JP4662217B2 - 定序性ポリウレタンウレア及びその製造法 - Google Patents
定序性ポリウレタンウレア及びその製造法 Download PDFInfo
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Description
【発明の分野】
本発明はモノマー構造単位の配列が規制された定序性ポリウレタンウレアに関する。また、本発明は非対称ジイソシアナートモノマーとアミノアルコールから頭−尾配列を優先的に含む定序性ポリウレタンウレアの製造法に関する。本発明の定序性重合体は配列異性重合体であり、光学材料や電気材料等の機能材料などに用いられる。
【0002】
【発明の背景】
モノマーの配列を規制することで得られる高分子(以下、定序性高分子という)は熱的、力学的性質はもちろん、非線形光学、液晶等などの物性においても特異的性質を有するものと期待されている。しかしながら、工業的に製造され広く利用されているポリウレア、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド等の重縮合系高分子においては、そのモノマー設計の困難さからモノマー分子の配列を制御して製造した高分子は例が少なく、合成法の確立に大きな関心が持たれている。
【0003】
定序性高分子を得るためのモノマーの分子設計としては、季刊化学総説18巻85−95(1993)に記載されているように、用いるモノマーの分子構造に方向性があることはもちろん、重合点となる官能基部位の反応性に十分な差を有する必要があるとされている。多官能イソシアナート化合物はその高反応性を利用して、ポリウレア、ポリウレタン、ポリアミド等の原料としてひろく工業的に利用されており、イソシアナート化合物をモノマーとした定序性高分子は工業的に非常に有用であると考えられる。
【0004】
一官能イソシアナート化合物の場合、イソシアナート基に結合する官能基によってその反応性が大きくことが知られている。例えば、脂肪族イソシアネートと芳香族イソシアネートとでは、トリエチルアミン触媒を用いることによりメタノールのような求核剤を使用した求核反応において300倍以上の反応性差を有するとの報告がある(M.Sato,J.Am.Chem.Soc.vol.82, p3893-3897,(1960))。この性質を利用してこれまでに我々は、非対称モノマーとしてp−イソシアナトベンジルイソシアナートとを用い、対称モノマーとしてエチレングリコールを用いることにより頭頭−尾尾および頭−尾配列単位を有する定序性ポリウレタンが合成できることを見出した(特開平11−171965、特願平2000−230631)。
【0005】
しかしながら、これまで用いた求核剤の官能基は水酸基のみであり、結合様式としてはウレタン結合に限られてきた。定序性ポリマーの機能の多様化を考慮するとその他の結合様式の導入が不可欠である。そこで、求核剤としてアミノ基に着目した。イソシアナート基とアミノ基との反応により得られるウレア結合は、焦電性や圧電性、さらには非線形光学特性などの性質を有することが知られており、定序性ポリマーを機能化する上で有用であると考えられる。そこで、分子内にアミノ基と水酸基を有するアミノアルコールをモノマーを用いた。このような構造を有する非対称モノマー同士から得られる定序性重合体についてはこれまで報告はない。
【0006】
本発明の目的は、異なる反応性を有する官能基を各分子内に有するジイソシアナートとアミノアルコールから新規な定序性ポリウレタンを製造することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、(i)分子内に2つのイソシアナート基を有し、かつ一方のイソシアナート基が芳香族環に直接結合し、他方のイソシアナート基が、この芳香環に結合した脂肪族性炭素原子に直接結合している非対称のジイソシアナートモノマーと、(ii)分子内にアミノ基と共に脂肪族性炭素原子に結合した水酸基を有するアミノアルコールモノマーとの反応性を詳細に検討した。この結果、このような化合物は、反応に関与する2つのイソシアナート基、並びにアミノアルコールのアミノ基及び水酸基に対応して反応性に明確な差が存在するとの知見をえ、このジイソシアナートとアミノアルコールとを所定の方法で反応させることにより定序性ポリマーが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本願の第1の発明は、下式:
