JP2002037661A - 低温焼成磁器組成物 - Google Patents

低温焼成磁器組成物

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JP2002037661A
JP2002037661A JP2000228009A JP2000228009A JP2002037661A JP 2002037661 A JP2002037661 A JP 2002037661A JP 2000228009 A JP2000228009 A JP 2000228009A JP 2000228009 A JP2000228009 A JP 2000228009A JP 2002037661 A JP2002037661 A JP 2002037661A
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crystal
temperature
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JP2000228009A
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Manabu Sato
学 佐藤
Eiji Kodera
英司 小寺
Kazuyuki Fujii
一幸 藤井
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉛成分を添加することなく1000℃以下の
低温焼成が可能で、かつ、結晶化ガラスを用いることな
く優れた高周波特性(特には、優れた周波数の温度特
性)を発揮する低温焼成磁器組成物を提供すること。 【構成】 Sr2MgSi27結晶を主結晶として含有
するとともに、チタン酸塩を副成分として含有する低温
焼成磁器組成物とする。Sr2MgSi27結晶に対す
るチタン酸塩の質量比を0.05〜0.5とするとよ
い。Sr2MgSi27結晶は、仮焼粉末としたものを
原料粉末として用いるのがよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、1000℃以下で焼成
が可能で、高周波領域において優れた誘電特性(特に
は、優れた周波数の温度特性)を有する低温焼成磁器組
成物を有する低温焼成磁器組成物に関する。Ag、Cu
等の導体抵抗の低い金属を配線層に用いた電子部品、通
信用部品、配線基板等の絶縁体として好適なものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年の通信機器等の小型化の要請に対応
するためには、用いる高周波回路基板も小型化する必要
がある。そのため、コンデンサ、インダクタ等の受動回
路素子を高周波回路基板の内部に内蔵することが検討さ
れている。高周波回路基板の小型のためには、誘電率が
7〜10程度の絶縁体を用いることが有用である。
【0003】通信機器には、小型化以外にも、省電力化
の要請がある。そのため、用いる高周波回路基板も省電
力化に対応したものにする必要がある。そこで、電気信
号の伝送損失を低減するため、より導体抵抗の低いA
g、Cu等の金属からなる配線と1000℃以下の焼成
温度で同時焼成可能な低温焼成配線基板が種々検討され
ている。
【0004】通信機器は、低温から高温まで安定した性
能を発揮することが要求される。そのため、用いる高周
波回路基板も、広い温度域でも安定した性能を発揮する
必要がある。そこで、優れた周波数の温度特性を有する
低温焼成磁器組成物が種々検討されている。
【0005】1000℃以下で焼成可能な低温焼成磁器
組成物としては、以下のようなものを挙げることができ
る。例えば、フォルステライト等の結晶とチタニア粒子
とを含む低温焼成磁器組成物が特開平4−82297号
公報に開示されている。また、チタン酸ストロンチウム
に低温焼成化を促進するアルカリ金属を含むガラスフリ
ットを添加した低温焼成磁器組成物が特開平5−781
65号公報に開示されている。また、メルウィナイト、
モンティセライト、カルシウム珪酸塩等の結晶と、低温
焼成化を促進するアルカリ金属やアルカリ土類金属等と
を含む結晶化ガラスからなる低温焼成磁器組成物が特開
2000−119041号公報に開示されている。尚、
これまでにSr2MgSi27結晶を含有する低温焼成
磁器組成物の高周波回路基板用途の使用は知られていな
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】1000℃以下の低温
焼成によって特定結晶を析出させて、低温焼成磁器組成
物の高周波特性を向上する方法は、出発原料として結晶
化ガラスを用いている。そのため、ガラス原料の粉砕状
