JP2002037575A - エレベータ扉 - Google Patents

エレベータ扉

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビル火災発生時のエレベータ扉の扉本体の変
形を抑え、エレベータ扉の脱落を防止することができ、
昇降路内に煙や火炎の侵入を防止する。 【解決手段】 扉本体を乗場側に面する表面板11と、
昇降路側に面する裏板12と、表面板11と裏板12と
を補強する補強部材13とから構成し、火災発生時の高
温条件下に表面板または補強部材に対する拘束力を消失
可能な結合部材15に前記裏板を前記表面板または補強
部材に対して結合するようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エレベータ乗場の
エレベータ扉に係り、特に、建物内に火災が発生した場
合に、熱による扉の変形を少なくし、昇降路内への煙や
火炎の侵入を防止できるようにしたエレベータ扉に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ビル火災が発生すると、エレベータの昇
降路が煙や火炎の通路になり、上の階に次々と延焼して
火災の被害を一層大きくする場合がある。昇降路に煙や
火炎が侵入していくのは、エレベータの乗場にあるエレ
ベータ扉が熱を受けて大きく変形して脱落し、乗降口が
煙の導入口となるからである。
【0003】図5は、エレベータ乗場において、熱によ
り大きく変形した従来のエレベータ扉を示す。図5にお
いて、1は三方枠で、壁2に固定されている。3がエレ
ベータ扉である。エレベータ扉3の図において左側が昇
降路で、右側が乗場である。4は壁3の出入口上辺部に
固定されたヘッダーケース、5は乗降床6に固定された
敷居である。ハンガーローラ7は、エレベータ扉3の上
端部に取り付けられたハンガー8によって支持されてい
る。他方、ヘッダケース4には、前記ハンガーローラ7
が転動可能に係合するハンガーレール9が取り付けられ
ており、ハンガーローラ7がハンガーレール9を転動し
ながらエレベータ扉3が開閉するようになっている。エ
レベータ扉3の下端部には、敷居5の案内溝を摺動する
ガイドシュー10が取り付けられている。
【0004】図6に示すように、エレベータ扉3の扉本
体は、意匠面を構成する表面板11と、裏板12と、こ
れらを補強する補強材13から構成されている。
【0005】建物内に火災が発生した場合、エレベータ
扉3は熱を受けると、図5、図6に示すように湾曲する
ように次第に変形しはじめ、さらに熱にさらされていく
と、ハンガーレール9や敷居5から脱落するに至り、開
口した乗場口から火炎や煙が昇降路に侵入し、他階に延
焼していく危険な事態に至る。
【0006】このような事態を防止する対策としては、
特公平7−42066号に開示されているように、裏板
12と表面板11および補強部材13との接合部に上下
方向への摺動を許容する長穴を利用することで、裏板1
2と表面板11および補強部材13との間の熱による伸
びの差を吸収することにより、変形量を抑え、エレベー
タ扉3の脱落の防止を図ったものが知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術のエレベータ扉では、裏板12と、表面板11お
よび補強部材との間の上下方向の伸びの差を吸収するこ
とはできても、扉奥行き方向および左右方向には拘束さ
れているため、有る程度の変形は抑えられるにしても、
扉本体の変形を抑えるには不十分であった。
【0008】そこで、本発明の目的は、前記従来技術の
有する問題点を解消し、裏板と表面板および補強部材の
間に熱膨張差が生じた際には、これらの部材には全方向
へ拘束がなくなるように構成することにより、扉本体の
変形を抑え、エレベータ扉の脱落を防止することがで
き、昇降路内に煙や火炎の侵入を防止し、以って火災の
延焼を防止するエレベータ扉を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載した発明は、エレベータ乗場の出
入口を開閉するエレベータ扉において、前記扉本体を乗
場側に面する表面板と、昇降路側に面する裏板と、前記
表面板と裏板とを補強する補強部材とから構成し、火災