【0009】
【化8】
(式中、R1及びR2は各々別個に水素原子又は低級アルキル基、nは1〜10の整数を意味する。)
で表されるジイソシアナート構造単位及び下式:
【0010】
【化9】
(式中、mは1〜10の整数、R3は二価の芳香族基又は二価の脂肪族基を意味し、R4及びR5は各々別個に水素原子又は低級アルキル基を意味する。)
で表されるアミノアルコール構造単位からなる分子量5,000〜100,000の共重合体であって、下式:
【0011】
【化10】
(式中、R1〜R5及びm、nは前記と同じものを意味する。)
で表される頭−尾配列単位、下式:
【0012】
【化11】
(式中、R1〜R5及びm、nは前記と同じものを意味する。)
で表される頭頭−尾尾配列単位、及び下式:
【0013】
【化12】
(式中、R1〜R5及びm、nは前記と同じものを意味する。)
で表される尾−頭配列単位を有し、x/(x+y+z)が0.7〜1である定序性ポリウレタンウレアの製造法を提供するものである。さらに、本発明は前記定序性ポリウレタンウレアの製造法を提供するものである。
【0014】
なお、ここで非対称なジイソシアナート化合物とアミノアルコール化合物が反応し得られる高分子重合体の配列単位のうち、下式(6):
【0015】
【化13】
(式中、R1〜R5及びm、nは前記と同じものを意味する。)
で表される配列(中央のアミノアルコール単位に対して反応性の高い芳香族性イソシアナート基が両端に結合する)を頭−頭配列単位と定義する。また、下式(7):
【0016】
【化14】
(式中、R1〜R5及びm、nは前記と同じものを意味する。)
で表される配列を尾−尾配列単位と定義する。さらに、下式(8)
【0017】
【化15】
(式中、R1〜R5及びm、nは前記と同じものを意味する。)
で表される配列を頭−尾配列単位と定義し、下式(9):
【0018】
【化16】
(式中、R1〜R5及びm、nは前記と同じものを意味する。)
で表される配列を尾−頭配列単位と定義する。
【0019】
【発明の詳細な開示】
本発明のポリウレタンウレアは式(1)、式(2)及び式(3)の配列単位から構成され、反応条件を選択することにより前記x/(x+y+z)が0.7〜1で式(1)の配列単位が優先するポリウレタンウレアが得られる。
【0020】
つぎに本発明の定序性ポリウレタンウレアのモノマー及びその重合法について詳細に説明する。
【0021】
(ジイソシアナート化合物)
本発明の定序性ポリウレタンウレアの原料であるジイソシアナートは、下式:
【0022】
【化17】
で表される。このジイソシアナートモノマーの特徴は、分子内に2つのイソシアナート基を有しており、一方のイソシアナート基が芳香環に直接結合し、他方のイソシアナート基は、芳香環に結合した炭素原子に結合している。このような構造により2つのイソシアナート基は反応性に大きな相異を示す。
【0023】
芳香環上のイソシアナート基及び炭素原子に結合したイソシアナート基はオル、メタ、パラ位のいずれの位置であってもよい。式(4)中、n=1〜10である。R1及びR2は水素原子、あるいはメチル基、エチル基等の低級アルキル基が好ましい。したがって、式(4)の化合物としては、例えば、イソシアナトベンジルイソシアナート、イソシアナトフェネチルイソシアナート、α−(イソシアナトフェニル)−エチルイソシアナート等のジイソシアナートが挙げられる。
【0024】
(アミノアルコール化合物)
本発明の定序性ポリウレタンウレアの他の原料であるアミノアルコールは、下式:
【0025】
【化18】
(式中、R3、R4、R5及びmは前記と同じものを意味する。)
で表される。このアミノアルコールの特徴は、分子内に芳香族性あるいは脂肪族性のアミノ基と、脂肪族性の水酸基との両方を有することからイソシアナート基に対する反応性に非対称性を有する点にある。
【0026】
このアミノアルコールが芳香族性のアミノ基を有する場合、即ち式(5)中のR3が芳香族基である場合を例示すると、フェニレン、ビフェニレンなどの芳香族炭化水素基、さらには2,2'−ジフェニレンプロパン類などの脂肪族と芳香族からなる炭化水素基、1,1,3,3,3,−ヘキサフルオロ−2,2'−ジフェニレンプロパンであるものなどが挙げられる。
【0027】