態や不純物等の影響により、結晶化の度合いにバラツキ
が発生しやすく、安定した特性の配線基板が得難い問題
がある。また、結晶化の度合いのバラツキに起因する配
線基板の焼成収縮の不均一による反り不良の問題もあ
る。
【0007】一方、誘電体フィラーに結晶化しないガラ
スフリットを添加した低温焼成磁器組成物を用いる方法
は、低温焼成化のためにガラス成分にPbOを添加する
ものが多い。鉛成分の添加は、環境への影響を考慮して
避けることが望ましい。
【0008】本発明の目的は、鉛成分を添加しなくても
1000℃以下で焼成が可能で、かつ、結晶化ガラスを
用いることなく優れた高周波特性(特には、優れた周波
数の温度特性)を発揮する低温焼成磁器組成物を提供す
ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の低温焼成磁器組
成物は、Sr2MgSi27結晶を主結晶として含有す
るとともに、チタン酸塩を副成分として含有する低温焼
成磁器組成物を要旨とする。Sr2MgSi27結晶を
主結晶として含有することにより、高周波領域において
優れた誘電特性を発揮することができるとともに、チタ
ン酸塩を副成分として含有することにより、周波数の温
度特性の変動を0に近づけたり、誘電率を7〜10の範
囲に容易に調整することができる。本発明の低温焼成磁
器組成物は、好ましくは、Sr2MgSi27結晶に対
するチタン酸塩の質量比を0.05〜0.5の範囲にす
るとよい。τf(周波数温度特性)をより小さく抑えた
低温焼成磁器組成物を得ることができるからである。S
2MgSi27結晶に対するチタン酸塩の質量比は、
更には0.1〜0.4、特には0.1〜0.2の範囲に
するとよい。更に好ましくは、本発明の低温焼成磁器組
成物のτf(周波数温度特性)を±50ppm/℃、更
には±30ppm/℃、特には±10ppm/℃にまで
抑えるとよい。高周波回路基板用途に好適な低温焼成磁
器組成物が得られるからである。
【0010】Sr2MgSi27結晶は、高周波領域に
おける誘電特性に優れ、熱膨張係数が大きい。そのた
め、高周波回路基板の熱膨張係数をPCボード熱膨張係
数に近づけることができる。熱膨張係数差に起因する応
力集中を効果的に緩和できるため、熱サイクル試験での
ハンダ実装部の破損を防止することができる。PCボー
ド上に直接面実装することの多い高周波回路基板用途に
好適である。
【0011】Sr2MgSi27結晶の融点は1560
℃と高いため、1000℃以下の焼成において安定に存
在することができる。本発明の低温焼成磁器組成物は、
出発原料にはガラス粉末を用いないで、焼成によりSr
2MgSi27結晶を主結晶として生成する仮焼粉末を
用いるとよい。この仮焼粉末に焼結助剤を少量添加する
ことにより、ガラス粉末を用いた場合に発生する基板の
反り等の諸問題を解決できる。この仮焼粉末と焼結助剤
に有機バインダ等を添加して、公知の成形方法を用いて
成形体にする。成形体は、ドクターブレード法を用いて
グリーンシート化したり、プレス法を用いてブロック体
にすることができる。これら成形体を1000℃以下で
焼成することで、目的とする低温焼成磁器組成物を得
る。
【0012】ここにいう「仮焼粉末」とは、焼成により
Sr2MgSi27結晶を主結晶として生成する所定の
成分を含有する原料粉末を1000〜1200℃、好ま
しくは1050〜1200、より好ましくは1100〜
1150℃の範囲で焼成し、急冷(1分間に20℃以上
降温させること)せずに室温まで冷却したものをいう。
1000℃以下の焼成によりSr2MgSi27結晶を
主結晶として生成するものであれば、仮焼粉末の組成に
制限はないが、Sr2MgSi27結晶、SrSiO3
よびSr2SiO4の少なくとも一種を含有するとよい。
1000℃以下の焼成によりSr2MgSi27結晶を
主結晶として効率よく生成することができるからであ
る。
【0013】チタン酸塩については仮焼粉末を用いるこ
とは必須ではないが、仮焼粉末を用いれば、粒径を大き
くして1000℃以下の焼成におけるチタン酸塩の分解
を最小限に抑えることができる。ここにいう「仮焼粉
末」とは、焼成により所定のチタン酸塩となる所定の成
分を含有する原料粉末または所定のチタン酸塩原料粉末
を1050〜1300℃、好ましくは1050〜125
0℃、より好ましくは1100〜1200℃で焼成し、
急冷(1分間に20℃以上降温させること)せずに室温
まで冷却したものをいう。
【0014】ここにいう「チタン酸塩」としては、チタ
ン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸等
が挙げられる。これらの金属元素の一部をSn、Nd、
Ca、Ba、Mg等の他の元素で置換してたものであっ