発生時の高温条件下に前記表面板または補強部材に対す
る拘束力を消失可能な結合部材により前記裏板を前記表
面板または補強部材に対して結合するようにしたことを
特徴とするものである。
【0010】この請求項1に係る発明によれば、建物内
の火災によって直接高熱にさらされる表板や補強部材
と、裏板との間には熱による伸びの差が大きくなると、
扉本体が変形しようとするが、高温により結合部材が破
断したり溶融したりして拘束力を消失するため、表面板
と補強部材は特定方向に拘束されることなく伸びた状態
になり、これにより、扉本体の全体の変形を防止するこ
とができる。
【0011】本発明の好適な実施形態によれば、前記結
合部材は、扉本体の一端部側を結合する鋼材料製のスチ
ールリベットと、扉本体の残余の部分を結合し前記結合
部材として用いられる低融点または低強度のアルミ材料
製のアルミリベットとが用いられる。これにより、スチ
ールリベットは、アルミリベットが外れても表面板や補
強板を保持し、これらの部材の脱落を阻止する。
【0012】また、前記結合部材は、前記裏板の結合部
位に形成されたリベット穴よりも小さな頭を有するリベ
ットと、このリベットの頭と裏板の間に介装される樹脂
製またはゴム製のワシャーを用いることもでき、また、
ボルトと、このボルトと対をなす樹脂製またはゴム製の
ナットを用いてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるエレベータ扉
の一実施形態について、添付の図面を参照しながら説明
する。図1は、本実施の形態によるエレベータ扉の扉本
体10の平面図で、図2は、扉本体10の断面図であ
る。この扉本体10は、表面板11、裏板12、補強部
材13からなり、これらは2種類のリベット14、15
を用いて結合されている。表面板11は、エレベータ乗
場側に面する化粧面を構成する部材で、扉本体10をエ
レベータ乗場の出入口に取り付けると、裏板13は昇降
路側に面するようになっている。
【0014】図1に示すように、リベット14(図1に
おいて白抜きの○で示す)は、表面板11、裏板12、
補強部材13といった金属製の板部材を締結するのに一
般に使用されている鋼材を材料とするスチールリベット
が用いられている。この実施形態では、スチールリベッ
ト14は、扉本体10の上端部側の結合箇所に用いられ
ている。これに対して、リベット15は(図1では●で
示す)は、融点が低く、かつ、せん断強度の弱いアルミ
ニウム系の材料からなるアルミリベットで、火災が発生
し高温にさらされると溶融し、また、一定限度以上のせ
ん断応力が加わると、破断するようになっている。
【0015】このように扉本体10では、表面板11と
補強部材13が裏板12とアルミリベット15によって
結合されているため、火災が建物内で発生した場合に
は、アルミリベット15は表面板11、補強部材13と
裏板12の間の拘束を無くすようにすることができる。
すなわち、建物内で火災が発生した場合、扉本体10の
表面板11や補強部材13は火炎や高熱に直接さらされ
るが、裏板12の方は表面板11に遮蔽された形になっ
ているため、表面板11や補強部材13は加熱されて伸
びが大きいのに比べて、裏板は伸びる度合が小さい。こ
のため、表面板11および補強部材13と、裏板12と
では、熱による伸びの差が著しくなる。この伸びの差に
よって、アルミリベット15にはせん断応力が働き、こ
のせん断応力は熱膨張の差が大きくなるにしたがって増
大する。そして、多数のアルミリベット15のうち、せ
ん断応力が一定の限界を越えたものや、熱で溶融し出し
て強度の弱くなったものから破断し初める。このように
して拘束力を消失したアルミリベット15が次第に増え
ていくと、表面板11と補強部材13には、裏板12に
よる拘束が無くなっていき、表面板11と補強部材13
は特定方向に拘束されることなく伸びた状態になり、こ
れにより、扉本体10の全体の変形を防止することが可
能となる。
【0016】したがって、扉本体10の変形が生じて
も、アルミリベット15が外れるだけで、ハンガーレー
ルや敷居から扉本体10が外れて脱落することがないの
で、そこから火炎や煙が昇降路に侵入するのを防止する
ことが可能となる。また、扉本体10の上端部は、通常