また、アミノアルコールが脂肪族性のアミノ基を有する場合、即ち式(5)中のR3が脂肪族基である場合を例示すると、ジメチレン基、ペンタメチレン基などの直鎖脂肪族炭化水素基、2−メチル−トリメチレン基などの枝分かれ脂肪族炭化水素基、3−オキサ−ペンタメチレン基などの含ヘテロ原子炭化水素基、シクロヘキシニレン基やステロイド骨格などの環式脂肪炭化水素基であるものなどが挙げられる。
【0028】
すなわちR3の具体例としては、例えば下記構造式:
【0029】
【化19】
にて示される脂肪族、芳香族およびヘテロ原子からなる炭化水素基などが挙げられる。
【0030】
一方、R4及びR5は、水素原子又はアルキル基である。かかるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基などの低級アルキル基が好ましい。
【0031】
したがって、前記式(5)で示される具体的なアミノアルコールとしては、例えば、アミノベンジルアルコール、アミノフェネチルアルコール、アミノシクロヘキサノール、アミノエタノール、アミノプロパノールなどのアミノアルコールが挙げられる。
【0032】
(頭−尾配列の優先する定序性ポリウレタンウレアの製造法)
つぎに、前記モノマーを用いて、x/(x+y+z)が0.7〜1、即ち式(1)の配列単位の優先するよう配列制御のなされた定序性ポリウレタンウレアの製法について詳細に説明する。
【0033】
アミノアルコールのモノマー量は、分子量を十分に伸長させるうえから、ジイソシアナートモノマーのイソシアナート官能基数と、アミノアルコールのアミノ基数及び水酸基数の和がほぼ等しく(等モル量)なるよう用いるのが好ましいが、これに限定されるものではない。ここで略等モル量とは、ジイソシアナート1モルあたり、アミノアルコールを0.8〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.1モル、より好ましくは0.99〜1.01モル用いることを意味する。
【0034】
頭−尾配列単位を主体とするポリウレタンウレアを製造するには、前記イソシアナート化合物とアミノアルコール化合物とを重縮合するにあたり、ジイソシアナート化合物に対し、略1/2倍モル〜略等モル量、好ましくは0.6〜1.1倍モルのアミノアルコール化合物を実質的に一時に反応させる。具体的には、例えば、所定量のアミノアルコールモノマーを一括して仕込むなどし、アミノアルコールモノマーのアミノ基とジイソシアナートモノマーの芳香族イソシアナート基が反応したアミノアルコールモノマーとジイソシアナートモノマーの(1:1)付加物が生成する反応条件を選択する。
【0035】
これに対して、アミノアルコールモノマーをジイソシアナートモノマーに滴下するなどすると、所望の配列単位の含有量は低下する。アミノアルコール化合物を「実質的に一時に反応させて」とは、反応の開始から完了に至る反応時間の実質上のすべてにわたり全部のジイソシアナートと全部のアミノアルコールとが反応系に存在することを意味する。すなわち、一方のジイソシアナートに対して反応すべきアミノアルコールを分割して段階的に反応系に加えるような手段を排除する主旨である。従ってつぎのような操作を含む。▲1▼反応系に両モノマー全部を一時に加える。▲2▼等モルずつのモノマーを同時に加える。▲3▼一方のモノマーの存在下、他方を速やかに加える。
【0036】
またかかる重縮合反応の反応温度は、反応選択性の向上を図るために反応温度をできるだけ低くするのが好ましい。また、低温での反応によりウレタン結合生成時に競合するイソシアナートの三量化反応などの副反応も抑制できる。従って、反応温度は、−40〜40℃、好ましくは−20〜30℃であり、より好ましくは−10〜0℃であり特に0℃付近で反応させるのが好ましい。また、反応温度は、反応開始から終了まで一定の温度で行なってもよく、初期に低温で行ないその後、温度上げてもよい。
【0037】
また、重合時間は、重合の進行を考慮に入れて、5〜48時間で行ない、好ましくは、10〜24時間で行なうのがよい。
【0038】
