JP2002034446A - 緑色植物の乾燥緑葉粉末の製造方法 - Google Patents
緑色植物の乾燥緑葉粉末の製造方法Info
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Abstract
燥緑葉粉末の製造方法を提供すること。 【解決手段】 緑色植物の緑葉を、炭酸カルシウムを
0.001〜1重量%添加した熱水でブランチング処理
し、乾燥、粉末化する。炭酸カルシウムとして卵殻カル
シウムを用い、これと食塩と組合せたブランチング処理
が、風味と緑色の保持に最も好ましい。
Description
粉末の製造方法に関する。さらに詳しくは、緑色植物の
緑葉(以下、特にことわらない限り、単に緑葉という)
が天然に含有する色彩および緑葉の有効成分が失われず
に保持され、かつ保存安定性および嗜好性に優れた緑色
植物の乾燥緑葉粉末の製造方法に関する。
ば麦若葉は、ビタミン類、ミネラル類、食物繊維などに
富み、有害物質の吸着、腸内環境の改善、コレステロー
ルの吸収抑制、食後血糖値の急上昇防止、スーパーオキ
シドディスムターゼ(SOD)の活性化などの効果を有
する健康食品の素材として注目を浴びている。イネ科植
物の緑葉が健康食品の素材として用いられる場合、主に
麦若葉を乾燥粉末化した麦若葉末(特許第2544302号)
として用いられている。
るには、食物繊維、ビタミン類などをより多く保持して
いる麦若葉末を用いることが好ましい。しかし、麦若葉
末もまた、麦若葉搾汁の製造と同様に、麦若葉が含有す
る酵素(例えば、クロロフィラーゼ、ペルオキシター
ゼ、ポリフェノールオキシダーゼ)などによる変質を防
ぐために、その製造に熱水処理によるブランチング処理
が必要である。
素であるクロロフィルの色が褪色しないようにすること
であり、緑色を固定するためにブランチング時に重曹を
添加することは一般的に行われている(食生活と調理、
朝倉書店、1991、p63)。しかし、重曹を添加すること
により、風味や栄養素が損なわれることもまた、知られ
ている(食品と科学 第32巻第4号p44)。
を維持し、かつ、風味、栄養素が損なわれないブランチ
ング方法が望まれている。
く色鮮やかな緑色植物の乾燥緑葉粉末の製造方法につい
て鋭意検討したところ、緑葉の熱水によるブランチング
処理に際して、炭酸カルシウムを添加した熱水を用いる
ことにより、従来の方法と比較して鮮やかな緑色の褪
色、風味の変化を生じることがなく、保存安定性および
嗜好性に優れた緑色植物の乾燥緑葉粉末が製造できるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
方法であって a)緑葉を0.001〜1重量%の炭酸カルシウムを加
えた水でブランチングする工程; b)該ブランチングした緑葉を冷却する工程;および c)該冷却した緑葉を乾燥する工程;を含む、方法に関
する。
ルシウムが、卵殻カルシウム、ホタテ貝殻カルシウムお
よびサンゴカルシウム(ドロマイト)からなる群から選
択される。
ブランチングする工程が、前記炭酸カルシウムにさらに
食塩を0.01〜5重量%加えた水でブランチングする
工程である。
物がイネ科植物であり、さらに好ましくは、麦類であ
る。
とは、植物分類法において緑色植物として分類される植
物をいう。例えば、イネ科(例えば、大麦、小麦、ライ
麦、えん麦などの麦類、イタリアンライグラス、イネ、
あわ、笹、ひえ、きび、トウモロコシ、ソルガム、サト
ウキビなど)、キク科植物(例えば、よもぎなど)、セ
リ科(例えば、あしたば、パセリ、セロリなど)、クワ
科(例えば、クワなど)、ドクダミ科(例えば、ドクダ
ミなど)、シソ科(例えば、しそなど)、アブラナ科
(小松菜、ケール、キャベツ、ブロッコリーなど)、ツ
バキ科(例えば、茶など)、アカザ科(例えば、ほうれ
ん草など)、ユリ科(例えば、アスパラガスなど)、シ
ナノキ科(例えば、モロヘイヤなど)の植物が挙げられ
るが、これらに限定されない。
を用いる場合、通常、大麦、小麦、ライ麦、燕麦などの
若葉が緑葉として用いられるが、これらに限定されな
い。麦若葉は、成熟期前、すなわち分けつ開始期から出
穂開始前期(背丈が20〜40cm程度)に収穫される
ことが好ましい。これらの麦若葉の中でも、大麦若葉が
より好ましく用いられる。
燥緑葉」は、長期間緑色が維持されている乾燥された緑
色植物の葉および茎を意味する。