てもよい。特には、チタン酸ストロンチウムを用いるの
がよい。Sr2MgSi27結晶に対して、正の周波数
の温度係数を有するチタン酸ストロンチウムを添加する
ことで、焼結性を大きく低下することなく、誘電特性の
温度ドリフトを効果的に防止した優れた周波数温度特性
を有する低温焼成磁器組成物を得ることができる。
【0015】本発明の低温焼成磁器組成物は、Sr2
gSi27結晶以外に、副結晶としてSiO2系結晶
(特にはα−石英、クリストバライト)を60質量%以
下(好ましくは10〜50質量%、更に好ましくは10
〜30質量%、特には10〜25質量%)含有するとよ
い。SiO2系結晶を同時に含むことで、低温焼成磁器
組成物の誘電特性の安定化を効果的に促進できる。Si
2系結晶は、SiO2がよい。特には、α−石英がよ
い。SiO2の添加により、Sr2MgSi27結晶の低
温焼成化が促進されるため、上記のアルカリ金属等の焼
結助剤成分の添加量を最小限に抑えて、誘電特性の低下
を効果的に防止することができる。
【0016】焼結助剤は、B成分やアルカリ金属成分を
用いるのがよい。Sr2MgSi2 7結晶からなる主結
晶相の析出を阻害することなく焼結性を向上できるから
である。添加形態としては、B23やM2O(MはL
i、Na、K等のアルカリ金属)等の酸化物や、B成分
やアルカリ金属成分を含むガラス、又はこれらの組合わ
せがよい。湿度等の環境面の影響を回避したり、有機バ
インダを添加した際に良好な成形体を得るには、ガラス
として添加するのがよい。
【0017】本発明の低温焼成磁器組成物は、Sr2
gSi27結晶100質量%に対して、チタン酸ストロ
ンチウム等のチタン酸塩を5〜50質量%(好ましくは
5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%、更
には10〜20質量%)含有するとよい。焼結性を阻害
することなく誘電特性に優れた低温焼成磁器組成物が得
られるからである。本発明の低温焼成磁器組成物は、さ
らに、ホウ素成分(B 23換算)を0〜10質量%(好
ましくは0.5〜5質量%、より好ましくは1〜3質量
%)、アルカリ金属成分(M2O換算(Mはアルカリ金
属を示す。))を0〜10質量%(好ましくは0.5〜
7質量%、より好ましくは1〜6質量%)、マンガン成
分(MnO2換算)を0〜10質量%(好ましくは0.
1〜5質量%、更に好ましくは0.5〜3質量%、特に
は1〜2質量%)、各々含有するとよい。低温焼結性、
温度特性、機械的強度等の諸特性を向上することができ
るからである。尚、SiO2系結晶、ホウ素成分、アル
カリ金属成分およびマンガン成分の少なくとも一種を含
有する場合は、これらの含有量の合計が0質量%になる
場合を除く。これらの成分の添加の効果を以下に分説す
る。
【0018】アルカリ金属成分としては、Li成分、K
成分、Na成分を用いるとよい。焼成温度の更なる低温
化、緻密化を効果的に図ることができる。本発明の低温
焼成磁器組成物は、アルカリ金属成分をM2O(Mはア
ルカリ金属を示す。)換算で10質量%以下含有すると
よい。好ましくは、Li成分をLi2O換算で10質量
%以下(好ましくは1〜5質量%以下、より好ましくは
2〜3質量%)、K成分をK2O換算で5質量%以下
(好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは1〜2
質量%)、Na成分をNa2O換算で5質量%以下(好
ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは1〜2質量
%)含有するとよい。特には、Li成分を必須にするの
がよい。本発明の低温焼成磁器組成物の緻密化と低温焼
成化を一層高めることができる。また、Li2O等のL
i成分と他のアルカリ金属成分(例えば、Na2OやK2
O)を併用することで、アルカリ混合効果による耐絶縁
性の向上を図ることができる。アルカリ金属成分の含有
量が0.1質量%未満の場合、焼結体の緻密化を効果的
には促進できない。また、アルカリ金属成分の含有量が
10質量%を越えると、配線基板を作製した際に耐絶縁
性が低下しやすくなる。
【0019】本発明の低温焼成磁器組成物は、特にアル
カリ金属成分の種類及びその組成比を最適化すること
で、配線基板に用いた場合において、絶縁体層の誘電特
性の一層の向上を図ることができる。尚、アルカリ金属
成分の酸化物換算における含有量の総計は10質量%以
下であれば誘電損失を大きく低下させることはない。
【0020】アルカリ金属成分の酸化物換算における含
有量(10質量%以下)のうち、Na成分及びK成分の
合計の含有量を5質量%以下に規定することで、本発明
の低温焼成磁器組成物の緻密化を一層高めることができ