のスチールリベット14で結合されているために、アル
ミリベット15がすべて外れても、表面板11と補強板
13はスチールリベット14によって保持されて落下す
る虞はない。
【0017】次に、図3並びに図4は、本発明の他の実
施形態による扉本体10の断面を示す。
【0018】図3は、アルミリベット15の代わりに、
スチールリベット16と樹脂またはゴム製のワシャー1
7を組み合わせた実施の形態である。この場合、裏板1
6のリベット穴18の径は、スチールリベット16の頭
部の直径よりも大きくなっており、スチールリベット1
6の頭部と裏板16の間にワシャー17が介装されてい
る。
【0019】したがって、火災発生時の高温条件下で
は、ワシャー17が溶けて脱落するため、スチールリベ
ット14は拘束力をなくすので、表面板11と補強部材
13は特定方向に拘束されることなく伸びた状態にな
り、これにより、扉本体10の全体の変形を防止するこ
とが可能となる。
【0020】図4は、アルミリベット15の代わりに、
ボルト19と、樹脂製またはゴム製のナット20を組み
合わせた実施形態である。このナット20は、高温条件
下では、溶けてしまうため、図3の実施形態と同様に、
ボルト19による拘束がなくなるため、扉本体10の変
形を防止することができる。
【0021】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、裏板と表面板および補強部材の間に熱膨張差
が生じた際には、これらの部材には全方向へ拘束がなく
なるように構成することにより、扉本体の変形を抑え、
エレベータ扉の脱落を防止することができ、昇降路内に
煙や火炎の侵入を防止し、以って火災の延焼防止に寄与
するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるエレベータ扉の一実施形態による
扉本体の平面図。
【図2】同実施形態によるエレベータ扉の扉本体の断面
図。
【図3】他の実施形態によるエレベータ扉の扉本体の断
面図。
【図4】さらに他の他の実施形態によるエレベータ扉の
扉本体の断面図。
【図5】火災発生時に変形した従来のエレベータ扉を示
す縦断面図。
【図6】火災発生時に変形した従来のエレベータ扉を示
す横断面図。
【符号の説明】 10 扉本体 11 表面板 12 裏板 13 補強部材 14 スチールリベット 15 アルミリベット 17 ワシャー 19 ナット
フロントページの続き (72)発明者 伊 藤 尚 登 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中事業所内 Fターム(参考) 3F307 AA02 BA07 CA02 CA03 CA06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エレベータ乗場の出入口を開閉するエレベ
    ータ扉において、前記扉本体を乗場側に面する表面板
    と、昇降路側に面する裏板と、前記表面板と裏板とを補
    強する補強部材とから構成し、火災発生時の高温条件下
    に前記表面板または補強部材に対する拘束力を消失可能
    な結合部材により前記裏板を前記表面板または補強部材
    に対して結合するようにしたことを特徴とするエレベー
    タ扉。
  2. 【請求項2】前記結合部材は、扉本体の一端部側を結合
    する鋼材料製のスチールリベットと、扉本体の残余の部
    分を結合し前記結合部材として用いられる低融点または
    低強度のアルミ材料製のアルミリベットとからなること
    を特徴とする請求項1に記載のエレベータ扉。
  3. 【請求項3】前記結合部材は、前記裏板の結合部位に形
    成されたリベット穴よりも小さな頭を有するリベット
    と、このリベットの頭と裏板の間に介装される樹脂製ま
    たはゴム製のワシャーからなることを特徴とする請求項
    2に記載のエレベータ扉。
  4. 【請求項4】前記結合部材は、ボルトと、このボルトと
    対をなす樹脂製またはゴム製のナットからなることを特
    徴とする請求項2に記載のエレベータ扉。
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