反応に用いられる溶媒は、得られるポリマーが高極性であるため、重合を効率的よく進行させるためには高極性溶媒を用いる必要がある。例えば、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、NMP(N−メチルピロリドン)等の高極性非プロトン溶媒を選択することが好ましいが、反応基質及び目的物が良好に溶解しさすればシクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、THF(テトラヒドロフラン)、ジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、プロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類などの溶媒であってもよく、これらを混合して用いてもよい。これら溶媒の使用量は、反応の選択性を高めるためモノマー基質をできる限り希釈することが好ましいが、反応を効率よく進行させること、反応操作を考慮に入れるとモノマー基質が0.1〜2mol/Lになるように調製するのがよい。
【0039】
イソシアナートに対するアミノ基の反応性は、水酸基の反応性よりも高いことからウレア結合を生成させるためには、一般に触媒を必要としないが、ウレタン結合生成を効率よく進行させるため、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの三級アルキルアミン類、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−エンなどの縮環アミン類、DBTL、テトラブチルスズ、トリブチルスズ酢酸エステルなどのアルキルスズ類等、公知のウレタン結合生成触媒を用いることができる。
【0040】
芳香族イソシアナートとアミノ基の反応性を優先的に起こさせ、芳香族イソシアナートと水酸基の反応性を抑えるため重合初期は、無触媒で行い、その後、効率的にウレタン結合生成を行うめに、より活性の高いアルキルスズ類及び縮環アミン類などの触媒を用いるのが好ましい。用いる触媒量としては、反応を効率よく進行させること及び反応操作を考慮してモノマー基質に対して0.1〜50mol%なるように用いるのが好ましい。
【0041】
以上のように、頭−尾配列を優先させる場合には、モノマーの各イソシアナート基に反応性の違いが必要であるほか、アミノアルコールモノマーのアミノ基のみが、ジイソシアナートモノマー中の芳香族イソシアナートに優先的に反応し、もう一方の水酸基が脂肪族イソシアナート基と優先的に反応する必要がある。従って、特開平11−171965号に示されているごとく頭−頭−尾−尾配列を優先的に生成するような逐次的な反応条件は好ましくない。即ち、まずアミノアルコールのアミノ基が芳香族性のイソシアナート基と反応して、ウレア結合を有する中間体(以下、中間体という)を形成し、この中間体の水酸基がジイソシアナートモノマーの他方の脂肪族性イソシアナート基と優先的に反応することが好ましいと考えられる。
【0042】
こうして得られた高分子の定序性に関する定量的検討は、高分子主鎖中の頭−頭配列、尾−尾配列、頭−尾配列、尾−頭配列それぞれに対応するモデル化合物4種を合成し、それら13C−NMRスペクトルと得られた高分子の13C−NMRスペクトルとを比較することで検討を行った。
【0043】
具体的には重水素化DMSO溶媒中600MHzの13C−NMRを用いたところ、4種のモデル化合物の4−アミノフェネチルアルコール由来のエチレン基のピークが、それぞれ異なることから配列の違いが13C−NMRにより識別可能なことが分かった。次に得られた高分子において同様に13C−NMRでのスペクトル分析を行ったところ、4−アミノフェネチルアルコール由来のエチレン基のピークは、重合方法により異なり、そのピーク位置はモデル化合物同様であることを確認した。また、得られた重合体の結晶性については、示差走査熱分析(DSC)を用い、窒素気流下室温から270℃まで10℃毎分で加温し、結晶部位の融解に伴う融点の違いを比較した。
【0044】
【実施例】
つぎに、本発明を実施例及び参考例により、さらに詳細に説明する。
【0045】
[参考例1] 頭−頭配列に対応したモデル化合物の合成
テトラヒドロフラン30mLにDBTL0.316g(0.5mmol)、4−アミノフェネチルアルコール0.686g(5.0mmol)、フェニルイソシアナート1.19g(10.0mmol)を加え、13時間還流した。溶媒留去後、DMF−トルエンで再結晶精製することにより結晶性固体を得た。ここで得られた生成物の13C−NMR測定を行った(図1)。その結果153.5、152.5ppmにカルボニル基(b)のピークが観察され、120〜140ppmに芳香環(a)のピークが観察され、64.8、34.1ppmにメチレン(c)のピークが観察されたことから、期待する頭−頭配列に対応した化合物であることを確認した。収量1.43g(収率76%)。
【0046】