る。この含有量が5質量%を越えると、耐絶縁性が低下
していく。Na成分及びK成分の合計の酸化物換算にお
ける含有量のより好ましい範囲は、0.1〜3質量%、
更に好ましくは0.1〜2質量%である。
【0021】本発明の低温焼成磁器組成物は、他の成分
としては、MnO2等のマンガン成分を酸化物換算(M
nO2換算)にて10質量%以下(好ましくは0.1〜
5質量%、更に好ましくは0.5〜3質量%、特には1
〜2質量%)含有するとよい。低温焼成磁器組成物の誘
電損失や温度特性の低下を効果的に抑制できる。また、
成形体からの脱バインダー性を良好にできるため、残存
炭素の影響を受け難くすることができる。
【0022】本発明の低温焼成磁器組成物は、焼成によ
りSr2MgSi27結晶を主結晶として生成する仮焼
粉末100質量%に対して、チタン酸ストロンチウム等
のチタン酸塩を5〜50質量%(好ましくは5〜40質
量%、より好ましくは10〜30質量%、更には10〜
20質量%)と、ホウ素成分(B23換算)を0〜10
質量%(好ましくは0.5〜5質量%、より好ましくは
1〜3質量%)と、アルカリ金属成分(M2O換算(M
はアルカリ金属を示す。))を0〜10質量%(好まし
くは0.5〜7質量%、より好ましくは1〜6質量%)
と、マンガン成分(MnO2換算)を0〜10質量%
(好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.5
〜3質量%、特には1〜2質量%)と、を混合、成形し
てなる成形体を1000℃以下で焼成することによって
得ることができる。各成分の効果は既に説明したので、
ここでは省略する。尚、SiO2系結晶、ホウ素成分、
アルカリ金属成分およびマンガン成分の少なくとも一種
を含有する場合は、これらの含有量の合計が0質量%に
なる場合を除く。
【0023】この仮焼粉末と焼結助剤に有機バインダ等
を添加した後、公知の成形方法を用いて成形体にする。
成形体は、ドクターブレード法を用いてグリーンシート
化したり、プレス法を用いてブロック体にすることがで
きる。これら成形体を1000℃以下で焼成すること
で、目的とする低温焼成磁器組成物を得る。本発明の低
温焼成磁器組成物は、他の成分としては、MnO2等の
マンガン成分を酸化物換算(MnO2換算)にて10質
量%以下(好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましく
は0.5〜3質量%、特には1〜2質量%)含有すると
よい。特には、MnO2として添加するのがよい。マン
ガン成分の添加の効果については既に説明したので、こ
こでは省略する。
【0024】本発明の低温焼成磁器組成物の焼成温度と
しては、融点が約960℃の銀を配線層に用いて同時焼
成する場合においては、920℃以下(好ましくは90
0℃以下、更には880℃以下)とするのがよい。焼成
温度を920℃以下に低くできるように組成を調整する
ことで、同時焼成の際に発生する銀からなる配線層の過
焼結を効果的に防止することができるからである。
【0025】
【実施例】本発明の低温焼成磁器組成物およびその製造
方法を以下に実施例を用いて説明する。
【0026】(1)焼成によりSr2MgSi27結晶
を析出する仮焼粉末の作製。 SrCO3粉末、SiO2粉末、MgO粉末を酸化物換算
にてそれぞれ2:2:1のモル比の組成になるように混
合した後、1100〜1150℃で仮焼する。得られた
仮焼粉末のX線回折ピークを取ると、Sr2MgSi2
7結晶とSrSiO3結晶とSr2SiO4結晶の各ピーク
が観察された。
【0027】(2)SrTiO3仮焼粉末の作製。 SrTiO3原料粉末を1100〜1200℃で仮焼し
て、SrTiO3仮焼粉末を得る。
【0028】(3)低温焼成磁器組成物の作製及び評
価。 焼成によりSr2MgSi27結晶を析出する仮焼粉末
に、SrTiO3仮焼粉末、市販のSrTiO3、Li2
O、Na2O、K2O、B23、その他の成分を、表1に
示す組成になるように混合する。この混合粉末にアクリ
ル系バインダ、可塑剤、分散剤、トルエン、メチルエチ
ルケトンを添加してスラリを調製する。このスラリを公
知のドクターブレード法を用いて厚み120μmのグリ
ーンシートに成形する。
【0029】このグリーンシートを圧着して積層体とす
る。尚、この積層体の厚みは、焼成後の厚みが1mmに
なるように調整してある。この積層体を250℃で脱バ
インダして脱脂体とする。この脱脂体を表2に示すよう
に860〜960℃で焼成して、目的とする低温焼成磁
器組成物を得る。
【0030】この低温焼成磁器組成物を以下の項目につ
いて評価する。尚、試験片の寸法は、からについて
は□65mm×t0.635mm、については□2.