物の葉および茎が含まれる。
科植物の緑葉を用いる場合、成熟期前に収穫された緑葉
であることが好ましい。特に麦類の緑葉を用いる場合、
通常、大麦、小麦、ライ麦、えん麦などの若葉が緑葉と
して用いられるが、これらに限定されない。麦若葉は、
成熟期前、すなわち分けつ開始期から出穂開始前期(背
丈が20〜40cm程度)に収穫されることが好まし
い。これらの麦若葉の中でも、大麦若葉がより好ましく
用いられる。
い。緑葉の処理までに時間を要する場合、緑葉の変質を
防ぐために低温貯蔵などの当業者が通常用いる貯蔵手段
により貯蔵される。
は25℃以下の冷水)で洗浄し、泥などを洗い落とし、
水気を切った後、さらに必要に応じて、適当な長さ(例
えば約10cm)にし、ブランチング処理を施す。ブラ
ンチング処理は、炭酸カルシウムを0.001〜1重量
%加えた、90〜100℃の熱水に1〜5分間程度浸漬
することにより行われる。炭酸カルシウムは、好ましく
は0.002〜0.5重量%、更に好ましくは0.02
〜0.5重量%含有される。
制限はないが、市販の炭酸カルシウム粉末、卵殻カルシ
ウム、ホタテ貝殻カルシウム、サンゴカルシウム(ドロ
マイト)などが挙げられる。卵殻カルシウム、ホタテ貝
殻カルシウムおよびサンゴカルシウム(ドロマイト)が
好ましく、なかでも、卵殻カルシウムが特に、風味、緑
色の残存の程度から好ましい。これらの炭酸カルシウム
は単独で用いてもよいが、2以上を組合せて用いてもよ
い。
ウム、サンゴカルシウムを焼成した焼成カルシウムを使
用する例もある(特開平8−112073号公報)。し
かし、焼成カルシウムは水酸化カルシウムであり、炭酸
カルシウムよりも強いアルカリ性を示すことが認められ
ている。このような強いアルカリ性で処理すると、鮮や
かな緑色を保持できないのみならず、植物細胞組織が軟
化して破壊され、風味が損なわれることが知られている
(例えば、特開平5−276868号公報)という問題
がある。従って、溶解したときに弱アルカリ性であり、
このような問題が少ない炭酸カルシウムが好ましい。
ムの他に0.01〜5重量%の食塩が添加される。食塩
の添加量は、好ましくは0.2〜3重量%である。食塩
を添加することにより、さらに緑色が鮮やかで風味がよ
い緑色植物の乾燥緑葉粉末を得ることができる。
わせは、味と風味の点で最も優れている。
となる酵素は完全に失活され得る。続いて、上記ブラン
チング処理された緑葉は、水分含量が10%以下、好ま
しくは5%以下となるように乾燥される。この乾燥工程
は、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍
結乾燥などの当業者が通常用いる任意の方法により行わ
れ得る。乾燥は、好ましくは40℃〜90℃、より好ま
しくは50℃〜80℃の温度で、緑葉が変色しない時
間、行われ得る。
ャー、ミル、ブレンダー、石臼などの当業者に公知の任
意の機械または道具により粉砕され得る。粉砕された緑
葉は篩にかけられ、30〜250メッシュを通過するも
のが乾燥緑葉粉末として用いられ得る。粒径が250メ
ッシュ通過のものより小さいと緑色植物の乾燥緑葉粉末
のさらなる加工時に取扱いにくく、粒径が30メッシュ
通過のものよりより大きいと乾燥緑葉粉末と他の食品素
材との均一な混合が妨げられる虞がある。
葉粉末は、必要に応じて、例えば、気流殺菌、高圧殺
菌、加熱処理などの当業者が通常用いる方法により殺菌
され得る。
麦の若葉についての実施例に基づいて本発明を説明する
が、この実施例は本発明を制限することを意図しない。
た二条大麦の若葉を用いた。これを水洗いし、付着した
泥などを除去し、10cm程度の大きさに裁断した。そ
の100gを、90〜100℃の1リットルのブランチ
ング処理溶液に3分間浸漬した。ブランチング処理した
麦若葉を、直ちに2〜7℃の冷水にて5分間浸漬して、
冷却した。続いて、冷却した麦若葉を30秒間遠心分離
してある程度の水を脱水した。脱水した麦若葉を、水分
量が5%以下となるように乾燥機中、60℃にて10時
間温風乾燥した後、粉砕機により粉砕し、200メッシ
ュを90%が通過する程度に粉砕したものを麦若葉末と
した。
の処理液を用いた。実施例1〜8はそれぞれ炭酸カルシ
ウム、卵殻カルシウム、ホタテ貝殻カルシウム、サンゴ
粉末を0.02重量%または0.5重量%含む処理液で
あり、実施例9は卵殻カルシウムと食塩をそれぞれ0.
