに現れた
頭−頭−尾−尾構造由来のピークと64.1及び64.5
ppmに現れた頭−尾構造由来のピークの吸収強度比か
らこの高分子は82%が頭−尾構造からなるポリウレタ
ンが得られていることがわかった。分子量をGPCを用
いてポリスチレンを基準物質にして求めたところ重量平
均分子量は10000、分子量分布は2.6であった。
【0047】[実施例2] 定序性ポリウレタン(2)
(頭−尾構造)の合成 4−イソシアナトベンジルイソシアナート0.8813
g(5.06mmol)にエチレングリコール0.3218
g(5.18mmol)と1,3−ジイソチオシアナト−
1,1,3,3−テトラn−ブチルジスタノキサン0.02
99g(0.050mmol)のDMF20mL溶液を一
括で加えて、−40℃で5時間攪拌し、室温に戻してさ
らに1日撹拌した。得られたポリマーは実施例1と同様
に精製後処理した。収量0.8448g(収率71%)
【0048】こうして得られた化合物の13C−NMR
(図8、図9)において64.2〜64.3ppmに現れた
頭−頭−尾−尾構造由来のピークと64.1及び64.5
ppmに現れた頭−尾構造由来のピークの吸収強度比か
らこの高分子は90%が頭−尾構造からなるポリウレタ
ンが得られていることがわかった。分子量をGPCを用
いてポリスチレンを基準物質にして求めたところ重量平
均分子量は11200、分子量分布は2.2であった。
【0049】[実施例3] 定序性ポリウレタン(頭−
尾構造)の合成 4−イソシアナトベンジルイソシアナート0.8776
g(5.04mmol)にエチレングリコール0.3113
g(5.02mmol)と1,3−ジイソチオシアナト−
1,1,3,3−テトラn−ブチルジスタノキサン0.02
99g(0.050mmol)のDMF20mL溶液を一
括で加えて、0℃で4時間攪拌し、室温に戻してさらに
1日撹拌した。得られたポリマーは実施例1と同様に精
製後処理した。収量0.7579g(収率64%)
【0050】こうして得られた化合物の13C−NMR
(図10、11)において64.2〜64.3ppmに現れ
た頭−頭−尾−尾構造由来のピークと64.1及び64.
5ppmに現れた頭−尾構造由来のピークの吸収強度比
からこの高分子は83%が頭−尾構造からなるポリウレ
タンであることがわかった。分子量をGPCを用いてポ
リスチレンを基準物質にして求めたところ重量平均分子
量は30300、分子量分布は2.2であった。
【0051】[実施例4] 定序性ポリウレタン(頭−
尾構造)の合成 4−イソシアナトベンジルイソシアナート0.5317
g(3.05mmol)にエチレングリコール0.1862
g(3.00mmol)と1,3−ジイソチオシアナト−
1,1,3,3−テトラn−ブチルジスタノキサン0.02
99g(0.050mmol)のDMF12mL溶液を一
括で加えて、−10℃で5時間攪拌し、室温に戻してさ
らに1日撹拌した。得られたポリマーは実施例1と同様
に精製後処理した。収量0.5200g(収率73%)
【0052】こうして得られた化合物の13C−NMR
(図12、13)において64.2〜64.3ppmに現れ
た頭−頭−尾−尾構造由来のピークと64.1及び64.
5ppmに現れた頭−尾構造由来のピークの吸収強度比
からこの高分子は85%が頭−尾構造からなるポリウレ
タンが得られていることがわかった。分子量をGPCを
用いてポリスチレンを基準物質にして求めたところ重量
平均分子量は15100、分子量分布は2.4であっ
た。
【0053】[実施例5] 定序性ポリウレタン(頭−
尾構造)の合成 4−イソシアナトベンジルイソシアナート0.5563
g(3.19mmol)にエチレングリコール0.1982
g(3.19mmol)と1,3−ジイソチオシアナト−
1,1,3,3−テトラn−ブチルジスタノキサン0.02
99g(0.050mmol)のDMF12mL溶液を一
括で加えて、−30℃で5時間攪拌し、室温に戻してさ
らに1日撹拌した。得られたポリマーは実施例1と同様
に精製後処理した。収量0.5573g(収率74%)
【0054】こうして得られた化合物の13C−NMR
(図14、15)において64.2〜64.3ppmに現れ
た頭−頭−尾−尾構造由来のピークと64.1及び64.