5mm×L15mmに加工して調整してある。結果を表
2に示す。 .誘電率ε:誘電体共振器摂動法(@3GHz)にて
測定する。 .tanδ:誘電体共振器摂動法(@3GHz)にて
測定する。 .τf:空洞共振器法にて恒温槽(−40〜+85℃)を
用いて測定する。 .TCE:JIS R 1618に準ずる。温度範囲
は30〜400℃。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】結果より、7〜10程度の誘電率εを有す
る低温焼成磁器組成物が得られることがわかる。熱膨張
係数は8〜10程度で、従来のアルミナ基板並みの値が
得られている。誘電特性の温度係数を±50ppm/℃
(好ましくは±30ppm/℃、特には±10ppm/
℃)に調整したものは、高周波回路基板用途に極めて有
用なものである。
【0034】試料番号21〜試料番号22は、マンガン
成分以外のNb成分、Cr成分、Sn成分をそれぞれ添
加した例である。結果より、本実施例で用いた有機バイ
ンダーでは、マンガン成分以外のこれらの成分を添加し
た組成系では脱バインダー不良が見受けられる。これに
対して、マンガン成分を添加した組成系は、マンガン成
分以外のこれら成分を添加した組成系と比較して、脱バ
インダー性に優れることがわかる。このように、マンガ
ン成分を添加した組成系は、焼結体中の残留炭素量を減
らせるため、より高い信頼性が得られる。また、特別に
脱バインダ性に極めて優れる有機バインダーを用いなけ
ればならないことはないため、有機バインダーの選択の
幅が広いという利点がある。尚、マンガン成分以外のN
b成分、Cr成分、Sn成分をそれぞれ添加した組成系
でも、より脱バインダ性に優れる有機バインダーを用い
れば、脱バインダー性を良好にすることは可能である。
【0035】
【発明の効果】本発明の低温焼成磁器組成物は、Sr2
MgSi27結晶を主結晶として含有するとともに、チ
タン酸塩を副成分として含有することで、優れた高周波
特性(特には、優れた周波数の温度特性)を発揮する低
温焼成磁器組成物を提供することができる。また、出発
原料として結晶化ガラスを用いないため、ガラス原料の
粉砕状態や不純物等の影響により、結晶化の度合いにバ
ラツキが発生することのない低温焼成磁器組成物が得ら
れる。このため、結晶化の度合いにバラツキによる焼成
収縮の不均一により発生する、配線基板の反りの問題を
解決できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G030 AA02 AA03 AA04 AA07 AA09 AA16 AA25 AA35 AA37 BA09 CA01 GA09 5E001 AB01 AB03 AC09 AE00 AE01 AE04 AH05 AH09 AJ02 5G303 AA05 AA07 AB05 AB10 AB15 BA12 CA01 CB02 CB17 CB18 CB30 CB32 CB35

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Sr2MgSi27結晶を主結晶として
    含有するとともに、チタン酸塩を副成分として含有する
    ことを特徴とする低温焼成磁器組成物。
  2. 【請求項2】 Sr2MgSi27結晶に対するチタン
    酸塩の質量比が0.05〜0.5であることを特徴とす
    る請求項1に記載の低温焼成磁器組成物。
  3. 【請求項3】 SiO2系結晶、ホウ素成分、アルカリ
    金属成分およびマンガン成分の少なくとも一種を含有す
    ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の低温
    焼成磁器組成物。
  4. 【請求項4】 Sr2MgSi27結晶100質量%に
    対して、 5〜50質量%のチタン酸塩と、 0〜60質量%のSiO2系結晶と、 0〜10質量%のB23に換算したホウ素成分と、 0〜10質量%のM2O(Mはアルカリ金属を示す。)
    に換算したアルカリ金属成分と、 0〜10質量%のMnO2に換算したマンガン成分と、
    を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のい
    ずれかに記載の低温焼成磁器組成物。
  5. 【請求項5】 焼成によりSr2MgSi27結晶を主
    結晶として生成する仮焼粉末を含有する成形体を焼成し
    てなる請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の低温焼
    成磁器組成物。
  6. 【請求項6】 焼成によりSr2MgSi27結晶を主
    結晶として生成する仮焼粉末100質量%に対して、 5〜50質量%のチタン酸塩と、 0〜60質量%のSiO2系結晶と、 0〜10質量%のB23に換算したホウ素成分と、 0〜10質量%のM2O(Mはアルカリ金属を示す。)
    に換算したアルカリ金属成分と、 0〜10質量%のMnO2に換算したマンガン成分と、
    を含有する成形体を焼成してなることを特徴とする請求
    項5に記載の低温焼成磁器組成物。
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