[参考例2] 尾−尾配列に対応したモデル化合物の合成
テトラヒドロフラン30mLにDBTL0.316g(0.5mmol)、4−アミノフェネチルアルコール0.686g(5.0mmol)、ベンジルアルコール1.10g(17.7mmol)、ベンジルイソシアナート1.332g(10.0mmol)を加え、13時間還流した。溶媒留去後、DMF−トルエンで再結晶精製することにより結晶性固体を得た。ここで得られた生成物の13C−NMR測定を行った(図2)。その結果156.4、155.3ppmにカルボニル基(b)のピークが観察され、120〜140ppmに芳香環(a)のピークが観察され、64.6、34.3ppmにメチレン(c)のピークが観察され、43.7、42.7 ppmにベンジル位メチレン(d)のピークが観察されたことから、期待する尾−尾配列に対応した化合物であることを確認した。収量1.77g(収率88%)。
【0047】
[参考例3] 頭−尾配列に対応したモデル化合物の合成
テトラヒドロフラン30mLに4−アミノフェネチルアルコール0.686g(5.0mmol)を加えた。この溶液に対してフェニルイソシアナート0.596g(5.0mmol)を加え、室温で1時間反応させた。IRスペクトルにて1634cm−1の吸収を確認後、ここにベンジルイソシアナート0.666g(5.0mmol)とDBTL0.316g(0.5mmol)を加えて、15時間還流させた。溶媒留去後、酢酸エチルで再結晶精製することにより結晶性固体を得た。ここで得られた生成物の13C−NMR測定を行った(図3)。その結果156.4、152.5ppmにカルボニル基(b)のピークが観察され、120〜140ppmに芳香環(a)のピークが観察され、64.5、34.3ppmにメチレン(c)のピークが観察され、43.7ppmにベンジル位メチレン(d)のピークが観察されたことから、期待する尾−尾配列に対応した化合物であることを確認した。収量1.66g(収率85%)。
【0048】
[参考例4] 尾−頭配列に対応したモデル化合物の合成
テトラヒドロフラン30mLに4−アミノフェネチルアルコール0.686g(5.0mmol)を加えた。この溶液に対してベンジルイソシアナート0.666g(5.0mmol)を加え、1時間還流させた。IRスペクトルにて1630cm−1の吸収を確認後、ここにフェニルイソシアナート0.596g(5.0mmol)とDBTL0.316g(0.5mmol)を加えて、15時間還流させた。溶媒留去後、酢酸エチルで再結晶精製することにより、結晶性固体を得た。ここで得られた生成物の13C−NMR測定を行った(図4)。その結果155.2、153.5ppmにカルボニル基(c)のピークが観察され、120〜140ppmに芳香環(a)のピークが観察され、64.9、34.1ppmにメチレン(d)のピークが観察され、42.7ppmにベンジル位メチレン(b)のピークが観察されたことから、期待する尾−尾配列に対応した化合物であることを確認した。収量1.51g(収率78%)。
【0049】
[実施例1] 定序性ポリウレタンウレア(頭−尾配列)の合成
DMF2mLに溶解したp−イソシアナトベンジルイソシアナート0.523g(3.0mmol)に対してDMF7mLに溶解した4−アミノェネチルアルコール0.412g(5.0mmol)を30℃ですばやく添加し、1時間撹拌した。ここに、DBTL0.0947g(0.15mmol)を添加し、30℃で1日撹拌した。溶媒を留去して反応溶液を濃縮し、これをメタノールで再沈殿精製し、70℃で真空乾燥を1日行なうことにより化合物を得た。収量0.858g(収率92%)
【0050】
得られた高分子の13C−NMR(図5、図6)においてメチレン基(図5の構造式中cで表記)のシグナルは、頭-尾配列由来のシグナルが34.3と64.5 ppmに観測され、頭−頭、尾−尾、尾−頭配列由来のシグナルが34.3、64.6、64.8−64.9ppmに観測されることが分かった。さらに64.0から65.5ppmに現れるシグナル強度比からこの高分子はx/(x+y+z)が0.75、すなわち75%が頭−尾配列から成るポリウレタンウレアであることが分かった。分子量をGPCを用いてポリスチレンを基準物質にして求めたところ重量平均分子量は50000、分子量分布は2.8であった。
【0051】
[実施例2] 定序性ポリウレタンウレア(頭−尾配列)の合成