5ppmに現れた頭−尾構造由来のピークの吸収強度比
からこの高分子は88%が頭−尾構造からなるポリウレ
タンが得られていることがわかった。分子量をGPCを
用いてポリスチレンを基準物質にして求めたところ重量
平均分子量は11000、分子量分布は2.2であっ
た。
【0055】[比較例1] ポリウレタン(1)の合成
(DBTL触媒を用いた重合) 4−イソシアナトベンジルイソシアナート0.9508
g(5.459mmol)にエチレングリコール0.341
7g(5.505mmol)とDBTL0.0546g(0.
086mmol)のDMF20mL溶液を一括で加えて
30℃1日撹拌した。得られたポリマーは実施例1同様
精製後処理した。収量0.6400g(収率49.6%)
【0056】こうして得られた化合物の13C−NMR
(図16、図17)において64.2〜64.3ppmに現
れた頭−頭−尾−尾構造由来のピークと64.1及び6
4.5ppmに現れた頭−尾構造由来のピークの吸収強
度比からこの高分子は78%が頭−尾構造からなるポリ
ウレタンが得られていることがわかった。分子量をGP
Cを用いてポリスチレンを基準物質にして求めたところ
重量平均分子量は33800、分子量分布は1.9であ
った。
【0057】[比較例2] 定序性ポリウレタン(頭−
尾構造)の合成(DBTL触媒を用いた重合) 4−イソシアナトベンジルイソシアナート0.5482
g(3.15mmol)にエチレングリコール0.3218
g(3.10mmol)とDBTL0.0947(0.015
mmol)のDMF12mL溶液を一括で加えて、−4
0℃で5時間攪拌し、室温に戻してさらに1日撹拌し
た。得られたポリマーは実施例1と同様にして精製後処
理した。収量0.5417g(収率74%)
【0058】こうして得られた化合物の13C−NMR
(図18、図19)において64.2〜64.3ppmに現
れた頭−頭−尾−尾構造由来のピークと64.1及び6
4.5ppmに現れた頭−尾構造由来のピークの吸収強
度比からこの高分子は79%が頭−尾構造からなるポリ
ウレタンが得られていることがわかった。分子量をGP
Cを用いてポリスチレンを基準物質にして求めたところ
重量平均分子量は11000、分子量分布は2.0であ
った。
【0059】[参考比較例] ポリウレタン(2)の合成 4−イソシアナトベンジルイソシアナート0.5694
g(3.269mmol)にエチレングリコール0.218
4g(3.519mmol)とトリエチルアミン0.032
1g(0.317mmol)のDMF10mL溶液を一括
で加えて60℃で1日撹拌した。得られたポリマーは実
施例1同様精製後処理した。収量0.4296g(収率5
5.6%)
【0060】こうして得られた化合物の13C−NMR
(図20、図21)において64.2〜64.3ppmに現
れた頭−頭−尾−尾構造由来のピークと64.1及び6
4.5ppmに現れた頭−尾構造由来のピークの吸収強
度比からこの高分子は57%の頭−尾構造からなるポリ
ウレタンが得られていることがわかった。分子量をGP
Cを用いてポリスチレンを基準物質にして求めたところ
重量平均分子量は8240、分子量分布2.5であっ
た。
【0061】(配列異性重合体の結晶性の確認)実施例1
〜3にて得られた重合体を示差走査熱分析(DSC)を用
い、窒素気流下室温から250℃まで10℃毎分で加温
し、定序性の違いにより結晶の融解に伴う融点が顕著に
異なることを確認した(図16)。
【0062】
【発明の効果】モノマー構造単位の配列が規制された定
序性ポリウレタンが容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1で得られたモデル化合物の13C−
NMRスペクトルである。
【図2】 参考例2で得られたモデル化合物の13C−
NMRスペクトルである。
【図3】 参考例3で得られたモデル化合物の13C−
NMRスペクトルである。
【図4】 参考例4で得られたモデル化合物の13C−
NMRスペクトルである。
【図5】 参考例5で得られたモデル化合物の13C−
NMRスペクトルである。
【図6】 実施例1で得られた定序性ポリウレタンの
13C−NMRスペクトルである。