5%含有する処理液である。比較例1は、水道水でブラ
ンチング処理を行い、大麦若葉を乾燥させたものであ
り、比較例2は、従来の重曹と食塩を用いるブランチン
グ処理、比較例3は水酸化カルシウムを用いるブランチ
ング処理である。比較例の処理条件は実施例と同じ条件
であった。
下のように評価した。保存安定性は、保存中の麦若葉末
の緑色が褪色する程度を観察することにより評価した。
簡潔には、麦若葉末をそれぞれ殺菌した後、アルミパッ
クに封入した。温度40℃、湿度70〜75%のインキ
ュベーター中で1ヶ月間静置した麦若葉末と、冷暗所
(10℃)に1ヶ月保存した麦若葉末とを、視覚的に色
調を比較した。表1において、色調は±を基準とし、+
が多いほど基準よりも緑が鮮やかなことを示す。
味して判断した。±を基準とし、+が多いほど基準より
も風味がよいことを示す。
存した麦若葉末について色差計(Σ90:日本電色
(株))を用いて、JISZ8729に基づいてLab
表色系に沿って色度を測定した。表1中のa値が負で大
きいほど、緑色が単色の緑色に近いことを示す。
酸カルシウムを主成分とする天然物でブランチング処理
した実施例1〜8、および卵殻カルシウムと食塩を組み
合わせてブランチング処理した実施例9のいずれも、従
来の重曹と食塩とを含有するブランチング処理および水
酸化カルシウム処理よりも、緑色の保存が視覚的に優れ
ていたことを示す。また、色差計による色調の測定によ
っても、卵殻カルシウムを加えてブランチング処理して
得られた麦若葉末の方が鮮やかな緑色を示す結果が得ら
れた。さらに、風味も、卵殻カルシウムを加えてブラン
チング処理して得られた麦若葉末の方が優れていた。特
に、卵殻カルシウムと食塩とを組みあわせた場合が、風
味も緑色の鮮やかさも優れていた。
チング処理をせず、実施例と同様の方法で乾燥、粉末化
処理して得られた麦若葉末は、実施例1〜9および比較
例1〜3より緑色の鮮やかさが劣り、植物組織中の酵素
が失活されていないためか、1ヶ月加温保存したときに
は、褪色がかなり進んでいた。
ましくは卵殻カルシウム、ホタテ殻カルシウム、または
サンゴカルシウム(ドロマイト)を添加した水を用いて
ブランチング処理をすることにより、鮮やかな緑色が維
持され、かつ保存安定性および嗜好性に優れている緑色
植物の乾燥緑葉粉末が得られる。特に、卵殻カルシウム
と食塩とを混合してブランチングに用いると効果的であ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 緑色植物の乾燥緑葉粉末の製造方法であ
って a)緑葉を0.001〜1重量%の炭酸カルシウムを加
えた水でブランチングする工程; b)該ブランチングした緑葉を冷却する工程;および c)該冷却した緑葉を乾燥する工程;を含む、方法。 - 【請求項2】 前記炭酸カルシウムが、卵殻カルシウ
ム、ホタテ貝殻カルシウムおよびサンゴカルシウム(ド
ロマイト)からなる群から選択される、請求項1に記載
の製造方法。 - 【請求項3】 前記ブランチングする工程が、前記炭酸
カルシウムにさらに食塩を0.01〜5重量%加えた水
でブランチングする工程である、請求項1または2に記
載の方法。 - 【請求項4】 前記緑色植物がイネ科植物である、請求
項1から3のいずれかの項に記載の製造方法。 - 【請求項5】 前記イネ科植物が麦類である、請求項4
に記載の方法。
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