DMF2mLに溶解したp−イソシアナトベンジルイソシアナート0.523 g(3.0mmol)に対してDMF10mLに溶解した4−アミノフェネチルアルコール0.412g(5.0mmol)を0℃にすばやく添加し、3時間撹拌し、室温に戻してさらに1時間撹拌した。ここに、DBTL0.0947g(0.15 mmol)を添加し、30℃で1日撹拌した。溶媒を留去して反応溶液を濃縮し、これをメタノールで再沈殿精製し、70℃で真空乾燥を1日行なうことにより化合物を得た。収量0.834g(収率89%)
【0052】
得られた高分子の13C−NMR(図7、図8)においてメチレン基(図7の構造式中cで表記)のシグナルは、34.3、64.5ppmに現れ、頭−尾配列由来のシグナルのみが観測されることが分かった。さらに64.0から65.5ppmに現れるシグナル強度比からこの高分子は、ほぼ100%の頭−尾配列から成るポリウレタンウレアであることが分かった。分子量をGPCを用いてポリスチレンを基準物質にして求めたところ重量平均分子量は64000、分子量分布は2.9であった。
【0053】
[比較例1] ランダムポリマーの合成
DMF2mLに溶解した4−アミノフェネチルアルコール0.412g(3.0mmol)に対してDMF10mLに溶解したp−イソシアナトベンジルイソシアナート0.261g(1.5mmol)を室温でゆっくり滴下し、3時間撹拌した。さらに、p−イソシアナトベンジルイソシアナート0.261g(1.5mmol)とDBTL0.0947g(0.15mmol)を加え、30℃で1日撹拌した。溶媒を留去して反応溶液を濃縮し、これをメタノールで再沈殿精製し、70℃で真空乾燥を1日行なうことにより化合物を得た。収量0.896g(収率96%)
【0054】
得られた高分子の13C−NMR(図9、図10)においてメチレン基(図9の構造式中cで表記)のシグナルは、34.3、34.1、64.5、64.6、64.8、64.9ppmに現れ、頭−頭、尾−尾、頭−尾、尾−頭配列由来のシグナルがすべて観測されることが分かった。さらに64.0から65.5ppmに現れるシグナル強度比からこの高分子は、36%の頭−尾配列から成るポリウレタンウレアであることが分かった。分子量をGPCを用いてポリスチレンを基準物質にして求めたところ重量平均分子量は90000、分子量分布は2.9であった。
【0055】
(配列異性重合体の結晶性の確認)
実施例2、比較例1にて得られた重合体を示差走査熱分析(DSC)を用い、窒素気流下、室温から270℃まで10℃毎分で加温し、定序性の違いにより結晶の融解に伴う融点が顕著に異なることを確認した(図11)。
【0056】
【発明の効果】
モノマー構造単位の配列が規制された定序性ポリウレタンウレアはモノマー配列が規制されたポリマー構造を有し、特異な熱的、力学的性質を示し、液晶、非線形光学などの機能性材料などに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1で得られたモデル化合物の13C−NMRスペクトルである。
【図2】 参考例2で得られたモデル化合物の13C−NMRスペクトルである。
【図3】 参考例3で得られたモデル化合物の13C−NMRスペクトルである。
【図4】 参考例4で得られたモデル化合物の13C−NMRスペクトルである。
【図5】 実施例1で得られた定序性ポリウレタンウレアの13C−NMRスペクトルである。
【図6】 図5の13C−NMRスペクトルのメチレン部位拡大図である。
【図7】 実施例2で得られた定序性ポリウレタンウレアの13C−NMRスペクトルである。
【図8】 図7の13C−NMRスペクトルのメチレン部位拡大図である。
【図9】 比較例1で得られたランダムポリウレタンウレアの13C−NMRスペクトルである。
【図10】 図9の13C−NMRスペクトルのメチレン部位拡大図である。
【図11】 実施例2及び比較例1にて得られたポリウレタンウレアのDSC曲線である。
Claims (3)
- 下式:
で表されるジイソシアナート構造単位及び下式:
で表されるアミノアルコール構造単位からなる数平均分子量5,000〜100,000の共重合体であって、下式:
で表される頭−尾配列単位、下式:
で表される頭頭−尾尾配列単位、及び下式:
で表される尾−頭配列単位を有し、x/(x+y+z)が0.7〜1である定序性ポリウレタンウレア。 - 反応温度が、−40℃〜40℃である請求項2のポリウレタンウレアの製造法。
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