【図7】 図6の13C−NMRスペクトルのメチレン
部位拡大図である。
【図8】 実施例2で得られた定序性ポリウレタンの
13C−NMRスペクトルである。
【図9】 図8の13C−NMRスペクトルのメチレン
部位拡大図である。
【図10】 実施例3で得られた定序性ポリウレタンの
13C−NMRスペクトルである。
【図11】 図10の13C−NMRスペクトルのメチ
レン部位拡大図である。
【図12】 実施例4で得られた定序性ポリウレタンの
13C−NMRスペクトルである。
【図13】 図12の13C−NMRスペクトルのメチ
レン部位拡大図である。
【図14】 実施例5で得られた定序性ポリウレタンの
13C−NMRスペクトルである。
【図15】 図14の13C−NMRスペクトルのメチ
レン部位拡大図である。
【図16】 比較例1で得られたポリウレタンの13
−NMRスペクトルである。
【図17】 図16の13C−NMRスペクトルのメチ
レン部位拡大図である。
【図18】 比較例2で得られたポリウレタンの13
−NMRスペクトルである。
【図19】 図18の13C−NMRスペクトルのメチ
レン部位拡大図である。
【図20】 参考比較例で得られたポリウレタンの13
C−NMRスペクトルである。
【図21】 図20の13C−NMRスペクトルのメチ
レン部位拡大図である。
【図22】 実施例、参考比較例にて得られたポリウレ
タンのDSC曲線である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西尾 昭徳 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 上田 充 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 竹内 和彦 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 浅井 道彦 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 Fターム(参考) 4J034 CA04 CB03 CC03 CC12 CC13 CC26 CC37 CC44 CC45 CC52 CC54 CC61 CC62 CC65 CC67 CC69 CD04 CD12 HA01 HA07 HC12 HC61 HC71 HC73 JA32 KA01 KB02 KC17 KD03 KE02 RA13 RA14

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジスタノキサン触媒の存在下に下式: 【化1】 (式中、R及びRは各々別個に水素又は低級アルキ
    ル基、nは1〜10の整数を意味する。)で表されるジ
    イソシアナート化合物と、下式: HO−R−OH (式中、Rは二価のアルコール残基を意味する。)で表
    されるジオール化合物とを重縮合するにあたり、ジイソ
    シアナート化合物に対して略1/2倍モルを越えるジオ
    ール化合物を実質的に一時に反応させる工程を含んでな
    る下式: 【化2】 【化3】 (式中、R、R、R及びnは前記に同じ。)で表さ
    れる頭−尾構造単位を有し、x/(x+y)が0.8〜1
    である定序性ポリウレタンの製造法。
  2. 【請求項2】 x/(x+y)が0.85〜1である請求
    項1の製造法。
  3. 【請求項3】 前記ジスタノキサン触媒が、下式: 【化4】 (式中、Rは有機基、Xはハロゲン又はイソチオシ
    アナート基を意味し、X はハロゲン、イソチオシアナ
    ート基又はOR基を意味し、Rは水素または有機基
    を意味する。)で表されるジスタノキサン触媒である請
    求項1の製造法。
  4. 【請求項4】 式(1)のジスタノキサン触媒において、
    がn−ブチル基であり、Xがソチオシアナート基
    であり、Xがイソチオシアナート基又は水酸基である
    請求項1の製造法。
  5. 【請求項5】 反応温度が−80〜40℃である請求項
    1〜3のいずれかの製造法。
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